High-Speed Strike Weapon To Build On X-51 Flight
By Guy Norris
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: USAF
Guy Norris Los Angeles
スクラムジェット推進式X-51Aウェイブライダーは5月1日に高度64,000フィートで燃料を使い果たし、太平洋に落下し、同機開発計画は幕を下ろしたが、米空軍研究所は極超音速飛行の歴史が確実に一歩前進したことを確信できた。
飛
行時間6分でマッハ5.1に達した同機は空気取り入れ式極超音速飛行の歴史を塗り替える成果を示し、開発開始から9年、初飛行から2年でX-51A開発
チームは自由飛行方式でスクラムジェット推進の吸熱燃料endothermically fuelを使用した飛行体の有効性の証明に成功した。
こ
れからはデータ解析の段階となり、計画立案部門は次の機体へ関心を寄せている。X-51Aの成功は極超音速推進で長距離偵察、輸送あるいは空気取り入れ式
で初の宇宙アクセス可能な機体出現の可能性を示しており、近い将来ではミサイルとして応用できる。空軍の高速度兵器開発ロードマップの要求水準を参考にし
た高速度打撃兵器体系 High Speed Strike Weapon
(HSSW)の一部として応用が想定される。これは2020年をめどに基本型の実証作業が予定されている。この日程を見ると兵器としての利用は2020年
代中頃までに実現しそうだ。
.
ただし極超音速飛行開発は数々の失敗プロジェクトの歴史でもある。最近の国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research
Projects Agency's (Darpa)のHTV-2および極超音速飛行実証機Hypersonics Flight
Demonstration
(HyFly)に加えX-51Aも2011年2012年と連続して失敗しているのであり、5月1日の飛行成功はやっと成功したというべきだ。
「ま
だ丘の上の岩ころを一つにすぎません」と謙虚に語るのはAFRLでX-51A計画責任者をつとめるチャーリー・ブリンク Charlie
Brinkだ。「もう少しで転機が来るとわかっていました。軍はこの技術の潜在意義に兵器としての可能性を見ていますが、今回のテストで科学技術面で大き
な意義があったと思います」 一方、ボーイングのファントムワークスでX-51A担当の責任者であったジョセフ・ヴォーゲルJoseph
Vogelは「初飛行の段階で問題の解決の方向性は理解できたのですが、信頼性確立のためには本当の成功をおさめる必要があり、それがミッションとなって
いました。」と語る。
ブ
リンクによるとX-51Aの成功から研究開発陣には改良点のリストができており、戦術級極超音速兵器開発に応用できるという。基本的にはX-51Aと同等
の速度と機体寸法でHSSWのモデルが製作され、B-2AやF-35の兵装庫に収まるサイズとなる。議会公聴会で4月に空軍副次官補デイビッド・ウォー
カーDeputy Assistant Air Force Secretary David Walker
は「適当な高度から発射して性能を発揮できるエンジン開発も必要。飛行実証は戦術的に意味のあるマッハ5以上の速度で空気吸い込み式ミサイルとして実施さ
れるだろう」と発言している。
「ス
クラムジェット技術ならX-51のような軽量機がマッハ5か6で500から600海里先の目標に10分から12分で到達できる。戦闘対応性を広く確保でき
る」とブリンクは言う。同機の実用飛行高度は 60,000から80,000 ftで「生存性に新しい意味が生まれる」とも言う。
ブ
リンク、ヴォーゲル他のX-51A開発チームはプラット・アンド・ホイットニー、Darpa、NASA,
Navair(海軍航空本部)、空軍の第412飛行実験隊(在 カリフォーニア州エドワーズ空軍基地)と共同で先日の実験をエドワーズのカーク飛行テスト
センターから見守っていた。「本当にハラハラして緊張がみなぎっていましたね」とヴォーゲルは振り返る。ドラマをさらに盛り上げたのはB-52H母機の離
陸が目的地ポイントマグー海軍演習海域に霧発生のため遅延したことだった。
こ
のB-52Hはエドワーズを離陸し、高度50,000
ftまで上昇のため燃料搭載を減らし軽量化をした制約条件で飛行していた。同機は陸軍戦術ミサイルシステム (Atacms)
のブースターを主翼下に搭載。「文字通り一発勝負で正しい方向に向かったため青信号を出しました」とティモシー・ジョリス中佐(第412試験飛行隊)は言
う。
発
射地点まで到達したことでX-51Aはマッハ0.8で飛行中の母機が投下された。Atacmsが点火し、X-51A含む中間ステージに29秒にわたり推進
力を与えた。その時点で高度は 63,000
ft.速度マッハ4.9。X-51Aは分離して惰性でマッハ4.8になったところでスクラムジェットが作動しエチレンを燃焼。その後JP-7炭化水素燃料
に切り替え前回の飛行で失敗した段階を克服した。同機はその後210秒間飛行を続け、スクラムジェット推進で高度 64,000
ft.へ上昇し動圧dynamic pressure (q)軌道は平方フィートあたり 2,200-2,350 lb. で安定した。最大加速度は
0.2gを超えたとブリンクが明らかにした。
同
機はマッハ5.1まで到達したあと加速中に燃料タンクが空になったとヴォーゲルは言う。最初の段階で燃料は燃焼器の末端に霧状に散布され空気と燃料の混合
燃焼の衝撃で空気取り入れ口からの逆流を防ぐことで「不発」が発生しない設計だ。加速すると燃料はさらに前部方向へ噴射されて空気取り入れ口の圧力変化に
対応し、推力増加につながるようにする。これが第一回目の飛行ではうまくいかず、飛行65秒経過後に失敗している。
5月1日の飛行では「最初の吹付け段階に加え飛行中の燃料噴射にも成功し、機体は加速を続けました。これは初回テストでは失敗したことなので自分で合格マークを出しましたね。」(ブリンク)
X-
51Aは当初マッハ6以上の飛行速度に挑戦する予定だったが実際にはマッハ5.1を超えた飛行は未実施。ブリンクは飛行テスト初期段階では「飛行時間と
マッハ6の関係を議論していましたが、その結果としてエンジン加速制御の実証のほうが重要で、完全に燃料を消費するまで飛行させること、極超音速での飛行
制御のほうが大切となりました。5.1が目標だったとは申しません。マッハ5の中間になると思っていましたが、空気取り入れ口の重心により空気がくさび型
になる量が増えました。さらにカウリングでも変更がありました。そのため抗力が増えたことは判明していました。」
エ
ンジン停止で無動力状態になった機体に各種の指示が与えられ空力特性上の機体取り扱いと制御性の確認が行われた。これらのデータは減速と平行して集めら
れ、「機体の安全度を実現するために」(ジョリス中佐)使われるという。テストが無動力状態時に実施されたのは「エンジンのパラメータは判明していたた
め。機体そのものの理解を深めるべく、エンジンが切れた状態で純粋な空力特性を見ることにしたわけです。」 機体はピッチ、ロール、ヨーを入力して反応は
NASAが作成した予測データと比較検証された。
高
度 20,000
ft.で遠隔測定データが途切れるまでテスト結果はモニターした。ポイントマグーとヴァンデンヴァーグ空軍基地からのレーダー追跡と遠隔データモニターが
中断したためだが、海軍のNP-3Dデータ中継機が受信していた。「海面突入までのデータは回収できました。今回はほしかったデータが得られたので有頂天
というところです」とブリンクはまとめた。■