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2024年1月17日水曜日

米海軍空母は "空母キラー "ASBMによる中国の攻撃に耐えられるか?

 ASBMがイエメンのフーシ派により初めて実戦投入されたのはちょっとした驚きでしたが、長年米海軍空母を撃破できると豪語している中共の『本家』ASBMの実力はいかほどなのでしょうか。Warrior Maven記事からのご紹介です。

DF-26「空母キラー」対艦ミサイル


1週間前、USSカール・ヴィンソンはフィリピン海軍との海軍演習を開始した。演習は、増大し続ける中国の脅威を前に、米国とフィリピンの関係を改善し、親密さを増す目的があった。2023年4月、フィリピンが自国内の軍事基地数カ所を米国に提供することで合意したと発表され、両国間の大きな進展の前兆が見出しで称賛されたのは、それほど昔のことではない。

もちろん中国は、この米国の努力に激怒した。

地政学的な癇癪に相当することだが、中国は南シナ海での領有権を主張するため、「黄山」と名付けられた570級フリゲート艦にアメリカとフィリピン海軍の艦船を監視させた。環球時報によれば、アメリカは「移動中の大型艦艇を標的にする中国軍の能力を恐れており、空母の生存能力が著しく低下される」と主張している。環球時報は中国政府が所有し、中国政府の公式見解を発表するために使用される。「移動中の大型艦艇を標的とする能力」とは、中国が大いに宣伝している対艦弾道ミサイル能力をさす。

『Business Insider』は2024年1月5日、中国が対艦ミサイルをテストするため、ジェラルド・R・フォード級航空母艦とアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦の巨大なレプリカを砂漠に建造したと報じた。

対艦ミサイル(AShM)は長い間存在しており、中国だけでなく、世界中のほとんどの軍隊が対艦ミサイル、あるいは二次的な対艦能力を持つ別の分類のミサイルを保有している。

AShMは巡航ミサイルと弾道ミサイルの2種類に分類される。

米国のトマホーク・ミサイルのような巡航ミサイルは、発射地点から数百マイル以内の地表の標的を攻撃できる。これらのミサイルは飛行中ジェットエンジンで推進され、発射の瞬間から目標に命中するまで誘導されるため、特に移動目標に対しては比較的正確な攻撃兵器となる。巡航ミサイルは地球の大気圏内を亜音速で飛行し、小型の弾頭を搭載できる。例えば、米国のトマホーク・ミサイルは約450kg(1000ポンド)の弾頭を搭載している。対艦ミサイルの大半は巡航ミサイルであり、これらの対艦ミサイルの多くは、レーダー探知を避けるために水面近くを飛ぶ「シースキミング」型である。

しかし弾道ミサイルは、発射地点から数千マイル、いや数万マイル離れた地表の標的を攻撃することができる。これらのミサイルは、最初は強力なロケットエンジン(飛行のブーストフェーズ)で動力を得て、燃料がなくなる前に大気圏外にミサイルを運び出し、次にミサイル自身の運動量で弾道(弧を描くような飛行経路)を描いて自由飛行フェーズに入り、終末フェーズで目標の近くで大気圏に再突入する。弾道ミサイルの強力なロケットエンジンは、ブースト段階で信じられないほどの高速に達することを可能にし、大気圏外、軌道下自由飛行の真空中の空気抵抗が劇的に減少することと、再突入時の重力の補助とが組み合わさっている。例えば、米国のミニットマンⅢはマッハ23に達し、最先端のF-22ラプターの最高速度はマッハ2.25に達する。弾道ミサイルは巡航ミサイルよりもはるかに大きな弾頭を搭載でき、複数の弾頭を搭載できることも多い。弾道ミサイルの驚異的な速度は、大きな爆発弾頭が与えるダメージに加え、着弾時に極度の運動エネルギーを発生させ、それだけで標的を壊滅させることができる。弾道ミサイルの大きな弱点は、事前に計算された軌道で飛行し、飛行中の誘導がないことである。対艦弾道ミサイルは特殊な装備であり、4カ国しか保有していない。

中国が対艦弾道ミサイルに自信を持っているのは、強力な対艦弾道ミサイルの能力によるものである。現在、米国は対艦弾道ミサイルを開発中ではあるが保有していないのに対し、中国はDF-21と新型のDF-26の2型式を運用している。

DF-21

DF-21は1991年に就役した。最大射程は約1400~1700km、600kgの弾頭(約1300~1400ポンド)を搭載可能で、最大速度はマッハ10。円形誤差は約300メートル。DF-21は、弾道ミサイルの飛行の終末段階で、目標に接近する際にわずかな軌道変更を可能にする機動再突入体(MARV)を装備する。

DF-26 

DF-26は2015年に就役した。最大射程は3000マイルを超え、最大1800kg(約4000ポンド)の弾頭を搭載し、最大速度はマッハ18。

しかし、これらのASBMは、中国が期待するほど米国の艦隊にとって脅威ではないのかもしれない。弾道ミサイルに対する米国の主要な防衛手段はイージス弾道ミサイル防衛システムであり、すでにほとんどの米海軍艦艇に搭載されているイージス戦闘システムの派生型である。イージス弾道ミサイル防衛システムは、飛来する弾道ミサイルを軌道上のさまざまな地点で破壊する迎撃ミサイルを発射する。イージス弾道ミサイル防衛システムは53回テストされ、約80%の迎撃成功率がある。

イージス艦レーダー

さらに重要なことは、これらのテストにおいて、イージス艦は通常、ミサイル発射から90秒から約4分の範囲内で、飛来するミサイルを識別し、迎撃ミサイルを発射することができることだ。最大射程距離4000マイル、最高速度マッハ18のDF-26は、標的を攻撃するのに約20分かかる。これはイージス艦に迎撃ミサイルを発射する十分な時間を与え、最初の迎撃ミサイルが目標を外した場合、おそらく2発目を発射するのに十分な時間を与える。確かにイージス艦は、このようなASBMを迎撃できる可能性のある唯一のシステムだが、保証はない。米国は紅海で、移動速度が遅く、射程距離の短い弾道ミサイルを破壊する能力を十分に実証中だ。フーシ派の弾道ミサイルは、おそらくイランのQiam-1ミサイルかスカッドの模造品であるBurkan-2タイプで、射程は500マイル、最高速度はマッハ5以下の超音速であろう。つまり、フーシのミサイルは発射から標的を攻撃するまでに最低8分はかかることになる。

さらに、国防総省は極超音速滑空体(HGV)の脅威に対抗する準備を進めている。HGVはマッハ5からマッハ10で移動する兵器で、弾道ミサイルにはない高機動性を持つ。2023年5月、ウクライナ軍は新しいペイトリオットSAMシステムを使ってロシアのHVGを破壊した。これは、米国の現在のミサイル防衛システムがHGVの脅威に対抗する能力を十二分に備えているという主張を裏付けるものである。米国はまた、イージスシステムを何度もアップグレードし、能力向上を約束しており、2025年までに第一弾が実現する可能性がある。

中国脅威委員会から

最後に、米海軍は、中国の対艦弾道ミサイルを無力化または破壊することができるかもしれない指向性エネルギー兵器(DEW)と電子戦(EW)能力の実戦配備を推進している。DEWシステムの利点は明白で、光は音速(マッハ1)の約87万4030倍の速さで進むため、理論的には高速で移動する弾道ミサイルを迎撃する能力が高まる。仮定だが、DEWは大気圏を離脱した弾道ミサイルを破壊するのに使うこともできる。アーレイ・バーク級駆逐艦の大部分は、すでにDEW/EW能力を搭載している。米海軍の駆逐艦の多くは、オプティカル・ダズリング・インターディクター・ネイビー(ODIN)と呼ばれるEW装置を装備している。しかし、ODINの運用能力についてはほとんど公表されておらず、中国のASBMを無効化または破壊する能力があるかどうかを確認する方法はない。

中国の対艦弾道ミサイル

おそらく、中国のASBM能力について最も正確な分析を行ったのは、米海軍大学校(NWC)の中国海事研究所(CMSI)で戦略を教えるアンドリュー・エリクソン教授であろう:「技術的な詳細へのアクセスや基本的な技術原則への理解が限られた聴衆を圧倒し、それによって、作戦上得られていない恭順を生み出そうとしている」。

中国のASBM能力は米海軍にとって脅威であるが、それは米国が現在の技術で防御できる部分的な能力を持っている脅威であり、米国が今後10年間に最先端技術を配備することで対抗できることが確実な脅威である。中国が米国との差し迫った戦争に勝つため対艦弾道ミサイルを当てにしているとしたら、厄介な驚きを味わうことになるかもしれない。■

China Threatens US: Carriers vs. DF-26 "Carrier-Killer" Anti-Ship Missile - Warrior Maven: Center for Military Modernization

By Logan Williams, Warrior Editorial Fellow

Williams is a Warrior Editorial Fellow and is a writer and researcher currently studying at the University of Connecticut. Williams’ work has been published in newspapers, magazines, and journals, such as:, Geopolitics Magazine, Modern Diplomacy, The Fletcher Forum of World Affairs, Democracy Paradox, Diario Las Américas, International Affairs Forum, Fair Observer, History Is Now Magazine, American Diplomacy, etc.


2023年1月1日日曜日

空母キラーDF-26弾道ミサイルに米海軍は防御手段を着々と整備している。これも一つのオフセットだ。

 


DF-26

Xinhua

 

 

DF-26は太平洋全域でアメリカ海軍艦艇を攻撃可能だ

 

 

 

中国の「空母キラー」ミサイルは、米海軍空母を中国沿岸に近づけない主要な兵器として、ここ何年話題になっている。

 

DF-26ミサイルとは

DF-26ミサイルは、中国が数回試射し、米空母を破壊する能力を示すことで、不吉な警告を発してきた、中国で最も強力な対艦ミサイルだ。全長46フィート、重量44,000ポンド。

 

ワシントンDCの戦略国際問題研究所は、「DF-26は『モジュール設計』で、ロケットに核弾頭と通常弾頭を搭載できる」と述べている。DF-26の射程は最大2500マイル、積載重量は4000ポンドで、衛星を利用すれば、理論上は西太平洋全域の米海軍艦艇を攻撃することが可能だ。「中国の内陸部から発射されても、DF-26は南シナ海をカバーする十分な射程距離を持っている」と、ある無名の軍事専門家は数年前グローバルタイムズに語っている。

 しかし、海軍高官コメントをよく読むと、この問題に議論の余地があるようだ。この種の脅威の深刻さを疑問視する人は皆無で、中国兵器を真剣に受け止めているのは明らかだが、空母打撃群の防御も着実に進歩していることを考えれば、脅威の表現の一部は「誇大表現」と評価されるかもしれない。

 「空母キラー」について問われた海軍高官は、脅威を否定するのではなく、米海軍の空母は「攻撃に必要であればどこででも活動できる」と明快に述べている。

 当然ながら、艦船防御の具体的内容は、安全保障上の理由で明らかにされていないが、海軍は、「層状」艦船防御技術が急速に成熟していると公に語っている。これには、攻撃用または防御用の艦載レーザーが含まれ、飛来するミサイルを追跡して「焼却」または「無効化」できる。新しい EW アプリケーションは、「ベアリングライン」を検出したり、ミサイルの誘導システムの電子署名を追跡しその軌道を「妨害」できる。

 海軍のHELIOS(High-Energy Laser with Optical-dazzler and Surveillance)は現在、アーレイ・バーク級フライトIIA駆逐艦に搭載されており、さらに陸上と海上でテストと評価中だ。

 また、現在、陸上および海上で試験と評価が行われている。これは、駆逐艦が、敵無人機を光速で正確に焼却、圧倒、燃やしたり、無力化する能力が運用されることを意味する。

 レーザーは静か、低コスト、拡張性があり、正確であるだけでなく、より重要なのは、光速で発射されることだ。新技術が海戦の領域に入り、戦術方程式が大きく変化するにつれ、海洋戦でスピードがますます重要度を増している。

 HELIOSのようなレーザーは、光学要素も充実し、センサーとしてターゲットを追跡し、監視任務の手助けも可能だ。また、レーザーは、艦載砲を補い、精密誘導技術で狭い目標エリアをピンポイントで狙えるため、場合によっては水上艦艇が敵陣に接近することも可能になる。

 ノースロップ・グラマンが主契約者の水上電子線改良事業Surface Electronic Warfare Improvement Program (SEWIP) Block 3では、インバウンド脅威を突き止め、妨害し、混乱させることにとどまらず、敵の通信ネットワーク、データリンク、レーダーシステム、その他の電子ソースに電子攻撃を加え、高度な攻撃的電子攻撃能力と将来は電子戦を情報作戦(IO)と統合する能力を追加することでEW用の技術機能を進化させた。SEWIPブロック3は現在、海軍のDDG-51級駆逐艦に搭載する設計で、今後数年で運用を開始する予定と、ノースロップ開発者は説明している。また、海軍の新型フリゲート艦も高度なEWシステムを搭載する設計だと、海軍関係者はWarriorに語っている。

 SEWIPブロック3の EWシステムは、アクティブ電子走査アレイ(AESA)の集合体16個を使用し、ターゲットとなる個別の「ペンシル」ビームを放射する。ノースロップ・グラマンで陸上・海上センサー担当副社長のマイク・ミーニーMike Meaneyは、SEWIP Block3開発の初期段階において、Warriorのインタビューに、「AESAの利点の1つは、重なり合った広いビーム送信ではなく、ペンシルビームを生成できること」と答えている。「ペンシルビームは狭く、焦点が合うため、軌道が速く進むにつれて、必要な場所だけにエナジーを投入できます」。将来のコンセプトは、IOとEWを合成し、情報収集技術をEW攻撃および防衛システムと接続することにある。そのためには、ソフトウェアの継続的なアップグレードと脅威の監視が必要だ。

 EW兵器は、狭い範囲の信号を発信することで、探知性を大幅に低下させる。当然ながら、電子放射が大きく広がれば、敵に発見されやすくなる。事実上、SEWIPシステムは、司令官が「見せたいものを敵に見せる」に限定することを可能にするとミーニーは説明する。

 こうした要素に加え、アップグレードされた「キネティック」ディフェンスや迎撃手段の包囲網で、襲い来る攻撃を排除する。海軍艦艇の迎撃ミサイルは、艦載レーダーや射撃管制装置と連動し、敵の対艦ミサイルや弾道ミサイル、さらに一部航空機を撃破する。艦船搭載型迎撃ミサイルは、駆逐艦や巡洋艦の垂直発射システムから発射され、「階層化」能力を有する。SM-3は最も射程の長い迎撃ミサイルで、長距離弾道ミサイルや最終段階に近づくICBMも追尾でき、特に射程を伸ばし誘導システムを改善した最新型SM-3 IIAで能力はさらに向上する。

 DF-26は、米海軍の迎撃ミサイルSM-6に弱い可能性がある。SM-6は、理論上、発射直後、中国のミサイルが上昇し加速中と、目標に向かって弧を描いて降下する終末期の2段階でDF-26を攻撃可能だ。SM-6のソフトウェアがアップグレードされ、「デュアルモード」シーカーが改良されたことを考慮すると、特に可能性が高くなる。これにより、ミサイルは飛行中にコース調整し、機動可能になり、中国の対艦ミサイルを追跡し破壊する能力を発揮する。

 また、SM-6は「NIFC-CA(Naval Integrated Fire Control - Counter Air)」海軍のネットワークシステムで、「レーダーの地平線の彼方」からやってくる巡航ミサイルの脅威の迎撃もできる。このシステムは、E-2DホークアイやF-35など空中ゲートウェイを「ノード」として使用し、艦載レーダーでは探知不能な距離から接近する脅威を探知し、脅威データをネットワーク送信、または受信し、司令部は遠隔地点からSM-6を発射して脅威を破壊する。このシステムの効果は証明済みで、海軍はNIFC-CAを攻撃用としても開発中である。同システムは、従来到達できなかった距離から移動目標を正確に発見し破壊する能力がある。

また、海軍艦艇は、ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile Block II)という迎撃兵器を搭載し、地表と平行して低空を飛行する巡航ミサイルを迎撃する「シースキミング」モードが可能である。SM-2、シーラム、ローリング・エアフレーム・ミサイル(RAM)は、接近した脅威を攻撃できるが、これらの中には大型対艦ミサイルの破壊能力がないものもある。しかし、敵の小型ボート、ドローン、ヘリコプター、軍艦、銃弾、ロケット弾、砲弾などを標的にできる可能性が高い。艦船防御に最も近いのは、近接武器システム(CIWS)と呼ばれるもので、ファランクス砲は、1秒間に数百の小型金属弾を発射し、エリアを抑圧、防御射撃で「ブランケット」することが可能だ。CIWSは1B型にアップグレードされており、飛来する航空脅威の破壊に加え、小型ボートや水上攻撃など水上脅威の排除も可能だ。■

 

Could the US Navy Destroy Attacking Chinese "Carrier-Killer" DF-26 Anti-Ship Missiles? - Warrior Maven: Center for Military Modernization

 

(Photo by Matt Cardy/Getty Images)

Video Above: Maj. Gen. Pringle Manned-Unmanned Teaming

By Kris Osborn - President & Editor-In-Chief, Warrior Maven

 

Kris Osborn is the President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 

Kris Osborn, President, Center for Military Modernization

Kris Osborn, Warrior Maven - Center for Military Modernization

BY KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN - CENTER FOR MILITARY MODERNIZATION


2021年11月9日火曜日

中国が米海軍空母などの艦艇実寸大ミサイル標的を砂漠に構築。弾道対艦ミサイルの精度を上げるためか。中国は真剣だ。

 

2021年10月20日の衛星画像で米空母を模した標的がタクラマカン砂漠に見つかった。 H I Sutton Illustration for USNI News Satellite image ©2021 Maxar Technologies Used with Permission

 

国軍が米空母の形を模した標的をタクラマカン砂漠に構築しており、標的演習場を新たに構築したのが衛星画像で判明した。画像はMaxar社が提供した。

 

米空母の実寸大輪郭に加えアーレイ・バーク級駆逐艦の輪郭少なくとも二つが演習場に見つかった。場所は 新疆ウイグルのRuoqiang若羌にあり、中国がいわゆる空母キラーのDF-21D対艦弾道ミサイル試射に以前使った演習地に近い。

 

タクラマカン砂漠で見つかった米駆逐艦を模した標的。H I Sutton Illustration for USNI News Satellite image ©2021 Maxar Technologies Used with Permission

 

空母標的は平面で空母のアイランドは構築されていないようで、航空機用エレベーター、兵装など詳細は省略されている。レーダーを使えば周りの砂漠からこの標的が浮き出るはずだ。

 

さらに標的二つがあり、空母標的より詳細に構築されている。柱数本があり、おそらく計器測定用だろう。レーダー反射をシミュレートするものかもしれない。

 

また同演習場内にはレイルが敷かれており、10月9日のMaxar衛星画像を見ると全長75メートルの標的に各種計装をつけて幅6メートルのレイル二本で移動させている様子がわかった。

 

同地区はこれまでも弾道ミサイル試験に使われていると地理空間情報提供企業AllSource Analysisが解説している。

 

「米艦艇を模した実物大標的に加え、レイル移動式の標的もあることから標的捕捉、照準のテスト用だろう」と同社は見ており、模型のすぐ近くに兵器が命中した形跡がないという。「艦艇を模した標的に各種センサーもついていることから、この演習場は今後各種試験に使う意図が見られる」

 

衛星画像履歴を見ると空母標的は2019年3月から4月の間に構築されていたことがわかる。その後、工事が続いたが2019年12月に解体された。その場所が今年9月再び工事が始まり10月初めにおおむね完成した。


Ruoqiang施設内に見つかった移動式標的のクローズアップ写真。 H I Sutton Illustration for USNI News Satellite image ©2021 Maxar Technologies Used with Permission

 

 

人民解放軍ロケット軍(PLARF)は対艦弾道ミサイル数種類の開発を進めており、陸上配備型のCSS-5 Mod 5 (DF-21D) の射程は800カイリ超といわれる。同ミサイルは飛翔制御可能な再突入体(MaRV)で艦艇を狙う。大型のCSS-18 (DF-26)は射程2千カイリ。

 

「PLARFは2019年7月に初の実弾発射を南シナ海に向け実施し、DF-21D対艦弾道ミサイル6発をスプラトリー諸島北側に発射した」とペンタゴンは中国軍事力報告で述べている。また長距離対応の対艦弾道ミサイルが2016年に出現している。

 

「多任務対応のDF-26は通常弾頭を短時間で核弾頭に変更が可能で精密対地攻撃のほか、対艦攻撃に使え、中国本土から西太平洋、インド洋、南シナ海を標的に収める。2020年、PRCは南シナ海上を移動する標的に対艦弾道ミサイル数本を発射したが、公式にはこれを認めていない」(報告書)

 

2021年11月5日に Capella Space が開口合成レーダーで米空母の輪郭を模した標的を撮影した。H I Sutton Illustration for USNI News

 

陸上配備型ミサイルに加え、PLANのH-6爆撃機に大型対艦弾道ミサイルを搭載している。2018年に初めて視認されたのがCH-AS-X-13で空中発射ミサイルとして最大の大きさがあり、極超音速弾頭の装着も可能な大きさだ。

 

さらに055型レンハイ級大型駆逐艦からの発射も考えられる。同艦は誘導ミサイル巡洋艦とも区分され、対艦ミサイルの発射が可能とペンタゴン報告書は述べている。

 

中国は以前も砂漠地方に空母標的を構築している。2003年に空母の大きさに近いコンクリート板が敷設され標的にしていた。同移設はShuangchengziミサイル試射場にあり、何度もミサイルの命中を受け、都度修理を受けていた。今回の新施設はそこから600マイル離れた場所にあり、もっと進んだ施設になっている。標的は実際の艦艇に極めて近い大きさになっている。

    DoD Graphic

 

新施設にどのミサイルを使うのか不明だが、施設が巧妙に作られていることからPLAが米海軍部隊の中国本土接近を阻止する手段の開発を進めているのは明らかで、空母部隊がその狙いであることはあきらかだ。

 

ペンタゴンは恒例の報告書を先週公開しており、PLARFの主任務に西太平洋に展開する米空母部隊の活動を制約することがあると記述している。■

 

China Builds Missile Targets Shaped Like US Aircraft Carrier, Destroyers in Remote Desert - USNI News

By: H I Sutton and Sam LaGrone

November 7, 2021 11:12 AM • Updated: November 7, 2021 12:58 PM

2020年11月16日月曜日

空母キラーミサイル二型式が洋上艦艇に命中したと主張する8月テスト内容での中国の言い分をあなたは信じますか、

 



 

月に入り中国が8月実施した「空母キラー」ミサイル2型式の試射の詳細を公表している。各ミサイルは数千キロを飛翔し、南シナ海パラセル諸島付近の標的に命中したと中国は説明している。

 

人民解放軍の元大佐で現在は北京の航天大教授Wang Xiangsuiがサウスチャイナモーニングポスト紙にミサイルはともに移動船舶に命中したと語っている。テストではDF-21D、DF-26Bの二種類が投入され、中国の目指す抑止力の中核となる装備だ。

 

DF-26Bは青海省から、DF-21Bは浙江省からそれぞれ打ち上げられ、目標地帯は中国当局があらかじめ立入り禁止措置にしていた。

 

 

 

DF-26とは

 

DF-26は移動式二段ミサイルで固体燃料の中距離弾道ミサイル(IRBM)で2015年9月の軍事パレードで初公表された。射程4千キロとされ、核・非核両用で、地上目標、海上目標を狙う。弾頭は1.2トンから1.8トンを搭載可能で、有事には米領グアムを攻撃可能だ。DF-26が空母キラーと呼ばれるのはニミッツ級フォード級の超大型原子力空母が標的とされるためだ。

 

DF-26は中距離核兵力条約で禁止対象となる兵器である。冷戦終結jに米ソが調印したが、中国は一度も条約交渉に招かれず、米国が昨年に条約から脱退した際に中国が条約から自由に兵器を配備しているためとした。

 

一方、DF-21Dは

 

DF-21Dは世界初の対艦弾道ミサイル(ASBM)で、これも「空母キラー」とされる。射程は1,800キロで艦船、とくに紛争地帯で敵勢力の接近を阻止する機能が期待され、東シナ海・南シナ海への投入がありうる。

 

米海軍の空母以外に日本の新型航空母艦やオーストラリアの強襲揚陸艦も標的になる。

 

今回のミサイル二型式のテストの前日に中国は人民解放軍海軍の実弾演習を展開中の渤海上空の飛行禁止空域に米国がU-2スパイ機を送り込んだとして非難していた。米海軍もUSSニミッツ、USSロナルド・レーガンの各空母打撃群で「自由で開かれたインド太平洋を支援すべく」戦術防空演習を展開していた。

 

サウスチャイナモーニングポスト紙は中国政府が米海軍による演習に強い嫌悪を示し、露骨な挑発であるとしたと伝えている。一方で米国は中国のミサイル発射テストを無謀かつ安定を損ねる行為だと対抗した。

 

今回のミサイルは人民解放軍が保有する地上発射式弾道ミサイル、巡航ミサイル1,250発の一部にすぎないことに注意が必要だ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Report: China’s ‘Aircraft-Carrier Killer’ Missiles Hit Target Ship in August

November 15, 2020  Topic: China  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-21DDF-26BASDMMilitaryA2/adTechnology

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


2019年2月3日日曜日

中国がDF-26を初めて発射テストしたが、空母にどこまでの脅威になるのか

Report: China Tests DF-26 "Carrier-Killer" Missile (Should the Navy Be Worried?) 中国が「空母キラー」DF-26ミサイルをテスト発射したが米海軍の心配の種となるのか

The test proved the DF-26 can strike moving targets thousands of miles away, Chinese media claimed. 中国メディアは数千マイル先の移動目標を狙う能力がDF-26にあると伝えているが....
January 30, 2019   Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-26DF-21DASBMMissilesNavyU.S. Navy


DF-26弾道対艦ミサイルを北西部に移動させたとの発表から数週間で中国ロケット軍が数発を試射したと国営通信が伝えている。
報道では数千マイル先を移動中の標的も十分狙う性能が実証されたとする。理論上はDF-26で米海軍空母やグアム島の基地を狙える。
専門家には同ミサイルの命中精度に疑問の声があるが、米軍はDF-26をにらみ対抗装備を導入ずみで、さらに高性能のミサイル防衛も開発中だ。
人民解放軍ロケット軍の実弾ミサイル発射演習は中国北西部のどこかで実施されDF-26の2発を発射したと環球時報が1月24日に伝えている。.
PLAがDF-26十数発を中国内陸部に移動させたのは1月初めに米海軍艦艇がパラセル諸島に接近したことをうけてで、パラセル諸島近くを「航行の自由作戦」でUSSマクキャンベルが姿を現していた。
マクキャンベルはSM-6ミサイル運用が可能で理論上はDF-26を初期加速段階で迎撃し最終段階でも迎撃できる射程130マイルを誇る。
SM-6は米海軍巡洋艦駆逐艦に配備され2015年から三年連続で迎撃テストに成功している。
DF-26発射装置を内モンゴルに移動させるとパラセル諸島からはおよそ2千マイル離れるが中国は打ち上げ直後の同ミサイルの防御を念頭においているようだ。「移動式ミサイルを内陸奥地から発射すれば迎撃はそれだけ困難になる」と環球時報は軍事専門家の発言として伝えている。
発射直後でのDF-26迎撃は不可能としても2千マイル先の艦艇に命中させる精度があるか不明だ。「DF-26の命中精度は不明だが誤差150ないし450メートルとの観測がある」と戦略国際研究所は述べている。
だが2019年1月末の試射は懐疑派の見解があやまりだったと示している。
DF-26には制御面が4点あり「超越した制御性能で弾頭を低速移動中の空母に誘導できる」と環球時報はPLA元関係者の発言を伝えている。
目標に向け制御すべくDF-26にはレーダーがつくが同時にデータを外部からも受信すると環球時報が伝える。「情報ネットワークと接続させ衛星、地上及び海上レーダー更にミサイル自体のレーダーで飛翔を制御しつつ弾頭を誘導する」のだという。
DF-26の命中精度を疑う声もあるが、ペンタゴンは座して待っているわけではない。2018年時点でイージス駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛能力を付与したのは38隻でSM-2、SM-3、SM-6を搭載している。2019年には41隻にする。
米海軍はSM-3のミサイル迎撃能力の向上策としてICBMの最高飛翔点や中間段階での迎撃も可能にする予定だ。
.米ミサイル防衛庁からはSM-3ブロックIIAでICBM迎撃を2020年にテストすると発表があった。SM-3で中間段階ICBMの迎撃に成功すれば、DF-26も中間飛翔段階で迎撃できるはずだ。
だが米国による中間段階ミサイル迎撃能力に懐疑的になる理由がある。SM-3は2002年以来のテスト42回で9回も迎撃失敗している。またテストの多くが現実より甘い条件だったり、中間飛翔段階ではなかった。
2017年5月に米陸軍の地上配備中間飛翔段階防衛の迎撃ロケットがICBMに類似した標的を太平洋上空60マイルで迎撃に成功した。だがこのテストもペンタゴンの宣伝するような現実的な条件では行われていない。
憂慮する科学者連盟のローラ・グレゴがテスト内容を検討したが標的ロケットは実際のICBMよりかなり低速だったという。
陸軍の中間段階防衛構想も現実には機能しない可能性がある。海軍のSM-3も同様だろう。ただし米艦船は無防備になるわけではない。最後の数秒間で飛来するミサイルを狙う可能性は残されている。
これだとギリギリの対応だ。迎撃が失敗すれば米艦艇は目標を外すよう祈るしかない。いずれにせよ中国が1月に行ったDF-26テストでは標的を外すリスクそのものを最小にするねらいがあった。■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.