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2025年9月28日日曜日

米海軍F/A-18スーパーホーネット戦闘機に終わりが近づいてきた(National Security Journal)―生産ラインは27年に閉鎖、新しい脅威環境への対応に限界

 

米海軍F/A-18スーパーホーネット戦闘機に終わりが近づいてきた(National Security Journal)―生産ラインは27年に閉鎖、新しい脅威環境への対応に限界

An F/A-18F Super Hornet attached to Air Test and Evaluation Squadron (VX) 9, the “Vampires,” takes off from Naval Air Station Point Mugu, California, September 11, 2025. Gray Flag 2025 is the naval aviation test community’s premier large force test event, providing unique venues for large scale integration of new capabilities across services and platform. Working with the Joint Force, industry, and our nation’s allies to ensure seamless integration and interoperability is key to ensuring warfighters have a decisive advantage in the field. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class John T. Jarrett)

2025年9月11日、カリフォルニア州ポイント・ムグ海軍航空基地から、航空試験評価飛行隊(VX)9「ヴァンパイア」所属のF/A-18Fスーパーホーネットが離陸する。グレイ・フラッグ2025は、海軍航空試験部門が主催する大規模部隊試験イベントで、各軍や機種を横断した新能力の統合のための独自の場を提供する。(米海軍写真:マスコミュニケーションスペシャリスト2等兵曹 ジョン・T・ジャレット)

要点と概要 – ボーイングはF/A-18E/Fスーパーホーネット生産を2027年に終了すると発表。理由として新規輸出契約の未獲得、海軍の次世代戦闘機F/A-XXへの優先度、セントルイス工場の生産能力をMQ-25など他プログラムへ移行することを挙げた。

-生産終了後も、米海軍艦隊およびEA-18Gグラウラー向けには耐用年数延長改修とブロックIIIアップグレードを継続。

-スーパーホーネットは陳腐化していない。その汎用性、電子戦オプション、低い運用コスト、高い即応性により現役価値を維持するが、現代的な中国/ロシアの防空システムや長距離ミサイルに対してはステルス性と航続距離で劣る。

-海軍がF-35、最終的にはF/A-XXへ移行する過程で、混成艦隊が空白期間を埋める一方、旧式戦闘機は生存性の課題に直面する。

F/A-18スーパーホーネット生産終了の理由は?時代遅れなのか?

ボーイングはF/A-18E/Fスーパーホーネットの生産を2027年に終了する。生産終了の背景には、新規国際受注の不足、米海軍が第6世代F/A-XXプログラムへの資金投入を必要としていること、ボーイングがセントルイス工場の従業員をMQ-25無人機やその他の新プラットフォームを含む先進プログラムへ再配置したい意向があることなど、複数の理由がある。

生産は米海軍からの最終発注分をもって終了するが、同機の耐用年数延長改修プログラムと既存機体のアップグレードは継続される。

ボーイングの声明によれば、「次世代の有人・無人航空機開発を支援するため、ボーイングはセントルイスに最新鋭施設を新設する計画だ。これらの施設に加え、アリゾナ州の新設複合材製造センター、ミッドアメリカ・セントルイス空港の新設MQ-25生産施設は、総額10億ドル超の投資をする」。

ボーイングはMQ-25を含む複数プログラムの生産拡大も計画している。声明は「グローバルなF/A-18スーパーホーネットおよびEA-18Gグラウラーフリート向けの先進能力開発とアップグレードを継続する」と付記した。

「過去数年間、複数の国際的なキャンペーンや競争に参加したが、成功には至らなかった」と、ボーイングの戦闘機担当副社長マーク・シアーズは昨年シー・エア・スペースフォーラムでのインタビューで述べた。「そうした動きはほぼ終息しており、これ以上のF-18追加調達について海軍との活発な協議は行われていない」。

スーパーホーネット、最強中の最強?

スーパーホーネットは優れた戦闘機と評価されている。その汎用性、強力な戦闘能力、空対空戦闘や攻撃任務を含む多様な任務遂行能力が認められており、海軍の空母航空団の中核を成す。ただし、F-35などの新型第5世代戦闘機と比較すると、ステルス性など制限がある。

それでも多くの航空アナリストは、F/A-18E/F スーパーホーネットを海軍史上最高の戦闘機と見なしている。

冷戦時代の海軍戦闘機であるF/A-18ホーネット(1970年代後半初飛行)を基に開発されたスーパーホーネットは傑出した機体である。両機は外観が似ているものの、実際は全く異なる航空機である。

スーパーホーネットは、その前身であるホーネットよりも約 20% 大きい。翼はより大きく、胴体はより長く、水平尾翼もより大きくなっている。外観は似ているが、共通部品はわずか 10% 程度しかない。

スーパーホーネットの F404 エンジンは、より大きな推力と燃料効率を誇り、最大離陸重量も大きくなった。内部燃料貯蔵量が約 3 分の 1 増えたスーパーホーネットは、航続距離と耐久性も大幅にアップしている。

F/A-18 スーパーホーネットは時代遅れなのか?

スーパーホーネットは時代遅れではないが、生産ラインは終わりを迎えつつあり、時間は刻々と過ぎている。2030 年代からは、F/A-XX やその他の先進的な第 5 世代、第 6 世代の航空機に取って代わられる。

現時点では、スーパーホーネットは米海軍にとって有能で現役の主力機のままだ。特にBlock III仕様へのアップグレードにより、今後数十年にわたり運用される。その継続的な有用性は、適応性と電子戦能力、そしてF-35などのステルス機と比較したコスト効率に起因する。同機の整備はF-35よりも安価で実施が容易である。同機の運用準備率は伝統的に80%前後で推移している。

高価なステルス機のみに依存するよりも、スーパーホーネットとF-35などのステルス機を混成運用する方が経済的である。

さらにスーパーホーネットは依然として極めて多用途だ。空対空戦闘や対地攻撃に加え、専用型EA-18Gグラウラーによる電子戦など、多様な任務を遂行する。

海軍は未来に備える

とはいえ、海軍の未来は第5世代ステルス機であるF-35と、将来のF/A-XX(仮称)にかかっている。高度化する中国やロシアの防空システムに対抗するには、ステルス性能とネットワーク能力がますます重要となる。

ステルス機能を持たないスーパーホーネットは、中国が増強するステルス機群や、今春インド・パキスタン紛争で実戦投入された中国製PL-15Eなど長距離防空ミサイルの脅威に脆弱である。

中国の新鋭長距離ミサイルにより、スーパーホーネットの戦闘行動半径がわずか375マイル(約604km)であることは、空母打撃群を大きな危険に晒す。敵艦は自艦の攻撃を仕掛ける前に、敵のミサイル攻撃を受ける可能性があるからだ。さらに、スーパーホーネットの武器ベイは長距離対艦ミサイルを搭載できない。

F/A-18E/Fスーパーホーネットは今後10年以上運用が続く見込みだ。しかし、その運命はすでに決まっており、この象徴的な戦闘機の寿命に終わりが近づいている。■


Military Hardware: Tanks, Bombers, Submarines and More

The U.S. Navy’s F/A-18 Super Hornet Fighter Is Almost Obsolete

By

Steve Balestrieri

https://nationalsecurityjournal.org/the-u-s-navys-f-a-18-super-hornet-fighter-is-almost-obsolete/

著者について:スティーブ・バレステリエリ

スティーブ・バレステリエリは国家安全保障コラムニスト。米陸軍特殊部隊の下士官および准尉として従軍。防衛問題の執筆に加え、PatsFans.comでNFLを担当し、プロフットボールライター協会(PFWA)会員。その記事は多くの軍事専門誌に定期的に掲載されている

2024年10月14日月曜日

ビースト・モードのF/A-18スーパーホーネットは爆弾トラックだ(National Security Journal)―対中戦を睨んで戦術を巧妙に調整している米海軍航空戦力

 (Jan 31, 2009) An F/A-18 Super Hornet assigned to the "Tomcatters" of Strike Fighter Squadron (VFA) 31 launches from the flight deck of USS Theodore Roosevelt (CVN 71). The Nimitz-class aircraft carrier and embarked Carrier Air Wing (CVW) 8 are operating in the 5th Fleet area of responsibility and are focused on reassuring regional partners of the United States' commitment to security, which promotes stability and global prosperity (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Snyder/Released)

(Jan 31, 2009) USSセオドア・ローズベルト(CVN 71)から、打撃戦闘機隊(VFA)31 "トムキャッターズ "所属のF/A-18スーパーホーネットが発進。ニミッツ級の同空母と空母航空団(CVW)8は、第5艦隊の責任領域で活動し、世界の安定と繁栄への米国のコミットメントを地域のパートナーに再確認させている(米海軍撮影:Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Snyder/リリース)


海軍のF/A-18Fスーパーホーネットがここまで武器を満載しているのは見たことがない。私が言っているのは、「ビーストモード」になったスーパーホーネットの最近の写真のことだ。 

 つまり、4発の超長距離AIM-174B空対空ミサイルと3発の中距離AMRAAM、それに2発の短距離サイドワインダーを搭載している。 

 さらに詳しく見てみよう。The War Zoneの鋭い観察眼は、赤外線捜索・追跡システム(IRST)とATFLIR照準ポッドも発見した。 

 The War Zoneは、Instagramの@point_mugu_skiesという謎のアカウントからこの画像を発見した。このアカウントは65,000人以上のフォロワーを持ち、カリフォ-ニア州ポイント・マグ海軍航空基地の所在地を記載している。 

「吸血鬼」が血を求めている  ビーストモードのスーパーホーネットに描かれている飛行隊エンブレムやカラーリングは、VX-9(航空試験評価飛行隊ナイン)のもののようだ。ヴァンパイアの愛称で呼ばれる同隊は、カリフォーニア州の海軍航空兵器基地チャイナレイクにある。 ヴァンパイア隊はEA-18Gグラウラーのテストも行っている。「VX-9は、兵器とその関連システムのテストと評価を支援するために、さまざまな航空機を運用する飛行隊である」と海軍は公式ウェブサイにある。

 チャイナレイクの当直将校の連絡先があり、ジャーナリストを広報将校に紹介し、1、2回引用してもらえるかもしれないが、それだけだ。  私は当直士官に電話したが、この人物は基地に広報室があるかどうか知らなかった。私はシカトされたのだろうか。 とにかく、ウェブサイトにはかなり曖昧な記述があり、おそらく海軍はVX-9の活動を秘密にしておきたいのだろう。 

 ヴァンパイア隊のウェブサイトには、このメッセージのほかには、指揮官と下士官が掲載されているだけで、具体的な活動内容やテストの詳細は掲載されていない。 

 どういうわけか、インスタグラムのアカウントに、ビーストモードのスーパーホーネットのこのエキサイティングな写真があった。 


訓練で実弾射撃はなし 武器については、The War Zoneは「主翼の下に搭載された大型ミサイル4発は、海軍の空中発射型マルチロール長距離地対地ミサイルSM-6の亜種AIM-174Bの訓練バージョンである」とある。VX-9の評価者たちは、ミサイルの実射テストをするよりも、機体の重量増加への対応をテストしているのだろう。 

 AIM-174Bは、海軍にとって危険な時期に登場した。中東は一触即発の状況だ。イスラエルはイランに核兵器を持たせないために先制攻撃する可能性がある。ロシア空軍はウクライナの空で近代的な空中戦に適応しつつある。中国も戦闘機やミサイルの射程距離を伸ばしている。 


海軍戦術の改善 ヴァンパイア隊は、ビーストモードのスーパーホーネットでさまざまな外注を試しているようだ。 成功すれば、空母の飛行士は、スタンドオフ兵器を持つ敵に対して優位に立てるだろう。 

 つまり、空母は中国の対艦ミサイルの射程圏外にとどまり、スーパーホーネットをビーストモードで発進させ、長距離ミサイルを空中目標に使用することができる。 

 これは戦術的にも作戦的にもかなり有利だ。 敵を混乱させる この兵器構成でのスーパーホーネットのターゲットは、おそらく敵のタンカー、電子戦機、指揮統制機だろう。 これは初日の交戦で中国空軍の「目くらまし」に役立つだろう。 


グラウラーをお忘れなく 「ビースト・モード」のF/A-18スーパーホーネットは限界に挑戦しており、昨今の脅威環境を考えれば心強い展開だ。 ヴァンパイアは "血に飢えて"おり、テスト飛行を実際の戦闘作戦につなげようとしている。次のステップは、AIM-174Bの実射テストだろう。 

 インスタグラムの友人は、ヴァンパイア隊の実射テストやスーパーホーネットのビーストモード訓練ミッションの画像を撮影するためにカメラを準備しているようだ。 ヴァンパイア隊がグラウラーをテストしていることもお忘れなく。海軍航空は電子戦と敵のレーダーやセンサーの妨害に依存している。 中国との衝突を想定してグラウラーは常に改良される可能性がある。■



著者について ブレント・M・イーストウッド博士は、『Don't Turn Your Back On the World: A Conservative Foreign Policy』『Humans, Machines, and Data: Human, Machines, and Data: Future Trends in Warfare』のほか、2冊の著書がある。人工知能を使って世界の出来事を予測するハイテク企業の創業者兼CEO。ティム・スコット上院議員の立法フェローを務め、国防と外交政策について同議員に助言した。 アメリカン大学、ジョージ・ワシントン大学、ジョージ・メイソン大学で教鞭をとる。 元米陸軍歩兵将校。 X @BMEastwoodでフォロー可能


Beast Mode: The U.S. Navy’s F/A-18 Super Hornet Is Now a Bomb Truck

By

Brent M. Eastwood


https://nationalsecurityjournal.org/beast-mode-the-u-s-navys-f-a-18-super-hornet-is-now-a-bomb-truck/


2024年4月8日月曜日

F/A-18生産の最終予定が決まった

Breaking Defense 記事からのご紹介です

知財問題はF-35が発端ではないでしょうか。

ロッキードが権利をもったままではずっと同社の言い値のままですから、

軍が管理すべきというものですが、論理的には無理がある主張に思えます。

とはいえ、ホーネットからスーパーホーネットへ移行し、従来の戦闘機、攻撃機

、給油機を統合した何でも屋さんのF-18の生産がいよいよ終了することになります。


Super Hornet launch

An F/A-18 Super Hornet assigned to the “Tomcatters” of Strike Fighter Squadron 31 launches from the flight deck of the Nimitz-class aircraft carrier USS Theodore Roosevelt. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Snyder/Released)


2027年にスーパーホーネット・ラインを閉鎖へ: ボーイング副社長


近の米海軍の契約により、ボーイングF/A-18スーパーホーネットの生産寿命はあと2、3年延びたが、追加顧客を見つけることができなかったため、航空宇宙大手は2027年以降、レガシー戦闘機の生産ラインを閉める予定だとボーイング幹部が本誌に語った。

 ボーイングの戦闘機担当副社長マーク・シアーズMark Searsはインタビューで、「これまで国際的なキャンペーンやコンペが不調だった。「コンペは終了し、F-18の追加発注について海軍と積極的に話し合うことはない」。

 シアーズによれば、セントルイスのスーパーホーネットの労働力をF-15EX戦闘機、T-7A訓練機、MQ-25給油ドローンなど他のプログラムに徐々に振り向けながら、月産2機のF-18の製造速度を1.5機に減速させる。「F-18の受注が減速し、最終的に完了するまで、F-18用の人材に対するニーズがあります」とシアーズは述べ、ボーイングは、スーパーホーネットの作業が終了しても、同事業所の従業員が「削減」されることはないだろうと付け加えた。

 「減産はスピードを上げることと同じくらい難しいことです」。シアーズは、ボーイングは納入に "空白期間"はないとしながらも、「機体納入が前途多難であることは承知している」と注意を促した。「海軍が同機をどれほど必要としているかを知っているため、海軍への新たな納入スケジュールで予定通りにこれらのジェット機を納入することに集中している」。

 3月19日、米海軍は17機の新型スーパーホーネットを13億ドルでボーイングと契約し、最終納品は2027年春を予定している。

 契約は長い交渉の末に結ばれた:議会は当初、2022会計年度と2023会計年度に戦闘機購入の予算を計上したが、海軍はスーパーホーネットとEA-18Gグラウラー電子攻撃機の技術データの権利についてボーイングと合意に達するまで支出を保留した。その間にインフレ費用がかさみ、交渉が滞り、最終的には20機の購入予定が17機になったとも伝えられている。

 両者は3月の契約の一部として、データ権利について合意に達し、産業界としばしば対立する問題で大きな突破口を開いたことを意味する。国防総省は、特にインド太平洋地域での紛争に備えるため、軍主導の、あるいは「有機的」なメンテナンスや維持のための競争に道を開くために、プラットフォームの技術データパッケージ(設計図面やその他の仕様書のような主要な製造・メンテナンス情報)の充実を推進してきた。しかし、技術データの取り扱いは、産業界にとって茨の道となる可能性がある。なぜなら、それは知的財産に関わるものであり、持続可能性業務を前提としたビジネスモデルを脅かす可能性があるからだ。

 技術データの問題は、「産業界と政府が長い間対立してきた分野のひとつだ。F-18のボーイングもそうだし、海軍もそうだ。だから、海軍が我々と一緒にこのプラットフォームを長期的にサポートするため必要となるデータを得るために、最終的な解決への道筋をつけることができたことは、本当に前向きな一歩だ」とシアーズは語った。

 シアーズは、交渉を複雑にしている主要な問題の1つに、データ権の要求が比較的遅かったことがあると説明した。ボーイングは、データ使用権の交渉がプログラム開始時に行われなかったため、30年以上にわたるデータを照合する必要があり、さらにプラットフォームの知的財産権の問題を解決しなければならなかったと、シアーズは述べた。

 「当社と海軍の間には、知的財産権をめぐる争いがありました。そして、契約に至ったという事実は、我々が契約内容に満足していること、そして海軍が彼らのプラットフォームを長期的にサポートするために取得するデータに満足していることを示していると思います」とシアーズは語った。海軍は、この技術データ契約に関する質問には回答しなかった。

 シアーズはさらに、この契約によりボーイング製機材の見通しに大きな変化はないだろうと述べた。

 「海軍による維持管理業務の多くで組織的に、あるいは競争的に行う能力がすでに生まれています。ただし、特定の能力、重要な要素、技術的な専門知識を求めてボーイングに来る。必ずしも、知的財産を利用して政府に責任を負わせたり、当社に戻るよう強制したりするような強制的な機能ではありません」。

 スーパーホーネットの生産継続に加え、ボーイングは耐用年数延長プログラムを通じて、旧型機をブロック3規格と呼ばれるものに変更している。シアーズによると、2023年の第2四半期にブロック3へのアップグレードを計画した最初のブロック2ジェットを導入し、今月中にそれを回す予定だという。新造のスーパーホーネットはブロック3の構成で納入される。

「SLM(耐用年数変更)を考慮すると......将来、ブロック3のスーパーホーネットは何百機にもなるだろう」(シアーズ)。

 3月19日の契約は未確定契約アクション(UCA)として発行された。シアーズは、UCAが生産に許可を与えるものであり、両者はUCAの「範囲内」で契約が最終化されることを期待していると述べた。

 「実質的な問題は残っていない。契約の細部で、まだ解決しなければならない些細なことはあります。しかし、契約締結に大きな障害はない。■


Boeing to shutter Super Hornet line in 2027 after final Navy order: Boeing VP

By   MICHAEL MARROW

on April 05, 2024 at 1:56 PM


2020年9月28日月曜日

初期型ホーネットを2030年代まで使いまわせ、米海兵隊の各種性能改修案

 2030年代以降の米海兵隊の戦術航空機材 (TACAIR) はロッキード・マーティンF-35B、C型ライトニングIIに統一される。現在はマクダネルダグラスAV-8BハリヤーIIおよびボーイングF/A-18AからD型ホーネットも海兵隊の近接航空支援(CAS)に投入されている。現行案ではハリヤーIIは2028年度、ホーネットは2030年度に廃止される。

 

海兵隊のホーネットはA型からD型まで1980年代の製造で旧式化が目立つものの全機が性能改修を受ける。各機退役まで10年近く残る中で、選抜した84機は最終年度まで供用対象となる。

 

ホーネットは空対空、空対地両面で海兵隊で最優秀機材となっているがさらに一部機材は10千時間までの稼働を可能とすべく保守管理が施される。並行して新装備も導入され、ライトニング部隊がフル稼働する2030年までのつなぎ機材として十分に機能させる。

 

非公式に「クラシック」ホーネットと呼ばれる第一世代F/A-18はすでに米海軍では大型化したF/A-18E/Fに交代している。海軍から一部機材が海兵隊に提供され、2030年までの供用を期待されている。

 

JAMIE HUNTER

米海兵隊のホーネットは最大7個飛行隊に最新性能改修の実施を目指す。

 

 

F/A-18A-D事業管理部門(PMA)が今後の計画を積極的に検討しており、稼働率向上や機材保存に加え耐用年数末期予定点検(PMI)の再検討も行っている。年二回にわたり検討会を開き、海兵隊の現有ホーネットで今後も供用可能な機体の特定に努めている。

 

海兵隊上層部からホーネット攻撃機部隊に関し、大胆な案が出ている。その中心が数次にわたる改修で、最終的に飛行隊7個分の最良状態のホーネットを確保する。全機にレイセオンAN/APG-79(v)4アクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載する。

 

このレーダーは Block 2/3のF/A-18E/FスーパーホーネットならびにEA-18Gグラウラーに搭載されているAN/APG-79(v)1が原型だ。クラシックホーネットにAESAを搭載する構想は長年にわたりあったが、新型機体防御装備ならびに精密誘導兵器を搭載すれば、ホーネットはハイエンドミッションに耐える機体になる。

 

ホーネットの兵装システム士官(WSO)だったマイケル・ペイヴィス中佐がパタクセント海軍基地でF/A18A-D事業にかかわり、The War Zone取材にこう述べている。「海兵隊の航空戦力整備案は海兵隊F/A-18A-D各型の今後の基礎となります。2030年の退役とF-35への機種転換でも重要な構想です。移行期間中もホーネットは海兵隊機材として空対空、空対地で最も多く運用される機体であることにかわりありません。このため同機の維持が必要であり、国防戦略構想でも各機を十分な威力を維持し稼働可能に維持する必要があります」

USMC

米海兵隊のF-35機種転換計画図。

 

 

「A-D各型を運用中の各飛行隊を今後は混成編成にしていきます。F/A-18Cを7機、F/A-18Dの5機として最小限の支出で最大の効果を実現します。F/A-18の設計寿命は6千飛行時間でしたが、8千時間まで延長が完了しています。長時間飛行ずみ機体の点検結果から、1万時間までの飛行が可能と判明しています。ただしこの点検は非常に高額で時間がかかり、作業中は機材が使用できなくなります。点検済み機材はAN/APG-79(v)4レーダー、AN/ALQ-214(v)5・AN/ALR-67電子戦装備を搭載し、最少の出費で最高の性能を実現します。あくまでも機体保持費用を下げながら性能を最高水準にするのがねらいです」

 

新編成の混合飛行隊構想は現役で残る海兵隊のホーネット飛行隊7個でF/A-18の想定ミッションをすべてこなすのが狙いだ。「人員面の問題が解決されますし、今後はホーネットWSOの新規訓練は終了します。ただしホーネット稼働中はキャリアフィールドは維持し、複座型のみで可能な前方航空統制官(機内)や戦術航空統制ミッションの能力開発を進めます」「全部隊にこれを広げれば、WSOの活用が可能となります。混成部隊ならではの人材活用策となります」(ペイヴィス中佐)

 

最良の状況の機材を選ぶ

 

海兵隊ホーネット各飛行隊はこの数年、稼働率問題に苦しんできた。要求を満たす機材数の確保が大変だった。2018年度版の海兵隊航空戦力整備案では「海兵隊所属機材は現時点で飛行隊11予備飛行隊1の編成である。この数年は修理のため稼働機数の不足に悩まされている。そこで海兵隊総司令部では臨時措置として第一線飛行隊を10個編成とし、て稼働率を維持しつつ現時点の作戦要求にこたえる体制とする。今後は点検等が終了し復帰する機体が増えるので12個飛行隊体制が2017年度第三四半期に実現の見込み」とある。

 

海軍システムズ本部がホーネット部隊の摩耗度を調査した際に大きな支えとなったのが飛行時間予測ツールで2030年まで支援コストを最小限にしながら機体の利用度を最大にできるとわかった。「この分析で性能改修が可能な機材が把握できた」とペイヴィス中佐が説明。「最高の常態の機体を抽出し、最少の保守管理費用で最大の効果を実現した。また生産ロット別に区別し、一定のロット番号以降の機体を改修対象にし、それ以下は対象外とした。F/A-18Cではロット15が境目でD型はロット14だった」「機体を個別に点検すると総飛行時間がわかり、どこまでの寿命が残っているか疲労度で把握した」とし、中でも主翼付け根の疲労度が大きな要素で交換が必要なのかで所要時間が変わり、センターバレル交換プラス(CBR+)は大きな出費となる。

 

2019年度海兵隊航空戦力整備計画では「F/A-18供用期間管理事業((SLMP)はセンターバレル交換プラス(CBR+)と長時間飛行機材(HFH) 点検事業で構成する。CBR+でロット17以前の機材の供用期間を延長し、HFH点検ではF/A-18A-D各型で8千時間超を実現する。HFH、CBR+と並行して供用期間延長事業(SLEP)では点検整備に加え技術変更点提言によりその他F/A-18A-D機材の飛行時間を1万時間に延長する。海軍航空兵力整備事業では飛行時間8千超の機体整備も計画する」とある。

 

ペイヴィス中佐は「機体疲労度を調べ、飛行時間累計からどこまでの性能改修が可能か検討し、CBR実施の必要度を判断することでCBR予測を大幅に減らしています。合計5回分のCBRを回避できた事例もあります。これでごく小規模の疲労対策で機材を1万時間稼働させられます」と述べる。「整備拠点には8千時間超のHRH点検対象機材が大量に残っています。可能な限り早く第一線部隊に戻したいので現在の作業工数は最高レベルになっていますが、このままでは完了は2030年になります。9千時間点検もありますが、これは軽微な内容です。

 

JAMIE HUNTER

ホーネット混成飛行隊体制で海兵隊はホーネット完全退役までWSOのキャリアを維持できる。

 

 

現役飛行隊に加え、予備飛行隊一個がフォートワース海軍航空基地/供用予備隊基地(テキサス州)におかれる。VMFA-112「カウボイズ」は旧式F/A-18+機材から低飛行時間機体のロット10および11のF/A-18Cに機種転換中で、後者はボーイングによりC+仕様に改修中だ。このプロジェクトは30機を当初対象にしていたが19機に削減された。「C+プログラムでこれまで7機が納入済みです。12機分の改修作業が残っており、VMFA-112飛行隊を『用途最終日』まで支援していきます」とペイヴィスは述べる。

 

F/A-18C+改修では多機能情報分配システム-小規模ターミナルMultifunctional Information Distribution System-Low Volume Terminal (MIDS-LVT) のデジタル通信機能、海軍航空乗員共通射出座席 Naval Aircrew Common Ejection Seat (NACES) 、共用ヘルメット搭載目標照準システム Joint Helmet-Mounted Cueing System (JHMCS)、戦術航空機用移動地図表示機能Tactical Aircraft Moving Map Capabilities (TAMMAC)や新型フルカラーコックピット表示装置を搭載する。

 

新装備による性能改修

こうした装備品の個別搭載に加えソフトウェアの「手直し」を作戦運用飛行事業Operational Flight Programs (OFP)として連続実施する。ここはLink-16データリンク、Gen4ライトニングポッド、レーダー航法機能の高度化があり、航空管制上の規程に合致するようになる。

 

電子戦機能の高度化でも一部機材への搭載が始まっている。「ALE-67(v)3レーダー警報受信機[RWR]に加え、ALQ-165 ASPJ(機内搭載防御用ジャマー)にALQ-214(v)5を付けて搭載しており、作業は進行中」とPMA-265でレーダー電子戦装備の整備を統括するビシャー・マフティ中佐が説明してくれた。

 

あらたに承認され今後登場する装備品に自動地上衝突回避システムAutomatic Ground Collision Avoidance System (Auto-GCAS)があり、ペイヴィス中佐によれば搭載は「可及的速やかに」なるという。NAVWARと呼ばれる改修予算が認められ2022年度に事業開始となり、2023年度2024年度にかけ続き、GPSと時間計測機能を加えるとペイヴィス中佐は述べた。これはジャミングに強いGPSで、一定の作戦シナリオで応用される。

 

兵装面の性能向上ではAIM-9XブロックII、AIM-120D高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、AGR-20A高性能精密命中兵器システム Advanced Precision Kill Weapon System (APKWS)の搭載があり、後者はハイドラ70無誘導ロケットにレーザー誘導装置を付け精密誘導弾にしたものだ。新装備に加え新型アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを組み合わせるとホーネットの戦力は全く新しい水準になる。

 

AESAで戦闘能力が大きく引き上げられるだけでなく、可動部品が減ることで信頼性が高まる効果も期待できる。運用面での改善効果として探知能力が向上し探知範囲も広がり、巡航ミサイルのようなレーダー断面積が小さな標的の探知識別能力が向上するほか広い空域を迅速に走査できるのはAESAレーダーが機械式装置を使わないためだ。

 

ホーネットが搭載するAN/APG-73の換装を海兵隊は長年にわたり望んできた。レイセオンは当初2010年に当時APG-79(VX)の呼称だった同社製高性能レーダーに換装できるか検討した。しかし、案は2018年度海兵隊航空戦力整備案まで陽の目を見なかった。

 

RAYTHEON

レイセオン社員がAPG-79(v)4の装着適合性をチェックしている。

 

 

その他のレーダー候補にはノースロップのScalable Agile Beam Radar (SABR)があり、同社はホーネットへの搭載可能性チェックを2018年に行った。2019年1月にはレイセオンから発表があり、海兵隊より AN/APG-79(v)4の採用通知を受け、F/A-18C/D各機へ搭載が決まった。現時点の予算では同レーダー75基の調達が決まっている。海軍航空システムズ本部はレイセオンに30.2百万ドルの契約を交付し、2021年12月より9基を先行調達する。注目されるのはカナダも同型レーダーを自国のCF-18ホーネットの性能改修用に採用したことだ。

 

同レーダーの選択理由としてスーパーホーネットで搭載したAN/APG-79につながる装備品として費用対効果が優れ、ホーネットで搭載ずみのAN/APG-73用ソフトウェアとも互換性があることがあるとペイヴィス中佐は説明。スーパーホーネット、グラウラーで搭載のAPG-79(v)1 との互換性から新型レーダー換装の際のソフトウェア開発費用を抑える効果がある。「AESAによりサプライチェーンを整理できる」とマフティ中佐も述べている。「APG-79(v)1をスーパーホーネットに搭載し、(v)4は約90パーセントの共用性がある。今後用途廃止までの間のレーダー装備を十分維持できる」


JAMIE HUNTER

海兵隊はホーネットのコックピットディスプレイ改修の予算実現も期待している。

 

 

さらにその先にまだ予算化されていない改修作業もある。AN/ALR-67(v)5 RWRの改良がその一つだ。「コックピット内のディスプレイも旧式化しており整備が問題になっている。左右のデジタルディスプレイ表示装置、コックピット映像記録装置だ」とペイヴィス中佐は述べ、段階的改修の予定があるが予算化と計画化が必要という。

 

こうした案で初期型ホーネットは最強の戦力を発揮するようになる。F-35の配備案が先送りになる中、F/A-18が耐用年数を延長しながら性能改修を受けていけば海兵隊には頼りがいのある機材になる。

 

ただし海兵隊は既存ホーネットの型式名を変更する予定はない。むしろ、ペイヴィス中佐はF/A-18A-D フリートで各種の非公式名称が流布しているが、いずれも米海軍、海兵隊で正規名称と認識されていないと指摘する。「 F/A-18A-Dホーネットです。『レガシー』ではありません、『レジェンダリー』でも『クラシック』でもありません」という。■

 


この記事は以下を再構成したものです。