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2025年3月20日木曜日

国境警備任務にU-2の投入を米空軍が確認(The War Zone)―トランプ大統領の国境の安全確保の公約は本気です。有言実行がモットーなのでしょう。U-2まで投入するところに本気度が伺えますね


USAF


国境監視飛行任務は、引退目前のU-2の幅広い用途をあらためて示している

空軍参謀総長デイヴィッド・オールヴィン大将は、U-2ドラゴン・レディ偵察機がメキシコ国境付近を飛行していることを確認した。ドナルド・トランプ大統領の下、南西部の国境警備にあたる米軍活動は増加しており、RC-135V/Wリベット・ジョイント情報・監視・偵察(ISR)機とドローンの使用も確認された。

「週末を迎える中、主権を回復し、アメリカのコミュニティを守るため国境でアメリカ北部司令部にた一貫してISR支援を提供しているU-2、RC-135、RPA(遠隔操縦機;ドローン)のクルーに感謝したい」と、オールヴィンは本日Xに投稿した。 「ご安全に、そしてありがとう」、

Xのスクリーンショット

CNNは2月、南西部国境沿いの現在の作戦を支援するためU-2が使用されていることを、無名の当局者の言として最初に報道した。その後RC-135V/Wや米海軍のP-8Aポセイドン海上哨戒機が、カリフォールニア湾上空を含むメキシコ周辺の偵察任務を飛行しているというニュースが続いた。

オールヴィン大将が本日Xへの投稿で掲載した、RC-135Vリベット・ジョイントの搭員の写真。米海軍が以前公開した、メキシコとの国境沿いで任務中のP-8A哨戒機に搭乗する隊員を写したUSAFAの写真。 米海軍2等兵曹 アンディ・アンダーソン

2月には、中央情報局(CIA)がMQ-9リーパー無人偵察機を使ってメキシコ領空内で監視飛行を行っているとの報道もあった。その後、メキシコ当局は、米国政府が国内で空中ISR作戦を実施したこと、そのおかげでカルテル幹部少なくとも2名が逮捕されたことを確認した。

今週初め、本誌はカリフォーニア州のビール空軍基地の第9偵察飛行隊(空軍のU-2拠点)に、国境警備活動を支援するU-2に関する詳細情報を問い合わせた。問い合わせは、まず航空戦闘司令部(ACC)、次に北アメリカ軍司令部(NORTHCOM)に転送された。

2024年、いわゆる「エレファント・ウォーク」準備訓練中のビール滑走路でのU-2他の航空機。 アメリカ空軍

「現時点では、南部国境ミッションに関連する特定のISRプラットフォームについてはコメントしていない」と、NORTHCOMの広報官は水曜日に本誌に語った。「ISR任務をサポートしていることは認めるが、プラットフォームについて具体的に述べるつもりはない」。

「南部国境における国防総省の任務を支援するためISR資産をどのように使用しているかについて具体的な話はしない」と、同じ広報官は、オールビンがXに投稿した後のフォローアップに応えて、今日付け加えた。

U-2は各種センサーを搭載でき、国境警備で有用な機能を提供することができる。本誌が2021年に書いたように、南西部の国境沿いを飛行している第9偵察飛行隊U-2を追った:

「空軍のU-2Sは、パノラマカメラやその他の広角カメラ、レーダー画像システムなど、各種センサーを搭載することができる。これらの航空機のうちの1機が、特定の瞬間の国境の活動のスナップショットを比較的迅速に取得する方法を提供する可能性はある。同じ画像は、電気光学や熱画像では表示できない詳細を示すことができるレーダーマップを含む、一般的な地図作成目的にも有用だ。U-2はまた、通信情報収集ペイロードを運ぶことができる」。

画像や通信傍受は、特定の地域、あるいは個人やグループの、基本的な「生活パターン」を確立するのに役立つ。その結果、情報収集戦略の改良に役立ったり、空爆や地上空襲を含む作戦の計画や実行に使われることもある。

本誌が以前報告したように、U-2は2009年にも少なくとも1度、「エクイス・エメラルド」と名付けられた作戦の一環でメキシコ上空および/またはメキシコ周辺を飛行したことが知られている。飛行目的は不明でだった。

2009年の活動をカバーする航空戦闘司令部内部の歴史的レビューの目次に、エクイス・エメラルドについての言及がある。アメリカ空軍、FOIAで取得

U-2がメキシコ国境沿いでの活動を支援していることを公式に認めたのは、米軍がこの任務を拡大し続けているためである。ちょうど今日、NORTHCOMは、作戦を監督するため省庁間の合同任務部隊-南部国境(JTF-SB)を正式に立ち上げたと発表した。

「米ノースコムの指示の下、JTF-SBは、北方国境統合任務部隊(JTF-N)から、米ノースコムの一部活動と軍事力のシンクロナイザーの役割を引き受けた」。プレスリリースによれば、「JTF-SBへの権限移譲(TOA)は、南部国境を封鎖し、違法行為を撃退する努力を、全面的、機動的、全領域作戦を担当する単一の統合任務部隊の下で整列させるものであり、これにより、より効果的かつ効率的な国防総省の作戦が可能になる」。 「北統合任務部隊(JTF-N)は、米国本土内および米国本土へのアプローチに沿って、国際犯罪組織の脅威を探知・監視するという中核的任務を継続する」。

JTF-Nは、2000年代初頭から国境警備活動の支援を調整する主要な米軍組織として活動している。

2月初旬、ニューヨーク州フォートドラムの第10山岳師団(軽歩兵)本部大隊は、JTF-SB本部に必要なインフラを構築するため、アリゾナ州フォートハチュカに展開した。「JTF-SBの司令官はスコット・M・ナウマン陸軍大将である。 さらに、JTF-SBには2人の副司令官がいる。1人は米国税関・国境警備局(U.S. Customs and Border Protection)、もう1人は米国海兵隊(U.S. Marine Corps)である。

2025年3月、メキシコとの国境沿いの壁の一部にコンサーティーナ・ワイヤーを設置する海兵隊員たち。米海兵隊ナタリー・エスピティア伍長

米軍は現在、国境警備任務を支援するため、9,600人を配備しているか、配備中である。 固定翼の空中ISR資産に加え、各種回転翼機や米陸軍のストライカー旅団戦闘チームも含まれる。また、さまざまな部局が、情報アナリスト、エンジニア、憲兵、その他の人員を提供している。

少なくとも公的には、米軍はこれまで南西部国境のアメリカ側での活動に主眼を置いてきた。しかし、メキシコ国内での麻薬カルテルに対する直接行動がメキシコ当局との協力や調整なしに可能であるという議論が続いている。トランプ政権は2月、メキシコの複数の麻薬カルテル、エルサルバドルのMS-13、ベネズエラのトレン・デ・アラグアなど、ラテンアメリカの8つの犯罪組織を外国テロ組織として正式に指定した。この指定により、米国当局がこれらの組織に対して取りうる行動の範囲が拡大している。

メキシコとの国境地帯での新たな任務は、U-2を永久に退役させようとする空軍の継続的な動きの中で生まれた。一部議員には、2025会計年度の年次国防政策法案(国防授権法(NDAA))において、U-2処分を阻止する条項を推進していた。しかし、昨年署名された法案の最終版には盛り込まれなかったようだ。

一方で、U-2スパイ機を含む航空ISR資産が米軍の国境警備任務の一環として、メキシコ周辺を飛行し続けている。■

U-2 Spy Planes Are Flying Border Security Missions Air Force Confirms

Border surveillance flights show the wide array of applications for the U-2s as their retirement still looms on the horizon.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/u-2-spy-planes-are-flying-border-security-missions-air-force-confirms




 

2024年7月2日火曜日

国防予算案でU-2退役の猶予が浮上―米議会はまたもや空軍原案に反対姿勢を示している

 Congress is moving to block the Air Force from retiring or preparing to retire any U-2 spy planes in the next fiscal year.

Lockheed Martin




国防総省は、U-2の供用を2026年までに終了させる道を開こうと動いているが、後継機は依然として不透明なままだ


メリカ空軍の象徴的なスパイ機U-2ドラゴンレイディの退役を阻止しようと、議会が動いている。国防総省は昨年、空軍が冷戦時代の高空飛行ジェット機の処分を開始する道を開く権利放棄を承認した。空軍の現在の計画は、2026年に最後のU-2を売却し、まだほとんど定義されていない宇宙ベースと他の機能のISRミックスに置き換えることである。


下院歳出委員会は本日未明、来る2025会計年度の国防費法案の草案を発表した。草案には、法案が成立の場合、「本法律によって充当され、またはその他の形で利用可能となる資金」が「いかなるU-2航空機の売却または売却準備のためにも使用される」ことを明確に、例外なく阻止する条項が含まれている。


2024会計年度開始時点で、空軍は2人乗りのTU-2S練習機3機を含む31機のU-2を保有していた。


昨年まで、空軍は以前の会計年度に制定された国防政策法案(NDAA)の条項により、U-2の退役ができなかった。しかし、以前の法案には、国防総省が一定の条件を満たしていると証明できれば、由緒あるこの偵察機の退役を進める道が含まれていた。その主なものは、結果として生じる能力ギャップを費用対効果の高い方法で埋めるという主張であった。


「2023年10月30日、国防長官(ロイド・オースティン)は、2021年度NDAAの権利放棄要求の文言に従い、U-2ドラゴンレイディを売却する権利放棄に署名した。国防長官は、この放棄に署名することで、戦闘司令部が許容可能なリスクレベルで任務を遂行し続けることができると認定した」と、国防総省が4月に発表した年次戦力構成報告書は説明している。「将来のハイエンド紛争に勝利するためには、レガシーISR(情報、監視、偵察)資産を売却することによって、短期的なリスクを受け入れる必要がある。米空軍は、2026年10月1日から、残りの31機のU-2を運用から切り離す予定である」。


老朽化したU-2は、中国やロシアのようなニアピア・コンペティターはおろか、格下の潜在的な敵対国が運用する防空ミサイルに対しても脆弱性を増しており、U-2の退役を支持する論拠となってきた。特に中国は、反アクセス・エリア拒否バブルを拡大し続けている。


同時に、ドラゴン・レイディは、さまざまな画像、信号情報、その他のセンサーを同時に搭載できる、他に類を見ない高空飛行のISRプラットフォームであり続けている。U-2は、前方位置から定期的に運用されるため、特に軌道や収集目標上空の非常に短い時間に制約される衛星と比較して、計り知れない柔軟性を提供する。


U-2は、少なくとも我々が知っている限り、米軍が持つ他のどの非軌道プラットフォームより高く飛ぶことができる。昨年、ドラゴン・レイディが中国のスパイ気球の上空を飛行し、最終的に撃墜される前にその情報を収集した。U-2のパイロットは宇宙服を着る必要があり、成層圏に止まるため、飛行禁止区域を斜めから覗き見ることもできる。


A picture of a Chinese spy balloon soaring over the United States in February 2023 taken from the cockpit of a U-2 spy plane. <em>DOD</em>


A picture of a Chinese spy balloon soaring over the United States in February 2023 taken from the cockpit of a U-2 spy plane. DOD


それでも、すでに述べたように、センサーの到達距離が長いとはいえ、強固な防空システムが存在する地域に侵入ができないことから、将来のハイエンド紛争におけるU-2の有用性について疑問が大きくなっている。新しい侵入型ISRプラットフォームの必要性は、ここ何年も空軍関係者間でホットな話題のままだ。一般的にRQ-180と呼ばれるステルス長距離高高度スパイ機のベールに包まれた言及であると長い間見られてきた。他の非搭乗型ISR機も、機密領域で開発中であるか、あるいはすでに限定的に就航しており、この要件を満たすのに役立っているかもしれない。近々登場するステルスB-21レイダーは、爆撃機としての役割に加え、実質的なISR能力も持つことになる。


さらに、柔軟で永続的なカバレッジを提供できる新しい分散型ISR衛星コンステレーションに関する重要な作業の詳細が、機密領域で明らかになり始めている。


4月の国防総省の戦力構造報告書では、「許容可能なレベルのリスク」と「短期的なリスクの受け入れ」に言及があるが、U-2の退役で生じるギャップを真に埋めるために、これらの代替能力がいつ利用可能になり、十分な数量が確保されるのかについて、正確な疑問が投げかけられている。


このことを念頭に置いて、空軍が近年、強力な通信中継やデータフュージョン・ゲートウェイ・ノードとして機能するなど、ISR関連以外のミッションにU-2を投入することを模索していることが注目に値する。空軍は昨年、同機を「ユニークで革新的な方法で」退役まで利用し続けることを期待していると述べた。


A U-2 fitted with a communications gateway package participating in Exercise Northern Edge 2017. <em>USAF</em>


A U-2 fitted with a communications gateway package participating in Exercise Northern Edge 2017. USAF


U-2には災害救助や人道支援ミッションの支援など、非戦闘ミッションで使用される貴重なリソースとしての長い実績もある。NASAは科学研究活動の支援でER-2型機を2機運用している。


下院歳出委員会による新たな動きは、昨年国防総省が放棄したことからもわかるように、議会がU-2の退役計画を阻止するのは今回が初めてのことではない。2025会計年度国防予算法はまだ可決されておらず、署名される必要があり、その過程で大きく進展する可能性が高い。


空軍はU-2の運用停止を最後まで待っているようだ。空軍の予算文書と4月に発表された国防総省の戦力構成報告書によれば、2025会計年度にU-2を売却する計画はない。国防予算法の下院草案にある文言は、ドラゴンレイディの退役スケジュールの前倒しや、U-2の正式な処分の準備を妨げるものだ。


議会が2026年度のドラゴンレイディ退役を阻止するため再び動くかどうかは、まだわからない。来年あたり、空軍はU-2に取って代わる計画や、代替機の就航スケジュールについて、議員たちが抱いている懸念を払拭するために動く可能性がある。


来年度の国防支出法案の草案は、由緒あるU-2の将来をめぐり、空軍と議会の間で新たな戦いが再び始まることを示唆している。■



U-2 Retirement Reprieve Emerges In Proposed Defense Spending Bill


BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUN 4, 2024 4:27 PM EDT

AIRNEWS & FEATURES


2022年7月23日土曜日

U-2の光学フィルム式カメラが最後の運用を終了。デジタル画像処理がついに高性能光学カメラの水準に追いついた。U-2の運用はなお続く。

 Optical Bar Camera film retirement U2 Beale

USAF/Lockheed Martin

U-2の高解像度カメラはビール基地から最後のフライトを完了し、フィルム処理も同基地で終了し、ある技術者は 「悲劇 」と呼んだ。

1時間写真でカメラのフィルムを最後に現像してもらったのはいつですか?思い出せませんよね?しかし、カリフォーニア州のビール空軍基地の人々は、デジタル画像革命がコダックや富士フィルムといったブランド名を人々の意識の奥底に押しやった後も、大量のフィルム処理を続けている。

米空軍第9偵察飛行隊によると、偵察機U-2ドラゴンレイディがビール空軍基地で最後のオプティカル・バー・カメラ(OBC)ミッションを実行した。半世紀以上にわたりU-2に搭載されてきたOBCは、最も古いセンサーシステムの一つだ。同基地での運用終了は、様々な意味で時代の終わりを意味する。

ラルフ・シュクリー米空軍中佐が操縦するドラゴンレイディは、6月24日、U-2コミュニティの本拠地ビールからOBCを搭載した最後の出撃を行った。基地への帰還後、技術者たちは最後にもう一度、儀式的にセンサーをジェット機から降ろした。同基地からの最後の飛行は、第9偵察航空団での湿式フィルム処理を事実上終了させることになった。これで、ビール基地のU-2はデジタル画像処理時代に突入した。

第9偵察航空団でのオプティカルバーカメラの最終フライトの前に、ラルフ・シュクリー中佐がU-2のドラゴンレイディの機首を叩いて幸運を祈った。 U.S. Air Force

「今回のイベントは、数十年にわたるビール空軍基地でのフィルム処理を閉じるとともに、デジタル世界への新たな章を開きます」と、ビール空軍の情報収集部隊と協力してOBC画像を処理するコリンズ・エアロスペースのエンジニアリング・サポートスペシャリスト、アダム・マリグリアニAdam Mariglianiが米空軍プレスリリースで語っています。 

「ビールからのOBCミッションは、1974年以来、52年近くにわたりビールで運用されてきました」と、ヘイリー・トレドHailey M. Toledo少尉は空軍の公式プレスリリースの中で書いている。「SR-71(ブラックバード)から引き抜かれたOBCは、長年使用されてきたIRISセンサーに代わって、U-2プラットフォーム用に改良され、飛行試験が行われました。IRISの焦点距離24インチは広範囲をカバーしましたが、OBCの30インチ焦点距離は大幅に高い解像度を可能にしました」。

 

1955年に初飛行し、最終的にはRQ-4グローバルホークに交代するはずだったが、引き続き感動を与え続けているU-2ドラゴンレイディは、当初から高度なモジュール性を持って設計されている。つまり、OBCは同機に搭載可能な数多くのセンサーパッケージの一つに過ぎないが、長年にわたり歴史的な情報収集を実施してきた。

第9偵察航空団から光学バーカメラの最終フライトに飛び立つU-2ドラゴンレイディ。U.S. Air Force

長焦点パノラマカメラとして設計されたOBCは、前後に振動して画像を一望するカメラで、起源は1950年代にまでさかのぼる。OBCの起源を説明するブログ記事によると、OBCと呼ばれるようになった最初のモデルは、1957年から1965年の間に技術系新興企業Itekが開発したとある。同社が最初に開発した回転偵察用カメラは、CIAが世界初のスパイ衛星に搭載するために開発された。

その後、Itekはアメリカのスパイ機用にこの画像システムを製造し、最終的にOBCと呼ばれるようになった。U-2ドラゴンレイディやSR-71ブラックバードと並んで、アポロ宇宙船もItekのOBCペイロードを使用したプラットフォームだった。さらに、宇宙船に搭載されたカメラには、ローラーケージと呼ばれる回転構造があり、フィルムがその中を通過し、回転カメラに固定することでパノラマ撮影が可能になったとブログで説明している。

第9偵察航空団での最終フライト前に、U-2機内で回転するオプティカルバーカメラ。 U.S. Air Force"

U-2の技術仕様には最大36万2千平方キロメートルの大規模な「エリアコレクション」範囲が含まれている。アメリカ空軍のリリースにはこうある。

「OBCフィルムの各ロールは幅5インチ、長さ10,500フィートで、画像の各フレームの長さは6フィート以上... フィルム1巻を使い、1回のミッションで約1,600フレームを撮影できる。各フレームは、水平線から水平線までのパノラマフォーマットで約110平方海里をカバーする。基本的に、フィルム1本でコロラド州の面積を撮影できる...。SR-71が搭載したOBCは約1.7秒に1コマ撮影したが、U-2では6.8秒に1コマに減速された...。これは、巡航速度の違いにより、カメラのタイミングが異なり、映像がぼやけるため、こうする必要があった」。

OBCで作業する技術者たち。 (USAF photo)

OBCは現在でもU-2で最高解像度の画像センサーだが、この20年半で成熟したデジタル画像は、多くの点で優れている。デリケートなフィルムの取り扱いは、航空偵察でも不利であることは間違いない。

「フィルム利用の基本的な問題は、センサー表面が薄く、柔軟で、動く、比較的安価ながら、非常に高精度でカメラ内に保持されなければならないこと」とOBCのブログ記事は書いている。「レンズの焦点面から±11ミクロン以内にフィルムを合わせるには、問題があったに違いない。とりわけ、機械がヴァン・デ・グラーフ発電機に似ているため、フィルムは静電気蓄積と放電にさらされ、さらに加熱により柔軟性と粘着性が増す傾向がある」。

National Guard Bureau

2007年、U-2のOBCが撮影した南カリフォーニアのサンオノフレ原子力発電所。National Guard Bureau

フィルムの欠点や、化学現像の面倒さ、時間のかかり方にもかかわらず、デジタル機能が一般的になりつつある中で、OBCは何十年もU-2に搭載され、各種任務をサポートしてきた。空軍の発表では、ハリケーン・カトリーナ救援、福島原子力発電所事故、不朽の自由作戦、イラク自由作戦、アフリカの角連合統合任務部隊など、実績事例の一部を紹介している。また、OBCはU-2とアフガニスタンに派遣され、90日ごとに国土全体を撮影し、国防総省に作戦計画に不可欠な画像を提供してきた。このようにOBCは、冷戦時代から現在に至るまで、各種場面で活躍してきた。

韓国・烏山基地で米空軍の高高度全天候型偵察機U-2に光学バーカメラを積み込む。 (U.S. Air Force photo by Senior Master Sgt. Paul Holcomb)

OBCの末期には、センサーの高解像度情報製品の処理と配布にハイブリッド方式が採用された。フィルムは通常通りミッション後に取り出され現像されたが、その後デジタル化され、ハードディスクで「顧客」に送られた。このハイブリッド・アプローチは、画像配布と活用を簡単にしたが、デジタルのほぼリアルタイムでの配布機能にはまだ及ばないものだった。

ビールでのOBC運用が終了しても、空軍はU-2がOBCの飛行能力を維持し、センサーの運用を通じてU-2パイロットが得た運用ノウハウも無駄にはなることはないとしている。

第99偵察飛行隊司令ジェームス・ガイザー中佐Lt. Col. James Gaiserは、「すべてのU-2パイロットは、地理的戦闘司令部の優先的な情報収集ニーズを満たすために、様々なミッションセットとオペレーションロケーションを通してセンサーを使用する知識とスキルを今後も保持する」と述べている。「U-2は世界中でOBC任務を遂行する能力を保持しており、要請あれば、ダイナミックな戦力配置の能力で実行する。より多様な収集要件の必要性が高まる中、U-2プログラムは、様々なC5ISR-T能力と戦闘航空部隊統合に利する戦闘関連性を維持するため進化していくだろう」。

 

非デジタル化の湿式フィルム画像を見る方法としてライトテーブル上のOBC画像を見る。U.S. Air Force

OBCは遠征作戦の最前線で使用でき、必要に応じてU-2が活動する前方地点でフィルム処理を行い、画像を配信できる。また、OBCはちょうど1年前、カリフォーニア州パームデールにあるロッキードのスカンク・ワークス工場でU-2に搭載した試験飛行を行ったと判明している。つまり、今回の発表前は、完全に無名であったわけではない。

U-2には、OBCの広域超高解像度画像処理能力に代わる装備はない。既存のデジタルスイートは、レーダー(雲を見通すことができ、日中の条件に限定されない)と光学イメージングを提供するが、解像度はOBCに劣り、OBCのような広範囲の収集はできない。このため、ビール基地でのOBCとフィルム現像運用の終了に対し、プログラムに携わった関係者の中には「悲劇だ」とあきらめ気味の人もいたようだ。

U-2には各種センサーが搭載されており、の性能は向上し続けているが、U-2部隊の将来は不透明なままだ。U-2に代わるはずだったグローバルホークが大量退役し、最前線で活躍できるのは最新ブロック機だけになってしまった。グローバルホークには、強力な光学スイートのオプションもある。MS-177という高性能なデジタルセンサーを搭載できる。デジタル画像と広帯域通信を組み合わせれば、飛行後にフィルムキャニスターをダウンロードし、化学薬品での現像とは異なり、ほぼリアルタイムで世界中に画像を配信できる。もちろん、現在の人工衛星は、オプティカルバーカメラ以上の仕事ができる。しかし、OBCには独自の機能があり、特定の仕事で最高のセンサーだった。そのため、少なくとも今のところは、そしておそらくU-2が飛び続ける限りは、予備として保管されても不思議はない。ドラゴンレイディの退役は長年繰り返し予言されてきたが、今日でも世界各地で情報収集の重要な任務を担っている。

ビールでU-2からセンサーを降ろすのもこれが最後だ。U.S. Air Force

空域内に侵入し、高空飛行で非常にステルス性のあるスパイ航空機が、U-2とグローバルホークに取って代わるか、さらに増強されることになる。この極秘機は、今日、ごくわずかしか飛行していない。そして、ロッキードのスカンク・ワークスは、ドラゴン・レイディを飛行させ続けるため斬新なアイデアを考え出したが、脅威の性質は変わり、U-2のセンサーの範囲内の許容空域内での運用は、今後の戦時シナリオでは選択肢とはならなくなるだろう。

 

ビール基地でU-2とグローバルホークが並んで運用されている。 (USAF photo)

OBCと同様に、U-2も最終的に段階的廃止となると考えられるが、その後に登場する機体がグローバルホーク同様に、U-2のミッションすべてに対応できる保証はない。そのため、U-2後継機が本格的運用されるまで、U-2が予備機として生き残り、ユニークな有人能力に最適な特殊任務に供用されても驚いてはいけない

ケリー・ジョンソンの伝説的なデザインは、初飛行から70年近くを経て、今でも健在で、ますますデジタル化に適応している。■

 

U-2 Spy Planes At Beale AFB Finally Say Goodbye To Film Cameras

BYEMMA HELFRICH, TYLER ROGOWAYJUL 1, 2022 2:58 PM

THE WAR ZONE


2022年1月12日水曜日

U-2に対艦ミサイル搭載し、米海軍へ売込みを図ったロッキード。実現すれば当時としては画期的な攻撃手段になっていたはずだが....

 

                実現しなかった構想シリーズ

戦末期、ロッキードから高高度飛行可能なU-2スパイ機に長距離対艦ミサイルを搭載する提案が出た。U-2の航空母艦運用する案と加え、実現していれば米海軍の対艦攻撃の有効範囲がはるかに伸びていただろう。


U-2の供用開始は1955年で、米国の偵察能力を飛躍的に伸ばした。ケリー・ジョンソンの伝説的なスカンクワークスでの開発は一年未満で完了し、U-2は高度70千フィート超での飛行が可能となり、当時のソ連防空戦闘機やミサイルの性能では対応できなかった。


Lockheed Martin


だがU-2を特別な機体にした要素は別にあった。空中給油が始まったばかりの当時にU-2原型は無休油で3千マイル飛行が可能で敵領土上空での極秘作戦を展開できた。搭載した最初のカメラは高度60千フィートで解像度2.5フィートだったが、その後改良が進み、米軍でも最高性能の光学センサー、初の見通し線データリンクを搭載している。


ハイテク機器を搭載するU-2でミサイルを実際に搭載したことはない。だがロッキードはU-2売り込みを目指し、この点に踏み込んだのだった。


ロッキードはUI-2販売増加を狙っていた


海外国の航空施設に依存しなくてもよくなるため、U-2を米海軍空母で運用する構想がCIAにあったことは承知の通りだ。この試みは各種あったがおおむね成功している。



1963年8月、ロッキードのテストパイロット、ボブ・シューマッハーがUSSキティホークからU-2を初めて発艦させ、その後陸上基地に着陸した。翌年2月にはシューマッハーは改装型U-2GをUSSレインジャーから発艦させ、着艦に成功した。同年末にはU-2は実際に米空母から発進しフランスの核実験を偵察した。


CIAはそのまま続けるはずだったが、最新のCIA仕様U-2Rを海洋捜索センサー満載のEP-Xに発展させる米海軍の構想はとん挫した。テストで成功を重ねたが長大な主翼を空母格納庫に収納する問題や極秘機材を空母艦上で保守管理する負担を考えると同機から得られる偵察内容に見合わないと判断したのだった。


これまで報じられていなかったが当時のロッキードは政府に同型機をたくさん購入させようと理由をつくろうとしていた。同社はU-2を1955年から1989年にかけ104機製造したが、情報収集機能以外でしかるべき理由があれば販売を伸ばせると見ていた。


1970年代末の同社は国防産業として過去の名声を失い、財務上のスキャンダルが続き、ビジネス判断を読み間違え、容赦ない報道陣は同社の存続を危ういと踏んでいた。1971年には2億ドルの赤字(2021年のドル価値で13億ドルに相当)を計上し、コスト超過と契約違反でペンタゴンと争っていた。


同年にロッキードへエンジンをもっぱら供給し栄太ロールスロイス が破産を宣告し、操業を続けるべく同社は米政府に250百万ドルの支援を持ち掛けた。70年代末にはロッキードの企業価値は低下し、米防衛産業では第六位にまで落ちてしまい、ジェネラルダイナミクス(F-16)やマクダネル・ダグラス(F-15)より下になってしまう。ロッキードには何としても朗報が必要で、当時開発中の案件もあったが、U-2は性能で折り紙付きで生産ラインも稼働中だった。また同機の操縦は極めて難しかったものの、同機の性能をさらに伸ばす方法を模索していた。


ゲーリー・パウワーズ操縦のU-2がソ連上空で1960年に撃墜されたことで同機の生命が立たれたと考えていた者もあったが、もともと同機はソ連防空体制の限界以上の高度での運用を想定しており、航続距離を伸ばし長時間運用を可能とした偵察機とあれば無視するわけにいかなくなった。たとえ高速かつ高高度飛行性能を有するSR-71が既に存在しており、衛星の性能も向上していたとしても。


ロッキードが米海軍に同機を導入するのに成功していれば、同社にはのどから手が出るほど欲しい収益が実現していただろう。だがそのためにはドラゴンレイディと呼ばれた同機の威力をさらに伸ばす仕掛けが必要だった。


U-2にミサイルを搭載し対艦攻撃に使う構想だった



ロッキードはU-2を偵察装備満載した海洋捜索機としては海軍に販売できなかったが、同社には別の手もあった。


U-2を設計したケリー・ジョンソンはまず空軍にCL-282として同機を提案した。これがのちにU-2となったのだが、戦略空軍(SAC)の伝説の司令官にして第二次大戦時の太平洋で戦略爆撃方式を編み出したカーティス・ルメイに一蹴されてしまった。ルメイはロッキード社訪問団に「車輪も銃も搭載しない」同機には関心がないと冷淡にあしらわれてしまった。


ロッキードはこの時の教訓を胸におさめたものの、U-2に着陸車輪や銃を搭載せず、かわりにミサイル搭載を想定したのだった。


315B型との名称がついたU-2の派生型に二人目の乗員が乗り、レーダー迎撃士官として搭乗するのであり、米海軍のF-14トムキャットなど戦闘機の後部座席に乗る士官と同様だった。


二名運用とすることで、乗員の認知的負荷が効果的に分散される。つまり、パイロットは操縦に集中し、後部座席士官は通信、敵味方の位置把握、航法にもっぱら集中できる。さらに315B型U-2の場合、ウェポンシステムや防御手段の操作に集中できる。


トップガンのグースが高度で30千フィート高いところにいる様子を想像できるだろうか。


U-2 パイロット訓練はビール空軍基地で複座型TU-2Sで行う。 (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Bobby Cummings/Released)


この315B仕様U-2には当時新型で試験中のAGM-53コンドル長距離空対地ミサイルを搭載し敵艦船を最大60マイル先から攻撃する構想だった。コンドルミサイルは電子光学装置(つまりテレビ)がデータリンクで機体に連絡し後席搭乗員が自分で標的に誘導する想定だった。ミサイルはこの形で標的にロックされると搭乗員は別の標的を探し攻撃する構想だった。


同ミサイルは全長14フィート、直径17インチで4フィート5インチの翼幅だった。ロケットダインMk70固体燃料ロケットを推進力とし、排気は小型ノズル二本から出す設計で、後部にはデータリンクが大部分を占めていた。同ミサイルの重量は2,100ポンドになり、ここに630ポンド弾頭も含まれていた。最大速力マッハ2.9で60マイルを一分半で飛翔する性能だった。大型艦の操艦にかかる時間とコンドルのデータリンクに頼る標的捕捉装備を考えれば、敵艦船攻撃手段として優れた選択だった。


さらにコンドルは通常弾薬と核兵器を併用する想定だった。つまり、U-2に核攻撃機になる可能性があったということで、315B仕様とコンドルがともに技術的に成熟するのが条件だった。残念ながらコンドルのメーカー、ロックウェル、ロッキードともに生産に移すことはなかった。


AGM-53コンドルの開発には問題がつきまとい、推進系の信頼性から実用に耐えるデータリンクの実現が予算超過になったことまで多くの難関が生まれた。さらに悪いことに比較的小型の弾頭をつけた同ミサイルの価格がとんでもない金額になり、合理性が失われた。当初は250発調達を1976年までに完了する想定だったが結局開発中止となった。


同ミサイルと同様に315B仕様のU-2も米海軍で実現することはなかった。数年後にロッキードは軍事航空分野で再び頭角を現した。世界初のステルス機F-117で、同機の試験飛行が始まったからだ。


U-2スパイ機はその後も米空軍で重要な役割を続け21世紀の今日に至っている。現在も30機超のU-2が各種任務をこなし、むしろ用途は拡大している。一部機材は米空軍最高性能を誇る戦闘機F-22ラプターとF-35共用打撃戦闘機間の安全な交信の中継機になっている。この各機種がすべてロッキードのスカンクワークスの手によるもので、U-2同様にロッキードは長年にわたり安定した事業展開を続けている。■


Lockheed pitched arming the U-2 with anti-ship missiles - Sandboxx

LOCKHEED PITCHED ARMING THE U-2 WITH ANTI-SHIP MISSILES

Alex Hollings | January 3, 2022

 

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


2020年12月19日土曜日

AI副パイロットのU-2がISRミッション実証飛行に成功した。マン−マシン複合ミッションの新しい時代の幕が開いた。(2020年12月15日)

 今年は目立たないものの着実に未来の航空像に着実に近づいた年だったようです。飛行中ソフトウェア更新については先にお知らせしましたが、今回はAIを副パイロットとした偵察ミッションの実証に成功したというニュースです。2020年は大きな分岐点になったのではないでしょうか。



 

空軍のロッキード・マーティンU-2ドラゴンレイディが人工知能(AI)とのフライトを12月15日に行った。

 

パイロットの少佐はカリフォーニア州ビールAFBの第9偵察航空団所属機を操縦し、アルゴリズム“ARTUµ”がセンサー運用、戦術航法を担当し、パイロットと連携しミサイル攻撃の想定で偵察ミッションを実施した。離陸するとARTUµがセンサーを担当し、敵ミサイル発射装備の探査を開始し、パイロットは脅威となる敵機接近を警戒した。機内のレイセオンの高性能合成開口レーダーシステムは両者が共有した。敵は別のコンピュータアルゴリズムだった。

 

「これはすごい。AIの相棒が後席にすわりミッションの負担を肩代わりするのは一歩前進だ」とミッチェル研究所理事マーク・ガンジンガーがコメントしている。航空戦闘軍団を2014年から2017年にかけ指揮した『ホーク』カーライル全国国防産業協会理事長は第4世代機から第5世代機への進化が一歩進み、能力・効率化を向上させるループに入ったとの意見だ。

 

ARTUµがプログラムµZeroを使い、空軍次官(調達・技術・兵站)ウィル・ローパーは「世界的に著名なプログラムでチェス、碁、コンピューターゲームなどで使われており、今回は事前情報なしでU-2を制御する」とポピュラーメカニクス誌に事前解説し、当日の予定をツイッターで予告していた。

 

「レーダー操作はARTUµに全面的に任せたが、その他サブシステムは『切』にした。ブレイカーのようなもので、AIにまかせたくないものを任意に選択できる」(ローパー)

 

構想はローパーがDoDの戦略戦力整備室長時代から提唱されている。空軍はAIで操縦するスカイボーグ自律無人機と有人機のチーム運用を目指している。ローパー自身もサイファイファンで、スカイボーグの未来型『頭脳』を「R2D2」と呼んでいる。

 

ローパーはフライトでARTUµがミッション指揮官であり最終決定者になったと述べている。ここに至るまでAIシステムは過酷な訓練を受けており、コンピュータシミュレーション訓練は50万回に至ったという。

 

「パイロットなしでARTUµがレーダーをミサイル陣地探知と機体防御に使った」「今回のフライトはコンピュータの副パイロットの実用化にむけたささやかな一歩だったが、将来の軍事作戦の『コンピュータカインド』“computerkind”には大きな一歩だ。(ローパー)

 

ARTUµを開発したのはビール基地内にある航空戦闘軍団フェデラルラボラトリー。ローパーはラボで「µZeroのゲームアルゴリズムでレーダー操作の訓練をし、偵察の良い結果(敵の位置を捕捉)、悪い結果(U-2喪失)を学習させシステムを再構築したが、すべてパイロットとの相互連絡を通じてであった」と述べている。

 

空軍はソフトウェアをコンテナ化するオープンソースツールKubernetesを利用した。同ソフトは新型機の開発期間短縮化にも投入されている。

 

11月中旬に空軍は飛行中U-2SでKubernetesコンテナ化ソフトウェアのアップデートを空中ネットワーク経由で行い、基地に戻る戦闘機材で電子戦術などソフトウェアのアップデートが可能だとを実証した。これもフェデラルラボラトリーが実施した。


「今回のフライトは綿密に準備したシナリオの一部でAIで動的アルゴリズムを使う新技術を試した」と空軍は発表しているが、詳細は明かしていない。


ガンジンガーは「公表内容が不明」のためAIがどこまでの機能を果たしたのかわからないとする。発表にある「対抗アルゴリズム」に興味を惹かれるという。実証済みアルゴリズムをベイスラインとしてARTUµの性能を比較して同じ標的に向かわせたのではないか、という。


つまり真の課題は「これからのループでのヒトの役割を真剣に考えることで、マシンのほうがヒトの知能より迅速に実行できることもある」が、「適切に交通整理して決定過程にヒトを関与させること」というのだ。


カーライルも「まだ課題は残っている」とし、「技術的には可能だし、AIにしかできないこともある。計器アプローチの場合にAIを副パイロットにするのが合理的だろう」という。


Teal Groupのリチャード・アブラフィアも「AIは全面戦争で標的捕捉、攻撃の効果を引き上げる可能性を秘めている。ただし、全面戦争の可能性は低い」とする。この二十年は地上戦が主で戦闘員掃討作戦、飛行禁止空域の執行、水上パトロール等が米国の戦争形態の中心だった。こうした分野ではAIの役割は極めて限られる」とアブラフィアは指摘する。■


この記事は以下を再構成したものです。

 

US Air Force Flies U-2 With AI Wingman

Jen DiMascio December 16, 2020


AI Copilot Based On Gaming Software Takes Flight

By   THERESA HITCHENS

on December 16, 2020 at 1:06 PM