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2025年1月20日月曜日

中国は核オプションの栓を抜く準備ができているのか?(Air & Space Forces Magazine)

 



国は米国の想定以上に核先制攻撃の準備をしている可能性があり、太平洋地域で「限定核戦争」の恐怖が高まっていると専門家が警告している。

 米国は「将来のインド太平洋地域における危機シナリオにおいて、限定的な核兵器の使用の可能性が高まっている」と、大西洋評議会Atlantic Councilの新しい報告書が指摘している。2024年9月の報告書は、軍事演習に加え、中国の公式声明や内部工作の分析から、台湾侵攻の試みが失敗に終われば、中国は「先制不使用」政策を放棄するだろうと主張している。

 中国がいつ、どのようにして核兵器を使用する可能性があるかに関する米国の「制度上の想定」には「欠陥がある」と著者は述べている。米国の国家安全保障および国防戦略は、増大する中国の核兵器備蓄と、侵攻が失敗に終わった場合にグアムの米軍に対して核戦略を採用し、地域核兵器を使用する可能性を考慮する必要がある。

 ジョン・カルバーは、大西洋評議会のグローバル・チャイナ・ハブの上級研究員で、長年CIAで東アジア問題を専門に分析を行ってきた。カルバーは、核保有国が核兵器を使用せず発射を控えるという想定は証明されていないと述べた。

 中国は「核兵器を使用する覚悟ができている」と、カルバーは研究発表のウェビナーで述べた。

 カルバー、デビッド・O・シュルマン、キッシュ・リャオ、サマンサ・ウォンは、報告書「米国の戦略を、中国が核保有国として台頭することを考慮したものに適応させる」を共同執筆した。

 この報告書は、2032年を舞台とした軍事演習を基にしており、その中で中国は台湾を侵略するが、脆弱な足場しか確保できない。その後の増援部隊が米国と台湾軍の予想以上の抵抗で撃破されたことで、中国は「勝利を主張できる信頼性の高い出口」を失うことになる。この課題に直面した習近平国家主席は、核兵器を使用するか、あるいは敗北を受け入れるかの結果を考慮しなければならない。

 「このような失敗を防ぐ必要性から、侵攻が開始された後は、核兵器の使用を含むあらゆる手段の使用が正当化される可能性が高い」と著者は結論づけている。

 この軍事演習では、「ブルー」の米軍部隊は、「レッド」部隊が「2つの超大型爆弾でグアムを攻撃した」際に驚いたと、カルバーは述べた。1発は空軍基地を、もう1発は海軍基地を攻撃し、グアムは事実上、中国に対する長距離攻撃の発射台として、また西太平洋における同盟軍を維持するための後方支援拠点として「ゲームから除外」された。 

 レッドチームは、弾道ミサイル潜水艦から米軍および西海岸の基地に向けて通常兵器を長距離発射し、少なくとも1発はグアム上空を通過した。ミサイルは迎撃されたが、明確なメッセージは、これらは核兵器であってもおかしくないということだった。レッドチームは、カウンタースペースおよびサイバー攻撃も実施し、一方、ブルーチームは通常戦闘を展開した。

 一方、地域の同盟国を代表する「グリーン」チームは大きな打撃を受け、「核安全保障の保証を彼らに与えるためには、米国が相応の対応をすることが必要だ」と主張した。核抑止力の保証の信頼性を維持するために、ブルーチームはこれを実行した。

 カルバーによると、習は世界が「地殻変動」の真っ只中にあり、第一次世界大戦後の大帝国の崩壊と新世界秩序の形成に似たリセットが発生中と見ているという。

 ロシアによるウクライナ侵攻やその他の出来事は、習に「大国間の戦争や核戦争さえも、冷戦終結以来、机上の空論となっていたものが再び現実味を帯びてきた」ことを示していると、カルバーは述べた。

 近年、習はミサイルおよび核戦力を本格的な軍事力に格上げし、それらの重要性を高めているとカルバーは指摘した。「より危険な新世界が出現し、戦争の可能性が高まっている今、最低限の抑止力能力を維持することはもはや中国の利益に適っていない。特に大国間の戦争の可能性が高まっている」。 

 中国は過去に少なくとも3回は「核による脅迫」を受けたと考えることを受け入れているが、もう二度とそうはしないと決めたと、カルバーは述べた。

 一方、米国政府は中国の進化する戦略がもたらす課題にまだ気づいていない。米国の戦略家たちは、中国の核開発計画を「最低限の報復態勢を維持する戦略的戦力の構築」と見なしているが、一方で「中国は今、新たに手に入れた核兵器を積極的に使用して、対抗勢力を抑止または強制し、自国の核心的利益を守る可能性が高まっている」と報告書は述べている。

 しかし、北京には「国内の政治的利益に悪影響を及ぼす可能性のあると認識される外部脅威」に対抗するた、その力を行使する意思がある。

 一方、報告書では「米国政府の意思決定プロセスにおける構造的な問題」が核エスカレーションを妨げていると指摘している。これには、危機に直面した際に「ばらばらで…欠陥のある提言」につながる可能性のある「断片化」や意思決定の縦割り構造が含まれる。

 著者は、「これらのばらばらのCOA(行動方針)に含まれる中国の核心的利益の誤読は、米国が通常戦争に勝利し核抑止力を維持することの間の緊張を生み出し、また、希少な軍事資源における不確実なトレードオフを生み出す」と主張している。

 結局、米国が「中国が核兵器と核兵器運搬手段を急速に増強するにつれ、核保有国としての地位にふさわしい行動を取る」認識がないことが、最も深刻なリスクをもたらす。ここから「中国が核兵器の先制使用を考えていないと誤って想定する」ことにつながり、ひいては米国と中国を不用意なエスカレーションのスパイラルに陥らせ、最終的に核戦争を引き起こす可能性がある。


同盟国とシグナル

中国との熱い戦争において、日本と韓国は米国に「核によるシグナルを強化する」よう圧力をかけ、「核の領域でエスカレートする」可能性が高いと報告書は述べている。特に、これらの国々がすでに紛争で軍を失い、攻撃が継続する可能性に脆弱性を感じている場合である。

 また、戦略を複雑にしているのは、中国とロシアの関係だ。報告書は、これが「中国の核の先制使用に関する意思決定の計算を形作る」可能性があると述べている。ロシアはインド太平洋地域で「あらゆる危機を悪用」し、他地域での自国目的を追求する可能性があり、また「自国の目的を達成するために核による威嚇を行う」可能性もあると付け加えている。

 米国の核戦略は「冷戦時代の歴史的記憶に基づくもの」であると報告書は記しているが、中国を核保有国として扱うには、異なる戦略が必要である。

 「ロシアのシグナリングは攻撃的でエスカレーションを伴い、明確に伝えられているが、中国のシグナリング方法は微妙かつ曖昧である傾向がある」と方向書は記している。「中国は意図的にこうした曖昧なレッドラインを作り出しており、その理由の一部は、米国および同盟国の意思決定プロセスがリスク回避的であるとことを利用するためである」。

 米国は、10年後までに中国の核戦力は1,000発以上の弾頭を配備可能になると推定しているが、北京は核戦力について口を閉ざしている。しかし、中国の核兵器の在庫は依然として米国やロシアの備蓄を下回っているため、北京は戦略兵器協議への参加を求めるすべての招待を無視したままだ。

 「中国の核兵器の透明性の欠如は、歴史的に劣っていた核戦力に起因している可能性がある」と報告書は述べている。しかし、中国が米国およびロシアと核兵器の面で対等になるよう強化していくにつれ、中国が「核能力と意図についてより透明性を高めるよう説得される」可能性もあります。

 報告書は、北京が「新たに得た核保有国としての地位を安全に活用して国家目標を達成するためには、危機の前後において核の意図と能力の透明性を高める必要がある」と主張している。中国の公式表明にある核政策と実際の動機、行動、意図との間のこのギャップを埋めるためには、より明確な説明が必要である。

 中国パワープロジェクトのディレクターであり、戦略国際問題研究所の上級研究員であるボニー・リンは、ウェビナーで、この軍事演習では中国とロシアの間で起こり得る調整の程度が過小評価されていると述べた。

 「中国はロシアに許可を求めるつもりはないでしょう。中国はロシアにすべての動きを伝えるつもりもないでしょう。しかし、私はロシアが早い段階で、おそらく侵攻が始まる前から支援を行うと見ています」と彼女は述べた。

 リンは、この演習で中国と米国間の深刻な「危機管理コミュニケーションの欠如」が明らかになったと述べた。これは、米国の指導者が北京に対して提起してきた懸念事項である。

 この軍事演習に参加したグローバル・タイワン・インスティテュートのシニア・ノンレジデント・フェロー、エリック・チャンは、中国による核攻撃は「米国または台湾を後退させる」ことにはならないだろうと述べた。むしろ、通常兵器による攻撃を加速させることになり、中国への抵抗という観点では、台湾にとって「ゲームのルールが大きく変わる」ことになるだろうと彼は述べた。

 今回の軍事演習は、台湾が兵器を蓄え、長期戦に備えることが正しい選択であることを示唆している。

 「ウクライナがプーチン大統領の核の脅威に対して備え、耐性を持っていることが、プーチンがウクライナに核兵器を使用していない2つの理由のうちの1つである」と彼は述べた。

 ジョー・バイデン大統領は「ウクライナで戦術核兵器が使用された場合、米国は通常戦力の航空力を用いてウクライナの戦力を一掃する」とプーチンに静かに警告している。また、「ウクライナはプーチンの核使用に対してぐらつくような兆候は一切示しておらず、核使用の脅威を減少させている」ことも重要である。

 また、カルバーはウェビナーで、米露間の軍備管理条約のほとんどが近年「一掃」されたが、来年更新期限を迎えるSALT II協定は例外であると指摘した。

 ロシアは更新しない可能性を示唆している。SALTの下では、ロシアと米国は配備可能な弾頭数を1,550発に抑えており、その多くは「旧式の…空中投下爆弾」であるとカルバーは述べた。

 中国の核ICBM能力の急拡大は、全体的な状況を一変させ、核戦争はここ数十年よりも現実味を帯びてきている。

「もはや『考えられないことを考える』必要がなくなった状況全体が…薄れつつある」とカルバーは言う。中国は「自国が何をしているのか」、近隣諸国や反対派に「説明責任がある」のだ。■

S&P: Is China Prepared to Uncork the Nuclear Option?

By John A. Tirpak

Nov. 1, 2024


https://www.airandspaceforces.com/article/sp-is-china-prepared-to-uncork-the-nuclear-option/


2020年1月15日水曜日

中東が戦火に包まれないのはイスラエルの核兵器のおかげなのに現実を直視できない日本

日本人にとってイスラエルの存在は理解しにくいようです。イランが自制しているのはトランプが怖いからではなく、イスラエルがいるからでしょう。その背後に核兵器があり、だからイランは核兵器開発に躍起となり、イスラエルは核の独占を破られるのを恐れ、イランを牽制しているではないでしょうか。核兵器を道徳上の悪と非難する向きがありますが、現実の世界では抑止力を生む核兵器は保険として有効です。ただし、保有していてもノーコメントを何十年も貫ける個性の強さがユダヤの強みなのでしょう。某半島の民族には無理ですね


2016年9月、元国務長官コリン・パウウェル陸軍退役大将がイスラエルが「核弾頭200発」を保有と電子メールでほのめかし大騒動になった。数字は誇張気味だが、噂は広がった。イスラエルの核兵器は通常戦での敗北を阻止し、核・化学・生物兵器による敵国の攻撃を抑止する働きをしている。目標は一つ。イスラエル崩壊を防ぐことだ。

イスラエルが核兵器開発を決めたのは1950年代のことだ。ベン-グリオン大統領は敵国に包囲されたイスラエルの生存の鍵は核兵器と執念を燃やしていたと言われる。貧しく生まれたばかりの小国イスラエルには過大な夢だったが、イスラエルに大国から安全保証はなかった。自力で、時にはブラックマーケットで通常兵器を調達してイスラエル国防軍の装備を整えた。迫害を経て自決の道に歩みだした同国民にとって核兵器は究極の保険手段だった。

ベングリオンは科学顧問エルネスト・ディヴィッド・バーグマンに極秘核開発をイスラエル原子力委員会から指揮するよう求めた。後に大統領、首相を歴任したシモン・ペレスはイスラエルに親近感を覚えるフランスへ接触し、大型重水炉がプルトニウム再処理工場と供与された。使用済み核燃料は核兵器の重要な材料となる。原子炉はネゲブ砂漠の中、ディモナに作られた。1960年代末の米国の評価ではイスラエルの核兵器装備は「ありえる」とあり、米国は核開発を遅らせようとし、イスラエルが核非拡散条約に加盟すれば動きがとれなくなると考えていた。1969年9月、ニクソン大統領はイスラエル首相ゴルダ・メイヤと秘密合意に至り米国は査察をやめ、イスラエルは非拡散に合意し、見返りにイスラエルは核兵器の保有宣言も核実験も公表しないという内容だったと言われる。

イスラエルにとって初の危険状況はすぐにやってきた。1973年のヨム・キッパ戦役でアラブ各国軍は奇襲攻撃に成功し、イスラエル地上部隊はシナイ砂漠、ゴラン高原の双方で敗走を強いられた。イスラエルの核爆弾が出撃体制に入り、ジェリコI対地ミサイル、F-4ファントムに搭載された。イスラエルの反抗の決意は固く、双方の戦線で状況を変えルノに成功したが、核兵器は使われなかった。

当時のイスラエル核兵器の実態は不詳だ。何発あったのか、威力はどれくらいだったのか。イスラエルは通常兵器では数の上は劣勢だが周囲に核保有国はなく、イスラエルが戦術核兵器数発でアラブ連合軍の戦車部隊、軍事基地、飛行場を破壊できたはずだ。イスラエルから周辺国への距離が短いため、カイロやダマスカスもネゲブ砂漠から狙えたはずだ。

イスラエルは核兵器保有を否定も肯定もしない。専門家は概ね同国が核兵器約80発を保有と見ており、規模はフランス、中国、英国より小さいが、依然として周囲の敵対国は保有していない。イスラエル版の「核三本柱」で陸海空の各軍が敵の奇襲核先制攻撃を抑止している。

イスラエル初の核兵器は重力落下式爆弾だったはずだ。F-4ファントムが初の核攻撃機材だった。その後の核爆弾が小型化され、F-15IやF-16Iで運用可能になった。ミサイル技術の進歩により重力落下式爆弾は時代遅れとの声もあるが、最後のぎりぎりで攻撃を中止し呼び戻せる有人戦闘機には利点もある。

イスラエル初の地上配備核兵器はジェリコIミサイルで、フランスと共同開発した。ジェリコIはすでに用途廃止と見られるが、その後ジェリコII、-IIIミサイルが加わった。ジェリコIIの射程は932マイルでジェリコIIIでは3,106マイルに伸び、イラン等の遠隔地に睨みをきかせる。イスラエルの弾道ミサイルの本数も不明だが、20発程度と見る向きもある。

その他核保有国と同様にイスラエル海軍も生存性が最も高い潜水艦に核兵器を搭載しているようだ。イスラエルはドイツ建造のドルフィン級潜水艦5隻を保有し、核巡航ミサイルを搭載しているといわれる。核巡航ミサイルはポパイ空対地ミサイルあるいはゲイブリエル対艦ミサイルが原型だろう。これにより「第二撃能力」が生まれ、潜水艦一隻でもパトロール中ならイスラエルが核攻撃を受けても核の反撃を行える。

核の三本柱を作り上げたのはイスラエルが核抑止力を真剣に考えている証拠だ。だが同国は核保有国と名乗りを上げる様子は当面ない。核兵器があるのか無いのかあいまいにすることが同国の利益にかなってきた。少なくとも数年先まではイスラエルは中東で唯一の核保有国のままだろう。だが、核合意が崩れればこの状況も一変しかねず、イスラエルの究極の保証は機能しなくなってしまう。


この記事は以下を参考にしています。

A Known Secret: Israel's Nuclear Arsenal Is Deadly And Ready
January 12, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: North KoreaMilitaryTechnologyWorldIsrael





2018年6月12日火曜日

祝米朝首脳会談。北の考える非核化プロセス概念が西側と違いすぎる。切り札は日韓両国の核兵力保有だ。

 


America Should Loan South Korea and Japan Nuclear Weapons 

米国は韓国日本へ核兵器を貸与すべきだ



June 9, 2018



国が北朝鮮への交渉で結果を得るには韓国内に核兵器を配備し、北の核兵器と相殺する形しかない。米国が核兵器を1991年に韓国から撤去した大きな過ちを正す好機が来た。北朝鮮は核兵器開発中止で金銭以上の戦略取引を求めている。このため今回の首脳会談が実現した。北朝鮮の考える「非核化」とは米国が在韓米軍を撤兵し、韓国向けの核の傘も撤廃すれば北も核兵器を廃止するという定義だ。

だが米国がその通りに実行することはありえない。韓国を北朝鮮に譲り渡し日本さらに地域の安全を脅かすからだ。平和の名の下でここまで非現実的な提案が通れば世界平和そのものに不幸な事態となる。

この数週間であらわれた外交面での大きな動きは米国の交渉上の立場の弱さを如実に示した。米抑止力は余裕がなく妥協の代償になりうる戦略核の手ごまがないのだ。米国は取引材料となる戦略核の余裕を作る必要がある。このことに米国が気付くのが遅くなったが気づかないままよりましだ。米国がこの点で失敗すれば交渉は悲惨な結果に終わる。

米核兵器を韓国に配備すべきだ。同時に日本にも置くべきだ。これで北朝鮮も核兵器廃止の交渉に真剣にならざるをえない理由が生まれる。

米政府は以前同様に戦術核兵器を韓国に配備すればよい。米国は同時に同盟諸国にも半独立型の核抑止力として核兵器を貸与できるはずだ。

これで中国と北朝鮮の戦略上の計算をひっくり返す大きな効果が生まれる。両国は北朝鮮の核兵器でアメリカを脅迫して地域を支配する望みがもてなくなる。逆に北朝鮮と中国は不利な状況を悟るはずだ。

両国は韓国の核兵器運用能力で取引をすることが戦略上必要と感じるだろう。状況の変化で交渉も進むはずだ。

韓国と日本は限定的ながら事実上の核保有国になると、北朝鮮と中国は最大の悪夢を目にすることになる。交渉を進めないと韓国と日本が永久に核保有国の座につくことになる。

当然両国は注意するはずだ。米国には北朝鮮核兵器で大きな取引材料が実現することになる。北朝鮮-中国にとって状況は一気に深刻となり今までのような態度はとれなくなる。

この方法ならドナルド・トランプ大統領も気に入るだろう。大統領候補としてトランプは韓国、日本は核武装すべきと述べていた。

トランプの主張は当時のメディアから「受け入れがたい」として一蹴され、トランプ自身も構想は「受け入れられない」と判断して再提案しなかった。だが今や本人はホワイトハウスの主だ。

さらに韓国の世論調査では6割もの多数が核武装に賛成する結果が繰り返し出ている。米メディアもあたかも政府を超える存在として重要な政策選択肢を勝手に「受け入れがたい」とラベル張りするのはやめコモンセンスの尊重に切り替えるべきだ。韓国国民が自国の核武装を望むのは現実の外部脅威に目をつぶる余裕が許されないからだ。北朝鮮核兵器の射程が米本土まで伸びようとする中で米国民も同様に現実の脅威を無視できない。

言い換えればトランプは正しかったのであり、その主張は現実主義を反映していたのだ。現在は具体的に実施に向けた詰めをおこなうべきときであり、核兵器拡散の危険を克服すべきときだ。つまり、米国は韓国、日本へ核兵器を貸与し、米国が最終所有権を保持すればよい。

核兵器貸与は次の段階を経る。

1.核兵力は北朝鮮の規模を上回るものとる

日韓両国で残存性を考慮すると核ミサイル搭載潜水艦の形が望ましい。

これまで核兵力の規模と姿をTNIブログでは「戦略ミサイル潜水艦五隻で各16発の核ミサイルには100キロトン弾頭4つを搭載。常時哨戒中の潜水艦一隻で弾頭64個を運用する」としてきた。

さらにこの装備はあくまでも貸与するものであり、国産開発させないことで配備までの期間、非拡散、同盟国へ引き渡す間に発生する不安定さの排除を実現できる。

2. 各同盟国にミサイル発射の自主的権限を与える

従来の二重管理方式にすべきでない。抑止力運用を広げることで米国が核報復攻撃を受けるリスクが増え米国が本当に同盟国防衛のため核兵器投入に踏み切るのか不確実になる。米国にとって同盟国が独自に核抑止力運用できれば安全になる。また韓国、日本も安全になる。

米軍の核兵器は完全に別の形で保管し、本来の目的のために温存する。つまり米国への攻撃への抑止効果だ。

3. 自主運用権を認める代わりに米国は核兵器の最終所有権を維持しつつ各国のミサイル標的に制約を付ける

この点が核兵器貸与が核兵器拡散と一線を画す点で他国があわてて核武装に乗り出すことを防げる。

さらに核兵器の保有権を維持しながら兵器の乗っ取りを防ぐため、米国が維持管理を行い、重要な技術上の秘密を保持する。これにより核兵器の一方的な乗っ取りや撤去は不可能となるが事前合意ができた条件がある場合はこの限りではない。

4. 米国は事前に再処理ならびに兵力変更の条件を定めるべきで考えられる条件は以下の通り

米国は北朝鮮が核兵器・ミサイルを撤去すれば韓国に貸与した核兵器を回収する。逆に北朝鮮が核兵器を廃絶しない、あるいはテストを再開した場合は韓国へ貸与する核兵器を増強する。

米国は日本が中国やロシアと海洋、領土、核の核問題で外交解決に至れば貸与していた核兵器を回収する。

交渉が長引いて行き詰まれば米国は各同盟国に核兵器の恒久所有権移転のオプションを行使できるものとする。これにより米国は交渉に本気だ、貸付はブラフではないとのメッセージが伝わる。

北朝鮮からすれば韓国が永久核保有国になるのは耐えられないはずで、さらに韓国が強力になることも同様なので核兵器廃絶交渉に真剣になるはずだ。

中国も同様に核保有国としての日本との対決は望まないはずで北朝鮮に核開発計画の断念を求めてくるだろう。また日本とも戦略面でなんらかの妥結をはかるだろう。これで米国に望ましい状況が生まれる。韓国や日本が核開発に乗り出さない間に米国はこれまで中国と核兵器管理を期待してきたが、結局望む結果は得られていない。核兵器貸付によりバランスは即座に変化する。

米政府の交渉上の立場は強化され懇願することはなくなる。中国と北朝鮮が米国や同盟国に懇願することになる。すべての関係国が交渉に真剣になる。

これまで中国とロシアは北朝鮮の核脅威を維持するほうが得策と考えて米国の妥協を引き出そうとしてきた。両国は良い警官、悪い警官の役割を模索し、米国に対しては悪い警官に対決するのを助けるふりをしながら実際は逆の立場を演じてきた。これまではこれでうまく切り抜けてきた。

経済制裁では中国の目算を変えられなかった。中国は北朝鮮を米国に対決させる構図のままだ。最近はトランプ政権に譲歩して北朝鮮への経済的締め付けを強めているが、同盟国のロシアが北向け物資補給の役目を部分的に補っている。韓国が北朝鮮との首脳会談で合意した後に金正恩は中国を訪れ、中国は北朝鮮の強硬態度の保持を勇気づけ中途半端な反応を取らせた。したがって核兵器貸与のショックで中国の目算は狂い北朝鮮の核兵器保有を自国の戦略に利用してきた動きを逆転させられる。

日本と韓国が「臨時核保有国」になれば、貸与中の核兵力で中国の夢だった地域支配は否定される。日本と韓国に核兵力維持を断念させるため中国は戦略的な代償を支払う必要が生まれるだろう。

では最近話題に上っている経済懐柔策で同様の成果が期待できるだろうか。危険なほど非現実的だ。米国はいかにもこれが効果を上げると思い込まされているようだが実はこのような希望に賭けるのは危険だ。

北朝鮮のような相手には経済手段はあくまでも二次的な要素だ。中国や北朝鮮が大事にするのは軍事上の厳然たる事実だ。米国が同盟国に核兵器を貸し出す決定をすれば経済面のアメと鞭が効果を上げる可能性が増える。経済は軍事面の補強策になっても代替策にはなりえない。

だが核兵器貸与は実施可能なのか。実は各国と核のカギを共有する既存の仕組み同様に実施可能だ。米国に必要なのは緊急時対応策の立案を開始し、貸与の準備も始めることだ。政治的意思が必ずその後に生まれ、核兵器貸与の必要は強まる一方になるだろう。

日本国内に核兵器への忌避があり、韓国政府も反対姿勢を示すと政治上の支障になる。幸いにも日本には有能かつ現実的対応をとれる政権があり、韓国の国民、国軍も現在の脆弱な政権よりは現実的な態度をとれる。仮に米国が緊急対応策で核兵器貸与を立案すれば必要に応じた対応策が各種生まれるはずだ。北朝鮮との交渉は一筋縄ではいかず、結果が出る前に何度も暗礁に乗り上げるだろう。核兵器貸与の実施は突然現実になりかねず、交渉を成功させるための唯一の手段と認識されるはずだ。

米国を破壊できる能力が実現する一歩手前まで北朝鮮が来ているため、アメリカが交渉による非核化の実現の強化策を手に入れることは最高度に重要と言える。失敗すれは先制攻撃あるいは北朝鮮による米国破壊力の存在を受け入れることになる。

先制攻撃のリスクは大きい。だが完全核武装した北朝鮮の脅威は現実だ。そのため今回提案の選択肢各種を重視すべきだ。米国にとってリスクが一番低い選択肢は核兵器を同盟諸国に貸与して米国と韓国が交渉を成功に持ち込むことだ。■

Ira Straus is an independent foreign affairs analyst. He has taught international relations for three years in universities and has worked for three decades in organizations devoted to the Western alliances and their relations with Communist and post-Communist regimes. He contributed an article to the National Interest on nuclear counterproliferation in 2004.
Image: Wikimedia Commons

2017年11月29日水曜日

世界9か国の核兵器保有数は合計15,000発!


世界に核兵器が多数あるから自国も保有して何が悪いのかと北朝鮮は言うのでしょうが、首をかしげるのは韓国にも核兵器保有の意見が出ていることです。南北統一すれば北の核が手に入ると能天気な意見もあるようですが。ま、それはともかく核廃絶を主張し大統領になったばかりのオバマがなぜ平和賞を取れたんでしょうか。好き嫌いがはっきりしてすみません。ABC分析するまでもなく核兵器の大多数を米ロニ国が保有しているので廃絶するなら(無理と思います)米ロがまず核兵器が不要な世界を作って自ら核兵器を減らすのが筋ではないですか。


Here's how many nukes each nuclear country in the world has

核兵器保有国、核爆弾の合計数は?

14,955 nuclear weapons worldwide




  • 北朝鮮核兵器開発を止めるのがトランプ政権の優先事項だ
  • だがその他8カ国が合計15千発の核兵器を保有している


ドナルド・ドナルドは大統領に就任以来、北朝鮮核兵器に焦点をあてるものの金正恩に開発を止める気配はない。トランプは中国に圧力もかけて説得させようとしている。
だが米国含むその他合計8カ国が核兵器を長年整備しているのが現実だ。
第二次大戦で日本へ原子爆弾を投下したのが唯一の核兵器使用例だが戦後数年でロシアが核兵器開発を開始し、その後、英国、フランス、中国が追随した。
1960年代にはこのまま多数国が核兵器を保有すれば世界が安全でなくなるのは明らかになった。このため不拡散条約が1968年に生まれ、核兵器、核技術の普及拡散の防止を狙った。イスラエル、北朝鮮のように非加盟国もある。
条約はおおむね成功しているが、核兵器の実戦投入で可能性が消えないまま世界平和は脅かされたままだ。
では世界に何発の核兵器があるのか。どの国が保有しているのか。米科学者連盟のまとめを引用する。

北朝鮮:60発

  • 米国は北朝鮮の核兵器開発をやめさせようとしている。1994年にビル・クリントン大統領がまとめた合意枠組みは不発におわった。北朝鮮にだまされたのだ。
  • 平壌はNPTを2003年脱退し、三年後に初の核実験を実施した。以後、兵器開発を続けており、ブッシュ、オバマ、トランプ各政権の働き掛けも功を奏さず進展を遅らす兆候はない。
  • 北朝鮮は既に核兵器60発を保有しているとの推定がある。

イスラエル:80発

イスラエル政府は公式には核兵器保有を否定も肯定もしない態度をとる。だが同国の核兵器整備は公然の秘密だ。 

  • 1986年に核技術者Mordechai Vanunuが内部告発しイスラエルの核開発を明らかにした。イスラエルの秘密裏の核兵器開発を助けたのは米英両国である。

インド:130発

  • インドは隣国パキスタンと敵対している。緊張を高めているのは両国ともに核保有国のためだ。ただし、二十年にわたり両国は核の応酬に至るエスカレーションを避けている。
  • インドは2003年に先制不使用を宣言し、自国が核攻撃を受けない限り核兵器を投入しないと表明した。中国にも同様の政策がある。
  • インドが核兵器開発に踏み切ったのは中国の侵攻を恐れた1960年代だった。米国が制裁措置を課したが、現在は解除している。

パキスタン:140発

  • インドの先制不使用宣言と逆にパキスタンは核の一次使用を放棄していない。
  • 1971年のインド-パキスタン戦争でインド核兵器の脅威を感じたパキスタン自国開発を急いだ。
  • 2014年に戦術核兵器の開発を開始し、小型化が進めば水上艦艇や潜水艦から運用が可能となり、従来型核兵器より簡単に使用できるようになる。
  • 報道ではパキスタンは核の三本柱の完成に近づいており、核ミサイルを陸海空から発射できるようになる。

英国:215発

  • その他核保有国と同様に英国も核兵器は防衛目的に必要と主張する。
  • 同国の核抑止力はトライデントでヴァンガード級潜水艦4隻にトライデントIID5ミサイル16発を搭載し、各ミサイルに核弾頭8発を装備している。
  • 2010年から15年にかけ弾頭数を40j発減らし120にしており、削減しながら最小限の核戦力は維持したいとする。

中国:270発
    • 中国初の核兵器は1964年に完成した。インド同様に非先制使用方針を述べているが、国際社会にはこれを疑わしく受け取る向きがある。
    • 中国は核弾頭数を機密情報としており正確な数は不明だ。NPT加盟国だが、近年一層野心的になっていることで周辺各国を懸念させている。
    • 例として2018年に中国は次世代大陸間弾道ミサイルを発表する予定で、弾頭10個を搭載し世界各地の攻撃能力があるといわれる。2016年には別の長距離ミサイルが発表され、グアム攻撃が可能と判明し米国防関連に衝撃が走った。

    フランス:300発

    • フランスの核開発開始は冷戦中でシャルル・ドゴール大統領は米・NATOと別個に自国防衛能力が必要と判断した。ドゴールが恐れたのはフランスがソ連他の攻撃を受けても誰も救援してくれない事態だった。
    • フランスの核兵器保有規模は世界三位だが、同国は化学兵器生物兵器は保有していないと述べている。NPT加盟国である。
    • 2008年にニコラス・サルコジ大統領が同国の核兵器は「特定目標を想定していない」と発言し、「生命保険だ」と述べた。サルコジは核兵器削減も発表し、「冷戦最盛期の保有量の半分」にすると述べている。

    米国:6,800発

    • 核時代の先陣を切ったのが米国で1942年にフランクリン・ロウズベルト大統領がマンハッタン計画を開始させたことだった。第二次大戦中に米国は広島・長崎への原爆投下で一般市民数万名を殺害し核技術への見方を永久に変えてしまった。
    • 米国はNPT加盟国だが先制不使用の宣言は拒んでいる。
    • 今年初めにジョー・バイデン前副大統領が米核戦力強化への支出を倍増すると発言。「他の核保有国が米国に先に使用する可能性があるなか、安全安心で確実な核武装で攻撃を抑止することが同盟国のためにも必要」と述べ、「このため核装備維持の予算とならび核装備体系近代化の予算を増やした」
    • 近代化で10年間で4,000億ドルが必要との報道がある。ロシアの核戦力拡充に歩調を合わせる狙いもある。
    • トランプもオバマの米核戦力再整備の訴えに同調していた。「近代化と抜本的な再生が必要だ」と述べ、選挙運動中は米核兵器増備を訴えたが、2017年10月には「全く不要」と発言した。

    ロシア: 7,000発

    • 旧ソ連の核兵器開発開始は1940年代で米マンハッタン計画を追随した。冷戦中に米国と軍拡競争を展開したが、旧ソ連圏の核兵器はロシアに返還され多くは解体された。だがロシアは今も膨大な核兵器を保有している。
    • ロシアは核兵器近代化に資金を投入しており、米国同様に核戦力拡充を目指している。オバマ政権はこの動きは世界規模の核軍縮の障害と批判した。「向こうが軍事力拡充を追い求めているので、期待するロシアとの進展が見られなくなった」とオバマはプーチンを批判した。
    • プーチンは10月に世界の核兵器削減の一助となりたいと発言しながら、他国の動きを見れば自国も開発を止めるわけにいかないとした。
    • ロシアは弾頭数こそ世界最大だが、威力が最大とは限らない。
    • 「ロシアは段階的に改良して核戦力を整備してきた」ため10年以上も改良を受けない兵器もあるとArms Control Wonk創設者ジェフリー・ルイスがBusiness Insiderに語っている。
    • 一方でルイスは「米核兵器はフェラーリみたいで美しく複雑で高性能です」と言い、ミニットマンIII型ICBMは登場から年数がたっているが「精巧な機構で驚くべき性能」だという。
    • 「ロシア核兵器は新型だが設計思想は『あと10年で新型ができるから今から超高性能にする必要なし』というものですよ」(ルイス)■