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2025年6月24日火曜日

C-17 グローブマスターIIIの生産再開は実現するのか――ボーイングが直面する現実的な課題

 


(The National Interest記事を基に作成しました)

生産終了から約10年、ボーイングが再びC-17 グローブマスターIIIの製造を検討中だが、それは決して簡単な話ではない――そして、費用も莫大だ。C-17の生産再開構想は魅力的だが、現実は厳しい。

月開催されたパリ航空ショーで、ボーイング・グローバル・サービス部門の副社長トゥルビョーン・ショーグレンは、C-17への国際的な関心が高まっていることを認めた。しかし、ボーイングには生産能力がなく、後継機の計画も存在しない。

「現時点でこの航空機に代わる新しい計画は存在していません。そのため、アメリカ空軍および国際的な運用国と連携し、延命および近代化プログラムを実施しています」と(ショーグレン)。

世界的な需要増——しかし障害も多い

アメリカ空軍は現在も223機のC-17を運用中で、イギリス、オーストラリア、カナダ、インド、カタール、UAE、クウェート、NATO加盟国などの同盟国でも現役で使用されている。その高い搭載能力(約45トン)と、荒れた短い滑走路(1,000m以下)での運用能力は、他機にはない特長だ。

日本を含む複数国が購入を希望しているが、生産が終了しているため手に入らない。M1エイブラムス戦車を空輸できる戦略輸送機はC-17のみであり、エアバスA400M、エンブラエルC-390、川崎C-2などの競合機ではその任務をこなせない。

ロングビーチ工場という壁

最大の障害は生産拠点だ。ボーイングは以前、カリフォルニア州ロングビーチにあったC-17の生産工場を閉鎖しており、その土地は現在売却中。新たに工場を建設するには、時間と数十億ドル単位のコストがかかる。

 RANDコーポレーションによる2013年の試算では、生産を再開して150機を製造すると**約80億ドル(約1兆円)**が必要だとされている。

 現在の見込み需要が「数十機」規模であることを考えると、投資回収(ROI)は見込めず、ボーイングにはリスクの高い賭けとなる。

同盟国にとっての戦略的価値

インド太平洋の緊張が高まるなか、日本がC-17に興味を持つのは当然だ。災害対応や戦略的移動力、抑止力の観点から、長距離輸送能力は不可欠だが、アメリカも手放す余裕がない今、どこからも調達できないのが現実だ。

 ボーイングはセントルイスでF-15EXを生産中であり、第6世代戦闘機「F-47」への転換も視野に入ってきた。C-17の再生産ラインに資源を振り分ける余地は小さいのかもしれない。

代替機なき時代へ

 後継機の計画が存在しない今、C-17の運用寿命は2070年まで延長される見込みだが、それまでの数十年を現有機体でしのげるかは不透明だ。

 ボーイングは既存機の延命とサポートに注力しているが、世界の戦略空輸ニーズにそれだけで対応しきれるのか――注目が集まっている。



2013年9月22日日曜日

ボーイングC-17生産は2015年に終了

Boeing To End Production Of C-17 In 2015

By Jen DiMascio
Source: Aerospace Daily & Defense Report
aviationweek.com September 19, 2013

海外発注の低迷および米国防予算削減に伴う不確実性を理由に、ボーイングはC-17生産ラインを2015年に閉鎖する。同社が発表した。
  1. 「生産終了は困難だが必要な決断」とボーイング防衛部門の社長CEO、デニス・ムレンブーグ Dennis Muilenburg は声明文を発表。
  2. ボーイングは海外顧客複数が発注している22機を完成させてから生産ラインを閉じる。
  3. 今回の決定で影響を受けるのは3,000人規模で、多くがカリフォーニア州ロングビーチの同社最終組立工場で働いている。発表はセントルイス、メイコン(ジョージア州)、メサ(アリゾナ州)の同社事業所にも同時中継され従業員が聞いた。従業員削減とサプライチェーンへの影響が発生するのは2014年以降とC-17担当副社長ナン・ブーチャード Nan Bouchard が発表。ブーチャードによればロングビーチ工場ではこれ以外の生産予定はないという。
  4. これから生産する22機のうち、2機は非公表国向けで7機がインド向けだ。インドは10機発注。
  5. 「インドには追加発注を打診しています」とブーチャードは語り、インド政府の追加発注の決定を引き伸ばし手も受け入れるつもりだという。ただし残る13機については発注が確定していない。
  6. 先の未公表の発注元について同副社長は語ろうとしないが、可能性のあるのはクウェート、アルジェリア、サウジアラビアだろう。ボーイングはすでに同機を導入しているオースラリア、カナダ、インド、カタール、UAE、英国および12カ国構成のNATO平和のための戦略空輸能力構想への追加販売もありうる。
  7. ボーイングは米空軍と製造後契約を取り交わしており、同機の製造工具類を保持し予備部品供給を継続するこれにより米空軍向けにC-17 生産再開も可能だが、ブーチャードは「その予定はない」と語る。
  8. またロングビーチ工場はボーイング所有の施設のため閉鎖費用の一部しか空軍が負担しないという。.
  9. グローブマスターの初飛行1991年からの累計は2.6百万飛行時間に上る。空軍は223機を購入したほかボーイングは上記各国への機材引渡しをしている。

コメント: 発注元がなくても機材の生産をしてしまうところが民間航空との違いでしょうか。日本も貿易黒字だったらトラブル続くC-2ではなく売り先のない機材をまとめて購入していたかもしれませんね。