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2024年8月14日水曜日

貨物搭載量2トンのドローンが中国で飛行開始。PLAが南シナ海人工島への物資補給に投入する可能性。それ以外に中国は無人機による貨物輸送ネットワーク構築を構想しているようだ。(The War Zone)

 Chinese drone maker Tengden says it has conducted the first flight of a new cargo drone with a multi-metric-ton cargo capacity.  

CCTV via China Daily


民生需要以外にTengdenの大型貨物ドローンは、紛争時に、遠隔地への物資補給に役立つ可能性があることに注目すべきだ


国のドローンメーカーTengden四川腾盾科创股份有限公司は、最大積載量約2,000キログラム(4,410ポンド)の新型無人貨物機の初飛行に成功した、と発表した。同社は、中国で最大となる名称未定の双発ターボプロップ無人機を商業オペレーターに売り込んでいる。しかし、軍事利用の可能性も明らかで、特に南シナ海の島嶼前哨基地のような遠隔地にある人民解放軍(PLA)部隊への物資供給に役立つ可能性がある。

 中国国営メディアによると、新型のTengden貨物ドローンは、中国南西部の四川省の自貢鳳鳴総合空港 Zigong Fengming General Airportで週末に約20分間の初飛行に成功した。 

 同社は、名目上は民間企業だが、人民解放軍とのつながりが深い。

 高翼式の無人機は、翼幅が約53フィート(16.1メートル)で、全高15フィート(4.6メートル)強と伝えられている。また、内部のペイロードスペースは約424立方フィート(12立方メートル)と言わる。無人貨物機は三輪式の着陸装置を備え、通常の滑走路での離着陸を想定している。

Tengdenの新型貨物ドローンを上から見た図。 CGTN


貨物の積み下ろし方法はまだ明らかでないが、初飛行の映像では、同機には、後部胴体の左側に比較的大きな横開きドアが1つ、前方に別の小さなドアがついているようだ。


初飛行中のTengdenの新型貨物ドローンを側面から見たところ。貨物ドアと思われるものが、主翼の後ろの胴体左側に見える。もうひとつは機首近くにあるかもしれない。 CCTV via China Daily

 Tengdenは、ペイロード容量以外の性能について、詳細を公表していない。機体前方の胴体上部に衛星通信に使用される大型の白いアンテナドームが搭載されており、管制官との直接接続により、基本情報の伝達も視認外で行う。 

 貨物運搬用無人航空機ではA地点からB地点への航行能力が必要であり、これは事前にプログラムされたルートを使用して、自律的または半自律的に行う。より高度な自律飛行システムは、人間の手を借りずに離着陸したり、動的にルートを変更したりできるようにするために必要となる。出発地と着陸地に発進と回収の設備があれば、無人機のターミナル操作を制御することも可能だが、その場合、無人機をいつでもどこへでも飛ばせるというわけにはいかなくなる。

 Tengdenの新型機は、中国航空工業集団(AVIC)がペイロード容量約700キログラム(1,540ポンド)の貨物用無人機HH-100を発表してからおよそ2か月後に登場した。HH-100の初飛行は、距離にして約35キロ(22マイル)を飛行し、飛行時間は不明だが、6月12日に行われた。

 AVICの無人貨物輸送機は時速186マイル(時速300キロメートル)で巡航し、高度16,400フィート(5,000メートル)まで上昇でき、満載で323マイル(520キロ)の飛行が可能になると述べている。

 Tengdenは、貨物用ドローン「TB-001D スコーピオンD」を2022年に初飛行させている。4発エンジンのスコーピオンDは、新型機よりも翼幅が大きいものの、小型で、公称ペイロードは約3,000ポンド。Tengdenは過去にも、さらに大型のジェットエンジン搭載の双胴型貨物ドローンを提案している。また、他の中国企業も、大型の貨物運搬用ドローン設計に取り組んでいる。

 ロイター通信による今日の報道によると、「ドローン製造で世界トップの同社は、より大きなペイロードをテストしている。中国が制限を緩和し、低高度経済の構築を奨励しているためだ。中国航空規制当局は、2030年までに2兆元(2790億ドル)規模の産業に成長すると予測しており、2023年から4倍に拡大する見込みである」・

 中国はすでに、Feihong-98(FH-98)無人機を使用するなど、無人商業貨物便を実施している。複葉機のFH-98は、1947年に初飛行し、現在も世界中で軍事および商業目的で使用されている有名なソビエト製An-2のクローンYun-5Bを無人機にしたもの。先週、中国・海南島でFH-98が墜落したという未確認情報が流れた。

 Tengdenはすでに、情報収集、監視、偵察(ISR)ミッションや小型精密弾頭を使用した運動攻撃を実行可能な中高度長時間滞空型(MALE)軍用無人機のメーカーとしてその地位を確立している。TengdenのMALE無人機は中国人民解放軍で運用されており、台湾や日本の一部地域で長距離ミッションを遂行している。


翼と機体下部にさまざまなミサイルを装備したTengdenのTB-001スコーピオン。VCG/VCG via Getty Images撮影

2021年、東シナ海上空で日本の航空機が迎撃した別の中国製TB-001。自衛隊


 すでに述べたように、Tengdenは中国軍と密接な関係にある。中国軍が同社の新型機、あるいはTB0DスコーピオンDやAVICのHH-100など、貨物輸送任務用の機種に関心を持っていることは想像に難くない。中国には、ますます高性能化しているY-20ファミリーをはじめ、従来型貨物機が数多く存在している。同時に、中国軍はすでに、滑走路の容量が限られている遠隔地や過酷な環境の場所に基地を設置している。無人機は、有人貨物機が最適ではない、あるいはまったく運用できない地域での日常の補給活動に非常に役立つ可能性がある。中国西部内陸部の遠隔施設では、無人航空機による物流能力が有益となる可能性がある。

南シナ海南端に位置する中国の島嶼前哨基地を示す地図。中国はさらに北の他の島々も軍事化している。国防総省

 さらに、中国軍は、中国本土から遠く離れた場所で遠征作戦を実施する能力を拡大することに明確な関心を示している。貨物用ドローンは、将来的にそのような任務を支援するために使用できる能力のひとつとなる可能性がある。活発な紛争やその他の高リスクのシナリオでは、貨物用航空機の乗組員を危険にさらすことなく部隊に補給を行うオプションとして、ドローンはさらなる価値を提供することになるだろう。

 米軍、特に米海兵隊も、将来の遠征作戦や分散作戦の支援を目的として、無人貨物航空システムの導入を検討している。しかし、Tengdenの新型機は、特に航続距離という点において、米軍が現在検討しているものよりも高い能力水準を示している。この分野への関心が高まっているとはいえ、米国の航空業界で大型で航続距離の長い無人輸送機設計の開発が同様に急増しているわけではない。

 424立方フィートの内部空間を持つ無人機は、輸送以外の他の用途にも適応できる可能性を秘めている。Tengdenは、既存のMALE製品ラインにさまざまなセンサーシステムや兵器を統合する経験を有している。同社の新型機は、兵器以外のペイロード、例えば小型無人機群の打ち上げプラットフォームとして構成できる可能性がある。

 また、2019年に、民間航空会社ガルーダ・インドネシア航空と中国の北京航空航天大学無人機システム研究所(Beihang UAS Technology)が、ハルビンBZK-005無人機の貨物輸送バージョンを運用を中心とした提携を発表したことも興味深い。「UAV(無人航空機)の使用は、ガルーダ・インドネシアが市場の需要と貨物収入の機会を獲得する上で理想的な選択肢です。特に、マルク諸島、パプア、スラウェシなどの空港施設が限られた遠隔地を結ぶ場合、その傾向が顕著です」と、ガルーダ航空の貨物・事業開発担当ディレクター・モハマド・イクバルは当時、FlightGlobalの取材に対して語っていた。それ以来、インドネシアとの契約がどう進展しているのかは不明だ。


 BZK-005はもともとISRミッション用に設計されたもので、現在も中国人民解放軍で任務に就いている。

BZK-005。中国のインターネット


 中国企業が提供する大型貨物ドローンが増加している中、Tengdenの新型機は、中国や各国が無人航空機による物流能力に強い関心を寄せている実態を明確に示している。中国軍にとって、無人貨物輸送機は、遠隔地にいる部隊への補給に特に役立つ可能性がある。■


Chinese Cargo Drone Capable Of Carrying Two Tons Has Flown

Large cargo drones like the new Tengden design could help China keep its remote outposts supplied, especially during a conflict.

Joseph Trevithick

Posted on Aug 12, 2024 2:45 PM EDT

https://www.twz.com/air/chinese-cargo-drone-capable-of-carrying-two-tons-has-flown