ラベル SM-6 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル SM-6 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年8月23日火曜日

中国の空母キラー弾道ミサイルに対し、着々と多層防空体制を整備している米海軍の現況

 

 

DF-26は最大2,500マイルの射程と4,000ポンドの積載量を有する。衛星照準により、理論上はDF-26は西太平洋全域のアメリカ海軍の軍艦を攻撃できる

 

 

国の「空母キラー」ミサイルは、米海軍の空母を中国沿岸に近づけず、艦載機による中国空爆を困難にする主要兵器として、見出しをここ数年飾っている。

 

DF-26ミサイル

DF-26ミサイルは、中国が数回にわたり試射し、米軍の空母を破壊する能力を示し、空母を「撃退」するとの不吉な警告を発してきた。DF-26は、中国で最も強力な対艦ミサイルだ。全長46フィート、重量44,000ポンド。

 

DF-26

Xinhua

 

ワシントンDCの戦略国際問題研究所は、「DF-26は『モジュール設計』で、ロケットに核弾頭2種類と数種類の通常弾頭を搭載できる」と解説している。

 DF-26の射程は最大2500マイル、積載重量は4000ポンドで、衛星で誘導すれば、理論上は西太平洋全域の米海軍艦艇を攻撃できる。「中国内陸部から発射された場合でも、DF-26は南シナ海をカバーするのに十分な射程距離がある」と数年前に環球時報に語る匿名専門家がいた。

 しかし、米海軍高官のコメントをよく読むと、議論の余地があるようだ。この種の脅威の深刻さを疑問視する人は確かにおらず、中国の兵器が真剣に受け止められているのは明らかだが、空母と空母打撃群の防御が着実に進歩していることを考えれば、脅威に関する表現の一部は「誇大表現」とされるかもしれない。

 「空母キラー」について質問された海軍高官は、この脅威を否定はしないものの、米海軍の空母は「攻撃するために必要な場所ならどこでも活動できる」と極めて明快に述べている。


 

当然ながら、保安上の理由から、艦船防御に関する多くの具体的な情報は得られないが、海軍は、多くの「層状」艦船防御技術が急速に成熟していると公言している。攻撃用または防御用の艦載レーザーが登場し、飛来するミサイルを追跡して「焼却」または「無効化」することができ、新しい EW アプリケーションで「ベアリングライン」を検出したり、ミサイルの誘導システムの電子署名を追跡してその飛行軌道を「妨害」したりすることができるほか、 MQ-25スティングレイ艦載無人給油機で艦載攻撃機の飛行距離を伸ばす事が可能となる。

 海軍のHELIOS(High-Energy Laser with Optical-dazzler and Surveillance)は現在、アーレイ・バーク級 Flight IIA DDG 51駆逐艦に搭載されており、さらに陸上と海上でテストと評価中だ。

 また、現在、陸上および海上での試験を実施中で駆逐艦が、敵ドローンを光速で正確に焼却し、衝撃を与え、燃やし、あるいは無力化する能力が実現する。

 レーザーは、静かで、低コストで、拡張性があり、正確であるだけでなく、さらに重要なのは、光速で発射される。新技術が海戦の領域に入り、戦術方程式が大きく変化するにつれ、迅速さは海洋戦でますます重要なものとなっている。

 HELIOSのようなレーザーは、光学要素も充実しており、センサーとしてターゲットを追跡し、監視任務を支援できる。

 レーザーは、甲板上の砲を補い、精密誘導技術で狭い目標エリアをピンポイントで狙うことができるため、場合によっては水上軍艦が敵陣に完全に接近することも可能になる。

 ノースロップ・グラマンがSurface Electronic Warfare Improvement Program (SEWIP) Block 3主契約者だ。SEWIP B3は、インバウンド脅威を突き止め、妨害し、混乱させることにとどまらず、敵の通信ネットワーク、データリンク、レーダーシステム、その他の電子ソースに攻撃作戦を可能とする電子攻撃兵器で、高度な攻撃的電子攻撃能力と将来的に電子戦を情報作戦(IO)と統合する能力などを追加することでEW技術を進化させた。

 SEWIPブロック3は、現在、海軍のDDG-51クラス駆逐艦への搭載をめざし、今後数年で運用開始する予定であると、ノースロップは説明している。また、海軍の新型フリゲート艦も高度なEWシステムを搭載できる設計だと、海軍関係者はWarriorに語ってくれた。

 SEWIP ブロック 3 の EW システムは、アクティブ電子走査アレイ(AESA)集合体16基を使用し、ターゲットに「ペンシル」ビームを放射する。ノースロップグラマンの陸上・海上センサー担当副社長であるマイク・ミーニーMike Meaneyは、SEWIPブロック3開発の初期段階について、Warriorインタビューで、「AESAの利点の1つはペンシルビームを生成できることです」と答えている。「ペンシルビームは狭く、焦点が合っているため、軌道が速く進むにつれて、必要な場所にのみエネルギーを投入できます」と答えた。将来のコンセプトは、IOとEWを合成して、重要な情報収集技術をEW攻撃および防衛システムと接続することだ。そのため、継続的なソフトウェアのアップグレードと脅威の監視が必要だという。

 EW兵器は、狭い範囲の信号を発信することで、探知性を大幅に低下させ、その結果、位置を明らかにする可能性を低くできる。当然ながら、電子放射が大きく広ければ、それだけ敵に発見されやすくなる。

 これらの要素に加え、よアップグレードされた従来型「キネティック」ディフェンスや迎撃手段の包囲網が、襲い来る攻撃を排除する能力を実現する。迎撃ミサイルは、艦載レーダーや射撃管制装置と連動し、敵の対艦ミサイルや弾道ミサイル、航空機を撃破する設計だ。艦船搭載型迎撃ミサイルは、駆逐艦や巡洋艦の垂直発射システムから発射され、「階層化」防御を実現する。SM-3は最も射程の長い迎撃ミサイルで、長距離弾道ミサイルや最終段階に近づくICBMも追尾でき、特に射程を伸ばし誘導システムを改善した最新のSM-3 IIAで能力はさらに向上する。

 

SM-3

SM-3

MDA picture.

 

DF-26は、アメリカのSM-6に対し脆弱となる可能性がある。迎撃ミサイルSM-6は、理論上、発射直後、中国のミサイルが上昇し速度を上げている段階と、DF-26が目標に向かい弧を描いて降下する終末期の2段階でDF-26への攻撃が可能だ。SM-6のソフトウェアがアップグレードされ、「デュアルモード」シーカーが改良されたことを考慮すると、この実現性は高い。同ミサイルは飛翔コースを調整し、機動できるようになり、中国の対艦ミサイルを追跡し、破壊するのに適した能力を実現したといえよう。

 また、SM-6は、「NIFC-CA(Naval Integrated Fire Control - Counter Air)」海軍ネットワークシステムにより、「レーダーの地平線の彼方」からくる巡航ミサイルを迎撃できる。このシステムは、E-2DホークアイやF-35などの空中ゲートウェイを「ノード」として使用し、艦載レーダーでは探知できない距離の水平線外から接近する脅威を探知し、脅威データを艦載司令部にネットワーク送信、または送信し、司令部は遠隔地点からSM-6を発射し脅威を除去するのがねらいだ。このシステムは非常に効果的だと証明されており、海軍はNIFC-CAを攻撃用にも開発中である。このシステムは、これまで到達できなかった距離から移動目標を正確に発見し破壊する能力を備える。

 また、米海軍艦艇は、ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile Block II)迎撃兵器を搭載しており、これは、地表と平行に低空を飛行する巡航ミサイルを迎撃する「シースキミング」モードで作動できる。SM-2、シーラム、ローリング・エアフレーム・ミサイル(RAM)は、接近した脅威を攻撃できるが、一部は大型対艦ミサイルを完全破壊するには不十分だ。しかし、敵の小型ボート、ドローン、ヘリコプター、軍艦、さらには銃弾、ロケット弾、砲弾などを標的にできる可能性が高い。艦船の防御で最も近いのは、近接武器システム(CIWS)で、ファランクス迎撃砲は、1秒間に数百発の小型金属弾を発射し、エリアを抑圧、防御射撃で「包囲」できる。CIWSは1B型にアップグレードされ、飛来する航空脅威を破壊するだけでなく、小型ボートなど水上脅威を排除できる。■

 

Could the US Navy Destroy Attacking Chinese "Carrier-Killer" DF-26 Anti-Ship Missiles? - Warrior Maven: Center for Military Modernization

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

AUG 15, 2022

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2017年10月14日土曜日

☆SM-3でICBM迎撃は可能なのか、SM-6はどうか



ミサイル防衛にこれまで費やしてきた投資が真価を発揮する場面が本当にやってくるのか、興味津々というところですが、脅威は北朝鮮だけではないので、迎撃ミサイルも進化させていかねばなりません。日米の共同開発というのもこの国の皆さんはほとんど知らない話ではありませんか。米陸軍は今後ミサイル軍に変化していくのではないでしょうか

Aviation Week & Space Technology

Could SM-3 Interceptor Take On Intercontinental Ballistic Missiles?

SM-3迎撃ミサイルはICBMに有効に対応できるのか
As Pentagon adds dollars for missile defense, Raytheon pitches SM-3s as ICBM killers
ペンタゴンが追加予算をミサイル防衛に振り向ける中、レイセオンのICBMキラーとしてのSM-3売り込みに力が入る
Oct 10, 2017James Drew and Jen DiMascio | Aviation Week & Space Technology

  1. 北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射し、ドナルド・トランプ大統領は8月にミサイル防衛に「数十億ドル」を投入すると述べた。
  2. 年末までに弾道ミサイル防衛体制の点検を完成する予定のペンタゴンは短期間で強化策の検討を求められている。大統領の力の入れ方による結果の第一段が姿を現しはじめている。議会は367百万ドルを他事業からかき集めミサイル防衛に投入する予算執行を承認した。
  3. この予算で移動式ミサイルへの対抗策を求めていく。とくに発射前に対応が肝要だ。このため戦闘機からのミサイル発射、艦船発射兵器または特殊部隊による攻撃まで検討する。またアラスカ州グリーリーにミサイル防衛サイロ20基を新設し、海上配備Xバンドレーダー改修やSM-3ブロック2A迎撃ミサイルの追加発射も行う。.
  4. このうちレイセオンがSM-3ミサイルの最新のブロック2Aバージョンに力を入れている。同ミサイルは日米共同開発で中距離・長距離弾道ミサイルを宇宙空間で破壊するのが目的で長距離ミサイル対応にも投入可能だ。
  5. 直径を21インチに拡大した同ミサイルは速力、射程距離、高高度性能が十分にあり、ICBM対応を狙う。ブロック2Aでは直撃破壊する運動性弾頭部分が大型化されており、光学シーカーは再設計迎撃体(RKV)の中心だ。2022年以降にアラスカの地上配備迎撃ミサイル(GBI)の旧型ミサイルと交代する。
  6. RKVを開発するのはボーイング中心のコンソーシアムでロッキード・マーティンやレイセオンもここに加わる。レイセオンによればソフトウェア修正をRKVに加えればSM-3ブロック2Aは十分にICBMに対応できる。
  7. 「RKVではアルゴリズムでセンサー性能の向上をめざしており、ソフトウェア、ファームウェアの問題にすぎません」とロンデル・ウィルソン(レイセオンの航空ミサイル防衛装備の主任エンジニア)は語る。「SM-3ブロック2Aでこれを実現し、ICBMキラーになります」
  8. SM-3ブロック2Aは米国が来年ポーランドで稼働開始するイージスアショアの中心装備となるレイセオンは同様の陸上施設がハワイの他米国本土の東西両海岸にも設けられミサイル攻撃に対する防衛の冗長性を実現するとみている
  9. SM-3ブロック2Aはテスト中ですでに初期生産に入っているレイセオンに対する主要サプライヤーが三菱重工業で第二段第三段ブースターとノーズコーンを生産している
  10. 同ミサイルは二回の飛翔試験に成功しており、2月には初の弾道ミサイル迎撃に成功した。だが二回目の迎撃テストは6月で失敗したのはUSSジョン・ポール・ジョーンズの乗員が誤ったボタンを押しミサイルが自爆したためだ。「ミサイルが原因でなかったと判明しています」(ウィルソン)
  11. レイセオンは大気圏内脅威にSM-6の活用を米陸軍に提案している。同ミサイルは米国で最長の飛翔距離を有する防空装備となり、イージス誘導ミサイル駆逐艦でも運用できるようになる。
  12. ディーン・ゲア(レイセオン陸上配備スタンダードミサイル事業部長)によればSM-6は対航空機、巡航ミサイルさらに艦船も標的にできるという。大気圏再突入ミサイルの弾頭部分も標的にでき、おとりが燃え尽きるのを待ってじっくりと本体を狙えるという。
  13. 「SM-3とSM-6には大いなる性能があり、陸上運用すればよいのではないかと考えるが自然でしょう。すでにイージスアショアとして存在しますが陸軍の既存装備との統合を実現すれば多層にわたる防衛体制が実現します」(ゲア)
  14. レイセオンはSM-6用発射装置で各種提案が出ており、M1120 HEMTT装備はロッキード・マーティンの高高度防空(Thaad)ミサイル防衛と共有できる。米陸軍の火器管制装備にはノースロップ・グラマンの統合ミサイル防衛戦闘指揮統制システムを採用している。
  15. レイセオンとしてはペンタゴンに同社の長距離レーダー装備も採用してもらいたいところで、ThaadシステムにはXバンドTPY-2、海軍向けに開発中のSPY-6対空対ミサイル防衛レーダーはSバンドを用いる。■

2017年4月3日月曜日

★SM-6の性能拡大には期待ができる=ミサイル防衛、対水上艦攻撃



Visit WarriorBreakthrough - Missile Defense Agency Fires 2 SM-6 Interceptors at Once - Testing New Seeker Technology

突破口になるか。ミサイル防衛庁がSM-6迎撃ミサイルを二発同時発射に成功。新型シーカー技術の効果を実証。

KRIS OSBORN

Yesterday at 9:35 AM



ペンタゴンはスタンダードミサイル-6を弾道ミサイル標的にむけ二発連続発射し新型シーカーの性能を実証した。
  1. 「アクティブシーカー」技術でSM-6ミサイル二発は同時に同じ目標の追尾破壊に成功し、迎撃破壊確率が引き上げられた。
  2. 「これで目標がどんな動きをしても命中の保証が確実になります。目標が方向を変えたり異常な動きを示した場合、一発目が探知に失敗しても二発目で仕留めます」とレイセオンでSM-6を担当する上席部長マイク・カンピシがScount Warrior取材に述べている。

  3. ミサイル防衛庁は今回の実験について海軍駆逐艦から「SM-6デュアルIミサイルを連射し、中距離弾道ミサイル標的に向かわせ、海上配備高高度大気圏内防衛能力を実証した」と発表。

  4. これまで艦艇発射の迎撃ミサイルは迅速な連続発射ができず、目標迎撃の可能性を高めることで限界があった。その理由はミサイルが艦艇が照射する目標捕捉情報に依存していたためだ。

  5. SM-6はいろいろな点でユニークな存在だ。まず、アクティブシーカーを搭載し、光速で電磁信号を前面に発射し、反射を得て移動目標への命中率が高まり、短時間に連続発射が可能だ。光速は定義済みで移動時間を決定すればコンピューターは目標の正確な距離を計算できる。この技術がソフトウェアアップグレードでSM-6に組み込まれた。

  6. アクティブシーカーがミサイルは攻撃の飛翔制御に役立つし、海上の移動目標にも有効だ。艦船からの照射・反射に依存しないためだ。

  7. この技術があれば艦船はSM-6を連射する、あるいは今までより短い間隔で発射でき目標ミサイルが複数の場合にも対応できるようになる。

  8. 「艦船からはミサイルに交信したり照射しながら、ミサイルも独自に標的をとらえることができます。アクティブモードでこれが可能となります」(カンピシ)

  9. そこでSM-6の「アクティブシーカー」で艦からの照射に依存せずに独自に飛翔できる。

  10. SM-3と比較するとSM-6迎撃体は敵の弾道ミサイルの降下段階で近接距離で迎撃できる。

  11. 弾道ミサイルを撃破以外に「攻撃」ミッションも最近追加されており、敵水上艦の攻撃あるいは水面近くを飛翔する対艦ミサイルの防御迎撃が可能となった。さらにSM-6は対空防御も可能でヘリコプター、無人機含む空中の脅威を排除できる。

  12. 「一本のミサイルで多様なミッションに対応できます。つまりこのミサイルがあればミッション3つをこなせるわけで他のハードウェアにはない特徴です」(カンピシ)

  13. カンピシと海軍上層部は脅威環境が急速に変化しているため、新しい高度攻撃防御技術が米国の優位性を保つため必要だと強調している。

  14. 「弾道ミサイルは各種プラットフォームから発射できるようになっており移動式発射台もある。固定式発射基地もあり、艦船からも停発射可能だ。となるとどこからでも発射できることになります」(カンピシ)

  15. そこで昨年のSM-6発射テストで水上艦をハワイ沖で沈没させたことで防空、ミサイル防衛想定だったSM-6が攻撃にも転用できることになり戦略的意味が加わった。「対水上艦攻撃テストでSM-6でペリー級フリゲート艦を撃破しました。SM-6で水上目標を攻撃できることが実証出来た意味は大きいです」(カンピシ)

  16. この事例ではSM-6発射でソフトウェア機能を分析する目的があり、水上目標を追尾破壊する能力があることがわかった。

  17. SM-6を水上目標攻撃に転用すれば水上攻撃力の追加となる。SM-6はSM-3より大型で攻撃手段としても機能することが実証されたわけだ。

  18. 「システム全体をテストしました。予想通りの機能を実行し結果は予想以上でした。海軍艦艇はこれを使って攻撃でき、同時に広域防衛も可能です。文字通り分散攻撃力となります」(カンピシ)

  1. SM-6を多用途に使えるのはソフトウェアの手直しによるものだとカンピシは説明。「システムは目標を識別し、信号を標的に送ります。信号によりソフトウェアパスとアクティビティを選択しミッションに応じた機能を実施します」

  2. SM-6は2013年から供用中で米海軍は250発を保有。海軍はレイセオンに270百万ドルで2016年度用のSM-6生産契約を交付している。ミサイルの最終生産はレイセオンのSM-6およびSM-3完成工場があるアラバマ州ハンツビルのレッドストーン兵器廠で行われる。

  3. 新しく登場したNIFC-CA海軍統合火器管制対空技術では、対艦巡航ミサイルはSM-6に対応させる。NIFC-CAは昨年から導入が始まり、E-2Dホークアイ早期警戒機やF-35を空中センサー機材として使い、標的情報を中継する。

  4. SM-6は巡洋艦、駆逐艦の現行垂直発射管では運用できない。今後海軍がこの点を改善するのは想像に難くない。今後は沿海戦闘艦、フリゲート艦、強襲揚陸艦や空母からも運用できるようになる。

  5. SM-6開発はその他ミサイルや攻撃防御手段の開発と並び、海軍がめざす「分散攻撃力」戦略の一環で、艦艇に次世代通信技術や最新の長距離攻撃防御兵器の導入を目指す。■



2016年3月9日水曜日

★米海軍>SM-6が対艦ミサイルに転用できることを実証



少ない予算で状況の変化に対応すべく既存兵装に手を加え多用途対応させていこうという米海軍の現実的な工夫です。攻撃力を再度重視せざるを得ないのは新しい情勢評価に基づいているのでしょう。それにしてもスタンダードミサイルというのは使い勝手の良い装備のようです。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Anti-Aircraft Missile Sinks Ship: Navy SM-6

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on March 07, 2016 at 4:41 PM

Wikimedia Commons
実験では除籍ずみフリゲート艦USSルーベン・ジェイムズの撃沈に成功した。
超音速SM-6スタンダードミサイルが海上試験で標的艦に命中し、同艦は沈没した。退役ずみフリゲート艦ルーベン・ジェイムズがハワイ沖で1月に沈没していたことが本日明らかになった。試験は米海軍は分散撃滅威力構想Distributed Lethalityで進める攻撃力再建策の一環として実施された。対空防御用のミサイルを攻撃用に用途変更するというのはペンタゴンがめざす最小追加費用で既存装備を別用途に充てる動きに呼応する。
  1. ソ連崩壊(1991年)以降の米海軍は敵艦隊との戦闘から陸上攻撃に中心を移した。空母打撃群の防空や弾道ミサイル防衛も優先順位が高い任務になった。そのため、駆逐艦、巡洋艦はトマホーク陸上攻撃ミサイルや防御用のスタンダードミサイルを多数搭載し、対艦兵器搭載の余地がどんどん減った。さらに現在利用できる艦ミサイルはハープーンのみで、新型ロシア製兵器やそのコピー中国装備に性能が見劣りしている。ロシア海軍の再登場や中国海軍の台頭で対艦兵力の不足が痛感されてきた。
  2. SM-6はレイセオンのスタンダードミサイルファミリーの最新型だ。原型のSM-2対空ミサイルには水上艦対応モードもついていたが、より強力なSM-6が対水上艦で威力を発揮したのはこれが初めてだ。派生型SM-3は大気圏外弾道ミサイル迎撃用に開発されている。SM-6も弾道ミサイル迎撃に成功しており、多様な可能性を証明している。
  3. SM-6は対艦ミサイル、弾道ミサイル迎撃手段としては理想的な手段ではないが各種用途に投入できれば柔軟な戦闘運用が可能になる。海軍はトマホーク改良型のテストで海上では移動艦船、陸上では固定目標にそれぞれ対応できるか試している。トマホークはSM-6より遅いため撃墜される可能性もあるが、対艦トマホークは有効射程が長く補完効果を示せる。両方の兵装で対艦攻撃能力が手に入れば、海軍艦船は陸上攻撃、対艦攻撃、対空・ミサイル戦すべてに対応できる。しかも二種類のミサイルだけで。これだけで相当の火力増となりミサイルの有効活用につながる。
  4. 柔軟運用への動きはもう一つあり、協調型交戦能力 Cooperative Engagement Capabilityと呼ばれ見通し線外の目標に対し他艦あるいは航空機のレーダーデータをもとに攻撃を加える構想だ。同じ1月にUSSジョン・ポール・ジョーンズがUSSグリドレイからのデータで記録破りの長距離から標的5個の撃墜に成功していたことも今回明らかになった。
  5. 海軍が最終的に目指す分散型撃滅威力構想では、敵がこちらの空母攻撃をする前に艦隊の各艦がもつ威力を無視できなくさせるのが狙いだ。また敵位置を探知した艦が一隻でも艦隊の全火力を集中投入させる。この威力で敵への抑止力が期待できる。■


2016年2月10日水曜日

★米海軍>SM-6対空ミサイルを対艦攻撃手段に開発中と認める



対空ミサイルが対艦ミサイルにも使えれば、一見、費用対効果は高いように見えますが、課題も多いようです。短期間で開発を完了するということですが、実際に使える武装になるのか注目です。それにしても米海軍もトップの交代と中国ロシアのなりふり構わぬ振る舞いにさすがにこれではいかん、と方向性を変えてきましたね。

SECDEF Carter Confirms Navy Developing Supersonic Anti-Ship Missile for Cruisers, Destroyers

By: Sam LaGrone
February 4, 2016 5:00 PM

Launch of a SM-6. US Navy Photo
Launch of a SM-6. US Navy Photo

米海軍がレイセオンのスタンダードミサイル-6を改良し、超音速対艦攻撃手段にする開発を続けていることがアシュ・カーター国防長官の発表で明らかになった。射程は200カイリだという。

  1. 「全く新しい性能を実現する。SM-6を改造しミサイル防衛に加え艦船攻撃能力を付与する」とカーター長官はサンディエゴで記者団に語った。
  2. SM-6の最高速度はマッハ3.5で現行のボーイングRGM-84ハープーン対艦ミサイル(1970年代実用化)の性能を上回り巡洋艦・駆逐艦部隊の射程を伸ばす。
  3. 改良型SM-6には今後5年間で29億ドルを投じる。実現すれば強力な対艦攻撃能力となり、現有の誘導ミサイル巡洋艦・駆逐艦の威力が強化される。海軍が進める「分散攻撃力」 “distributed lethality” 構想にも合致する。.
  4. 「これまで長い間動きはなかったのに、海軍作戦部長の中国への姿勢が変化し、中国を同等の戦力を有する国家と認識する言い回しの変化に気づきました」と業界筋はUSNI Newsに先月語っていた。「これまでは攻撃されるまで待つ、という海軍の姿勢がアクションを主体的にとる方向に変わったのか。どんな効果がこれから出るかを注目です」
  5. 海軍は巡洋艦・駆逐艦部隊が高性能を有する中国・ロシアのような敵対勢力に対応可能にしようとする。課題は再装填が難しい垂直発射システムを最大限に活用することだ。
  6. aegissm-61

  1. 「海軍は搭載装備を柔軟活用し、とくにミサイルの有効活用をめざしている」とエリック・ワーサイム(米海軍協会出版「世界の戦闘艦船」の編者)はUSNI Newsに語ってくれた。
  2. 「驚くべきことではない。SM-2ですでに可能だった。今回は運用の柔軟性を強調しているにすぎない」
  3. 海軍はレイセオンとSM-6の対艦ミサイル転用可能性について口を閉ざしていた。前のモデルSM-2には対艦攻撃モードが設定されている。
  4. USNI Newsが昨年に国防総省高官を取材し海軍がSM-6を対艦攻撃用に投入する用意があるのか聞いてみたところ、答えは「誰に聞いてもこの点は確認できないよ」だった。
  5. ではどんな改良が必要になるのか。レイセオン関係者がUSNI NewsにはブロックIAの作業が進行中と告げていた。「今お話しできるのはGPS機能の追加だけです」
  6. SM-6は対空、対ミサイル用に開発されており、制限付きながら弾頭ミサイルにも対応する。弾頭は小さめでハープーンが500ポンド弾頭を付けているのとは対照的だ。改良で弾頭部も手直しするのかは不明だ。
  7. もう一つの疑問は対艦モードSM-6でもネットワーク機能が付与されるかだ。対空ミサイルとしてNIFC-CA(海軍統合対空火器管制)構想のネットワーク武器となる。
  8. NIFC-CAではノースロップ・グラマンE-2D改良型ホークアイが収集した標的情報を統合し、情報をSM-6に送り空中の標的を駆逐艦・巡洋艦の射程外で攻撃できる。
  9. 「E-2でSM-6を敵の水上目標に向けて長距離誘導することになるのだろうか」とワーサイムも疑問に感じる。■


2015年11月28日土曜日

★進化し続けるイージス、ルーマニアのイージスアショア稼動開始近づく、ベースライン9、各国の動向

カタカナ表記が嫌いなためこれまで陸上イージスなどとお伝えしてきましたが、今回からイージスアショアと記すことにします。イージスはどんどん進化してきているのですね。それにしても日本がミサイル防衛の最前線基地になっていることはわれわれも改めて認識しないといけません。

「USNI News」の画像検索結果Aegis Ashore in Romania Set For Dec. 31 Lightoff; BMD, SM-6 Nearing Full Fielding

November 27, 2015 7:35 AM            
                                   
A Raytheon SM-6 launched from an Aegis guided missile destroyer. US Navy Photo
レイセオン製SM-6の米海軍イージス艦からの発射テスト。 US Navy Photo

.
イージス戦闘システム事業に重要な転換点が訪れそうだ。初の陸上配備イージスアショアの稼動開始、ベースライン9の配備開始、海外向け有償軍事援助(FMS)が数件進行中だ。
  1. イージスアショア初の設置はルーマニアで12月31日に電源を入れると統合戦闘システムズを統括するジョン・ヒル海軍少将はUSNI Newsに11月24日述べた。
  2. ヒル少将によれば同イージスシステムは認証ずみで実弾装てんの準備ができた。
  3. 「艦艇と同じ扱いをしている」と同少将は述べた。陸上設置工事はすでに検査試行が終わっており、残る機械類用スペースも完成しているという。最終検査終了後にいよいよ施設が稼動開始となる。またミサイル防衛庁が技術能力宣言(TCD)を行う予定で、これは初期作戦能力獲得(IOC)と同等とヒルは説明した。
  4. これとは別にイージスシステム全体があたらしい段階に移行する。ペースライン9の配備が始まるためだ。ベースライン9には統合防空・ミサイル迎撃 Integrated Air and Missile Defense (IAMD) 能力が加わり、弾道ミサイル迎撃と対空戦を同時に行うことが可能となり、海軍統合火器管制防空(NIFC-CA) 関連の装備にも接続される。
  5. 「配備準備ができた。まずUSSベンフォールド(DDG-65)とUSSバリー(DDG-52)が搭載し横須賀に向け航行中だ」(同少将)
  6. 「横須賀にはUSSチャンセラーズヴィル(CG-62)がすでに展開中で、運用テスト結果にたいへん喜んでいる」と上記駆逐艦二隻が作戦行動に入れるようになったことをさしている。
  7. 同時に「スタンダードミサイル-6の継続作戦能力テスト評価をまとめようとしており、来年春までにベースライン9は完全に稼動開始する」とヒル少将は続けた。
  8. 「艦隊には昨年から導入開始しているが、今回の能力向上は内容から見て大きな一歩だ」
  9. イージスの能力向上を目指すのは米海軍だけではないとヒル少将は述べ、進行中のFMS案件に注意を喚起した。日本のイージス駆逐艦近代改修事業が取り上げられることが多いが、スペインとオーストラリア各海軍の改修も半ばに差しかかっている。
  10. ヒル少将によれば米海軍はオーストラリア・アデレードに米海軍士官を常駐させており、来年春に予定されるオーストラリア初のイージス艦のシステム稼動開始を支援しているという。
  11. またスペイン海軍は時刻イージス艦にBMD能力を付与す改修を検討中だ。ヒル少将はスペイン海軍にはイージス戦闘システムを搭載した艦があり、そのうち一隻に応急改修をして弾道ミサイル追尾の海上公試を行わたという。その結果が良好だったため、スペイン海軍はBMD能力付与に関心を示しているのだという。FMSにより改修を実施するのは「ほぼ確実」とヒル少将は見ている。■


2013年8月29日木曜日

予算節約のためイージス発射テスト回数を減らす米海軍

U.S. Navy Mulls Cutting Aegis Flight Tests to Save Money

By Michael Fabey
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com August 27, 2013

米海軍はイージス艦のシステム更新の予算を死守しつつ、今後は試射回数を減らして予算を節約することを検討中。なお最新のソフトウェア改善の効果を試す実弾発射試験に成功している。
  1. 「海軍はテスト内容を統合して支出を減らそうとしてます」とイージスの主契約会社ロッキード・マーティンで米海軍担当部長のジム・シェリダンは解説する。
  2. 海軍の5回の発射を3回にする予定とシェリダンは言い、同社も海軍の方針を支持するという。
  3. シェリダンによればテスト回数削減は改良型イージスの配備日程と矛盾するという。ただし、回数削減で同社には新しい挑戦課題が生まれ、これまではテストを増やして開発を進めてきた同社にとって新しい環境となる。「テスト内容がより多岐にわたり、テスト艦上では多忙になるでしょう」
  4. またテスト期間の短縮もテスト後の問題解決に当てられる時間の短縮となり同社は「迅速に切り回す」必要が生まれる。
  5. 現時点でソフトウェア改修は問題なく完了し、テストでも実用でも予定通りの性能を発揮しているという。また、「改修点」の多くはディッスプレイ装置の修正など「邪魔な」要素の排除だったという。
  6. 直近のイージステストでは今月初めに実弾発射を行い、見通し線の外でもデータを遠隔地のセンサーから統合して目標迎撃に成功したことでシステムの有効性を証明している。
  7. 海軍の統合火砲射撃対空手段 Naval Integrated Fire Control-Counter Air (NIFC-CA)  のテストも初めて洋上で実施され、イージスに遠隔地データを提供し目標迎撃に成功したのは二回連続となった、とロッキードが発表。使用したのは協同交戦機能 Cooperative Engagement Capability (CEC) で遠隔データを解析し、イージスがスタンダードミサイル-6 (SM-6)をUSSチャンセラーズビル(CG-62)から発射したもの。
  8. 同艦はイージスベイスライン9近代化改修の対象巡洋艦四隻で最初に改修を受け、3月に完成していた。
  9. ロッキードも弾道ミサイル防衛(BMD) 5.0 性能向上改修 (CU) によるイージス改修を進行中で、「コードを完成させようとしている」とのこと。
  10. BMDが米海軍の最重要開発分野になってきており、海軍は艦艇整備計画も大きく変更し、BMD能力の拡大を図っている。■