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2022年5月29日日曜日

米中同時不況の恐怖。バブル崩壊は現実に。国防力の源泉は経済なので無視できない

 

Digital Yuan

Image: Creative Commons.

 

つて、米国経済が風邪をひけば、世界経済は肺炎になると言われた。しかし、米国経済と中国経済が同時に景気後退に入った現在、さらに深刻な問題を提起しなくてはならない。米国と世界第2位の経済大国の中国が共に風邪をひいたら、米国その他の国の経済はどうなるだろうか?

 

 

 2008年のリーマンショック後、中国は戦後最大の不況から世界経済を回復させる重要な役割を果たした。自国経済に対し、予算と金融政策で異常といえるほどの支援を行った。その結果、10年にわたる不動産とクレジット主導の好景気が生まれ、中国は世界経済をひっぱる成長エンジンとなった。

 現在、米国に再び深刻な景気後退に陥る危険性がある。特に、株式、住宅、クレジット市場のバブルで、高インフレを抑制するため、連邦準備制度理事会が金融政策のブレーキを踏むことを余儀なくされているため、これは現実であるように思われる。

 年初来株価の20%下落が示すように、FRBの金融政策スタンスがタカ派色を強め、超低金利が永遠に続く前提だった「何でもあり」バブルに崩壊のリスクが出てきた。「何でもバブル」が崩壊すれば、米国の家計は貯蓄の回復のため支出を大幅削減すると予想され、不況が深刻化するリスクが高まる。

 2008年当時と異なり、中国経済は米国経済を救えない。さらに悪いことに、中国が世界のサプライチェーンをさらに混乱させて、米国のインフレをさらに悪化させる懸念がある。

 中国当局は、中国の経済成長モデルが信用市場と不動産市場に過度に依存していると以前から認識していた。過去10年間、中国の民間部門の信用拡大は、1992年と2006年のそれぞれ日本と米国の不動産バブル崩壊を上回る速度で増加してきた。

 また、不動産部門が中国経済の約3割を占め、中国の主要都市では住宅価格の対所得比率がニューヨークやロンドンより高く、全国で推定6500万戸の住宅が空き家のままになっている。

 信用と不動産が主導する中国の成長モデルの行き詰りが誰の目にも明らかとなったのが昨年末だった。経済成長率はかろうじて4%にとどまり、過去10年間の平均成長率8%の半分程度に減速した。その証拠に、中国の不動産セクターで債務不履行が相次いで発生した。債務不履行には、世界で最も大きな負債を抱えた不動産開発会社長安(Evergrande)の約3000億ドルを含む。

 習近平国家主席は、容赦ないCovid政策を追求することで、経済的苦境に拍車をかけているようだ。この政策により、上海をはじめ4億人近い中国人が行動の制約を受けており、今秋の中国共産党大会までこの状態が続くとみられる。中国の生産高を低迷させるだけでなく、世界のサプライチェーンの回復を遅らせ、出荷の遅れに拍車をかけている。

 こうしたすべてが米国および世界経済に悪い兆候となる。経済が低迷する中国には世界の経済成長の主要なエンジンの役割は期待できない。さらに悪いことに、中国が経済のリバランスを図り、Covidで経済的に有害なゼロ・トレランス政策を追求しているため、世界経済の成長の足を引っ張っている可能性が十分にある。■

 

What Happens if China and America Both Have a Recession? - 19FortyFive

ByDesmond LachmanPublished7 hours ago

 

Desmond Lachman joined AEI after serving as a managing director and chief emerging market economic strategist at Salomon Smith Barney. He previously served as deputy director in the International Monetary Fund’s (IMF) Policy Development and Review Department and was active in staff formulation of IMF policies. Mr. Lachman has written extensively on the global economic crisis, the U.S. housing market bust, the U.S. dollar, and the strains in the euro area. At AEI, Mr. Lachman is focused on the global macroeconomy, global currency issues, and the multilateral lending agencies.

In this article:China, COVID-19, Economy, featured, Recession, US Economy

 

2017年11月14日火曜日

中国経済が実は最盛期を過ぎていたら....緊張がさらに高まる、軍事行動が要注意となる



中国人は中国は大国なので世界秩序を中国の都合よい形に変え、国境線も変えてよいと考えているようです。その背後にさんざん中国経済の興隆ぶりを吹き込まれていることがあるのですね。しかし、その経済の実態があきらかになったらどうなるでしょう。ソ連もかつては米国に次ぎ世界二位の経済規模と自慢していましたが実態経済がフランス並みと分かって大恥をさらしましたね。かくいう日本もこのままなら米国を抜くと過信していた時代があったのですが...安全保障ではこれからが大変ですね。逆に言えばこれからを乗りきれば中国の脅威は減少するのでしょうかね。


The World Needs to Prepare for ‘Peaked China’

世界は「最盛期をすぎた中国」に備える必要がある

Bad economics = China won’t be a superpower.

経済悪化で中国は超大国になれない




トランプ大統領がアジア各国を訪ね北朝鮮対策へ支援を訴える中、もっと大きな課題を見過ごしていないか。国際政治の在り方を一変しかねない課題だ。アジア最大の課題は核武装した北朝鮮ではなく中華人民共和国の成長余地がなくなっていることであり、事実上中国の最盛期はすぎたといってよい。ここから生まれる結果は深刻でアジア太平洋に限らずグローバル政治構造のとらえ方そのものを一変させるものがある。
  • 筆者はこのような主張をかつては一蹴していたものである。十数億人の人口を抱える中国政府が貧困を脱却しGDPで米国に次ぐ第二位の規模を実現し、軍事力増強は地域大よりグローバル規模の地位を目指す中国の指向のあらわれである。見出しでは大国の域を脱し米国と入れ替わり世界の覇権をめざすのは中国の宿命だ....
  • だがこうした通念は間違っている。高成長が終わった中国では経済発展は難易度が高くなっており、米軍に対抗できるグローバル軍事超大国になるための投入資源がなくなる日が来る。あらゆる意味で中国の最盛期は終わっているのだ。
嘘と債務まみれの中国経済に人口構造の課題が加わる
  • これまでの中国は高度経済成長の恩恵を享受しており、今も高成長は可能と主張しているが中国の経済状況は統計が示す好況とは異なる。
参考 中国関係者が経済統計ねつ造を認める Forutne 2015年記事
  • まず経済学者が中国のいう6パーセント超成長は虚偽と主張している。一部には実態は2パーセント程度ではないかというものもある。そのひとりは「中国の経済成長は大部分が虚偽だ。北京政府が帳簿をいつから改ざんし始めたのかは明らかではないが、私自身含むエコノミスト多数は実態は2から3パーセントと見ている」と語ってくれた。さらに「中国の経済成長戦略の基礎は安い労働力を使い工場から消費財を出荷することで世界有数の安い製造拠点となることだった。だが給与水準が上がり、そんな工場で働こうという労働力が減っている中で従来の経済モデルでは中国は経済超大国になれない。中国経済は方向性が見えにくい状況になっている」
  • さらに債務問題がある。巨額債務だ。中国は西側世界を襲った2008年経済危機の影響を受けず高成長を続け、特に地方政府が借り入れで支出を増やした。資金を道路、橋脚、空港、高速鉄道等に使い、大部分は実質的な意味のない無駄な支出で経済規模拡大にのみ裨益し、今や中国の借り越し総額はGDP比260パーセント規模になっている。ここまで高いためムーディーズも中国国債格付けを下げており、米国の座を奪おうという国に似つかわしくない。
  • これからさらに悪化する。中国の巨大人口で高齢化が進む。出生率は極めて低く、1.2にすぎない。人口維持に必要な2.1でより相当低い。この原因が人口増を抑制すべく導入した一人っ子政策であるのは明らかだ。このため中国の高齢化は世界最高速で進む。中国のインターネット加入者数や携帯電話利用者数の成長率が話題になるが、間もなく新しい統計として数千億ドル規模の介護高齢者向け市場が加わる。ただしこの支出は経済成長には貢献せず国力の涵養にも役立たない。60歳以上人口が3憶人と米国の総人口程度になる2030年には規模はもっと大きくなるかもしれない。
経済悪化で中国は超大国になれない
  • 高度経済成長が鈍化し終了するとこれからの世界秩序内での中国の位置は再考を迫られるだろう。
  • 債務問題と人口構で経済成長が抑制されるとしたら現在の大幅な軍拡も減速を迫られるはずだ。
  • 中国が兵力投射能力の整備が不可能になる事態に直面するとは考えにくい。中国は空母打撃群4ないし6、長距離爆撃機、大規模遠征部隊の輸送能力を必要とするが、全部入れると数千億ドル以上になるだろう。ここに国外基地を加えれば規模はさらに膨らみ中国の負担能力を容易に超えてしまう。
「最盛期を過ぎた」中国への対処:国家主義の問題  
  • 西側特に米国の戦略思考家が中国経済が「最盛期を通り過ぎた」ことにまだ気づいていない可能性がある一方で、中国は米国や西側諸国と緊張を高めるコースを選択する可能性がる。
  • また中国は遠隔地どころか近隣諸国でさえ支配できる経済力がない可能性があるとはいえ、東アジア安全保障の構造で中国が南シナ海、台湾、東シナ海で自らの主張を弱めることはないはずで米国等との緊張はさらに増すだろう。
  • 中国共産党による一党独裁統治の根拠は高成長により生活水準を引き上げ社会の進展を実現することだ。だが中国国民の間に自由や権利を制約する中央専制体制が代償として「支払う」内容が負担に見合わないと受け止める向きが増えたらどうなるか。
  • 中国指導部が強硬な愛国主義を提唱し国民の怒りのはけ口として中国の地政学上の対抗勢力をとりあげたらどうなるか。(すでにこうなっているとの見方もある)このシナリオでは共産党は米国、日本、その他中国が面倒とみなす国へ非難を強め、むき出しの力で地域制圧に乗り出すことで国内統治の根拠を国民に示そうとするだろう。
  • 「最盛期を過ぎた」中国は世界制圧または世界秩序を書き換える国力はないものの今日の地位に上り詰めたことでアジア各国や米国に問題を引き起こしており、中国自身にも独自の課題やジレンマがある。今こそ新しい現実に合わせこちら側のとらえ方を調整すべきときなのである。■
Harry J. Kazianis is director of defense studies at the Center for the National Interest and executive editor of its publishing arm, The National Interest. Previously, he served as editor of The Diplomat, a fellow at CSIS, and on the 2016 Ted Cruz foreign policy team.

2017年6月6日火曜日

中国急成長のからくりと近づいてきた破たん


借りたものは返す、数字はうそをつかない、という常識は中国では以下に踏み倒すか、都合の良い数字に置き換えるかと理解されているようです。 嘘はいつか破たんします。中国経済が嘘の塊であれば信用した世界が一番の被害者になります。中国経済が破たんしたとき軍事力を中国はどう使う(使わない)つもりなのでしょうか。解放軍も一種の企業体であることを忘れてはならず、国営企業の常と同様に巨額の借り入れがあってもおかしくありません。このままでは中国の夢は文字通り夢に終わりそうです。朝鮮、中国と日本は大変な国家に囲まれていますね。

Five-yuan note. Flickr/David Steadman

Why China's Rise Is Built on Debt (And the Bill Keeps Getting Bigger)

中国はどうやって借入れをもとに台頭できたのか(そして借入額はどんどん増えている)

May 25, 2017

遅きに失したが中国が27兆ドルの債務の山を崩そうとして金融市場に動揺が走っている。果たして中国はバブルが破裂する前に信用の急膨張を制御できるのか。
どれだけ債務が増えているのか
  1. 前回National Interestが中国の借金問題を報じた際は国内総生産GDPの260パーセントを超え、2008年の163パーセントから急増し、金融危機前の米英の債務合計増加を上回る勢いになっている。
  2. 中国の「シャドーバンキング」も急拡大し、金融商品が3.8兆億ドルと三年で三倍になる一方、企業部門の借り入れはGDP比156パーセントになり、7年で四倍になった。
  3. ムーディーズは今週に入り中国債権の格付けをひと刻み下げ、中国政府が目指す経済成長の持続には借入を増やす必要があると指摘した。
  4. この切り下げ前に公表された中国のGDPデータでは政府が相変わらず借り入れ前提のインフラ建設で経済成長を狙っていることが明らかになった。第一四半期の成長率は6.9パーセントと伝えられ、市場予想の6.8パーセントを上回ったが、ANZリサーチは「いつも通りの投資の筋書きだ」と論じた。
  5. 固定資産投資は建設、不動産ともに上昇したが、サービス部門等の第三次産業の成長は鈍化している。
  6. 過熱気味の住宅分野はさらに熱くなり、不動産投資は9パーセント超の増加、住宅投資は10パーセントを上回った。住宅ローンは8,000億元(1,160億ドル)増と最大の伸びを記録した。
  7. 社会投資の合計は経済の全般的信用枠の把握に使うが、年率4パーセント増7兆元となり、320パーセント超の成長をしたシャドーバンキングが助けた格好だ。
  8. 第一四半期だけで借金が4.2兆元増え、GDPの四分の一に相当するとANZリサーチが指摘している。
  9. 「重要な問題は投資先導モデルがこのまま維持できるのか、当局が信用枠拡大の抑制に苦労していることです」(ANZ銀行)
  10. 「中国トップ指導層が金融引き締めをもっと強力に進めるのか注視したい」と同行は4月17日調査報で述べていた。
  11. これに対して別の格付け会社フィッチレイティングスは今年の経済成長目標が6.5パーセントと控えめになのに対し信用枠はGDPを50-100パーセント上回る増加ぶりだと警句を鳴らしている。
  12. 「この信用枠拡大により今年の中国経済では借り入れがさらに増える。当局は金融リスクの拡大を認識しているのだが」と同社は研究レポートで述べている。

最大のリスクとは
  1. 4月後半になり北京政府はやっと金融部門の債務拡大リスクの懸念に対応を示した。習近平主席が会議を招集し「国家金融市場の安全確保策」を4月25日に検討した。これは上海株式市場が2017年最大の下げを記録した翌日のことである。
  2. 過剰借入れ、株式投機などすべての対策と並行して中国保険規制委員会の前委員長が解任され、国家統計局の局長が収賄疑惑で起訴された。
  3. その結果として株式市場が停滞し政府発行債の利回りが急上昇した。ベンチマークになる上海複合指数は4月11日の最高値から4パーセント急落し、10年物政府債の利回りは2015年4月以来最高水準を記録した。
  4. 政府は資金の流れを制御しようと規制を一層強化にする一方、公式交換レートは高く誘導されたのは「通貨市場にパニックが広がるのを防ぐため」とエコノミストのXia Leは述べている。
  5. 中国企業が売り出しを止めた企業債は今期だけで推定1,840億元にのぼるが、一方で3兆元の金利支払いが必要だ。債券利回りは上昇傾向にある。支払い不能を宣言した企業は3月31日以来4社で今後借り入れコストがさらなる上昇で債務不履行となる企業は増えるとみられる。
  6. フィナンシャルタイムズによればファンドマネージャーの三分の一が中国の信用引き締め策が遅くに失しており「今や市場で最大のテイルリスク」と見ている。2016年1月以来、ユーロ圏崩壊の可能性より高いリスクとして中国が認知されているとバンクオブアメリカ=リンチはまとめている。
  7. オックスフォード大チャイナセンター研究員のジョージ・マグナスは中国には五つの罠が待ち構えているという。資本、債務、人口、中間所得層および歴史だという。「中国国内の信用形成を見れば、時間の問題であり、おそらく二三年以内に資金回収の波がやってくるはずで、低成長になり元安が長期間続くでしょう」
  8. マグナスの意見ではシャドーバンキング部門が中国のアキレス腱で、今年秋の全国人民代表会議までに経済を正常にしようとする政策部門にとって障害だ。
  9. 「この部門の貸付は仕組み上国営企業や銀行の債務よりもっと緊急性が高い時間問題」とマグナスは見ており、「闇貸付の危機は貸し手側が制度からはじかれてその結果焦げ付いた貸付が金融制度全体に悪い影響を与えることですが、今から半年から2年以内に表面化するはずです」
  10. マグナスはGDP成長率が6.5パーセントを下回るのが政府の「テスト」となるとみている。「債務問題は平和的に解決できない」とフィナンシャルタイムズに語っている。
  11. ロイター調査では中国経済は今年の6.5パーセントが2018年には6.2パーセントになるとみている。昨年の6.7パーセントが過去26年間で最低だった。

一帯一路の損金処理は
  1. 政策部門は全人代の前に減速を防ごうと必死だ。全人代は習近平の権力基盤強化になるとみられる。習が自らの地位を固めるため打ち出した一帯一路構想Belt and Road Initiativeは借金を増やすだけかもしれない。
  2. 同構想に参加する各国向けの中国各銀行の貸付は2,840億ドル(2016年末)に上っており、最近開かれた一帯一路サミットで追加1,000億ドル枠の提供が約束された。
  3. それでもクレアモント・マッケンナ大のミンシン・ペイ教授はプロジェクト全体は中国さえも対応不能な巨大な債務の山に終わると警告している。
  4. その指摘ではラオス向け総延長260マイルの鉄道敷設の費用は60億ドルとなっているのに対し、東南アジア最下位の同国のGDPは120億ドルにすぎず、巨額貸付が押し付けられており、借り入れ側は返済が困難になる例だという。
  5. 「中国は債務国側に対して影響力が限定され今後一帯一路が不良債権化すれば回収はわずかしか期待できないでしょう。中国の納税者がツケを払わされます」
時間がない
  1. 短期的に中国政府の期待は金融部門取締まり強化で過剰貸し付けを制限し、不動産価格急落を防ぐことだろう。後者は歳入確保を土地販売に頼る地方政府や金融機関に打撃となる。
  2. 国際通貨基金から中国の国内銀行までさらに政治家も債務危機を警告しているが、時間はどんどん減っており、このままだと2008年以来最大の債務危機は回避できそうもない。暴落が一度始まれば、アジア全体並びに世界がすぐに痛みを感じるはずだ。■
Anthony Fensom, a Brisbane, Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries. You can find him on Twitter: @a_d_fensom.
Image: Five-yuan note. Flickr/David Steadman

2017年3月13日月曜日

★中国経済の退潮は止まらない:フリードマンは中国をこう見ている






中国経済の矛盾はあまりにも規模が大きく全体像を理解している向きは少ないのですが、さすがフリードマンはうまくまとめていますね。中国経済が崩壊しないのもお金が今は回っているためだとよくわかります。では、ソ連のように軍拡が経済の実態を無視して進んで破綻することはあるのか。これが今後の中国で注視すべき進展でしょうね。ちなみにフリードマンは中国は大国になれないと見ているのですね。


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Reality Check.

March 6, 2017

By George Friedman

China’s Economy Continues to Decline

中国経済の退潮は続く

経済苦がそこまできている

  1. 李克強首相が全人代でGDP成長率は2016年の7パーセントが今年は6.5パーセントとの見通しを発表した。中国経済の成長率としては2016年は1990年以来最低だった。経済成長を占う予測精度はどの国でも疑わしいものだが、中国経済統計の信頼度は著しく疑わしい。そのため実際の成長率は6.5パーセント未満と見ている。
  2. 李首相発表の重要部分は中国政府として経済弱体化を止める手立てがないと示した点であり、これから経済面の苦痛が来るとも示唆している点だ。李克強は中国経済の変革はこれから期待できるものの苦痛が伴うと述べている。李は中国経済を蛹から変身するべく苦闘する蝶に例えた。言い換えれば状況はこれから悪化することになる。
  3. 中国の経済奇跡はかつての日本同様に終了している。経済再生は機能していないがこれに驚く向きは皆無だ。二桁経済成長が持続できたのは出発点の経済状況が最悪だったからだ。日本の例では第二次大戦からの復興で、中国は毛沢東の政策からの回復であった。単純に以前の状況に戻せば経済は動いた。損害が大きければ経済上昇もそれだけ長く続く。
  4. だが全土を覆った大失策の後始末をする社会で成長率が持続できたこと自体が不合理だ。経済が成熟すれば、異常なほどの成長率の維持も困難になる。中国が世界経済を支配するとの説は1980年代には疑わしかった。日本が支配すると思われていた。ただし日本は経済成長を維持できず世界支配もできなかった。一旦不可能とわかれば、幻想も霧散消滅する。世界も過剰に期待しなくなる。
  5. 中国のジレンマは日本同様に成長を輸出中心で達成したことによる。日中両国はともに貧しく国内需要は低かった。そこで低賃金を武器に製品を先進国で売り活性化をねらった。その結果、輸出関連部門が潤い、東シナ海の港湾から遠い地区の経済は富を蓄積できなかった。
  6. 日中両国には問題がふたつある。まず、賃金上昇だ。熟練工には一層精緻だが供給が間に合わない製品づくりが求められる。だが輸出重点の政策が成功したのは海外諸国の需要に支えられたためであって、中国自体の政策が要因ではない。
  7. 2008年に中国はツナミふたつに襲われた。まず中国が頼りにする顧客が経済危機で不況になり、中国製品への需要も縮んだ。二番目に中国の競争力は価格だったが、コスト競争力が低下した。
  8. 中国最大の恐怖は失業で、国内内陸部は貧困のままだ。輸出が減れば失業が伸び、格差が大きくなれば社会、政治上で望ましくない。沿海部でも失業者が大量に生まれる。1920年代に共産党が台頭したのと同じ状況で、党は状況を完全に理解している。このため出てきた解決策は競争力をすでに失っている事業に巨額貸付を続け、賃金を支払い続けることだ。その結果、非生産性が更に伸び、中国製品はさらに競争力を失った。
  9. 中国の台頭には別の結果もあった。西側諸国に中国投資ブームが生まれた。中国の上昇期には投資に旨味があったが、中国の顧客側を2つの意味で傷つける効果が生まれた。まず、低価格製品で消費国の産業経済が低下した。次に投資資本が中国に集中した。
  10. これで政治面の反動が生まれた。2008年以降の経済不振と輸出を維持するべく中国が通貨安を維持しつつ非合理的な金融を利用したことで政治反動が生まれたのだ。これは中国としても耐えられないことで今もこの状態のままだ。中国の産業構造は欧米の需要に連繋しているが、欧米の一部で中国輸出の阻害要因が生まれてきた。中国内需の増大も議論になっているが、中国は巨大な国であり、同時に貧しい国家だ。中国だけで十分な需要を生み、消費需要が産業活動を満足させるまでには相当の時間がかかる。
  11. その一方で失業を防ごうとするあまり合理性のない投資が続き経済の脚を引っ張っている。借入れで延命してるような企業を整理するためには不況が必要になるのは経済学上明らかだ。政治面では失業コストは負担できない。習近平体制で独裁体制が強化されたのもこのつながりで理解できよう。つまり解決策の一つは制御された形で政策矛盾を容認し、抑圧を継続することだ。
  12. 米国が中国に最大の脅威だ。ドナルド・トランプ大統領は中国に受け入れられない政策をちらつかせている。中国の有する米国とのつながりを制限することだ。さらに中国は輸出のため太平洋インド洋の通商路が必要だ。つまり南シナ海東シナ海を自分の思い通りにすることだ。米国はこの動きに強く反対している。
  13. 日本も同じ状況を経験し、低成長時代に入ったが、安定した国家になった。ただ日本国内には貧困層が10億人いるわけではないし、社会騒乱や革命の伝統もない。中国の問題は経済に留まらない。問題は政治で、経済業績の不振に不満を覚える莫大な人口層をどう抑えるかだ。低成長は当たり前になっている。中国に対抗する米国はじめ外国勢力をうまく取り扱う必要がある。米国は中国の中核利益でもある。中国が世界を安心させる動きをすれば、しばらくは効果を上げても世界は中国を古いレンズで見ようとするだろう。だが現実は現実だ。中国は今や米政府発行債券の最大の所有国ではない。日本がその地位についている。中国が蓄えた資金は底をつき、真実はひとつ。資金がある国は米国に資金を安全に保管するものだ。
  14. 中国は高成長を遂げた。だが今や、経済ニーズを政治の許す範囲で模索し苦闘するその他大勢の国のひとつにすぎない。■