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2025年5月31日土曜日

ロシアの新衛星コスモスが米国衛星付近を周回中、ASATの恐怖を煽る(Breaking Defense) — 宇宙空間に兵器を配置しないという国際取り決めなど簡単に無視するのがロシアの考え方なのですね

 


独立系天文学者マルコ・ラングブルックは軌道パターンから新しい衛星がロシアの "スリーピング・インターセプター"に加わっていると指摘している


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2025年5月23日に打ち上げられたロシアの新衛星コスモス2588は、NROのUSA338と思われるアメリカ政府の衛星を追尾している。 (画像:Marco Langbroek/SatCamTrack Leiden)

宇宙軍によると、ロシアの低軌道(LEO)コスモスシリーズの最新衛星は、無名の米政府衛星の近くの軌道にある。

 「米国宇宙軍司令部は、ロシアが最近打ち上げた衛星が米国政府の衛星の近くの軌道に乗ったことを確認することができる。ロシアは、安全性と領域の安定性を脅かす一連の対宇宙システムの研究、開発、テスト、配備を続けているため、すべての軌道上のオブジェクトと同様に、USSPACECOMは、この打ち上げに関連する懸念のある行動や活動を監視し続ける」とSPACECOM広報担当者は本日、本誌に語った。

 SPACECOMは、シャドーイングされている米国衛星の名前を挙げなかったが、この声明は、5月23日に打ち上げられた新しいコスモス2588がUSA338とコプレーナー軌道に乗ったという独立した天文学者からの報告を受けてのものである。 USA 338はNROのKHシリーズ電気光学スパイ衛星の1つで、クリスタル・コンステレーションとして知られている。

 国家偵察局NROは、国連に番号で登録する以外、スパイ衛星に関するいかなる情報も提供していない。SPACECOMの衛星追跡データベースSpace-Track.orgにも、アメリカのスパイ衛星は公表されていない。

 コスモス2588の打ち上げとその軌道パラメータは、独立系衛星トラッカーであるバート・ヘンドリックスによってNASAスペースフライト・フォーラムで最初に報告された。

 オランダ在住の天文学者マルコ・ラングブロークは、この新しいコスモスは以前の2機のコスモスが設定したパターンを踏襲しているようだとフォーラムに投稿し、衛星がASATであることを示唆した。

 米軍の軌道上の近隣監視衛星である「静止宇宙状況認識プログラム」コンステレーションと異なり、ロシアのコスモス衛星3基は軌道上を動き回り、時折別の鳥をチェックするために停止することはない。むしろ、それらはそれぞれ全てKHシリーズのスパイサットと考えられていアメリカ衛星を追尾している。

 「ロシアの軍事衛星が米軍の光学偵察衛星と共同軌道に乗るのは、この5年間で4度目である。以前には、コスモス2542/2543と米国245、コスモス2558と米国326、コスモス2576と米国314があった。 最初の例は『検査衛星』の任務であったようだ。しかし、2番目と3番目、そしておそらくこの新しいものについても、我々はおそらく対宇宙能力(眠っている同軌道ASAT兵器)の位置づけを見ていると真剣に考えるべきだと思う」とラングブロークは書いている。

 コスモス2558とコスモス2576は、それぞれまだUSA326とUSA314と同一平面上にあり、軌道パラメータは、長期にわたって米国の衛星をシャドーイングし続けることができるように意図的に選択されたようだと、彼は本誌に語った。

「2年以上も同じ軌道面に留まっていることは、彼らが『検査衛星』であることを示していない。むしろ、必要なときに起動させるための、眠れる迎撃衛星ではないかと私は強く疑っている」と彼は付け加えた。

 SPACECOMに先を越されることを恐れて匿名を条件に話した米国のある宇宙追跡専門家は、ラングブルックの評価にほぼ同意した。

 「軌道まで16トンの能力を持つエクリプスは、NSSLレーン1のようなプログラムにとってスイートスポットであり、増殖する星座を打ち上げるのに自然に適合している」とファイアフライのジェイソン・キムCEOは語った。

 「それが正しい可能性は中程度から高いと思います」と彼は言った。

 米国の衛星追跡会社スリングショット・エアロスペースは、木曜日にコスモス2588の追跡写真をLinkedInに掲載した。

 スリングショットSeradataのオープンソース情報によると、コスモス2588は、運動兵器を搭載したNIVELIR軍事検査衛星であると考えられている。 Seradataはまた、コスモス2588はUSA338に焦点を合わせている可能性があると報告している。USA338の公開カタログ軌道状態は存在しないので、これはスリングショットが現在追跡しているコプレーナー未カタログの物体かもしれない」と同社の投稿は読んだ。

 スリングショットの広報担当者は、現在の軌道では、コスモス2588は、そのターゲットから93.9キロメートル(58.3マイル)を通過すると本誌に語った。

 異なる高度にあり、それ以上の操作がないと仮定すると、同衛星はおよそ4日ごとに "フライバイ "し、繰り返し接近することになる」と広報担当者は述べた。

 「我々は、USA326と同一平面上にあるCOSMOS2558と、ASAT能力を持つと思われるCOSMOS2576を監視し続けている。COSMOS 2588が何らかの二次ペイロードを放出するかどうか、当分の間注意深く監視していく」。

 広報担当者は、なぜスリングショットがロシアの新しい衛星を兵器かもしれないと考えたのか正確には言わなかったが、西側の天文学者に少なからず疑念を抱かせる実績がある。

 2020年、コスモス2543衛星は高速弾丸を吐き出し、アメリカとイギリスの軍事指導者たちは明らかなASAT兵器のテストだと言った。同様に、昨年5月に打ち上げられた「コスモス2576」についても、ワシントンは国連安全保障理事会でASATだと非難した。

 モスクワはこの疑惑を否定している。■


Russia’s new Cosmos satellite orbiting near US sat, piques ASAT fears

Based on its orbital pattern, independent astronomer Marco Langbroek said he suspected the new satellite is joining other Russian "sleeping interceptors."

By   Theresa Hitchens

on May 30, 2025 at 5:31 PM

https://breakingdefense.com/2025/05/russias-new-cosmos-satellite-orbiting-near-us-sat-piques-asat-fears/


2022年7月7日木曜日

米宇宙軍が打ち上げた小型衛星には敵妨害を受けない極秘新機能が含まれている模様。

 


Virgin OrbitのLauncherOneは7月2日、国防総省の宇宙試験プログラムで小型衛星7基を低地球軌道に打ち上げた。(Virgin Orbit / Dae Dae)



AFRLの実験用CubeSatはRecurveと呼ばれ、人工知能/機械学習を用いて、低地球周回軌道(LEO)上で相互リンクする衛星の大群を通じデータのルーティングを自律的に決定する。


Virgin Orbitが打ち上げた国防総省向け宇宙試験プログラム実験衛星7基の中に、空軍研究本部(AFRL)が作った「認知」無線周波数システムがあり、電子戦の霧の中で妨害を受けない高速衛星通信を可能にする設計となっているのが注目される。



AFRLによる報道発表は以下伝えている。Recurveと呼ぶ実験用小型衛星CubeSatは、人工知能と機械学習を用い、「メッシュネットワーク」と呼ばれる低地球軌道(LEO)上で相互リンクした衛星の大群を通してデータをどう転送するかを自律的に決め、正しい情報を正しいユーザーへ正しい時間に正しい場所で中継する。


この「Recurve」はユビキタス通信ネットワークのビジョンに向け前進し、必要とする情報を迅速に戦闘員が入手するのを確実にする。


Recurveは、AFRLの宇宙装備局Space Vehicles Directorateが内部で設計・製造したと発表にある。


コグニティブRFシステムは、基本的に、天候や敵の妨害電波によるノイズの影響を受けず、最も利用しやすい周波数帯を感知し自己再構成し、別の周波数帯に素早くホップし中断なく伝送する。メッシュネットワークは、宇宙、空中、地上のノード多数に直接接続し、単一衛星に依存せずユーザーにデータを転送する利点がある。


この機能は、宇宙開発事業団が開発中の「増殖型LEO」衛星コンステレーション、たとえば米国防総省の統合全領域コマンド&コントロール(JADC2)機能のバックボーンとなるデータ中継衛星のトランスポート層に不可欠となる。


7月2日のVirgin OrbitのStraight Up打ち上げに搭載されたAFRL衛星とその他6つのペイロードは、実質的に国防総省とNASAの実験打ち上げを仲介役するペンタゴンのスペーステストプログラムが提供したものだ。Virgin Orbitは、宇宙船をLEOに打ち上げるLauncherOneロケットシステムに、改造747ジェット旅客機Cosmic Girlを使用している。


今回の打ち上げは、宇宙軍が調達した。先週の打ち上げでは、これ以外に国家安全保障関連で関心を集めるペイロード3基が含まれていた。


まず、Gunsmoke-Lは、宇宙・ミサイル防衛司令部(SMDC)が管理する陸軍の戦術的宇宙層プロトタイピング・プロジェクトによる機密実験だ。同軍は2018年以降、各種Gunsmoke衛星を開発し、打ち上げてきた。先週打ち上げられたGunsmoke-L実験には、Dynetics製の2つの小型6U(すなわち6つの10×10×10モジュールで構成)CubeSatsが含まれ、陸軍は「戦術的宇宙支援機」と説明するが、GPSが妨害される敵地深くで部隊を機動させるRFジオロケーション能力のテスト用だ。


7月2日付報道発表によると、Slingshot-1はAerospace Corporationの12U CubeSatで、「オープンスタンダードと非専有インターフェースの可能性を活用しペイロード開発と統合を単純化し迅速化することにより、モジュラー化と自律技術開発を迅速に進める」設計となっている。このCubeSatは、19個の小型ペイロードを搭載し、うち16個は、連邦政府出資の研究開発センター(FFRDC)であるAerospaceが製作したことが注目される。同社製ペイロードには、「衛星で地球上のターゲットを見つけることを可能にする再構成可能な姿勢制御システムVertigo、宇宙交通管理用GPSトランスポンダBlinker、小型衛星に高い性能をもたらす過酸化水素スラスタHyper、次世代宇宙-地上レーザー通信ダウンリンクLaserComm」などがあると発表にある。


最後に、MISR-B(Modular Intelligence, Surveillance and Reconnaissance B)は、各機関向けの機密扱いの取り組みだ。情報・監視・偵察(ISR)衛星の開発・調達は、伝統的に国家偵察局の管轄だったが、ここ1年ほど、宇宙軍は、ISR画像を迅速に戦場指揮官へ提供することを目的とした「戦術ISR」と呼ばれるISR衛星の取得を引き継ぐと提唱してきた。■


Newest sats launched by DoD include jammer-evading, classified payloads - Breaking Defense

By   THERESA HITCHENS

on July 06, 2022 at 1:30 PM


2020年10月3日土曜日

LEO衛星で全世界をカバーし、敵標的情報を「光速」で戦場に送る米陸軍の迅速攻撃構想

"Attacking at Speed": Army Project Convergence & Breakthrough Lightning-Fast War


甲戦闘車両がアリゾナの「直撃火力」ミッションで敵戦車を標的にする。車内には標的の照準情報が上空を飛ぶ無人機、ミニ無人機、ヘリコプターから無線で入るが、まず標的の詳細情報は高速移動する低高度衛星を運用するワシントン州から入ってきた。


陸軍のプロジェクト・コンヴァージェンス2020は実弾発射を伴う実験でアリゾナ砂漠で展開し、高性能衛星の力を借りて標的を迅速に探知しデータを転送し迅速な攻撃力を発揮するクロスドメイン攻撃の新しい形を試す。


小型高速の新世代低軌道(LEO)衛星はワシントン州のルイス・マッコード共用機地から運用されており、標的情報をリアルタイムでアリゾナ州ユマの演習実証地に送ってきた。かつてない高速長距離標的捕捉技術が現実のものとなった。


「ここで目にしたのはLEO衛星からの情報提供の第一段階だ。ワシントン州を経由して地上統制ステーションに送信された。地上ステーションがデータを中継した」と陸軍の戦闘能力開発本部を統括するジョン・ジョージ少将が現地で語った。


演習ではLEOと中高度地球周回軌道衛星の新技術を活用し、地球静止軌道(GEO)衛星の能力の上を行く「網目」ネットワークの増強を目指した。


「これまではGEOを活用してきた。LEO衛星だと衛星通信につきものの遅延を大幅に減らせる。かわりにデータスループットが増加する。戦術情報をより多くの地点で得られる利点がある」と専門家が語っている。


目標捕捉の迅速化技術がプロジェクトコンヴァージェンス2020で使われているが、その背景に陸軍は敵軍の捕捉及び交戦で「スピード」を重視しており、現行より相当加速しようとしている。ネットワーク対応衛星から無人機へ、ミニ無人機へ、さらに地上の攻撃手段へFIRESTROMの呼称のAIがデータを送ると陸軍の通常戦の在り方そのものが一変する。今回の演習に応用された技術はセンサーから発射兵器までの調整最適化を最小20秒で完了するが、これまでは20分が常識だった戦場の在り方が大きく変わる。


「宇宙配備センサーの情報を地上や空中に送るのは簡単かつ超高速で実施できそうだったが、実際は複雑な構成となり作動させるため何週間もコーディング作業が必要だった」と陸軍将来装備本部のロス・コフマン准将(次世代戦闘車両機能横断チーム長)が今回の演習場で語っている。


高速ネットワークのLEOの整備を陸軍、ペンタゴンが急いでおり、今後合計4,500基まで増強の予定がある。今まで約600基が配備されており、今後は毎月60基増やす。


「GEO利用が普通だった。それをMEOさらにLEOの利用まで広げてきたが、まだまだ発展途中だ。来年の演習までに北米地域は24時間週7日連続カバーでき、実証を続ける。4,500基すべての配備に二三年かかるが、ゆくゆく全世界をLEOでカバーする」と陸軍技術将校が語っている。


LEO衛星の利用はペンタゴンの目指す宇宙空間の活用方針に合致したものだ。宇宙装備の回復力と生存力を高い接続性とともに両立させる。LEO衛星の「ネットワーク化」で情報共有しながら対象地をきめ細かくカバーするのが宇宙の「ノード」で、ここから標的データを転送し連続追尾を実現する。


LEO衛星システムでは一部衛星が敵の攻撃で機能喪失しても機能を維持するねらいもある。このため冗長性が重要だ。有事には衛星ネットワークは敵の攻撃や妨害があってもミッション実施機能を維持する。

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「LEOにより回復力が実現し、ネットワーク維持も可能です。同じ通信内容が複数経路を通過するパス多様性を確保できるからです。これを使い戦術ネットワークを形成します」と上記陸軍技術将校は語る。


プロジェクトコンヴァージェンスの衛星ネットワークは今後も続く陸軍合同装備投入シークエンスの一部だ。コフマン准将の説明では宇宙空間や宇宙配備のセンサーは敵標的の侵入段階に活用される。次に来るのが分解段階で航空機により敵の長距離火砲を破壊し、最終段階が「活用」段階で地上軍が敵を攻撃した、というのが今回の演習の内容だった。■


この記事は以下を再構成したものです。


Army Seeks Thousands of High-Speed, Low Earth Orbit Satellites For Ground Attack

Kris Osborn

2020年9月29日


-- Kris Osborn is the Managing Editor of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 

 

Army Tests Breakthrough Cloud-Enabled War at "Speed of Fires"

The Army Secretary described it as “making decisions at the speed of fires"

 

2017年6月1日木曜日

★民間コンソーシアム、ストラトローンチの巨大打ち上げ母機がロールアウト!




これはすごい。宇宙打ち上げビジネスが一変しそうな構想が現実になりつつあります。今回はロールアウトですが、初飛行の姿を見たいものです。コンセプトをどんどん発展させていったのですね。これだけの偉容を実現させたのが民間というのもアメリカの強みですね。おそらく途中で挫折しかねない事態が何度もあったはずですが、乗り切ったのは強い意志とリーダーシップの産物ですね。完成したら使おうとする軍やほかの民間企業はその意味で起業家精神は希薄ですね。(この記事はターミナル1-2共通です)

Stratolaunch rollout

Stratolaunch's Massive Mothership Rolls Out Of Its Nest For The First Time

ストラトローンチの巨大母機がロールアウトし初公開

This is the largest aircraft ever built in terms of wingspan, even larger than the "Spruce Goose."

翼端幅で世界最大の機体に

 BY TYLER ROGOWAYMAY 31, 2017

  1. 10年の開発を経て、ストラトローンチStratolaunchの巨大な母機がモハーベ航空宇宙港の格納庫で公開された。予想通り、同機の大きさと形状は圧倒的だ。翼幅385フィートは世界最大で、これまで最大だったヒューズH-4飛行艇別名「スプルース・グース」をしのぐ。最大搭載時に機体重量はなんと1.3百万ポンドになる。動力はプラット&ホイットニーPW4056六基で747-400のエンジンと同じだが推力合計340千ポンドに及ぶ。
  2. ストラトローンチが驚異の技術を誕生させたのは疑う余地がない。
STRATOLAUNCH

  1. 同社は同機の性能を以下説明している。
ストラトローンチの再利用可能で空中発射を可能とする解決策により空港から離陸して宇宙打ち上げが可能となります。ストラトローンチ機は通常の滑走路から離陸し、悪天候を避け、航空機で混雑する空域や海上交通路を回避できます。ストラトローンチの空中発射方式で高費用になる打ち上げ順延や中止はなくなります。
STRATOLAUNCH
  1. X-プライズ受賞をきっかけにマイクロソフト共同創設者で宇宙事業の構想を持つポール・アレン、航空宇宙設計で名高いバート・ルータンがコンソーシアムを組み低地球周回軌道の利用方法が革命的に変わろうとしている。そこにスケイルド・コンポジット社が加わり、かつてルータンが所有していた同社は航空宇宙の設計製造で革新的な企業だ。(現在はノースロップグラマン傘下)さらにイーロン・マスクのスペースX、および元NASA長官マイク・グリフェンも加わり夢の構想が実際に飛行することになった。スペースXのように一度加わったもののその後離反するものもあらわれたが、ポール・アレンがしっかりと方針を貫き、各社を率いてきた。
STRATOLAUNCH
  1. ストラトローンチ母機の右側胴体にコックピットがあり、左胴体にはフライトデータシステム各種とペイロード制御を収める。同機は大型第二段目ロケット一基あるいは小型二段目複数を運用可能で後者は一回に複数の宇宙機を異なる軌道に送ることができる。世界各地の滑走路が利用でき、輸送コストを大幅に下げることでロケット費用も下がり、打ち上げ手順が大幅に早まる。
  2. ストラトローンチの強みは母機と子機の組み合わせコンセプトで航空機自体を従来の第一段目ロケットの役割とし、二段目とペイロードを運んで軌道に送る点だ。概念自体は以前からあり軍民双方でこの考え方を検討していた。オービタル・サイエンシズはL1011機にスターゲイザーの名称を付けペガサスロケット打ち上げを実施している。ストラトローンチとの違いは母機とペイロードの規模で、オービタルサイエンシズは豊富な知見を持ちコンソーシアムに2012年加入している。
D. MILLER/WIKICOMMONS
ヴァージン・ギャラクティックのホワイトナイトIIもスケイルド・コンポジットの母機設計の一環だ。
  1. ストラトローンチの外観からホワイトナイトを思い起こす向きもあろう。同機はX-プライズ受賞につながり後継のホワイトナイトIIがヴァージンギャラクティックのスペースシップ・トゥーを抱えて離陸している。実は両方ともスケイルド・コンポジットが設計しており、ルーツはルータンの設計案にある。両機とも宇宙飛行の実施方法のコンセプトを共有しており、母機で重い打ち上げ対象を抱えて離陸してからロケット点火で宇宙機を発進させる。

NASA
ペガサスロケットを搭載して離陸するスターゲイザー
  1. この構想は軍事利用にも道を開きそうだ。ペンタゴンは二段式ロケット機で小型ペイロードを軌道運用する案やその他機密のシステム複数を検討しており、航空機を第一段ロケットの代わりに運用する構想を開発中だ。中国がAN-225ムリヤを取得したのも同様の構想を進めているためとみられる。
  2. ストラトローンチが成功すればまずペンタゴンが顧客になりそうだ。費用が下がり、打ち上げリスクが減れば偵察通信衛星運用に朗報となる。さらに衛星多数を異なる軌道に迅速に打ち上げできれば敵の対衛星攻撃に対する抗じん性が増す。また母機から米国の対衛星兵器を運用することも可能で、敵衛星を軌道上でジャミング、目くらまし、乗っ取り、あるいは破壊も可能となる。
STRATOLAUNCH
  1. 米空軍がストラトローンチを調達して専用に使うのも可能だ。空軍は迅速かつ安価に低地球周回軌道に打ち上げする能力を求めている。今日では攻撃に時間が大きな要素になっている。世界各地を分単位で攻撃する能力だ。ストラトローンチに準軌道ミサイルを搭載し世界を飛行させ、迅速な敵攻撃の構想もある。ストラトローンチのような既成装備を調達すればペンタゴンも開発費用数十億ドル、開発期間を節約できる。
  2. ストラトローンチの初飛行は今年後半でアレンたちは2010年代末までにストラトローンチは運用可能になるとみている。■