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2021年8月4日水曜日

HMSクイーンエリザベス打撃群が南シナ海へ入り、中国がやたらと吠えている。対中包囲網がここまで現実になってしまい、今後の展開が面白くなってきた。

中国の歴史で習近平はむざむざチャンスをつぶした強圧的な指導者、毛沢東の再来を夢見る時代錯誤の人物と評されるかもしれません。同盟国がない中国がまさかこれだけ多くの国が自国に対抗してくるとは夢想さえしていなかったのではないでしょうか。中国が張子の虎だと露呈すれば面子を失ったCCPが何をするかわかりません。記事はオーストラリアのメディアが伝えたものです。

The HMS Queen Elizabeth has entered the South China Sea. Picture: UK MOD.

HMSクイーン・エリザベスが南シナ海入りした。 Picture: UK MOD.Source:Supplied

 

海軍の空母HMSクイーンエリザベスが南シナ海に入るや、中国は軍事演習を展開すると発表し、英空母の来訪は「植民地時代の発想」とし、中国が領有主張する島しょ環礁に侵入すれば「撃退」すると豪語している。

 

国家管理下の環球時報は論説で「中国は米国との覇権反覇権闘争を終わらせる。この地域外の各国には「事故による負傷」を避けるべく鼻を突っ込まないで、と伝えている。

 

北京の不安

 

中国が一方的に主張する領有権に真っ向から反対してきたのはこれまで米国のみだった。今度はロンドンも米国に並び一線を超えるのか世界が注目している。

 

環球時報は「中国領土の12カイリ以内に軍艦を進入させるのは中国の中核的権益に真っ向から挑戦することになり、予期外の事態になりかねない」と警告した。

 

中国は今後の展開を見通し、いつになく強硬な発言を続けている。

 

「中国のことわざに誰かを罰する際にはそいつの兄の面子を考えるべきとある。だが、中国はこの反対だ。中国はロンドンがワシントンの手下となり北京を挑発すれば罰せられると米国に告げているのだ」と中国軍事アナリストSong Zhongpinが述べている。

 

無害航行

 

北京は警告を続ける。「米国の同盟各国には特に慎重に中国のレッドラインに近づかないよう、事態を先に進めないよう忠告申し上げる。仮に各国艦艇が米軍同様に南シナ海で傍若無人な振る舞いに出れば、中国の主権、領土の保全のため防衛活動の対象になるのは必至だ」

 

北京にあるシンクタンク南シナ海調査協会は7月29日にHMSクイーン・エリザベスが随行艦と中国の設けた「九段線」を通過したと発表した。

 

中国は渤海、黄海、南シナ海で軍事演習を同時展開中と記事に対応して発表している。

 

オープンソース情報では中国の空母山東が南シナ海北方で活動中だ。

 

北京は今回の動きはロンドンのスタンドプレイだと非難している。

 

「人民解放軍は英艦艇がいかなる不穏な動きを示し、南シナ海航行を今後にむけた訓練として利用すれば即座に対応する準備を整えている」と環球時報は警告している。

 

南シナ海では軍事演習が同時並行で海南島、広東省付近で展開しており、空母山東もそこに姿を現している。

 

「中国領土の島しょ環礁へ侵入した米艦艇と同じ動きを英艦艇が示せば、PLAが同様に退去させる」

 

訓練機会

 

中国は南シナ海ほぼ全域を自国領土と主張しており、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアの各国の主張と重なる。2016年に国際仲裁裁判所が「九段線」による領土主張に根拠はないと否定したが、北京は裁定結果を一蹴した。

 

その後、海軍、沿岸警備隊、漁船民兵により域内で強硬な主張を押し通し、人工島の武装を進めた。

 

一方で同国は西側諸国こそ域内平和を乱す主要な脅威だと主張している。

 

HMSクイーン・エリザベスを中心とする多国籍部隊には英海軍の護衛艦艇、支援艦に加え米海軍誘導ミサイル駆逐艦USSサリバンズ、オランダ王立海軍のフリゲート艦HNLMSエヴァーツェンが加わり、東南アジア巡航中にその他国の艦艇も順次加わる。

 

「空母と随行艦は南シナ海で演習を実施する、あるいは航行の自由作戦を中国が占拠する島しょ環礁部分で行うだろう。今回加わっているHMSディフェンダーが黒海で同じ趣旨の作戦を先月展開している」と中国メディアが報じている。「PLAは各艦の動きを注視し、不穏当な動きがあれば即座に対応する準備を取っており、今回の事態は英国の新鋭空母をまじかから観察しつつ演習の機会ととらえている」

 

いざというときの友邦国

 

「中国側は南シナ海を大国間の競合の舞台にしてはならないとかねてから主張している」と中国国防省報道官が香港のチャイナモーニングポストに語っているが、自国が構築した人工島の武装ぶりやベトナム、フィリピン、マレーシア各国の漁船へのいやがらせ、資源探査には触れていない。「南シナ海の軍事化は域外国が自国から遠隔地まで軍艦を派遣し武力誇示することがきっかけとなる」と述べている。

 

だが英国、米国、オランダは一様に空母任務部隊は国際海洋条約の定めた権利の行使との主張だ。

 

中国は英国が「いまだに植民地時代のまま」と述べている。「英国は海軍力で昔の夢再びと思っているのだろうが、同国の現状の実力ではグローバル規模の野心は支えられない」と環球時報は指摘している。

An F-35B Lightning Jet on the flight deck of HMS Queen Elizabeth during the replenishment. Picture: UK MOD.

HMSクイーンエリザベス艦上のF-35Bライトニング。Picture: UK MOD.Source:Supplied

 

こうした主張は時の経過の前に効力を失うと地政戦略評議会のビル・ヘイトン博士が解説している。「怠惰かつ不正確な論調だ」

 

旧植民地のマレーシア、シンガポールはすでに六十年前に独立していると指摘。ブルネイは1984年に独立した。「こうした各国さらに多くの国が英海軍の寄港を歓迎している。これは各国も域内の安全保障状況に懸念を深めているためだ。

 

「不確実な環境の中で各国は懸念を共有してくれる相手を求めるものであり、英国がその対象で、相互に支援しあう」

 

有事になれば

 

実際に山東とHMSクイーン・エリザベスが対峙する可能性は薄いと見るアナリストが多い。

 

中国と外国艦艇が対決した場面は2018年に発生した一例のみだ。中国駆逐艦旅游が米駆逐艦USSディケーターに無理やり航路を変更させた。

 

米国防長官ロイド・オースティンはHMSクイーンエリザベスが近づく中でシンガポールを訪問中だった。同長官は英大使とともに中国の強硬主張へ反論した。「中国が南シナ海の大部分を自国領と主張しているが国際法上では根拠がない」「こうした主張は域内各国の主権を踏みにじる。われら両国は域内で沿岸部を有する各国への支援を継続し国際法下で各国の権利を、守っていく」

 

北京には正式な同盟国は皆無だ。

 

そこでインド、日本、オーストラリア、米国は四か国条約を防衛協定に変更させようとしている。英主導の任務部隊が加われば冷戦時代を思わせる友好関係が域内で強まるだろう。

 

「同海域に展開する軍艦は中国にある程度の脅威となろうが、派遣の政治的な影響のほうが大きな脅威となる。オーストラリアやカナダといったその他西側諸国もこの流れに乗り、南シナ海や東シナ海へ艦船を派遣し、対中国包囲網に加わりかねない」とSongは見ている。

 

西太平洋に海軍の「常備部隊」を創設する構想が6月に出てきた。提案では冷戦時を思わせる各国混成部隊で、北大西洋での対ソ連対応がモデルとなっている。

 

「これが実現するのか注目だが、かりに実現しても中国は脅威に屈しない」とSongが述べている。■

 

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UK's HMS Queen Elizabeth in South China Sea sparks Beijing threats

Beijing’s threatens UK after HMS Queen Elizabeth enters South China Sea

A power struggle has erupted after an aircraft carrier challenged China’s South China Sea rule. Beijing says there will be consequences.

Jamie Seidel

AUGUST 2, 20213:27PM

 

Jamie Seidel is a freelance writer | @JamieSeidel


 

2021年7月26日月曜日

クイーンエリザベスCSGが南シナ海へ移動中。途中でインド、タイ、マレーシアの各国と演習を展開。では海上自衛隊との演習はどんな形になるのか大いに期待。

 


マレーシア王立海軍フリゲート艦KDレキウ(FFG30)、オランダ王立海軍フリゲート艦HNLMSエヴァーツェン(F805)が英海軍空母クイーンエリザベス(R08)とマラッカ海峡でPassex演習を2021年7月25日に展開した。Malaysian Royal Navy Photo

 

 

イーンエリザベス空母打撃群が南シナ海に入ろうとしており、HMSクイーンエリザベス(R08)が先遣隊の後を追い移動中だ。同打撃群はインド海軍とのコンカン演習Exercise Konkanを7月21日22日にわたりベンガル湾で展開した。

 

英海軍空母打撃群CSG21にはその他タイプ23対潜フリゲート艦HMSリッチモンド(F239)、HMSケント(F78)の二艦、タイプ45誘導ミサイル駆逐艦HMSディフェンダー(D36)、艦隊補給艦RFAフォートヴィクトリア(A387)、RFAタイドスプリング(A136)、米駆逐艦USSサリバンズ(DDG-68)、オランダ海軍フリゲート艦HNLMSエヴァーツェン(F805)、原子力攻撃型潜水艦HMSアートフル(S121)、海兵隊戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211が英空軍617飛行隊「ダムバスターズ」で構成する。

 

7月25日午前現在で自動反応システムデータではディフェンダーがブルネイのムアラ海軍基地に寄港中で、タイドスプリングはシンガポールを出港し南シナ海に向かっていた。両艦は24日にシンガポールを通過し、タイドスプリングは同日シンガポールに寄港し、補給品を積み込んでおり、ディフェンダーはブルネイに移動した。

 

一方でリッチモンドはPASSEX演習を24日にアンダマン海でタイ王国海軍フリゲート艦HTMSクラブリ(457)と実施していた。これと別にクイーンエリザベス及び残り各艦は翌25日にマラッカ海峡でマレーシア王国海軍のフリゲート艦二隻KDレキウ(FFG30)、KDジェバット(FFG29)とPASSEX演習を展開した。マレーシア両艦は英国ヤーロウシップビルダーズ(現BAEシステムズマリタイム)が建造した。AISデータ上ではフォートヴィクトリアはマラッカ海峡を移動しケント、サリバンズ、エヴァーツェン、クイーンエリザベスを先行していた。記事執筆時点で各艦はマラッカ市街に近づいていた。

 

その他HMSアートフルは25日昼間にシンガポール海峡を通過し南シナ海へ移動した。

 

クイーンエリザベスはシンガポールに寄港するとみられ、米国防長官ロイド・オースティンがちょうど同国を訪問中である。オースティン長官は27日夕に第40回国際戦略研究所のフラートン講演を行うが、シンガポール訪問中にCSG21を訪ねるかは不明だ。

 

今のところ中国からCSG21について声明文は発表されていないが、CSG21各艦は南シナ海で演習を展開し、同地区での中国拠点に接近するとみられ、その場合は中国から即座に何らかの声明が出てくるはずだ。

 

CSG21の英海軍艦艇は帰路の途中で五か国防衛体制(FPDA)によるバーサマ・ゴールドBersama Gold演習に加わる予定で、今年がFPDAの50周年に当たることからこの名前がついている。五か国とはオーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポールと英国。■

 

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UK Carrier HMS Queen Elizabeth Now on the Edge of the South China Sea - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

July 25, 2021 8:08 PM


2018年8月19日日曜日

HMSクイーンエリザベスが米東海岸でのF-35試験に向け出港



HMS Queen Elizabeth to sail to the United States for F-35 trials HMSクイーンエリザベスが米国に向け出港準備中でF-35試験に向かう

By
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August 13, 2018
母HMSクイーンエリザベスが米国に向け出港準備中でF-35の運用試験を行う
4ヶ月に及ぶWESTLANT 18配備で超大型空母の同艦は米国東海岸へ向かい英軍での新鋭機運用に道を開く試験を実施する。
長年に渡る訓練、試験、公試の努力が今回実を結ぶ。昨年は英側要員がUSSアメリカに乗艦し一週間にわたる海上開発試験第三段階(DT3)を行い、米海兵隊が同機を揚陸強襲艦から運用する最終試験となった。
BAEシステムズのテストパイロット、ピート・ウィルソンは次のように述べる。 「クイーンエリザベス艦上試験はDTを1から3まで一緒に実施するくらいの意味がある。同機の仕組みについては熟知しており、以前のテストで知り尽くしている」
同艦に着艦する機体は合同運用テストチームJOTT所属でF-35を低率初期生産から本格生産に移行することを目指すチームの機体だ。英空軍の第17試験評価飛行隊が合同運用テストチームのテストのうち10%を実施するはずだ。
着艦する機材のパイロットの大部分アメリカ人になるのは合同運用テストチームがアメリカ主体になっているためだ。
テストパイロットの一人と話したが、英国のテスト用機材は三機しかなく「オレンジ配線」機で飛行後解析用のデータ取り用だ。そのためHMSクイーンエリザベスで離着艦する機材は「大部分が米国所属機で英パイロットが操縦する」ことになりそうだ。
同機を操縦する英パイロットの一人はこうなった背景にテスト機材の手配はJOTTが取り仕切っているためとする。
「英国所属機が試験用に使えれば象徴的なのですが、全機がカリフォーニアのエドワーズAFBにあり、今回の試験を行う東海岸には皆無なのです」
「そのため一番経済的かつ効果的な選択肢はパックスリバー配備の米軍機材を使うことなのです。英テストパイロットが操縦するでしょうが米パイロットも合同テストチームの手配で飛ぶことになります」
HMSクイーンエリザベスは今週中に出港する。
コメント

さすが英国だけあって英国人による操縦にこだわっていますが、F-35事業はなんと言っても米国主導であり、まだ英国にはF-35Bも納入されていないので英国の虎の子空母に米パイロットが着艦する「屈辱」はしかたないのではないでしょうか。むしろ超大型空母はつくったものの自軍の運用機がないことのほうがおかしいですね。米海兵隊機材を同艦で運用する案はどうなったのでしょうか。現在の英国に超大型空母はいかにも身分不相応にも思えるのですがどうでしょう。(しかも二番艦プリンス・オブ・ウェールズも建造中ですよね)

2017年8月14日月曜日

★★英海軍新鋭空母がはやくも演習に参加、しかしその実態は?




英海軍が大型空母二隻を整備する理由がよくわかりません。グローバルな打撃力を実現するとしてもF-35Bが12機程度しか搭載できないのであれば片手落ちでしょう。結局米海兵隊機材を搭載するのであれば図体は大きいのに中途半端な存在にならないでしょうか。むしろ艦を建造し運用は余裕がある同盟国に任せる賃貸物件のオーナーのような立場になるのでは。日本から見ればF-35B運用の実際を見てみたいところですがね。あらためて防衛力整備には強力な経済力が必要だと痛感させられますね。今後の日本が心配です。

USN

Royal Navy's New Supercarrier Trains Alongside Its US Counterpart For The First Time 英海軍新造超大型空母が米海軍と初めて訓練に加わった

The training mission off the coast of Scotland offers the first glimpse of future Royal Navy carrier operations. スコットランド沖合での訓練から英海軍の空母運用構想が垣間見えた

 BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 9, 2017

  1. 英海軍の新鋭超大型空母HMSクィーンエリザベスが随行艦とスコットランド沖合で多国間訓練演習の最終段階に入っている。同艦は米海軍USSジョージ・H・W・ブッシュ以下空母打撃群2(CSG-2)と行動をともにし、将来の二国間合同作戦のモデルを示している。
サクソンウォリアー2017演習とは
  1. 艦船15隻と6千名がドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国、米国5カ国から北大西洋に終結し8月1日サクソン・ウォリアー2017演習の幕が開いた。目的は各国間の海軍作戦の共同実施で目玉は空母二隻が参加したことだ。
  2. 空母2隻は随行艦、各国水上艦と対空、対艦、対潜戦の他飛行禁止区域の執行を想定した各種演習をこなしている。
  3. 小舟艇多数が襲撃してきた想定での防御策や、英米それぞれの補給艦が交代に洋上補給し相互作戦実施の効果を確認している。
空母は完成したが搭載機がない
  1. 空母での固定翼機運用はHMSアークロイヤル退役の2011年以来行っていない英海軍には空母運用訓練が重要でだ。小型ヘリコプター空母HMSオーシャンは2018年に退役する。だが両艦ともクイーンエリザベスや建造中のHMSプリンスオブウェールズに艦の規模、複雑さで劣る。
  2. 「米海軍の空母打撃群との指揮命令訓練を英本土近海で実施したいと思ってきました」と英海軍大佐ケン・ホウルバーグ(空母打撃群参謀長)が語る。「HMSクイーンエリザベスが今年後半に戦力化すると自前で空母打撃戦力が生まれます」
  3. 英海軍にはサクソンウォリアー演習で航空戦力を完全搭載した空母との共同訓練の機会が大きな意義となる。今のところクイーンエリザベスの航空戦力は不在だが、英空軍がユーロファイター・タイフーンを飛ばし航空戦力を提供した。
  4. 英国防省はあくまでもクイーンエリザベスは航空部隊と2026年までに完全戦力化すると説明している。しかし同艦の完全戦力の意味するところは明瞭ではない。War Zoneでは同艦が海上公試に出港した2017年6月の時点でこう説明している。
F-35B調達の行方
  1. 英国が調達規模を縮小する可能性は相当高い。2017年6月初めにタイムズオブロンドンは英空軍のF-35A調達費用を確保すべくF-35B調達は削減されると報じている。B型は48機に減るという。
  2. F-35Bが48機になるとクイーンエリザベスおよびプリンスオブウェールズで攻撃力が完全展開できなくなる。英海軍はまずB型42機を2023年までに運用開始し、空母に24機配備し、残り18機を訓練に投入するとする。
  3. 英空母はカタパルトや拘束装置がなく、スキージャンプと垂直着艦運用のためF-35Bに適化している。F-35B調達が予定通り進まないと英海軍に代替策がない。英海軍はアークロイヤル退役を機にハリヤー全機を用途廃止し米海兵隊が購入したため再活用は無理だ。共用打撃戦闘機がないまま英海軍要員はF-35の取扱い訓練を実物大模型で陸上で行っている。
英米共同運用に向かうのか
  1. 「当方はすば抜けて幸運です」と英海軍ジェイムズ・キャップス少佐(佐草温ウォリアー2017で海軍固定翼機作戦士官)はブッシュ艦上で語る。「ここジョージ・H・W・ブッシュにて今後の英空母打撃戦力の方向性が見えてきますし、米国がどんな体制になっているかもわかります」
  2. 英米間の軍事交流はクイーンエリザベスが戦力化し初の哨戒航海に出る2021年には通常のことになりそうだ。2016年12月に英海軍は米海兵隊F-35Bの英空母艦上運用で合意している。英米両軍の要員は相互に事前訓練したうえで共同運用に向かう。
英海軍の考える空母打撃群構想
  1. 2017年7月に英海軍の次世代フリゲートとなる26型シティ級の建造が始まった。同級は23型デューク級に交代することになる。
  2. 新型フリゲート艦に45型ダーリング級駆逐艦が加わり将来の英空母打撃群を構成する。残念ながら隻数が不足し空母打撃群の遠征作戦の支援がむずかしい。米海軍の空母打撃群では少なくとも誘導ミサイル巡洋艦一隻、誘導ミサイル駆逐艦二隻ないし三隻さらに高速攻撃潜水艦一隻以上が加わる。補給艦を必要に応じて呼び寄せる。
  3. サクソンウォリアー2017ではデューク級HMSアイアンデューク、HMSウェストミンスターの二隻がクイーンエリザベスに加わっている。この二隻だけで23型フリゲートの6分の一に相当する。
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  1. このため英海軍が米海軍に空母打撃群の共同運用を提案する可能性は十分あり、自国水上艦艇の負担を軽減するはずだ。その他同盟国にも自軍艦艇を提供する動きがある。演習の広報写真撮影でクイーンエリザベスは米海軍のジョージ・H・W・ブッシュと並列航行し英海軍のその他水上艦とタイコンデロガ級巡洋艦USSフィリピンシー、アーレイ・バーク級駆逐艦USSドナルド・クック、ノルウェー海軍フリチョフ・ナンセン級フリゲート艦HNoMSヘルゲ・イングスタッドも加わった。
  2. サクソンウォリアーは8月10日に幕を下ろすが、クイーンエリザベスはその後ポーツマスに母港を移し今月末まで留まると英国防省は発表している。その後さらに海上公試を行い、2018年中に艦隊に編入される。
  3. その時点になれば英海軍が新編成空母打撃群の運用方針が判明するはずだ。■
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