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2025年5月10日土曜日

要件が緩和されればエアフォース・ワンを2027年に納入可能とボーイングが伝えてきた-(Defense One)

 Artist's conception of the VC-25B in livery selected in 2023.

Artist's conception of the VC-25B in livery selected in 2023. STAFF SGT. NICOLAS ERWIN / SECRETARY OF THE AIR FORCE PUBLIC AFFAIRS



空軍はすでにセキュリティ要件を引き下げており、ボーイングは迅速に対応できるはずなのだが


軍関係者によると、ボーイングは、空軍が要件を緩和することに同意すれば、2027年までに新型エアフォース・ワン用機材を納入できると空軍に伝えてきたという。

 VC-25Bは当初2024年に納入される予定だったが、遅延により2028年か2029年に延期され、ドナルド・トランプ大統領から世論に至るまで非難を浴びた。

 「我々は、その日付に到達するためにトレードオフされる可能性のある要件を見ており、必ずしもその日付を保証するものではないが、同社は2027年の納入を提案している」。 空軍のダーレーン・コステロ取得責任者代理は、水曜日の下院軍事委員会の海兵隊・投射戦力小委員会の公聴会でこう語った。

 しかし、コステロは、ボーイングが提案したトレードオフのいくつかは実施されないかもしれないので、空軍はホワイトハウスと協力し「機材の能力の観点から何が受け入れられるか」は決定済みと警告した。

 コステロの声明によれば、遅延の原因のいくつかは、内装を製造するサプライヤーとの問題、「配線設計」、労働力の制限にある。

 「ボーイングがより早く仕事を進められるよう、すでにいくつかの手を打っている。「また、一定期間、生産施設のセキュリティ要件の一部を緩和した。永続的な緩和にはならなくても、そのおかげでボーイングは、航空機の組み立てや整備士による作業をより効率的かつ生産的に行えるようになっている」とコステロは語った。

 ボーイングは今年初めにも、トランプ大統領の顧問イーロン・マスクと協力し、新型機の納入を早めるために努力していると述べていた。

 ボーイングの遅れに不満を募らせたトランプは、L3ハリスにかつてカタール王室が所有していたボーイング747を改造して暫定的に使用するよう依頼したと、『ウォール・ストリート・ジャーナル』が5月1日に報じた。 同紙は改造機は早ければ今秋にも大統領専用機として使用できるようになると報じている。

 米国がカタールのジェット機を改修するためどの資金を使うのか、またこの動きが現在の契約にどのような影響を与えるのかはまだ不明だ。

 一回目の任期中に、トランプ政権はボーイングと39億ドルの契約を結び、2機の747ジェット機をVIP仕様に改造した。この固定価格契約がボーイングに24億ドル以上の損失をもたらした。■


Boeing says it can deliver Air Force One in 2027—if requirements are relaxed

The Air Force has already lowered security requirements so Boeing can move faster.


BY AUDREY DECKER

STAFF WRITER

MAY 8, 2025


https://www.defenseone.com/threats/2025/05/boeing-says-it-can-deliver-air-force-one-2027if-requirements-are-relaxed/405163/


2025年5月9日金曜日

「暫定的な」エアフォースワン代替機が登場する可能性(The War Zone)—なぜここまで時間がかかるのか不思議と思われるかもしれませんが、トランプ任期中に登場しないのは確実なようですが、747に執着する理由がわかりません

 WASHINGTON, DC - APRIL 07: U.S. President Donald Trump (R) speaks alongside Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu with a model of Air Force One on the table, during a meeting in the Oval Office of the White House on April 7, 2025 in Washington, DC. President Trump is meeting with Netanyahu to discuss ongoing efforts to release Israeli hostages from Gaza and newly imposed U.S. tariffs. (Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)  

ケビン・ディーツ/ゲッティ・イメージズ


ボーイングのVC-25Bの納期遅延が積み重なる中、トランプはカタールの王族専用機747を、簡素なエアフォースワンに改造する計画を検討しているという報道がでてきた  

ナルド・トランプ大統領の代替エアフォースワン探求が新たな展開を迎えたと報じられている。L3ハリスが、カタール王家が所有していたボーイング747-8を改造する計画が浮上してきた。背景には、ボーイングVC-25B大統領専用機2機の製造遅延が長期化している状況がある。既存の2機のVC-25Aは1990年に就役したもので、維持が困難になってきており、代替機が必要だからだ。しかし、通信、セキュリティ、生存性に関する厳格な要件を考慮すると、一時的な「代替機」の実現可能性には大きな疑問が残る。

 ビジネスニュースチャンネルCNBCの報道によると、L3ハリス敵の路地ーずは元カタール航空の747型機の改造作業に着手する。同チャンネルは「件に精通した関係者」の話を引用しているが、この人物はメディアへの発言権限がない。TWZはL3ハリスにコメントを求めているが、回答は得られていない。興味深いことに、先月、同社がトランプの個人用ボーイング757(通称「トランプ・フォース・ワン」)の通信システム改造に関与しているとの報道が浮上してた。


ROME, ITALY - APRIL 25: U.S. Air Force One upon arrival at the at Fiumicino Airport on April 25, 2025 in Rome, Italy. Pope Francis died on Easter Monday, aged 88. His Funeral will be held in St Peter's Square in the Vatican tomorrow morning. (Photo by Marco Mantovani/Getty Images)

2025年4月25日、ローマのフィウミチーノ空港に到着したVC-25A型エアフォースワン。バチカンでのフランシスコ教皇の葬儀に出席するため。写真:マルカオ・マントヴァーニ/ゲッティ・イメージズ


 今年初頭、トランプが次期エアフォースワンの代替案を検討しているとの報道が流れていた。フロリダ州パームビーチ国際空港で元カタール王族のジェット機を視察したとの情報もあった。この2012年製造の機体は当初カタール王族の所有だったが、その後改装され、私有機に移行していた。

 米空軍は現行のエアフォースワン機群(747-200型をベースにした2機のVC-25A)の置き換えを待っている。世界では747-200型はほぼ退役しており、部品調達やメンテナンス支援が年々困難かつ高コスト化している。代替機として指定されているのは、ボーイングが747-8i旅客機から改造中の2機のVC-25Bだ。

 747の生産は2022年12月に完全終了したため、VC-25Bは既存の2次使用機体から改造されている。このプロセスは決して簡単ではない。一部の製造会社が倒産したため、機体部品の調達に問題が生じ、また「進化する潜在的脅威」に対応するため要件変更も影響している。

 最初の飛行試験の予定は2026年3月に昨年夏に延期されており、これで16ヶ月の遅延となった。

 ところが今週初めに、VC-25Bの納入が2029年まで延期される可能性が確認された。これにより、トランプは2期目中に同機を使用する機会を失うことにななる。当初は2024年12月に納入が予定されていた。


ボーイング747-8iジェット機のうち、VC-25B空軍1号機として改造中の1機が、2019年3月にテキサス州へ向けて出発し、改造作業を開始した。マット・ハートマン/ショアローン・フィルムズ


 重なる遅延により、ボーイングは固定価格契約の同プログラムで20億ドルを超える損失を計上している。

 これらの航空機には既に莫大な費用がかかっており、航空機本体だけで約$47億ドルの費用が見込まれている。これほど高額な航空機は過去に例がなく、これ以外にメリーランド州アンドリュース空軍基地に建設予定の約$2億5,000万ドルの巨大新格納庫などの追加費用が発生する。VC-25Bの取扱マニュアルだけでも数千万ドルの費用がかかる。

 新しいエアフォースワンの威信、膨らむコストと遅延、そしてトランプ大統領の豪華航空機への執着と経験が、第45代・第47代大統領がこのプログラムに個人的な関心を示す要因となっている。

 トランプは、ジェット機のコストを削減したと主張しているが、その主張には議論の余地がある。再選後、彼はプログラムを軌道に戻すため、さらに積極的に取り組むようになった。

 今年初めの報道によると、トランプは2機のVC-25Bの納入を加速する方法を検討し、その一環で事業に携わる職員のセキュリティクリアランスの緩和も検討されている。


WASHINGTON, DC - JUNE 20: A model of the proposed paint scheme of the next generation of Air Force One is on display during a meeting between U.S. President Donald Trump and Canadian Prime Minister Justin Trudeau in the Oval Office of the White House June 20, 2019 in Washington, DC. The two leaders are expected to discuss on the trade agreement between the U.S., Canada and Mexico. (Photo by Alex Wong/Getty Images)

トランプ大統領が最初の任期中に選んだ塗装を施したVC-25Bのレンダリング。写真:Alex Wong/Getty Images Alex Wong


 「政府効率化省」(DOGE)の実質的なリーダーとされるイーロン・マスクも招き入れられた。

 ボーイングのCEOケリー・オルトバーグは今年1月、CNBCに対し「イーロンと協力してスケジュールを前倒しする方法を模索している」と述べていた。「イーロン・マスクは要件の整理に非常に協力してくれており、これによりより迅速に大統領に航空機を納入できるよう努めています」。

 こうした努力がVC-25Bプログラムの活性化にどれだけ成功しても、スケジュール内に航空機を就役させることは期待されていない。

 このため一時的な「エアフォースワン」の候補として、元カタール航空の747-8が選ばれたとの報道が出てきた。

 最新の報道によると、L3ハリスは既に、超豪華な747-8iを米国大統領専用機に変換する計画で選定された可能性がある。同社は、この規模と範囲のプロジェクトを遂行できる数少ない企業の1つで、他の主要な請負業者としては、以前747機体をベースにした高度に専門化されたサバイバブル・エアボーン・オペレーションズ・センター(SAOC)機材の納入を請け負ったシエラ・ネバダ・コーポレーション(SNC)がある。


オハイオ州デイトンにあるSNCの新ハンガー内の747-8の内部と外部のレンダリング。SNC


 それでも、この航空機がボーイングが空軍1号機として改造中のVC-25Bより大幅に早く運用開始できるかどうかはわからない。改造された元カタール航空のジェット機の早期導入には、VC-25Bと比べ大幅に仕様を削減した航空機が必要となる。

 昨年12月、マスク氏がテキサス州サンアントニオのボーイング施設を訪問し、VC-25Bの生産加速方法を検討した際、その可能性の一端が示されていた。セキュリティクリアランス問題に加え、マスクはプログラムに組み込まれた飛行試験の期間についても批判的だったと報じられている。

 「軍事装備を大幅に削除し、大統領が商業用機能を備えた新しい機体で飛行できるようにし、最小限の軍事アップグレードを加えるというアイデアでした」と、マスクのサンアントニオ訪問後に匿名元国防総省高官がニューヨーク・タイムズに語った。

 エアフォースワンに類似したジェット機を迅速に導入する方法は存在するが、最終製品が「政府機能の継続」という重要ミッションの厳格な要件を満たすかどうかは極めて疑問だ。これには、核抑止力の基盤となる国家指揮権限(NCA)との即時接続能力や、核戦争を含む極限状況下での運用能力が含まれる。このような航空機には、電磁パルス(EMP)への耐性強化、広範なセキュア通信システム、大規模な発電能力、非常に包括的な自己防衛システムなど、数多くの主要な改修が不可欠だ。

 以前も指摘したように、元カタール航空の747-8はこれらの厳しい要件を満たすのに適さない。そこで空軍が「1年以内に暫定的なジェット機を運用開始する」と述べた点を考慮する必要がある。

 トランプとマスクには他のアイデアがあるかもしれない。その一つは、元カタール機を、大統領の空輸任務の既存要件に適さない基本的な構成で運用することだ。その後、最終的に納入された「フルスペック」のエアフォースワンを運用する可能性がある。しかし、これはホワイトハウス、シークレットサービス、空軍にとって問題を引き起こすだろう。大統領が空中で活動する際の全手順を再構築する必要が生じるためだ。大統領の安全リスクも増加し、既存の要件を満たす能力を持つ航空機がないことを前提に、重大な緊急対応策を構築する必要が生まれる。


現在の機体色を再現したVC-25Bのレンダリング。米国空軍


 次に予算の問題がある。代替機プロジェクトの資金はどのように調達されるのか?機体自体に数百億ドルかかり、通信や防御システムの最小限の改修だけでもさらに莫大な費用がかかる。テストも必要であり、VC-25Bが完成した後は、その機体はどのように扱われるのか?これらすべてを解決する必要がある。また、DOGEの時代に、大統領が数年間新しいジェット機を楽しむだけの暫定的な代替機調達を急ぐことは、多くが「無駄の極み」と批判するだろう。特に、既存のVC-25Aがまだ運用中で、国内旅行ではC-32A機群がエアフォースワン任務を頻繁に遂行している現状では、なおさらだ。

 これらを考慮すると、この計画は相当現実離れしているように思えるが、一つ確かなことは、トランプ大統領がエアフォースワン計画に引き続き強い関心を示している点だ。したがって、さらなる劇的な展開がないとは言い切れない。■


Is An ‘Interim’ Air Force One Replacement Even Feasible?

Reports state that Trump is looking to convert a Qatari royal flight 747 into a less exquisite Air Force One as Boeing's delays on the VC-25Bs stack up.

Thomas Newdick, Tyler Rogoway

Published May 2, 2025 2:39 PM EDT


https://www.twz.com/air/is-an-interim-air-force-one-replacement-even-feasible


トーマス・ニューディック  

スタッフライター  

トーマスは、軍事航空宇宙分野と紛争に関する報道で20年以上の経験を持つ防衛分野のライター兼編集者です。数多くの書籍を執筆し、編集を手がけ、世界有数の航空専門誌に多数寄稿しています。2020年にThe War Zoneに参加する前は、AirForces Monthlyの編集長を務めていました



2025年2月25日火曜日

トランプ大統領、エアフォースワンの納入を早める選択肢を検討(The War Zone)―しびれを切らし、いろいろな策をマスクと検討するようですが、空軍の求める仕様にも根拠があるので一気に解決とはいかないでしょう

 


AF1 trump model  

(PHOTO BY ALEX WONG/GETTY IMAGES)



2機調達するVC-25Bの納入遅延とコスト超過を受け、トランプ大統領は問題解決のためイーロン・マスクに協力を要請した模様


ナルド・トランプ大統領は、納入が2029年以降になる可能性が出てきた次期大統領専用機エアフォースワンの代替案を検討しているようだ。カタール首長家がかつて所有していたボーイング747-8を最近視察したほか、トランプ大統領は、大統領専用機VC-25Bの2機納入を早める方法を探っていると伝えられている。その方法には、同機に関わる作業者のセキュリティクリアランスを緩和することが含まれる。

 2機のVC-25Bは、747-8i旅客機からの転用であり、1990年に就航した2機の現行のVC-25Aに交代するが、VC-25Aはサポートが一層困難になっている旧型747-200をベースとしている。


DAYTONA BEACH, FLORIDA - FEBRUARY 16: Air Force One is seen landing for U.S. President Donald Trump's visit to the NASCAR Cup Series Daytona 500 at Daytona International Speedway on February 16, 2025 in Daytona Beach, Florida. (Photo by Chris Graythen/Getty Images)

2025年2月16日、フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズのデイトナ500に、ドナルド・トランプ大統領が専用機VC-25Aで訪れた際の着陸の様子。 写真:クリス・グレイゼン/ゲッティイメージズ クリス・グレイゼン

747-8iは、ボーイング747の最終型で、747シリーズ全体の生産は2022年12月に完全に終了している。これにより、新型大統領専用機エアフォース・ワンは、既存の中古機体を改造して製造する必要が生じ、それには独自の課題が伴う。

 新型エアフォースワンの最終契約は、前トランプ政権下で交渉されたが、それ以来、そのプロセスはスムーズとは程遠い。昨年夏には、VC-25Bの初飛行が2026年3月に延期され、16ヶ月の遅れが生じた。

 長年の遅延に加え、ボーイングは固定価格ベースで交渉されたこのプログラムで20億ドル以上の損失を計上している。すでに途方もなく高額な新型エアフォースワンは、機体だけで約47億ドル(約5,120億円)の費用がかかり、史上最も高価な航空機となる。メリーランド州のアンドリュース空軍基地に建設される総工費約2億5,000万ドル(約275億円)の巨大な格納庫などの付随費用を加えると、プログラム全体の費用は約53億ドル(約5,810億円)となる。これは、トランプ大統領がジェット機のコストを大幅に削減したと主張していることが広く報じられていることを考慮したものであるが、その主張に議論の余地がある。

 『Breaking Defense』によると、12月中旬時点で、空軍は納入の「スケジュールを検証中」で作業は今春までに完了する予定。その後、空軍は「スケジュールリスク評価を実施し、納入日や運用能力など、主要なマイルストーンの日程を修正する」。


今週初め、VC-25Bは2029年以降に納入される可能性があることが明らかになった。これは、トランプ大統領が2期目の任期満了前に同機で飛行する機会を得られないことを意味する。

 当初、最初の機体は2024年12月納入予定だったが、その後ボーイングは少なくとも2027年か2028年まで納入を延期すると発表ていた。

 この最新の延期は、ホワイトハウス高官がロイター通信に確認したもので、その理由にサプライチェーンの問題と要件の変更を挙げている。同高官は、遅延は2029年を「数年」超える可能性があると述べている。

 ある政府高官は、一部メーカーが倒産したため、航空機の部品調達に問題が生じていると指摘した。同時に、報告書によると、一部の要件は「進化する潜在的な脅威」に基づいて修正されているという。

「大統領は飛行機をもっと早く欲しいと思っている。そのため何ができるか検討している」と、ボーイングのケリー・オルトバーグCEOは先月語った。

 遅延の増加に苛立ちを募らせたトランプ大統領は、盟友イーロン・マスクを巻き込むなど、より直接的なアプローチを取っているようだ。

ボーイング社のオルターバーグ氏はCNBCの取材に対し、「スケジュールを前倒しするために何ができるか、イーロンと協力している」と先月末語っていた。

 オルターバーグは本日、さらに次のように述べた。「イーロン・マスクは、要求事項を満たす上で、非常に協力してくれています。これにより、私たちはより迅速に作業を進め、大統領に航空機を納入することができます」。

 ニューヨーク・タイムズ紙が本日報じたところによると、トランプがマスク氏と検討している可能性のあるオプションの詳細が明らかになった。同紙は、この議論に詳しい5人の匿名関係者の話として報じている。

 中で最も過激なオプションは、「大統領専用機で働く一部職員のセキュリティクリアランスの基準を緩和する」というもので、これにより、ボーイングは、現在必要とされている最高レベルのヤンキーホワイトセキュリティクリアランス(大統領や副大統領と接触する軍関係者で必要となるものと同じ)を保有していない労働者をVC-25Bに採用できるようになる。報道によると、当局は最も機密性の高い部分に関与しない従業員に対するクリアランスの緩和のみを検討しているようだ。

 このような動きが実現した場合の影響は重大で、エアフォースワンのプラットフォームのあらゆる側面は、その任務にふさわしい最高レベルのセキュリティを確保するため綿密に調整されている。ボーイング関係者は、一部のセキュリティ基準を緩和することは可能と主張しているものの、大統領の安全、ひいては米国の安全保障を脅かす可能性があるものは、明らかに受け入れられるものではない。

 また、マスクは飛行試験のプログラムに組み込まれた時間でも批判的であると伝えられている。しかし、エアフォースワンの安全要件を損なう可能性のある動きは、特にそれが数ヶ月早く就役させることだけが利益である場合、受け入れられる可能性は低い。

 報道によると、マスクは昨年12月にテキサス州サンアントニオのボーイング施設を訪問し、VC-25B生産を加速させる方法を模索した。「軍事装備の多くを取り外し、大統領に商業能力を備えた格好の良い新型機を提供し、必要最低限の軍事用アップグレードを行うというアイデアでした」と、匿名の元国防総省高官がニューヨーク・タイムズ紙に語った。

 確かにそれは実現可能だろうが、最終結果は、重要な「政府の継続」という任務を遂行する能力(や、核戦争後のような最も過酷な状況下での運用能力など、エアフォースワンの要件をほとんど満たさないだろう。電磁パルス(EMP)の影響にも耐えられるように設計されているだけでなく、VC-25には非常に精巧な通信システムが搭載され、携帯式防空システム(MANPADS)やその他の地球上のあらゆる場所で発生する脅威に対する単一の自己防衛システムとして最も優れた機能を備えていることも念頭に置くべきだろう。


 記事では、別の機体の購入も検討されており、その機体は急遽改修され、VC-25Bが使用可能になるまでの暫定的な輸送機として使用される予定であると述べている。

 これは、土曜日にフロリダ州パームビーチ国際空港でトランプが視察した747-8を指している。この12年落ちの航空機は、以前はカタール首長家の所有であったが、その後改修され、現在は個人所有となっている。

 ホワイトハウスは、トランプ大統領が元カタール航空機の「あらゆる構成」を、新型のVC-25Bと比較するため見たかったと発表したが、ニューヨーク・タイムズ紙は、大統領が実際には空軍に購入させたいのではないか、と示唆している。

 元カタールの747-8が実用的なソリューションを提供できるかは極めて疑問だ。特に、空軍が「1年以内」にジェット機を改修して使用したいという希望が報じられている。結局のところ、暫定的な使用であっても、航空機には大規模な改造作業とそれに続く認証が必要であり、このような短期間ですべて達成できるとは到底考えられない。ましてや、VC-25Bよりもはるかに容易に達成できる理由も考え柄に。元カタール航空の747-8が、基本的な構成で急遽就役させられた場合、最終的にVC-25Bが到着した際には、空軍に標準外の大統領専用機が残されることになる。

 また、トランプ大統領がカタール機を視察したのは、ボーイングに対しシグナルを送るためだった可能性もある。

 もう一つの提案は、ボーイング社のエアフォースワンの契約を完全に打ち切り、他の請負業者にその仕事を任せるというものだ。最も明白なのは、高度に専門化された生存可能な空中作戦センター(SAOC)航空機群の納入契約を結んでいるシエラネバダ(Sierra Nevada Corporation、SNC)だろう。これらは、老朽化が進む空軍の747-200型機E-4Bナイトウォッチ「終末の日用機」に代わるものだ。しかし、トランプは過去にボーイングのビジネス慣行を繰り返し批判してきましたが、現段階でこのような急進的な動きを見せても、新型のエアフォースワンの就役が早まる可能性は低い。

 今後どのような展開になるにせよ、ボーイングのVC-25Bの取り組みは、空軍の調達プログラム運営で避けるべき教訓事案となっている。


 すでに、プログラムに関わる作業員のセキュリティクリアランスの不備や機体から空の酒瓶が発見されるなど問題が発生している。また、機体構造に小さな亀裂が発見され、修理が必要となった。


現行のエアフォース・ワンVC-25Aに近い塗装が施されたVC-25Bのレンダリング画像。バイデン大統領は、前任のドナルド・トランプ大統領が就任1期目に下した決定を覆していた。納入スケジュールによっては、トランプ案が再び検討される可能性もある。USAF


新型エアフォースワンの最大の話題のひとつは、機体塗装だ。トランプは、ケネディ大統領時代に遡る歴史の詰まったクラシックなデザインを廃し、自身の赤、白、青の配色に変更したいと考えている。機体納入が2030年近くまでずれ込めば、決定はできなくなる可能性もある。プログラム遅延により、トランプが次期大統領に選出された後にエアフォースワンの塗装に関する問題が再び浮上した。


塗装の議論であれ、航空機やその性能に関するより劇的な変更であれ、新型エアフォースワンのプログラムは常に物議を醸してきた。しかし、トランプ政権下で同機がこれまで以上に厳しい監視の目にさらされることは明らかだ。■


Trump Mulls Options To Accelerate Delivery Of Air Force One Jets

Amid delays and cost overruns for the two VC-25Bs, Trump has apparently called upon Elon Musk to help address the problems.

THOMAS NEWDICK


https://www.twz.com/air/trump-mulls-options-to-accelerate-delivery-of-air-force-one-jets


2024年12月18日水曜日

ボーイングによる新型エアフォースワン引き渡しは2029年以降へ(Breaking Defense)―どうして国防関連の調達事業がことごとく遅延しているのでしょうか。VC-25Bは当初今年に姿を現すはずが、トランプ大統領の任期終了後に...

 Air Force One and the Air Guard

2014年1月30日木曜日、エアフォース・ワンの着陸装置の周りにチョックを設置する準備をするエミリー・オルブライト一等空佐(中央)。  (U.S. Air National Guard photo by 1st Lt. Nathan T. Wallin/Released)


ーイングが進めている2機の新型エアフォース・ワンを提供するプロジェクトが、新たな遅れに直面している。

非公開情報を共有するため匿名を要求した情報筋によれば、空軍はボーイングが軍事化されたジャンボジェットをいつ納品できるか検証中で、2029年よりさらに遅くなる可能性があるという。

トランプ前政権下で交渉されたエアフォース・ワンの契約は、20億ドルを超える損失や数年にわたる遅延など、巨大な逆風の中でボーイングにとって痛みを伴うものとなった。本誌が以前報じたところによると、同機の初飛行は2026年3月に予定されていた。ウォール・ストリート・ジャーナルが最初にこの新しい納期を報じた。

空軍の広報担当が本誌に語ったところによると、ボーイングは春に新たなマスタースケジュールを提示する予定だという。提出されれば、空軍は「スケジュール・リスク・アセスメントを実施し、航空機の運用開始時期など重要なマイルストーンの修正日程を決定する」という。

政府関係者は、2026年9月に初号機を納入するものの、スケジュールに1年の余裕を持たせた2022年の修正スケジュールでは、プログラムが約2年から3年遅れると予想していた 2機目は2027年2月に納入されることになっており、こちらも1年の余裕がある。修正された計画では、ジェット機がいつ到着するかは明確になっていない。

ボーイングは、このプログラムで契約している2機の747型機の改修において、サプライチェーンから労働力まで、多くの課題に直面してきた。 この新たな遅れは、2機のジェット機の交渉に自ら介入したドナルド・トランプ次期大統領が、2期目の任期終了までに新型エアフォース・ワンに搭乗できない可能性が高いことを意味する。最初のジェット機は当初、今年中に納入される予定だった。

トランプ氏がホワイトハウスに戻ることで、航空機のデザインも白と水色から白、赤、紺色へと再び変更される可能性があると、ポリティコは以前報じていた。空軍の報道官は本誌に対し、同機の「カラーリング・オプション」は昨年に最終決定されていると語った。■

First delivery for Air Force One slides to 2029, source says

By   Michael Marrow and Valerie Insinna

on December 16, 2024 at 12:52 PM

https://breakingdefense.com/2024/12/first-delivery-for-air-force-one-slides-to-2029-source-says/


2024年6月17日月曜日

新エアファースワンとなるVC-25Bの完成はさらに遅れる見込み---初飛行は2026年にずれ込むと空軍が発表


VC-25Bはトランプ政権末期に契約が交付され、一時はトランプの好みの塗装案となっていたものをバイデンが現行機に近いものに変更させていましたが、肝心の機体改修が進まず、このままだと次の大統領の在任中にかろうじて稼働開始となりそうです。バイデンが落選し、トランプが当選すれば再び塗装は変更されるのでしょうか。注目です。Breaking Defenseが伝えています。

Boeing VC-25A

A VC-25A Air Force One aircraft sits on a ramp at Offutt Air Force Base, Nebraska during a brief stop Jan. 22. The aircraft is one of two modified Boeing 747 Airliners that serve as a transport aircraft for the President of the United States. (U.S. Air Force Photo by Josh Plueger/Released)


ボーイングは大統領専用機の工程表を再び修正中で、作業はさらにずれこむ

ーイングが延期を繰り返している次期大統領専用機VC-25Bは、初飛行が2026年3月とさらに16カ月延期され、逆風に直面している、と米空軍の広報官がBreaking Defenseに語った。

工程表は2022年に見直されたが、さらなる遅れているようだ。ブルームバーグの以前のレポートによると、プログラムは重要な目的2つで、遅れていた。ひとつは初号機の「パワーオン」で、これは地上でのサブシステムのテストで、先月に予定されていた。もうひとつは、今年11月に予定されていた初飛行である。

しかし、現在の空軍はパワーオン・ステップを2025年7月以降、初飛行は2026年3月より先と予想している。空軍関係者は、2026年9月に初号機を納入する予定だったが、スケジュールに1年の余裕を持たせていた2022年の修正後工程表では、約2~3年遅れると予想し、2機目は2027年2月に引き渡される予定だったが、丸1年の余裕がもたせてあった。

空軍の広報官は、ボーイングは再び工程表を「更新中である」と述べ、「その結果、提示済み日付が変更される可能性が出てきた」と述べた。次回の工程表更新は今年の夏以降になる見込みで、これが納期にどのような影響を及ぼすかは不明である。ボーイングはコメントを控えた。

KC-46A給油タンカーでの驚異的な損失と並んで、VC-25Bプログラムは、ボーイング幹部が国防総省との不利な固定価格契約であったと認めている。現CEOのデイブ・カルホーンは昨年、トランプ政権下で前CEOが交渉したVC-25Bプログラムは「ボーイングがおそらく取るべきでなかった、非常にユニークな一連のリスク」だったと投資家たちに語った。

ボーイングは、大統領専用機の更新の取り組みだけで、これまで20億ドル以上の損失を出している。航空宇宙大手のボーイングは当初、一号機を今年納入の予定だった。

労働力の混乱などの問題が、2機の民生仕様747を軍事化する巨大な取り組みのスケジュール変更を生んだ。航空機の内装を担当する下請け会社が倒産し、ボーイングは新たなサプライヤー選定を迫られた。パンデミック(世界的大流行)の労働力への影響もボーイングの計画を妨げた。同社はさらに、適切なクリアランスを持っていなかった社員がプログラムに携わり、国防総省の監視を受けたという特殊な問題にも直面しなければならなかった。

政府説明責任局が昨年報告したところによると、開発上の問題もあった。例えば、「ボーイングは想定外の設計ミスを多数発見し、2022年3月に配線製作を中止した」と報告している。■

First flight of new Air Force One jet slips to 2026, Air Force says - Breaking Defense

By   MICHAEL MARROW

on June 14, 2024 at 7:32 PM



 

2023年11月23日木曜日

ボーイング防衛事業はどうなっているのか。難航するVC-25B開発事業で5億ドルさらに損失が発覚。

 



Boeing VC-25A

1月22日、ネブラスカ州オフト空軍基地のタラップに停泊中のVC-25Aエアフォース・ワン。同機は、米国大統領の輸送機として使用されるボーイング747旅客機を改造した2機のうちの1機。. (U.S. Air Force Photo by Josh Plueger/Released)

「この四半期および通年の実績は残念な結果に終わった。業績は予想を下回り、期待していたほど回復が進んでいない」とブライアン・ウェスト最高財務責任者(CFO)は述べた

ーイングの防衛事業は、2023年第3四半期に10億ドル近い損失を計上した。これには、VC-25Bとして知られるエアフォース・ワン後継機での5億ドル近い損失が新たに明らかになったことが大きい。

固定価格での開発契約とサプライチェーンの苦境にあえぐボーイングは、少なくとも2025年から2026年までの防衛事業の赤字が続くと投資家が気を引き締めている。しかし、ボーイング・ディフェンス、スペース&セキュリティ(BDS)の目を見張るような第3四半期の損失は容認できるものではなく、回復計画から逸脱していることが今日明らかになった。

「今四半期および通年業績は期待外れでした。業績は予想を下回っており、現段階で期待していたほど回復が進んでいない」と、ブライアン・ウェスト最高財務責任者(CFO)は本日の決算説明会で述べた。

本日の決算説明会でウェストCFOは、「BDSが第3四半期にマイナスになると警告していたことを考えれば、この赤字は投資家にとってまったくの驚きではない」と述べた。しかし、同社全体の四半期損失は、金融アナリストの予想より悪化した。ウェストは本日、ボーイングのフリーキャッシュフローは通期で30億ドルから50億ドルの範囲にとどまるが、「下限 」に近づく可能性が高いと述べた。

ボーイングの決算発表によると、同社は2023年第3四半期にBDSの費用として9億2400万ドルを計上したが、これは2022年第3四半期に開示された28億ドルの損失以来、最大となった。この直近の損失は、VC-25Bプログラムに関する4億8200万ドルに起因するもので、「エンジニアリングの変更や労働力の不安定さ、サプライヤー交渉の解決に関連する製造コストの見積もり額の上昇」によるものだと、同社のリリースは述べている。

ボーイング広報によれば、VC-25Bプログラムはボーイング社にとって問題児であり、その固定価格制のため同社は現在まで24億ドル以上の損失を余儀なくされている。2018年に当時の最高経営責任者(CEO)デニス・ミューレンバーグがドナルド・トランプ大統領(当時)と交渉した同事業の契約は、同社の現指導部を悩ませており、現CEOのデイブ・カルホーンは昨年の決算説明会で、同契約は「ボーイングがおそらく取るべきでなかった非常にユニークな一連のリスク」をもたらしていると述べてた。

今四半期の2番目に大きな損失要因は、「衛星契約での3億1,500万ドルの損失」であった。ボーイングは問題のプログラム名を挙げていない。

ウェストCEOはさらに、決算説明会で、「海軍向け給油ドローンMQ-25 スティングレイが主な原因の、総額1億3600万ドルのコスト圧力があった」と述べた。

ロッキード・マーチンが空軍の次期タンカー調達の検討から手を引くというニュース(アナリストはボーイングのKC-46Aに軍配が上がると見ている)を受け、カルフーンはエアバスが単独で契約を追求することに「驚きはない」と述べ、「競争において最終的に当社のためになることが好きです」と彼は付け加えた。

打撃を受けたのは防衛分野だけではない。同社は、スピリット・エアロシステムズ社とのサプライヤー問題もあり、人気の民間旅客機737 MAXの今年の納入予測を下方修正した。スピリットは元ボーイング幹部(元ペンタゴン高官)のパット・シャナハンを暫定CEOとして迎え入れた。

「回復の過程で、当社は一歩を踏み出せないでいるのでは、と思われる方がいらっしゃるようです。私がその正反対だと考えていると聞いても、皆さんは驚かないかもしれません」とカルフーンは語り、「品質プロセスの厳格化」と、問題を積極的に特定するため「発言する文化」の醸成を強調した。■

Air Force One replacement tops $2B in charges as Boeing logs new losses

By   MICHAEL MARROW

on October 25, 2023

https://breakingdefense.com/2023/10/air-force-one-replacement-tops-2b-in-charges-as-boeing-logs-new-losses/?_ga=2.30594431.1119431108.1698269032-597485026.1697798023