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2025年11月22日土曜日

RC-135偵察機がヴェネズエラの防空体制をテスト中(TWZ)―緊張状態が続くヴェネズエラ付近の動向は要注意ですが、トランプは取引が不調に終われば攻撃に踏み切るのでしょうか


カリブ海における米軍による大規模な軍事展開の一環でマドゥロ政権に最大限の圧力をかけることを目的としている

ハワード・アルトマンタイラー・ロゴウェイ

2025年11月20日 午後9時27分(米国東部時間)更新

U.S. tactical aircraft flying near Venezuela is part of a pressure campaign aimed at that nation's embattled leader, Nicolas Maduro(米空軍ウィリアム・リオ・ロサド軍曹撮影)

国がヴェネズエラの独裁者ニコラス・マドゥロに対する圧力を強め続ける中、今夜、フライトトラッカーは、F/A-18 スーパーホーネットと米空軍の RC-135V リベットジョイント電子監視機が、ヴェネズエラの海岸線近くを飛行しているのを確認した。米国当局者は、これらの飛行はドナルド・トランプ大統領が命じたマドゥロへの圧力作戦の一環で、特にヴェネズエラの防空能力と対応時間を試すためのものであると明らかにした。これは、敵の防衛態勢、位置、運用手順、および機密性を評価するために重要な、定番の戦術である。収集されたデータは、攻撃作戦の計画に特に重要である。

この作戦は「南部の槍作戦」と呼ばれている

「これは空母フォードおよびプラットフォームによる通常の作戦訓練飛行だ」と当局者は語った。「ヴェネズエラのセンサーと対応能力をテストするものでもあり、カリブ海における米国の能力を示す圧力作戦の一環だ」。

F/A-18E/Fスーパーホーネットがヴェネズエラ沿岸付近を飛行している。(米海軍)

米空軍RC-135V/Wリベット・ジョイント。(米空軍)

スーパーホーネットとリベットジョイントに加え、航空機観測者らは同地域でB-52Hスーパーフォートレス爆撃機の飛行も確認した。この飛行は10月15日以降継続しているヴェネズエラ近海への爆撃機出撃となった。

「作戦の保安上の理由から、作戦支援機材の動きについてはコメントしない」と、米空軍南部軍司令部の広報担当者は本日、本誌の飛行に関する質問に対しこう述べた。「『南部の槍作戦』および同作戦実施のため設置された合同任務部隊に関する情報は、プレスリリースを参照されたい」。

B-52Hスーパーフォートレス(米空軍/ウィリアム・リオ・ロサド軍曹

こうした飛行は、表向きは米国への麻薬流入阻止を目的として開始された作戦の一環として、カリブ海における大規模な米軍展開の一部だが。実際には、マドゥロ政権を標的とした大規模な武力示威へ変質している。フォードに加え少なくとも 7 隻の水上戦闘艦、特殊作戦母艦、および複数の支援艦艇が配備されている。また、F-35Bステルス戦闘機、MQ-9 リーパー無人偵察機、AC-130ゴーストライダーガンシップ、P-8 海上哨戒機などの資産も配備されており、約15,000名が同地域に派遣されている。

木曜日の夕方、米国国防長官ピート・ヘグセスはOANニュースに対し、マドゥロが率いるとされるカルテル・デ・ロス・ソレスを外国テロ組織に指定する動きが迫っており、「米国には多くの選択肢が生まれている」と語った。テロ組織指定は議会が異議を申し立てない限り、11月24日に発効する。

RC-135リベット・ジョイントがこの地域で飛ぶのは珍しくない。しかし、このタイミングで、戦術戦闘機や爆撃機、そして追跡システムには表示されない他の多くの航空機とともに、同機が到着したことは、大きな関心事である。これらの航空機の一部が追跡サイトに表示されていると事実は、明らかに自機の存在を発信する意識的な選択である。さらに特筆すべきは、米当局者が「重要な情報収集のためヴェネズエラ防衛網を刺激している」と認めた点だ。これは極めて稀な発言である。こうした活動は長年続いており現在も世界各地で定期的に、様々に実施されているとはいえ、今回は特に複雑な作戦とみられる。ヴェネズエラが差し迫った軍事作戦に警戒態勢を敷く状況下での実施だからだ。注目すべきは、RC-135の情報収集任務には戦闘機護衛が付いていた可能性があり、米空母ジェラルド・R・フォードのスーパーホーネットだったかもしれない点だ。

この種の情報を収集することで(RC-135はそれを遂行する上で地球上で最高の資産と言える)、指揮官は敵の電子戦態勢に関する最新評価を得られる。繰り返しになるが、これにはシステムの状態、種類、地理的位置、戦術、準備態勢が含まれる。この情報は攻撃計画において極めて重要となる。ミサイルや航空機が目標に到達するために、どの防空システムを制圧または破壊すべきかを示すからだ。また、ミサイルや航空機が取るべき経路を直接決定する。

現時点で、これらがヴェネズエラへの実戦的軍事作戦の前触れである証拠はないものの、一つの兆候であることは確かだ。そしておそらくそれが狙いなのだろう。極度の圧力をマドゥロにかけ、彼の置かれた現実が数日中に劇的に変化する可能性を示唆している。

戦術的・心理作戦上の理由から、今後数日間でRC-135とその護衛戦闘機やその他「刺激装置」がヴェネズエラ沖で頻繁に目撃されても驚くに当たらないだろう。■

著者への連絡先:howard@thewarzone.com

ハワード・アルトマン

シニアスタッフライター

ハワードは『The War Zone』のシニアスタッフライターであり、『Military Times』の元シニアマネージングエディターである。それ以前は『Tampa Bay Times』のシニアライターとして軍事問題を担当した。ハワードの作品は『Yahoo News』、『RealClearDefense』、『Air Force Times』など様々な出版物に掲載されている。


タイラー・ロゴウェイ

編集長

タイラーは軍事技術・戦略・外交政策の研究に情熱を注ぎ、防衛メディア分野でこれらのテーマにおける主導的な発言力を築いてきた。防衛サイト『フォックストロット・アルファ』を創設した後、『ザ・ウォー・ゾーン』を開発した。



RC-135 Accompanied By Fighters Off Venezuela Testing Maduro’s Air Defenses: U.S. Official

The flights are part of a massive U.S. military presence in the Caribbean aimed at putting maximum pressure on Venezuela's Maduro.

Howard Altman, Tyler Rogoway

Updated Nov 20, 2025 9:27 PM EST

https://www.twz.com/air/rc-135-accompanied-by-fighters-off-venezuela-testing-enemy-air-defenses-u-s-official


2025年2月9日日曜日

RC-135リベットジョイント偵察機が前例のない任務をメキシコ沖で遂行した理由に注目(The War Zone)―トランプ政権は麻薬流入の阻止に本気です。そのために軍の投入もためらいません。なぜ前政権はこれをしなかったのでしょうか

 



Rivet joint flew off Mexico.  

USAF/Google Earth composite (flight track line for illustrative purposes only)


悪名高いカルテルが活発な地域に隣接するカリフォルニア湾の狭い海域上空で、48時間で2回の飛行任務を遂行した。

ンラインのフライト追跡データによると、米空軍のRC-135Vリベットジョイントが昨日、メキシコのバハ半島と本土の間のカリフォルニア湾で、極めて異例な飛行を行った。戦略的偵察機は今日も同様の飛行を行った模様だ。

 リベットジョイントは米国で最も優れた情報収集能力を持つ機体のひとつで、同機がメキシコ沖に現れたことは重大な進展である。これは、ドナルド・トランプ大統領就任以来、メキシコとの国境沿いでの作戦に対する米軍による支援が大幅に増加していることや、麻薬カルテルに対する米軍による前例のない直接行動の可能性が取り沙汰されていることと関連している。

 追跡ソフトウェアによると、機体番号64-14845のRC-135Vは2月3日、ネブラスカ州オファット空軍基地から南カリフォルニア上空に向けて南西に飛行した。オファット空軍基地は第55航空団の拠点であり、空軍のリベットジョイント機の大半を管理しているほか、その他にも各種ISRおよび高度に専門化された指揮管制機を管理している。同機はその後、バハ半島の太平洋沿岸に沿い南に向かい、カリフォーニア湾上空へ移動した。その後、同機は同じルートを逆方向にたどりオファット空軍基地に戻った。

 追加の飛行追跡データによると、64-14845は本日、ほぼ同じルートで出撃したことが示されている。

1月3日(左)と1月4日(右)に追跡された、RC-135Vのシリアル番号64-14845を示すADS-B Exchangeのスクリーンショット。ADS-B Exchange

 1月3日以前にも、カリフォーニア湾上空をリベットジョイントが飛行していた可能性もあるが、本誌は独自にそれを確認できていない。

 カリフォーニア湾は比較的狭いとはいえ、中央には公海および公空があり、64-14845が飛行中にメキシコ領空に入った形跡はない。

 メキシコ沖での64-14845の活動について問い合わせたところ、米空軍は米北軍司令部(NORTHCOM)に転送した。また、ワシントンD.C.のメキシコ大使館にも問い合わせた。

RC-135V/Wリベットジョイント。米空軍

 西半球での作戦、特に麻薬対策作戦を支援するためにRC-135V/W リベットジョイントが使用されていることは広く知られているわけではないが、新しいことでもない。特に、リベットジョイントは北米軍の任務を遂行するためある程度定期的に飛行している。

 さらに、太平洋側のバハ付近の国際空域で、通常はカリフォルニア州南部の沖合訓練区域での演習支援を目的として、RC-135V/Wが飛行しているのが確認されている。

 とはいえ、どう考えても、カリフォルニア湾でのリベットジョイントのの出撃は、非常に珍しいものであり、同機にとっては全く新しい収集エリアである。そこから、64-14845はメキシコ北西部に耳を傾けることができた。同地域は、悪名高いシナロア・カルテルの影響下にある。

 旅客機サイズのRC-135V/Wには、通信やその他の電子送信を傍受するさまざまなシギント(SIGINT)システムが搭載されている。また、この航空機は、無線からレーダーまで、それらの信号を発信する発信源の位置を特定し、分類することもできる。

 典型的な任務では、RC-135V/Wの乗組員は24名以上で構成され、その中には、収集した情報を即座に分析できる言語学者、電子戦担当官、その他の情報専門家も含まれる。リベットジョイントには、広範な通信アレイも搭載されており、データをほぼリアルタイムで現地の近隣部隊に送信したり、あるいは世界中のノードに送信して、さらなる分析や配信を行うことができる。

リベットジョイントの乗組員構成を示す空軍のブリーフィングスライド。下部の注釈は、機上での情報データの「処理、解析、配信」、すなわち PED 能力に言及しており、情報をほぼリアルタイムで送信できることを示している。米空軍

 傍受した通信の雑音や位置情報、その他の情報を組み合わせることで、特定の個人またはグループのいわゆる「生活パターン」を把握することができる。そして、その情報は、情報収集戦略のさらなる改善や、標的を絞った地上襲撃や攻撃の計画・実行に役立つ。

 同様に、リベットジョイントが提供するデータは、特定の地域における敵対勢力または潜在的な敵対勢力、特に防空部隊や指揮統制ノードの配置状況を詳細に記した、いわゆる電子戦力図の作成にも役立つ。ただし、これはメキシコ沖の飛行には当てはまらない。

 カリフォーニア湾上空のリベットジョイント飛行は、カルテルの活動やその他の違法行為に関する貴重な追加情報を提供できる可能性がある。また、カルテルの重要地域で何が起こっているかについてより正確な状況認識も可能になる。これは、1月にトランプ大統領が就任して以来、国防総省が南の国境周辺での存在拡大について公式に発表している内容に沿ったものである。

 「南西部の国境全体において、現役の軍人たちが、人員、車両、船舶、航空機に関するリアルタイムの状況認識を提供し、また、[米国税関・国境警備局] の資産のオペレーターレベルのメンテナンス、移動、配置についても [米国税関・国境警備局] と協力するものと期待しています」と、米軍高官は先月語っていた。「また、状況認識を高めるために、追加の空中偵察、監視、支援部隊が国境に移動する可能性もあると予想しています。」

 USNIニュース昨日、米海軍の海上哨戒機P-8Aポセイドンが現在、米軍のISR支援強化として、メキシコ国境に沿って飛行を行っていると報じた。P-8Aはまた、広範なSIGINT能力を備え、電子光学および赤外線ビデオカメラを搭載した砲塔も装備している。

 RC-135V/W他のISR機が収集した情報は、陸上および海上での阻止活動の支援を含め、米情報機関や法執行機関に提供される可能性がある。米軍は、麻薬密輸やその他の違法行為の疑いがあるものについて、航空偵察プラットフォームからほぼリアルタイムで情報を収集し、国境沿いの法執行機関に提供する実績をすでに持っている。

 また、メキシコ当局に対しても、麻薬対策やその他の作戦を支援するために、特定の情報を提供している可能性もある。メキシコ大統領のクラウディア・シェインバウムは、米国との貿易戦争を回避するため表向きの合意の一環として、麻薬密売対策の支援として、国境の自国側に1万人の軍隊を配備することを約束した。シェインバウムの前任者であるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、2021年に1万人の軍隊を国境に派遣することで合意しており、これはジョー・バイデン前大統領政権との間で結ばれた以前の合意の一部であった。

 カリフォーニア湾にリベットジョイントが現れたのも、標的攻撃を含む、メキシコの麻薬カルテルに対する米軍の直接行動の可能性について公然と議論されている最中である。先週金曜日、ピート・ヘグセス国防長官はFoxニュースのインタビューで「あらゆる選択肢がテーブルの上に置かれる」と述べたが、行動の決定はすべてトランプ氏に委ねられると付け加えた。

 空軍のRC-135V/Wが提供する能力は、その存在がそのような作戦意図の先駆けとなり、利用可能な情報収集の質と量を劇的に増加させる可能性があることを意味する。リベットジョイントは、より大規模な作戦に備える段階で、この一般的な役割で日常的に使用されている。一例として、トランプ大統領の就任1期目の2018年4月、米国主導によるシリア国内の複数の目標に対するミサイル攻撃に先立ち、リベットジョイントがシリア沖で日常的に飛行していた。

 同時に、RC-135V/Wは世界中で定期的に情報を収集するためにも使用されている。記事執筆時点では、そのような直接的な軍事活動が差し迫っている、あるいは計画されている兆候は一切ないことを強調しておくことが重要だ。さらに、たとえメキシコ政府の明確な承認を得て飛行が行われたとしても、そのような行動を取れば、広範囲にわたる影響が及ぶ。

 しかし、カリフォーニア湾でリベットジョイントの出撃を公然と行うことを国境で拡大する米軍の存在と併せて考えると、メキシコ全体にわたる広範なシグナルを明確に麻薬カルテルに送っていることになる。■

RC-135 Rivet Joint Surveillance Jet Just Flew Unprecedented Mission Off Mexico

An RC-135V flew two sorties in the past 48 hours over the tight confines of the Gulf of California that sits adjacent to a notorious cartel hot spot.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/rc-135-rivet-joint-surveillance-jet-just-flew-unprecedented-mission-off-mexico


2017年11月30日木曜日

米イラン間の衝突回避に重要な役割をしていたRC-135V/W機


ISRの重要な機能がよくわかるお話ですね。こうした裏方がいて初めて外交も軍事行動も可能となるということですね。


Award Reveals USAF Rivet Joint Spied on Iranian Forces During 2016 Hostage Crisis

2016年の危機事件で米空軍リヴェットジョイントが重要な役目をしていた

Information from the Rivet Joint aircraft aided negotiations and helped avoid a more serious confrontation.

同機発信の情報で軍事衝突が回避できた


USAF
BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 27, 2017
2016年1月12日、米海軍水兵10名がイラン革命防衛隊(IRGC)にファルシ島で捕獲された。米兵には希望が見えなかった。だが翌日に米空軍のRC-135V/Wリヴェットジョイント情報収集機が近辺を周回飛行し、イラン側の通信内容を傍受し、解放交渉を守るつもりがあるのかに耳を傾けていた。
  1. 同機乗員(コールサイン・パイソン72)が最優秀偵察機乗員として2016年度ジェローム・オマリー将軍賞を2017年9月に受賞している。空軍協会が年次総会で同賞を授与している。受賞の個別具体的な理由はあいまいなままだったが、Omaha World-Herald紙が米空軍大佐ジョージ・レイノルズ(オファット基地第55飛行隊隊長)の推薦状を入手している。
  2. 「同機乗員は空軍隊員の鑑で連合軍部隊の戦闘を支援している」と一般的に説明していると同紙が伝えている。だがパイソン72の同日の出撃は通常内容どころではなく、敵部隊の監視にあたることの多い同機でも尋常でない内容だった。
  3. 監視装備を詰め込んだリベットジョイントは計17機ありイラク、シリアはじめ北朝鮮などを監視している。2016年に第55飛行隊の別のRC-135V/W(パイソン71)がやはりオマリー賞をイラク・ファルージャで対ISIS作戦で受賞している。同飛行隊は同型機すべての他、共に電子偵察用のRC-135Sコブラボール(3機)、RC-135Uコンバットセント(2機)を運用している。
View image on Twitter
Congratulations to the Crew of PYTHON 72 at @Offutt_AFB on winning the Gen. Jerome F. O'Malley Award today! #ASC17#AirForce
  1. 話しを元に戻すと、2016年1月12日、第五艦隊隷下の高速強襲ボート二隻がクウェートとバーレイン間の海峡を移動中に一隻が故障し漂流をはじめファルシ島近くでイラン領海に入り、IRGC部隊に包囲され身柄拘束された。
  2. 米海軍の事後調査でイラン軍の接近時点で乗員に手違いが数々あったことが露呈している。第五艦隊上層部にもリスク承知で同海峡通過を急がせた過失も見つかったが、国際法を破り何ら敵意を示さなかった米乗員を拘束したイランにも非難の矛先を向けている。
  3. 批判する向きには当時共和党大統領候補だったドナルド・トランプもあり、バラク・オバマ大統領を責めた。ジョン・ケリー国務長官がイランに強い立場を示さず、世界の面前でイランに侮辱されたとした。ケリー長官が乗員解放を実現したのは身柄拘束後15時間のことで米政府は同事件について公式謝罪は出していない。
  4. ただし、イランが乗員を捕獲してから第五艦隊司令官ケヴィン・ドネガン中将が海軍作戦部長や国務省と協議し「軍事対応を命令し」たとある。ここにパイソン72のミッションが入ってきた。
  5. 同機はアルウデイド基地(カタール)に前方配備中だった。その時点で空軍はアフガニスタン上空に飛ばし、タリバン他戦闘員等の通信傍受に充てる予定だった。
  6. だが2016年1月13日、ファルシ島事件の進展を受けて同機をペルシア湾に派遣する許可申請が基地から出た。米中央軍司令部が了承し、乗員19名が乗るRC-135V/Wを問題地区に飛ばした。機内には信号情報や言語の専門家がおり、イラン通信内容を傍受し捕虜関連情報の翻訳に待機した。.
  7. 海軍と空軍は通常からペルシア湾内の国際航路上を行き来し監視偵察活動をしているが、ファルシ島への接近は普段は行わない飛行だった。だが同機からの情報が貴重な内容になった。.
  8. 強力なデータリンク装置を搭載したリヴェットジョイントは新情報をペンタゴンの共用人員救難局 Joint Personnel Recovery Agency 並びに国務省へリアルタイム送信した。ケリー長官は一部を使いイランへの交渉で立場を強化したと伝えられている。
  9. もっと重要なのは水兵解放に合意した後で悪天候のためIRGCが解放地点を次々に変更したことだ。米側はこれに警戒し最悪の場合、罠ではないかと身構えた。パイソン72の言語専門家はイラン側に対決の意図はないと判断した。
  10. 水兵は安全かつ元気だったが、RC-135V/Wはそのまま同地に残り引き続きイランの動静を監視した。レイノルズ大佐によればIRGCの戦術面や標準行動で「前例のない量の」情報を収集てき、将来に向けて貴重な情報になったと述べている。
  11. 今回はパイソン72の尽力で危険な事態は回避できた。今後この事件でまだ語られていない細かい情報が出てくるかもしれない。
  12. War Zoneは情報の自由法を使い、乗員が海軍艦隊補給支援飛行隊58(VR-58)のC-40Aクリッパーが述べ10か国を移動する飛行で1月24日にまでに米本国に帰還させたことがわかった。
USN VIA FOIA
  1. このミッションは45時間で11の時間帯を通過した。ドネガン中将はここまで述べたが、国名は伏せている。
  2. 今後時間がたてば、米軍が当時どんな警戒態勢を取っていたかも明らかになるだろう。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

2016年11月5日土曜日

RC-135はイスラム国戦闘員排除にこう役立っている




War Is Boring
The U.S. Air Force’s Biggest Spy Planes Are Hunting Islamic State Fighters
RC-135 Rivet Joints spot terrorist radios, phones and scoop up chatter
by JOSEPH TREVITHICK
  1. 米空軍最大ののスパイ機部隊がイスラム国戦闘員の所在を探り出している。イラク、クルド両部隊がモスル市から戦闘員を排除しつつある中でのミッションだ。
  2. 2016年10月21日に少なくとも一機のRC-135V/Wリヴェットジョイントがアル・ウデイド空軍基地(カタール)を離陸し、イラクあるいはシリアへ向かった。ボーイング707旅客機が原型の同機は空中給油なしで4000マイル飛行できる。
  3. 「同機は20カ国が参加する連合軍航空兵力にリアルタイムで現場情報を提供する」と公式説明文にある。別の説明文では「ほぼリアルタイム、現場での電子戦支援、情報収集、解析、伝達能力を提供する」とある。.
  4. 地上戦でイスラム国が劣勢になる中で戦闘員が密かに逃亡するのを防ぐのは重要だ。
  5. リヴェットジョイントは中東では最初の湾岸戦争以来ほぼ常駐しサダム・フセイン軍の監視、飛行禁止地帯の執行に携わってきた。
  6. 2003年の米主導連合軍のイラク侵攻ではRC-135が後方からサダム部隊や反乱分子との戦闘を支えた。2011年に米地上軍が撤退したが、その後もイラクの戦闘員の動向を監視してきた。
Above, at top and below — an RC-135V/W Rivet Joint prepares to take off and eventually departs Al Udeid Air Base in Qatar on Oct. 21, 2016. U.S. Air Force photos
  1. 2014年にイスラム国がシリアからイラクへ侵攻し、イラク政府軍を敗退させた。イラク、クルド人部隊がモスル攻略を開始した今年10月にはリヴェットジョイントが再びその能力を発揮している。
  2. 米空軍第55飛行隊(ネブラスカ州オファット空軍基地)は17機を運用し、世界各地に機材を派遣している。
  3. RC-135乗員は最大30名でパイロット、航法士以外に情報専門員、飛行中の故障に対応する機器修理要員が搭乗する。アンテナ多数をつけた同機の主な任務は戦場上空あるいは近隣を弧を描く飛行パターンで飛び敵通信を探知することにある。
  4. さらに発信元を特定し、情報を基地に送る。2011には新たに戦術データ・リンク(TDL)が搭載され、各部隊と情報同調が簡単になった。
  5. 「RC-135W/Vリヴェットジョイントは」新装備で「有効な機材になった」と空軍史は述べている。同機は「TDL搭載で性能を向上した」 War Is Boring は情報公開法により年次報告書の写しを入手した。
  6. イスラム国戦闘員は民生通信手段やインターネット携帯電話を多用しており、同機は所在を容易に突き止められる。
  7. 「携帯電話、トランシーバー方式、インターネット、電子メールを多用している」とペンタゴンの広報官クリストファー・ガーヴァー米陸軍大佐は2016年6月8日に報道陣に述べた。「戦場でもインターネットを使っている」 「そのため通信手段の排除として携帯電話中継塔を狙っている」
  8. 戦闘員の所在を突き止めること以外に情報要員は今後の攻撃に役立つ追加データも集めている。傍受した通信内容は押収した文書や機器類からの情報と合わせて戦闘員への作戦に有効利用されている。
  9. 「傍受や監視対象が特定できてもあえて攻撃しない場合がある」とガーヴァー大佐は述べ、「破壊すれば情報が取れなくなる」ためだという。
  10. またリヴェットジョイント部隊が敵通信を妨害しているとの報道もある。2016年5月には匿名情報源からとしてデイリー・メイル紙が英国のエアシーカー部隊(リヴェットジョイントの英空軍制式名称)がリビア国内のイスラム国戦闘員の通信を秘密のうちに妨害していると報道している。
  11. ただし「エアシーカーをジャミング機材と考えるとテレビの『怪しい伝説』ではないが誤りとなる」とロバート・ホプキンズ(前RC-135パイロット)が語っている。
  12. 「ジャミングには大量の電源出力が必要で発電に大量の空間と重量が必要となる。がリヴェットジョイントでは余裕がない」
  13. ただしリヴェットジョイントの強力なセンサーで他の機材を正しく誘導することが可能だろう。米海軍、海兵隊、空軍はイスラム国の通信妨害に専用機材を送り込む。
  14. とはいえRC-135は航空作戦に強力な支援を提供する。英空軍がエアシーカー1号機を取得したのは2015年だが、ただちにイラク、シリア上空に同機を派遣している。
  15. 「英軍のエアシーカー最新号機はイラク、シリア上空でまもなく活動開始する。米軍を除けばこれだけの能力を有する国はない」と英国防相マイケル・ファロンは2015年に述べている。
  16. 米空軍のリヴェットジョイント各機は今後もイスラム国に対する優位性をペンタゴンに提供する。あるいは中東で別の勢力が出現しても当面は優位性確保に役立つだろう。■