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2025年6月30日月曜日

ライトニング空母は太平洋における海兵隊の秘密兵器だ(Task & Purpose)

 


海兵隊は太平洋での戦いに備え、海軍の水陸両用強襲揚陸艦をF-35BライトニングIIを搭載した小型ながら機敏な空母に変えようとしている


軍が太平洋での紛争の可能性に備える中、海軍と海兵隊は航空戦力を投射する新しい方法に取り組んでおり、これを「ライトニング空母」と呼んでいる。


海兵隊が2016年にテストを開始したこのコンセプトは、海軍のアメリカ級水陸両用強襲揚陸艦を、F-35BライトニングII航空機と約1,800人の海兵隊員を満載した小型で機敏なフラットトップ・キャリアに変えるものだ。F-35Bの垂直離着陸能力を使えば、甲板上に最大20機を搭載でき、太平洋の遠隔地の前哨基地を確保したり防衛したりする海兵隊を支援することができる。


USSトリポリが2022年にこのコンセプトのテストベッドとなり、通常フライトデッキを占めるMV-22BオスプレイとCH-53シースタリオンの代わりに、16機の第5世代戦闘機を配置した。このテストでは、海兵隊員と水兵隊員が高い運用テンポを維持し、800フィート強、排水量45,000トンという比較的小型の艦船が、浮遊式前方作戦航空基地として機能できるかを実証した。


ライトニング空母のコンセプトは、フォース・デザイン2030から生まれたもので、その結果、エイブラムス戦車の廃止やまったく新しい部隊の創設など、海兵隊全体で抜本的な改革が行われた。 分散型作戦(基本的には、本格的な火力を持つ小規模で機敏なチームを多数編成すること)を重視する動きは、当然ながら同部隊の水陸両用作戦にも影響を及ぼしている。中華人民共和国がこの地域の主要な懸念事項であるため、海兵隊は、USSジェラルド・R・フォードのような大型で脆弱なプラットフォームが、効果的な戦闘を行うため十分に中国に接近できなくなるシナリオに備えている。


ライトニング空母はスピードと柔軟性を海兵隊に提供し、作戦のフットプリントを小さくする。より小さな港から活動し、より浅い海域に到達し、より少ない艦船で支援できる。 空母打撃群が潜水艦を含む10隻もの艦船で構成されるのに対し、水陸両用即応集団(ARG)はわずか3隻である。


F-35Bはこの特殊な任務に適している。F-35Cのようにカタパルトやアレスティング・ギアを必要としない。搭載されたセンサー、電子戦スイート、武器により、情報、監視、偵察任務、近接航空支援、敵の防空能力の制圧を行うことができる。


航空団に加え、ライトニング空母と水陸両用即応集団を構成する他の2隻の艦船は、海兵遠征部隊(MEU)を構成するおよそ1,800人の海兵隊員とその装備を搭載し、空路または海路で展開可能な迅速な対応部隊を提供する。 F-35Bと組み合わせれば、この部隊は、脅威に対応し、遠隔地の前哨基地を強化し、島を確保することができる自己完結型の前方展開部隊となる。


しかし、限界と懸念もある。 ライトニング空母は、大型空母や他の艦船のような防御力がないため、対艦ミサイルやその他の脅威に対して脆弱である。また、サイズが小さいため、飛行運用にも制限がある。 高い運用テンポを維持するために必要な兵器や修理部品、その他の物資を収納するスペースが少ないため、補給がより頻繁に必要になる。一方でカタパルトやアレスティング・ギアを持たないF-35Bは、空軍や海軍のものと比べると、航続距離もペイロード容量も小さい。


こうした制約があるにもかかわらず、海兵隊の指導層は、ライトニング空母を実用的で適応性のあるプラットフォームと見なしているようだ。 2022年の実験期間中、第7艦隊司令官を務めていたカール・トーマス中将は、「ある日、飛行甲板にF-35Bが配備され、別の日にはMV-22が配備され、海兵隊員を上陸させることができる」と語っている。■



Lightning Carriers: The Marines’ secret weapon in the Pacific

The Marine Corps is turning the Navy’s amphibious assault ships into small and agile carriers loaded with F-35B Lightning II aircraft in preparation for a fight in the Pacific.

Kyle Gunn

Published Jun 26, 2025 11:54 AM EDT

https://taskandpurpose.com/tech-tactics/marine-corps-lightning-carrier-pacific/


2025年1月23日木曜日

日本の「ミニ空母」が太平洋におけるF-35の「防空壁」の形成に貢献する(Warrior Maven)―機材納入が遅れているのですが、今後順調に戦力化を進めてもらいたいものです。




F-35Bを搭載した日本のミニ空母は、太平洋連合国の航空優勢の維持にとって極めて重要な存在となる


日本のF-35Bを搭載したミニ空母は、この地域全体の制空権を維持し、広大な海域で力を誇示しようとする太平洋諸国連合にとって極めて重要な存在となる可能性がある。アメリカ、韓国、日本のF-35のネットワーク能力は、事実上、朝鮮半島の南からフィリピン、日本まで伸びる第5世代の空中「境界線」を形成する。

 日本の小型空母は、F-35を搭載するために再設計されたヘリコプター搭載の水陸両用強襲揚陸艦を写した海上自衛隊の写真で初めて登場した。第5世代の航空戦力を投射できる一方で、ミニ空母は部隊の輸送、ヘリコプター、より小型で機動性の高い空母のような機能も果たす。

  JSかがとJZいずもの日本のミニキャリアは、満載時排水量27,000トン、全長814フィートの飛行甲板で運用される。

 両艦の構成は、特に日本が数十億ドルを投じF-35Bを購入し、イージス戦闘システムやSM-3ブロックIIAのような主要兵器の開発で米国と長年にわたる技術提携を結んでいることを考えると、多くの重要な理由で理にかなったものだ。日本と米海兵隊はここ数カ月、互いの軍艦からF-35Bを発着させる共同訓練を行った。ワスプ級揚陸郷愁感は日本のF-35Bと相互運用でき、日本のミニ空母は米海兵隊のF-35Bを収容できる。

 日本は近年、中国の脅威の増大と問題を理由に、軍事予算と防衛態勢を大幅に強化してきた。日本の防衛省は2023年に529億ドルの防衛費を要求しており、日本は現在、数十億ドル規模の大規模なF-35購入に数年を費やしている。

 このような「ミニ空母」を配備することは、日本にとって戦略的・戦術的に非常に理にかなっている。F-35Bを配備できる小型のプラットフォームはもちろん小型で、中国の対艦ミサイルの標的としては命中しにくくなる。また、F-35Bは高速で機動性が高く、米海軍と緊密に連携して運用され、潜在的な紛争において第5世代の航空戦力を投射することができるだろう。


日本の小型空母が持つ優位性

米国と太平洋同盟国は、空では決定的な第5世代の優位性を持って活動しているため、これは非常に重要である。中国はJ-20を運用しているが、同機は陸上運用機材であり、海上からの戦力投射は不可能だ。J-20はまた、センサーの範囲や忠実度、武器システムの範囲や精度によっては、F-35やF-22に脆弱かもしれない。いずれにせよ、アメリカとその同盟国は、空から中国に対抗したり、中国を封じ込めたりするために、F-35の大部隊の運用が近づいている。このような戦術的思考が、日本の防衛省がF-35を取得し、"ミニ空母 "を建造している大きな理由だろう。


中国への対抗

日本が防衛予算を増やし、大規模な軍拡と兵器開発を進めているのは、中国からの脅威の増大と大きく関係している。防衛省は近年、イージス艦レーダー、SM-3ブロックIIA、進化型シースパロー・ミサイル・ブロック2といったシステムに関する米国との共同兵器開発でも大きな進展を遂げてきた。したがって、中国に対する日本の懸念は、防衛省の 防衛白書が示しているように、近年大きく加速している。

 防衛白書は、2023年1月に本誌が興味深い分析で説明したように、ロシアと中国の両方からの脅威が増大しえちる重要な分野を具体的にいくつか挙げている。本文は、中国によるAIやネットワーク戦争の利用拡大、尖閣諸島に関する挑発行為、ロシアとの協力関係の拡大、民軍融合の強化を挙げている。

 「中国の軍事動向は、同国の国防政策や軍事情勢に関する透明性の欠如と相まって、日本を含む地域や国際社会にとって重大な懸念事項となっており、こうした傾向は近年ますます強まっている」とあった。

 中国のAI利用は、日本の報告書では「インテリジェント化された戦争」と呼ばれている。つまり、兵器システム、監視資産、データ処理のスピードと能力すべてが大幅に向上しているのだ。

 中国が「インテリジェント化された戦争」を追求していることは、日本の報告書が指摘しているし、中国の脅威の増大に関する国防総省報告書でもたびたび引用されている。そのコンセプトは、マルチドメイン、統合サービスによるシームレスなネットワーキングと部隊全体でのデータ共有を複製またはコピーすることである。   この取り組みは、ペンタゴンが現在実施しているジョイント・オール・ドメイン・コマンド・アンド・コントロール(JADC2)の取り組みとよく似ているように見える。

 2023年の本誌分析では、「インテリジェント化された戦争」は、兵器システムや技術プログラムの広い範囲に影響を与えることができるものであり、特に予算や技術交換に関しては、文民と軍部の間に隔たりがない中国においては重要であるとしている。例えば、衛星データは迅速に処理され、送信される。軍艦、ロケット、核兵器でさえも、改良された標的情報を受信し、整理することができる。

 中国共産党がこのような取り組みをどこまで進めているかは、完全には明らかではないが、中国の明確な意図は、日米双方の防衛関連出版物に数多く記されている。中国がこの能力を進化させることになれば、戦闘領域全体における複数領域のターゲット・データ共有、共同作戦、センサーからシューターまでの所要時間の改善に関して、PLAは米軍とより緊密な関係を築くことになるだろう。


日本とF-35B

この脅威のシナリオを考えれば、海上自衛隊がF-35Bを急速に取得するのは理にかなっている。F-35Bは、F-35を運用するすべての国をネットワークで結ぶことができるマルチファンクション・アドバンスト・データリンク(MADL)と呼ばれる安全で高速なデータリンクで運用されるからだ。これにより、アメリカ海軍、韓国、さらにはオーストラリアやシンガポールを含む、多国籍で大規模な、半円形のF-35の編隊が実現する。 フィリピンに追加される基地は、アメリカとその同盟国がF-35をそこに追加し、日本とオーストラリアとシンガポールの間の半円のギャップを「埋める」機会にもなるかもしれない。■


Kris Osborn is the Military Technology Editor of 19FortyFive and President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a highly qualified expert in the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


Japan’s “Mini-Carriers” Help Form F-35 Deterrence “Air Wall” in Pacific

Japan’s F-35B-armed mini-carriers could prove pivotal to an allied Pacific coalition of nations looking to preserve air superiority

Kris Osborn · January 15, 2025


https://warriormaven.com/china/japans-mini-carriers-help-form-f-35-defensive-wall-in-pacific



2023年7月18日火曜日

「ライトニング空母」を単純に支持できない理由。大型空母との設計構造、運用構想の違いは歴然、とする米海軍協会論文をご紹介。

 ライトニング空母: F-35BライトニングII攻撃機を最大20機搭載するアメリカ級強襲揚陸艦は、人気のあるコンセプトだ。しかし、アメリカ級は大型空母より生存能力が低く、必要な兵器を格納するスペースもない


メリカ級水陸両用強襲揚陸艦が艦隊加わって以来、ライトニング空母または軽空母(CVL)として擁護する記事が数多く出た。実際、『Proceedings』誌に掲載された最近の記事では、アメリカ級は同規模の大戦中のエセックス級空母と同程度の生存能力があると主張し、第二次世界大戦で最悪の爆撃を生き延びたUSSフランクリン(CV-13)を引き合いに出し、2003年のイラク自由作戦に「ハリアー空母」として展開したUSSバターン(LHD-5)をそのコンセプトの証拠として提示している1。

 ただし、この考え方には問題がある。


生存性

米海軍の軍艦はすべて、最も過酷な任務を遂行するため設計されている。強襲揚陸艦の場合、水陸両用強襲を実施するために空母(レベルIII)よりも低い生存性レベル(レベルII)で建造される。


 強襲揚陸艦は、海兵隊のコンセプトである海上からの作戦行動と艦船から目的地への作戦行動を遂行するため設計・建造される。アメリカ級LHAと第二次世界大戦時の改良型エセックス級空母が同じような排水量だからといって、同程度に生存可能というわけではない。

 フランクリン(エセックス級空母)の損害報告書には、1945年3月19日に起きたことが書かれている:

九州と本州の日本列島の目標への空爆を実施中に、フランクリンの格納庫で2発の爆弾による爆発に襲われた。. . . 敵爆弾の爆発による直接的な被害は甚大だったが、その後の火災、爆弾やロケットの爆発、消火に使用された水による甚大な被害と比較すれば、些細に見える。大火災は、飛行甲板、格納庫甲板、ギャラリースペースで約10時間にわたり猛威を振るった。. . . 飛行甲板、格納庫、ギャラリースペースの大部分は大破した。高濃度の煙と熱によりエンジニアリング・スペースが避難を余儀なくされ、全電源が失われた。人的被害は甚大であった。. . . 主推進力は3月20日に回復し、船はウリチに向かい、そこからニューヨークの海軍工廠に向かった2。


さらにこう記している:

しかし、その結果生じた損傷は、それ自体で艦の喪失を招いたわけではないことが適切である。. . . これは主として、格納庫甲板の装甲部分の優れた遮蔽効果に起因する。


フランクリンが生存できたのはなぜか?


格納庫には空間を3分の1に分割する防火カーテンがあり、装甲甲板は全長の5分の4にわたって厚さ2.5インチの特殊処理鋼(STS)で作られていた。装甲甲板は、下部のすべての居住空間を保護し、特に第2甲板(ダメージ・コントロール・デッキ)に8つの修理ロッカーがあり、それぞれ消防士チームが配置されていた。

 魚雷側面保護システム(TSPS)は、空母の艦体を船外燃料タンクで包み、各小部分に空洞を設け、水中攻撃の衝撃を分散させることで重要な内部空間を保護した。TSPSの横隔壁は、重要な反復ブレースを提供した。曲げても壊れない設計の隔壁は、TSPSの4つの縦隔壁に溶接され、全長の3分の2にわたり艦側と平行に走り、発電所スペースと弾倉を取り囲んでいた。実際、三重底を含む構造のほとんどが溶接され、驚異的な強度を発揮した。

 また、艦内の低い位置に横隔壁を配置することで重心を下げ、艦内の高い位置にある分厚い装甲ハンガーデッキに対応していた。

 アメリカ級は、フライト0とフライトIの両方で、これらの構造上の特徴はなく、2020年のUSSボノム・リシャール(LHD-6)の火災は、甲板下の火災にいかに脆弱であるかを実証した。


サイズ

1980年の海軍シーシステムズ本部の調査によれば、アメリカ級の45,000トンの排水量は、世界で最も戦術的に重要な4海域で45%以上の時間、航空機を運用するには軽すぎる。図1は、軍事的に重要な5つの海域で、船舶から航空機を離陸させることができる時間をプロットした。南シナ海の緑色の "シーライン "に注目してほしい。このラインは、排水量65,000トン、航行可能時間54パーセントから始まっている。この緑色の線を排水量45,000トンまで延長すれば、航行可能時間は45%を大きく下回ることになる。実際、5海域のうち4つ(地中海を除く)では、海域線を排水量45,000トンまで延長すると、航空機の運航可能時間はすべて50%を下回ることになる3。


しかし、バターンがハリアー空母のコンセプトを証明したのではないだろうか?ただし、それはUSSキティホーク(CV-63)、コンステレーション(CV-64)、エイブラハム・リンカン(CVN-72)の航空機の傘の下で行われたのである。

 さらに、バターン揚陸準備集団は、弾薬艦から弾薬を受け取るため大胆だが独創的な解決策を即興で考案した。2004年のProceedings記事で説明されているように、シャトルシップであるUSSパールハーバー(LSD-52)が飛行甲板で兵器を受け取った後、ウェルデッキに移しエアクッションに積み込んだ。「ウェルデッキを通した搬入は飛行作戦に影響を与えないため、LCACによる兵器供給はハリアー空母に最大の作戦柔軟性をもたらした」4。

 バターンはアラビア湾の穏やかな海域で打撃任務を十分にこなし、半分以上の時間で航空機を運用できたが、海軍はウェルデッキを持たないアメリカ級のフライト0艦で「ライトニング空母のデモンストレーション」を続けている。アメリカ(LHA-6)とトリポリ(LHA-7)は垂直補給を行わなければならず、飛行作戦の妨げになる。

 また、アメリカ級がより多くの攻撃機を搭載すれば、兵器の供給量も増やさなければならない。なぜか?アメリカ大陸の兵器庫のサイズは、水陸両用強襲揚陸艦USSマキン・アイランド(LHD-8)の設計に基づく。一方、ジェラルド・R・フォード級やニミッツ級空母の弾薬倉は、2週間60機の打撃戦闘機を支援するため23倍以上も大きい。20機のF-35B戦闘機では、アメリカの兵器在庫はすぐに使い果たしてしまう: 余分な兵器はどこに収納するのか?格納庫や車両格納庫に収納すればまずい。格納スペースがない場合、垂直補給はどれくらいの頻度で行われるのか?それにどれくらいの時間がかかるのか?補給頻度を満たすだけの兵站補給艦はあるのか?


アメリカ級水陸両用強襲揚陸艦は、空母より低い生存性レベルで建造されており、後部が開いているため、砲火に脆弱である。また、ライトニング空母の実証実験は、十分な補給と安全な兵装の収納に取り組んでいない。世界のほとんどの海で、アメリカ級は信頼でき生存可能な攻撃プラットフォームとみなされる水準に達していない。■


The Lightning Carrier Isn’t Either | Proceedings

By Captain Talbot Manvel, U.S. Navy (Retired)

July 2023 Proceedings Vol. 149/7/1,445



1. CAPT Pete Pagano, USN (Ret.), “The CVL’s Time Has Come,” U.S. Naval Institute Proceedings 147, no. 9 (September 2021).

2. “USS Franklin (CV-13) War Damage Report No. 56, 16 September 1946,” Naval History and Heritage Command.

3. Edward N. Comstock, Susan L. Bales, and Dana M. Gentile, “Seakeeping Performance Comparison of Air Capable Ships,” Naval Engineers Journal 94, no. 2 (April 1982): 101.

4. LCDR Cindy Rodriguez, USN, Maj Michael Manzer Jr, USMC, and CDRs Shawn Lobree and John Dachos, USN, “Harrier Carriers Perform in Iraqi Freedom,” U.S. Naval Institute Proceedings 130, no. 2 (February 2004).


2022年11月4日金曜日

F-35B搭載でアメリカ級揚陸艦を「強襲空母」に転用する実験で自信を深めた米海軍のねらいは中国への対抗だ。

 


USS Tripoli (LHA-7) departs Naval Air Station North Island, Calif., April 7, 2022. US Navy Photo


第7艦隊司令官は金曜日、揚陸強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)で今夏行った実験で、アメリカ級が空母打撃群と連携できるかを探ったと述べた。

カール・トーマス中将Vice Adm. Karl Thomasは、戦略国際問題研究所と米海軍協会共催のイベントで、「トリポリ」は数カ月間、F-35BライトニングII共用打撃戦闘機を搭載し、「強襲空母」コンセプトの実験を行った、と語った。

見学中の機雷対策艦USSパイオニア(MCM-9)の乗組員に1MCを介し話しかける米第7艦隊司令官カール・トーマス中将(2022年6月9日)。US Navy Photo

「ある日はF-35Bが飛行甲板に、ある日はMV-22が、そして別の日は海兵隊が上陸できる。そして、第5世代戦闘機14機が搭載され、信じられないほど高性能なセンサー能力を発揮します。まだ実験段階です。少なくとも、強襲揚陸艦と正規空母の統合を試してみたかったのです。どのようなミッションが可能になるのか」。

トリポリでの実験は、海軍と海兵隊の大型揚陸強襲艦での「ライトニング空母」コンセプトの進化の一部だった。6 月には、USSエイブラハム・リンカン(CVN-72) と USSロナルド・レーガン(CVN-76) とヴァリアントシールド Valiant Shield演習に参加した。

ヴァリアント・シールドについて、トーマス中将は「三艦を一定期間、分散運用した」と述べている。

ヴァリアント・シールドについて、トーマス中将は次のように語ってた。「ヴァリアント・シールドにぴったりと思われるミッションがあります。また、効果を発揮できる地域があると思います。F-35の垂直離陸の特性から、F-35を『遠征前線基地』 "Expeditionary Advanced Base Operations "に配置し、メンテナンスのため艦に戻し、別の場所に移動させることもできます」。「空母と連携して、E2-Dアドバンスト・ホークアイやEA-18Gグラウラーの電子対抗機能も活用できます。まだ実験段階ですが」。

トーマス中将は、同型機を使用している同盟国の例として、イギリス海軍が空母HMSクイーン・エリザベス(R08)で米海兵隊F-35Bとイギリス空軍F-35Bを運用し実験していること、日本がヘリコプター駆逐艦JSいずも(DDH-183)からF-35Bを飛ばしていることを指摘した。

「同盟国協力国は、F-35Bを空母搭載することで実現する能力を確認できます」と述べた。

またトーマス中将は、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォーニア州選出)が今年台湾を訪問した際の北京の反応についても触れた。中将は、この訪問に対抗しての軍事訓練とミサイル発射を 「無責任」と評した。

「台湾関係法を通じ、台湾に防衛力を提供する責任があり、こちらは準備ができていることを確認する必要がある。われわれの願いは、両岸の相違を平和的に解決することだ」と述べた。「しかし、台湾上空へ弾道ミサイルを発射し、海上や航路に着弾させ、一部は日本の排他的経済水域に着弾させたのを見て、無責任という言葉がぴったりだ」。

トーマス中将は、北朝鮮が日本上空に中距離弾道ミサイルを発射したこと、先週日本海で行われた日米韓3カ国による弾道ミサイル演習についても言及した。

「弾道ミサイル防衛は、同盟国協力国を守るためだけでなく、われわれ自身を守るためでもあり、わがほうの艦船は非常に高性能です。そのため、弾道ミサイル防衛能力を持つことは、マルチドメイン能力という点から、巡洋艦・駆逐艦のすべてに望ましいことです」。

'Assault Carrier' Tests Show How Marine F-35Bs Can Operate with Navy Aircraft Carriers, Says 7th Fleet Commander - USNI News

By: Mallory Shelbourne

October 16, 2022 8:25 PM

Mallory Shelbourne is a reporter for USNI News. She previously covered the Navy for Inside Defense and reported on politics for The Hill.



2022年4月6日水曜日

ライトニング空母構想の実証を進める米海兵隊・海軍。実際の作戦環境を想定し最適化を模索中。日本にも参考となるはず

 


海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211所属のF-35B ライトニングIIが強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)から発艦した April 2, 2022. US Navy Photo

 

強襲揚陸艦USSトリポリ艦上にて---海兵隊が4月2日記録を破った。F-35BライトニングII共用打撃戦闘機を16機も強襲揚陸艦に搭載したのだ。

 

曇天の下で甲板要員が海兵隊パイロットに発艦地点を示し、その他機体を海軍最新の大型強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)艦上で移動させた。今週は更に多くの機体が加わる。

 

各機は海兵隊戦闘攻撃飛行隊225「ヴァイキングス」と海兵隊戦闘攻撃飛行隊211「ウェイクアイランドアヴェンジャーズ」の機体で、ともにユマ海兵隊航空基地(アリゾナ)に駐屯している。さらにユマとニューリバー(ノースカロライナ)の海兵隊作戦試験評価飛行隊1の所属機も加わる。海兵隊はF/A-18ホーネットおよびAV-8BハリアーをF-35Bに交替させつつある。

 

とは言えトリポリにF-35B十数機を搭載し運用するのは記録更新や写真広報のためではない。同艦には500名の海兵隊員も乗る。関係者はUSNI Newsに今回のMAG-13訓練をトリポリで展開するのは大型艦と海兵隊機材により統合MAG(海兵航空集団)作戦を展開する一歩に過ぎないと語り、これまでにない動きとする。

 

「これまで20年にわたり展開されたのとは別の形になる。従来は飛行隊が中東に展開し各種任務にあたってきた」と説明するのはMAG-13司令チャド・ヴォーン大佐Col. Chad A. Vaughnだ。同集団もユマに本拠を置く。

 

今日の敵勢力は将来にわたり、特に空で米軍と対峙してきた敵を上回る存在になる。このため従来を上回る規模の共同作戦が必要となると関係者が認識している。

 

「未経験の技量のセットが必要となる」とヴォーン大佐はトリポリ艦上で艦長ジョエル・ラング大佐Capt. Joel Langに述べている。

 

昨年10月MAG-13は隷下飛行隊を砂漠統合現場演習でカリフォーニアのトゥウェンティナインパームズにある海兵隊航空地上戦闘センターに派遣した。「MAG司令部にとっても地上から戦闘の仕方を学ぶ機会になった」「可能な限り多くのF-35を投入し、同時にMAGパイロットと司令部が海上から戦闘を展開する方法を同時に訓練する機会になった」(ヴォーン)

 

海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211のF-35BライトニングIIがUSSトリポリ(LHA-2)に着艦した。April 1, 2022. US Navy Photo

 

トリポリの艦名をつけた以前の小型ヘリコプター強襲揚陸艦と同様にアメリカ級トリポリにはウェルデッキはないが、海兵隊航空作戦を想定した設計になっている。同艦にはLHD級大型強襲揚陸艦を上回る大型燃料貯蔵施設があり兵装庫も拡大しているほか、指揮統制通信機能も充実している。

 

「統合部隊司令やMEF指揮官が認可してくれれば本艦にもっと多くの機体を搭載できる。本艦は航空作戦にぴったりだ」(ウォーン)

 

「ライトニング空母」構想は海兵隊やF-35事業推進室が提唱してきた。「MAGの訓練で最適な機会になっている」とヴォーンは語り、VMX-1の作戦評価官がトリポリ艦上に今週加わり、F-35B運用のフィードバックを行う。

 

構想には前史がある。2003年3月のイラク侵攻で強襲揚陸艦USSバターン(LHD-5)、USSボンノムリシャール(LHD-6)に「ハリアー空母」の名がつき、AV-8Bハリアー攻撃機2個飛行隊を展開し、任務部隊51に提供した。米軍連合軍はバグダッドを目指していた。各艦はハリアー分遣隊を搭載したものの、海兵隊ヘリコプターが大勢を占めていた。

 

今回の海上演習には六ヶ月の準備期間が必要だった。ラング艦長は2020年9月よりトリポリ艦長で、今回の演習を乗員幕僚合わせ1,100名に実戦の予行となるよう事前にMAG-13と打ち合わせた。最大何機まで運用可能かを試すだけでなく、運用面で最適な機数上限を探る目的もある。

 

「どれが一番良い結果を出すのか確かめるべく、作戦環境を再現する。最も効率の高い方法を探る。海上部隊として威力を最大にする最適化でチームはやる気いっぱいです」(ラング)

 

強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)が太平洋を航行し海兵隊のライトニング空母構想の実証にあたった。 April 2, 2022. US Navy Photo

 

演習は一週間にわたり展開し、4月7日終了するが、MAG海兵隊員とトリポリ乗員は発艦、回収、移動、などF-35Bを艦上であらゆる面で試す。「MAGとして戦闘展開方法を学びつつあり、艦上からどう展開するのがいいのか、艦上で機体が多すぎて動きがとれなくなくなる事態を回避する方法を学んでいく」とヴォーン大佐は説明している。

 

ただしライトニング空母構想には疑問点も残る。F-35Bへの燃料補給が限定されること、E-2Dアドバンストホークアイのような早期警戒機を搭載していないことだ。USNI Newsでは今年後半に規模を拡大したテストが実施されると聞いている。

 

ヴォーンがこう付け加えた。「目標は海軍、海兵隊のチームがこの構想を採択することです。運用方法は確立ずみです」■

 

Marines Load Record 16 F-35Bs Aboard USS Tripoli Test of 'Lightning Carrier' Concept - USNI News

By: Gidget Fuentes

April 5, 2022 1:14 PM • Updated: April 5, 2022 3:17 PM



ライトニング空母構想は日本にも参考となりますね。しかし、強襲揚陸艦になんでも期待すればモンスターのような大型艦になり、結局正規空母と同じになってしまいます。ここは統合作戦として空軍機材で早期警戒任務にあたらせるとか、知恵の使い所ではないでしょうか。海軍だけ海兵隊だけで作戦が実施しにくくなっているのでしょうね。なお、アメリカ級は排水量5万トンとなかなかの艦容です。