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2022年8月2日火曜日

ホームズ教授の見方。ペロシ訪台で中国は本当に戦争をはじめてもよいと考えているのか。

 U.S. Navy Aircraft Carrier

 

120118-N-QH883-003 INDIAN OCEAN, (Jan 18, 2012) ニミッツ級空母USSエイブラハム・リンカン(CVN 72) (U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Eric S. Powell/ Released)

 

 

ンシー・ペロシは台湾に行く必要はなかった。しかし、アジア歴訪で、台北に降り立つ可能性を公言した以上、行かねばならない。そうでなければ、蔡英文総統を訪問するかもしれないというニュースが流れて以来、中国共産党が繰り返し出す大声に、米国下院議長が屈したように見えてしまう。

 

ペロシが譲歩すれば、面目を失うことになる。そして、アメリカは中国に対してだけでなく、同盟国や友好国に対しても面目を失う。インド太平洋におけるアメリカの地位は低下する。

 

北京は間違いなく、このような事態を引き起こしたいと思っている。中国共産党が、平時外交を別手段で行う戦争とみなしていることを忘れてはならない。中国共産党は24時間365日、絶え間なく心理的、メディア的、法的手段の「三戦」で政治的、戦略的環境を自らに有利になるように形成する努力をしている。喧伝することで、発言者の計画実行を抑止する。党所属の記者である胡志仁は、今回の訪中を中国への「侵略」と定義し、米軍戦闘機が台湾領空に侵入した場合には、暴力的な手段を用いるべきと主張している。

 

そして実際、ここ数カ月、人民解放軍は北京の思い通りにするため暴力を行使する傾向が一層強まっている。

 

5月下旬、中国のJ-16戦闘機が南シナ海上空でオーストラリアのP-8偵察機を迎撃した。中国軍のパイロットは豪州機の直前を横切り、エンジンに向けチャフを放った。チャフとは、敵のレーダーを欺くアルミニウムやアルミニウムでコーティングされた繊維などの反射材の散布だ。これを至近距離で使うのは大変なことで、飛行士なら誰でも知っている。例えば、航空母艦での飛行作業の前には、乗組員が飛行甲板に出て「FODウォークダウン」を行う。これは、超高速で回転する繊細なタービンに吸い込まれると「異物障害」を引き起こす可能性のある小さな破片を拾い上げる作業だ。

 

異物損傷は、最悪の場合墜落の可能性もある。この事件を武力攻撃と断定しても、オーストラリアには当然の権利だった。墜落させるような損害を故意に与えることは、より高次の侵略行為だ。中国の「グレーゾーン」作戦は、暴力によらないあらゆる手段を駆使し、地政学的な利益を少しずつ獲得していく。この不透明なアプローチは、中国の敵対勢力に、引き金を引かせ、戦争勃発の責任を負わせる。あるいは、中国の意向に逆らわずに権益を放棄させることがねらいだ。

 

PLA司令官は、武力行使に抵抗がないようだ。もしそうなら、重大な影響を及ぼすエスカレーションが始まる可能性がある。中国はグレーゾーンを脱しつつあるのか。

 

台湾訪問を実行する場合、議長一行はどのように行動すればよいのか。裏を返せば、筆者は胡錫錦の意見に賛成だ。1948年から1949年にかけてのベルリン大空輸で、飢餓に苦しむベルリンに貨物機が護衛機なしで向かったように、ペロシ乗機は戦闘機の護衛なしで行くべきだ。トルーマン政権は、人道的任務につく非武装航空機を撃墜するむき出しの侵略行為にスターリンがひるむと判断し、戦闘機を随行させない決定を意識的に下した。

 

しかし、習近平中国共産党総書記は、1948年のソ連と同じように、賢明な自制心を発揮する可能性が高い。つまるところ、米国議会と中華民国の結びつきは今に始まったことではない。ペロシ議長の台湾訪問が実現しても、これまでの慣行から大きく逸脱しないだろう。ニューポートにあるペル国際関係・公共政策センターに足を運べばいい。ペルセンターには、ロードアイランド州選出の故クレイボーン・ペル上院議員の執務室が再現されている。事務所に飾られた外国の賞や勲章を見るだけでも、ペルと台湾の関係がうかがえる。賞や勲章を全部同時につけていたら、ペルは立っていられないほどだっただろう。そして、ペルは議会内でも台湾との友好関係において、孤立していなかった。議員からの支持は超党派で、広く、そして明らかに誠実だった。

 

では、中国共産党は本当にペロシの台湾訪問で喧嘩を売っているのだろうか?そうでないことを祈るが、すぐに分かる。では、習に返す。■

 

 

WRITTEN BYJames Holmes

James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface-warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.”


Would China Really Start a War over a Nancy Pelosi Visit to Taiwan? - 19FortyFive

 

ByJames HolmesPublished3 hours ago


緊急 ペロシ議長訪台は確実。面子を失うのを恐れるPRCが何をするかわからない危険な状態

  

China Makes New Threats As Rumors Swirl That Pelosi’s Taiwan Visit Is Imminent (Updated)


下院議長ナンシー・ペロシ。米空軍C-40輸送機。gillfoto via Wikicommons / Nathan Howard/Getty Images


米空母打撃群が台湾付近を航行中、下院議長が「あえて」台湾を訪問すれば、中国は「待機している」と表明

ンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問の可能性はまだ確認されていないが、訪問の予想だけでなく、間近に迫っているという報道が相次いでいる。バイデン政権も、ペロシが台湾訪問を怖がる必要はない、と新たな見解を示したようだ。中国当局は、ペロシが台湾島に「行く勇気」があれば、人民解放軍が「傍観する」と発言するなど、異常なまで強い脅しをかけ続けている。

 

CNNは、米国と台湾の匿名当局者の話としてペロシ議長の訪台は事実で、一晩滞在すると報じた。これは、ペロシがマレーシアに立ち寄った後、火曜日の夜か水曜日の朝に台湾に向かうかもしれないという、過去24時間以内の他の報道を受けてのことである。台湾はすでに8月2日火曜日だ。

 

下院議長は現在、議会代表団とともにマレーシア、日本、韓国を訪れる予定の地域ツアーの最初の訪問シンガポールに滞在中だ。本稿執筆時点では、ペロシ事務所、米国政府、台湾政府のいずれも、台湾訪問を正式に認めておらず、可能性があるとも言っていない。ペロシ議長の日程表を引用した以前の報道では、先週時点では「暫定的なもの」と見られていた。

 

ペロシと他の代表団がどのように台湾に到着するかは不明。この地域の空域で何が起こっているのかについて、非常に優れた情報と一般的な状況認識を持つ中国当局を、確立された飛行計画から外れて台湾に向かうことによって、驚かせる可能性は低いように思われる。

 

過去1年ほどの米国議会関係者の台湾訪問では米空軍のC-17グローブマスターIII貨物機を使っていた。これまでのところ、ペロシは空軍のC-40C(ボーイング737シリーズの軍用機)を使用しており、彼女と他の代表団は台湾に向かう前に防御性能の高い機体に乗り換える可能性が出てきた。C-40Cには安全な通信システムや熱探知ミサイル対策が施されている。

 

中国政府は、ペロシが台湾を訪問しないよう警告する脅迫状を次々と発表している。米国では、議会議長が台湾を訪問するのはごく普通のことだが、北京当局にとってペロシは特別な存在である。米国では下院議長が政府高官として3番目に位置し、大統領と副大統領が共に死亡するなどして職務を遂行できなくなった場合、次席の最高責任者に就任する。下院議長が最後に台湾を訪問したのは1997年、ジョージア州選出のニュート・ギングリッチだった。この危機は米中関係における重要な出来事で、その後数十年にわたる人民解放軍の大規模な近代化努力、特に空母戦力整備の野心を支える重要な推進力となった。

 

中国外交部の趙立堅報道官は本日、定例ブリーフィングで記者団に対し、ペロシ議長の台湾訪問は、米国政府内での立場から「深刻な政治的影響」を及ぼすと述べたばかりである。また「中国人民解放軍は決して傍観することはない」とも述べた。

 

「中国は主権と領土を守るため、断固とした対応と強力な対抗措置を取る」と趙は続けた。「どのような措置を取るかについては、もし彼女があえて行くのか、様子を見ましょう」。

 

数週間前から、中国の軍用機がペロシを台湾に運ぼうとする飛行機の進行を妨げようとしたり、嫌がらせをしたり、もっと悪いことをするのではないかと懸念されていた。このため、ホワイトハウスと米軍は、議長が台湾に向かうのを思いとどまらせるために水面下で動いてきたと伝えられていた。米中関係は、台湾をはじめとするさまざまな地政学的・経済的問題をめぐり、すでに低調な状態に陥っている。しかし、最近その立場はかなり軟化しているようで、ペロシが本当に台湾に向かうという証拠をより多く示している。

 

「ペロシ議長が近い将来、本当に台湾に向かうという確証を得ました。中国の暴言には何の理由もない。行動を起こす理由もない」。国家安全保障会議の戦略的コミュニケーション担当コーディネーター、ジョン・カービーは、本日、CNNの朝の番組「ニューデイ」のインタビューで、「議会指導者が台湾に旅行することは珍しいことではありません」と述べた。「私たちは国として、中国のレトリックや潜在的な行動に脅かされるべきではない。これは議長にとって重要な旅であり、我々は彼女をサポートするためできることは何でもする」と述べた。

 

カービー報道官は、ペロシ議長が台湾に行く予定であることを肯定も否定もしなかった。同報道官はまた先週、週末に行われた演習にもかかわらず、PLAが台湾の反対側で積極的に軍備を増強している兆候はアメリカ政府はつかんでいないと述べている。中国軍はすでに台湾海峡沿い含む地域に空軍、海軍、陸軍の広範な部隊を配置している。

 

ペロシとアジア歴訪に同行する代表団が台湾に立ち寄るかどうかはわからないが、現在、議会ではそのような訪問に幅広い超党派の支持がある。米国政府は台湾と複雑な関係にある。北京政権は台湾をならず者国家として扱い、米国当局は台湾を技術的に独立した国とは認めていない。法律上、米国当局は、台湾の地位が最終確定するまでは、台湾のカウンターパートと外交的に関わり、台湾の軍事支援を行う権利など留保している。

 

さらに、今日の国家安全保障会議のカービー報道官発言は、バイデン政権が、アメリカの議員にできること、できないことを中国当局に指図させていると公に見られることに関心がないことを明確にしている。バイデン氏自身、これまで何度も、米国政府は中国の侵略から台湾を守るために積極的に軍事的な準備をしていると公言してきたが、その後、北京からの反発を受けて、政権は何度も水を差すような発言を繰り返してきた。

 

懸念されるのは、ペロシが台湾に行こうとすれば、中国政府が異常なまで攻撃的な行動を取らざるを得なくなるという、パーフェクトストームが発生していることだ。米軍や台湾軍がペロシ議長らの台湾訪問をどのように保護するか(戦闘機の護衛など)によっては、何らかの小競り合いが発生する可能性があり、さらなるエスカレーションを引き起こす危険性がある。

 

米海軍の超大型空母USSロナルド・レーガン(CVN-76)が、フィリピン北東で西太平洋を航行しており、ここ数日、台湾へ移動しているように見えると報告されていることは、注目に値する。USNI Newsの報道によると、同空母打撃群には、海兵隊のF-35B統合打撃戦闘機を積む揚陸強襲艦USSアメリカとUSSトリポリが随伴している。これは非常に有能な航空・海軍部隊で、どのような危機が発生しても対応できる態勢を整えているように見える。

 

もう一つの選択肢は、ペロシがC-17のような機体ではなく、より目立たない機体を使うことだ。例えば、空軍のC-146Aウルフハウンド特殊作戦輸送機は、民間風の塗装が施され、政治的な敏感さのために注目を集めたくない任務に使用される。昨年、台北の松山空港でC-146Aが飛行しているのが目撃された。その際、地元メディアは、嘉手納基地から台湾に飛んだ同機が、台湾のアメリカンインスティチュートのディレクターで事実上のアメリカ大使であるサンドラ・ウードカークに小さな荷物を運んできたと報じた。

 

同時に、ペロシや議員連がC-146Aで台湾に入ると見られると、中国当局からアメリカ高官に忍び足を強いるというジャブを受け、アメリカ国内でも政治批判を受ける可能性がある。

 

また、民間機で移動する可能性もあり、その場合、乗機への行動は、象徴的なものであっても、中国にとり複雑なものになる。ペロシ一行が今週、実際に台湾を訪問するかどうか、また訪問した場合、どのような行動に出るかは別として、米中両国は、この問題をめぐり、外交上で衝突コースにあるように思われる。

 

その結果、米中両国の瀬戸際外交がどのような形をとるか、米中双方の当面の対応と長期的な展望は、時間が経たなければ分からない。

 

更新:午後2時35分

国家安全保障会議戦略広報調整官のジョン・カービーは本日の記者会見で、先週の公式見解から大きく変わり、中国軍がナンシー・ペロシ氏の台湾訪問に対抗して「さらなる措置を講じる可能性がある」兆候を米当局が把握していると述べた。また、米当局はこれに対し「囮になることも、妨害行為をすることもない」と付け加えた。

 

中国軍がどのような手段を準備しているのか、詳しく聞かれたカービーは、可能性を提示した。台湾海峡での各種ミサイルの発射、台湾の防空識別圏(ADIZ)内の国際空域への大量の軍用機の飛来、大陸との事実上の海上国境であるいわゆる「中央線」の横断、PLA演習の増加、海峡に対する中国の完全主権という法的に疑わしい主張をさらに主張しようとする、などが考えられる。これらはすべて、中国当局が過去に台湾政府および米国の支援者との緊張が高まったときにとった行動である。

 

カービーは、「北京の行動は意図しない結果を招きかねない」と警告し、状況をエスカレートさせる可能性があるとし、「我々は威嚇されることはない」と述べた。

 

カービーは同日、CNNのインタビューで、ペロシ議長に台湾を訪問する権利がある、米国政府はペロシの安全な旅行を確保する責任がある、米国の対中・対台湾政策は変わっていないことなど基本点を繰り返した。また、ペロシが台湾に向かう予定があるか確認は避けたが、米軍機に乗っていることから、「いつかは分かるだろう」と述べた。■

 

 

China Makes New Threats As Rumors Swirl That Pelosi's Taiwan Visit Is Imminent

 

BYJOSEPH TREVITHICKAUG 1, 2022 1:54 PM

THE WAR ZONE


2022年7月31日日曜日

ペロシ議長訪台のリスクとは。米中台いりみだれての軍事緊張になるのか。議長はアジア歴訪にまだ出発していないとの報道もあり。

 




台湾南部の台南市にある空軍基地に着陸してきた米海兵隊のC-130。SAM YEH/AFP via Getty Images


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  • ナンシー・ペロシ下院議長のアジア旅行中に、物議を醸す台湾訪問を行う可能性がある

  • 専門家は、台湾訪問は、この地域の軍事的危機につながる「事故」のリスクを高める可能性があると指摘

  • 「議長が訪台すれば、中国が対応する必要があるため、危機の見込みがぐんと上がる」と、米国の元外交官はInsiderに語った


ペロシ下院議長の台湾訪問は、北京と米軍の危機を誘発する「事故」リスクを高めると、中国専門家トップが警告


ンシー・ペロシ下院議長は金曜日にアジア視察に出発し、北京とワシントン間の緊張が高まる台湾に立ち寄る可能性がある。

 軍用機で移動するペロシ議長の台湾訪問は、この地域の軍事的危機を引き起こす「事故」の危険性を高めると中国専門家が警告している。

 中国専門家の第一人者で、米ジャーマン・マーシャル基金のアジアプログラム・ディレクター、ボニー・グレーザーBonnie Glaserは「事故のリスクはあるが、中国が台湾を攻撃する危険が差し迫っているわけではない」とInsiderに述べた。

 ペロシは、これまで台湾を訪問した米国議員で最高位の人物となる。台湾は2300万人の民主的な島であり、民主的な香港を弾圧してきた中国支配者が長年狙う場所である。

 ペロシが台湾を訪問する可能性で、北京から激しいレトリックと警告を引き起こし、ペンタゴンは下院議長が台湾を訪問した場合、米国戦闘機と艦船に追加のセキュリティを提供する計画を立てていると報告されている。また、バイデン政権は、中国が台湾を攻撃した場合、米国は軍事対応するかどうかについて、繰り返し複雑なメッセージを発しており、北京とワシントン間の緊張を高めている可能性がある。

 グレーザーは、中国軍機がペロシ乗機を「妨害」、おそらくは台湾着陸を阻止する危険性があると指摘した。

 とはいえ、中国が戦闘機を送り込み、台湾がそれに対抗し戦闘機をスクランブル発進した場合でも「発砲することはないだろう」とグレーサーは強調した。

 「しかし、戦闘機は非常に接近し、過去にない形の飛行になれば事故の可能性は高くなる」とグレーザーは述べた。

 中国が台湾に武力行使する可能性は「実際に」あるが、それは「何年も先のこと」と彼女は付け加えた。

「これは相互作用の力学です。中国人は、アメリカの行動と我々の発言を見て、反応する」。



2022年2月23日、ワシントンDCの米国連邦議会議事堂で行われた週次記者会見に出席したナンシー・ペロシ下院議長。Win McNamee/Getty Images


「議長訪台で、危機の見込みが一気に高まる」


中国はペロシ議長の台湾訪問に激しく反対しており、訪問は軍事的反応の可能性を引き起こすと警告している。

中国国防省報道官は「米国が独自路線を主張すれば、中国軍の傍観はありえない」と今週初めに述べた。

 これに呼応し、習近平国家主席はバイデン大統領に、台湾に関し「火遊び」しないよう警告した。両首脳は木曜日に2時間以上電話で話した。

 ペロシは、安全上の懸念を理由に、台湾訪問の確認すを拒否している。「自分の旅行について話さない。危険だからだ」と、ペロシは水曜日記者団に語った。

 アメリカと台湾の関係には複雑な歴史があり、ペロシの訪問は、北京が急速に軍事力の向上を競い、アメリカの台湾との交流を見て北京がますます好戦的なトーンをとる背景でおこなわれることになる。バイデンは、米国は21世紀を勝ち抜くため中国と競争中と発言し、国防総省高官は、インド太平洋地域における中国の攻撃性の増大がもたらす課題を繰り返し指摘している。

 米国は1979年に北京と正式な外交関係を結んで以来、台湾と外交関係を持っていない。歴代政権が数十年にわたり続けてきた「一つの中国」政策と呼ばれるものの下で、米国は台湾の独立を支持せず、中国は一つであるという北京の立場を外交的に是認している。しかし、米国政府は依然として台北と強固な非公式関係を維持しており、1979年台湾関係法に基づき、台湾に防衛用装備を提供することが法的に義務付けられている。

 米国は長年にわたり、中国が攻撃した場合に台湾防衛に乗り出すかどうかについて、意図的に不透明な立場をとってきた。バイデンは、中国が台湾を攻撃した場合、米国は本当に軍事対応すると繰り返し示唆し、この長年のアプローチを台無しにしてしまったと非難を受けた。

 ホワイトハウスはバイデン発言を撤回し、米国の政策に変更はないとしている。しかし批評家は、政権の台湾への一貫性のないアプローチは、北京との対立を悪化させたと言う。

 「中国側はワシントンが意図的に危機を引き起こしていると見ており、バイデンが習に何を言えば説得できるのか分からない」と、同じく著名な中国専門家でエール大学法学部ポール・ツァイ中国センター上級研究員のスーザン・ソーントンSusan ThorntonがInsiderに語った。

 元東アジア・太平洋地域担当国務省次官補代理ソーントンは、「こちらは一つの中国政策は変わっていないと主張し続けているが、ペロシ訪台は明らかに前例となり、『非公式関係』と解釈できなくなる」とも述べた。「議長が行けば、中国は対応を迫られ、危機が現実になる可能性が高くなる。したがって、それは台湾に関する北京の時間軸を加速させることになり、我々がすべきこととは正反対だ 」と述べた。



2021年11月15日、ホワイトハウスのローズベルト・ルームから習近平国家主席と仮想会談し、耳を傾けるジョー・バイデン大統領。 AP Photo/Susan Walsh, File


「あまりにも一貫していなかった」


 米国は台湾に対して「より明確に、より一貫した政策をとる」必要があるとグレーザーは指摘し、「米国は台湾独立を支持しないと言っている。我々は、何をしないかということを明確にしなければならない」と述べた。

 しかし、グレイザーは「これは一方的なものではない」とも強調し、中国が「台湾に対して経済、外交、軍事的な強制を極めて不安定な形で行っている」と言い切った。

 「台湾海峡の現状を変え、今日のような不安定さをもたらしたのは、中国側の責任が大きい、確かに台湾よりも責任が大きい、と言っても間違いではない」とグレーザーは言う。「しかし、北京と台北だけの問題ではない。ただ、この件に関して、アメリカはあまり対処がまずい。議会もそうだし、行政府もそうだ。我々は一貫していない」。

 先週、バイデンは米軍がペロシ議長の台湾訪問を「今は得策ではない」と見ていると記者団に語ったが、ホワイトハウスは「下院議長が自ら決断する」とも述べている。

 一方、議会には賛否両論があり、ペロシ訪台を支持する声もある。議長が行かないと、中国の脅威が台湾に及ぶ危険なシグナルを送ることになると指摘する声もある。

 上院共和党院内総務のミッチ・マコーネル Mitch McConnellは今週、ペロシが行かないと、中国が「ある種の勝利」を得ることになると述べた。

 下院軍事委員会委員の民主党のロ・カンナ議員Rep. Ro Khannaは月曜日、ペロシは訪台を「中止すべきではない」とCNNに述べた。「中国共産党に下院議長の行き先を決めさせてはいけない」とカンナ議員は述べ、訪問が「一つの中国」政策を損ねることはないと語った。

 ペロシ訪台の可能性を左右する要因は進行中のウクライナ戦争だ。多くの外交専門家は、この紛争が中国の台湾へのアプローチに大きく影響すると指摘しているが、それが何かを判断するのは時期尚早だ。

 「中国人はウクライナ戦争から教訓を得る」とグレーザーは言う。「類似点よりも相違点の方が多いが、そこから学ぶだろう。より広い戦略的なレベルで学ぶだろう」。

 「中国が軽率に結論を出すとは思いませんし、今こそ台湾を侵略するべきだという結論を出すとも思わない」。グレーザーは「中国は台湾に関して独自の論理を持っている 」とも指摘している。■


A Pelosi trip to Taiwan heightens the risk of an 'accident' that triggers a US military crisis with Beijing, top China experts warn

John Haltiwanger Jul 30, 2022, 5:39 AM


記事とことなり、日本時間31日朝現在、ペロシ議長はまだ出発しておらず、相当重い検討をしてるのではないかと思われます


2022年7月30日土曜日

ペロシ議長の乗機を撃墜? 1線を超えた中共の言論。北京の横暴を認めるのか、議長の訪台が実現するか世界が注視する。

 

J-20 Stealth Fighter. Image Credit: Chinese Military.

国外務省によると、中国の習近平国家主席は7月28日、バイデン大統領との電話会談で、「台湾問題に対する中国政府と国民の立場は一貫しており、中国の国家主権と領土保全は14億人を超える中国国民の確固たる意志だ」と述べた。「世論に逆らうことはできない。火遊びをする者は、火で滅びるだろう」。

「滅びる?」

習近平の悲惨な響きを持つ警告はナンシー・ペロシ下院議長が台湾訪問を計画しているとの報道に関連して発せられた。習近平がバイデン弱いと認識しているのか、あるいは中国の内部問題が深刻で、中国国民の気を引くために外部の危機を作り出さなければならないのか、そのどちらかであることを示唆している。最悪の場合はいずれも真実であることだ。

この10年ほど、中国指導部は、米国は末期的な衰退にあり、自分たちの政権が世界的な支配者になるのは間近と考えてきた。

少なくとも彼らの頭の中では、バイデンが裏付けだ。バイデンはアフガニスタンから撤退し、ロシアのウクライナ侵攻を阻止できず、北京は台湾に対してやりたい放題になったと考えている。

同時に、習近平の脅威は体制不安の結果である可能性もある。習近平は外部に危機を与え、中国国民に国内危機から目をそらさせる必要がある。国内ではコロナウイルス感染が続き、習近平の「動的ゼロCOVID」政策は、不振の経済を蝕むだけでなく、広く恨みを買っている。中国経済は、第2四半期に前年同期比0.4%増と報道されているが、縮小しているのは確実だ。

同時に、債務危機が国を襲っている。長江集団など大手不動産開発会社の社債など債務不履行、マンション建設プロジェクトの未完成、マンション購入者が銀行に返済しない「住宅ローン不買運動」が全国で拡散、不買運動は開発会社の取引先にも広がり、全国で金融機関が資金繰りに窮している。河南省を中心に銀行の取り付け騒ぎが起きたが、金融中心地である上海の銀行も経営状態が芳しくない。

不動産販売が激減して(今年上半期のデベロッパー上位100社の売上高は50.3%減)、不動産収入に依存する地方政府は支払い義務を果たせなくなってきた。

今月、ある中国人起業家は、地方幹部が自分の会社から数千万ドル強奪しようとしていると話した。下層部の財政問題は、中央政府の財政問題の反映だ。習近平は「共栄」を旗印に、テンセントやアリババなどハイテク企業から数百億ドルを引き出している。

習近平はまた、全国的な動員を主導している。昨年初め、国防法が改正され、文官から軍人へ、特に政府の国務院から共産党中央軍事委員会に権限が移された。国務院は、党に仕える人民解放軍を監督できなくなる。

これまでも党が主導権を握ってきたが、今回の改正で社会が戦争に大量動員されることが想定された。私企業の経営者は、党の指示で製造するように言われ、紛争にむけ備蓄を積み上げると見られている。

多くのアメリカのアナリストは、ペロシ下院議長が、北京が主権を有する中国領土と主張する、自治と民主の台湾を訪問する計画が報じられて、危機が生まれていると言う。その見方は間違っている。

習近平は、議長の「挑発」を受けて暴れる必要はない。現在、中国軍はすでにラダックの実効支配ラインを下回り、ヒマラヤでさらにインド領土を奪おうと準備している。6月、北京は南シナ海のセカンド・トーマス・ショールにあるフィリピン前哨基地への補給を阻止しようとする試みを再開した。東シナ海では、7月29日に中国の軍艦4隻が日本が実効支配する尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した。

さらに、マーク・ミリー統合参謀本部議長がシドニーで指摘したように、「中国の軍事活動は、例年に比べ明らかに、統計的に攻撃的である」。例えば、5月26日には、中国の高性能戦闘機が南シナ海国際空域でオーストラリア空軍のP-8偵察機に加速して接近し、チャフを放ち、チャフがP-8の2つのエンジンのうち1つに吸い込まれた。中国機は照明弾も発射した。チャフや照明弾を使用したのは、他国軍で初めてという。

中国国防省は7月28日、ペロシの台湾訪問が報じられたことに関連し、「行動は最も強力な言語」と述べた。政権の立場を示すためにしばしば利用される中国のジャーナリスト胡志仁は、7月29日、中国軍が下院議長の飛行機を墜落させる用意があると詳細に説明した。

安全な選択肢はもうない。最も危険なのは、ペロシ議長が引き下がることだ。引き下がれば、中国の最も好戦的な要素を正当化し、他の全員に脅しが効くことを示すことになる。

これは、単なる意志のテスト以上のものになる。■

China to Pelosi: You Will ‘Perish’ Over Taiwan - 19FortyFive

ByGordon ChangPublished1 hour ago

A 1945 Contributing Editor, Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China. Follow him on Twitter @GordonGChang.