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2025年2月14日金曜日

ヒズボラ指導部を殺害したバンカーバスター攻撃の威力を示す新映像からわかること(The War Zone)―暴力を制するのは暴力であり、情報と技術で優れた勢力が有利となることを教えてくれる事例です

 Beirut bunker buster CCTV on hezbollah bunker  

Via X (screencap)




バンカーバスターが道路下に深く潜り込み、地面が一面に浮き上がるほどの威力で爆発した瞬間を映し出している映像が公開された


2024年9月27日、ベイルート南部、過激派組織の拠点でもあるダヒエにあるヒズボラの司令部壕を、大規模かつ高度に調整された攻撃で攻撃した際の、クローズド・サーキット・テレビの映像が新たに公開された。 GBU-31/B統合直接攻撃弾(JDAM)爆弾とBLU-109/Bバンカー破壊弾頭が攻撃に使用され、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ含む幹部が殺害された。攻撃で数十人の市民が死亡し、数百人が負傷したと報告されている。

 住宅地地下の大型バンカーを狙った斬首攻撃は、イランに支援された過激派グループを大きく狂わせた重要な作戦となり、イスラエルの空爆と地上作戦が、ヒズボラの対応能力を制限する大きな効果を発揮した。 空爆に先立ちポケベルとトランシーバーの破壊工作も行われた。

 この数カ月後にシリアのアサド政権が崩壊したことも大打撃となった。


JDAMテールキットを装備したBLU-109。 (アメリカ空軍)



 下の映像は、ダヒエの普通の一日のようで、人々が動き回っている。 そこへバンカー・バスターがやってくる。 一発がコンクリート道路を深く掘り進み、オートバイ乗りの一人を間一髪で逃し、その後に大規模な地下爆発が起こり、周囲一帯が『浮き上がる』。 これはまさにBLU-109のようなバンカーバスターの効果だ。 BLU-109のようなバンカーバスターは、強靭なケーシングで地中深くまで侵入し、遅延信管で所定の深さ、あるいは補強施設のレベルで爆発させることができる。



https://twitter.com/i/status/1887712919036797331




 その後の複数報告によれば、ナスラッラを殺害した攻撃は、ヒズボラに潜入し、引きこもり指導者の動きを把握するためのイスラエル情報機関の数十年にわたる努力の結果であった。 ヒズボラのサプライチェーンにポケットベルや小型爆発物を含む電子機器を送り込んだイスラエルの前例のない行為は、ヒズボラへの深い浸透があったことを強調していた。

 イスラエルの空爆は、少なくとも8機のF-15Iが運搬したBLU-109/B弾頭を持つGBU-31/Bを使用したことが知られている。 F-15の攻撃前の画像では、8機がBLU-109/Bを搭載したJDAMを7発ずつ、合計56発を満載している。 他の報道では80発以上とされている。

 イスラエルがBLU-116/Bを受領しているかどうかは不明である。   BLU-116/Bは2000ポンド級の貫通弾で、BLU-109/Bから改良が加えられており、高度なスマート信管や12フィート近い鉄筋コンクリートを打ち抜く能力などが特徴である。BLU-109/Bの後継として、もう一つの2,000ポンド級貫通弾、BLU-137/Bの開発も少なくとも10年前には始まっていたが、その兵器が現在どの程度米軍に配備されているかさえ明らかではない。ちょうど本日、アメリカ政府はイスラエルに対し、BLU-109/B専用のJDAMキットや精密誘導爆弾、関連部品を追加で販売する可能性を承認した。

 イスラエル軍の攻撃を遠くから撮影したビデオには、1回の弾幕でバンカー・システムを完全に破壊することを狙う正確な標的設定が映っている。 空爆後に公開された画像では、巨大なクレーターやその他の衝撃エリアが、地下エリア全体に連続的な効果をもたらすように間隔を空けて配置されている。 複合施設の複数の階層を破壊するため、あるいは標的の深さがわからない場所でも目的の破壊を確実にするために、別々の信管が採用された可能性がある。地下壕が地表から60フィートの深さにあったという報告があることから、 複数のBLU-109/Bを重ねることで、単独使用の場合よりも深く「掘る」ことも、使用された可能性が高い。

 いずれにせよ、この映像は、この兵器の実際の効果や、土やコンクリートを確実に掘り進んで意図した標的に到達する能力を、おそらく我々が見た中で最も間近で見ることができる。■



Unprecedented New View Of BLU-109 Bunker Buster Strike That Killed Hezbollah’s Leadership

The video shows the moment the bunker busters struck, burrowing deep below the road and detonating with such force that the ground is lifted all around.

Tyler Rogoway, Joseph Trevithick



https://www.twz.com/air/unprecedented-new-view-of-blu-109-bunker-buster-strike-that-killed-hezbollahs-leadership


2021年10月13日水曜日

新型バンカーバスター爆弾GBU-72/B登場。全天候対応となり、威力も高い新型爆弾が北朝鮮やイランに投下される日が来るのだろうか。

 GBU-72/Bは改良型全天候対応バンカーバスター爆弾で米空軍で供用中の2千ポンド型と3万ポンド型の中間に位置する。

USAF

 

 

空軍は新型5,000ポンド級バンカーバスター爆弾となるGBU-72/Bの連続テストを成功裏に実施した。F-15Eストライクイーグルからの投下もフロリダのエグリン空軍基地そばで行った。

 

従来は高性能5,000ポンド弾あるいは高性能5,000ポンド貫通弾と呼ばれていたものだが、空軍はそっけなくテスト結果だけ発表している。飛行テストに先立ち地上テストが展開され、炸裂力他の効果測定が行われた。エグリンの第96試験飛行団によれば同基地史上で最大規模の爆弾だという。

 

USAF

5,000ポンド級 GBU-72/B バンカーバスター爆弾がさく裂するとこうなる.

 

外観上はGBU-72/Bは2,000ポンド級のGBU-31/B共用直接攻撃弾(JDAM)精密誘導弾をやや拡大してバンカーバスター弾頭のBLU-109/Bまたは改良型BLU-137/Bを装着したように見える。後者は高性能2000ポンド弾頭(A2K)として知られ、今回の5,000ポンド版ではGBU-31/Bの尾部を流用しており、GPS補正の慣性後方システム(INS)誘導パッケージをつけている。

 

外観で新型がGBU-31/Bともっとも異なるのは長く伸びたフィン(ストレーキ)が本体底部の左右についていることだ。GBU-31/BシリーズのJDAMのストレーキは本体中央部についている。

 

USAF

GBU-72/B バンカーバスター爆弾のモックアップ。

 

USAF

GBU-31/Bs にバンカーバスター弾頭を装着している

 

空軍ではGBU-72開発にはモデリング、シミュレーションを多用したのに加え、威力をさらに高める検討を加えたと説明。「モデリング、シミュレーションを使う設計では初期型がすでに量産型の例となること」とGBU-72事業主管のジェイムズ・クリトンが述べている。「これにより運用テストも早期に開始でき、設計効果を確認し、早期に改良が可能となった」

 

「GBU-72開発では強化され深く掘られた標的の撃破が課題で、かつ戦闘機場爆撃機での運用を想定した」と空軍の公式発表にある。「GBU-28等既存装備品に比べ、威力は相当大きくなった」

 

GBU-28/Bは5,000ポンド精密誘導バンカーバスターでレーザー誘導方式を採用し、空軍では1991年から供用開始している。湾岸戦争宙にBLU-109/Bではイラクの深度標的に到達できないとの懸念があった。いそぎGBU-28/BでBLU-113/B弾頭がつけられた。

 

その後GBU-28/BがNATOによるセルビア空爆で米軍が1999年に使い、アフガニスタンやイラクで2002年、2003年それぞれ投下された。米政府はその後同装備をイスラエルと南朝鮮に輸出している。

USAF

F-15E がGBU-28/B バンカーバスター爆弾を投下した。

 

弾頭にBLU-122/Bを付けた現行のGBU-28/Bの正確な性能については極秘扱いとなっているが、初期設計では地表下150フィートまで、さらに強化コンクリート15フィートを貫徹する能力があるといわれていた。GBU-72/Bはこれを上回る威力がある。

DOD VIA GLOBALSECURITY.ORG

BLU-109/Bバンカーバスター弾頭を付けたGBU-31/B、GBU9-28B、GBU-57/B大型貫通爆弾の性能を比較した図。

 

現時点でGBU-28/Bは通常弾頭のバンカーバスターとしては先に述べたGBU-31/Bと30,000ポンド級のGBU-57/B大型貫通爆弾(MOP)の中間に位置する装備となっている。空軍が保有するMOPの数はわずかで、B-2スピリットが唯一同装備の運用が可能な機材だ。核弾頭付き投下爆弾でバンカーバスター機能があるのはB61-11、B83-1があるが、通常の作戦には投入せず、しかも精密誘導方式でもない。

USAF CAPTURE

GBU-57/B MOPを投下するB-2

 

そのためGBU-72/Bのバンカーバスター機能向上でGBU-31/Bで対応不能だがMOPの投入までは必要がない標的への攻撃が期待される。将来の戦役では深部構築された標的が不足する事態は考えにくいのであり、イランや北朝鮮がまず想定されるが、投入手段で選択の幅が広がり現地で重宝されるはずだ。

 

さらに、GBU-72/BでJDAMの GPS/INS 誘導方式を採用していることで米空軍は全天候下での作戦実行が可能となる。GBU-28/Bのレーザー誘導では雲や霧など天候条件に精度が左右されかねない。GBU-72/Bでは発射機体が標的から離れた地点で投下できることが機体の生存性を高める。GPS/INS誘導方式でGBU-72/Bは固定目標の実に対応することになるが、地下深くに構築された強固な施設はどう見ても移動目標ではないだろう。

 

付け加えれば、近年の米軍の対ISIS作戦で2,000ポンド級バンカーバスター爆弾が強化標的とは言えない対象に日常的にイラクで投入されている。トンネル網や地上建屋も標的にしている。とくに後者にバンカーバスターが党かされ、遅延爆発させることで付近の建物内の住民への付随被害を押さえる効果がある。

 

GBU-28/Bに続き、イスラエルや南朝鮮といった米同盟国友邦国がGBU-72/Bの取得にも関心を示すだろう。サウジアラビア、アラブ首長国連邦も将来のイラン強化標的の攻撃を想定し同装備品を紹介されるだろう。

 

現時点では米空軍は追加テストフライトなどGBU-72/Bの運用テストは2022年まで続くとしている。本日の発表で空軍が最新のバンカーバスター爆弾の実用化に大きく近づいていることが明らかになった。■

 

 

The Air Force's New 5,000-Pound Bunker Buster Bomb Breaks Cover

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 12, 2021