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2019年1月19日土曜日

レーザー兵器開発、実用化はどこまで進んでいるのか 意外に早く戦闘機搭載になるかも知れない

Imagine This: Air Force Fighters Like the F-35 and F-22 Armed with Lasers 戦闘機へのレーザー兵器搭載が間もなく現実になる

January 18, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35LasersMilitaryTechnologyWorld
空軍は航空戦の戦略、戦術、作戦構想を書き換えるレーザー兵器の急速な実用化を目指している。レーザー技術は近代戦の様相を一変し戦闘機による攻撃効果を引き上げる存在だ。
空軍は早ければ2020年代にも航空機でのレーザー兵器運用を目指し、電源確保以外に装備統合をしつつ技術の急速な進歩に対応する。
レーザーで光速で攻撃精度が上がるだけでなく欲しい効果に合わせ拡大縮小、つまり完全破壊から部分損傷あるいは限定効果まで脅威に応じた対応が可能となる。
「レーザーにより戦闘部隊は状況に対応して柔軟、迅速かつ精密な標的攻撃が可能になります」と空軍研究本部(AFRL)広報エバ・ブレイロックがWarror Mavenに書面で伝えている。
空軍研究本部はカートランド空軍基地でレーザー兵器を開発中で、地上発射テストは実施済みで空中発射実証の準備に入った。まずレーザーポッド装着の戦闘機から地上で発射し機体装備との整合性を確認する。
ARFLの主要プロジェクトには空対空兵器としてSHIIELD自機防御用高エネルギーレーザー実証装置があり、地上発射型の実証レーザー兵器システムもある。AFRLはロッキード・マーティンとSHIELDに取り組み、実用レベルのレーザーで数年以内の実現を目指している。
半導体レーザーは電源のみに依存し、特定の化学製品は必要ない。高熱で標的の機能を喪失させたり燃焼させる。
レーザー兵器が実用化されれば戦闘機パイロットの戦術で新しい可能性が広がる。例えば複数標的を同時にねらうとか再照準がすぐ可能となるとAFRLは論文で説明している。
現行の戦闘機は空対空戦で同時に複数標的を狙えるがレーザーでその機能は更に高まる。戦闘機は近接航空支援を行いつつ敵航空機にも対応できる。
自由に規模変更できることに意味がある。ビーム数本をまとめれば効果を変更できることをAFRLでは例に上げている。「30kW級レーザーにより接近阻止、劣化、妨害、破壊が一定距離以内なら可能で少舟艇なら数キロ先から可能です。出力を増せば対空、対地、対水上攻撃手段となり相当の距離から対応可能となります」(ブレイロック)
破壊ではなく劣化させる選択肢がパイロットに生まれると、従来の手段では不可能な空対空ミサイル、空対地ミサイルや爆弾への対応も実現する。敵の機体、車両、装備を破壊しつつ人命で損傷は発したくない場合、例えば至近距離内に民間人がいる場合で対応が可能となる。
開発現場では小型化と機内発電手段でも進歩しており、戦闘機や輸送機が重量超過なしで「無限の弾倉」の発射装置を搭載できるようになる。この事の利点は大きく、燃料消費を改善し、速度、機体操縦でもプラス面が多い。運搬可能なレーザー兵器があればジェット戦闘機も兵装の大量搭載が不要となり、航続距離が伸び、機体操縦性能が向上する。
機体が軽量化すれば滞空時間が伸び、給油で帰投する回数も減る。「補給拠点」への依存が減ったレーザー武装戦闘機は兵装再装填も不要となり、ミッションの拡大に貢献するだろう。
「30kW級レーザーのバッテリー重量は約300ポンド、大きさは0.5立方メートル以下」とAFRL文献にある。
パイロット及び地上兵器操作員には長期かつ迅速なミッションに対応した新しい戦術構想が必要となり、攻撃効果も自由に調整する必要が生まれる。レーザー出力を伸ばすためにAFRLでは二色ファイバー増幅器の利用も考えている。
ただしレーザー兵器開発の実用化では課題が残ることをAFRLは認めている。
戦場の厳しい条件に耐えること以外に「ビーム制御」で精度を確保しつつ「流体力学上の不安定性」の影響を排除する必要もある。「ビーム制御をさらに進めて精密な照準、追随、捕捉を飛行時の振動の中で実現する必要がある」とAFRLは説明している。装備の「発熱と重量」を適切に管理できればビームの希薄化や分散は減るはずだ。
「高速での大気の流れを緩和しないと光学上のゆらぎが防げない」とAFRL資料は説明。「熱管理の効果を上げて発射回数を増やすべく液冷ループや二段階冷却を利用しつつ、余熱伝導で固体を溶融して液体にしてから冷却していく」
レーザーが攻撃手段に使えれば米軍での効果は大きい。レーザーは同時にセンサーにもなるので敵ミサイル飛来時に効果を上げる。「迎撃手段」として光の速度で進み、敵攻撃を撃退できるので、対艦ミサイル、空対空ミサイル以外にICBMにも対応できる。兵器開発部門には戦術上も財務上も十分に魅力ある選択肢になるはずだ。レーザーは極限まで低コストでありながら高額な迎撃ミサイル同様の効果を生むからだ。
米陸軍、海軍も同様に攻撃、防御両用でーザー兵器実用化をめざしている。
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at National TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.
This first appeared in Warrior Maven here.
Image: Creative Commons.

コメント:ここまでの内容をさり気なく公開するとはレーザー兵器の実用化が思ったより早く進んでいるのか、それとも予算を狙ったほら話のいずれかでしょうが、レーザー兵器は現実の手段になりそうだと見ています。技術情報などの防護が非友好勢力に対して必要ですね。あとはこれも音沙汰のないロッキードのCFR小型融合炉技術が加われば鬼に金棒ですね。その場合は単座の戦闘機よりも大型機を「空の戦艦」に改造することで戦闘機の概念も変わるのではないでしょうか。

2017年6月1日木曜日

米GMDがミサイル迎撃に成功した意味、MDAの中長期ミサイル防衛構想


技術はどんどん進んでいきます。北朝鮮が飛翔制御変更なミサイルを開発したと自称していますが、米側と同等のセンサー網を運用していないため、制御の有効性は疑問です。しかし米側も今後真剣な対応を迫られるのは間違いありませんが、技術が必ず解決策を出してくるはずです。今は北朝鮮ですが中国やロシアのミサイルへの対応もそのうち道が開けるでしょう。

Army photo

アラスカのミサイルサイロに搬入される地上配備迎撃ミサイル。

 

GMD Missile Defense Hits ICBM Target, Finally

GMDミサイル防衛が迎撃実験についに成功

 By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 30, 2017 at 5:45 PM

WASHINGTON: 北朝鮮の最新のミサイル発射から二日目に米国が本土ミサイル防衛の効果を初めて確認することに成功した。コードネームFTG-15とされた本日のテストではこれも初めて「ICBM級」の標的が投入されたとミサイル防衛庁(MDA)が発表した。地上配備中間段階防衛構想(GMD)には会計検査院(GAO)調べで2002年以来1,230億ドルの巨費が投じられており、今回で1999年以来の迎撃テストは18回中9回成功とちょうど50パーセントとなった。
  1. 「本日の成功で命中=撃破方式の本土ミサイル迎撃に懐疑的な向きも反論が難しくなりました」と戦略国際研究所のミサイル防衛部門長トーマス・カレイコが指摘する「本土ミサイル防衛体制に重要な日となり金正恩には悪い日になりました」
  2. どこまで悪い意味があったのだろうか。命中率50パーセントを現実の作戦で考えると、批判派の憂慮する科学者連盟がテストが非現実的で簡単なものだったと指摘するが、現在36基運用中の地上配備迎撃ミサイル(GBI)のうち18発が敵ICBMを迎撃することになる。少なくとも近未来で北朝鮮やイランには十分だと言える。ただし米政府はこの「限定的」ミサイル防衛体制ではミサイル多数を発射してくる中国やロシア相手には不十分だと認めている。
  3. MDAは今年末までにGBIを44基に増設するが、「二発発射して一発命中」では割りが悪い。このためMDAは複数目標撃破迎撃体Multi-Object Kill Vehicle (MOKV)の開発を急いでおり、迎撃ミサイルをいわば精密発射弾に変え、一発のGBIから複数弾頭を発射し目標多数に対応させる。供用開始を2030年目標だったが、MOKVは2025年に運用開始できそうだ。予算要求は2018年度に259百万ドルで、MDA総予算79億ドルの一部となっている。
MDA Photo
空中発射レーザー母機は2012年にモスボール保存となった。
  1. 長期展望ではMDAはレーザーに注目しており、2018年度予算要求で54百万ドルでR&Dを進める。半導体レーザーは電気だけを使い電源があれば何回も発射できる。軍の一部ではレーザーを実地試験しているが射程は短距離で想定は無人機やロケット弾の撃破だ。MDAはもっと難しい標的をはるかに遠距離から狙う構想で、開発中止となった空中発射レーザー構想を復活させようとしている。前回は改装747機に毒性の強い化学レーザーを満載していたが、今回は半導体レーザーを無人機に搭載する。敵発射地点近くに無人機を周回飛行させミサイルが発射されれば即座に撃破する。このいわゆる「発射直後迎撃」構想では敵ミサイルを一番脆弱な段階で攻撃し、弾頭を発射直後の上昇段階のミサイルものとも迎撃する。
  2. これに対して本日テストされたGMDは大気圏外攻撃弾Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) を飛んでくる弾頭部に宇宙で衝突させる方式だ。精密に衝突させ爆発物は使用しない。衝突すれば相手は粉砕される。だが目標に命中させるため地球規模の高性能センサー群の海上配備Xバンドレーダー(SBX)などからデータを指揮統制戦闘管理通信Command, Control, Battle Management and Communication (C2BMC)システムに投入し迎撃体へ指示を出す。
  3. この「命中=破壊」方式の迎撃は技術上は大きな課題でアイゼンハワー大統領が「弾丸を弾丸で撃ち落とす」と評したのは有名だが、現在では低高度はペイトリオットで、中高度はTHAADがあり、さらに高高度にGBIと当たり前に装備されている。本日のテストは満点ではなかったが、この技術の有効性を支持する向きには有利な結果を生んだ。■

2016年6月27日月曜日

米空軍>指向性エネルギー兵器の技術進展と実戦化の現状




Air Force has directed energy weapons; now comes the hard part

Phillip Swarts, Air Force Times12:16 p.m. EDT June 25, 2016

635736797419217976-photo-directed-energy-weapon(Photo: Air Force)
20年間にわたり、米軍は産業界とレーザーなど指向性エネルギー兵器の実用化をめざしてきた。装置は危険な化学レーザーから信頼性の高い半導体レーザーに変わり、出力は数ワットから数キロワットへ拡大している。
  1. これからが困難な部分だ。空軍はワシントンDCで第二回指向性エネルギーサミットを開催し大きな課題が改めて認識された。
  2. 主催は国防コンサルティング企業ブーズ・アレン・ハミルトンとシンクタンクの戦略予算評価センターで指向性エネルギー分野で業界最高の人材が集結した。
  3. 軍上層部は早く実戦化したいとじりじりしている。指向性エネルギー兵器は敵車両を止めたり通信を遮断し、飛んでくるミサイルを破壊したりと多様な用途の想定がある。
  4. だがレーザー兵器の実戦化は困難な課題だ。空軍が指向性エネルギー兵器をはじめて開発したのは2000年代初期で、装置は巨大なボーイング747の全長を必要とした。海軍の試験版は揚陸艦ポンセに搭載され重量は通常の航空機の搭載量を上回る。
  5. さらに新技術は通常通り試験、分析、予算手当、調達、運用構想の作成、立案、承認、訓練を経てやっと実戦化される。
  6. 「予算をたくさん確保するには書類がたくさん必要だ」とブラドリー・ハイトフォード中将(空軍特殊作戦軍団司令官)は軽口をたたく。「今はたくさんの書類に字を埋めているところ」
  7. 同中将によれば敵を警戒させず静かかつ迅速に敵のシステムを妨害する装備が空軍に必要だとし、音を立てず目に見えないレーザーは最適だという。
  8. 「指向性エネルギーを高密度レーザーの形でAC-130ガンシップに搭載できるようになった」とハイトホールド中将は述べる。「指向性エネルギー兵器こそ次代の兵器だ」
  9. ただし指向性エネルギーの実戦化には課題が残る。ハイトホールド中将によれば最大の課題はレーザー装置の寸法と重量だ。
  10. 「重量5千ポンドでパレットのサイズに合えばおさまる」と中将はC-130搭載を想定して語った。
  11. ウィリアム・エター中将もレーザー兵器実用化を望むが、想定ミッションはハイトホールドと異なる。第一空軍司令官として中将の任務は米本土上空の安全であり、ミサイル撃墜にレーザーを使いたいとする。
  12. レーザーでのミサイル迎撃には巻き添え被害の予防が必要だ。
  13. 「一般市民が被害を受けないようにせねば。本土上空には民間航空機も飛び、小型機もあり、衛星もあります。標的は精密に狙わないといけません」
  14. エター中将もレーザーは極力小型化し機体に搭載できればとよいと見る。F-22やF-35に指向性エネルギー兵器を搭載すれば米本土がミサイルに狙われていてもどの地点からも迅速に対応できる。
  15. 指向性エネルギーでミサイル防衛の穴を埋めるのは可能とエター中将は指摘し、高速飛翔する標的への対応を言及した。
  16. 「現時点で極超音速飛翔体への対応は不可能です」とし、マッハ5以上で飛行するミサイルに言及している。
  17. だがハイトホールドの言う一杯の書類作業のように指向性エネルギーには多数の関連規則や規制面での支援が必要だ。
  18. 「脅威に方針が対応しきれていない」とエター中将は指摘し、「技術対応より方針が難しい。交戦規則が欲しい。撃ち落としたいのは小型無人機なのかそれとも航空機なのか」
  19. 検討事項が他にもある。空軍隊員をレーザー装備に慣れるよう訓練するのは最も些少なことだ。
  20. 「信頼醸成が必要だ」とヘンリー・「トレイ」・オーバリング中将(退役)がAir Force Timesに語った。「机上演習、訓練、演習が必要です」
The amphibious transport dock Ponce conducts an operational揚陸ドック型艦ポンセに実証型の海軍レーザー兵器システムが搭載され、アラビア湾に投入されている。空軍もポンセでの運用実績に期待し航空機搭載レーザーとしてAC-130への応用を考えている。さらにF-22やF-35への搭載を想定している。 (Photo: John F. Williams/Navy)
  1. オーバリングは現在はブーズアレンハミルトンで指向性エネルギー事業に従事しており、空軍内部並びに軍組織全体で時間をかけた価値観の変化が必要だという。
  2. 「隊員がこの兵器の能力を十分理解し、教育訓練を受ければ実用化が可能となり、戦術や手順も実戦に対応できるようになります」という。
  3. 目に見えず音もほとんどしない兵器の照射を当たり前に思う隊員を作るのは簡単なのか。
  4. 「空対空ミサイル発射音に慣れたパイロットや爆弾投下の衝撃を経験したパイロットを新兵器に適応させる必要がありますね」(オーバリング)
  5. 「ミサイル防衛庁長官時代に空中発射レーザー実証機を運用していましたが、乗員がとまどっていたのはレーザー発射の瞬間がわかるのは機体後部で発電機の出す振動が聞こえるときだけでした」という。
  6. 解決策として指向性エネルギー兵器の訓練で「効果と有用性をパイロットの男女に理解させること」があるとオーバリングは指摘する。
  7. 国防企業数社が指向性エネルギーレーザー各種や高周波兵器開発に従事しており、軍へ
  8. の採用を円滑に進めるべく、オーバリングは「モジュラー化し標準化した構造」でシステム作動を保障する必要があるという。そうすれば空軍は契約企業が違うことがあっても装備のつぎはぎ状態を避けれるという。
  9. 一方でハイトホールド中将はAC-130は緑色照準レーザーが搭載されており、その消費電力量はレーザーポインター以下だとする。
  10. 「緑色光線で敵は怯えます」と中将は会場で語った。「光線が出ると標的地点で動きが止まります。緑光線の次に何が来るかわかっているからです。もう少し出力を上げて目に見えなくなるといいですね、相手に聞こえなくしたいですね」■

2016年6月13日月曜日

米陸軍でのレーザー兵器開発の最新状況 半導体レーザーで陸軍の姿は変わるか


Visit Warrior Army Lasers Will Soon Destroy Enemy Mortars, Artillery, Drones and Cruise Missiles

KRIS OSBORN
12:25 AM

米陸軍はレーザー兵器で前線作戦基地(FOB)を防御し、敵の無人機、砲弾、迫撃砲弾、巡航ミサイルを瞬時に焼くと関係者が ScoutWarriorに明らかにした。

  1. 前線配備部隊ではアフガニスタンのように迫撃砲弾、ロケット弾、銃器の攻撃にさらされているが将来の敵は無人機、巡航ミサイル、重火器他をFOBに向けてくる可能性がある。
  2. そこでレーザーを加え、センサー装備や火器管制レーダーと統合すれば米軍は秒単位で敵の攻撃手段を破壊し、兵員の安全が保てると陸軍上層部は考える。
  3. レーザー兵器を陸軍は長年にわたり開発中だとメアリー・ミラー国防副次官補(技術研究担当)はScout Warrior取材に答えてくれた。
U.S. Army

  1. 「UAV対応に効果があることはすでに実証ずみだ。今度は迫撃砲弾やミサイルにさらに巡航ミサイルに対応できるかが課題だ」
  2. 今後登場する兵器は間接火力防護能力Indirect Fire Protection Capability(IFPC Increment 2)と呼ばれ陸軍は2023年までに前方基地防御手段としてセンサー装備と組み合わせて投入する。
  3. 前方作戦基地の現行防衛装備ははロケット弾・火砲・迫撃砲弾対応C-RAMと呼ばれ飛来する敵の砲弾等を撃破する。C-RAMの構成はセンサー装備、垂直搭載20mmファランクス近接対応兵装で毎分4.500発を発射する機関銃だ。一帯を大量の小口径飛翔体で包み込み飛来する敵の砲弾等を迎え撃つ考え方だ。
  4. レーザーでは迅速に敵標的の広い面積を焼き尽くしながら費用は最小限にできるとミラー次官補は説明してくれた。
  5. 「破壊一回ごとのレーザー発射コストは数百万ドルもする迎撃ミサイルと比較にならないくらい安い」
  6. ボーイングのアヴェンジャーレーザー兵装システムは2008年にホワイトサンズ射爆場で無人機の破壊に成功し、陸軍の兵器開発部門が実験を視察した。
  7. 陸軍では移動式高エネルギー半導体レーザーを高エネルギー移動式レーザー実証機HEL MDの名称で開発中で、10キロワットレーザーをトラックの上に搭載する。HEL MDのレーザー照射装置はトラックの上で360度回転する。出力を100キロワット級に引き上げると陸軍関係者が述べている。

  1. このサポートにあたるのが熱・電力関連のサブシステムで、出力を上げた半導体レーザーに対応させる。出力が増え、レーザー有効射程も拡大する一方で、目標への照射時間は減ると陸軍は発表している。
  2. 2013年11月に米陸軍の宇宙ミサイル防衛本部は戦略司令部と合同で迫撃砲弾90発以上、無人機数機を連続して対応する実証実験にHEL MDで成功している。
  3. 「車両にレーザーとともにビーム導波器を車両に搭載したフル装備で初めてのHEL MDの実証となり代理レーダー(高性能多モードレーダー)がレーザー照射の順番を管理した」と陸軍文書は解説している。ミラー次官補からはこの成果を元に陸軍はレーザー兵器でより大型の標的を遠距離から破壊する手段を開発すると発言があった。またレーザー兵器開発はこれまで数十年にわたり続いているとの説明もあった。
  4. 「まず1960年代にレーザーの兵器利用を決定し、90年代になり破壊効果を発生させる出力の目途が付いて、長い時間をかけてシステム開発を続けています」(ミラー)■


2016年2月22日月曜日

★レーザー、AIで優位性を目指す米空軍の最新開発状況



レーザーが実用化されたら軍事応用ではパラダイムチェンジにつながるかもしれませんし、人口知能の応用研究が相当進んでいることがこのような公開情報からもうかがえます。第三相殺戦略の一環でしょうが、一層技術の防衛が必要になりますね。このブログの筆者は依然としてレーザー搭載には発電容量の制約とセンサー、プロセッサーの必要性があり、一定の大きさの機体でないと実用上は役立たないとみており、戦闘機への搭載は懐疑的です。むしろBattle Planeを防御するのに戦闘機は有効でしょうが。
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The Air Force of the Future: Lasers on Fighter Jets, Planes That Think

By Lara Seligman, Defense News11:02 a.m. EST February 20, 2016
WASHINGTON — 高出力レーザーを発射する戦闘機、大量の情報をミリ秒単位で処理するロボット、考える能力を有する戦術航空機、これは米空軍が考える将来の戦闘の在り方を根本から変える技術革新の数例にすぎない。
  1. 新年度予算で米空軍は科学技術S&Tを再重視し、25億ドルを要求している。16年度は予算強制削減措置でS&Tは削減せざるを得ず、グローバルホークやB-2爆撃機で性能改修を先送りしているので増額要求は心強い。
  2. だがロシアや中国も必死に追いつこうとする中で米国が後塵を拝するのは許されないと空軍主任科学者グレッグ・ザカリアスはこう強調する。「技術進歩を大幅に続ける必要があり、のんびりしている余裕はない」
  3. 今後わずか五年以内に空軍は高出力レーザーの発射を戦闘機で実施する。「スターウォーズ」の技術がいよいよ実現する。
  4. 搭載機種はF-15が有望だ。F-22、F-16やF-35も想定がある。空軍研究所(AFRL)の「シールド」事業は航空戦闘軍団が支援し、高エネルギーレーザーを戦術機で2021年までに実戦化するのを目指す。
  5. 同事業は2015年2月に始まっており、半導体レーザーの最新技術を利用する。小型レーザー装置を組み合わせて10キロワット超の高出力を実現する。開発チームはレーザーは機体防御用だと強調する。
  6. レーザーを戦闘機に搭載できるまで小型にすれば、米空軍は戦闘の有効性とスピードで相当優位に立てる。レーザーの電源はジェットエンジンが発電し、従来型の兵装を搭載せずに機体を防御できる。
  7. 開発は複数企業間で競合させて進めていると空軍は説明。一方の企業がレーザーを開発し、他社がレーザー兵器システムとしてまとめる。ここには電源、冷却、システム制御コンピュータ、戦闘管理用コンピュータを飛行可能な規模にまとめる作業が必要だ。三社目はビーム制御システムを開発し、目標照準を実現し、四社目がシステム全体の統合を行う。
  8. このうちビーム制御の契約交付を3月に空軍は予定しており、統合作業分の契約は9月になるという。レーザー本体の契約は2017年に延期し、残りの契約企業が開発に十分な時間をあてられるようにするという。
  9. だがスターウォーズの世界が現実になる前にシールドチームは乗り越える課題がある。空軍は特殊部隊が運用するAC-130に搭載可能なレーザーウェポンシステムを2019年までに完成させようと着々と進行中だが、小型高速の機体に搭載するのは難易度がはるかに高い。
  10. 高速飛行中に正確に照準を合わせるのは振動のせいで相当困難だ。もうひとつがシステムの小型化で戦闘機の機体におさめなくてはいけない。またレーザーを有効に利用するため安定電源も課題だ。
  11. この解決のため空軍は他軍の知見を利用し、陸軍の高エネルギー機動レーザー実証事業(HEL MD)がその例だという。同事業は10キロワット級レーザーをオシュコシュ製軍用車両に取り付けたもので、海兵隊も同様にハンヴィー車両への搭載を行っている。
  12. AFRLは自律制御技術の開発も進めており、ロボット車両や航空機のみならず意思決定の補助やデータ解析に当たらせるという。
  13. 進行中のプロジェクトには人工知能でISR情報を各種手段からあつめたものを融合し有益なデータを迅速に取り出す機能がある。現在は空軍要員が何時間もかけ動画に目を凝らし、忍耐強く関係ある進展を把握し、指揮命令系統を順々に伝え指揮官の判断を仰いでいる。これが自律制御システムだとデータが即座に把握され人員は別の任務にまわすことができる。
  14. マシンがデータを精査し、重要な内容を区別してくれれば、負担軽減だけでなく人員にやてもらいたい仕事を割り当てられるはず、とAFRLは言う。
  15. ただし自律制御機能が開発されても人間の判断が不要になるわけではないとAFRLは強調する。むしろ空軍要員に知能の高い相棒を作り、ミッションの完遂をより効果的に進めるのが目的だ。AFRLチームは無人機を有人機と一緒に運用する技術の開発中だ。
  16. そこでAFRLは空軍テストパイロット養成課程と共同でこのチーム運用の有効性と実施可能性を実証している。有人F-16が無人F-16と編隊飛行し、無人機にはパイロットがコックピットで緊急時に備えたが、アルゴリズムだけで機体操縦を完了した。両機は有人機パイロットが指示するまで編隊を維持し、その後無人F-16は編隊から離れた後で復帰したという。
  17. だがAFRLがめざすのは自動飛行ジェット戦闘機だけではない。2022年に予定の演習では新技術は自動制御ではなく自律運航であることを証明し、自身で航法し、想定外の天候に対処し、地上からの指示なくても自分で航路を変更できる機能を示すという。■