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2021年7月14日水曜日

日本の防衛産業が存在感を増している。注目される防衛装備品事業と輸出の動向に海外も注目。

 

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日本が実現をめざす新型戦闘機の想像図。(Illustration: Jacki Belker/Staff; Photos: Japanese Defense Ministry and Mike_Pellinni/Getty Images)


 

本の防衛産業基盤の拡充が続いている。日本は防衛力をゆっくりと整備し中国軍事力の成長に対抗する。

 

今年の防衛ニューストップ100リストには、日本からは三社がランク入りしている。SUBARU(85位、防衛部門収益8.05億ドル)は昨年は圏外だった。その他日本企業には三菱重工業(MHI)(32位、37.88億ドル)、川崎重工業(KIHI)(51位、20.3億ドル)がある。このうちKHIは昨年は圏外になったが今年リスト入りが復活した。

 

MHIが日本最大の防衛産業の位置を守っている。ただし、防衛部門収益は42パーセント減り、65.7億ドルを昨年計上した。

 

同社は極超音速技術分野の研究で極超音速巡航ミサイル、超高速滑空体の実現を目指し、防衛装備庁に協力している。

 

新型戦闘機、忠実なるウィングマン

 

防衛装備整備で最大規模になるのがステルスF-X戦闘機開発で、90機強供用中の三菱F-2戦闘機の後継機とする。F-X開発契約は2020年にMHIが交付を受け、開発予算は着実に増額されている。

 

F-X開発全体6.86億ドルのうち、5.2億ドルが概念設計、エンジン初期設計用に確保されている。またレーダー技術やミッションシステム統合でも予算は確保済みだ。

 

日本はF-X試作機の製造を2024年に開始し、飛行テストを2028年に実施すべく設計、製造準備を完了させる。航空自衛隊での供用開始は2035年ごろとなる。

 

新型戦闘機は自律型無人機「忠実なるウィングマン」とともに供用される。産経新聞は昨年10月に日本が小規模テスト機を今年から開発開始し、2024年に飛行テストを行い、2025年に実寸大機の開発を開始すると報じていた。

 

日本版の「忠実なるウィングマン」にはF-Xとの同時運用でセンサーペイロードを搭載し、F-Xの前方を偵察する機能、空対空ミサイルを搭載しての航空戦闘が想定されていると同記事にあった。

 

日経も12月に開発は三段階となると報じた。まず無人機を地上から操作する。次に有人無人機のチームとしF-Xから数機の無人機を操作する。そして最終的に完全自律運用を実現するとある。

 

SUBARUが遠隔飛行制御機能の開発を担当し、MHIは有人機無人機間のデータリンクを開発する。

 

イージス専用艦

 

日本はイージスアショア弾道ミサイル防衛装備の導入を断念し、北朝鮮や中国の弾道ミサイル脅威への対抗手段の模索が改めて必要となっている。取り消しの理由としてSM-3ブロックIIA迎撃ミサイルのブースターを安全に分離し、破片が住民の頭上に落下しないと保証できないためとされた。

 

ただ政府はイージスアショア導入候補地近くの住民の反対には触れていない。反対意見が他装備の導入地にも現れることが予想される。

 

そこで日本は弾道ミサイル防衛を専用艦に搭載する案を割く託した。最終設計案は未発表だが、J7.Bイージスシステムを搭載するとの報道がある。J7.BはSPY-7半導体レーダーと日本向けJ7ベイスライン(米ベイスライン9イージスシステムと同等)を組み合わせるものだ。

 

艦艇にSM-6を搭載し、極聴音速兵器や巡航ミサイルに対応させるのは中国が両型式の兵器を続々と配備しているためだ。

 

弾道ミサイル防衛用に専門艦を整備すると、日本近海に配備しつつ、現行のイージス艦と同じ性能、兵装は必要なくなる。イージス艦は艦隊防空任務を想定し、同時にその他戦闘機能を盛り込んでいる。

 

もがみ級の輸出は?

 

日本はゆっくりとだが防衛装備品の輸出も進めており、安部前首相が2014年に輸出規制を解除してから初の輸出案件も成約している。


The Japanese warship Kumano is part of the Mogami class. (Japanese Defense Ministry)

もがみ級のくまの (Japanese Defense Ministry)

 

2020年8月にフィリピン向け固定式移動式防空レーダー装備が初の制約案件となった。日本はインドネシアのフリゲート艦整備への売り込みを狙い、もがみ級多任務フリゲートを提案している。インドネシア向けに8隻を建造し、うち4隻をインドネシア国内で建造する案だ

 

もがみ級は全長130メートル排水量3,900トンで海上自衛隊向けに三隻が進水ずみで、5隻をさらに建造する。機雷敷設、水上水中戦にも対応し、無人水上水中機も運用する。

 

ただしインドネシアはイタリアのFREMMフリゲート艦をフィンカンティエリから調達すると発表済みで、艦容も性能も大きく異なるもがみ級を別途導入するかは不明だ。■


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Japanese defense firms prosper amid futuristic tech orders, export drives

By: Mike Yeo

 

2016年6月8日水曜日

★★★米空軍が想定する2030年以降の主力戦闘機の姿は現在の延長線上にない模様



F-XあらためPCAですか。空軍は思考が早いですね。問題はその実施で、KC-46Aのようにメーカーに責任だけ押し付けるやり方でも望ましい方向は実現しないでしょう。発注元とメーカーが一体になり真剣に考えないと実現は無理です。さらに空軍の思考は先に行っており、次期主力戦闘機(戦闘機になるのか不明)は相当今の姿と変わりそうですね。新概念が実現すればF-22生産再開の意味がなくなれば、F-35も就役すれば即老朽化となり相当苦しくなるでしょうね。
Visit Warrior

Air Force Envisions Future Fighter Jet for 2030s

DAVE MAJUMDAR
12:59 AM

米空軍が次世代戦闘機のコンセプト作りを開始し新型コンピュータ技術、兵装、電子戦装備、感知機能の採用を検討中。新型機は2030年代以降に現れる予想の脅威内容に対応する。.
  1. 空軍は2030年代より先の航空優勢確立に必要なのは侵攻制空機能(Penetrating Counterair PCA)だと見ている。現行のロッキード・マーティンF-22ラプターとF-35共用打撃戦闘機では将来対応ができないことが次第にはっきりしてきた。
  2. 「F-22とF-35ですべてことが足りるなら、それ以上は不要だし、調達もいらなくなる」と次世代航空優勢の実現に携わる空軍幹部は語る。「現実は違う」
  3. 同高官は現空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が五月にF-22生産再開に前向きな姿勢を示したことに空軍上層部の大部分が理解に苦しんでいると付け加えた。ラプター生産再開が極めて困難かつ高費用につくだけでなく、搭載するエイビオニクスが陳腐化しており、生産設備工具治具類の再整備以外に、F-22では2030年代以降の世界で戦力を示し残存性が期待できない。「どうして参謀長があの発言をしたのかわからない」と別の関係者も感想を述べている。「魔がさしたのでしょうか」
  4. いずれにせよ、ラプターが再生産される可能性は極めて低い。下院軍事委員会のシーパワー兵力投射小委員会委員長ランディ・フォーブス議員(共 ヴァージニア)がどれだけがんばっても状況に変わりはない。逆に空軍はもっと広く総合的に検討して航空優勢の確保方法を模索するべきだろう。機体案も複数とし、電子戦を重視し、データリンクや新兵器の採用も当然考慮される。だが空軍が新しい機材が必要としてもこれまでの機体中心の思考方法から解放されなければならない。

  1. 「空軍が考える2030年代の戦力構造予想では敵対勢力と戦い勝利をおさめることはできない」と空軍の2030年想定の航空優勢確保案は述べている。「2030年の厳しい環境で航空優勢を確保し、実現するためには性能と能力を多角的に検討する必要がある。重要なのは作戦環境が迅速に変化していくことでこれにより空軍はこれまで通りの方法で直線的な装備調達開発大日程を続ける余裕はなくなることだ」
  2. 想定する脅威内容では統合ネットワーク化された空対空、地対空、宇宙空間、サイバー空間で戦術機が今後も減少し老朽化が進む前提で2030年以降の世界では米空軍が航空優勢を確立できなくなる可能性を憂慮している。脅威の一部として高性能機材があり、スホイPAK-FAや成都J-20、さらに新型センサー類や新兵器体系がある。「ほぼ互角の国力を持つ相手がこれら装備を保有する一方で、高性能装備が世界各国に拡散していることが問題だ」と報告書は指摘している。
  3. さらに新規脅威内容でこれまで当たり前だった米国の優位性が揺らぐ可能性がある。「わが方の宇宙空間での優位性を覆す強力な脅威能力の登場、サイバー空間での脅威が質量ともに増大すること、極超音速兵器、低視認性巡航ミサイル、高性能通常弾頭付き弾道ミサイルなど空の脅威の変化」を列挙している。「新しい種類の脅威がいつ、どこで出現するかは不明だが、確実なのは航空優勢を確保する中で2030年までに出現するこれら脅威対象への対策が必要になることだ」
  4. そこで脅威の高まりに対して空軍はあらゆる点で問題解決を迫られ、基地の強化、空中給油機の更新、「クラウドによるセンサーネットワーク」(空軍情報部長だったデイヴ・デプチュラ中将は「コンバットクラウド」と呼んでいる)まで各種あるが、新型機材も必要となる。「この戦略により航空優勢を確立し統合運用を支援するため空軍は各種能力ファミリーの開発が必要であり、航空、宇宙、サイバーの各空間で有効な能力が必要だ。単一能力ですべて解決するのは不可能だ。よってこのファミリー構成の中にはスタンドオフ、スタンドイン両面の戦力、統合ネットワーク化によるミッション効果の確保を実現する方法が求められる」と文書はまとめている。
  5. ペンタゴンはスタンドオフ・アーセナル機とノースロップ・グラマンB-21長距離打撃爆撃機の開発を進めており、それぞれ航空優勢の確保維持に役立つと期待される。空軍は新規の電子戦能力開発も求められており(空軍はこれまでこれを否定してきた)、ステルスだけでは次世代脅威に対抗できないとわかってきた。「個別の兵装開発活動は機体開発活動と連動させる」と文書は説明している。「長距離で高性能の兵器はAS2030で想定する各種能力ファミリーの全体効果を引き上げる存在だ」
  6. 空軍の航空優勢確立構想の中心的存在は侵攻制空能力だろう。これは新型機材の投入を意味するが空軍は「第六世代」や「次世代」機の表現は避けている。「『次世代』機に焦点を合わせた考え方は捨てる必要がある。このような考え方はえてして開始済みの事業で技術制約をさらに引き上げる結果に終わることが多い」
  7. にもかかわらず、文書ではPCAがどんな姿になるかのヒントがそれとなく示されている。「PCA能力の開発では航続距離、ペイロード、残存性、攻撃力、機体価格、維持管理の最適解を模索する。PCA能力は当然のこととして目標捕捉、交戦の要素も含まれれると同時にネットワークの中継点の役割も大きく、敵陣を突破したセンサーからのデータを中継し、スタンドオフ、スタンドイン兵装の投入を選択する。この一環で空軍は正式にAoAを2017年に行いPCA能力を定義づけるべきだ。機動性のある調達を心がけて適正能力を必要な時期までに実現することを目標に、AoAには迅速開発や試作品製作の選択肢も含めるのが望ましく、脅威内容より先に対応すべきだ」と文書はまとめている。「上記F2TA能力に加えPCAの侵攻突破のうりょいうがあれば航空空間から運動性、非運動性両面の効果をスタンドインで実現することが可能になる」.
  8. 空軍はAoA代替策検討を2017年に実施しPCA(旧称次世代航空優勢戦闘機、F-X)のあるべき姿を決定する。空軍関係者各位から聞いたところではPCAがF-22の延長形にになる可能性は低いようだ。だが議会にはそうあってほしいと願う向きが一部に残っている。

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.



2016年4月22日金曜日

★米海軍が目指す次期主力機材は「ファミリー構成」複数機種になる F/A-XX名称取り下げ



海軍が攻撃能力を重視し、かつ空母運用を前提で、要求性能を追求すれば空軍の戦闘機とは違う機体になるのは当然かもしれません。またファミリー構成となれば、単一機種で空母航空戦力を構成してきたこれまでの方法論を変更することになりますね。ここでいうNGAD機が攻撃部隊の主力、F-35Cがセンサー機、E-2DがAWACS兼NIFCAの中継機、RQ-XXスティングレーが給油機となっていくのでしょうか。2030年代の空母機材は賑やかになりそうです。
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Navy Seeking ‘Family of Systems’ to Replace Super Hornets, Growlers; Sheds F/A-XX Title

April 21, 2016 12:46 PM • Updated: April 21, 2016 3:44 PM

Two U.S. Navy F/A-18 Super Hornets from Strike Fighter Squadron 31 fly a combat patrol over Afghanistan on Dec. 15, 2008. US Air Force Photo
Two U.S. Navy F/A-18 Super Hornets from Strike Fighter Squadron 31 fly a combat patrol over Afghanistan on Dec. 15, 2008. US Air Force Photo


米海軍が目指すボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットの後継機は単一機種ではなく、各種任務をこなす空母運用機は複数機種になる可能性が出てきた。
  1. 今年一月に海軍はこれまではF/A-XXの名称だった次世代航空優勢事業NGADの要求性能検討を開始、スーパーホーネットとEA-18Gグラウラーの両機種の後継機として2030年代に各種システム投入を期待していると海軍関係者がUSNI Newsに語った。
  2. また海軍はスーパーホーネット後継機は空軍のF-Xとは別の機材として構想する。
  3. 海軍航空戦部長マイク・マナジール少将は空軍との共同でF-XおよびF/A-XXの代替策検討をすると昨年 USNI Newsに述べていた。
  4. これに対して4月21日、海軍は空軍と情報共有するものの、F-XとNGADの共同研究は行わないと述べている。
  5. その前日には海軍は上院軍事委員会宛に海軍省航空部門トップから書面で1月に開始したNGADでは有人機と合わせ無人機さらに任意で有人操縦可能な機体も検討すると述べている。
  6. 既存機種を「段階的に進化する」改良に加え全く新型の機体複数をスーパーホーネットおよびグラウラーの後継機とすることも考えているという。
  7. NGADのシステム開発で空軍と袂を断つのは両軍間で戦術航空作戦の考え方に差があるためだ。
  8. 空軍が目指すのは高速ステルス有人機でF-22がその例。一方、海軍はペイロードを敵地に投下し実戦に投入可能な戦術機を目指す。
  9. 2015年に当時の海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将はスーパーホーネット後継機はステルスやスピードは重視せず、兵装装備の発展に対応できる拡張性が望ましいと発言していた。「ステルスが不要というわけではないが、高速飛行すれば空中の分子構造に変化が生じ、熱も発生する。エンジン冷却効果があっても探知を逃れることはできないだろう」
  10. そこでスーパーホーネット後継機では「各種ペイロード搭載能力が第一だ。敵防空網を突破する能力も必要。今はレーダーだが将来は別の手段が登場するかもしれない」と述べていた
  11. また海軍は空軍より無人機システムの推進で積極的だ。
  12. 昨年開催された海軍連盟主催シンポジウムで海軍長官レイ・メイバスはロッキード・マーティンF-35CライトニングII共用打撃戦闘機が純粋な有人攻撃戦闘機として最後の機体になる可能性に触れた。「無人機特に自律運航型が今後の標準になるはずだ」
  13. 「F-35が最後の有人攻撃戦闘機として海軍省が導入運航する機種になるのはほぼ確実だし、そうあるべきだと思う」■


2015年4月10日金曜日

☆ 米空軍の主力機が大型機に統一される日が来る?



第六世代戦闘機の開発に乗り出そうというところで、冷水をかけるような報告書ですが、大きなインパクトが出そうです。戦闘機命のヒエラルキーに支配された空軍の成り立ちが変わってしまうかもしれませんが、やはり価値観の違いを理由に黙殺されてしまうのでしょうか。なお報告書の著者は米空軍出身(ただし戦闘機パイロットではない)でRAND研究所でも仕事をしていた人とのことです。


Should Future Fighter Be Like A Bomber? Groundbreaking CSBA Study

By COLIN CLARK on April 08, 2015 at 3:46 PM

WASHINGTON: 米空軍の次世代主力機は小型戦闘機ではなくステルス長距離爆撃機に近い機体になるかもしれない。
  1. これは予算戦略評価センター Center for Budgetary and Strategic Assessmentsがこのたび発表する報告書 TRENDS IN AIR-TO-AIR COMBAT: IMPLICATIONS FOR FUTURE AIR SUPERIORITYの結論部分であり、このたびBreaking Defenseは同センターとは無関係の筋から写しを入手した。
  2. 報告書の主な所見は以下のとおり。「包括的結論として電子センサー、通信、誘導兵器で相当な技術進歩が過去数十年で発生しているので航空戦闘の形態がすでに根本的に変化している可能性があることへ注意喚起する」
  3. 上記結語は報告作成者ジョン・スティリオン John Stillion が世界各地で1965年以降の「1,450件以上の勝利実績」を集めたデータベースを精査して得たものだ。
  4. スティリオンの研究では敵機を探知、待ちぶせ、攻撃し、かつ防空体制をスピードと操縦性で出し抜く航空機の製造は、航続距離、速度、性能それぞれ物理的な限界に近づいているという。
  5. 「電子センサーに加え、物理的な痕跡の削減、RF(電波)・IR(赤外線)対抗装置の重要度が高くなっていること、絶対有利なSA(状況認識)を可能とするLOS(見通し線)内のネットワーク構築も同様に重要になる中で、高速飛行性能や操縦性の戦術価値が減っていくと大型戦闘航空機の生存性が高くなり、場合によっては従来の戦闘機よりも優れた特性を示す可能性がある」とまとめている。
  6. 言い換えれば、ミサイルに対して優越性を発揮できる戦闘機は少なく、ステルスや電子戦の助けがあってもこれは覆させられないということだ。
  7. 一方で1965年以降の航空戦闘データベースからは長距離ミサイルの台頭の一方、ドッグファイトが急速に減っていることがわかる。1991年の湾岸戦争で米軍が撃墜した33機で操縦性がかぎになったのは4件のみだ。その25年後に長距離探知センサーとミサイルの性能は向上の一途で、これまで重要視されてきた飛行速度、推力重量比、旋回半径は今や重要性を失っており、将来はさらに失うだろう。
  8. そこで報告書の結論では速度があっても将来の機体を救えない。なぜなら高速になればエンジン排熱も大きくなり、前縁部など機体表面が発する余熱も大きくなる。すると将来は赤外線探知追跡装置(IRST)への依存が高まるだろう。なぜならデジタル式無線周波数メモリーDigital Radio Frequency Memory (DRFM) を使うジャマーにより捜索レーダーが妨害されると敵は熱源をIRSTセンサーで捜索し、高速で飛行する機体ほど探知が容易になる。
  9. この考察は第六世代機といわれる次世代戦闘機開発を目指すペンタゴンにどんな意味があるのだろうか。
  10. スティリオンによればペンタゴンには従来の戦闘機の概念から「過激なまでの」脱却が必要で、センサー性能をさらに引き上げ、物理的な痕跡を制御し、ネットワーク化で優秀なSAを実現しつつ、超長距離兵器で敵に発見される前に交戦する機体を模索すべきだという。
  11. 「2035年以降に制空権を確保するためには広範かつ客観的にしかも想像力豊かに考える必要がある。現在の機体を発展させるよりも常識にとらわれない形状の機体をめざすことになるかもしれないし、ならないかもしれない。大事なのは評価を客観的に行うこと」と報告書作成者は記者に電子メールで伝えてきた。
  12. ペンタゴンは国防優勢確保構想Defense Dominance Initiative および関連した航空機性能革新構想Air Innovation Initiative(DARPAが主導)により次期主力戦闘機F-X及び搭載エンジンの開発を行う。スティリオンの研究内容はDARPAおよびフランク・ケンドール(ペンタゴンで調達部門を統括)が目を通すはずでどんな実験が必要か検討するはずだ。
  13. 報告書を読んだ業界筋は「スティリオンは良い指摘をしている。戦略の見直しが必要だ。第六世代機ではスーパーF-22を作ってどうするのか。F-22よりわずかに性能が向上してもコストは莫大だろう。太平洋での作戦範囲を考えると航続距離は短い。であれば逆に大型機に焦点を合わせたほうがいいのではないか」
  14. 大型機なら大きな開口部(レーダー、赤外線)で遠距離から敵を探知できるし、大型ミサイルを搭載して敵を事前に攻撃できる。
  15. 「一番説得力があると思ったのは」と業界筋は話した。「将来の米空軍の攻撃力となる大型機、長距離機、大ペイロードでステルスの機体一種類を開発すべきという点だね。機体を共通化すればミッションに応じてペイロードを変更できる」
  16. この業界筋は機体を一種類にすれば攻撃型、空対空ミサイル運用型、核運用型、制空権確保用に指向性エネルギー兵器を搭載した型、早期警戒用機材、地上監視ミッション用機材と必要に応じて準備できる。
  17. これをつきつめると将来の米空軍は400機を「中核機材」として兵力投射用に整備すれば十分、と上記業界筋は言う。
  18. 「新型機の一部は無人機にし滞空性能を更に伸ばす。この機体を「戦機」 “Battleplane”と呼んでもいいかもしれない。これはジュリオ・ドゥーエが1920年代に夢見ていた機体だ。 大陸間横断飛行ができる飛行距離があれば地球上どこでも攻撃可能となり、同時に制空権も確保できる。敵に近い基地防衛のため何百機もの短距離戦闘機を配備する必要はなくなる。大型機は遠隔基地から運用し、機種統一で兵站面、開発・調達、人員配置の各要素でどれだけの節減になるだろうか」と同上業界筋は見る。
  19. 賢明な方なら長距離打撃爆撃機 (LRSB)事業の選定業者がこの報告書が想定する新型機製造に一番近い位置にあることに気づくはずである。長距離性能と大きな兵装運用能力が鍵だ。ただこれで確定ではなく、多分、という意味だが。
  20. ではペンタゴンがこれまで75年の道のりを大胆に捨てて新しい方向に行く可能性がどれだけあるだろうか。
  21. 「歴史を見れば、可能性はない」と同上業界筋は言う。「空軍上層部は基本的に戦闘機パイロット出身者で『爆撃機』を制空権確立ミッションに使うと言ったらどんな反応を示すでしょうか」
  22. 構想の実現にはペンタゴン上層部および空軍内部の価値観を変える必要がある。ただし予算が枯渇し、ロシアや中国が台頭し強引さを強めれば、将来構想を真剣に考える条件が整う。
  23. この報告書は今後長きに渡り引用元になり、貴重な成果が含まれており、当時のペンタゴンに変革に踏み出す勇気があったのか思い返す材料になろう。航空戦闘の意味を理解したいのであれば本報告書は必読だ。


2014年9月13日土曜日

米海軍のF/A-XX構想に垣間見える海軍の考え方の違い


米海軍と密接な関係にある海軍協会は海軍版のF/A-XX構想で微妙に米空軍のF-Xとの違いが生まれつつある内部事情を伝えています。空軍がこれまでの延長上の制空戦闘機を考えているのに対し、ネット中心の戦闘のセンサー搭載機で必要な能力があれば既存機の流用でもいいとこれまでにない考え方が海軍から垣間見えます。日本のF-3も流れとしてはF-Xに近いと思われますが、海軍の考え方にも参考になるものはあると思えます。人工知能だの、高エネルギー兵器だの、これまでにない趣向はあるのですが問題は価格でしょうね。とくにこれからの予算環境を考えると。


Navy Taps Industry in Quest For Next Generation Fighter

By: Dave Majumdar
Published: September 10, 2014 10:04 AM
Updated: September 10, 2014 10:05 AM
A Boeing artist's conception of a potential design for F/A-XX. Boeing Photo
ボーイングの考えるF/A-XXコンセプト。. Boeing Photo


米海軍が技術情報の交換会合へ正式に民間防衛産業の参加を要請し、2030年代をにらんだ次世代戦闘機のヒントを得たいと考えている。

  1. 交換会は技術情報会議 Technical Inerchange Meetings (TIMs) の名称でF/A-XXの代替策検討作業 analysis of alternatives (AOA) に先立ち実施する。AOAは2015年に開始。

  1. 会議では価格と現行機種スーパーホーネットやF-35CがF/A-XXの要求性能にどこまで合致するかが検討の重点だという。さらに選択肢として海軍は完全新型機または現行システムの派生型開発 family of systems (FoS) の検討もする。同時にミッションシステムズ、エイビオニクス、次世代兵装システムも検討する。

  1. 海軍関係者はロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン各社の先端技術開発チームに加え、機体コスト低減に役立つ技術要素を有する企業へも打診する方針だ。

  1. 「機体がまったくの新型機になるのかならないのか、無人機とするのか有人機とするのかも未定」と海軍関係者は語る。「むしろ将来の予算状況だとFoS方式でギャップを埋めていくことになるだろう」

  1. 海軍の選択肢の一つが最低限の予算で高性能で敵戦力に十分対抗できる武装をどう実現するかだ。
.
  1. 海軍統合火器管制対空作戦能力開発構想(NIFC-CA)では一機種にすべてのセンサーを搭載する想定はない。むしろデータ活用を重視する。データでリンクされた情報はノースロップ・グラマンE-2Dのような機体からイージス巡洋艦・駆逐艦へと伝わり、目標照準情報となる他、F/A-XXが発射する兵器の照準にも利用される。

  1. 「そこでF/A-XXが機体はホーネットと大差なくても、新型兵装で射程距離延長し、担当地域での戦闘を実施のために各種兵装システムを火器管制とリンクできればよい」と海軍関係者が語っている。

  1. そうなるとF/A-XXは「ペイロード」を運ぶ「トラック」であればよいのであり、スーパーホーネットやF-35のように敵を捜索、探知、追跡、照準、交戦、評価まで自己完結型で行う必要はなくなる。

  1. これは海軍作戦部長ジョン・グリナート大将Chief of Naval Operations AdmChief of Naval Operations Adm. Jon Greenert. Jon Greenertの持論「機体よりもペイロード」に合わせることだ。

  1. 2013年末にマイク・マナジール少将(海軍航空戦闘部長)Rear Adm. Mike Manazir, the Navy’s director of air warfare がF/A-XXはミサイルに加え指向性エネルギー兵器用の出力・冷却機能を搭載し、センサーは最小のレーダー断面積目標も探知できるだろうとUSNI Newsに語っていた。マナジールはF/A-XXファミリーは戦術サイバー戦能力も備えると紹介していた。

  1. 海軍は米空軍と連携しており、空軍もF-X次期戦術航空機をロッキード・マーティンF-22AラプターとボーイングF-15Cイーグル制空戦闘機の後継機にしようとしている。共同作業しているとはいえ、各軍の想定にはまだ大きな差がある。

  1. その例としてエンジン技術を巡る見解の相違がある。空軍は次世代適応サイクル型ジェットエンジン技術に自信を持っているが、海軍航空システムズ本部の技術陣は空軍研究所の主張する適応サイクル型エンジンの長所を信じず、海軍の要求水準には対応できないと考えている。■



2014年9月1日月曜日

第六世代機: 海軍版に人工知能搭載か





第六世代機に関心をお持ちの層は多いようですね。五月雨式にニュースが出てきますので都度ご紹介することにいたします。今回のソースは海軍協会なのでF/A-XXの視点が中心になっていることは勘弁ください。





Navy’s Next Fighter Likely to Feature Artificial Intelligence

By: Dave Majumdar
Published: August 28, 2014 3:56 PM
Updated: August 28, 2014 3:56 PM
Boeing concept for F/A-XX. Boeing Image
ボーイングのF/A-XXコンセプト . Boeing Image


ペンタゴンが企画中のボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットおよびロッキード・マーティンF-22ラプターの後継機種には人工知能が大幅に搭載されるようだ。
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  1. スーパーホーネット後継機となる海軍のF/A-XXは2030年ごろの配備を目指す。
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  1. 米空軍の次期戦闘機F-XはF/A-XXとは相当異なる機体になるが、両軍で共通部分の基本合意ができている。

  1. 「PNT(Positioning, Navigation and Timing 位置調整・航法・時限調整)や通信、ビッグデータ処理で海軍、空軍の合意ができた」と海軍関係者が述べている。

  1. ただし人工知能(AI)含む高度技術内容がどれだけ戦術戦闘機の任務達成に貢献するか不明だ。とはいえ、AIはF-22や同じロッキード・マーティンのF-35で搭載しているセンサー統合のコンセプトに通じパイロットにとってはなじみやすいかもしれない。

  1. ただし海軍、空軍ともに技術的に遠大な目標をもつものの、現実には相当の溝がある。
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  1. 海軍、空軍はシリコンヴァレーのハイテク産業の助けを借りて第六世代戦闘機を実現しようとしている。8月27日にマイク・ホステジ空軍大将Gen. Mike Hostage(航空戦闘軍団ACC司令官)が「イノベーションサミット」と称する会合をカリフォーニア州モフェットフィールドで開催している。ねらいは新規の発想を制空権確保に活用すること。.

  1. F/A-XXの初期性能説明文書 initial capabilities document (ICD) はペンタゴン内部の手続きで埋没している。海軍は新型戦闘機案の最終決定前で重要な工程となる代替手段分析 analysis of alternatives (AOA) を2015年に開始する。■



2014年6月24日火曜日

☆ エンジン開発から見えてきた第六世代戦闘機の性能要求水準



Next Generation Engine Work Points to Future U.S. Fighter Designs

USNI News By: Dave Majumdar
Published: June 23, 2014 10:51 AM
Updated: June 23, 2014 10:51 AM
A Boeing artist's conception of a potential design for F/A-XX. Boeing Photo
ボーイングが企画中のF/A-XX. Boeing Photo
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米海軍と米空軍はそれぞれ次世代戦闘機の要求性能水準の作成を開始したばかりだが、推進力となるエンジンは先行開発が進んでおり、第六世代戦闘機の性能の一部が見えてきた。
  1. 海軍のF/A-XX と空軍のF-X 用のエンジンで、ペンタゴンは開発をすでに始めている。エンジンメーカーノプラット&ホイットニー、ジェネラルエレクトリックの関係者からUSNI Newsはそれぞれの開発コンセプトを聞く機会を得た。
  2. 「第六世代機を定義するのはエンジン含む推進系だ」と話すのはダン・マコーミックDan McCormick(GEの適応サイクルエンジン事業部長)「推進系システムは機体設計工程に統合されるべきです」
  3. 両社が革新的な適応サイクルジェットエンジンadaptive-cycle jet engines を開発中でこれがボーイング F/A-18E/F スーパーホーネットやロッキード・マーティンF-22ラプターの後継機に搭載されることになる。
  4. These advanced engines would be able to vary their bypass ratios for optimum efficiency at any combination of speed and altitude within the aircraft’s operating range unlike today’s engines that are at their best at a single point in the flight envelope.
  5. 新型エンジンの特長はパイパス比を調整し、速度・高度に合わせた最適な効率を実現することになる。これに対し現行のエンジンは飛行条件の一点で最高性能を発揮するものだ。
  6. エンジン開発が機体開発より先行するのは1970年代に空軍がF-15A、海軍がF-14Aをそれぞれ開発する中でエンジンで深刻な問題に直面した苦い経験のためだ。.
  7. 次世代戦闘機に求められる基本性能は空軍研究所 Air Force Research Laboratory と海軍研究室 Office of Naval Researchがそれぞれおこなう研究開発内容から推察することができる。
  8. 空軍は適応型多用途エンジン技術Adaptive Versatile Engine Technology (ADVENT)をF-Xに応用する目論見で、海軍は変動サイクル高性能エンジン技術 Variable Cycle Advanced Technology (VCAT)を海軍の用途に合わせて採用する考えだ。
  9. GEで第六世代戦闘機用エンジンの専門家のジェフ・マーティンJeff Martinによれば推定される要求性能として現行機を上回るより長い航続距離があるという。さらに高速飛行、高加速力、亜音速巡航時での高効率飛行がある。
  10. 「変動サイクルエンジンがないとこれだけの要求にこたえられなく、とてつもない巨大機になってしまいます」(マーティン).
  11. 変動サイクルエンジンは超音速飛行時はターボジェットと同様に作動し、旅客機と同様の速度では高バイパスターボファンのように高効率で飛行できる。このことから新型機はスーパークルーズ性能が重視されるのではないかと思われる。
  12. 「海軍から聞いているのは空母を発艦する迎撃ミッションで、すぐ飛び出して数百カイリ先に高速で進出するというものです」(マーティン)このミッションはF-14を思い起こさせるものだ。ソ連機が巡航ミサイルを発射する前に迎撃するのがF-14のコンセプトだったが、ソ連崩壊とともにその必要がなくなったとはいえ、中国の急速な台頭が米空母部隊に同様の脅威を与えることになりそうだ。
  13. 「スーパークルーズが要求の柱なのか不明ですが、機体の縦横比から見て超音速機となるのは間違いありません。それで変動サイクルエンジンを搭載すればスーパークルーズは可能ですが、実際にそうなるかは別問題です。燃料消費が大きくなりますから」(マーティン)
  14. 海軍と空軍で別個の機体開発となるが、空軍によると海軍と密接に作業しているという。「エンジン開発部門は非常にまとまりのよい集団で、海軍とは完璧な透明性を維持している」とAFRLがUSNI Newsに文書で回答してきた。
  15. 「相互に技術検討を行っている。技術的見地から非常に参考になる情報を得ている」
  16. マーティンから海軍の開発内容がわかってきた。「VCAT開発がAFRLにも非常に役立っています」
  17. VCAT開発は非常に有益だと判明しているという。具体的なサイクルの情報が得られたこと以外にエンジンと機体を全体として扱う必要が理解されたという。
  18. プラット&ホイットニーにとってはVCATはエンジン開発を別の側面から考察する機会になっている。可変式なのはファンだけではない、とジェイムズ・ケニオン James Kenyon(同社次世代戦闘機用エンジン開発部長)は語る。「変動の範囲はもっと大きく、柔軟度が高いものです」
  19. 空軍のめざすのはエンジンの技術成熟度としてマイルストーンA判定を2018年に下し、F-Xの技術開発段階に進むことだ。.
  20. しかし、生産型エンジンではマイルストーンBが達成されないと生産開発段階に進めない。「マイルストーンBはTRL(技術即応性)が6と同等といわれます」(マーティン)
  21. With adaptive engine technology already set to hit the TRL-6 milestone before the end of the year, a production engine could be ready by 2021 if necessary.
  22. 予定通りなら生産機用エンジンは2021年に利用可能となる。
  23. 適応サイクルエンジンの中核技術は適応型ファンで、これによりエンジンはバイパス比を自由に変えることができる。
  24. 超音速飛行ではマッハ2.2以上の性能が出しにくくなるのは空気取り入れ口の形状に制約を受けるからだ。
  25. そこで適応型サイクルエンジンを搭載した戦闘機は低バイパスに切り替えてバイパスする気流そのものが少ない離陸時や超音速飛行時に必要な推力を確保する。
  26. ただし低バイパスで高推力を得る際の気流速度が高くなると推進効率が低くなり、巡航速度の確保には悪影響だ。そこで適応型ファンによりエンジンは高バイパスモードに切り替え、推進効率を補う。
  27. 将来の適合サイクルエンジンの効率性を確保するのは適応型ファン以外に新素材の採用による高温高圧運転への耐久性だ。
  28. 変動サイクルエンジンで戦闘機用に製作されたのは1990年代初期のジェネラルエレクトリックYF120 エンジンが初だが、これはプラット&ホイットニーF119の前に不採用となった。F119はロッキード・マーティンF-22ラプターに搭載された。「YF120は適応型サイクルエンジンでしたが、狙いが今とは違っていました。ADVENTとAETDのねらいは燃料消費効率で、AETDでは確かに推力の追加もありますが、熱管理でも改善がされています。これに対してYF120はスーパークルーズの要求にこたえることが主眼でした」(マコーミック)

ADVENT (ADaptive Versatile ENgine Technology) engine core in its test cell at GE facilities in Evendale, Ohio. GE Aviation System Photo
ADVENT (ADaptive Versatile ENgine Technology) engine core in its test cell at GE facilities in Evendale, Ohio. GE Aviation System Photo

  1. 空軍が第六世代機向けの変動サイクルエンジン開発を開始したのは2007年で空軍研究所による適応型万能エンジン技術’ADVENT)としてであった。当時の目標は次世代技術を技術成熟度はTRL-6まで、製造成熟度はMRL-6まで持っていき、実証機材の生産を可能とすることだった。
  2. ジェネラルエレクトリックとロールス-ロイスに6か年契約が交付され、実証用エンジンの製作をすることになった。プラット&ホイットニー案は不採用となったが、同社は自己資金で技術開発を続け、その後に期待をつないだ。
  3. プラット&ホイットニーはロッキードF-35用のF135エンジンのファン改良を中心にしたとケニオンは話す。同社は適応型ファンの実証を行っている。「気流の制御が可能であることを証明できました」とケニオンはいい、自社資金投入の効果が出たという。

  1. 一方でジェネラルエレクトリックは6年間の開発期間を経てADVENT実証エンジンを2013年11月よりテスト運転している。テストは今年中に完了する。
  2. 「当社は実寸大適応型サイクル技術実証エンジンをオハイオ州エヴェンデールに設置しております。そこで技術を成熟させていきます」(マコーミック)
  3. GEのADVENTエンジンには適応型ファン、超高圧コンプレッサー、新型燃焼システム、各種新素材(セラミックマトリックス複合材含む)、冷却技術が投入されているという。.
  4. テストではエンジンコア部分が想定よりも130度Fも上昇した。同社によればジェットエンジンの複合コンプレッサー・タービン温度としてAFRLによる認定も受けた最高記録を樹立したという。
  5. Further, McCormick said that the ADVENT demonstrator engine is actually exceeding expectations in many cases including for fuel burn. The fuel efficiency target for ADVENT was to reduce fuel-burn by 25 percent.
  6. またマコーミックによればADVENT実証エンジンは燃料消費、など多くの点で予想を上回る性能を発揮している。なお、ADVENTの燃料消費目標は25%の効率アップである。
  7. 空軍研究所の次の研究課題が適応型エンジン技術開発 Adaptive Engine Technology Development (AETD)でそのねらいはADVENTで開発した技術で実際に飛行をジ失することにある。ただし、飛行に重点がおかれ、エンジンの大きさ、重量などは考慮に入れていない。
  8. 「AETDはADVENTが実現した技術で成熟したものを取り入れ、ひとつにまとめて航空機に搭載できるかを見極めるものです」(マコーミック)
  9. ただしAETDはADVENTをそのまま延長したものではない。空軍は再度公募をかけ、ジェネラルエレクトリックとプラット&ホイットニーが採択されたが、ロールスロイスは選外となった。AETDはエンジンを完成させない点でADVENTと違う。


This is a Lockheed Martin concept for a sixth-generation concept aircraft to replace the F-22 Raptor. The Air Force released a request to arm its next generation fighters with offensive lasers. Lockheed Martin Illustration
ロッキード・マーティンによる第六世代機のコンセプト図。
空軍は第六世代機に攻撃用レーザー兵器の搭載を求めている。
Lockheed Martin Illustration

  1. ただし両社はエンジン設計を完成させ、予備設計審査 preliminary design review (PDR)に持ち込むことが求められている。PDRは当初は2014年11月実施の予定だったが、空軍により2015年2月への延期が認められた。.
  2. この日程変更の理由は二つ考えられる。ひとつはAETDの流れをくむ次世代技術の開始が2016年度になることだ。
  3. もうひとつはAFRLが二社の設計審査へ向けた進展を見ながら日程を調整した点だ。
  4. AETDの後に空軍の次期戦闘機NexGenが来る。今年初めに国防長チャック・ヘイゲルから高性能エンジンを量産するため10億ドルを投資しているとの発表があった。しかし、いまのところ開発がどこまで進んでいるのか詳細はほとんどわからない状態だ。■