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2024年10月19日土曜日

ドナルド・トランプは「力による平和」を取り戻すのか?(The National Interest - Hudson Instituite)




未だにハリスの優勢を信じ込んでいる『進歩派」にとってショックでしょうが、もうハリスには勝ち目はないようです。(2024年10月18日現在のReal Clear Politicsによる選挙人獲得予想図)今回はハドソン研究所の見解を伝えるNational Interet記事をお伝えします。ハリス=民主党の低迷はグローバリズムが進歩と思っていた向きの幻滅と民主党の主張があまりにもひどいことへの反発でしょう。世界は大きく方向を変えつつ有るようです。




世界がここまで危険に見えたことはなかった。強く主張的な米外交政策の必要性は、かつてないほど高まっている。だからこそ、「力による平和」を土台とするトランプ2期目は、アメリカの有権者だけでなく、自由な世界全体からも歓迎されるだろう。


2期目のトランプ外交はどうなるのか?バイデン大統領が低迷するなか、北京、モスクワ、テヘランの独裁者はもちろん、NATOサミットからアフリカ、ラテンアメリカ、東アジアの首都に至るまで、外国の指導者たちがこれを自問自答している。


トランプ大統領の第1期から残されたヒントから読みとろうとする人もいる。しかし、2021年1月に彼が大統領を去ってから世界は劇的に、そして悪い方向に変化し、ジョー・バイデンがホワイトハウスにいた3年半で、アメリカの戦略的立場は急激に悪化した。アフガニスタンの破滅的な放棄、ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵攻、ハマスとイランによるイスラエル攻撃。不法移民とメキシコ麻薬カルテルのおかげで、南部国境が崩壊するのを目の当たりにした。アメリカは、中国による台湾やフィリピンへの容赦ない圧力を、ほとんど受け身の姿勢で見守ってきた。同時に、南半球における北京の影響力は、ラテンアメリカの裏庭を含め、歯止めが利かなくなっている。


 

ロシアの原子力潜水艦がハバナ港に係留され、イランのミサイルが紅海の船舶を攻撃し、ウラジーミル・プーチンは北朝鮮の独裁者金正恩を公然と受け入れている。第三次世界大戦の可能性はかつてないほど高まっている。トランプが危険な世界でいかにアメリカのリーダーシップを取り戻すかが、彼の2期目のレガシーの重要な部分を占めるだろう。


そこで、発表されたばかりの共和党綱領には、トランプ氏の世界観が大まかに描かれているが(「欧州と中東の平和を回復する」、「軍備を強化し近代化する」)、より詳細なイメージは、国務長官候補にも挙げられているロバート・オブライエン元トランプ国家安全保障顧問による最近のフォーリン・アフェアーズの記事にある。


The Return of Peace Through Strengthと題されたこの記事は、トランプ新政権の指針となる7つの重要な原則を提唱している。


第一は、アメリカの強さと国家目的の推進にもう謝罪はしないということだ。2020年9月の国連総会で(トランプが)宣言したように、アメリカは『平和を創り出す国としての宿命を果たすが、それは力による平和である』」とオブライエンは書いている。


もうひとつは、米国の外交、防衛、貿易政策の多くを動かしてきたグローバリズムのアジェンダを拒否することだ。このアジェンダは、中国の世界覇権への野望を可能にしただけでなく、何百万人もの不法移民へ門戸を開いた。トランプは、ワシントンの外交体制の利益のために "トランプ・ドクトリン"を広めようとはしていない」とオブライエンは説明する。「彼はドグマではなく、彼自身の本能と、ここ数十年のグローバリズムの正統性よりも深いアメリカの伝統的な原則に忠実なのだ」。


第3の原則は中国に関するものだ。バイデン大統領とそのチームは、ソ連以来、米国の利益にとって最も危険な脅威である中国との協力関係を拡大すると話しているが、トランプ政権は、貿易や台湾から、インド太平洋における同盟関係の刷新と拡大に至るまで、あらゆる面で北京に反発していくだろう。ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカにおける中国の影響力を牽制する戦略を動員するだろう。要するに、第1次トランプ政権の特徴であった中国への対抗が、第2次政権ではさらに重要になるということだ。


第4に、ハマスやヒズボラからフーシ派に至るまで中東全域のテロリスト集団への支援を停止させ、核兵器開発計画を無力化するために、トランプはイランに最大限の圧力をかけ直すだろう。トランプ大統領が成功させた対イラン制裁を覆し、テヘランを宥和するバイデン政策は終焉を迎える。同時にトランプは、イランの影響力を封じ込めるため、イスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連邦への米国の支援を強化するだろう。


ヨーロッパに関しては、トランプ新政権はプーチンを拘束し、NATOを強化すると同時に、ウクライナ戦争を終結させる政策を追求するだろう。「批評家はしばしばトランプを伝統的な同盟に敵対的であると描くが、実際にはそのほとんどを強化した」とオブライエンは書いている。「彼がNATO政府に国防費を増やすよう圧力をかけたことで、同盟はより強固になった。


6つ目の重要な原則は、ハイテク兵器への投資や調達改革を含むアメリカ軍の再建である。いずれの政策も、第二次世界大戦に勝利した「民主主義の兵器庫」のような21世紀の「民主主義の兵器庫」を、信頼できる同盟国とともに構築する道を開くものであり、日本、韓国、インドを含む欧州やアジアにおける戦略的パートナーシップを強化する最適な方法となる。


最後に、トランプ政権は世界中の自由市場志向の民主主義国(ハンガリー、ポーランド、アルゼンチンなど)との連携強化を模索し、全体主義国(中国、ロシア、北朝鮮、イランなど)の反体制・民主化運動を支援するだろう。現在ヨーロッパを席巻しているポピュリスト革命は、トランプ大統領の第1期がその前触れであったことから、米国がグローバリスト・エリートの独裁ではなく、自由市場、個人の自由、経済成長に基づく新たなグローバル・パートナーシップを構築する機会を提供している。


ここまで世界が危険に見えたことはかつてなかった。強力で積極的なアメリカ外交の必要性は、従来にまして高まっている。だからこそ、「力による平和」を掲げるトランプ大統領による2期目は、米国の有権者だけでなく、自由世界全体にも歓迎すべきものとなるだろう。■



Arthur Herman is a Senior Fellow at the Hudson Institute and was Senior Advisor to National Security Advisor Robert O’Brien, 2020–1.

Image: Jonah Elkowitz / Shutterstock.com.


https://nationalinterest.org/feature/will-donald-trump-restore-%E2%80%9Cpeace-through-strength%E2%80%9D-211966


2017年8月1日火曜日

インド、イスラエルとの価値観共有外交をアメリカは目指すべきだ


Indian Prime Minister Narendra Modi delivers a speech during a session of the St. Petersburg International Economic Forum (SPIEF), Russia, June 2, 2017. REUTERS/Grigory Dukor
さすがシンクタンクの主任研究員となると構想が違いますね。論点は表記三カ国に限らず理念、価値観を共有しつつ自国利益を最大限する外交を展開することです。日本も今のところは仲間に入れてもらえる資格があると思いますが、国会が政治世界の思考水準を表すとすれば不安にならざるを得ません。思考の幅、奥行きがあまりにも島国の狭小さのままです。戦略思考、地政学をもっと学びましょう。
America's Future Is with India and Israel
アメリカの未来はインド、イスラエルとともにある

July 23, 2017

  1. インド太平洋から地中海まで外交関係で変革が進行中だ。変化の風の出どころは北京ではなく、デリーだ。ドナルド・トランプ大統領に新しい勢力を束ねて米国の地球大指導力を進める好機がきている。
時代変化が進行中
  1. ホワイトハウスは今年中に国家安全保証戦略構想を発表すると見られ、ブッシュ、オバマ前政権の戦略案と別の内容になるのは間違いない。ブッシュは力づくで問題解決を目指した。オバマは逆に各地の紛争にかかわらず正面からの競争を避けた。トランプは中間を目指しているようだ。政権転覆や国土再建策には関心がないが、重要な国益を守るため米国の影響力を強く推進することに積極的だ。
  2. そのトランプ戦略の要点は大幅な不安定化を招きかねない武力衝突の可能性を国益影響度が最大の地域では減らすことにある。超大国間の衝突がアジア、ヨーロッパ、中東で発生するのは避ける。新戦略では中央アメリカに焦点を多くあてるのは国境を越えた犯罪網や不法移民で米国南部の国境地帯にストレスがかかっている状況に対応するものだ。
  3. 新戦略は米国の軍事力、外交力の強化をめざす政権の意向と対になっている。ジム・マティス国防長官が音頭を取り力を背景にした平和政策が進められているが、前政権下で劣化した軍の再建も狙う。いっぽうでレックス・ティラ-ソン国務長官はソフトパワー論に消極的で省内を驚かせている。ティラーソンは効率や効果だけを追求しているのではない。求めているのは政策の新たな方向性だ。
  4. 新政権による米前方配備の特徴が責任分担増を求める政策だ。費用負担のみならず責任共有を求めて各国の姿勢を同じ方向に統一し域内の平和と繁栄とともに生活様式の自由を守る。(トランプはこの内容をワルシャワの演説で説明している)
  5. 現政権に対しては厳しい批判もあり、トランプ自身もツィッターで盛んに発言しているが、政策重点はNATO、中東、アフガニスタンから北東アジアに広がる同盟国、友邦国に対し米国が責務を放棄することはないとの確証を与えることだ。
  6. いいかえれば埋めるべき空白が多いことを意味する。責任分担を求める政策の裏でホワイトハウスが勢いを持続できるか。オバマのアジア重視の空約束をどう埋めるか。中国の一帯一路に米国はどう対抗するのか。
  7. 南東アジアでの主要同盟国インド、日本、オーストラリアと米国は意見交換の場が必要だ。議題は共通ルールを書き換えようとする中国にどう対抗するかだ。
  8. トランプのチームは古くからの同盟各国とのつながりを深化させる方法を新たに考えだす必要に迫られており、二国間対話を集団安全保障に進化させ貿易不均衡の解決へ進める必要がある。真の意味で地球大の論点に目を向けるべき時が来たと言えよう。そこでインドの提案内容には米国に有利な形で世界の舞台を再設定する好機が潜んでいる。
東西の出会い
  1. ナレンドラ・モディ首相はインドを非同盟外交政策の伝統から解放した。インドは経済大国として台頭しつつある。この進展でインドが域内安全保障の提供国になる可能性が出てきた。特にインド洋で。
  2. さらに同首相が今月イスラエル訪問という歴史的快挙をしたことでインドの中東政策にも変化が生まれた。これまでのインドがイランに親近感をいだいていたのは石油依存度とともにチャーバハール港 Chabahar Port 開発でもイランに協力していることでも明らかだ。
  3. デリーはまだテヘランに踵を返す態度は示していない。またイラン情勢の変化で制裁措置が解除されたがデリーはあきらかに急いで関係強化に動く様子を示さなかった。モディ首相はイランを昨年訪問したが、自制し慎重なに調整した姿勢を示した。
  4. イスラエル訪問の前からもモディ首相は同地区との関係強化と再バランスを目指す兆候を示しており、湾岸協議会加盟国とも対話を強化しており、イスラエルも視野に入れていた。以前のインドはイスラエルとの交流を軽視してきた。だがモディ政権は防衛協力経済関係強化、さらに外交対話でもイスラエルを重視する姿勢を隠そうともしていない。
  5. インドの方向転換はワシントンから見て南アジア、中東双方に向けた政策とも方向が完全に一致する。トランプ政権はインドとの関係強化の姿勢をことあるごとに見せている。モディ、トランプ会談でも両国関係がすこぶる良好の上さらに向上の可能性があることをうかがわせた。.
  6. トランプは前政権よりイスラエルに友好的になりたいとの意向を明確に示している。トランプ政権がイランの影響力封じ込めと同時にアルカイダやISISといった勢力の撃滅を目指す中で米国がアラブ諸国やイスラエルへの一層の接近を目指すのは必然ともいえる。
三カ国対話の時が来た
  1. ワシントンとデリーが戦略的な観点から接近するとトランプ政権がめざす責任分担政策を一歩進める効果につながるかもしれない。多国間対話ほど戦略的な意図を変化させる機会はない。各国も関係深化を予期するもので、とくに議題が戦略的に重要地域での各国の利害でこの傾向が強い。その関連で米、インド、イスラエルの三カ国対話が友邦国・敵対国双方から関心を集めるのは間違いない。
  2. 米国がこの対話に参加すればホワイトハウスの考える米国の死活的な権益を広げながら広大なインド洋の共有利益擁護が可能となる。また地球大で活躍可能なパートナーとワシントンが目するその他有力国にも米国の考え方を再提示することができる。
  3. そこで各国の高レベル協議で次の五点が自然に議題になるはずだ。
サイバーに本腰を入れる
  1. 米印関係でサイバーが疑う余地なく重要議題となる。両国は大いに期待できるはずだ。イスラエルもサイバーで実力を有しており、両国の間でちょうどいい立ち位置だろう
一帯一路への対抗策を考える
  1. 中国の動きで生まれている挑戦と機会を真剣に考え米国のプレゼンスをインド洋全体でどう感じさせるかを模索すべきだ。中国最大の武器は資金力だがワシントンは何が提示できるのか。東西間に位置する多様な各国の観点が理解できれば米国も正しい解答を得られるだろう。
イスラム過激派勢力の脅威に対抗する
  1. テロリストによる攻撃からイスラム原理主義まで米国、イスラエル、インドは共通課題に直面している。テロ殺人集団を阻止し、危険思想を食い止めながら共通の大義名分をイスラム世界と模索し、暴力と過激主義をいかに排除するか。この議題ほど共同討議と共同行動による効果が大きいものは少ない。
海洋を理解する
  1. 海洋領域における状況把握能力は三カ国共通の優先課題だ。各国の情報共有が意味を生む議題でもある。
自由世界の防衛
  1. 米印防衛協力は未来の姿そのものだ。インドでのF-16生産という壮大な構想がある。三カ国で防衛装備のサプライチェーンを構築し、共同で未来につながるイノベーションを誘発させることが期待される。
まず始めよう
  1. 三カ国対話の議題はさらに広がる。エネルギー、人工知能といった大きな課題がある。だが以上の五点が出だしとしては妥当な内容だと言えよう。必要なのは高レベル対話を進めることで、対話から米外交も次のレベルの地球大外交に進むことが可能となる。
James Jay Carafano is a Heritage Foundation vice president and directs the think tank’s research on national security and foreign relations.
Image: Indian Prime Minister Narendra Modi delivers a speech during a session of the St. Petersburg International Economic Forum (SPIEF), Russia, June 2, 2017. REUTERS/Grigory Dukor