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2025年1月25日土曜日

海軍艦艇はミサイル再装填のため紅海の現場から数週間離れざるを得ない現状にこう対処する(The War Zone)―洋上補給の技術を復活させようという動きです


中国との戦争を想定して海上でミサイルを再装填するTransferrable Reload At-sea Method (TRAM)開発の原動力となった


PACIFIC OCEAN (Jan. 23, 2024) The Arleigh Burke-class guided-missile destroyer USS Spruance (DDG 111) fires an SM-2 missile during a live-fire exercise. Spruance, assigned to the Abraham Lincoln Carrier Strike Group, is currently underway in the U.S. 3rd Fleet area of operations conducting advanced tactical training that increases warfighting capability and tactical proficiency across all domains. (U.S. Navy photo by Ensign John Rosenberg)  

(U.S. Navy)


海軍の駆逐艦や巡洋艦は、イランが支援するフーシ派のミサイルやドローンとの戦闘が続く紅海を離れ、Mk41垂直発射システム(VLS)ミサイル・セルを再装填する必要があり、これが存在感の欠如と「現実的な課題」を引き起こしていると、カルロス・デル・トロ海軍長官は水曜日の水上海軍協会の年次会議で述べた。この課題は紅海での作戦だけでなく、特に広大な西太平洋での中国との将来的な戦争にも及ぶと長官は指摘した。

 そのため、洋上で軍艦にミサイルを再装填するTRAM(Transferrable Reload At-sea Method)の開発継続は、有事の際に大型水上戦闘艦を駐留させ続けるため不可欠である、とデル・トロ長官は本誌も出席した会議で述べた。海軍の指導層は、現在進行中の紅海での戦闘を、第二次世界大戦以来で最も持続的な戦闘行為であるとしている。

 「駆逐艦や巡洋艦、そして将来のフリゲートが再装填のため2週間も現場を空ける余裕はありません」とデル・トロは言う。「新技術で港内での再装填時間のために戦闘から撤退する必要はなくなり、前方プレゼンスを維持する能力を大幅に向上させる」。

 TRAMは数年前から開発が進められており、10月には南カリフォーニア沖を航行中のタイコンデロガ級巡洋艦USSチョーシン(CG-65)に米軍輸送司令部のドライ貨物船USNSワシントン・チェンバーズ(T-AKE11)が接舷し、空のVLS武器コンテナを巡洋艦に移し替える実証に成功している。


Sailors change out an empty Vertical Launching System (VLS) weapon container aboard the Ticonderoga class cruiser USS Chosin (CG-65) in October.

10月、タイコンデロガ級巡洋艦USSチョーシン(CG-65)で、垂直発射システム(VLS)の武器コンテナを交換した。(U.S. Navy)10月に行われたTRAM(Transferrable Reload At-sea Method)実験で、ドライカーゴ・弾薬艦USNSワシントン・チェンバーズ(T-AKE11)(手前)から巡洋艦USSチョーシン(CG-65)へケーブル伝いに移動するミサイルキャニスター。 (U.S. Navy) Eric Osborne


 艦の乗員はTRAMを使い、USSチョーシンのVLSモジュールに取り付けられたレールに沿ってミサイルキャニスターを移動させた。その後、キャニスターは傾けられ、TRAMのケーブルと滑車システムを介してVLSセルに降ろされた。

10月、TRAM(Transferrable Reload At-sea Method)の海上テストの一環として、空のミサイルキャニスターをケーブルでつないで巡洋艦USS Chosin(CG-65)に送る準備をする、ドライカーゴ・弾薬艦USNSワシントン・チェンバーズ(T-AKE11)の民間船員たち。. (U.S. Navy)


 油圧で作動するTRAMは、航行しながらの補給で使用することができる。この補給は、2隻の艦船が並行移動しながら、補給艦から艦艇に物資を運ぶ定期的ではあるが過酷な作業である。昨年秋のテストは、国会議員たちが大きな関心を寄せていたこともあり、大いに期待されていた。その前の7月には、サンディエゴ郊外にある海軍水上戦センター・ポートフエニメ部門で桟橋を使った試験が行われ、こちらも成功した。 デル・トロ長官は試験後、TRAMは2〜3年後には実戦配備される予定だと述べた。しかし、今週の彼のコメントは、西太平洋に分散したアメリカ艦隊による中国との海上戦争では海上での再装填能力が必要であるという事実を補強している。 

 そのような紛争では、日本国内の海軍基地は中国によって遮断される可能性が高く、米艦船はグアムや南シナ海や東シナ海からさらに離れた場所での再装備を余儀なくされるだろう。陸上の弾薬補給拠点も、敵の格好の標的になる可能性が高い。また、米海軍の駆逐艦や巡洋艦は、空のミサイルセルのまま海戦地帯を通過すれば、少なくとも部分的に無防備になる可能性がある。

 海上での再装填は、弾薬の再装填の輸送時間を短縮し、そのような艦船は、再装填が戦闘の中心からいくらか離れた場所で行われる可能性があるが、活動現場の比較的近くにとどまることができる。

 軍艦が再装填のため戦闘現場を離れなければならないなら、「相手はパンチを使わずとも我々の艦隊を弱体化させるだろう」と、海軍大学校のジェームズ・ホームズ教授(海洋戦略)は2017年、当時のジョン・リチャードソン海軍作戦部長がTRAMとなる取り組みを発表した後、ネイビー・タイムズに語っていた。「再装填のため巡洋艦や駆逐艦を後方に回さなければならない状態が続けば、相手は艦隊からそれだけの戦闘力を奪っていることになる」。


巡洋艦USSチョーシン(CG-65)の乗員は、10月に行われた初の海上デモンストレーションでTRAMを使い、前方のMK 41垂直発射システム(VLS)上に空のミサイルキャニスターを移動させた。(U.S. Navy)


 このような能力は冷戦終結以前には艦隊の一部であったが、ソ連が崩壊した後、廃れていった。1980年代、クレーンが再装填を支援するために巡洋艦に設置されたが、時間がかかり、危険な作業であったとアナリストはネイビー・タイムズに語った。

 海軍アナリストで "Combat Fleets of the World "の著者エリック・ワートハイムは、ネイビー・タイムズにこう語っている。「非常に困難で、現実的でなかったので、必要性が薄れると、廃れていった」。

 紅海で戦うアメリカの軍艦がどこに向かって弾薬を再装填しているのかはまだ不明であり、米海軍中央司令部関係者は木曜日、本誌に対して場所の確認を拒否した。再装填の可能性が高いのは、東地中海の戦略的な位置にあるギリシャのクレタ島にある、再装填機能を持つ海軍支援施設ソウダベイである。そのような航海は約1,900マイルを必要とし、艦艇はスエズ運河を経由し紅海から北に航行する必要がある。

 バーレーンの海軍基地へは、およそ2,500マイルの航海が必要で、紅海から南下しバブ・エル・マンデブ海峡を通り、ホルムズ海峡の戦略的要衝を通過しなければならない。ディエゴ・ガルシアも同じ距離で、インド洋の奥深くにある。紅海に近いパートナー国で軍需物資を調達している艦があるとしても、はるかに限定的な能力だろう。

 フーシ派は2023年10月以来、ミサイルや無人偵察機で、ほぼ毎日、船舶を攻撃している。しかし、同派はイスラエルとハマスの停戦が発効すれば攻撃を停止する意向を表明した。

 紅海での海軍の任務が終わるとしても、海上での再装填能力の必要性は証明されている。海軍は紅海紛争で、なぜこの能力が必要な理由を学ぶことができた。■


Navy Warships Have To Leave Red Sea Fight For Weeks To Reload Their Missiles

Such a reality, and its implications for a war with China, are driving the development of the Transferrable Reload At-sea Method used to reload missiles underway.

Geoff Ziezulewicz

https://www.twz.com/news-features/navy-warships-have-to-leave-the-red-sea-fight-for-weeks-to-reload-their-missiles-navy-secretary-says


2022年2月26日土曜日

ウクライナ現政権が崩壊した場合の物資補給経路を慎重に検討する米軍。あらためてポーランドの重要性が浮上。その他黒海経由ルートも。

 

BBC

 

 

務省報道官は先週、ウクライナへの米国の支援は「ロシアの追加的な侵略があった場合は加速されるだろう」と述べ、ウクライナ政府が崩壊しても「防衛的な安全保障支援は継続する」かは説明しなかった。

 

 

ロイド・オースティン米国防長官は、ロシアが侵攻を拡大しても、ジャベリン対戦車兵器などのウクライナへの支援を継続すると約束したが、国防当局高官によると、兵站に関する議論が進行中だという。

 

米国当局は、外交、経済制裁、そしてロシアがクリミアを併合し、同国東部で流血の分離主義運動を煽った2014年時点と比べウクライナ軍の訓練と武装が進んでいると警告することで、ロシアへの抑止効果を図ってきた。2014年以来、米国はウクライナ軍の能力を高めるために27億ドル以上の安全保障支援を約束しており、2021年だけで6億5千万ドル以上が含まれている。

 

国務省のネッド・プライスNed Price報道官は先週、そ米国の対ウクライナ援助は 「ロシアの追加的な侵略があった場合には加速される」と方法論を説明することなく、述べ、ウクライナ政府が崩壊したとしても、「防衛的安全保障援助は継続される 」と述べた。

 

軍事支援は航空機でウクライナに運ばれてきたが、ロシアがウクライナ領空を支配したり、飛行が危険となれば、機能しなくなるかもしれない。水曜日、国防省高官は、兵站方法は定まっていないと認めた。

 

「支援にはさまざまな方法があり、航空輸送が不可能な場合に備え、別の方法を探っている」と、この高官は匿名条件で記者団に語った。「どのような支援であれ、必要に応じた適切なものであり、安全かつ効果的に行えるものであることを確認したい。

 

「侵攻後のシナリオでどのような支援ができるかを検討中で、そのメカニズムについて最終的な決定はまだだ」と同高官は付け加えた。

 

オースティン長官とウクライナのドミトロ・クレバDmytro Kuleba外相は、火曜日にペンタゴンでの会談で、米国の支援継続を協議した。

 

「長官は、ウクライナ軍に致死的および非致死的な支援を提供する方法を今後も模索すると明らかにした」と同上高官は述べた。「これは、ある種の正式な協定を制定するものではないが、長官も大統領が約束したように、ウクライナに致死的および非致死的支援を提供する方法を引き続き検討すると約束した」と当局者は述べた。

 

2月10日、オクサナ・マルカロヴァOksana Markarova駐米ウクライナ大使と大使館付き武官ボリス・クレメネツキー少将Maj. Gen. Borys Kremenetskyiは、デラウェア州のドーバー空軍基地を視察した。作業員がジャベリン・ミサイルのパレットをウクライナ行き民間機に積み込んでいた。1月22日にはカリフォルニア州のトラヴィス空軍基地でも、同様の貨物が民間航空機に積み込まれた。

 

在米ウクライナ大使館は、2月10日にフェイスブックで、「ウクライナの揺るぎない支援とウクライナ軍の防衛能力強化に対して、米国に感謝の意を表します」と述べた。

 

ウクライナの国防相オレクシイ・レズニコフOleksii Reznikovは、外国から援助が発送されるたびにツイッターで歓声を上げた。2月11日に「現時点での米軍援助の総重量は、1,300トンを超えた!」とツイートした。

 

ポーランドからヘルメットやグレネードランチャー、ラトビアやカナダからスティンガー地対空ミサイルなどの弾薬が続々と届くいていると発表していた。

 

ウクライナへの航空路が利用できなくなる可能性があるため、ポーランド=ウクライナ国境が注目されている。米外交官は、キエフやウクライナ西部のリヴィウを離れたあと隠れ家としてポーランドを利用してきた。

 

米軍は、2014年以降、ドンバス地方での戦闘を追跡する米軍監視員の安全な場所として、ポーランドを利用しており、ポーランド経由で部隊や装備を移動させてきた。

 

ポーランド当局者はウクライナへの軍事支援について公に話し始めたばかりで、自国が西側兵器の重要な中継拠点になるとの見通しは、ある当局者が言うように、非常に「技術的」かつ「繊細」な問題と認識している。

 

元米国国防次官補(ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当)のエブリン・ファーカスEvelyn Farkasは、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国連にウクライナ上空の「飛行禁止区域」を承認してもらい、ロシアの空軍力を排除すべきだ、と述べている。そうしないと、西側からの援助は陸路依存となる。

 

「空路や海路ではなく、ポーランドを経由して陸路で来るというのが、私の推測です」とファーカスは言う。「しかし、ロシアがウクライナ上空を支配しているのであれば、それは明らかに問題です」。

 

2014年から2017年にかけて米陸軍欧州司令官を務めたベン・ホッジス退役中将 Lt. Gen. Ben Hodgesによれば、リヴィウが陸路または空路による武器輸送の拠点となる可能性があるという。短期的には、ロシアがウクライナ領空を支配したり、リヴィウ空港を破壊すれば重大なエスカレーションとは考えにくいとしても、ウクライナへの物資供給手段は他にもあるという。

 

「リヴィウまで輸送にあたる米軍部隊を現地駐留させたくなければ、契約企業車両でポーランドからリヴィウまで輸送すればよい」とホッジスは言う。「民間機でリヴィウに飛べばよい」。

 

黒海を補給路に使うには、隣接するトルコ海峡を支配するトルコ政府の了解が必要で、ロシアはその一部を実弾演習に使っている。しかし、黒海はドナウ川へのアクセスを提供し、ドナウ川にはウクライナの港が3つある。

 

ドナウ川については、「ある程度の能力はあるが、ロシアは破壊してくるだろう」とホッジスは述べている。■

 

 

 

Pentagon studying fallback supply lines to Ukraine in case of expanded Russian invasion

By Joe Gould, Sebastian Sprenger and Rachel S. Cohen

 Feb 24, 06:52 AM

 

About Joe Gould, Sebastian Sprenger and Rachel S. Cohen

Joe Gould is senior Pentagon reporter for Defense News, covering the intersection of national security policy, politics and the defense industry.

Sebastian Sprenger is Europe editor for Defense News, reporting on the state of the defense market in the region, and on U.S.-Europe cooperation and multinational investments in defense and global security. He previously served as managing editor for Defense News.

Rachel Cohen joined Air Force Times as senior reporter in March 2021. Her work has appeared in Air Force Magazine, Inside Defense, Inside Health Policy, the Frederick News-Post (Md.), the Washington Post, and others.