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2025年8月7日木曜日

米海軍の次期攻撃型潜水艦SSN(X):戦争でロシアや中国を「破る」可能性のある新型海軍攻撃型潜水艦(National Security Journal)

SSN 774 Virginia Class Submarine Artist Rendering from U.S. Navy.

SSN 774 ヴァージニア級潜水艦のアーティストレンダリング(米国海軍提供)

主要ポイントと要約 

米国海軍は、現在のヴァージニア級ブロックV攻撃型潜水艦から次世代のSSN(X)への移行を進めている。

 ブロックVは「未来への橋渡し」として進化した多目的プラットフォームだが、SSN(X)は同等国との将来の紛争で優位性を確保する革命的な新設計となる。

 SSN(X)は大型で高速で、「史上最も静かな潜水艦」となる見込み

 高度な搭載装備(超音速ミサイルなど)を装備し、無人システムの水中「母艦」として機能し、複数の潜水艦クラスの役割を統合した優れたプラットフォームとなる。

SSN(X)潜水艦は海軍の歴史を変える可能性を秘める

米国海軍は現在、潜水戦能力の重大な変革を進めており、高度な能力を持つヴァージニア級ブロックV潜水艦から次世代SSN(X)プログラムへの移行を進めている。両者はともに原子力推進攻撃潜水艦ですが、設計理念と特性が大きく異なる。ヴァージニア級ブロックVは数十年の経験の集大成であるのに対し、SSN(X)は潜水戦を再定義し革命化する目的で開発されている。

ヴァージニア級 vs SSN(X)級:違いは何か?

ヴァージニア級は冷戦後時代に、シーウルフ級よりもコスト効率が高く多目的性の高い代替案として開発された。その中でブロックV型は、継続的な進化を反映した最新かつ最も先進的なモデルです。以前のブロックから得た教訓を反映し、特にインド太平洋地域における新興脅威に対応するように適応している。設計は、多目的柔軟性、モジュール性、コスト効率を重視している。

戦略的には、ブロックVは老朽化したロサンゼルス級潜水艦の置き換えと、巡航ミサイル能力を強化したオハイオ級誘導ミサイル潜水艦(SSGN)の補完を目的とする。ブロックVの主要な特徴は、ミサイル搭載能力と全体的な火力を大幅に増加させるヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)です。

一方でSSN(X)は、次世代のアメリカ海軍の海底優位性を確保するための全く新しいプラットフォームとなる。シーウルフ級(速度とステルス性に優れる)、ヴァージニア級(多目的性に優れる)、およびコロンビア級(耐久性と生存性に優れる)のベストな特性を組み合わせる。SSN(X)は、同等勢力との戦闘準備、ステルス優位性、高度なセンサー統合に重点を置いて開発されている。中国やロシアのようなご核戦力を有する敵対勢力との戦闘を想定した過酷な環境下での運用を想定している。現在は初期開発段階だが、最初のSSN(X)は2040年ごろに調達される見込みだ。

設計と武装

ヴァージニア級ブロックVは全長約460フィート、潜水時排水量約10,200トンです。S9G原子力反応炉で駆動され、ポンプジェット推進装置を採用し静音性を高めている。

最高速度は25ノット超で、航続距離は糧食とメンテナンスの要件にのみ制限されます。SSN(X)はヴァージニア級と同規模またはやや大型で、推定排水量は11,000~12,000トンとされる。

次世代型原子炉を採用し、ハイブリッドまたは電気推進システムを搭載する可能性があり、これにより音響シグネチャをさらに低減する。速度は30ノット超と予想され、メンテナンス間隔が延長されるため、運用可用性が向上する。

武装面では、ヴァージニア級ブロックVは充実した装備を備えています。21インチ魚雷発射管4基を搭載し、Mk-48魚雷を発射可能です。さらに、各6発のトマホーク巡航ミサイルを搭載可能なヴァージニア・ペイロード・チューブ(VPT)を2基、各7発のトマホークを搭載可能なVPMを4基備え、総ミサイル搭載能力は40発に達する。魚雷と合わせ、ブロックVは最大65発の武器を搭載可能です。SSN(X)は現在概念段階だが、この構成を維持または拡張すると予想される。垂直発射システムとモジュール式ペイロードベイを搭載し、極超音速ミサイル、無人水中車両(UUV)、さらに指向性エナジー兵器や電磁兵器を含む多様な先進兵器を配備可能となる見込みだ。総ペイロード容量は70発を超える予測で、より高い柔軟性と破壊力を備える。

技術的性能

センサーとステルス性能は、SSN(X)がヴァージニア級を凌駕するもう一つの分野だ。ブロックVは、大型開口部船首ソナーアレイ、側面アレイ、牽引アレイを装備し、包括的な音響カバー範囲を提供する。また、潜望鏡に代わる高解像度カメラを搭載したフォトニクスマストを採用している。ステルス性能は、先進的な無響コーティングと消音技術で強化される。

SSN(X)は、史上最も静かな潜水艦となる。次世代のコンフォーマルソナーアレイ、AI支援型信号処理、強化された受動探知システムを採用する。船体設計、コーティング、推進システムは超静音運転向けに最適化されます。さらに、サイバー耐性システムと電子戦能力を備え、争奪環境や電子的に遮断された環境でも効果的に運用可能だ。

ミッションの柔軟性において、ヴァージニア級ブロックVは高い能力を有する。特殊作戦部隊(SOF)を支援するロックアウトチャンバーとドライデッキシェルターを備え、UUVの展開能力も拡大する。

また、沿岸部や近海環境での作戦を想定した設計となる。SSN(X)はこれらの能力をさらに強化し、SOF支援を強化するため、専用UUVベイ、多目的モジュール、水中ドッキング能力を装備する。複数の自律システムを同時に展開・制御する能力を備え、分散型水中作戦の母艦として機能する。深海戦に最適化されていますが、必要に応じ沿岸域での運用適応性も維持される。

コストと産業基盤の考慮点

コストと産業基盤の考慮点は重大です。ヴァージニア級ブロックVの単価は約43億ドルで、ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートとハンティンン・インガルス・インダストリーズのニューポート・ニューズ・シップビルディングで建造中です。

SSN(X)は、高度な能力と新設計のため、単価は67億から80億ドルと推定されている。同じ造船所で建造されますが、研究開発チームと施設が拡大される。コストは高いものの、SSN(X)はヴァージニア級とシーウルフ級の両方を置き換え、その役割を単一のより高度なプラットフォームに統合する。

ヴァージニア級ブロックVは未来への橋渡し役を果たす。SSN(X)の開発が進む間、強化された火力と柔軟性を提供する。また、AUKUS協定のような国際連携で重要な役割を果たす。同協定に基づき、米国はオーストラリアにヴァージニア級潜水艦を輸出する。一方、SSN(X)は同等国との将来の紛争を念頭に設計されている。ステルス性、速度、先進システムを活かし、過酷な環境下での海底優位性を維持する能力を備える。さらに、無人システムやネットワーク戦の中核として機能し、戦力倍増効果を発揮する役割も担う。■



Military Hardware: Tanks, Bombers, Submarines and More

SSN(X): The New Navy Attack Submarine That Could ‘Break’ Russia or China in a War

Isaac Seitz

By

Isaac Seitz

https://nationalsecurityjournal.org/ssnx-the-new-navy-attack-submarine-that-could-break-russia-or-china-in-a-war/

著者について:

アイザック・ザイツは、国防コラムニストで、パトリック・ヘンリー大学の戦略情報と国家安全保障プログラムを卒業しました。ミドルベリー言語学校でロシア語を学び、民間企業で情報分析官として勤務した経験があります。

 

2024年10月22日火曜日

SSN(X):米海軍の次世代潜水艦はゾンビの国にいる (National Security Journal)―米海軍の建造プロジェクトはことごとく遅延、コスト上昇にありますが、何が問題なのでしょう

 SOUDA BAY, Greece (Sept. 7, 2019) The Ohio-class cruise missile submarine USS Florida (SSGN 728) arrives in Souda Bay, Greece, for a scheduled port visit, Sept. 7, 2019. NSA Souda Bay is an operational ashore base that enables U.S., allied, and partner nation forces to be where they are needed and when they are needed to ensure security and stability in Europe, Africa, and Southwest Asia. (Photo by Joel Diller/Released)



オハイオ級巡航ミサイル潜水艦USSフロリダ(SSGN728)は2019年9月7日、予定されていた寄港のためギリシャのソウダ湾に到着した。 NSAソウダ湾は、欧州、アフリカ、南西アジアにおける安全保障と安定を確保するため、米軍、同盟国軍、パートナー国軍が必要な時に必要な場所に駐留できる作戦基地だ。 (Photo by Joel Diller/Released) 


海軍は、既存の主要エンドアイテムの近代化について大きな計画を持っている。海事部門は、次世代駆逐艦DDG(X)と次世代戦闘機F/A-XXに興奮している。だがヴァージニア級に代わる次世代潜水艦SSN(X)に遅れが出ている。▼SSN(X)は2040年代初頭まで実現しないかもしれず、20年後の米軍がどうなっているか、誰にもわからない。 

では、新型潜水艦はどうなるのだろうか? 予算の逼迫の犠牲になるのだろうか? 2040年代まで必要な資金を確保できるのか? 問題は、SSN(X)が25年度の国防予算で十分な研究開発費を受け取れていないことだ。 

実験的なサブプログラムは、造船所でのフルタイムの作業を2031年まで開始しない可能性が高い。その時、アメリカは火星でより大きな無人探査を行っているかもしれない。これから7年の間に、海軍に関係ない未来的な偉業が起こり得ることをお見せしたい。

SSN(X)はまだかなりの金額を受け取っている 海軍はFY25のSSN(X)設計作業に5億8690万ドルを要求しており、FY24の要求額5億4470万ドルから増加している。 

つまり、このプロジェクトを軌道に乗せるために5億ドル以上が必要ということだ。 

すでにフォード級空母に法外な資金を投入し、かなりの費用がかかる既存のフラットトップを維持している海軍にとっては、高額な研究開発費である。 

気まぐれな議会の犠牲者? これらの次世代プログラムへの資金は、今後数年で打撃を受けるかもしれない。 

建造に20年かかる潜水艦のために財布の紐を開くよう議会を説得するのは容易ではない。 

今年は選挙の年であり、議員たちは防衛産業基盤における現在の製造業の雇用を守ろうとしているのであって、存在しない新規雇用の数を予測しようとしているわけではない。 

SSN(X)は次世代攻撃型潜水艦として知られている。 「X」は設計が未定であることを意味する。 SSN(X)のSwift and Silent 米国議会調査局はSSN(X)について以下のように説明している:SSN(X)は、より高速で、水平方向(すなわち魚雷投射室)の搭載能力を高め、音響的優位性と非音響的シグネチャを改善し、より高い運用可能性を提供する。 SSN(X)は全領域の海中戦を行い、より多くの船体外車両、センサー、友軍と連携できるようになる」。 シールズをお忘れなく......まあ、かなり漠然としているが、未来の艦船や潜水艦について説明するときの常套手段だ。  筆者は、SSN(X)の設計者が2040年にシールズを戦場に送り出す最適な方法を開発するのを見たい。なぜなら、海軍特殊工作員は将来の紛争において海軍戦術全般で常に大きな役割を果たすからだ。 

他の潜水艦プログラムからベストを取る 米国議会調査局はまた、最新の報告書の中で、海軍は「SSN(X)が、海軍の高速かつ重武装のシーウルフ(SSN-21)級SSN設計の速度と積載量、ヴァージニア級設計の音響静粛性とセンサー、コロンビア級設計の運用可能性と耐用年数を取り入れることを望んでいる」と述べている。 

ヴァージニア級攻撃型潜水艦USSヴァージニアは、6週間の航海に出発する。この航海の間、ヴァージニア級潜水艦は、ダメージ・コントロールによる死傷者との戦闘能力とともに、原子炉を評価するため、運用原子炉保護検査と戦術即応性評価を受ける。 

海中戦は優先されるべきだ 2040年代までに既存の設計を大幅に改善してはどうだろう? 海軍は将来の脅威環境に対応するため、海中戦の重要性が増すだろう。紛争はインド太平洋、中東、大西洋、そして北極圏でも起こりうる。 このようなシナリオは冷戦時代以来見たことがない。海軍は、潜水艦艦隊が今後数十年間も適切な存在であり続けるために、時間、資金、資源を投入しなければならないだろう。 

SSN(X)はどうなる? ゾンビ状態へようこそ トマホークに代わる核弾頭を搭載した新しいスタンドオフ巡航ミサイルや、SSN(X)が潜水艦発射の極超音速兵器を配備するのもいいだろう。 ミサイルは、SSN(X)の設計、研究、開発努力とともに進歩しなければならない。結局のところ、SSN(X)プログラムは、ホワイトハウスと議会が定めた資金と優先順位、そして国家安全保障戦略(NSS)のような様々な将来の戦争文書で潜水艦がどのように使われるかによって、初めて良いものになる。ドナルド・トランプやカマラ・ハリスの下で新たなNSSが策定され、海軍は次世代近代化プログラムに資金が供給され、優先順位が付けられることを望んでいる。 

しかし、もちろん確実なことは何もない。 少なくとも今のところ、SSN(X)はゾンビ潜水艦プロジェクトのように見える。 それが問題なのだ。 ■


著者について ブレント・M・イーストウッド博士(Brent M. Eastwood, PhD)は、『Don't Turn Your Back On the World: A Conservative Foreign Policy(世界に背を向けるな:保守的外交政策)』、『Humans, Machines, and Data(人間、機械、データ)』の著者である: Human, Machines, and Data: Future Trends in Warfare』のほか、2冊の著書がある。 人工知能を使って世界の出来事を予測するハイテク企業の創業者兼CEO。 ティム・スコット上院議員の立法フェローを務め、国防と外交政策について同議員に助言。 アメリカン大学、ジョージ・ワシントン大学、ジョージ・メイソン大学で教鞭をとる。元米陸軍歩兵将校。 政治学と外交政策/国際関係で博士号を取得。


SSN(X): The U.S. Navy’s Next Generation Submarine Is in Zombie Land

By

Brent M. Eastwood

https://nationalsecurityjournal.org/ssnx-the-u-s-navys-next-generation-submarine-is-in-zombie-land/


2023年11月15日水曜日

次世代原子力潜水艦のデザイン。コロンビア級SSBN、ヴァージニア級SSNでそれぞれ後継艦の仕様を検討中の米海軍だが、産業基盤の足腰の強化も必要だ

 米潜水艦の建造整備能力の低迷ぶりは過日お伝えしましたが、建造中のコロンビア級の次の大型艦に加え、ヴァージニア級の後継艦の構想も出てきました。潜水艦戦力が重視されているわけですが、産業基盤の強化も待ったなしですね。USNI Newsの記事からです。

Ohio-class guided missile submarine USS Michigan (SSGN-727) heads out to sea in 2012. US Navy Photo


抑止力のため新型核弾道ミサイル潜水艦12隻を引き渡した後も、米海軍は大直径船体の潜水艦を生産し続ける可能性があると、海軍水中戦責任者(N97)が水曜日に述べた。

 マーク・ベーニング海軍少将Rear Adm. Mark Behningは、核弾道ミサイルの海上パトロールでの米戦略軍の要求を満たすため、海軍はコロンビア級SSBNを12隻建造する必要があると述べた。

 「コロンビア級は、当初、現行オハイオ級14隻を12隻に置き換える想定されていた。中期の核燃料注入オーバーホールを省略することで、それが可能になる」と、海軍潜水艦連盟2023年次シンポジウムでのプレゼンテーションで語った。

 USSルイジアナ(SSBN-783)の後継となるSSBN-838が2040年代予定のコロンビア級最後の引渡しとなるが、海軍はその後も各種任務のために大口径潜水艦を建造し続けたいと考えている。

 海軍の長期造船計画では、2049年に最初の大型潜水艦の引き渡しを受ける予定だが、その要件はまだ決まっていない。海軍は、1860億ドルのコロンビア計画以降、大型潜水艦の建造が一服するのを避けようとしており、1990年代後半のオハイオ級建造の終了後に経験したような労働力の散逸を回避したいとしている。コロンビア級後の将来の潜水艦の船体間隔については、まだ決定していない。

 「しかし、(ラインを)オープンにしておく」とベーニングは言った。


オハイオ級の供用期間延長


USSペンシルバニア(SSBN 735)は5月11日、ピュージェット・サウンド海軍造船所・中間整備施設に拡張改装期間として入渠した。米海軍写真

 また、コロンビア級が遅延した場合に安全マージンを提供するため、オハイオ級SSBN最大5隻の寿命延長を計画している。

 コロンビア級では水曜日時点で、1番艦District of Columbia(SSBN-826)は40%完成している。今後数週間で、HIIのニューポート・ニューズ造船は、船尾部分をヴァージニア州の造船所からコネチカット州のジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートへ移動させる。ニューポート・ニューズはコロンビア級の艦首と艦尾を建造し、EBが残りの艦体を建造する。

 現在、コロンビア級建造はスケジュール通りに進んでいるが、海軍はオハイオ級潜水艦をコロンビア級と1隻ずつ入れ替える必要があるため、余裕はほとんどない。

 海軍はオハイオ級で5隻について、耐用年数の延長を計画している。整備期間はそれぞれ18ヶ月で、耐用年数は3年延長される。

 USSアラスカ(SSBN-732)を皮切りにオハイオ級5隻の耐用年数延長は、2025会計年度予算と15年間の潜水艦メンテナンス計画双方に含まれていると、戦略潜水艦のプログラム執行官スコット・パッパーノ少将Rear Adm. Scott Pappanoが記者団に火曜日語った。

 パッパーノ少将は、国防総省の5年間の予算見通しについて、「多くは、現在(将来防衛計画)の外にある」と述べた。

「アラスカ以外の艦については流動的なので、憶測で述べたくはない。海軍は2029年度までにアラスカを延長するかどうかを決めなければならない」とパッパーノは言った。

 米戦略軍は、核有事の際に弾道ミサイル潜水艦10隻を増強できるよう、潜水艦部隊に要求している。現在のSSBNの在庫は14隻だが、オハイオ級で耐用年数延長がなければ、最新の長期造船設計図によれば、その数は2027年度には13隻、2029年度には12隻に減少する。さらに2030年度から2032年度にかけて11隻に減少する。

 数隻のオハイオの船体の寿命を延ばすことは、海軍に10隻の潜水艦の急増の要求を満たすためのバッファーを与えることになる、とパッパーノは述べた。


SSN(X)


氷上演習(ICEX)2018に参加し、氷の中を浮上するシーウルフ級高速攻撃型潜水艦USSコネチカット(SSN22)。米海軍撮影。


次世代攻撃型潜水艦について、海軍は来年にも重武装攻撃型潜水艦の最終的な代替案分析AoAを終えるとベーニングは述べた。

 SSN(X)のAoAは2024会計年度に最終決定され、2030年の着工、2042年に初号艦の引き渡しが予想される。

 「我々は、初期能力文書の完成に近づいており、計画通りである。それは海軍をクリアし、24年に能力代替案の分析を開始することを意図して、統合参謀本部を介して動作している」とベーニングは述べた。

 海軍はSSN(X)を、現在のヴァージニア級よりも大きく、速く、重武装の攻撃型潜水艦として設計する。シーウルフ級攻撃型潜水艦に近い特性になるとUSNIニュースは以前報じた。

 要求プロセスでは、海軍がこのプログラムをどの程度手頃な価格で実現できるかということと、能力のバランスに磨きをかけることになる。

 CBOの最新造船計画の分析によると、海軍は攻撃型潜水艦の単価を67億ドルから70億ドルと見積もっているが、議会予算委員会は最大10億ドル上乗せする可能性があると見積もっている。■


Navy Mulling Large Diameter Sub Hulls After 12 Columbias, SSN(X) Requirements Due Next Year - USNI News


By: Sam LaGrone and Mallory Shelbourne

November 8, 2023 6:53 PM • Updated: November 9, 2023 8:58 PM


2021年9月15日水曜日

(再出)西太平洋第一列島線で大型原子力潜水艦の代わりに小型ディーゼル艦を多数建造すべきか。ヴァージニア級の延長戦のフルスペック原子力潜水艦構想に一石を投じる

 







米海軍はフルスペックの大型艦を次期攻撃型潜水艦として想定しているようだが....

 

 

海軍はヴァージニア級の後継となる攻撃型潜水艦の企画を開始した。

 

SSN(X)の呼称で2030年代初頭の建造開始を想定し、既存艦の延長ではなく画期的な新型艦とすべきとジェイムズ・ホームズ(米海軍大学校教授)が解説している。

 

新型艦は小型になる可能性がある。無人潜航艇と共同作戦を展開する可能性もある。原子力推進にならない可能性もある。米海軍がディーゼル電気推進型艦を導入するとこれまでにない戦略戦術の可能性が開く。

 

ホームズは「超長距離精密攻撃手段、無人航空・水上・水中装備の登場で海軍力に大きな変革が進みつつある。さらに地上部隊が対艦攻撃能力を獲得したことも変化の要因だ。潜水艦戦も革命的な変貌から例外ではない」

 

 

米海軍は現在65隻の潜水艦を保有する。すべて原子力推進だ。うち14隻のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦「ブーマーズ」は新鋭コロンビア級12隻に交代する。

 

オハイオ級では最古参4隻が巡航ミサイル潜水艦に改装されており、2030年代以降に「大ペイロード潜水艦」と交代する。

 

その他には1980年代建造のロサンジェルス級下攻撃型潜水艦35隻、1990年代のシーウルフ級攻撃型潜水艦3隻、ヴァージニア級攻撃型潜水艦13隻がある。2017年時点で米海軍はヴァージニア級の設計変更をしたうえで2040年代末まで同級の建造を続けるとしていた。

 

だが2019年版の米海軍30年建艦計画ではこれが修正されており、ヴァージニア級の改良ではなく完全新型艦SSN(X)を建造するとある。新型艦の就役開始を2034年とし、シーウルフ級、初期ヴァージニア級と交代する。その時点でロサンジェルス級は全艦退役している。

 

SSN(X)はヴァージニア級(8,000トン)より大型になると言われ、9,000トンのシーウルフに近い艦容とされる。「海軍は次世代攻撃型潜水艦を高速、ステルスに優れ、ヴァージニア級を上回る魚雷本数を搭載すると説明している」と議会予算局資料(2018年10月)にある。

 

だが、これはまずい考え方だとホームズは指摘する。「今ちゃんと動いているものを改良するほうがよい。ヴァージニア級、シーウルフ級はともに攻撃型潜水艦として性能は実証ずみだ。そのためSSN(X)は現行艦の改良型になる。だが新型艦は米国の海洋戦略に適合すべきであり、特に作戦環境に最適化すべきだ」とし、以下述べている。

 

 SSN(X) は海軍がこれからの戦場と位置付ける「限界海域」marginal seasでの作戦を想定する。つまり、ユーラシア大陸外縁部であり、新型潜水艦はこうした海域での作戦遂行を求められる。

 

米軍事戦略として第一列島線で「チェーンの締め上げ」つまり中国の動きを抑止し、圧力を加える事態を想定しよう。米国・同盟国所属の潜水艦部隊がこの戦略の先鋒となる。中国の水上艦潜水艦の航行を阻止する手段として、魚雷、ミサイルを搭載した潜水艦が列島線を遊弋する潜水艦以上の選択肢はない。

 

そうなると潜水艦の設計では任務で必要となる機能を問い直す必要がある。不必要な性能はこの際無視すべきだ。

 

列島線海域で運用する潜水艦は小型でよい。ヴァージニア級は大きすぎる。シーウルフは論外だ。あるいはディーゼル電気推進式でもよい。または原子力推進でもコストを下げる必要がある。日本あるいはフィリピンに配備する潜水艦は常時潜航する必要はない。短期間で基地に戻れる。

 

新方式の推進力を既存艦に搭載する国もある。発注元の意図があれば米国内建造所もその実現を図るのは間違いないだろう。米潜水艦部隊が全隻原子力推進でいいのかを真剣に問うべき時期に来ている。

 

小型通常型推進方式の潜水艦を導入すれば副次効果が期待できる。大型原子力推進艦より建造費が低くなることだ。

 

ヴァージニア級建造は年二隻のペースで進められ、攻撃型潜水艦の減少を食い止めようとしている。2016年12月に海軍は攻撃型潜水艦66隻が必要と試算していた。だが攻撃型潜水艦部隊はこのままでは2028年に42隻に減少する。

 

「減少分を補う新型艦の建造が間に合わない」と米海軍作戦副部長だったビル・メッツ中将は上院でこう発言していた。

 

米海軍が小型艦による戦術構想を完成させ、利点を活用できれば、戦力が縮小しても水中戦で優位性を維持する道が開ける。ディーゼル電気推進方式艦の建造費は原子力艦よりはるかに安価ながら短期間で多数の建造が可能となる。

 

新型小型艦部隊が水中ロボット装備とともに展開すれば中国の西太平洋での野望を食い止める有望な手段となろう。

 

ホームズは「SSN(X)をそのまま今後も活用する見込みは暗い。では水中戦の主力を現行の潜水艦のままとするのか、新しい状況に合わせた新規の水中部隊を編成するのかが問われる。SSNsが無人装備と連携運用されれば、単独で行動する現在の運用効果と全く違う結果が期待されよう」と述べている。■

 

 

Smaller Submarines Might be the Answer the the Navy's Problems

by David Axe 

September 14, 2021  Topic: Submarines  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. NavyMilitaryTechnologyNavySubmarines

 

                Image: Flikr.

西太平洋第一列島線で大型原子力潜水艦の代わりに小型ディーゼル艦を多数建造すべきか。ヴァージニア級の延長戦のフルスペック原子力潜水艦構想に一石を投じる


米海軍はフルスペックの大型艦を次期攻撃型潜水艦として想定しているようだが....

 

 

海軍はヴァージニア級の後継となる攻撃型潜水艦の企画を開始した。

 

SSN(X)の呼称で2030年代初頭の建造開始を想定し、既存艦の延長ではなく画期的な新型艦とすべきとジェイムズ・ホームズ(米海軍大学校教授)が解説している。

 

新型艦は小型になる可能性がある。無人潜航艇と共同作戦を展開する可能性もある。原子力推進にならない可能性もある。米海軍がディーゼル電気推進型艦を導入するとこれまでにない戦略戦術の可能性が開く。

 

ホームズは「超長距離精密攻撃手段、無人航空・水上・水中装備の登場で海軍力に大きな変革が進みつつある。さらに地上部隊が対艦攻撃能力を獲得したことも変化の要因だ。潜水艦戦も革命的な変貌から例外ではない」

 


 

米海軍は現在65隻の潜水艦を保有する。すべて原子力推進だ。うち14隻のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦「ブーマーズ」は新鋭コロンビア級12隻に交代する。

 

オハイオ級では最古参4隻が巡航ミサイル潜水艦に改装されており、2030年代以降に「大ペイロード潜水艦」と交代する。

 

その他には1980年代建造のロサンジェルス級下攻撃型潜水艦35隻、1990年代のシーウルフ級攻撃型潜水艦3隻、ヴァージニア級攻撃型潜水艦13隻がある。2017年時点で米海軍はヴァージニア級の設計変更をしたうえで2040年代末まで同級の建造を続けるとしていた。

 

だが2019年版の米海軍30年建艦計画ではこれが修正されており、ヴァージニア級の改良ではなく完全新型艦SSN(X)を建造するとある。新型艦の就役開始を2034年とし、シーウルフ級、初期ヴァージニア級と交代する。その時点でロサンジェルス級は全艦退役している。

 

SSN(X)はヴァージニア級(8,000トン)より大型になると言われ、9,000トンのシーウルフに近い艦容とされる。「海軍は次世代攻撃型潜水艦を高速、ステルスに優れ、ヴァージニア級を上回る魚雷本数を搭載すると説明している」と議会予算局資料(2018年10月)にある。

 

だが、これはまずい考え方だとホームズは指摘する。「今ちゃんと動いているものを改良するほうがよい。ヴァージニア級、シーウルフ級はともに攻撃型潜水艦として性能は実証ずみだ。そのためSSN(X)は現行艦の改良型になる。だが新型艦は米国の海洋戦略に適合すべきであり、特に作戦環境に最適化すべきだ」とし、以下述べている。

 

 SSN(X) は海軍がこれからの戦場と位置付ける「限界海域」marginal seasでの作戦を想定する。つまり、ユーラシア大陸外縁部であり、新型潜水艦はこうした海域での作戦遂行を求められる。

 

米軍事戦略として第一列島線で「チェーンの締め上げ」つまり中国の動きを抑止し、圧力を加える事態を想定しよう。米国・同盟国所属の潜水艦部隊がこの戦略の先鋒となる。中国の水上艦潜水艦の航行を阻止する手段として、魚雷、ミサイルを搭載した潜水艦が列島線を遊弋する潜水艦以上の選択肢はない。

 

そうなると潜水艦の設計では任務で必要となる機能を問い直す必要がある。不必要な性能はこの際無視すべきだ。

 

列島線海域で運用する潜水艦は小型でよい。ヴァージニア級は大きすぎる。シーウルフは論外だ。あるいはディーゼル電気推進式でもよい。または原子力推進でもコストを下げる必要がある。日本あるいはフィリピンに配備する潜水艦は常時潜航する必要はない。短期間で基地に戻れる。

 

新方式の推進力を既存艦に搭載する国もある。発注元の意図があれば米国内建造所もその実現を図るのは間違いないだろう。米潜水艦部隊が全隻原子力推進でいいのかを真剣に問うべき時期に来ている。

 

小型通常型推進方式の潜水艦を導入すれば副次効果が期待できる。大型原子力推進艦より建造費が低くなることだ。

 

ヴァージニア級建造は年二隻のペースで進められ、攻撃型潜水艦の減少を食い止めようとしている。2016年12月に海軍は攻撃型潜水艦66隻が必要と試算していた。だが攻撃型潜水艦部隊はこのままでは2028年に42隻に減少する。

 

「減少分を補う新型艦の建造が間に合わない」と米海軍作戦副部長だったビル・メッツ中将は上院でこう発言していた。

 

米海軍が小型艦による戦術構想を完成させ、利点を活用できれば、戦力が縮小しても水中戦で優位性を維持する道が開ける。ディーゼル電気推進方式艦の建造費は原子力艦よりはるかに安価ながら短期間で多数の建造が可能となる。

 

新型小型艦部隊が水中ロボット装備とともに展開すれば中国の西太平洋での野望を食い止める有望な手段となろう。

 

ホームズは「SSN(X)をそのまま今後も活用する見込みは暗い。では水中戦の主力を現行の潜水艦のままとするのか、新しい状況に合わせた新規の水中部隊を編成するのかが問われる。SSNsが無人装備と連携運用されれば、単独で行動する現在の運用効果と全く違う結果が期待されよう」と述べている。■

 

 

Smaller Submarines Might be the Answer the the Navy's Problems

by David Axe 

September 14, 2021  Topic: Submarines  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. NavyMilitaryTechnologyNavySubmarines