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2015年4月23日木曜日

X-47B>空中給油テスト成功、でもこれで事業終了か


空中給油もデモとして実施して予算もないのでX-47Bはすでに過去の機体となるのでしょうか。一方で肝心のUCLASSの仕様が決まらないのでX-47Bのデータがいつになったら有効活用されるのか先が見えません。海軍長官の発言にはX-47Bの成功が大きく作用しているのでしょうね。まずDefense Techの記事紹介です。

Navy Conducts First Aerial Refueling of X-47B Carrier-Launched Drone

by KRIS OSBORN on APRIL 22, 2015

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
米海軍はX-47B艦載無人実証機を使い4月22日にパタクセントリヴァー海軍航空基地上空で無人機への初の空中給油に成功した。
X-47Bにはオメガ・エア・リフィユエル社 Omega Air Refueling の給油機が対応したと海軍とノースロップ・グラマン関係者が明らかにした。
X-47Bは5月には空母への着艦、発艦ですでに歴史に残る業績を上げており、現在は空母艦上での取り回しの改善に投入されている。
The Navy launched and landed the X-47B in rapid succession with an F/A-18 fighter jet as part of a series of joint manned and unmanned flight tests aboard the USS Theodore Roosevelt in August of last year off the coast of Norfolk, Va., service officials said.
X-47Bの着艦発艦テストはF/A-18の運用と平行して有人無人機運用テストとしてUSSセオドア・ロウズヴェルトを用い昨年8月にノーフォーク軍港(ヴァージニア州)沖合で実施している。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bは8分間の飛行後、拘束フックによる着艦に成功し、主翼を折りたたみ、艦上をタキシーングし、続くF/A-18に着艦スペースを空けた。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bへの空中給油はペンタゴンで海軍の次世代空母運用無人機の検討作業が続く中で実施された。議会有力議員はステルスで長距離飛行による敵地侵入攻撃性能が必要だと主張している。これに対しペンタゴンも情報収集監視偵察(ISR)を重視し、無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)構想を検討している。
X-47BはUCLASSに先立つ実証機の位置づけだ。

USNI Newsはもう少し掘り下げて報じています。

Navy Conducts Successful Test of Aerial Refueling with X-47B, UCAS-D Program Ending

April 22, 2015 3:37 PM


米海軍が初の自動空中給油に成功した。ノースロップ・グラマンX-47Bテスト機が4月22日に実施し、これで無人空母搭載機実証事業Unmanned Carrier Air Vehicle demonstrator (UCAS-D) も終了すると海軍航空システムズ本部 (NAVAIR) がUSNI Newsに語っている。
  1. X-47Bはチェサピーク湾上空を巡航飛行し、コールサイン ソルティドッグ502としてオメガ・エアリアル・リフュエリングサービシズ社のボーイング707給油機の後方につき4,000ポンド超の燃料を受け取りパックスリヴァーに向かい東部標準時午後1時15分に着陸したとNAVAIR報道官がUSNI Newsに語っている。.
  2. 給油はプローブ・ドローグ方式で行った。.
  3. 4月15日にソルティドッグ502はタンカーとの通信接続を確立したが、この際は燃料は移送されていない。また乱流で給油テストが中止されたこともああった。
  4. 空中給油テストはノースロップ・グラマンに交付した64百万ドル契約の一部。
  5. 「UCAS-Dの飛行テストは2012年に始まり、有人リアジェットをX-47Bに見立てて実施した。数回に渡る実証飛行でX-47Bへの空中給油の可能性が証明され、航法・指揮統制機能や赤外線レーザーの処理部品で改修を行った」とノースロップは発表。.
  6. これでソルティ・ドッグ501と502はテスト業務から外れ、航空博物館送りとなるか航空宇宙メンテナンス・再生グループ(「機体廃棄場」)があるデイヴィス・モンタン空軍基地(アリゾナ州)に移動となるだろう。
  7. 両機とも設計飛行時間の20%しか使用されていないが、海軍は機体構造は今後登場する無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)と共通要素は少ないと見る。
  8. 「X-47とUCLASSの相違点を考えるとUCLASSのリスク軽減対策は巨額の事業になりそうだ」とB.V. Duarte デュアルテ大佐(NAVAIR PMA-268責任者、UCAS-DおよびUCLASS事業を統括)は語る。
  9. X-47Bはステルス設計で空中給油可能かつ機内ペイロードが大きく、海軍が当初構想していた海軍用無人航空戦闘システム (N-UCAS) を具現化し、敵地侵攻型機に近い。構想は2006年のQDR(四年ごとの国防整備計画)で最初に提示された。
  10. その後、海軍は目標を修正し、無人空母運用型偵察攻撃機 (UCLASS) にした。USNI Newsが知るかぎりこの機体はRAQ-25とNAVAIR内部で呼称されている。
  11. UCLASS検討の初期段階では空母打撃群に追加偵察能力 off-cycle surveillance capabilityを提供するが攻撃能力は限定的とし、しかも制空権が確保された作戦空域内での攻撃を想定し、空中給油能力は不要とされた。
  12. ただし、無人機全体の構成を検討する戦略的事業検討(SPR,スピア) が国防長官官房内で開かれ、UCLASSの最終構想は未決とされた。
  13. 議会内にはジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ州)やランディ・フォーブス下院議員(共、ヴァージニア州)のようrにUCAS-Dテストの延長を求める声がある。しかし、22日に議会スタッフによるとX-47Bテストは下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会でも検討の対象に上がっていないとのこと。
  14. NAVAIRはUCAS-D事業はソルティ・ドッグ502がUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)への着艦に成功した2013年の時点で終了にする予定だったが、海軍上層部から空中給油テストを加えるよう求められた経緯がある。■

2013年6月30日日曜日

ロッキードの考える次期米海軍向け無人艦載機Uclass像

U.S. Navy Is Cautious On Carrier-Launched UAV

By Graham Warwick
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com June 24, 2013

Graham Warwick Washington

米海軍が無人機運用で慎重なのには理由がある。ジェネラルダイナミックスマクダネルダグラスA-12の失敗、ロッキード・マーティンF-35Cの遅延を経て、海軍は計画が実現することを第一にしており、そのため初の空母運用無人機では中庸な性能にとどめ、リスクを最小限にしようとしている。

無人戦闘航空機システム実証 Unmanned Combat Air System Demonstration (UCAS-D) に続く無人空母発進空中偵察打撃機構想 Unmanned Carrier-Launched Airborne Surveillance and Strike (Uclass) は端的に言えば運用能力を徐々に向上させる技術開発である。

当初海軍はUclass提案各社に予算を提供する予定だった。ボーイングジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズGeneral Atomics Aeronautical Systems (GA-ASI)、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの各社で初期設計審査 preliminary design reviews (PDR) までは各社案が残る。これにより海軍は各機の性能とリスクの理解を深めたうえで次の技術開発echnology development (TD) 段階に進む。

「ま だマイルストーンAも達成していませんが、海軍は性能開発要求文書capabilities development document [CDD]を発出しており、通常はこれがマイルストーンBの内容なのですがね」(ロッキードのスカンクワークスでUclass開発責任者を務めるボブ・ル ズォウスキ Bob Ruszkowski, Uclass capture manager for Lockheed Martin Skunk Works.

「海軍はCDDの段階まで相当の時間を使っています。この三年間は業界も海軍に情報提供をしCDDの内容取りまとめに協力して来ました。海軍からも業界にインパクト規模の評価を求めて来ました」

現 時点で業界はPDR段階の性能要求内提案の公募を待ち、とりまとめには9ヶ月はかかると見ている。その後海軍は「航空部」としてUclassの設計、製 造、テスト、配備に至るメーカー一社を絞り込む。これと並行し「地上部」としてUclass用の飛行制御システム開発を進める。このシステムはMQ-4C トライトン、MQ-8B/Cファイヤスカウト他海軍のUAV各機と共通使用するもの。

「2013年度国防予算ではUclassはメーカー選考の前にPDRを完了することを明確に定めている、とルズォウスキは説明する。「選定の前に技術の成熟度を確認することが海軍に求められています」

Uclassには長距離飛行と偵察監視ミッションを主とし、攻撃は250-lbの小規模能力のみ想定してる。搭載機器の中心は電子光学・赤外線・レーザー方式のセンサーで、情報収集機材も同時に搭載して、ロッキードEP-3E部隊に交替させる予定。

海軍が期待するのは空母から離れた場所で24時間毎日監視飛行を維持することだ。入札予定社は性能要求の詳細はまだ検討していないが、空母運用の発着艦のサイクルから「最低でも12時間の連続飛行性能が必要だろう」(ルズォウスキ)と考えている。

機 体生存性については制空権がない空域で運用する想定も含み検討する。「ロッキード・マーティンは機体性能を運用開始後に発展できる提案をします。ステルス 性も後日追加できますが、運用当初からすべての性能を有する必要はありません。当社提案で海軍はトライトンが使えない地域ではステルス、排気制御、非探知 性の機体を投入できるようになります」(ルズォウスキ)

ロッ キード提案は完全新設計、無尾翼の全翼機で同社の50年に渡る無人機製造の知見を反映し、RQ-170センティネル設計も反映したものになるとルズォウス キは語る。「当社は艦載機は作ったことはありませんが、実証済み技術を駆使すればリスクを抑えることが可能です。海軍の求める開発日程も十分満足させられ るでしょう」

ノー スロップはX-47B UCAS-D実証で一歩先を行き、GA-ASIもプレデターCアヴェ ンジャーで先行しているがロッキードが完全新型機設計を選ぶことで不利にはならないとルズォウスキは見る。「海軍航空システムズ本部は空母運用性能を厳格にテストするので、近道は存在しません」

海 軍の予定はTD段階末期で初期性能を有するUclassを4ないし6機空母に搭載した飛行小隊をひとつ編成すること。「当初の供用開始後にも追加性能開発 がありますのでハイブリッド開発と理解しています」(ルズォウスキ)運用開始は契約公布から3-6年後で2020年よりは前になる。予測に幅があるのは海 軍から詳細な説明がまだないため(ルズォウスキ)だ。

厳しい予算環境も考慮して最初の運用部隊はテスト用機材で編成することになりそうだ。「耐用年数の要求水準は相当長くなるでしょう。X-48Bはあくまでもテスト用機材で耐用年数も短く想定されています」(ルズォウスキ)■


2013年5月15日水曜日

航空母艦から無人機の発進に成功した米海軍は航空史に1ページを加えました

U.S. Navy Makes Aviation History With Carrier Drone Launch

By Reuters
aviationweek.com May 14, 2013
Credit: US Navy

米海軍が5月14日に航空史を書き換えた。無人ジェット機を航空母艦から発進させることに成功し、今後の無人機の軍事利用に大きな一歩となった。中国やイランなどを意識していることは間違いない。
  1. X-47Bステルス無人機はUSSジョージH.W.ブッシュからヴァージニア沖合いで発艦し、メリーランド州の海軍基地に予定通り着陸した。
  2. 「5月14日は記念日になった」と大西洋海軍航空部隊司令官テッド・ブランチ少将Rear Admiral Ted Branchはコメント。「従来の海軍航空兵力に一線を画す出来事がX-47Bの発艦で実現した」
  3. 同 機はステルス性に加えF-35の二倍近い航続距離を有し、今後登場する無人機とともに中国やイランが開発中の中距離対艦ミサイルへ有効な対抗手段になりう る、と国防アナリストたちはみている。ミサイルに加え接近阻止領域拒否構想により米海軍空母部隊は海岸線近くで作戦できなくなる状況の可能性があり、有人 機は空中給油ないとミッションが実施できなくなり、それだけ脆弱性が生まれる。
  4. そこで2,000海里の飛行距離があるX-47のような無人機があれば海軍は長距離攻撃・偵察能力を発揮できる。
  5. 「戦略上大きな意味が出てきます」と見るのは戦略国際研究所の上級国防アナリストのアンソニー・コーズマンAnthony Cordesman, a senior defense analyst at the Center for Strategic and International Studiesで、同機は「真の意味での長距離ステルス航空機システムだ」とする。
  6. 「太平洋への再バランスが進む中で海軍はこれまで以上の航続距離を求めています」と見るのはランド研究所主任研究員ブリン・アルカイアBrien Alkire, a senior researcher at RAND’s Project Air Forceだ。「無人機システムなら実現できることで、今後は十分なスタンドオフ距離から作戦が実施できることになります」
  7. 今回のX-47Bはノースロップ・グラマンが製作した2機のひとつで、精密誘導爆弾2発が搭載できる。火曜日は通常の有人機と同様に空母のカタパルトから発艦した。
  8. 2週間の艦上テストに続き着艦テストを実施する予定で、同機のテイルフックが甲板上のワイヤーを捕らえ、減速し艦上で停止させる。
  9. 発艦は大きな一歩となったが、国防アナリスト陣は次の段階として、海軍がX-47Bの実証内容から作戦用の無人機を開発するのを注目している。
  10. 「X-47Bはすごい」と戦略予算評価センターシンクタンクのマーク・ガンジンガー国防アナリストMark Gunzinger, a defense analyst at the Center for Strategic and Budgetary Assessmentsは言う。「無人艦載航空機へ一歩踏み出しました。でも本当にすごいことはこれからでしょう。この性能を作戦で使いこなせるかが課題でしょうね」
  11. 今後登場する無人機には全範囲周波数帯で有効なステルス性能full-spectrum broadband stealthが加わり、レーダー探知を逃れるはず、とアナリスト陣は見る。ステルス性能が無人機の最大の防御手段だ。
  12. 米軍の無人機にはアフガニスタンやパキスタンの辺境地帯に投入されているプレデターやリーパーがあるが、敵の防空体制突破に有効ではなくステルス性もない。
  13. 空母運用で長距離、全天候飛行可能な機体として設計されたX-47Bは大幅な自律飛行が可能となっており、遠隔操縦されている現在の無人機とは一線を画す存在だ。
  14. このことが米軍が無人機の作戦利用に過度に依存しているのではないか、自律的なロボットの利用が今後拡大するとの懸念を生んでいる。
  15. すでに人権団体Human Rights Watchが「殺人ロボット」へ反対姿勢を示す報告書の中でX-47Bは完全自律型兵器開発への一歩との見解を示している。
  16. 今後開発する機体は無人艦載航空偵察攻撃システムUnmanned Carrier Launched Airborne Surveillance and Strike System (UCLASS)の名称でX-47Bの知見をもとにした作戦用の機体となる。
今月中にも海軍から設計提案の初期内容の要求が出ると見られ、ロッキード・マーティンボーイングジェネラルアトミックスも参入するだろう。■