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2022年10月21日金曜日

ロシア機が英スパイ機にミサイルを「誤射」していた。9月、黒海上空で。

 

 

Russian Su-27 Released Missile During Intercept Of British RC-135 Spy Plane

Crown Copyright

 

 

この事件を受け英空軍のRC-135は、黒海上空の任務にタイフーン戦闘機で護衛されるようになった

 

国防省は、ロシアのSu-27フランカーが英国空軍のRC-135Wリベットジョイント電子偵察機と遭遇し、ミサイルを「発射」したと明らかにした。この事件は、ロシア軍とNATOの間で緊張が高まる黒海上空で発生し、過去には英軍艦が接近遭遇したこともある。しかし、ミサイルが誤って発射されたかどうかにかかわらず、致命的なエスカレーションにつながった可能性は考えられる。いずれにせよ、英空軍のRC-135は、この事件の結果、黒海上空を飛行する際にタイフーン戦闘機に護衛されることになった。

 

 

NATOの同盟国との演習から戻り、イギリスのワディントン空軍に着陸する第51飛行隊のRC-135Wリベット・ジョイント(シリアルZZ664)。9月29日に黒海で発生した事件の関係機と思われる。Crown Copyright


ベン・ウォレス国防大臣は本日、下院で9月29日に黒海上空の国際空域で発生した事件の詳細を説明した。しかし、この事件の多くは依然不明である。「発射された」という言葉は、ミサイルがレールからきれいに発射されたのか、それとも何らかの方法で発射され、誘導も動力もないまま落下したのか、わからないことを意味する。

ウォレスは、この事件で「非武装のRAF RC-135 Rivet Joint」は、イギリスのワディントン空軍基地から飛行し、ロシアのSu-27の2機と合計約90分間「相互作用」したと説明した。国際空域でのこの種の飛行ではごく普通の手順だ。しかし、うちの1機が「リベットジョイント付近で目視範囲を越えてミサイルを発射した」。

 この最後の点の表現も少し不思議で、大臣が目視範囲を超えたミサイルの発射を説明しているのか、それともRC-135Wとの関係で目視範囲を超えたミサイルが発射されたのか、あるいはその両方なのかが不明だ。

 

 

RC-135W リベットジョイントに関する英国空軍の公式ファクトシート。Crown Copyright


英国防相は、RC-135Wとその乗員がどの程度危険にさらされていたのかについても、明らかにできないが、「潜在的に危険な交戦」と烙印を押している。同時に、「意図的なエスカレーション」とは考えられないと述べており、他の可能性を軽視しているようだ。

 米空軍が飛ばすリベット・ジョイントは、極めて強力な電子・信号情報収集プラットフォームだ。レーダーなどの各種信号発信機の種類や位置などの情報を吸い上げ、敵対国や潜在的な敵対国の防空、指揮統制などの能力を詳細に示す電子戦闘指令を構築するのに役立つような装備が施されている。また、通信傍受も行う。そのため、黒海やクリミア半島などにおけるロシア活動を監視する重要な役割を担っている。

 ミサイルの種類は明らかにされていない。もしロシア機がSu-27(より近代的なフランカーではなく)であれば、旧式の空対空兵器、主にセミアクティブ・レーダーまたは赤外線誘導による中・長距離型のR-27(AA-10アラモ)ファミリー、および赤外線シーカーによる短距離型のR-73(AA-11アーチャー)だけであることはほぼ間違いない。

 

 

2014年6月、バルト海上空の国際空域で、RAFタイフーンから離れるロシアのSu-27フランカーがバンクする。このロシアの戦闘機は、レーダーと赤外線誘導のR-27とヒートシーキングのR-73空対空ミサイルを搭載している。Crown Copyright

しかし、このミサイルが実際にモーターを作動させたかどうかはわからない。しかし、モーターと弾頭を搭載していたことはほぼ間違いないだろう。もしそうであれば、たとえ意図せず発射されたとしても、これらの兵器はRC-135Wを空から打ち落としていた可能性がある。

 ロシアが英国に説明したのは、この最後の一線だ。

 ウォレス国防相によると、ロシアはミサイル発射を「技術的な不具合」と説明した。前代未聞ではないが、これまでの偶発的なミサイル発射の事件は、技術的な問題ではなく、パイロットのエラーによるものである傾向がある。

 英国防相は次のように述べた。「こちらの分析では故障だった」。

 現段階では、RC-135W乗員がどのようにミサイルの発射を知らせたのか、あるいはその時気づいていたのかどうかもわからない。

 RC-135Wは任務を終え、無事に基地に帰還した。    Flightradar24のデータによると、問題のリベットジョイントはシリアル番号ZZ664で、ミッション時間は10時間30分であった。

 ウォレスは、「懸念は、ロシア国防大臣(セルゲイ・ショイグ)とモスクワの国防参謀長に直接伝えた」と述べた。さらに、「書簡の中で、該当機が非武装で、国際空域を飛行し、事前通知した飛行経路をたどっていたとを明らかにした。ロシア政府から回答があるまで、パトロールを中断することが賢明であると考えた」。

 「10月10日のロシア国防相の回答では、事故の状況について調査を行ったとし、Su-27戦闘機の技術的な不具合であったと述べている。また、事件は国際空域で起きたことを認めている」。

 英国国防省がこの事故について報告した後、RC-135Wによる定期パトロールは、タイフーン戦闘機による護衛付きで再開すると決定された。リベットジョイントと一緒にこの戦闘機がいることは、ここ数日、フライトトラッキングサイトで注目され始めていた。

 ウォレスはまた、この事件に関する情報がイギリスの同盟国と共有されていると認めたが、どのような対策をとったかは不明だ。

 「我々はロシアが今回の事件が国際空域で発生したと認めたことを歓迎し、英国は2019年以降、黒海上の国際空域でRAF リベットジョイントによる定期的なミッションを行っており、今後もそうする」。

 英国防相は、ロシアの軍事活動に関しても警戒の言葉を発し、同国軍が 「ルールは適用されない」と判断するのは 「認められない」と指摘した。

 ミサイル発射が偶発的なものであったことにモスクワとロシアが(少なくとも公の場では)同意しているようだが、Su-27は特に黒海上空で大胆かつ時に危険な迎撃している。

 2020年、Su-27は米空軍のB-52Hに接近し、「ドカーン」または「ヘッドバット」と呼ばれる作戦を、やはり国際空域で実行した。この事件のビデオクリップには、信じられないほどの至近距離でB-52の機首の真正面で、フランカーが同じような操縦をしている様子が映っている。言うまでもなく、国防総省はロシアの行動を非常に厳しく見ている。

 最近では、イギリスも黒海でロシア軍とやりあっていた。昨年6月、英国防省は、黒海を航行中の英国海軍45型駆逐艦「ディフェンダー」に、ロシア軍と国内治安部隊が攻撃的行動を取ったとするロシアの主張を全面否定した。

 ロシア国防省の当初の報道では、ロシア国境警備隊の艦艇とSu-24フェンサー戦闘機が英艦に威嚇射撃を行い、後者が英軍艦の進路上に高爆発性爆弾4個を投下したとされた。後に公開された映像では、ロシア船が発砲しているが、その時ディフェンダーは相当離れたところにいた。

 2014年にロシアがクリミア半島を併合したことをきっかけに、この地域は緊張状態にあった。イギリスは、クリミアに対するロシアの主張を認めていない。2月にクレムリンがウクライナに本格侵攻して以来、クリミアの戦略的重要性は増すばかりだ。実際、リベットジョイントの事故に巻き込まれたSu-27はクリミアで運用されていた可能性が高い。クリミアにはサキなど空軍基地があり、8月に爆発が起き少なくとも10機のロシア海軍機が損傷または破壊された。

 今回の事件は、ロシア軍とNATO同盟国との間でエスカレートする可能性が極めて高く、ウクライナ戦争が続く限りそうなり続ける事実を、劇的に思い起こさせてくれた。今回のミサイル誤作動は、重大な誤算や判断ミスの可能性を高める。

 事件の詳細を英国防省に問い合わせたが、安全保障上の理由で、国防相のコメント以上の情報はないと言われた。詳細が判明した場合には、記事を更新する。■

 

 

Russian Su-27 Released Missile During Intercept Of British RC-135 Spy Plane

 

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED OCT 20, 2022 12:20 PM

THE WAR ZONE



2021年11月27日土曜日

英空軍が合成燃料の作戦運用構想を示し、前線や艦艇内での燃料供給の可能性に触れた。一方、小型機には電動化技術の進歩が著しい。軍もゼロエミッションを目指している。

Zero Petroleum

 

ロンドン---英空軍トップが考える未来の姿では前方作戦基地や艦艇内で航空機用合成燃料を製造し、ネットゼロエミッションを2040年までに実現する。

 

英空軍の環境目標でエコフレンドリーなジェット燃料の実用化がカギとなる。だが、サー・マイク・ウィグストン空軍中将Air Marshal Sir Mike Wigstonはフリーマン航空宇宙研究所での11月24日スピーチで新技術の実用化で生まれる作戦運営上の利点にも触れた。

「再生可能発電は太陽光や小型水素電源とし、莫大な量の燃料や補給活動を不要にし、補給の脆弱性や苦労もなくなる。この動きをさらに進め合成燃料の製造施設を前方配備すれば、基地あるいは艦上でジェット燃料を製造できる。HMSクイーン・エリザベス空母打撃群で燃料を自給できる」

この構想はさほど突飛なものではない。

RAFの迅速戦力室Rapid Capabilities Office (RCO) が合成燃料製造技術に予算を投入しており、試行中の方法のうち少なくとも一方式が移動可能になると期待している。

今月初め、RAFは小型機イカルスC42を世界で初めて100%合成燃料で飛行させた、燃料は英国の小企業ゼロペトロリアムZero Petroleumが製造したと発表した。

ゼロペトロリアム以外の企業が手がける合成航空燃料二つ目の事業の詳細も間もなく発表される。

「RAFは民間技術系企業数社と組んでおり、12月初旬にもこれ以外の燃料プロジェクトの追加情報を開示したい」(英空軍報道官)

ゼロペトロリアムの合成燃料の原料は空気と水だ。まず水から水素を、空気中の二酸化炭素から炭素を抽出する。風力や太陽光の再生可能エナジーで水素と炭素を結合させる。加熱した金属触媒で圧力をかけて合成燃料が生まれる。

同社はスコットランドの小島に製造プラントを数週間で設置し、今回のフライト用燃料を供給した。

RAFではエタノールやリサイクル廃油など飼料を原料のサステナブル航空燃料sustainable aviation fuel (SAF)をと使用しているが、高コストと小規模製造のため、実用性に疑問が出ていた。

「安価かつ供給に心配がなくなれば利用したいが、中短期的には製造規模が低くサプライチェーンも不足気味だ。この関連でいうと、世界規模のジェット燃料消費量は年間およそ320百万トンだがSAFの生産規模は世界全体で10万トン程度で拡大の気配はなく、スポット価格は通常のジェット燃料の10倍程度というのが現状だ」(ウィグストン中将)

RAFでは皇太子をヨルダンまでA330VIPジェットで運んだが、同機にはSAF混合燃料を使用した。

ウィグストン中将は一部機種で「100%SAFでフライトをまもなく実施する」とも述べた。ただし、合成燃料のほうが「期待が持てる代替手段」となり、SAFより効果は大きいとした。

「合成燃料製造方法で新しいアプローチが登場しており環境にやさしく持続可能となる。外国に依存せず確保できる。また化学的に純粋度が高い燃料で排気がきれいとなり、整備も容易となり、長寿命を実現し、騒音排熱など目視上の特徴が低くなる」

サステナブルあるいは合成燃料は石油製品やジェットエンジンをグリーンにする手段として唯一の選択肢ではない。電動や水素推進方式も別の選択肢となり、小型軽量の訓練機への応用が考えられると同中将は述べた。

「初のゼロエミッション運用を2020年代末までに実現するのがねらいだ。機体は訓練生、大学生候補生の飛行訓練初期段階に使うのに最適だ。これに成功すれば、世界初のゼロカーボン機が軍用に登場することになる」

RAF広報官からは「各種技術を比較検証しており、新技術の理解を深めている」とし、「これにより未来のコンセプトと要求内容を賢いユーザーとして深める」との発言もあった。

英空軍は90機残るグロブ製チューダーT1練習機の後継機の選定を急いでいる。

一方ロールスロイスは電動フライトで一定の進展が生まれたと11月19日に発表し、世界航空スポーツ連盟に全電動機Spirit of Innovation で世界記録三つの更新データを報告したという。

データでは同機は最高速度555.9 km/h (345.4 mph)を記録し、従来の記録 213.04 km/h (132 mph)を大きく破った。

英国防省のボスコムダウン試験飛行施設で同機は532 km/h (330 mph) を達成し、高度3千メートルへの上昇も202秒と従来より60秒短くできたと同社は発表。■

British Air Force chief envisions synthetic fuel produced on deployments

By Andrew Chuter

 Nov 25, 04:02 AM

 

2021年7月11日日曜日

第二次大戦でのB-17の成功は英空軍が緒戦で経験した惨めな戦果を教訓に改良を実現したためだった....システムの継続改善が必要だとわかる好例ですね

 

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Boeing_B-17_Royal_Air_Force_Bomber_Command,_1939-1941._CH3086

AIR MINISTRY

 

 

 

二次大戦で活躍したボーイングB-17フライングフォートレスは米陸軍航空軍が昼間爆撃に多用したことで有名だが、初の戦闘投入から本日80年目となった。英軍によるデビュー戦は芳しくない戦果に終わった。にもかかわらず、英空軍が得た初期の不具合から機体や戦術が改良されたことで米陸軍での成功につながった。

 

B-17の初飛行は1935年だったが、1941年12月の真珠湾攻撃まで生産は限定規模となっていた。1940年春に英国はナチドイツとの戦闘能力拡張を迫られ、英空軍にはドイツ本土爆撃が可能な重爆撃機がない状態だった。

 

その時点でボーイングはB-17Cを生産しており、防御用に機関銃7門を.30口径.50口径取り混ぜて搭載し、機体下には「バスタブ」型機関銃砲塔があった。これに対し決定版となったB-17Gは.50口径機関銃13門を搭載したが、当時のC型はそれでも防御力が整っていると見られていた。C型で自己修復型の燃料タンクや装甲版が採用された。

 

爆撃機不足の解消のため英国は米政府とB-17C型20機の調達で1940年3月に合意した。代償として英国は同機の戦闘時の詳しい情報を提供することになった。英国はフォートレスMk Iの制式名称を与え、1941年初頭から英国に到着し、イングランド東部のウェストレインハムに第90爆撃飛行隊が生まれた。

 

B-17の初の戦闘投入は1941年7月9日のことで、それまでに第90爆撃飛行隊はポールブルックに移動していた。初の爆撃目標はドイツ沿岸のウィルヘルムスハーヴェンでドイツ海軍の基地があった。当時の英報道は同機の飛行高度から「成層圏爆撃」と呼称していた。

 

昼間爆撃に3機が投入され、各機はC、G、Hと呼称された。午後3時に離陸し、ウィルヘルムスハーヴェンを高高度から狙う計画だった。

 

同飛行隊の公式記録がミッションで何があったかを伝えている。

G機C機は1650時から1700時の間で第一目標を高度28千、30千フィートからそれぞれこぐ駅下。G機は1,100ポンド爆弾4発を投下し、C機は1,100ポンド爆弾2発が切り離せず、投下したの2発だけだった。

 

爆弾が「切り離せない」とは爆弾倉から投下できず残ったままの状態で基地に帰投したことを意味する。

 

AIR MINISTRY

RAFのフォートレス Mk I に乗員が乗り込んでいる。同機はノーザンプトンシャアのポールブルックを出撃した。

 

爆弾破裂が視認されたが、爆弾4発はバウハーフェン港の西250ヤードに命中し、その他は150ヤードの間隔で南東に落下した。電気系統の故障で両機のカメラが使えず写真撮影はできなかった。

 

だがトラブルはさらに続き、航法用の「アストラドーム」のプレキシグラスが18千フィートを飛ぶG機で凍結した。公式記録では「火器管制」が「不可能」になったとあり、アストロドーム機能の不調がどこまで影響したかは不明だ。

 

NATIONAL ARCHIVES

第90飛行隊の作戦記録簿にB-17二機の初の戦闘記録が残る。

 

 

だが脱出に成功したのは同機に運があったことを意味する。メッサーシュミットBf 109戦闘機と思われる2機がフォートレスの2千フィート下に見つかったためだ。

(敵戦闘機は)上昇しいったん右舷600-800ヤードまで接近したが、一機は制御不能なスピンに入りそのまま600フィート下でスピンを続けた。二機目も攻撃を断念しスピン降下した。発砲はなかった。

MINISTRY OF AIRCRAFT PRODUCTION 

フォートレスMk I, AN529, が米国から到着した直後の姿。同機が1941年7月8日出撃の際のC機である。

 

三番目のH機もトラブルに見舞われた。高度28千フィートで潤滑油がなくなり、第一目標の爆撃を断念、北海の島ノルダーナイに1,100ポンド爆弾4発を4:45 PMに同じ高度から投下した。「街から500ヤードほど離れた砂州上に炸裂の様子が見られた」が、撮影写真上ではなんらの攻撃効果は見られなかった。ただし、H機のトラブルはこれで終わらず、戦闘記録に以下記載がある。

 

側方フラッターが発生したのは水平安定板で潤滑油が凍結し、厚さ7インチにもなったため、爆弾投下後に発生した。この対応のため高度15千フィートに降下したところ潤滑油が解凍し水平安定板が機能回復した。エアスクリュー(プロペラ)4基を逐次フェザリングしたが振動の解消につながらなかった。

 

戦闘デビューは不運に終わったが、同飛行隊は再度出撃しており、今度は別の三機がベルリンを7月23日に爆撃した。高高度爆撃を目指したが雲にさえぎられ、雷雲もあったため各機は爆弾投下できず帰投したのだった。

 

WAR OFFICE

ウィンストン・チャーチル首相がフォートレスMk. Iの飛行ぶりを視察した。

 

1941年9月までにRAFフォートレスは26回出撃し、延べ51機が動員された。だがうち半数が爆撃を中止し、一発も投下されずに終わった。初回出撃の際の問題以外に搭乗員はスペリー照準器のトラブル、機関銃の凍結にも苦しみ、7機を喪失した。

 

RAFが経験したフォートレス運用結果は芳しくなかったが、ドイツ首都まで収める航続距離が証明されたのは重要だ。英国はその後B-17は昼間爆撃に不適と判断した。ただし、理由は機体の欠陥というより自軍の戦術の不備によるものが大きい。

 

英空軍の戦術では爆撃機は個別に飛行する、あるいは小編隊で運用するものとされ、大編隊で相互に防御射撃を行う米陸軍航空軍(USAAF)の戦術と異なっていた。

 

BUNDESARCHIV

ドイツ空軍の訓練教材はUSAAFのB-17の防御兵器の範囲を示した。

 

RAFの爆撃飛行では高高度を取ることで生存性を高めようとしtが、結果としてルフトヴァフェ戦闘機の追撃を逃れることはできなかった。また精度が低下したのはスペリー照準器が米軍が使用したノーデン照準器より劣っていたためだ。高高度飛行により機体、搭乗員が過酷な低温にさらされた。

 

その後英軍はフォートレスを北アフリカで短期間使用したが、結局長距離対潜警戒任務に投入した。それはそれでよい成果をあげたといえる。その他にも当時の用語で無線対抗任務に投入し、航空電子戦のさきがけとしてドイツ防空体制の無線交信を妨害したものの、爆撃機としてはヨーロッパ戦線では使われなくなった。

 

この一方でボーイングは同機の基本設計を見直し、敵戦闘機の攻撃を受けても生存できるようにした。動力付き砲塔が追加され、.50口径機関銃2門をそれぞれコックピット後方、機首下に装着したほか、機後方にも.50機関銃に問の砲塔をつけた。

 

この改良型がB-17Eで、フライングフォートレスはUSAAFが運用しヨーロッパ戦線に1942年8月17日から再投入された。その日、12機変態でフランス北方ルーエンの鉄道操車場を襲撃した。機体損失は皆無だった。イングランドのポールブルックから出撃しており、英軍が一年前に使ったのと同じ基地だった。

 

その後B-17は第八空軍が昼間精密爆撃作戦で多用したことは著名な事実だが、同年中にUSAAFのB-17は300機超がイングランドに展開していた。1944年春に第八空軍のフライングフォートレス部隊は戦闘機援護を伴いベルリンへ爆撃行を展開し、消耗を続けるルフトヴァフェに対し爆撃効果の上昇を見せつけた。

 

ということでB-17は後期になり戦果を見せつたが、初期機体が実戦で示した不運な戦果を覚えている向きは皆無に近い。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。

The B-17 Bomber's Combat Debut 80 Years Ago Today Was A Fiasco Poor tactics and

Poor tactics and a lack of defensive armament saw the Flying Fortress withdrawn from European bomber operations in 1941.

BY THOMAS NEWDICK JULY 8, 2021

 

Contact the author: thomas@thedrive.com



2019年1月15日火曜日

今後は英空軍。機材稼働率の低下は予算だけの問題なのだろうか

英国でも国防体制の維持は大変なようです。機材価格が上昇していますが国防予算が縮小されると整備や保守管理の費目が後回しにされるのでしょうか。大型装備の導入の話題が続く日本とて笑ってばかりいられません。軍事装備の維持管理は民生部門よりも負担が大きい分だけ予算部門や政治指導層に正しい理解をお願いしたいところですね。

RIP RAF?: One-Third of Britain’s Air Force Can’t Fly 

英空軍機材の三分の一が飛行できない状態に

January 14, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RAFNATOMilitaryTechnologyAir ForceGreat Britian
空軍(RAF)で機材三分の一が飛行できない状態にあるとの報道が出ている。
デイリー・ミラー紙は「情報公開法で空軍保有の434機中142機が飛行不能と判明」と伝えた。
一部機材はモスボール状態にされ、大修理中の機材もある。機種も多様で英空軍の主力ユーロファイター・タイフーンも例外ではない。
「RAFのタイフーン155機で55機が『第一線機材』から外れている」と同紙は伝えている。本来ならすぐ稼働すべき第一線機材に「短期間使用不能機」が含まれている。
タイフーン以外でも「20機あるA400Mアトラス輸送機で稼働可能は5機、しかも引き渡しは2014年開始したばかり」とも伝えている。
ジェット練習機は半数超が地上に残る。「81機のホークT1ジェットでは44機が保存あるいは整備中」という。
レーダー警戒監視機材の稼働率が大変だ。E-3Dセントリー早期警戒統制機では6機中3機しか稼働できず、英議会では整備不良で稼働可能なのは一機のみとの指摘もあった。センチネルR1監視機では5機中3機しか飛べず、キングエア350は四機のみだ。
英軍ヘリコプターでも同様でチヌークは60機中19機が飛行不能、ピューマは23機中で可動可能なのは7機しかない。
ミラー紙は「RAFで唯一全機飛行可能な部隊はBAe146隊で王室や政府上層部の輸送用飛行隊であり、もうひとつF-35BライトニングIIジェット戦闘機も含まれる」とある。
予想通り野党はテレーザ・メイ首相率いる保守党政権攻撃の材料として利用しており、欧州連合からの離脱交渉での難航もある。英軍には別の装備品問題もあり、45型駆逐艦はペルシア湾での機関故障のため現在も港内に係留されたままであり、政府会計検査部門からは原子力潜水艦、装甲車両、F-35といった購入希望の資金が不足との警告もでている。
「保守党による予算削減で国防体制で大きな悪影響が出ておりこのままでは各種脅威に対応できない」と影の内閣の国防相ナイア・グリフィスが述べている。「2017年は海軍の年でフリゲート、駆逐艦の多数が何ヶ月も軍港で動けなかった。今度はRAFで、機材がこれだけ飛べない状況に驚かされる。保守党政権は国防予算を8年間倹約した結果を素直に受け止めるべきだ」
英軍は航空機が整備を受けるのは通常だと回答している。「実戦機材には整備対象や改修作業の対象機体あるいは保存中機体も含まれる」とRAF広報官は述べている。「現代の軍用機は極めて複雑な構造のため注意して管理整備しないと運用に耐えず必要な事態が生じた際に十分な数を確保できない」
自由民主党広報のミン・キャンベル卿も航空機が整備で第一線を離れることに理解を示す。「しかし英空軍の戦力の源泉はパイロットと機材だけでなく、現実の脅威が発生したときに出動させNATO作戦に派遣できることも重要です。こうした必要は保守管理より優先するはずです」
航空機整備に悩むのは英国だけではない。米会計検査院はF-22やB-52含む多数の機種で稼働率が低迷している事実を突き止め、原因は整備と部品不足とした。今年はじめにドイツ空軍のタイフーンでほぼ全数が飛行できない状態とも判明している。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Creative Commons.

2016年12月4日日曜日

12月4日のヘッドラインニュース



12月4日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

F-35開発推進室の存続はぎりぎりで認められた
2017年度国防予算許認可法案の政治的妥結でJPO共同開発推進室は廃止を免れたが、ペンタゴンは来年3月までに事業統括の代替策の提出を求められている。

ミニドローンを運用するオスプレイ
先行飛行させ着陸地点の情報を送る無人機をオスプレイに搭載する構想をペンタゴンが検討中。

EU防衛行動構想が公表された
加盟国の集団安全保障作として年間55億ユーロを基金に繰入れ、各国の防衛体制の変化を奨励する内容だ。既存の各国防衛方針の調整変更から装備調達までこれまでの方向性を変えようとするもの。

敵装備を乗っ取る新技術が開発中
米政府は産業界とともに敵通信制御を奪い、無人機など装備を自由に操る技術を開発中。これまでの技術は通信妨害に注力していたが、新技術Mesmerは通信の奪取が目標だ。
USSズムワルトの修理作業はどこまで進捗しているのか
パナマ運河で機関故障が発生し回航途中で修理を受けけている同艦だが、高性能誘導モーターからシャフト周りが浸水していた。出港の準備が整い、サンディエゴへ向かう。

ユーロファイター・タイフーンが南シナ海上空へ投入される
日本へ展開中のタイフーンを送る他、2020年に就航する英空母部隊も西太平洋に展開すると駐米英国大使が語った。ワシントンの会合での発言。駐米日本大使も同席し、日米英三国が安全保障で協議していることを明らかにした。タイフーンは10月末に日本へ到着している。




2016年9月17日土曜日

★★RAFタイフーン戦闘機他が日本へ、初の日英空戦演習ガーディアンノース16は10月に三沢で開催



三沢の空にタイフーンはじめ英空軍機がやってきます。航空自衛隊による発表と同時に英政府も在京英大使館経由で演習予定を公表しました。


Announcement: RAF Typhoon aircraft to visit Japan

First published:16 September 2016
RAF Typhoon aircraft to visit Japan
(c)Jamie Hunter
航空自衛隊幕僚監部は本日声明を発表し、初の日英航空戦闘機演習を三沢基地を舞台に10月中旬から11月初旬まで開催する。
演習は今年1月の外務・防衛閣僚会合(2+ 2)で実施が合意されていた。
英空軍はタイフーン4機、ヴォイジャー空中給油機、C-17輸送機を派遣し航空自衛隊はF-2およびF-15を参加させる。
航空自衛隊にとって米国以外の国との共同訓練は今回が初となる。演習は相互運用性を確認し、日英の協力関係を安全保障、防衛分野で広げるのが狙い。
演習名称は「ガーディアンノース16」で空自、RAFが安全保障の守り手として日本北部の演習空域を活用する。
日英両国は民主主義国家として価値観を共有し、法の支配原則の信奉でも一致する。ガーディアンノース16は両国が安全保障防衛部門での協力関係を深化させる一環となる。■