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2019年4月10日水曜日

欧州の安全保障でドイツの現状が要注意

コメントは下にあります。

Why Germany Should Further Boost Defense Spending, and Why It Probably Won’t

国防予算を増やす必要があるのにドイツがおそらく増やさない理由とは
Also: why the Trump administration should shut up about it.

German Army soldiers dismantle a bridge over the Neris river during the NATO military exercise 'Iron Wolf 2017' at the village Stasenai, some 130kms (80 miles) west-north of the capital Vilnius, Lithuania, Tuesday, June 20, 2017.

BY FRANZ-STEFAN GADYREAD BIO
MARCH 19, 2019



ランス大統領エマニュエル・マクロンが3月4日にヨーロッパに挑戦状を突きつけた。新しい「欧州ルネサンス」として国防予算増加とともに防衛安全保障の新しい条約整備を提起したのだ。さっそくドイツから賛同の声があがった。中道右寄りキリスト教民主同盟党首アンネグレート・クランプ=カレンバウアーも提案5点を発表した。「欧州空母」建造や欧州戦略機構の再構築でグローバル規模の安全保障と平和の守り手になるという内容だった。

ただしクランプ=カレンバウアー構想が象徴的以上の存在になる可能性は当面ない。マクロンには悪いニュースで欧州の雄たる仏独両国への支援がないと政治改革も不可能となるからだ。

ドイツにも悪いニュースだ。軍事冒険主義と全体主義国家の過去に未だにとらわれている同国政界は軍事力への慎重な姿勢がなかなか見直せない。だが世界は新段階に入ろうとしており、米中ロ三大国がむきだしの権力抗争に向かう。欧州はその中に挟まれ、ドイツが「世界内政治」と称してきた「軍事力行使を厳しく制限しつつ仲裁には正統な根拠を認める国際間のしくみ」が急速崩壊する可能性が出てきたのだ。

ドイツは簡単に納得しない。2018年9月の世論調査でドイツ国民の43パーセントが国防予算増を支持したが、55%はトイツは国際紛争でこれ以上の外交軍事両面の役割を果たすべきでないと回答した。

ドイツ国民は軍事力に大きな関心を示さない。ドイツの地方レストランで地元民に話してみればいい。戦争とは過去の戦争、第二次大戦のことであり将来ドイツで発生する戦闘は想定していない。

アフガニスタンにドイツ連邦軍が派遣されているが報道に登場することは稀だ。戦争とはどこか別の場所の話で国内の安全と無関係というのだ。

クランプ=カレンバウアーもその他ドイツ政治家同様にフランスが主張する軍事面で強い欧州の主張に加わり各国が「強硬な外交政策を志向」する「戯れ」が発生しない主張を口にするもののこれまでは言行不一致だった。

その好例がドイツ蔵相オラフ・ショルツで国防予算増に反対姿勢をくりかえし示している。だがその姿勢ではNATO加盟国で合意ずみの2024年までに経済規模の1.5パーセント相当を軍事費に計上する約束を実行する意思がドイツにあるのか疑問となる。

ショルツは社会民主党員でCDU、キリスト教社会連盟と連立政権を組んでいる。同党はドイツの国防姿勢・政策の大変更に一貫して反対しており、とくに防衛装備輸出に強く反対している。その例がトーネード戦闘機で85機が2025年から退役するが後継機選定を先送りしている。一部機材はNATO核戦力共有によりドイツが管理する核弾頭を運用する。後継機種が決まらないとNATO核戦力におけるドイツの影響力は消えてしまう。
ドイツの歴史をみれば軍事力行使含めたドイツ外交力の増強と国防予算増が必要な理由が見えてくる。

まず米主導の自由体制の動きが鈍いことで世界はさらに危険な場所となり、安全保障と経済の両面への影響が必至だ。ドイツ経済は輸出に大きく依存している。2018年の財の輸出は1.547兆米ドル。米海軍が海洋支配機能を失えばドイツ海軍では人員装備ともにそのかわりは務められず、ドイツの経済活動に重要な海運の防御はできない。

次にドイツ国内でINF条約終了の議論が不在であったのはドイツ、欧州の安全保障の仕組みに驚くほど理解がないことのあらわれだ。通常戦力核戦力双方による抑止力機能、国防予算の増額、軍事対応力の向上は自動的に戦争につながるものではなく実は敵対勢力が強硬手段に出るのを防ぐ意味があるのに理解されていない。連邦軍の実力が伸びれば大規模戦にドイツが巻き込まれるリスクも減る。

三番目にロシアはじめとする現状変更勢力はドイツの安全に現実の危険となっている。プーチンの外交目標はふたつ、NATOとEUの解体だ。2つともドイツの安全を支える屋台骨である。このためドイツとロシアはパートナーになりえない。軍事面で弱いドイツはバルト海沿岸でロシアを勇気づけてしまう。

四番目にドイツ連邦軍は安定化任務の枠を超え海外戦闘も視野にいれるべきだ。その例としてアフリカや中東で国家破綻の状況が生まれれば危機連鎖を防ぐ、あるいは欧州へ向かう難民に対応する必要があるはずだ。

最後にドイツ政界は通常戦力を充実したドイツ軍によりNATO内でドイツの交渉力が強まる事を忘れてはならない。これにより欧州全体もトランプ政権への交渉力が強まる。(米政府が口出しをやめればドイツはNATO支出目標に向かう。ドイツが2024年までに2パーセント支出目標は達成できない言うのを聞いた米大使が『受け入れがたい』と発言したのは逆効果だった。ドイツで大変不人気なトランプも国防支出を増やしているメルケルが持ち上げたのは逆効果だった。)

それでも現在の地政学的環境で軍事力増強を進める必要性を同国が理解し始めた兆候もある。2018年の世論調査でドイツ人の最大の恐怖としてトランプ大統領と危険度をます世界情勢を70パーセントが上げた。フランスとドイツは次期主力戦車、次世代戦闘機を共同開発中だ。また汎欧州防衛構想の各種仕組みづくりでも協力しており、アーヘン条約で定めた防衛への取り組みをともに再確認した。

ドイツ政界はマクロン提案の機会をとらえ、国防予算を増やし主張できる外交防衛戦略を展開すべきだ。これができないとドイツの安全保障は脆弱となり、ドイツ経済が弱くなるだけでなくこれまで守ってきた欧州の平和が危うくなる。■

一昨年辺りからドイツ軍の窮状が伝えられ、(まともに稼働出来る装備が減少、F-35導入を主張した空軍トップが更迭された等)どうしてこうなるのかと疑問に思ってきましたが、やはり政治が悪いのですね。日本でも現実に目を向けず夢想的な世界観を持った政治家は多いようですが、政権党がこれでは困りますね。しかし政治家を選挙で選んだのは国民なのでつまるところ国民の資質というか意識なんでしょうね。日本も偉そうなことは言えませんが、2010年代に入りこれまでと安全保障面でも現実世界に即した意識に目覚めてきた人が多い気がします。ドイツの動向には今後も注視していきます

2014年1月10日金曜日

一筋縄ではいかない欧州の防衛装備協力体制


かつて欧州各国は列強と呼ばれていましたが、今や一国ですべての防衛体制を整備できなくなるところまで来ています。しかし総論賛成各論反対ではなかなか共同整備が実現しそうもないですね。こんなところにヨーロッパ世界の限界が見えてきます。それにしてもユーロのような人工通貨のいんちきさはいつ破綻するのでしょうか。


Europe Takes New Steps Toward Defense Cooperation

By Amy Svitak
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com December 30, 2013
Credit: Sgt Pete Mobbs RAF Crown Copyright

ヨーロッパの共同防衛整備の可能性が12月に一歩遠のいた。ブリュッセルでの防衛サミットが不調に終わり、ヨーロッパ版無人航空機(UAV)他での協力事業で具体的な動きが出なかったためだ。
  1. 欧州理事会で28か国の首脳が合意を見たのが中核分野での共通ロードマップ作成と要求性能水準の把握だ。次世代UAVに加え、空中給油、衛星通信、サイバー安全保障のプロジェクトが想定されている。 
  2. ただし加盟各国は共同開発では具体的な負担策の表明を避けており、総論で合意しただけ。それでもEU加盟28か国が共通防衛戦略の検討開始に合意したことが前進の印とみられている。 
  3. 防衛サミットは5年ぶりで、加盟各国は「戦略再検討」を2015年中に行い、防衛戦力整備の主要4分野の進捗を点検することで合意した。各分野は欧州防衛庁 European Defense Agency (EDA) が策定したもの。
  4. UAVについては加盟各国でヨーロッパ版中高度長距離飛行可能なMALEシステムの工程表作成が合意されている。
  5. 2013年にフランス、ドイツ、イタリアの各防衛産業企業からEU加盟各国にUAV開発の出遅れを取り戻すチャンスを訴えていた。この意見を表明したのはドイツのエアバス・ディフェンス&スペース、フランスのダッソーエイビエーションとイタリアのフィンメカニカで昨年5月にフランスが米国製MQ-9リーパーを最大で16機導入する決定をしたことへの対応である。フランスはマリ内乱への介入でISR(情報収集、監視、偵察)能力の不足を痛感させられ、てっとり早い解決策を求めたのだ。
  6. なお、リーパーは英国とイタリアがすでに運用中で、フランスとおオランダがここに加わろうとしている。
  7. 11月にはEDAの呼びかけでMALE UAVユーザーコミュニティがフランス、ドイツ、ギリシア、イタリア、オランダ、ポーランド、スペインが加盟して発足している。それとは別にEDAは加盟8か国(オーストリア、ベルギー、チェコ、ドイツ、フランス、イタリア、英国)に50百万ユーロ(68百万ドル)を拠出させUAVを欧州の空域に共存させる研究を行っている。.
  8. 理事会ではEU全域に適用するUAV型式証明規程を2016年までに整備する目標を承認しており、これは業界にとって歓迎すべき動きだ。
  9. 「欧州での防衛装備型式証明手続きは悪夢そのもの」とヨーロッパの専門家は評する。「開発費用のおよそ2割が手続きに食われています」
  10. 同専門家は理事会サミットの結果に期待しないものの、各国政府が共通型式証明の樹立を2016年目標にすえることが必要と認識したのは評価している。
  11. 衛星通信分野では5か国が共同でユーザーグループを結成しており、次世代通信衛星の開発ロードマップを作成中だ。
  12. 現在独自の軍用通信衛星を運用中なのはドイツ、スペイン、フランス、イタリア、英国だが、衛星の中には数年以内に耐用限界に達するものが出てくる。
  13. 空中給油では理事会はここまでの進展に満足しており、昨年は9か国にノルウェーが加わり給油機の共同調達の内示書に署名している。オランダが音頭をとり、2020年に新型給油機が運用可能となるとみられ、機種はエアバスA330を基にした多用途輸送給油機になるだろう。.
  14. 理事会で討議はしたものの議決しなかったのは軍事活動費用の共同支出であり、念頭にあるのはフランスによる中央アフリカ共和国での作戦だ。
  15. フランスがEUの財政支援を求めているのは欧州全体に代わり同国が実施しているとの主張からだ。