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2021年7月21日水曜日

KC-46の本格稼働はまだ先で、働き馬の活躍を続けるKC-135。アジャイル戦闘展開にも対応する最大の拠点フェアチャイルド空軍基地をAir Force Magazineが取材した。

 


fairchild kc-135

フェアチャイルド空軍基地(ワシントン州)、マクディル空軍基地(フロリダ州)のKC-135ストラトタンカー各機がフライトラインで離陸準備に入った。レッドフラッグ18-2の支援で、ネリス空軍基地(ネヴァダ州)にて。March 12, 2018. U.S. Air Force photo/Senior Airman Janelle Patiño

 

軍の空中給油活動のバロメーターが米国北西部ワシントン州のフェアチャイルド基地のフライトラインだ。

同基地は空軍唯一の「スーパー」給油航空団の本拠地であり、KC-135飛行隊四個が常駐する。そのうち97空中給油飛行隊は2019年編成され、2020年10月に初期作戦能力を獲得するや、即座に動員された。

第92給油航空団(ARW)は一個飛行隊を常時展開している。給油機は合計63機あり、空軍の給油需要に一義的に対応する部隊だ。

「どこよりも頼りにされることが多い部隊でなんといっても運用機材数が多い」と92ARW司令カシアス・T・ベントレイ大佐が語っている。「同時に隊員の粒がそろっているからでもある」

新型KC-46ペガサスの導入で空軍の給油機に大きな変化が始まる。KC-46が本格稼働するのは2024年以降だが、それまでに新型機に向け人員含め受け入れ態勢の整備が必要だ。機体構成で大きな変化となる。

マッコネル空軍基地(カンザス)が航空機動軍団のKC-46で主配備基地となり、その分人員とともにKC-135追加配備を受入れる基地が必要となった。そこでフェアチャイルドに目を向けたわけだ。

部隊追加でフェアチャイルドは給油機が最多の基地となった。フェアチャイルドが一国だとすれば、機数で中国、ロシアより多く世界第二位の規模の給油機部隊になる。

「要求は上がるばかりで、ミッション数増加に対応し機材人員を増強している」「フェアチャイルドは空軍の緊急対応部署になっている」(ベントレイ大佐)

フェアチャイルドの2020年飛行回数は前年を上回り、ソマリア撤退作戦では急な要請だったが対応した。クリスマス当日の朝にもミッションに対応した。「常時出動態勢にあり、まっさきに姿を現す部隊です」(ベントレイ大佐)

97ARSが2020年末に稼働開始し、フェアチャイルド基地の93ARSと交代した。同飛行隊はCOVID-19大量流行で動員され、KC-135部隊として最長期間にわたり運用された。同隊は再編成され、7月中旬にトルコのインチリック空軍基地に到着している。

各飛行隊は4カ月間隔で移動してきたが、6カ月間隔に変更される。これは航空機動隊の新モデルとして一個飛行隊を丸々投入する構想で、従来は各部隊から選抜した機材人員を小規模で送り込んでいた。

戦闘運用に向け常時一個飛行隊を展開するのに加え、フェアチャイルド基地の給油機は核非常時にも備え待機しており、本土防衛ミッションで戦闘機展開を支援し、爆撃機部隊に給油し、USAF他の部隊がレッドフラッグ等の演習に参加する際にも空中給油を提供する。

展開対象とならない搭乗員もアジャイル戦闘展開や全ドメイン指揮統制といったUSAFの進める対策に参画しているとベントレイ大佐は説明。

フェアチャイルド基地はエンジン稼働させたままのホットピット給油の充実をめざしている。今年3月から毎週木曜日に技能を磨いており、93ARSの搭乗員全員がホットピット給油を経験している。飛行団全体では隊員7割が訓練ずみだ。

フェアチャイルドのKC-135各機には別の貢献も期待されており、そのひとつが指揮統制機能だ。コックピットに42 Real-Time Information装置が搭載されつつあり、Link 16データリンクにより状況認識効果が向上する。改修は8月より開始となる。

同飛行団では空軍が目指すアジャイル戦闘展開に備えた訓練も展開している。本国以外に海外の過酷地も活用している。最近ではフェアチャイルド基地所属KC-135部隊が西太平洋ウェーキ島に展開した。インド太平洋での互角の戦力を有する敵勢力との戦闘で重要拠点になる場所だ。フェアチャイルド基地の各機は毎月一二回はこうしたミッションをこなしつつ、貨物搬送も行っている。

「135機は単純に離陸し給油後に帰投するだけと思われているのを変えたい。そこでアジャイル戦闘展開だ。給油以外にもっと多くの任務を実行する機材になっていく」(ベントレイ大佐)■

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Fairchild KC-135 'Super' Wing Deploys Nonstop

July 16, 2021 | By Brian W. Everstine


2021年3月3日水曜日

太平洋の島しょを移動しながら作戦を行い、中国の攻撃を免れようとするアジャイル戦闘展開構想を試行したコープノース演習

 Two F-35A Lightning IIs fly over the Atlantic Ocean in 2018.

Two F-35A Lightning IIs fly over the Atlantic Ocean in 2018. U.S. AIR FORCE PHOTO BY AIRMAN 1ST CLASS ALEXANDER COOK

 


ジェット2機が同日内で別の飛行施設から発進し、別々のミッションを展開し、攻撃を狙う中国を混乱させる...

太平洋空軍(PACAF)は遠隔島しょ部基地多数からの攻撃を統合し、中国軍の標的になる前に迅速に作戦を展開しようと必死で、このたびコープノース演習でこのコンセプトを試行した。

 

「アラスカのエイルソン空軍基地のF-35の2機をグアムのアンダーセン空軍基地まで展開し、翌日に2機を出動させ、パラウに着陸させた」と太平洋空軍司令官ケネス・S・ウィルバック大将が空軍協会主催イベントで述べた。「C-130を地上給油用に1機派遣し、2機が地上にいたのは一時間未満で、そのまま離陸し、別のミッションをこなしてからアンダーセンへ帰投した」


今回試されたのはアジャイル戦闘展開ACEで指揮命令系統似従来より機動性を持たせるのが狙いだ。ウィルバック大将は中国を念頭に強力な敵軍と対峙を想定すれば必要な新機軸だと説明している。「アジャイル戦闘展開では出発地に戻らないことが多くなる...それだけ敵にとっては出発地点が見つけにくくなるし、何時間展開しているのか、どこから出発したのかがわかりにくくなり、敵としては標的の策定が困難になる」

 

欧州の米空軍部隊も同じコンセプトを試行している。しかし、ヨーロッパの基地の防御はずっと簡単だとウィルバック大将は指摘する。「各基地には道路網が接続しているが、こちらにはない。そのためこちらでは補給活動の難易度が高い。ということはこちらの基地防御も極めて薄く、艦船機材も絶えず移動させておく必要がある」

 

PACAFでは空軍隊員の訓練を進め広範な任務を実施する能力を確保することがアジャイルにつながる。これをコープノース演習でも行っている。警備担当の隊員が給油作業について、さらに通信について学ぶといった格好だ。「これで少ない人数でも一定の機能を実施できるし、補給活動そのものも減らせる」とウィルバック大将は述べた。

 

5月には2回目の演習をアラスカで行う。ウィルバック大将は「さらに大規模になる」とし、海軍、陸軍も参加するという。■


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Island-Hopping F-35s Test Pacific Air Forces’ Agility Concept

BY PATRICK TUCKER

TECHNOLOGY EDITOR

FEBRUARY 24, 2021


2021年1月28日木曜日

米軍は真剣だ。中国ミサイル攻撃で既存基地被害を想定し、アジャイル前方展開で未開地の臨時航空基地から高性能機材を運用し、移動し続ける構想。2月のコープノース演習で実証する。

 

国との開戦が限定戦となっても主要航空基地の滑走路が使用不能となる恐れがあり、米軍に真剣な課題になっている。グアムのアンダーセン空軍基地は中国弾道ミサイルの射程に入っており脆弱性は否めない。そこで空軍は前方基地としてウェーキ島やテニアン島の利用を検討している。そのアンダーセン基地の北西滑走路はジャングルに囲まれ過酷な環境のままだが、ここから戦闘機を運用させようというのが多国籍演習となるコープノース航空戦力演習でグアムを主舞台とする。

 

Air Force Magazineのブライアン・エバースティンがアンダーセンの北西飛行場でエイルソン空軍基地のF-35、三沢航空基地からのF-16を運用すると他に先駆け報じた。同地ではC-130、ヘリコプターの運用はあったが、最近延長工事のため航空機運用は行っていなかった。もともと頑丈な作りでなく、インフラに依存しがちな戦闘機を同地で運用するのはUSAFでも前例のない試みとなる。

 

GOOGLE EARTH

2018年9月当時の画像では北西飛行場の東滑走路が整備作業を受けているのがわかる。

 

コープノース演習に未整備飛行場の運用を含めたのはペンタゴンがすすめるアジャイル戦闘展開戦術構想を磨く意味もあり、敵の裏をかく形で少数機材を過酷環境や地上支援体制が限られる地点から運用する狙いがある。構想の実効性を高めるべく、地上支援部隊は最小限人員とし、最小限の機能だけの不完全飛行基地を確保し、移動を繰り返しながら敵の攻撃防衛案を混乱させる。またアジャイル戦闘展開部隊の生存性も高まる。

 

演習は2月開始で、現地では全長8千フィートの滑走路に手を入れており、緊急拘束装置の設置を目指す。これは緊急時に滑走路だけでは静止できない機体を安全に回収するための追加装備だ。

USAF

大規模なアンダーセンAFBの全体像

 

北西飛行場はその他部隊も利用しており、THAAD部隊もそのひとつで同島を弾道ミサイル攻撃から守っている他、衛星通信施設もある。滑走路の東端に小さな建屋が2つあるのを除くと、通常の基地にあるような建築物は見当たらない。滑走路は濃いジャングルに囲まれており、この環境でハイエンド機材を運用するのは冒険的でもある。

 

USAF

2000年代はじめの北西飛行場は再整備前の姿を示していた。

 

コープノースでF-15C/Dヴァイパー部隊とF−35ライトニングII部隊が同地に着陸し、燃料補給し、兵装を再搭載し、離陸するが、あたかも遠隔地での戦闘任務の想定となる。設備が整った基地でさえ、ハイテンポ運用に困難となる。遠隔地で通信交信もなく、支援車両もない状態で高性能機材を運用するのだから難易度はさらに高い。例えば燃料搬送でMC-130特殊作戦支援機が投入されるはずだ。現地の野生動物対応が必要となる場合もあろう。

 

USAF

MC-130が前方兵装燃料補給拠点 (FARP) となり、F-35Aを支援する。この訓練は近年増加しており、今回は統合運用としてテストされる。

 

演習から補給活動の知見が大量に得られるはずで、整理した上で今後の前方基地展開に応用されるはずだ。

 

コープノース演習が実際に始まれば、現地の動きを逐一お伝えしたい。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

F-35s And F-16s Set To Operate From Austere Jungle Airfield During Major Exercise On Guam

BY TYLER ROGOWAY JANUARY 27, 2021