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2016年10月25日火曜日

テキストロン自社開発のスコーピオンの最新状況


かねてから注目しているテキストロン自社開発のスコーピオンでニュースが入ってきました。米空軍も自ら採用する意向はないようですが、輸出促進のため機体性能の実証を行うようです。いろいろな麺で常識を破る機体ですが今後どう発展するのか、またテキストロンがどこまで自社負担で開発を進められるのか注目したいと思います。まずJane’sが伝えている内容から。

Scorpion jet performs first weapons trials

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
21 October 2016
  
The Scorpion jet seen firing a Hellfire air-to-surface missile during the weapons tests. Source: Textron

テキストロン・エアランドは自社製品スコーピオンで初の実弾空対地攻撃試射をニューメキシコのホワイトサンズミサイル射爆場で10月中旬に実施した。
10月10日から14日にかけて行われた試射ではロッキード・マーティンAGM-114FヘルファイヤII空対地ミサイル、BAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システム(APKWS)および非誘導方式のハイドラ70ミリロケット砲弾を試した。地上配備レーザー照準器も初めて使われ、L-3ウェスカムWescamのMX-15Di電子光学赤外線方式 (EO/IR)センサー装置を使用した。
2013年9月に発表されたタンデム複座方式双発機のスコーピオンは各種ミッション用に開発され、対ゲリラ戦、国境監視、海上警戒、麻薬流入阻止、防空用途パッケージをそろえ、機体価格20百万ドル、運航時間単価3千ドルを実現している。
機体中央にはペイロード格納庫を確保し、各種センサーや兵装類を搭載できミッション各種に対応する。また六ヶ所の主翼下ハードポイントもありセンサーの追加搭載、燃料増槽、兵装類を搭載できる。エアーショーではテキストロンG-CLAWやテキストロン/タレス開発のフューリー誘導滑空弾の搭載が確認されている。
同社発表資料によれば最高速度450ノット、実用上昇限度45千フィートでフェリー最大距離4,450キロとなっている。
飛行実証用の機体が一機製造され、量産仕様の機体は間もなく初飛行の見込みだ。■

一方、Defense Newsは次の様に伝えています。


Textron Begins a Limited Production Run of Scorpion Jet, But No Contract Yet

By: Valerie Insinna, October 20, 2016 (Photo Credit: James Way/Defense News)
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが量産型スコーピオンの限定生産を開始した。 同型の初飛行は今年末に行われる。同社トップが10月20日に発表した。
同機にはまだ発注がなく、自社資金で完全新規設計の同機を2013年から国際展示会でPRしている。だが同機の兵装運用が実証されたことで今後は関心が高まると期待している。また米空軍も同機の性能を評価することで合意していると同社会長兼最高経営責任者スコット・ドネリーが述べた。
「現在のままなら少数生産を開始し生産工程の実効性を検証できます」(ドネリー)
テキストロンはスコーピオンを高性能だが低価格のISR・攻撃機材として開発した。機体価格20百万ドルで飛行時間あたり経費は3千ドルと同社は発表。ドネリーは初期生産の機数を述べなかったが、生産拠点はカンザス州ウィチタの現有施設をそのまま利用する。これまで二機が同地で完成しているが、量産型とは異なる。
「商談はたくさんありますよ。機体の真価を示す機会がたくさんあると思います。顧客候補は多数あり、限定生産の開始を前倒しします。展示飛行用にも機材が必要ですからね、その後成約を期待します」
少数生産が開始すれば同社の製造工程の実効性も証明でき、米空軍の希望にも応えられるとドネリーは述べた。
空軍は7月に協力研究開発合意Cooperative Research and Development Agreement (CRADA) をテキストロンと締結し、同社負担でスコーピオンの性能検査を行う。その目的は米国防企業の国際販売を容易にすることで該当軍用機は米軍が採用していなくてもよい。ドネリーによると合意成立して急に顧客の関心度が高まったという。
「空軍とCRADAが締結できたことで型式認証へ道が開いたと思います。顧客の動きも活発になっていますよ。そこで同機の性能を実証し、営業活動とフライトテストを活発化させていきます」
耐空性証明がいつ取得できるか明確な日程は不明だが、ドネリーはテキストロン社員はライト・パターソン空軍基地とともにテスト日程、データ検証の詳細を詰めているという。
他方で同社はフライトテストに備え、兵装運用テストを実施しており、ドネリーは量産型機体の初飛行は「間もなく」としている。
スコーピオンは初の兵装運用実証をホワイトサンズ・ミサイル試射場で行ったと同社は発表。L-3WESCAMのMX-15Diセンサーが照射するレーザー誘導でハイドラ-70非誘導型2.75インチロケット弾、BAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システム(APKWS)、AGM-114Fヘルファイヤミサイルをそれぞれ発射した。
スコーピオンのテスト並びに生産の前倒で同社負担経費も当初より増え収益を圧迫するとドネリーは認めた。
ただし同機に強い関心を示す顧客が生産開始の段階であらわれれば自社負担リスクは減るし、同社としても営業活動やテストフライトを積極的に進められるとドネリーは述べた。
可能性の一つとして英国の次期練習機があるとテキストロンエアランド社のビル・アンダーソン社長はDefense Newsに7月に述べていた。今年の夏にタレスはキネティックQinetiQと合同でスコーピオンを練習機機材に選定した。キネティックの広報資料によればスコーピオン選定の理由は高性能、信頼性がありながら機体価格が低いためとしている。■

2015年9月24日木曜日

T-X>テキストロン・エアランドはスコーピオン改修案を断念した模様


T-Xで米空軍は相当の高性能機を求めているようです。T-38の正常進化なのかもしれませんが、予算が厳しい中でそこまでの高等練習機が必要なのでしょうか。有事には軽戦闘機として投入可能な機体が本当は必要なのでは。その意味でスコーピオンには期待していたのですが、製造元もT-Xには新規設計機でないと太刀打ちできないとわかったようです。

Textron AirLand Considers Clean-Sheet T-X Offering

By Aaron Mehta 3:32 p.m. EDT September 21, 2015

Textron AirLand Scorpion(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが米空軍向けに次世代練習機案を提出する場合は完全新設計機とし既存のスコーピオンの改修案にはならないと同社幹部がDefense Newsに語った。
  1. 社長ビル・アンダーソンは先週の取材でスコーピオンはISR・攻撃兼用の機体であり、「T-X候補にできない」と軍の要求性能を念頭に語っており、同社としてT-X受注には「新設計機が必要」と述べた。
  2. これは一年前の方針からの変更だ。同社はスコーピオン改修で競合に勝てると考えていた。改修案では主翼を小型化しつつ強化し、空力特性も改良し、エンジン推力を増加させるとしていた。
  3. T-X事業で空軍はT-38後継機として350機を調達する。契約企業は2017年下半期に決める予定だ。
  4. T-Xの要求内容がどれだけ変わったかを見るには、同社の軍用事業開発担当副社長スティーブン・バークの発言に注目されたい。
  5. 「空軍は未知数の機体には全く興味を示しておりません。当社としては実際に飛行可能な機体を訓練用途の目標に合わせます」
  6. その後ノースロップ・グラマン主導のチームはホーク練習機を基にする案を中止し、完全新型機開発に切り替えた。一方、ジェネラルダイナミクスアレニア・エアルマッキM-346練習機を原型とするT-100提案で主契約企業を断念した。
  7. 今度はテキストロンが新型機案に切り替わろうとしている。
  8. アンダーソンは「空軍の最新要求は高性能機を求めている。スコーピオンは多用途機だがISR・攻撃用途に特化しており、要求内容を検討してみたところ同機の改修では追いつかないことがわかった」としている。
  9. ただし同社が新型機設計に踏み切るとしてもスコーピオンで得た製造設計上の「教訓」が参考になるとアンダーソンは言う。ただし同社がこのまま競作に残るかは最終要求内容次第だという。
  10. 「教訓をもとに新型機をT-X候補として売り込むとしても、空軍が要求内容の最終版を固めて予算手当もつけてからの話でしょう。当社としてこのままT-X競合に残る決定をするのは今の段階では困難です
  11. 「事業に関心を払っているのは事実です。会合はすべて出席しており、進展を都度追っています。空軍からも情報開示の要望が多々あり、空軍とは率直な意見交換をしています」
  12. スコーピオンはもともとISR機として設計しているが、軽攻撃用途にも転用できる。同社によればスコーピオンの一時間当たり運行コストは3千ドルで、モジュラー化したペイロード運用を想定しているという。
  13. スコーピオン試作機の累計飛行時間は500時間を超え、テキストロンは二号機の製造を始めようと準備中だ。二号機にはパイロットや技術陣のフィードバックを反映した設計変更として着陸装置の重量軽減化や主翼形状を変更するとアンダーソンは言う。
  14. 「現行設計をさらに洗練させるものです。普通の人にはどこがちがうのかわからないでしょうね」
  15. 一方で同社は引き続きスコーピオン最初の導入先を模索している。アンダーソンは具体的な国名は話さないが、前向きな感触が得られたといっている。
  16. 購入に手を挙げる動きがないまま、スコーピオン開発をどこまで自社負担で続けるのか聞かれてアンダーソンは現在の状況に「非常に満足している」とだけ答えた。
  17. 「時間はかかりますよ。テキストロンは生産仕様の機体製造を真剣に考えており、事業に自信を持っていることのあかしです」■