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2014年11月8日土曜日

今年の珠海航空ショーの注目機体はこれだ



何と言っても注目すべきはJ-31でしょう。F-35のコピーとも輸出を狙う機体との報道もあり、その実態がよくわからない機体です。

China Airshow Will Unveil J-31

Nov. 3, 2014 - 11:47AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

A model of the J-31 fighter is shown at the 2012 Zhuhai airshow
J-31の模型が2012年珠海航空ショーで展示されていた(Wendell Minnick/Staff)

TAIPEI — 中国の珠海エアショー関係者がステルスJ-31戦闘機が来週開催の展示会でデビューすることを確認した。
  1. 第10回目となる珠海ショーは正式名称中国国際航空宇宙展示会で11月11日から14日を会期に700社120機が出展する。
  2. J-31は双発で瀋陽航空機Shenyang Aircraft製で出展されれば初の公開となる。機体は単発のロッキード・マーティンF-35ステルス戦闘機と類似しており、中国語軍事ブログでは同機が珠海上空で展示飛行する写真を掲載している。
  3. 人民解放軍空軍(PLAAF)からはJH-7AとJ-10戦闘機のほか、Z-8KAヘリコプターと改良型H-6M中距離爆撃機(巡航ミサイル搭載)が出展される。洪都 Hongdu L-15ファルコン戦闘練習機はまだ出展の予定がないが、同社はすでに中東やアジアの展示会を利用して売込みを図っている。
  4. パキスタン製JF-17戦闘機は2012年に出展されていたが、今回はリストに入っていない。しかし中国航空工業集団AVICはFC-1戦闘機(JF-17の中国版)を出展する。同機は成都航空機パキスタン航空工業の共同事業。
  5. ロシアのSu-35高機動性戦闘機も初の展示となる。中国とロシアは同機を2006年から商談中だが11月末に妥結するかもしれない。
  6. 「24機分の機体と呼びエンジンで契約となると思う」とロシア戦略技術分析センターの専門家ワシリー・カシン Vassily Kashin は語る。「エンジン技術移転の交渉は別個に継続中で、協力分野がこれとは違う形になるだろう」
  7. 同機の搭載するエンジンはステルス機T-50と同じUnited Aircraft Corp製のサトゥルンAL-117Sで、AL-31FNの向上型だが、中国は後者を成都J-10戦闘機に搭載している。

  1. ロシアはSu-27戦闘機の国内生産を中国に1990年代に承認したが、中国がコピー版を勝手に作り始め、瀋陽J-11と呼称した。ロシアはSu-35でも同じことが起こるのを警戒しており、AL-117エンジンもJ-20ステルス機に搭載され別の懸念材料だ。
  2. ラジャラトナム国際関係学研究校(シンガポール)の国防産業専門家リチャード・ビチンガーRichard Bitzingerは「ロシアは中国機に自国エンジンを売却するだろうが、生産技術は別の話」とし、ロシアからの技術移転で中国が同形式のエンジンを製造することは可能性が低いという。
  3. 韓国空軍は出展を取り消した。ブラックイーグル曲芸飛行チームはロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業共作の超音速T-50ゴールデンイーグル9機を使う。韓国国防省は10月30日に中国に重要技術が盗まれることを合衆国政府が恐れているのを理解し、出展を中止したと発表。
  4. 出展していれば合衆国の防衛条約の相手国が珠海航空ショーに軍事装備を出展する初の例となっていた。この件についてロッキード・マーティンでT-50担当の広報エリック・シュナイブルは「出展は望ましくない」と語っていた。
  5. KAIは総額420百万ドルでフィリピン向けにTA-50軽攻撃・練習機12機生産の契約を3月に成立させていた。TA-50改良型では空対空ミサイル空対地ミサイルの搭載も可能。フィリピンと中国は南シナ海の諸島を巡り対立しており、軍事衝突に発展する恐れもある。
  6. 中国からはUAVメーカー各社が自社製品を紹介する。AVICはTianyi-1 (Sky Wing)、 Yilong-1 (Pterodactyl=翼竜)、Haixunzhe (Sea Patroller)を出展する。
  7. このうちSky WingとSea Patrollerは「軍事転用も考えて設計したもの、あるいは別の無人機のコンセプトのテスト用だろう」とみる専門家がロバート・マイケルソンRobert Michelson(Millennial VisionのUAV専門家)だ。
  8. Pterodactylは監視偵察用として開発が始まったが、「ジェネラルアトミックスのプレデター同様に空対地兵器を搭載し、無人機による攻撃の想定をしている」と同上専門家は見る ■

2012年9月27日木曜日

中国二番目のステルス機J-31の素性を考える

China Unveils Second Stealth Fighter

By Bill Sweetman, Richard Fisher, Bradley Perrett
 
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com September 24, 2012

中国が低視認性(LO)あるいはステルス性戦闘機の第二番目の機種の存在を明らかにした。瀋陽航空機工業で生産された同機はおそらくJ-31の呼称がつき、成都航空機製 J-20が2010年末に知られるようになったのとおなじ形だ。インターネット経由で同機の写真は米国防長官の北京公式訪問前日にリークしている。その メッセージはあけすけで、米国が太平洋に海空戦力を増強する政策を実行に移す中、中国は軍装備の近代化を着々と進めていることを示している。

  1. 写 真ではJ-31が先に出たJ-20とは大幅に違うことが明らかだ。J-31は小型で、J-20の三分の二程度だ。機体にはF-22との類似性も見られる が、機体寸法上はむしろF-35に近い。機体下部空気取り入れ口から後方エンジン手前は兵装格納庫になっている。J-20のような機体側面の格納庫はつい ていない。飛行制御は通常型を採用しており、方向舵と一枚構成のフラッペロンは統合されていない。
  2. J-20と同様にステルス形状の技術面ではロッキード・マーティン製 戦闘機と非常に似通っているのがわかるが、エンジンノズルは通常型だ。ノズル形状は成都JF-17戦闘機搭載のクリモフRD-93エンジンのノズルから胴 体にあわせるためについていた「首輪」をとっただけだ。推力方向制御は中国でも研究されているものの実際の飛行展示事例はない。
  3. で はJ-20とJ-31で共通するのは実験機の段階を終了しているように見える点だ。両機ともに実寸大の実証機でありながら兵装格納庫があり、両機とも既存 機種の部品を流用していない。ただし、両機とも実戦型の開発および本格生産の開始がどうなるかは不明だ。中国は非ステルス戦闘機の生産を継続しており、一 方でいつになったら発動機のロシア依存を不要にする実用的な国産エンジンの生産が始まるのかは不明だ。(JF-17全機がRD-93を搭載しており、国産 の杭州WS-13エンジンは開発が完了していない。)
  4. ステルス戦闘機二機種について中国政府からの公式情報開示はないものの、「非公式」情報がインターネット上で政府によりとびかっており、瀋陽製戦闘機についてさまざまな情報が見られる。
  5. 2011年9月、中国の航空工業集団Aviation Industries Corp. (Avic) が無人機(UAV)のモデル機コンテストにスポンサーとなったが、瀋陽航空宇宙工科大学からステルス機に見えるモデルがエントリーに参加していた。
  6. 今 年6月には実寸大の戦闘機機体が垂直尾翼を外したまま瀋陽から閻良空軍基地Yanliang Air Baseまで公道を堂堂と搬送されるのが目撃されている。同基地は中国軍のフライトテスト拠点である西安地区の航空宇宙都市近郊にある。その時点でこの機 体は同基地内で静応力試験に使うのではとの観測があった。この機体の形状はだいたい瀋陽航空宇宙工科大のモデルと類似している。
  7. 中 国国内筋の情報を総合すると瀋陽製の戦闘機には空軍が資金を全面提供していない可能性があるが、成都J-20との競作に敗れた機体を発展させたのではない かという。Avic傘下企業のひとつが成都航空機であり、瀋陽航空機も同じだ。両企業はライバル関係にあることが伝統になっている。この克服策として 同企業集団は両企業を結束させたのが2008年であるが、中国国防省が企業集約にに難色を示し、むしろ各企業への指導力を温存しつつ競争効果をあげたいと 考えている。
  8. た だし瀋陽に政府の公式なスポンサーがある可能性がある。中国海軍だ。瀋陽は海軍向け初の艦載戦闘機スホイSu-33を原型としたJ-15のメーカーでもあ る。今回のJ-31は小型でありJ-20より空母運用に適しているかもしれない。ただし、空母運用であれば主翼面積の拡大や揚力制御、推力制御などの改修 が必要であるが。それが実現すれば、J-31はJ-20より小型、安価な選択肢になりうる。■