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2023年7月19日水曜日

核抑止力を担うSSBNの最新動向について。中国の普級(JL3ミサイル搭載)、米国のコロンビア級(トライデントIID5ミサイル搭載)。

 

094型SSBN

中国の核武装型弾道ミサイル潜水艦は、技術や性能の詳細が不明で謎に包まれたままだ

2022年8月の "The Mirror"によると、人民解放軍・海軍(PLAN)は、最新の攻撃型潜水艦を台湾周辺に配備して軍事演習を行っており、直近ではナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問した際に実施したとある。

中国の新型潜水艦「Type-039C元級」については、ほとんど情報がないが、近年の国防総省の報告によると、中国が米海軍の海底の優位性に挑戦しようと激しく取り組んでいることは明らかだ。

2021年、ペンタゴンの年次中国軍事報告書は、当時、中国はJL-2ミサイルで武装した6隻の普級SSBN(核武装弾道ミサイル潜水艦)を運用していたが、人民解放軍ははるかに威力があり長距離の核武装弾道ミサイル変種JL-3の製造準備を進めていると述べた。

国防総省の2021年版「中華人民共和国の軍事・安全保障動向に関する報告書」には、「中国がJL-3含む新型で、より高性能、より長距離のSLBMを配備すれば、PLANは沿岸海域から米国本土を狙う能力を獲得することになり、したがって、海上抑止力の生存能力を高めるため要塞作戦を検討するかもしれない」とある。

JL-2では射程が限定されるが、開発中のJL-3は、5,600マイルもの射程で運用されると報告されている。つまり、普級潜水艦は、アメリカ大陸を危険にさらすため米本土に近い場所で活動する必要がなくなるということだ。

国防総省の報告書は、「JL-2の現在の射程距離の限界は、PRCが米国の東海岸をターゲットにする場合、普級がハワイの北と東の地域で活動することを要求する」と述べている。JL-3はこれを大幅に変更する。

中国は現在普級SSBN6隻を運用しており、最大12発のJL-2ミサイルを搭載できるが、射程距離のため、米国の高価値目標を危険にさらそうとする場合、作戦範囲が制限または限定される。中国の指揮官は地理的な柔軟性が低く、探知される可能性が高い状態で作戦を行わざるを得ない。

射程距離の拡大

JL-3の射程延長が非常に重要で、5,600マイルという数字が正確ならば、中国の新型潜水艦発射核ミサイルは、最大4,000マイルで作動すると報告されている米国のトライデントII D5を上回る可能性がある。地図を見ると、中国本土の内陸部は、カリフォルニアの海岸からおよそ1万キロほど離れている。単純計算すると、JL-3ミサイルは、中国の核武装潜水艦が太平洋上のほとんどどこからでもカリフォルニアや米国の他の地域を攻撃する能力をもたらす可能性が高い。

中国の潜水艦が発射する核武装弾道ミサイルは、米国の装備品を上回るのか。国防総省の延命計画でトライデントII D5のアップグレードが信頼性と性能を向上させていることを考えると、未解決の問題のままかもしれない。さらに、米国は核ミサイルを搭載した新型コロンビア級潜水艦12隻を運用する計画だ。これにより、主要な高関心目標を危険にさらすために、活動できる場所の地理的範囲は明らかに拡大する。

普級とコロンビア級の比較

中国の普級SSBNの正確な技術的構成についてはほとんど知られていないが、米国の新型コロンビア級潜水艦には匹敵しないかもしれない。開発中の新型コロンビア級は、これまでで最も静かな潜水艦であるかもしれない。静かで効率的な電気駆動装置や、X字型船尾などの技術が採用されている。

普級について分かっていることは、2020年5月の議会調査局による報告書「China Naval Modernization」で、極めて致命的な、射程5,600マイルの核武装弾道ミサイルJL-3で武装するとあり、中国海軍の近代化は、米国海軍の能力への影響が無視できない。さらに、2018年のCSIS報告書には、中国はすでに同兵器の試射を終えており、アメリカ大陸を大きな危険にさらすとある。

コロンビア級は、他国海軍の潜水艦で使用されている機械駆動の推進と対照的に、電気駆動推進を装備する。現行のオハイオ級では、原子炉プラントの熱で蒸気を作り、蒸気がタービンを回し発電し、艦を前進させる。この推進力は、タービンからの高速エネルギーを艦のプロペラを動かすのに必要なシャフト回転に変換する「減速機」で達成される。「電気駆動システムは、機械駆動システムよりも静か(すなわち、ステルス)であることが期待される」と、昨年のコロンビア級潜水艦に関する議会調査局報告書は述べている。

コロンビア級潜水艦は全長560フィートで、長さ44フィートのミサイル発射管から発射する16発のトライデントII D5ミサイルを搭載する。

X字型の船尾は、潜水艦の操縦性を向上させる。潜水艦が、プロペラの使用から静粛性を高める推進器に切り替わるにつれ、潜水艦は操縦性を低下させたと海軍関係者は説明している。

海軍の開発部門は、電気駆動推進技術は原子炉で熱を発生し、タービンを動かす蒸気を作り出す点で変更はないと説明している。しかし、発電された電気は、減速機でなく、電気モーターに伝達されプロペラを回転させる。

潜水艦の推進力として電気駆動装置が評価されていた頃のMITのエッセイによれば、電気モーターの使用は他の利点ももたらす。

『潜水艦用電気推進モーターの評価と比較』というエッセイによると、電気モーターを使用することで、機械駆動に比べ原子炉の電力を最適に使用でき、他用途に使える艦内電力が増える。著者ジョエル・ハーバーは、機械駆動の潜水艦では、原子炉の総出力の80パーセントが推進に使用されると述べている。

「電気駆動潜水艦では、潜水艦の原子炉出力はまず電力に変換され、次に電気推進モーターに供給されます。推進に使われていない電力は他の用途に簡単に利用することができます」。

コロンビア級潜水艦の研究、科学技術作業、ミサイル発射管製造は、数年前から進められてきた。チューブ&ハルフォージングと呼ばれる重要な演習では、溶接や建設方法を評価するため4パックのミサイルチューブを製造する。これらの構造物は艦のモジュールに搭載されることを想定している。

コロンビア級には、コンピューター駆動のジョイスティック・ナビゲーション・システム、フライバイワイヤ技術、光ファイバーペリスコープ技術など、ブロックIIIバージニア級攻撃型潜水艦で開発された技術も数多く組み込まれる。自動航行により、潜水艦は深度と速度を自動設定でき、一方、オペレーターは指揮・制御の役割を果たす。

トライデントII D5

潜水艦から発射される核武装弾道ミサイル「トライデントII D5」は、2040年代まで信頼性と使用を確保するため「ライフエクステンションプログラム」を国防総省が最終決定しているため、生き続ける。

「W76-1LEPは予算内で予定より早く完了し、弾頭の耐用年数を20年から60年に延長することで国家の安全と安心を強化した」と、エネルギー省の国家核安全保障局2021年備蓄管理計画は述べている。

海軍とロッキードによると、数十年にわたり使用され、しばしばテストされ、繰り返しアップグレードされた3段式トライデントII D5弾道ミサイルは、公称距離4,000海里を飛翔し、独立した標的再突入体複数のを搭載できる。

近年、海軍はロッキードと共同で、核兵器の近代化と維持のための重要な技術的アップグレードを数多く行っている。海軍関係者がThe National Interestに語ったところによると、一部は現在も進行中であり、また他のものは十分な進展を見せ、次の段階の持続的努力の基礎を築いた。核兵器の電子モジュールや、ミサイルのMk-6誘導システムの改良がここに含まれる。

アメリカ科学者連盟の核情報プロジェクトのハンス・クリステンセンは、数年前に本誌に、D5LEはナビゲーションに1つではなく、2つの星を使うことで精度とターゲティングを高めると語っています。「潜水艦の正確な位置に関する柔軟性を高めます」。

今後数十年に、トライデントII D5を新しい兵器に置き換える必要があるが、現行ミサイルの耐用年数延長が、開発者に時間と開発軌道の確保を与えるだろう。トライデントを搭載した米海軍の弾道ミサイル潜水艦は、海底の暗い深部を静かに密かに巡回して潜在的な敵対者を危険にさらし、脅威が高い目標の潜在的な攻撃範囲内で活動し、核攻撃時には大規模な破壊的反応を保証する。■

Undersea Threat: China Accelerates Type-039C Yuan Attack Submarines & Longer-Range Sub-Launched Nuclear Missiles - Warrior Maven: Center for Military Modernization

Kris Osborn is the Military Affairs Editor of 19FortyFive and President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University


2022年11月3日木曜日

SSBNコロンビア級投入までのつなぎにオハイオ級の耐用年数延長が始まる

  

2021年6月28日、ジブラルタル港に到着したUSSアラスカ(SSBN-732)。US Navy Photo

古参の潜水艦5隻が3年の寿命延長の候補だと、米海軍当局が発表した。

修理期間18ヶ月で、海軍が戦略核の不測の事態に備えミサイル原潜10隻の増加をサポートするため、オハイオ級核弾道ミサイル潜水艦SSBN5隻を対象にすると、戦略潜水艦プログラムを統括するスコット・パパーノ少将Rear Adm. Scott Pappanoは、海軍潜水艦連盟の年次シンポジウムで述べた。

この計画は、2030年10月に最初のパトロールを開始する予定の次期SSBNコロンビア級の初号艦USS District of Columbia (SSBN-826)以下コロンビア級の就役までのつなぎとなる。

パパーノ少将は、「コロンビア級が稼働し、オハイオ級が退役する2030年代が、リスクが最も高い時期になる」と述べた。

今後のSSBNは、初期問題が発生する可能性のある新造艦と、部品故障のリスクが高い最古参オハイオ級が並立すると、パパーノ少将は述べた。

事態を複雑にしている要素としてパパーノ少将は、次期戦略兵器トライデントII D5 Life Extension IIミサイルのテストプログラムがあり、これはSSBN各級でテストする必要がある、と述べている。

新ミサイルはコロンビア級9号艦から搭載され、12号艦まで継続されるが、同級の以前の8隻の潜水艦は後日装備を受けるとパパーノ少将は述べた。このプログラムでは、ミサイルの老朽部品を交換し、2060年代まで寿命を延ばす設計とする。

不活性化前制限使用(PIRA)を受ける初号艦は、USSアラスカ(SSBN-732)で、早ければ2029会計年度に始まる可能性があると、パパーノ少将は述べた。海軍は、確立ずみプロセスに基づき、調達に時間がかかる材料を確保するため、2025年または2026年までにPIRAを進めるかを決定すると、海軍作戦本部(OPNAV N97)の潜水艦戦担当ディレクターダグ・ペリー少将Rear.Adm. Doug Perryが述べた。

「潜水艦の寿命延長の評価プロセスは、高度なまで標準化されたプロセスだ」。「すべての潜水艦は、引退時期が近づくと、艦の物理的な状態の見直しを指示されデータを収集します。艦のすべての部品、長年にわたるメンテナンスの履歴データをすべて見ます。それをデータベースに取り込み検討します」(ペリー少将)。

オハイオ級SSBNの耐用年数を延ばすという今後の作業の鍵を握るのは、同級で最も古い原子力誘導ミサイル潜水艦(SSGN)4隻だ。

海軍は同級を当初の30年の耐用年数から42年に延長している。うち最初の2隻、USSオハイオ(SSGN-726)とUSSフロリダ(SSGN-728)は2026年度に退役する予定で、その後、核弾頭付きトライデントミサイルではなく、トマホーク対地攻撃ミサイル搭載用に改造された残りの3隻が続く。

パパーノ少将は、SSGN4隻が退役を始めると、海軍は艦の破壊試験を行い、他のオハイオ艦がどこまでの寿命を得られるか、退役艦から剥ぎ取れる部品を確認すると述べた。

コロンビア級計画に関しては、建設はほぼ予定通りに進んでおり、ミスは許されないとパパーノ少将は記者団に語った。

COVID-19の遅れと、General Dynamics Electric BoatとNewport Newsが潜水艦建造に使用するデジタル設計システムの初期不調が重なり、海軍が建設予定スケジュールに組み込んだ6ヶ月のバッファは、1ヶ月に減ったとパパーノ少将は明らかにした。

海軍と造船企業は、コロンビア艦12隻の建造だけでなく、バージニア級攻撃型潜水艦を年に2隻納入する需要に対応するため、今後10年間にわたり造船所労働者を毎年約1万人確保する必要がある。

パパーノ少将は、新型潜水艦建造のスケジュールを達成で唯一最大の障壁に、労働力を今年初めに取り上げていた。

「訓練は請負業者に任せてきた。そんな贅沢はもう言っていられない」と8月に語っている。■

Navy Could Extend Life of Five Ohio-class Ballistic Missile Boats to Hedge Against Columbia Program Delays - USNI News

By: Sam LaGrone

November 1, 2022 6:12 PM

   Report to Congress on Columbia-class Nuclear Ballistic Missile Submarine Program

Sam LaGrone is the editor of USNI News. He has covered legislation, acquisition and operations for the Sea Services since 2009 and spent time underway with the U.S. Navy, U.S. Marine Corps and the Canadian Navy.

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2018年1月30日火曜日

米核戦力の基礎知識(1)オハイオ級SSBN/巡航ミサイル運用艦SSGN

 

The Navy Has 1 Submarine That Could Destroy North Korea (On Its Own) 

北朝鮮はこの潜水艦一隻で破壊可能





January 24, 2018


島、長崎への原爆投下から9年後の映画「ゴジラ」が深海から目覚めた怪獣が日本を襲う状況を描いた。ただしもっと恐ろしい怪物がその後海中に展開した。つまり弾道ミサイル潜水艦、米海軍用語で「ブーマー」である。
 中でも一番恐ろしい海の怪獣がオハイオ級弾道ミサイル潜水艦で米国の核兵力半分以上を搭載する。
 計算すれば、オハイオ級が人類史上最大の破壊力を有しているのがわかる。全長170メートルの各艦で24本のトライデントII潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し、水中から発射し最大7千マイル先の標的を狙う。
 トライデントIIは大気圏再突入後にマッハ24まで加速し独立再突入体8つに分離し各100-475キロトン核弾頭を搭載する。オハイオ級の一斉発射は1分未満で完了し、弾頭192発で24都市が地図から消える。悪夢の兵器と言ってよい。
 オハイオ級に一番近い競争相手はロシアで一隻のみ残る大型で24本のミサイル発射菅を有するタイフーン級潜水艦だ。中国、ロシア、英国、フランスがそれぞれ弾道ミサイル潜水艦を運用中だがオハイオ級並みの威力はない。
 国家そのものを消滅させかねないこれだけ大規模な兵器を運用する理由は何か。
 核抑止力の論理では先制攻撃で陸上配備ミサイルや爆撃機が全滅しても弾道ミサイル潜水艦が海中深くに潜んでいれば追尾探知が困難で残存性があることになる。このため弾道ミサイル潜水艦は核報復攻撃で誰も止められない手段となり、まともな相手なら第一撃の核攻撃をためらうことになる。少なくともそれが期待される。
 そのためトライデント搭載オハイオ級潜水艦にとって一発も発射しなければ任務は成功したことになる。
 オハイオ級の就役開始は1980年代で各艦潜航時の排水量は18千トンで米海軍最大の潜水艦だ。ヘンリー・M・ジャクソンを除き、各艦は州名がつき、かつての戦艦の伝統を引き継ぐ。
 核兵器が飛び交う事態になればブーマーには超低周波無線で発射命令が入る。ミサイルが目標設定してない場合は迅速に座標を入れる。オハイオ級初期建造の8隻はトライデントI C4弾道ミサイル運用の設計だったが現時点では全艦がトラインデントII D5運用可能となり、射程が50%伸び、精密攻撃が可能となったので第一次攻撃でも軍事施設を標的にできる。
 オハイオ級には21インチ発射菅4本もあり、マーク48魚雷を運用する。ただし、魚雷は防御用とされ、弾道ミサイル潜水艦の仕事は敵艦船攻撃ではなく可能な限り動きをせず静かに待機し探知を逃れることだ。原子炉により無制限の海中待機が可能で20ノット巡航でもノイズはごくわずかしか出ない。  
 危機が発生しても、原子力潜水艦は哨戒を続け交信は最小限とし可能な限りステルス性を維持する。オハイオ級は乗組員154名の2チームに、ゴールド、ブルーの名称がつけ、交互に哨戒にあたる。一回出港すると70日から90日潜航したままで、USSペンシルヴェイニアが140日の最長記録を樹立している。哨戒前後に一か月を置き、補給を受ける。
 ワシントン州バンゴーにブーマー9隻が配備され太平洋での哨戒にあたる。ジョージア州キングスベイには5隻があり大西洋で活動する。冷戦終結に伴い戦略兵器削減条約STARTで米核戦力は縮小された。当初は艦齢の高い艦から退役の予定だったが、海軍はオハイオ級18隻の4隻を改修し地上・海上目標に通常巡航ミサイル運用艦として活用することとした。USSオハイオがまず選ばれた。
 2011年に発効した新START条約に核兵器の数量制限が追加された。現在はオハイオ級12隻を現役運用し各トライデントII20本を搭載する。二隻は大修理に入り、常時ミサイル240本弾頭1,090個を戦力とする構想だ。これだけあれば世界を数回破壊できる威力があるので、タカ派の皆さんも心配は不要だ。
ハイオ級は2020年代末まで供用しつつステルス性を向上する改修も受ける予定だ。後継艦はコロンビア級と呼称され、単価40億から60億ドルで隻数は減るが新型原子炉の採用で途中の大修理燃料交換が不要となる。同級は2085年まで供用される予定だ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This first appeared in 2016.

2017年1月11日水曜日

★米海軍の次期戦略ミサイル潜水艦コロンビア級はこんな姿になる



米ミサイル原潜は核抑止力の重要な要素で一度も居場所を探知されたことがないと言われています。その任務は重要ですが攻撃型潜水艦の乗員とは決定的にメンタリティが違うはずです。40年間も供用できるのであればいい買い物でしょうが、その裏にはこれまでの稼働実績からの原子炉関係の技術が相当進歩していることが伺えます。こればかりは日本にはほぼ永遠に手に入らない分野ですね。
Visit Warrior

Navy Builds New Nuclear Missile Submarine Tubes
KRIS OSBORN
Wednesday at 1:45 AM


オハイオ級核ミサイル潜水艦の後継艦は2080年代まで供用される。その役目は米本土への大量第一撃核攻撃を未然に防止することにある。

  1. 海軍は新型核弾道ミサイル搭載潜水艦SSBNの初期建造と試作を開始しており、海中に大量の抑止力を展開し世界平和を維持する姿勢を堅持する。
  2. オハイオ級後継艦(ORP)建造事業は2021年に建造開始の予定。要求性能・技術仕様の準備、初期試作作業はすでにジェネラル・ダイナミクスのエレクトリック・ボート事業部が着手している。
  3. 全長560フィートで16発のトライデントIID5ミサイルを搭載する44フィート長の発射管を備えたORPはステルスとハイテクの核抑止力として世界の海中で哨戒する設定だ。
  4. 「供用期間を42年に設定し、2080年代まで運用することで生存性が高く信頼性の高い抑止力が実現します」とデイヴィッド・ゴギンス大佐オハイオ級後継艦建造事業主管は2016年のScout Warrior取材に発言していた。
  5. この新型潜水艦はコロンビア級と命名され一号艦は2028年に完成し、実戦哨戒航海は2031年に開始すると大佐は述べている。最終的に12隻を建造運用し、供用は2040年代から2080年代に及ぶ。

戦略核抑止体制の維持
  1. 海軍の説明ではオハイオ級後継艦の任務はあくまでも核抑止力だという。詳細設計は2017年に完了する予定だ。新型潜水艦は核戦争の場合に第二次攻撃(報復核攻撃)を確実に行う手段となる。
  2. 12隻建造で現在のオハイオ級ミサイル潜水艦14隻と交替させるのは新型潜水艦の原子炉が改良され性能が向上するためと海軍は説明している。
  3. このためコロンビア級は現在よりも展開回数が増え、途中での燃料交換は不要になり、42年間連続供用が可能となる。
  4. 「原子炉中核部の耐用年数が伸びて、途中での燃料交換は不要になりました。これで12隻のSSBNで現在14隻で行っているのと同じプレゼンスを維持できます。これだけでライフサイクル換算で400億ドルの費用節約になります。二隻少なくて済むことも大きく効果を上げています」(ゴギンス大佐)
  5. エレクトリック・ボートは海軍と初期試作作業を進めており、ミサイル発射管と艦体を接続している。一体型発射管艦体構造により艦体と溶接し、最終建造の前に主要構造部品を製造する能力を評価することが目標だ。
  6. 2012年にジェネラル・ダイナミクスのエレクトリック・ボート事業部へ5カ年18.5億ドル相当の研究開発契約が発効した。契約ではコスト低減とともに建造効率の向上の実現に奨励策が講じられている。
  7. 英米両国はミサイル格納部分の共通化で協力し部品を共同購入する7.7億ドル相当の契約をエレクトリック・ボートと交わしている。米案ではORPは12隻で各16発搭載し、英国は12発のミサイルを搭載する4隻を建造する。

次世代技術の採用
  1. コロンビア級には新技術も盛り込まれるが多くはヴァージニア級からの流用だ。攻撃型潜水艦で実証済みの装備を使いコロンビア級は最新技術を導入しつつ開発費用を節約できるとゴギンス大佐は説明。
  2. 特筆すべきはヴァージニア級で採用済みのフライバイワイヤ操艦システムと大開口アレイソナーだろう。
  3. 従来のソナーは維持費用が高い欠点があったが、大開口艦首アレイは性能が高いがライフサイクル費用は低くなると大佐は説明。「送受波器、聴音機ともに艦の供用期間を通じて交換せずに使えますので運用コストも保守コストも低く押さえられます」
  4. ヴァージニア級攻撃型潜水艦の戦闘システムもコロンビア級に採用される。「電子監視手段」、潜望鏡、無線交信装置とコンピューターでシステムを構成する。(ゴギンス大佐)
  5. コロンビア級では自動操艦のためフライバイワイヤ航行システムがこれもヴァージニア級から採用される。「操舵員はコンピュータに針路と深度を入力するだけでコンピュータのアルゴリズムで両方を維持できます」
  6. またコロンビア級のシャフトは10年から12年の供用に耐える設計で艦の計画保全と同期させるとゴギンス大佐は説明。現在のシャフトは長くても8年というところだという。
  7. コロンビア級にはヴァージニア級の次世代通信装置、アンテナ、マストが導入される。かつての潜望鏡はカメラマストになっており光ファイバーで艦内へつなぎ、潜望鏡の下に立たなくても艦外が見られる。
  8. また新型電気モーターが推進用に導入され推進効率が上がり、戦術面で優位性が上がるとゴギンス大佐は期待する。
  9. 議会では特別予算を編成し、国家海中配備抑止力基金の詳細について議会では審議が進んでいる。コロンビア級に特別に設けた予算で海軍は12隻を建造し2085年以降も供用したい考えだ。
  10. 初号艦は124億ドルとの試算がある。うち48億ドルは初回の技術開発コストで艦の単独での建造費用は76億ドルと海軍は説明している。.二号艦からは2010年ドル価格換算で単価49億ドルでの建造を海軍は期待している。■

Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com.