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2025年5月23日金曜日

ボーイングはKC-46Aの5号機6号機を今年中に日本に納入へ、その他自衛隊向けプロジェクトの現況について(Breaking Defnese)

 Exercise Cope North 25

グアムのアンダーセン空軍基地で行われたコープノース25演習で、給油任務に出発する航空自衛隊のKC-46A空中給油機。 (オーストラリア連邦撮影:Mikaela Fernlund)



ボーイング幹部は日本向けに進行中のF-15イーグルのアップグレードについても触れ、スセントルイスにあるボーイングの施設でシステム統合作業が進行中だと述べた


DSEI JAPAN - 今年後半に5機目と6機目のKC-46Aペガサス・タンカーを日本へ引き渡す予定であると、ボーイング幹部が語った。数ヶ月前の演習中に、供用中の同型機が同盟国機材に給油したことも明らかにした。

 ボーイングのジョン・スディング東アジア防衛・政府サービス担当エグゼクティブ・ディレクターによると、2月にグアムで開催されたオーストラリア、日本、米国が参加する多国間演習「コープ・ノース」に参加した際、航空自衛隊(JASDF)のKC-46Aは連合軍と日本の航空機に給油したという。

 同氏は対象機の所属国名は挙げなかったが、3月にNATO統合空軍能力センターにアップロードされた日本の空対空給油基準リリース文書によると、日本のKC-46は豪空軍と米空軍のF-35A、および後者のF-15、F-16、F-22への給油を許可されているという。

 日本政府は2025年度防衛予算で、2024年12月にKC-46を4機取得するために2068億円(14.4億ドル)をすでに計上している。

 ボーイングのランディ・ロッテ・インド・アジア太平洋地域担当リージョナル・ディレクターもブリーフィングで、日本が2月に発注した17機のCH-47FブロックIIチヌーク大型輸送ヘリコプターが航空自衛隊と陸上自衛隊に分割されることを確認した。

 両軍は現在、旧バージョンのチヌークを運用している。 日本は米国以外ではこのヘリコプターの最大の運用国であり、70機弱が運用されている。ボーイングは、日本がチヌークの最新モデルで機体を順次更新していく中で、日本からのさらなる発注の可能性を見ている。

 最新のヘリコプター・バッチは、1980年代から日本のチヌークを組み立てきた川崎重工業(KHI)によって日本で最終組み立てが行われる。 ボーイングと川崎重工は、過去40年で100機以上のチヌークを自衛隊に納入してきた。

 ボーイング幹部はまた、日本が現在進めているF-15イーグルのアップグレードについても触れ、スディングは記者団に対し、セントルイスにあるボーイングの施設でシステム統合作業が進行中であると語った。

国防総省は2024年12月、レーダー、自己防護システム、ミッション・コンピューター・ユニットの購入でボーイングに4億5000万ドルの契約を結んだ。

 1980年代に導入された日本のF-15Jのうち68機をアップグレードするプログラムでは、新しいミッション・コンピューター、レイセオンAN/APG-82(v)1マルチモード・アクティブ電子スキャン・アレイ・レーダー、米空軍の新造F-15EXイーグルIIと同様のBAEシステムズAN/ALQ-239デジタル電子戦システムが装備される。

 アップグレードされたF-15はまた、AGM-158統合空対地スタンドオフ・ミサイルの統合によるアップグレードの後、スタンドオフ攻撃能力を得ることになる。

 三菱重工業(MHI)が日本での実際の改修作業を実施するが、ボーイングとMHIの両社は、このプログラムの納期について質問されたが、口を閉ざした。■


Boeing on track to deliver fifth, sixth KC-46As to Japan this year: Exec

The Boeing executives also touched on Japan’s ongoing effort to upgrade its fleet of F-15 Eagle interceptors, with Suding telling reporters that systems integration work is ongoing at Boeing’s facilities in St. Louis.

By   Mike Yeo

on May 21, 2025 at 11:56 AM


https://breakingdefense.com/2025/05/boeing-on-track-to-deliver-fifth-sixth-kc-46as-to-japan-this-year-exec/


2024年11月24日日曜日

ボーイングがP-8とKC-46の追加受注40億ドルを獲得(Breaking Defense)

 A Boeing KC-46 visits to Yokota

A Boeing KC-46A Pegasus takes off at Yokota Air Base, Japan, Oct. 25, 2018, during a system evaluation. (U.S. Air Force photo by Yasuo Osakabe)




国防総省はボーイングに対し、KC-46Aペガサス・タンカー15機とP-8Aポセイドン海上偵察機7機という、総額40億ドル以上の契約を発注した


契約とも予想されていたことではあるが、防衛部門が前会計四半期で20億ドルの損失を計上し、全社的なレイオフに直面しているボーイングにとって朗報である。

 P-8Aの契約額は16億7000万ドルで、カナダとドイツへの対外軍事販売のための非経常的なエンジニアリング業務も含まれる。これにより、契約中のP-8Aは207機となり、うち135機が米海軍向けとなる。オーストラリア、インド、イギリス、ノルウェー、ニュージーランド、韓国、ドイツ、カナダはいずれも同機を使用しており、AUKUS三国安全保障条約の要請で行われた実験で重要な役割を果たしている。

 ボーイングの副社長兼P-8プログラム・マネージャーであるトリー・ピーターソンは、「P-8Aポセイドンを7機追加する16億7000万ドルの未確定契約は、強固な海上プレゼンスを維持するという米海軍のコミットメントを強化するだけでなく、海軍の作戦能力、即応性、有効性を高める安全で信頼性の高いプラットフォームを提供するというボーイングの献身を浮き彫りにするものです。当社は、我が国と同盟国の継続的な安全と安全を確保するため、追加のP-8A海上哨戒機を納入することを楽しみにしています」と述べた。

 KC-46Aの契約額は23億8000万ドルで、米空軍向けに15機が追加される。 ボーイングの声明によると、この新規契約で契約機数は168機となる。現在まで同社はKC-46Aをアメリカ空軍に89機、また4機を日本に納入している。

 国務省は以前、日本に最大9機のKC-46タンカーを購入することを承認した。日本がこの契約を続行すれば、現在の保有機の2倍以上となる。イスラエルも同タンカーを契約しているが、この10年間は遅延とコスト超過に悩まされている。■



Boeing inks contracts worth more than $4B for KC-46s, P-8s

The deals include seven new P-8s and 15 KC-46s.

By   Justin Katz

on November 22, 2024 at 12:09 PM


https://breakingdefense.com/2024/11/boeing-inks-contracts-worth-more-than-4b-for-kc-46s-p-8s/


2022年8月8日月曜日

KC-46デパイロット1名、ブームオペレータ1名計2名での運行をねらうAMCの思惑とは

 


Single Pilot KC-46 Tanker Operations Eyed By Air Force For Major Conflicts

U.S. Air Force photo by Senior Airman Kimberly Barrera


米空軍KC-46Aで新コンセプトが承認されれば、パイロットとブームオペレーターだけでハイエンド戦闘を行う日が来るかもしれない。

 

 

空軍は、将来の中国との紛争など特定の戦時シナリオで、KC-46Aペガサス空中給油タンカーをパイロット1名とブームオペレーター1名の2名だけで運用する可能性を検討している。同給油機は現時点では、緊急事態を除き、戦闘活動に投入できない。このニュースはネット上で激しい議論と批判を呼んでおり、乗員の仕事量が増えることで安全性に懸念を呼んでいる。

 カンザス州のマコーネル空軍基地が、KC-46Aの2名運航の申請を提出したことを、空軍の空中給油タンカー保有部隊を統括する航空機動軍団AMC(Air Mobility Command)の広報担当、ホープ・クローニン空軍少佐Maj. Hope CroninがThe War Zoneに確認した。通常、タンカーはパイロット、副操縦士、ブームオペレーターの最低人数で飛行する。5月時点で、空軍はペガサス給油機を59機受領ずみで、うち20機以上がマコーネルの部隊に配備されている。

 最初の情報は、7月15日に空軍のamn/nco/snco Facebookページやr/AirForce Subredditといった空軍の非公式ソーシャルメディアチャンネルに掲載された。最初の情報の匿名情報源は、AMC司令官マイケル・ミニハンMichael Minihan大将が要請を受け、マコーネルでの採用と定着に関する懸念から検討しているとしたが、司令官は否定している。空軍はパイロット不足に陥っているが、これは過去にも問題になっていたことで、近年は解消に向け少しずつ前進している。ただパンデミック後の航空ブームと航空会社による採用で、再び状況が悪化する可能性もある。

 「AMCは、互角戦力を有する敵対国との戦闘に対応しようとする統合軍のニーズを満たすため必要な機動部隊としての準備を整えるため、リスク情報に基づき、迅速に前進している。AMC機材は通常、パイロット、副操縦士、そして機種によってはロードマスターやブームオペレーターで運行している」とAMC広報担当のクローニン少佐はThe War Zoneに語っている。「司令部は現在、将来のダイナミックな戦闘に向た新しい戦術、技術、手順(TTPs)を模索し、検証する中で、飛行乗務員の最小条件を再検討している」。

 「問題の放棄要求は、仮想的な互角戦力を有する敵国の戦いで使用する可能性のために、訓練シミュレーションと雇用の概念開発で評価されている探索的なTTPを安全に検証するプロセスの一部である 」と少佐は続けた。「AMCスタッフは現在、このコンセプト開発を検討し、この種の作戦を実行する権限がMAJCOM(主要司令部)レベルにあり、承認が出る前に十分な安全マージンの範囲内で実行できることを確認している」。

 

The War ZoneはAMCに、同様のTTPが空軍のKC-135やKC-10タンカーでも承認されたのか、あるいは現在検討されているのかに問い合わせた。KC-135とKC-10は、KC-46よりはるかに古い設計で、自動化の程度もに限られており、少ない乗員での運用が制限される可能性がある。また、KC-46の2クルー・オプションが承認されても、それが日常的に使用される承認の兆候はないことに注意が必要だ。

 KC-46Aを乗員2名で飛行させることは、大規模な紛争時に空中給油機の需要が非常に高いが、敵の行動による損失も含め、利用できるタンカーが少なくなる場合に有用となりそうだ。近年、空軍はタンカー能力の向上への要望と、大規模戦闘におけるタンカー機材の脆弱性への懸念を公にしている。KC-46Aは、貨物や旅客輸送、航空医療搬送の任務もこなせるため、大規模紛争時には任務計画や任務付与のプロセスが複雑になるだけであることを忘れてはいけない。

 同時に、空軍の現職・元職員を含む多くのソーシャルメディア上のコメントですでに指摘しているように、KC-46Aやその他のタンカーをたった2人の乗員で運用する考えは、安全性や乗員への負担で疑問を投げかけるものでしかない。空中給油は複雑で危険な作業であることが多く、特に大規模戦闘中は、タンカーの乗組員間、およびタンカーと給油を受ける機体の人間で、かなりのコミュニケーションと調整が必要となる。

 パイロットとブームオペレーターが1人しか搭乗しないKC-46Aは、ミッション中に予期せぬ医療事故などの理由でどちらかが機能しなくなった場合、バックアップ要員がいなくなる。食事や睡眠、トイレなどの基本的な生活の質への影響も、代替要員がいないと悪化する。

 米国連邦航空局(FAA)が、どのような民間機や商業機をいつ、どのようにパイロット1名で飛行させるかについて制限を設けているのには理由がある。特定の軽量ジェット機や小型機のみ、しかも特定の状況下でしか飛行できない。KC-46と同サイズの民間航空機が、パイロット1人飛行を許可されている例は、世界中どこにもない。

 航空史家で作家、『The War Zone』の寄稿者でもあるロバート・ホプキンスは、空軍在職中、C-135派生型を飛ばしていた。Twitterで、2人乗務のコンセプトが、従来のタンカーの脆弱性を認めると同時に、タンカー多数を危険にさらす解決策になるように映ると強調している。確かに、空軍は将来のハイエンドな戦闘で相当数のタンカーを失う想定で計画を立てているように見える。

 原理的には、KC-46Aが搭載する自動化システムにより、懸念のいくつかを緩和または軽減できる。2名搭乗のペガサスタンカーも、大規模な紛争の中で、リスクの低い環境に割り当てられる可能性がある。しかし、空軍のペガサス・タンカーは、給油ブームと、航空機に誘導するリモート・ビジョン・システム(RVS)に関する根強い深刻な問題に悩まされている。

 これらの問題は非常に深刻で、「我々は現在、緊急の必要性がない限り、(KC-46Aを含む)戦闘部隊の完全な配備は行わない」と、AMC広報担当のクローニン大佐は先月The War Zoneに語っている。

 現状では、空軍がKC-46Aで初期運用能力(IOC)を達成するのは、RVS修正が最終的に完了する予想の2024年以降と見られている。RVSの修正範囲と、全フリートへの統合が必要となるブームを考慮すれば、この日程は楽観的と思われる。ペガサスの最終的な運用形態が、2人の乗員だけで運用する空軍の決定にどのような影響を及ぼすかは、まだわからない。

 しかも、空軍は新型タンカーの追加取得を再評価している。空軍の最高指導部、特にフランク・ケンドール空軍長官は、以前に発表した新型タンカー競争を中止することを強く検討していると明らかにした。昨年、空軍ライフサイクル管理センターは、現在予定される179機のKC-46A購入の終了と、未想定の将来の新型タンカー(通称KC-Z)の取得との「ギャップを埋める」方法を検討する際に、複数案を検討すると発表た。空軍はKC-Zの要件を確定していないが、過去にステルスや無人プラットフォームが可能な選択肢として提示されたことがある。

 つなぎタンカー計画に関しては、ロッキード・マーティンはその後、エアバスと提携し、ペガサスの代替として、人気の高いA330 Multi-Role Tanker Transport (MRTT) の米国専用版、LMXTを提供すると発表している。A330MRTTは、KC-46Aの選定につながったコンペを含め、以前から何度も空軍に提案されている。

 

 

ロッキードマーチン・エアバス社のLMXTタンカーの想像図。 Lockheed Martin

 

 

KC-46A の 2名運用コンセプトは、最終的に空軍がどのように導入するのか、また、どのような状況下で2名での飛行が許可されるのか、非常に注目されるところだ。■

 

Single Pilot KC-46 Tanker Operations Eyed By Air Force For Major Conflicts

BYJOSEPH TREVITHICKJUL 18, 2022 4:34 PM

THE WAR ZONE


2019年2月7日木曜日

KC-46A引き渡しが始まったが、ブーム再設計が必要と判明

US Air Force eyes KC-46A aerial refuelling boom redesign

Pat Host, Everett, Washington - Jane's Defence Weekly
29 January 2019


USAFはボーイングKC-46Aペガサスで問題が指摘されているブームの再設計を行い、軽量機の空中給油を改善する。 Source: Boeing


  • 米空軍はKC-46Aのブーム部分を再設計を検討中
  • USAFは改修経費を負担することで合意済み
空軍はボーイングKC-46Aペガサスのブームを再設計する。フェアチャイルド-リパブリックA-10サンダーボルトIIなど軽量機への給油の難しさが指摘されていた。
空軍長官ヘザー・ウィルソンは1月24日に軽量機への給油後にブームが外れにくくなる問題を指摘した。アクチュエータに手を入れセンサー能力を引き上げる必要があるが、ウィルソン長官は問題になっている軽量機はA-10のみと付け加えた。
A-10はUSAF機材では軽量な部類で、例えばロッキード・マーティンC-130Hハーキュリーズが空虚重量で34,686 kgだがA-10は9,183 kgしかない。F-35AライトニングIIでも13,290 kgだ。
ボーイングでのKC-46A初納入式典でウィルソン長官はUSAFがブーム再設計経費を負担すると飲みた。これはボーイングが空軍要求の国際基準を満たす内容を実現しているためだ。USAFがブームで経費負担し、ボーイングは遠隔視認装置(RVS)の改修費用を負担する。ボーイングはRVSのハードウェア、ソフトウェア双方の改良で太陽光の影響を排除し自動調整が可能となるとしている。

ウィルソン長官はブーム再設計がKC-46Aで初の変更点となるとも述べた。■

2019年1月16日水曜日

KC-46の米空軍引き渡しは始まったが、完全運用はまだ先の話か。前途多難な同機は日本も導入予定

USAF Finally Accepts Its First KC-46A Tanker, But The Design Still Needs Years Worth Of Fixes

KC-46Aの米空軍引き渡しが始まったが手直し多数が残る

Boeing will begin delivering the aircraft soon, but persistent issues with the refueling system will limit their operational utility in the near-term. 給油系統で問題が散発しており当面は機能が制限されそうだ。

BY JOSEPH TREVITHICKJANUARY 10, 2019

USAF
空軍がボーイングKC-46Aペガサス初号機を受領し、トラブル続きの同機事業で大きな一歩となった。だが初期生産分には深刻な問題が残ったままだ。遠隔視認機能や給油用ブームの作動だ。このため機材は今後も完全作戦能力の獲得まで数年掛かりそうだ。
Foreign Policy が空軍とボーイングが取り交わした合意内容について最初に報道し、初号機の引き渡しを2019年1月10日と伝えた。Defense News はボーイングが未解決の欠陥で改修を行うこととし、空軍には初回バッチ52機全機で進展が見られなければ最高15億ドルの支払いを停止することで合意したと伝えている。
ボーイングによれば初号機に続き4機が22空中給油団のあるカンザス州マッコーネル空軍基地に最短で2019年2月に納入される。その後別の4機が97空輸航空団のあるオクラホマ州アルタス空軍基地に届けられる。
KC-46A納入ははじまったが、ボーイングがKC-X競作に勝ち契約を交付された2011年から遅延や問題発生が度々続いた。契約の背景に複雑な事情があった。2004年に空軍で調達トップを務めたボーイング幹部ダリーン・ドゥルヤンが給油機選定での汚職の廉で連邦刑務所での実刑判決を受けた。
本来ならKC-46Aの最初の18機を2017年末までに受領し、直後に初期作戦能力獲得の予定だった。2011年から2017年にかけ技術問題が連続し、日程は何度も延期されたまま2018年に突入し、空軍とボーイングの間の口喧嘩につながった。ボーイングが交付された契約は固定価格制のため同社は30億ドルを自社資金で投入しコスト超過分を補っている。
ボーイングは一号機を2018年12月中に納入できると見ていたが、ジェイムズ・マティス国防長官の辞任に伴い延期されたとの報道がある。長官代行パトリック・シャナハンは元ボーイング社役員であり同社関連の取引へ関与ができない。このためペンタゴンは空軍の企画の承認に時間がかかった。

Embedded video
.@USAirForce accepts Boeing's first #KC46 Pegasus next-gen tanker. Next stop for the world’s newest tanker: @22ARW #TeamMcConnell.
だが事態を簡単に収拾できなかった。前述のように同社は2017年中にまず18機を納入するはずだったが今のままでは今年いっぱいかけてもこの機数に達するか不明だ。
受領機材でも未解決問題が残り、空軍ボーイングともに解決には三ないし四年かかると見ている。まず機体後部の給油ブームの問題だ。
被給油機は給油機のブーム末端のブローブを自機の燃料受け入れ口に挿入する必要がある。被給油機が十分な推力を出さないと連結がうまくできず給油中に接続に失敗する危険が生まれる。
KC-46AのブームはDefense Newsによれば1,400ポンド推力に耐えるとある。これはA-10対地攻撃機含む米軍用機の最大許容値より高い。
どうも空軍は当初契約でこれより低い耐推力を指定しておらず今になってボーイングに設計変更を求めているようだ。このため新規要求内容だが空軍は同社へ追加予算を固定価格契約外で認めている。
このことはプローブ部分が被給油機を損傷する事案が発生したためボーイングにブーム関連のソフトウェア改修を自社費用で行わせてきた空軍としては大きな譲歩だ。両者はブーム再設計の経費積算で交渉中だが完了には二年かかると見ている。
もっと深刻な問題がペガサスが搭載する遠隔視認装置RVSである。KC-135やKC-10では操作員が機体後部席でブーム操作をするが、KC-46Aでは操縦席から遠隔操作で行い、映像は二次元、三次元画像を組合せて電子光学、熱映像の双方のカメラを後部から中継している。
「RVSの画像と実際の操作にわずかなずれがある」と空軍はDefense Newsに語っていた。画像に圧縮と湾曲効果が生まれているようだ。

BOEING
被給油機からKC-46Aを見るとこうなる

陰影他の要素によりブーム操作員は機体後部で何が起こっているのか把握できなくなり、ブーム操作を誤り結果としてブームに過剰な負担を与えたり、被給油機に損傷を与えるリスクが発生する。さらに操作員が目の疲労、頭痛、めまいを訴える危険を指摘する研究報告もあり、長期間操作で視力に問題が生まれ、操作員に問題が生まれないかと懸念する向きがある。
ボーイングは機体引き渡しに際しRVSの完全補修を約束し、ハードウェア、ソフトウェア両面での手直しを再度自社費用で行う。空軍は代替装備の実現は三年ないし四年かかると見ており、各機の改善作業がいつ終わるか見通せない。
その他にもボーイングが対応を迫られる改修課題があるが、解決がどこまで可能か不明だ。その一つにブームが被給油機に接触する事例があり、F-22ラプターやF-35共用打撃戦闘機のようなステルス機で深刻な問題だ。
.レーダー吸収剤を施した機体表面が損傷を受ければステルス性能に影響が出る。また非ステルス機たるKC-46がステルス機の有人、無人機をハイエンド戦で給油できるのかとの疑問も生まれている。

BOEING
KC-46Aがブームを完全に伸ばしている

こうした重要問題が未解決のまま、新型機がどこまで有効に機能するのか見通せない。ペガサス乗員の訓練で給油技術の熟達に一定の効果は期待できようが、訓練がどこまで実効性があるのか、特にブーム操作の効果がわからない。今後議論を呼びそうだ。
ペガサスは今年中に初期運行テスト評価 (IOT&E) を受け、空軍はその後初期作戦能力獲得を宣言する予定だ。だが上記の問題が残ったままでITO&Eの要求基準に合致できるか不明だ。このためKC-46運用には制限が付き、問題が完全に解決される数年先までは空軍が初期作戦能力獲得を宣言しようが状況は変わらない。
しかしなんといっても空軍が旧型給油機の退役を計画する中でペガサスの二次発注の行方が一番の問題で、既存機体で改修しながら何機の追加発注になるか、空軍が別の選択肢に向かうかが注目される。空軍はKC-46は180機程度の規模を維持し、今後の空軍力整備に役立てたいとしている。
そうなるとKC-46初号機納入には大きな意義があるものの、空軍とボーイングにとっては同型機が完全に能力を発揮するまでには課題が残ったままだとわかる。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

コメント ボーイングはこうなるとは想定していなかったのでは。自社負担が30億ドルで後付改修で更にこれが増えて、しかも二次発注がなければ泣きっ面に蜂です。今のところ同機導入の表明は日本だけですから、同社も日本からどれだけ費用回収できるかを計算するはずで、日本には高い買い物になりそうな予感です。日本とイタリア向けのKC-767でも遠隔操作など同じ発想の装備ではないのでしょうか。KC-767でこんな問題の情報はないので装備自体が違うようですね。それにしても航空自衛隊にKC-767が4機のみとは明らかに不足ですが、日本向けKC-46の納入はずいぶん先になりそうです

2018年6月26日火曜日

KC-46Aの米空軍向け引き渡し開始時期がやっと決まった

難航してきたKC-46Aですがまず18機の納入でめどがつきました。残りの機材は別途契約ですが、全機そろうのに相当時間がかかりそうです。技術の向上でKC-135のようなはらばいのクルーによるブーム操作の職人芸は不要となり、コックピットから給油を操作できるのはすごいですね。気になる自衛隊向け機材ですが経費負担が想定外のボーイングはいったい日本向け価格をどうはじいてくるのでしょうか。高い買い物にならなければいいのですが.....

Aerospace Daily & Defense Report

USAF, Boeing Agree To KC-46A Tanker Delivery Schedule 米空軍、ボーイングがKC-46A給油機引渡し日程で合意形成

Jun 20, 2018Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

KC-46A: Boeing

空軍とボーイングはKC-46A給油機の引渡し開始時期を2018年10月とすることで合意した。
この合意で次はアイゼンハワー時代のKC-135給油機に交代する機体が二十年を経て登場することになる。
ここまで来るまでこと自体が同機事業の特徴そのものだ。単純と思われたにもかかわらずもっと困難だと判明したのは民生用に大量生産生産された機体に給油能力を付与することだった。
米政府は2001年9月11日にペンタゴンや世界貿易センターへのテロ攻撃直後に新型給油機導入を表明。だが35億ドルで18機を生産する契約がボーイングに交付されたのは2011年のことだった。
「空軍はボーイングのKC-46Aチームと共同で作業し第一期分18機の納入予定で合意に至りました。運用型KC-46A一号機は2018年10月に納入され、残る17機は2019年4月までに納入を完了します」と空軍次官マシュー・ドノヴァン Matthew Donovan が発表。「KC-46Aのフライトテストはほぼ完了していますが重要な仕事が残っています。空軍はKC-46Aの納入開始に期待しつつボーイングと事業の加速化を図ります」
ボーイングも同じ感触だ。同社はKC-46約30機の生産に入っており、納入開始を待つ状態だ。
「当社も引き渡しに非常に興奮している」とボーイング・ディフェンススペースアンドセキュリティ社長リーアン・カレット Leanne Caret が述べている。
毎月三機の納入ペースは空軍想定とほぼ同じだ。
だがここまでの道は険しかった。ボーイングは税引き前30億ドルを自社負担をしている。固定価格制契約で政府に超過支出を発生させない仕組みのためだ。それでも日程遅れの発生は止められなかった。米会計検査院によれば当初の開発契約でボーイングはこの18機を2017年8月納期で引き渡すはずだった。
日程遅延に加えボーイングと空軍は技術をめぐり対立し、遠隔画像装備のセンサーで操縦席から給油を行うのだがこれも対立の種となった。空軍は給油ブームが一定の飛行条件で被給油機の機体表面に接触し削る現象に憂慮した。ボーイングは軍の要求水準に合致と主張。4月になりボーイングは初号機納入までにソフトウェア改良すると合意した。
作業は進行中でボーイングと空軍担当事務局は欠陥解消を目指している。「ボーイング開発の遠隔画像視認システムのソフトウェア改良作業は開始されたところでボーイングとKC-46A推進室は追加飛行テストで現在の設計内容が軍用用途に耐えるかを見極める」と空軍は述べている。「ボーイングの研究部門によるテストでは機体中央のドローグシステム改良も続けている。改良内容の飛行テストでの検証は2018年9月開始となる」
今回の教訓を尋ねられたカレットは「双方に明らかな教訓が生まれた」と述べ、ここまで複雑な内容のため関係者全員が同じ内容を理解する必要があると述べた。

「ここまで難易度の高い事業を進めると時間経過とともに関係者間の関係が気まずくなることがあります。とくに今回は長期にわたる事業となりました」とカレットは述べ、「ボーイングだけでなくほかの事業者にとってもこのような事態は異例ではありません。単純に困難な内容でした。双方がこの機体を戦闘部門が使う事態を想定し思いを共有しました。そして困難な要素を除去して行ってはじめて視野が広がったのです。そこまでが大変でしたがその後は解決はずっと楽になりました」■

2018年1月21日日曜日

インドネシアが空中給油機更新へ、KC-46Aが有力候補か

Indonesia puts KC-46A Pegasus, Airbus A330 in frame for aerial tanker requirement

インドネシアがKC-46ペガサス、エアバスA330を次期空中給油機候補として検討中
 
オーストラリア空軍のエアバスA330 MRTT。Source: Airbus


Ridzwan Rahmat, Singapore - Jane's Defence Weekly
18 January 2018


  • インドネシアがボーイングKC-46A、エアバスA330MRTTのいずれかの導入を検討中。空中給油機の整備が狙い。
  • エアバスA400Mに次ぐ大型装備調達になりそう


インドネシア空軍が空中給油能力整備の検討を始めた。2024年までに二機調達を目指す。
検討対象の機種にエアバスA330多用途給油輸送機(MRTT)もあるが、ボーイングKC-46Aペガサスの導入をインドネシアがほのめかしている。
インドネシアの求める作戦要求に答え、現有機材の空中給油方法に適合するのか等の検討に入る。
また国営航空機メーカーPT Dirgantara Indonesia (PTD)への技術移転の可能性も検討内容だという。
検討作業が終わり次第、調達内容の骨格を決め、正式に事業化し予算も確保する。これを2020年から2024年までに行う。
2015年6月までインドネシア空軍は給油ポッドを付けたKC-130Bを1960年代から使ってきた。うち一機が同月にメダンで墜落し、使える機体が一機になっていた。同機はマランのアブドゥルラクマン空軍基地に配備中だ。■
2機しか導入しないつもりでもしっかり技術の国内還流を狙うとはしたたかですね。交渉の腕はわかりませんが。

2018年1月9日火曜日

2018年の展望-KC-46は無事米空軍引き渡しをスタートできるのか

今年の注目の一つがボーイングが苦労しているKC-46ペガサスの納入の動向です。従来と違うコスト構造の契約のため、超過分は同社負担となりボーイングも苦しいはずです。日本向け3機の予算もついており、我々も注視が必要ですね。


The Air Force expects the first delivery from its struggling tanker program this year — but major defects still aren't fixed 米空軍は今年こそ開発が難航する給油機の受領を期待するものの大欠陥がまだ解決されていない


kc46
ボーイングKC-46給油機のテスト機材一号機。 June 2015. Boeing
Jan. 5, 2018, 12:56 PM
  • ボーイングがKC-46給油機引き渡しを予定どおり実現できなかった。同社は10月までに完成機18機を米空軍へ引き渡す義務を負う
  • だが同機には解決を待つ問題が残る
  • KC-46開発は数々の困難につきまとわれてきた


KC-46Aペガサスの初の作戦機材は昨年12月5日に初飛行した。
初飛行までに何回も遅延とコスト超過が開発にのしかかってきたがこの数年間であった。初飛行にはこぎつけたがボーイングは自社設定の2017年末までに米空軍に一号機引き渡しができなかった。
空軍は2018年春までに運用機材一号機の受領を期待し、ボーイングは続いて2018年10月めどに18機を納入する義務を負う。だがAviation Weekによれば大きな不良が未解決だ。
最大の問題は燃料が流れるブームが被給油機を傷つけることだ。
この問題で搭乗員が危険にさらされ、ステルス機のF-22やF-35の低視認性効果が下がる恐れがある。またKC-46もブームがステルス塗装で汚染されれば地上に戻る必要が生まれる。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tanker A-10 Thunderbolt WarthogKC-46ペガサスが A-10サンダーボルト II に1,500ポンドの燃料を補給した。 July 15, 2016. Boeing/John D. Parker
空軍とボーイングが問題解決に取り組んでいるとAviation Weekに述べており、官民合同チームが飛行データを検証しトラブルの発生可能性を評価する。
その評価次第でKC-46で使うカメラの修正の必要性を判断する。ブーム操作員は機体前方からブーム操作にあたるため、カメラは極めて重要だ。旧式給油機で操作員は機体後尾から手動でブームを操作する。カメラに関する方針決定は3月になる。
ボーイング広報によればブームと被給油機の接触は現行給油機でも発生しているという。
ボーイング広報はAviation WeekにKC-46の高周波無線の問題点は解決済みと12月に語った。だが空軍広報官はまだ取り組んでいるとし、1月に解決方法を決定するとしている。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tankerKC-46ペガサスがワシントン州エヴァレットのペインフィールド空港から初飛行に離陸。 September 25, 2015. U.S. Air Force photo/Jet Fabara
無線装置は機体自体をアンテナに使うため、電気火花の発生がある。そのため給油中は火災を恐れ無線は一切使えない。
被給油機から給油ブームを外す際に燃料が流れるブーム問題はカテゴリー2問題に縮小されたと空軍広報係はAviation Weekに述べている。この解決方法が5月に実施されるという。
空軍は実用版KC-46の第一陣は今春納入と見ており、オクラホマのアルタス空軍基地とカンザスのマッコーネル空軍基地で受入れる。
カールトン・エヴァハート空軍大将Gen. Carlton Everhart(航空機動軍団司令官)はAir Force Timesにテストが完了すれば新型給油機納入が始まると述べ、各基地への配備が「迅速に」始まると期待する。
ボーイングは新型給油機開発契約を2011年に獲得し、空軍は445億ドルで179機を調達するとしている。契約ではボーイングは事業費用に自ら責任を有し空軍設定の金額を超えれば空軍の責任分担48.2億ドルを超えれば自社負担となる。2017年末現在で同社は税引前29億ドルをすでに負担している。

ジム・マティス国防長官はこれまでペンタゴンの兵器開発に深く関与していないが、調達部門に厳しい警告を11月に出し、欠陥のあるままのKC-46給油機を受領する「つもりはない」とまで断言している。■