ラベル ASBM の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ASBM の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年11月16日月曜日

空母キラーミサイル二型式が洋上艦艇に命中したと主張する8月テスト内容での中国の言い分をあなたは信じますか、

 



 

月に入り中国が8月実施した「空母キラー」ミサイル2型式の試射の詳細を公表している。各ミサイルは数千キロを飛翔し、南シナ海パラセル諸島付近の標的に命中したと中国は説明している。

 

人民解放軍の元大佐で現在は北京の航天大教授Wang Xiangsuiがサウスチャイナモーニングポスト紙にミサイルはともに移動船舶に命中したと語っている。テストではDF-21D、DF-26Bの二種類が投入され、中国の目指す抑止力の中核となる装備だ。

 

DF-26Bは青海省から、DF-21Bは浙江省からそれぞれ打ち上げられ、目標地帯は中国当局があらかじめ立入り禁止措置にしていた。

 

 

 

DF-26とは

 

DF-26は移動式二段ミサイルで固体燃料の中距離弾道ミサイル(IRBM)で2015年9月の軍事パレードで初公表された。射程4千キロとされ、核・非核両用で、地上目標、海上目標を狙う。弾頭は1.2トンから1.8トンを搭載可能で、有事には米領グアムを攻撃可能だ。DF-26が空母キラーと呼ばれるのはニミッツ級フォード級の超大型原子力空母が標的とされるためだ。

 

DF-26は中距離核兵力条約で禁止対象となる兵器である。冷戦終結jに米ソが調印したが、中国は一度も条約交渉に招かれず、米国が昨年に条約から脱退した際に中国が条約から自由に兵器を配備しているためとした。

 

一方、DF-21Dは

 

DF-21Dは世界初の対艦弾道ミサイル(ASBM)で、これも「空母キラー」とされる。射程は1,800キロで艦船、とくに紛争地帯で敵勢力の接近を阻止する機能が期待され、東シナ海・南シナ海への投入がありうる。

 

米海軍の空母以外に日本の新型航空母艦やオーストラリアの強襲揚陸艦も標的になる。

 

今回のミサイル二型式のテストの前日に中国は人民解放軍海軍の実弾演習を展開中の渤海上空の飛行禁止空域に米国がU-2スパイ機を送り込んだとして非難していた。米海軍もUSSニミッツ、USSロナルド・レーガンの各空母打撃群で「自由で開かれたインド太平洋を支援すべく」戦術防空演習を展開していた。

 

サウスチャイナモーニングポスト紙は中国政府が米海軍による演習に強い嫌悪を示し、露骨な挑発であるとしたと伝えている。一方で米国は中国のミサイル発射テストを無謀かつ安定を損ねる行為だと対抗した。

 

今回のミサイルは人民解放軍が保有する地上発射式弾道ミサイル、巡航ミサイル1,250発の一部にすぎないことに注意が必要だ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Report: China’s ‘Aircraft-Carrier Killer’ Missiles Hit Target Ship in August

November 15, 2020  Topic: China  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-21DDF-26BASDMMilitaryA2/adTechnology

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


2019年11月3日日曜日

要塞艦隊:外洋では米海軍に撃破される中国海軍のねらいは自軍に有利な近海部での海戦に持ち込むこと


Fire the Missiles! The U.S. Navy Is Ready To Sink China's New Aircraft Carriers

Here is how it could go down. 
November 2, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: NavyMilitaryChinaU.S. NavyDF-21DCarrier-KillerPLAN


Key point: The U.S. Navy remains stronger than the PLA Navy in open-sea battle. 米海軍がPLA海軍に対し優位性を発揮できるのは戦闘が外洋で発生した場合だ。

国は米原子力空母(CVNs)を駆逐する誘導ミサイル各種を「空母キラー」として永遠に喧伝するつもりなのか。注目されるのが対艦弾道ミサイル(ASBMs)のDF-21D、DF-26で人民解放軍(PLA)が接近阻止領域否定(A2/AD)防衛体制の要としている
中国政府はペンタゴン含む重要な相手に中国軍事力の威力をまんまと信じ込ませてしまった。事実、ペンタゴンによる直近の中国軍事力年次報告書でPLAがDF-21Dで「空母含む艦船を攻撃する」とあり、中国沿岸から900マイル地点でも攻撃可能としている。
だが米海軍にも空母キラーがある。正確に言えば艦船キラーというべきか。空母に打撃を与えたり撃沈できる兵器なら小型艦など簡単に相手にできる。また対艦兵器は射程、威力など多様に進化しており、米海軍は冷戦終結後の休日状態から覚醒しつつある。ではどちらの空母キラーが艦艇を撃破するのか。
まず空母キラーということばだが、中国のロケットが米海軍の誇りを遠距離から狙い、アジア域内の同盟国を支援する米国の努力を無にするとの響きがある。またPLAからすれば艦船を外洋に派遣せずに世界の歴史を変えることができると聞こえる。ASBMの発射ボタンを押せばいい、というわけか。
そうだろうか。射程距離にこだわる必要はあるのか。DF-21Dで900マイルとされるが、これは空母搭載機材の戦闘半径を超える。空母任務部隊はアジアの戦域に到達する前に排除されてしまうのか。さらに射程距離の食い違いからもっと悪い効果が生じる。今年秋の北京軍事パレードではDF-21の射程は1,800マイルから2,500マイルとされた。
技術が進めばPLAの弾道ミサイルがアジアの第二列島線にある米海軍や同盟国艦船に脅威になる日も来るかもしれない。DF-26の最大射程が伸びればASBMは事実上どこでも艦船を狙えるようになる。
グアム東の海上艦艇を中国沿岸部から狙うのは大西洋で言えばグリーンランド東にいる敵艦をワシントンDC中心部から狙うのに等しい。グアムまで射程に入れば空母部隊に危険な状況となり、グアムのみならず日本他西太平洋各地がミサイル攻撃の影に怯えることとなる。
重要なのはPLAがDF-21Dを海上標的に向け一回も試射していない事実で、配備から5年経つが何ら変化がない。DF-26でも実戦を意識した試射がない。平時に完成していない技術だと有事には失望しか産まない。
中国の技術で本当に機能すればASBMは有益な装備となる。米軍からは中国のASBMへの対抗手段はないとの発言が出ている。米国は条約によりDF-21DやDF-26に匹敵する中距離弾道ミサイルの開発を自ら禁じてきた。条約を破棄しても艦船攻撃用の弾道ミサイルをゼロから開発、試験、配備するには数年間必要だ。
とはいえ、米海軍に策がないわけではない。では米海軍は敵空母に戦闘になればどう対処するのか。その答えは筆者が海軍大学校でいつも述べている答えと同じだ。つまり状況次第。
まず戦闘の場所で変わる。艦体対決が公海の真ん中で中国から遠隔地であればPLAは米空母を攻撃できない。ASBM、巡航ミサイルともに機能しない。沿岸部や沖合島しょ部から飛び立つ航空機でも対応できない。
だが前者は艦体同士の対決の場合だ。両軍が実際に投入する火力が結果を左右し、人員の技量、戦術行動等が同じと仮定する。PLA指揮官は陸上配備装備を活用するだろう。だが同時に米海軍も同盟国の海軍部隊と共同で作戦展開するはずで、近海では日本、韓国、オーストラリア部隊を頼りにできる。中国と同様に各国部隊も陸上配備装備の威力を存分に発揮するはずだ。
戦闘の場所が異なれば状況も全く違う。近海部では偶発要素に左右されがちで状況も流動的だ。
遠海、近海問わず潜水艦戦が米海軍戦略で共通要素となりそうだ。原子力攻撃潜水艦(SSNs)は公海で水上艦を標的にできるし、A2/AD防衛ラインをすり抜け敵艦を沿海部でも狙える。
ということはSSNsが米海軍の作戦の中心となる。このことからも米議会がSSN部隊規模を現在の53隻から2029年に41隻にまで縮小したのは大きな過ちと言える。中国が原子力、通常型合わせて増強し、2020年に78隻になるといわれる中で米側が23%も戦力縮小するのだから。ロシアも潜水艦部隊の再整備に入っている。
米潜水艦に空母キラーの役目が与えられる。中国の空母戦闘集団と戦うというと近未来の響きがある。PLA海軍が供用中の空母は一隻で、旧ソ連艦を遼寧と命名している艦のみだ。同艦は練習用として今後も残ると見られ作戦用に遼寧を改良した艦の乗組員養成に使われるはずだ。
中国がPLA向け空母2番艦を完成したと仮定する。純国産建造艦となり、USSフォレスタルとしてニューポート・ニューズ造船が建造したのと寸法や機能はほぼ同じ艦となる。フォレスタル建造はわずか3年で完了した。
さらにPLA海軍が空母任務部隊の海上運用方法をマスターしたと仮定する。中国艦隊に空母が加わり、公海上の艦隊対決が2020年以降に実現するとしよう。
その時点でも空母航空部隊が米海軍の空母キラーの中心となる。米CVNは85機を搭載できる。中国の次の空母の搭載機数予測はばらつくが、最大規模で固定翼機回転翼機合計50機と想定しよう。控えめに言っても米CVNの航空戦力は中国海軍より70%大きいことになる。
また機材の比較でも米側が中国より強力だ。次のPLA海軍空母も遼寧と同様にスキージャンプ式の発艦となるようだ。この方式では空母発艦する機体の重量に制約がつき、燃料や兵装の搭載量が犠牲になる。
米CVNsでは蒸気または電磁方式カタパルトで重量の大きな機体を発艦させる。搭載兵装が多いとそれだけ攻撃力があり、燃料を多く搭載でき飛行距離や滞空時間が伸びる。
F-18E/Fスーパーホーネットの例では戦闘半径は400カイリ程度だが中国のJ-15艦載機も同程度だ。だがここでも米航空部隊が数の上で中国を上回り、それだけ攻撃力も高くなり米海軍が有利だ。
さらに2020年には対艦兵器として有望な装備の技術が成熟化し、供用開始する。現状の対艦兵器の中心は旧式ハープーン巡航ミサイルで射程は60マイル程度だ。PLA海軍のYJ-18が290カイリとの公称でいかにも頼りない性能だ。
このため米海軍の射程延長に技術陣が努力している。ボーイングはハープーンの射程を倍増する。ペンタゴンの戦略性能整備室はSM-6対空ミサイルを対艦用途に転用することに成功し、水上艦の攻撃射程は二倍3倍に伸びる。この流れは今後も続く。海軍はトマホーク巡航ミサイルの転用のテストも行った。冷戦時の長距離攻撃能力が復活しつつあり、新型長距離対艦ミサイルの開発も進んでいる。
新型ミサイルの配備もさることながら運用方法が海軍に重要な要素だ。「分散威力」の名称で火力を艦隊の各艦に展開しつつ標的に火力を集中させるのが海軍の構想だ。このため武装をこれまでより幅広い艦船に搭載することになり対艦ミサイルも同様だし、今後は電磁レイルガンや艦載レーザーがここに加わるはずだ。
そうなると米海軍の空母キラーとは単一の兵装ではなくなる。潜水艦、航空戦力に加えて新たな対水上艦戦の戦力が実現する。問題は外洋での戦闘が対中戦で一番発生の可能性が低いシナリオになりそうなことだ。太平洋のど真ん中で何を巡って戦うのか。またPLA海軍を火力の後ろ盾のある海域から遥か離れた地点まで呼び出すことが可能だろうか。
できないだろう。PLAの接近阻止兵器の有効射程内で艦隊行動が展開する可能性のほうが高い。列島線から大陸に向けての海域こそ中国が最も注視する部分である。また海上航行の自由の擁護者たる米国がアジアの同盟各国の安全保障の上でも海洋国家として勢力を維持すべき海域でもある。米中対立が更に進めば沖合の空海で両国の武力衝突が起こってもおかしくない。
だが現実になれば面倒な事態となる。米軍がアジア大陸部分に接近すれば、それだけA2/AD防衛網に接近することになる。空母を狙うASBMsが西太平洋で開戦初日に発射されれば展開中の米艦船には大変な事態になる。沖合で防御にあたる小型哨戒艇やディーゼル潜水艦が巡航ミサイルを発射するだろう。
さらに沿岸部に展開する対艦兵器はASBMだけではなく巡航ミサイルやミサイルを搭載した航空機も一斉に海に向かい出撃するだろう。その標的には陸上航空基地やミサイル陣地も含まれる。つまり、A2/ADは米艦の各艦長に頭の痛い戦術作戦問題になる。
PLAの海軍艦艇は西太平洋なら相当の威力を発揮できるが、その他の太平洋やインド洋さらに遠隔地となると話は別だ。つまりPLA海軍は現代版の要塞艦隊であり、中国艦艇は陸上の防御陣地の有効範囲内で安全に待機できる。
要塞艦隊が外洋部に出て防御の傘から外れると悲惨な運命に見舞われる。本国近くなら陸上の火力支援を受け安全だ。中国はこれを理解しているのだ。
歴史上の前例を簡単に見てみよう。要塞艦隊構想には前身がある。海洋権力の思想家アルフレッド・セイヤー・マハンによる名称だがロシア海軍が要塞砲の射程内に指揮する艦隊を留めて優勢な敵に対応した事実がある。この場合の艦隊は要塞の前衛を務めたが火力に劣る艦隊は要塞砲を頼りにしていた。
旅順港のことで渤海への出入り口にあたり、さらに中国の首都へもつながる地点の話だ。ロシア戦隊は東郷平八郎提督が率いる日本帝国海軍の連合艦隊との対決で要塞砲の防御を盾に港内から出ようとしなかった。
旅順港戦隊は要塞砲の射程内にいれば安全だったが、何も達成できなかった。結局、1904年8月に旅順港戦隊は外洋で戦闘に応じ消滅し、日本は1905年5月、対馬海峡でロシアバルチック艦隊を待ち受けた。
結果は日本の大勝に終わったが、旅順港防備隊が日本艦艇へ向けた火砲が数マイルどころか数百マイルまで有効だったらどうなっていたか。マハンの要塞艦隊概念が戦域全体に拡大するだろう。要塞からの火力支援が長距離に渡り有効ならロシア戦隊は逆に勝者になっていたはずだ。
これは正確な類推ではない。中国要塞は飛行施設や移動式対艦兵器を備え数百マイル先の海上を標的にできる。そう、米海軍は外洋戦ではPLAより強力だ。艦隊間の対決が陸上からの応援が期待できない地点で発生すれば米国に有利に事態は展開するはずだ。しかし、戦闘が広い外洋ではなく、限られた海域で発生する可能性のほうが高いため、この想定は意味を持たない。
米海軍は広い海面での戦闘実施に最適化した戦力構造だが、その発生の可能性は少ない。実現可能性が遥かに高いシナリオでどちらが勝者となるのかは不明だ。マハン時代から相当の年数が経っているが、空母を狙う兵器により要塞艦隊は懸念事項になってきた。そしてそれこそが中国の狙いである。■

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College. This first appeared several years ago.

2015年9月4日金曜日

北京軍事パレード>対艦弾道ミサイルの拡充ぶりに西側海軍は要注意


どうも言っていることとやっていることが違う中国ですが、3日の「抗日戦勝」パレードは予想通り西側主要国が無視する形で強行しましたね。さっそく専門家はパレードに登場した装備の中で重要な点に気づいています。ここまでの分析は日本の報道では見られません。中国がゲームのルールを自分の都合の良い方向に変えようとする中で西側はどう対抗していくのかが問われますね。その中で日本では相変わらず現実に目を向けない議論が蔓延しているのは情けない話です。

China's Parade Puts US Navy on Notice


By Wendell Minnick1:18 p.m. EDT September 3, 2015
CHINA-WWII-PARADE(Photo: Greg Baker/AFP)
TAIPEI — 中国が支配を強める東シナ海、南シナ海双方において米海軍の接近を拒む軍事力整備が進んでいることが木曜日の軍事パレードで判明した。行事は日本帝国に対する戦勝70周年を祝うものだった。
  1. パレードでは展示装備の8割が初公開で、全て中国国産装備で実戦配備中との解説があった。ただし上空を飛行した戦闘機三型式は海外技術を不法にコピーしたものだ。 J-11B(スホイSu-27)、艦載用J-15(Su-33)およびJ-10(イスラエルのラヴィ)である。
  2. 軍事パレードで初公開された弾道ミサイルは第二砲兵隊所属の装備だ。プロジェクト2049研究所で中国製弾道ミサイルに詳しいマーク・ストークスはパレードの先頭には砲兵隊指揮官クラスの参謀総長、技術主任士官、副指揮官がいたという。「既存のミサイル基地六ケ所それぞれを新型ミサイルで表現していたようだ」
  3. 弾道ミサイルのラインアップには目を見張るものがあった。DF-5B大陸間弾道弾、DF-15B短距離弾道ミサイル(SRBM)、DF-16中距離弾道ミサイル、DF-21D対艦弾道ミサイル(ASBM)、DF-26中距離弾道ミサイル(ASBM機能付与)、DF-31AICBMが登場した。
  4. DF-5Bが中国初の核弾頭ICBMと言われ再突入体を複数有する。公式にはDF-5Bは核弾頭は3個あることになっているが、実際には5発といわれる。
  5. 今回のパレードは台湾海峡危機(1995年7月から1996年3月)からほぼ20年後に実施された。当時の中国はSRBMの発射演習で台湾初の民意による大統領選挙を妨害する意図があった。米国は空母部隊を展開し危機に備えた。中国が発射したのは10発のDF-15Aで台湾を取り囲むように着水している。一方で中国は米空母群に対して防御体制をとり、この教訓から将来の事態では米空母によるリスクを軽減する対策の開発に着手した。
  6. これがASBM開発につながり、DF-21Dが完成した。「空母キラー」の名前が着いた同ミサイルも今回のパレードで初登場しており、中国側解説者からはDF-26中距離弾道弾もASBMになるとの驚くべきコメントが出ている。
  7. 西側観測筋はDF-26に「グアム・キラー」のアダ名をつけているが、パレードでの案内で同時にASBMにもなると聞いてアナリスト陣が慌てる場面があった。.
  8. 「グアム・キラー」とはいかにも誤ったニックネームだと判明した。中国はこれまで長年に渡りグアムを「抹殺」できる弾道ミサイルを保有しているが、グアムを通常弾頭で攻撃できる弾道ミサイルは初デコのことは重要な意味があるとハンス・クリステンセン(アメリカ科学者連盟の核情報プロジェクト責任者)は言う。「核兵器を使わなくてもアンダーセン空軍基地を攻撃し使用不能にできるからです」
  9. 今回のパレードで判明した重大な可能性とは中国がASBMを一型式のみならず二種類誇示したことだと指摘するのはアンドリュー・エリクソン(ハーバード大二ジョン・キング・フェアバンク中国研究センター調査員)だ。
  10. 「もし本当なら、また中国の偵察能力なら長距離から標的への誘導ができるので、中国の作戦立案ではDF-21Dの二倍の距離で米空母群をくいとめることができるわけです」
  11. 「弾道ミサイルで艦船を長距離攻撃するのは技術的に困難な課題で各種センサー手段を中継する必要があり、監視手段は攻撃に弱いのです」(クリステンセン) ただしパレードでDF-26の発射機が26両あらわれており、同ミサイルはすでに実用段階に入っていると指摘する。
  12. そうなるとDF-26は第二世代の対アクセス兵器で第二列島線までを攻撃範囲に収める装備になるとリチャード・フィッシャー(国際戦略評価センター主任研究員は指摘する。「米国は第一世代対アクセス手段への対抗をやっとはじめたばかりで、第一列島線を対象にするDF-21Dしか想定してないからです」フィッシャーはDF-26のASBM機能は中国が「接近否定」に勝ちつつあることの現れだという。
  13. 中国はまた超音速対艦巡航ミサイルDF-10A(以前はCJ-10と呼称)および空中発射式YJ-12をパレードで展示した。エリクソンは、「DF-10だけでも台湾海峡は十分カバーできる」と述べる。
  14. 中国空軍はH-6K中距離爆撃機の改良型を飛行させている。同機はYJ-12対艦巡航ミサイルを搭載する。また宋、元、商の各級攻撃潜水艦に新型YJ-18超音速対艦ミサイルを搭載する案があるとフィッシャーは指摘。
  15. 中国が対艦巡航ミサイル・弾道ミサイルをパレードに出したのは有事には飽和攻撃で米海軍を圧倒する意図があることのあらわれとフィッシャーは言う。■

2014年1月29日水曜日

中国の極超音速ミサイル実験で冷静かつ真に理解すべきこと


U.S. Navy Sees Chinese HGV As Part Of Wider Threat

By Bradley Perrett, Bill Sweetman, Michael Fabey
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com January 27, 2014


中国が1月9日に実施したマッハ10の超音速誘導兵器実験は米海軍が将来の戦闘形態で予測した内容と一致している。中国がこの技術を実戦配備した場合、防衛網を突破し弾道弾としての有効距離が拡大するが、攻撃兵器への応用はまだ数年かかるとみられ、目標捕捉と誘導方法でまだ課題が残っているのが現実だ。
  1. 超音速滑空飛翔体hypersonic glide vehicle (HGV)のテストは中国が対艦弾道ミサイル anti-ship ballistic missile (ASBM) に一歩近づいた証と受け止められており、低速だが操作性が高い再突入体reentry vehicle (RV)が今回試されており、ASBMも第二世代に入る兆候かもしれない。.
  2. 今回のテストを見て米国は指向性エネルギー兵器体系の配備を急ぐ必要があると指摘するアナリストもいる。つまり迎撃ミサイルではマッハ5以上の標的に対応できないというのだ。米国は指向性エネルギー兵器を開発中だが実用化の日程は不明だ。.
  3. 中国のHGVはペンタゴンがWU-14の名称をつけており、大陸間弾道弾をブースターに使い打ち上げられた。宇宙空間から再度大気圏に戻り滑空しながらマッハ10を記録。テストはすべて中国領土内で実施されたと中国国防省は説明。1月19日にはもう一機が同じ発射場(山西省太原Taiyuan)から打ち上げられたとワシントンにある国際評価戦略センター International Assessment and Strategy Center のリチャード・フィッシャーが明かした。このうち1月9日のテストはビル・ゲッツがワシントンフリービーコン Washington Free Beacon で解説している。
  4. 中国が達成した内容は正しい理解が必要だ。米空軍はマッハ15のHGVマクダネル製ブーストグライド研究機を1966年から68年にかけて四回にわたり飛行させている。そのあと実用的な設計にしたマクダネルダグラスの高性能操縦可能再突入体 Advanced Maneuvering Reentry Vehicle (AMaRV) のテストを1979年から80年にかけて実施している。ただしこれは実用的な兵器には結びついていない。80年代の軍備管理やミサイル防衛に中心が移ったためだ。
  5. 通常のRVには姿勢制御機構がなく、予測可能な弾道軌道で大気圏に入ってくる。弾道ミサイルの弾頭は事実上1980年代までは敵なしの状態だったが、その後迎撃ミサイルを中心とした海上あるいは陸上配備のシステムが長距離を飛行する弾道ミサイルの弾頭を撃破する能力があることが証明されてきた。
  6. HGVでは姿勢引上げ操作を大気圏突入後に実施でき、目標まで比較的平坦な飛行が可能。そのため探知は弾道ミサイルの弾頭よりも遅れ、迎撃に残された時間が短くなる。HGVは空力学的に制御可能なので、それだけ迎撃が難しくなり、その間に目標へ近づく。滑空距離はミサイル固有の射程距離より長くなり、比較的脆弱な中間段階の飛翔は目標地点や防衛体制の整った地点より遠くでの発生する。
  7. 中国の対艦弾道ミサイルDF-21Dは実用段階にあり、ペンタゴンによるとHGV開発が一層射程の長く制御性の高い対艦兵器開発につながる可能性がある。しかし、中国製HGVの飛翔は一つの事象でもっと大きな傾向の一部とサミュエル・ロックリア大将 Adm. Samuel Locklear (米太平洋軍司令官)は指摘する。「極超音速テストは将来に意味を持ってくる要素のひとつ」という。
  8. 2014年の年次水上海軍兵力協会 Surface Navy Association のシンポジウムでロックリア大将は「たくさんの国家が極超音速をテスト中なので今回のテストだけが特別なわけではありません。また中国だからと言って問題になるわけではありません。ただシステムが拡散しています。中国とお友達になろうとしても別の国がやはり同じ難問をつきつけてくるかもしれません。それが現実です」
  9. 同大将がいわんとしていたのは米国はWU-14の開発を注視しているということだ。中国は「技術投入で急速な進歩」を遂げミサイルテストの段階まで進んだというのだ。「中国の開発工程はわれわれと違っており、進展が早い」
  10. 例としてDF-21Dの想像図とされるものがインターネット上で示されているがそのRVの形状はマーティン・マリエッタ製のパーシングIIミサイルに似ている。このミサイルは1983年に実戦配備され88年に撤去されている。中距離核戦力条約の結果だが、DF-21とペイロード、射程距離が類似している。陸軍のパーシングII用教練マニュアルがインターネット上に流出しているのが見つかっており、オープンソースの文献として大部分が公表されている。
  11. パーシングIIのRVは1,400-lb. で四枚の制御フィンがついており、マッハ8、25gで引き起こし制御が大気圏突入後に可能で 30-nm にわたり滑空し、搭載するレーダーシーカーで目標地点の画像をとらえる。誘導システムがレーダー画面と一致し、打ち上げ前に読み込んだテンプレートで高い精度を実現する。一度目標を捕捉すれば同ミサイルは最終段階の降下を開始する。
  12. だがWU-14のような高性能のRVやHGVでは熱環境がいっそう苛酷になるため与えられる性能も異なってくる。長距離を飛翔する兵器では高速に加え、飛翔段階が長くなるので熱荷重の蓄積が高くなる。70年代のマクダネルダグラス製AMaRVでは双円錐形とし後縁フラップで制御していた。このAMaRV構想が2000年代に米空軍が研究した共通空中飛翔体Common Aero Vehicle,という大陸間通常弾頭攻撃兵器として復活している。
  13. 2011年には米陸軍が高性能極超音速兵器Advanced Hypersonic Weapon の試作機を実証している。これはフィン制御の機体で大気圏内弾道で飛行する設計だった。この際には高温耐久セラミック複合材をサンディア国立研究所が開発したことで実現している。
  14. 大陸間弾道弾にはすべてHGVを搭載可能。中国のICBMはHGVを運べば米国の防衛網に対する抑止力を手に入れられる。しかし短距離で使用する可能性の方が高く、実現も最初だろう。「HGVの用途は対艦あるいは戦術目的であり、戦略攻撃手段として米国都市の攻撃は想定外だろう」とみるのはヘリテージ財団 Heritage Foundation のアナリスト、ディーン・チェン Dean Cheng だ。「HGVがあれば弾道ミサイルで機動t的な目標の攻撃が容易になる」
  15. 地上攻撃用としての利用も最初に考えられ、再突入技術と経路修正の複雑さを回避できる(フィッシャー)。中国ではHGVの軍事利用を二通り考えているようだという。ひとつはうわさが出ているDF-26で、これはDF-21中距離弾道ミサイルに制御可能なHGVを取り付けたものだ。「HGVがあればミサイルの実質的な射程を延長することが可能」(フィッシャー) もうひとつが90年代末に投入したDF-31ICBMの射程8,000キロメートルを12,000キロメートルに延長することだという。.
  16. フィッシャーによれば性能が実証済みの安価なミサイルを使い、HGV弾頭で射程を延長することに利点が多いという。WU-14のテストおよびそれがミサイル迎撃を困難にすることで米国には急いで指向性エネルギー防衛手段を開発する必要を迫られていると警告する。
  17. ただしそれもHGVの実用化がいつになるか次第だ。新アメリカ安全保障センター主催の会議席上で香田洋二元海将から中国海軍の原子力潜水艦が将来の脅威の中心となる可能性が示され、ASBMで「到着する米軍を迎え撃つ」可能性があるという。ただし同海将によれば中国のASBMが真の脅威になるには10年から15年かかる見込みだという。対艦HGVだともっと時間が必要だろう。.
  18. ただし水上艦艇をいくら制御可能なHGVとはいえ直撃するのは容易ではない。 まず目標を捕捉し、識別し、正確に位置を割り出し追跡する必要がある。データをセンサーから指揮命令システムに渡し、ミサイルにも与えて中間飛行中の修正に使う。ミサイルの誘導システムは目標が移動することから存在可能性のある海域が拡大する中で捕捉する必要が生じる。そこで誘導システムは妨害に耐えつつ水上艦艇を識別することが求められる。
  19. 米海軍作戦部長ジョナサン・グリーナート大将 Adm. Johnathan Greenert は昨年5月に重要な「イベントの連鎖」について言及しており、海軍がその時点でシステム開発を進行中あるいは完了していると発言している。その意味は中国のDF-21Dへの対抗手段である。冷戦時のソ連がミサイル搭載Tu-22を配備していた際の対応と同様に海軍が目指すのは初期段階で敵の探知識別能力を無効にすることである。ただしグリーナート大将自身はこの方法に疑念をもっていることを大会の席上で示した。海軍は「電磁気戦」 “electromagnetic maneuver warfare” に重点を移すべきとし、「レーダー、通信、WiFiを使う際はどんな痕跡が残るのかを知る必要がある。すべての電子機器を切り、沈黙を作る必要がある。だが実態はテストを行うと沈黙になっていないことが判明している」.
  20. 広大な海域の探知手段として有望なのが宇宙配備レーダーだが年々費用が下がっており、性能は上がっている。ここで中国とロシアの連携を示す兆候がある。ロシア宇宙機関NPO Mashinostroyeniyaが昨年6月にコンドルーE合成開口レーダー衛星を打ち上げており、未公表の顧客の発注に対応したことになっている。中国の無人機開発ではレーダー断面積の削減が進んでおり、Soar Dragon といった新型機が海洋監視用途に使用されるかもしれない。
  21. 大会前のブリーフィングにおいてロッキードでイージスを担当する役員ジム・シェリダンJim Sheridanに対して海軍から同社にイージスでDF-21D対応の可能性で打診があったのか尋ねる質問が出た。「なんらかの意見交換はありましたが、詳しくは話せません」
  22. 極超音速ミサイルが目標に命中した場合は運動エネルギーだけで損害を発生できるかが分析部門の関心事だ。これに対してオーストラリア戦略政策研究所 Australian Strategic Policy Institute  のアンドリュー・デイビス Andrew Davies は懐疑的で重量 500 kg の不活性RVがマッハ6で突入すると亜音速のボーイングAGM-84ハープーンの運動エネルギーと爆発エネルギーに相当すると計算結果を出している。また上記RVの発するエネルギーは冷戦時代にロシアの「空母キラー」Kh-22の想定規模の四分の一にすぎないという。Kh-22は重量 12,800-lb. でマッハ4で2,200-lb.級の弾頭を命中させようとする。ただし極秘研究が80年代にマクダネルダグラスにより行われており、それによるともっと小さい弾頭でも貫通用に全長を伸ばせば艦船に十分な損害を与えて作戦海域から撤退させることが可能だという。■