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2021年11月8日月曜日

空軍が否定するSR-91アウロラだが目撃談が続けてあらわれたのは、実機が存在してほしいと願う民間人の想いが原因なのか。

 

 

 

の機体SR-91「アウロラ」は1980年代に世界最高速の有人機として航空機性能の新次元を開くとの推測を読んだ機体だ。現在ではアウロラは歴史の脚注に出るだけの存在になっている。実現するはずだった機体という扱いだ。

 

実際の展開はこんな感じだ。40年前に米軍は次世代偵察機プロジェクトを立ち上げ、老朽化してきたうえに運航経費が高いSR-71ブラックバードの代替を目指した。政府は有人極超音速ステルススパイ機でマッハ5飛行の実現を想定した提案を検討した。1980年代末の実勢価格で20億ドルとされた同事業だが、その後再度検討されることはなかった。

 

だがこの説明には難点がある。SR-91は量産されていないが、そもそも同機の設計コンセプトが存在したのかはっきりしない。政府は一貫して同機が製造された事実はないと否定している。SR-91試作機が飛行した確たる証拠はない。1990年代初めにアウロラとされる機体が目撃されたとの報道があったが、確認が取れた事実はない。

 

証拠とされているのはロサンジェルス近郊で振動があったとの報道だ。エリア51から発進した軍用機が振動をおこした可能性があるが、問題の機体がSR-91試作機だったか断定できない。1989年には有名な北海での目撃例があるが、SR-91ではなくB-2スピリットと見間違えた可能性がある。スピリットは当時は導入されて日が浅いステルス爆撃機で目撃者が見たという三角形の機体形状に見える。

 

こうしたアウロラを巡る噂話の中には地球外生命体との遭遇や極秘軍用機開発のような奇抜な発想もあり、確たる証拠もないままSR-91の存在に関心を有する一般民間人の想いが先行している。大部分が1990年のAviation Week &Space Technologyが掲載した連邦予算で「アウロラ」の名称が見られるとの記事が出発点だ。1994年に出たロッキード・マーティンのスカンクワークスの前部長ベン・リッチの回想録に説明がある。リッチは「アウロラ」とはB-2事業向け予算のコードネームで空軍の「ブラック事業」に従事する一大佐がつけた名前だという。

 

「どういうわけか議会歳出聴聞会中から名称が独り歩きし、メディアが予算項目にアウロラがあると見つけ、スカンクワークスのトップシークレット事業との噂が急に登場し、スカンクワークスが米国初の極超音速機を製作中だというのだ」「今もこの話が残っているが、実はアウロラはB-2予算の隠語だったのだ」(リッチ著作より)

 

「メディアにはなかなか信じてもらえないが、極超音速機にコードネームはなかった。なぜなら単純にそんな機体は存在しなかったからだ」(リッチ)

 

リッチの一言でこの問題は一件落着となった。その逆を証明する証拠は結局ないままだ。アウロラ伝説から、いったんメディアに漏れると雪玉のように成長し都市伝説になることがわかる。■

 

Aurora SR-91: The U.S. Military Says this Aircraft Doesn't Exist

by Mark Episkopos

November 7, 2021  Topic: SR-91 Aurora  Region: America  Blog Brand: The Buzz  Tags: Hypersonic WeaponsU.S. Air ForceMilitarySR-71Area 51

Aurora SR-91: The U.S. Military Says this Aircraft Doesn't Exist


 

Mark Episkopos is a national security reporter for the National Interest. 

Image: Wikimedia Commons.