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2019年1月28日月曜日

新型機の開発状況 ベルV-280が水平速度322マイルを達成

これはすごい。オスプレイより大胆な性能域を見ざすのは戦闘偵察や兵力投入などより厳しい実戦条件での供用を想定しているからでしょう。ではオスプレイはどうなるのか。そのオスプレイでさえあれだけ反対の声を(某国の思惑通り)上げた人たちはこんな機体が配備されれば発狂するのでは。


Bell V-280 Flies 322 MPH: Army Secretary Praises Program ベルV-280が時速520キロを達成。陸軍長官が評価


By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 24, 2019 at 6:16 PM

Bell photo
ルV-280ヴァラー試作機が時速280ノット(519キロ)を超える速度に今週到達したと同社が発表した。今後さらに速度を上げるという。
ベルのティルトローターが進展する中で米陸軍の次世代垂直離着陸輸送機(FVL)事業でライバルのシコースキーボーイング共同開発のSB>1デファイアントは初飛行を実施できず遅延している。陸軍長官マーク・エスパーがFVLは陸軍装備近代化のモデル事業だと評価した。

Army photo
陸軍長官マーク・エスパーはFVL事業を賞賛

ベルが新記録達成をメールで知らせた一時間前にエスパー長官がFVLに言及し、企業名こそ上げなかったが二社のうち初飛行までこぎつけたのは一社のみと発言。V-280のスピード新記録樹立の件が長官の耳に入っていたか不明だが陸軍の一部は知っていた。
「工期・費用での超過リスクはいつもあり、対応が求められます」と長官は報道陣に会計検査院GAOから陸軍の装備近代化で懸念表明があったことに言及し、「そこで試作で要求性能を事前チェックし、実現達成可能にしており、その好例が次世代垂直輸送機事業です」と同事業を取り上げた。「試作化はずばぬけており、すでに一機が飛行を開始し、残りも近日中に飛ぶはずです。現実的な解決策の模索に効果が高く、過ちは繰り返しません。」
長官の言う過ちとはなんのことか。陸軍はこれまで野心的な希望を掲げたあまり悲惨な経験を繰り返してきた。ステルスヘリコプター、C-130で運搬可能な小型戦車等々で、実現不可能だったり高額すぎると判明して取りやめてきた。大規模戦に備え装備更新を迫られる中で繰り返しは許されない。「開発、配備しても使えない装備の導入をするつもりはありません」
FVL試作機事業は正式名称が共用多任務技術実証機 (JMR-TD)で2011年開始と長期間にわたっている。だが今や努力がまたとない時期に実を結ぼうとしている。
280ノットは限界ではないとベル幹部は得意げに語る。「ダッシュスピードで280ノットを超えるはずです」とカール・ホフマン(高性能垂直離陸機事業営業戦略部長)が電話で伝えてくれた。「機体設計上でどこまで行けるか正直わかりませんが性能上限を引き上げていきます」
280ノットを達成したフライトは貨物や人員を搭載せず、テスト機材のみだったと同社も認める。だが設計上は戦闘時に満載でも280ノットは出せると同社は説明。
体裁よく数字をまとめているのではない。最高速度は軍用機で重要で敵陣内でロックオンで撃墜されないため高速が必要だ。タリバンやISIS戦闘員のようなローテク勢力からロシア、中国のような高度戦力が相手の戦いへ切り替える中で防空網突破は重要だ。
ただしダッシュ速度は永久に続けられない。運用上では巡航速度が意味がある。ティルトローターではヘリコプター同様の離着陸、ホバリングができ、ターボプロップ機同様の巡航速度と航続距離に意味がある。
「長距離巡航飛行で280ノットを若干下回る速度を目指し、燃料効率も重視します」とコフマンが述べている。標準型の輸送ヘリと比較すると長年活躍中のUH-60ブラックホークが巡航速度150ノットでV-280の53%に相当する。重装備重装甲のAH-64もほぼ同様だ。ベルではV-280を従来型ヘリの「速度二倍、航続距離二倍」とし、都合よく数字をまるめているがテスト結果を見ると実態とかけ離れていないようだ。
ただしV-280の長距離飛行テストは未実施で、これまでの最長飛行はアマリロ工場からベルの試験場のあるテキサス州アーリントンまで約370マイルだ。この距離でもUH-60の最大航続距離317マイル(最新M型)より16%長いが長距離飛行の場合は追加燃料タンクを搭載するので貨物輸送量が減る。
「機体性能とともに燃料消費率にも満足しています」とコフマンは語り、「次は航続距離です」とし目標は575マイルから920マイル(500から800カイリ)とミッション内容により変わる。
V-280が次に試されるのは機動性だ。巨大ローターを左右に付けたティルトローターの挙動はヘリコプターと相当に異なり、ライバルのシコースキーはベル機は低速や低高度で機敏な取り回しできないと指摘している。
「高度Xでの取り回し」は陸軍には重要で強襲部隊を着地させ負傷者を回収する場所はジャングルから大都市まで多様だ。これは海兵隊や空軍特殊作戦部隊でも同様で同じベルの大型V-22オスプレイを長年供用しているが不満は聞こえていない。V-280ではV-22の知見すべてを使いつつ機体は半分程度に縮小している。
ティルトローター採用前に「陸軍は低速域での機体取り回しを心配していたはず」とコフマンは述べ、ただし「利用者は機体性能にご満足いただき要求取りの操縦特性を発揮していますがね」とする。■
Bell photo
水平飛行するベルV-280。同機はFVL事業の有力候補と広く見られている

2017年12月21日木曜日

★ベル新型ティルトローター機V-280が初飛行に成功

実証機としては対抗馬のシコースキー=ボーイング試作機が手間取っており
比較できませんが、ベルの方が手堅い技術進化なのでしょうか。あるいは同軸ローター+
プッシュ式前方推進のシコースキー技術に意外な欠陥があるのかもしれません。ボーイング
はオスプレイで組んだベルと決別したことを後悔しませんかね。

V-280 Valor flies for the first time

V-280ヴァラーが初飛行
A front view of the V-280 during its first flight. Note the blurred gearbox details. (All images: Bell Helicopters).

 By: Jen Judson    

  • ベルヘリコプターのV-280ヴァラー・ティルトローターが12月18日テキサス州アマリロの同社施設で初飛行した。
  • ベルは同機を9月に完成させており地上テストから本日の飛行に至った。一年をかけ重要なテストを行い、陸軍が進捗を見守る。
  • ベルヘリコプター社長兼CEOミッチ・スナイダー Mitch Snyder は「ベルV-280初飛行までこぎつけたことを誇りに思う」と声明を発表。「初飛行により国防総省のめざす装備近代化取得計画への当社の姿勢が明確に示された。ヴァラーは米陸軍のヘリコプター運用に革命的変化をもたらし、米軍の今後のミッションを変革させる機体だ」
  • 米陸軍は共用多用途(JMR)実証機として二機種の製造を求めており、重要な次期垂直輸送機(FVL)として2030年代のヘリコプターの選定を行う。
  • ヴァラーは米陸軍が求める次期垂直輸送手段の要求内容に答えるもので、従来型ヘリコプターより二倍の速力、二倍の航続距離で機動性とペイロードの柔軟性を増やす。
  • 一方、シコースキーボーイングの共同開発SB-1デファイアント同軸ヘリコプターの初飛行は遅れており、2018年第一四半期になる見込みだ。同機で初飛行が遅れているのはローターブレイド製造が複雑なためだ。
  • デファイアントの原型はシコースキーが特許を持つX2技術で、同社の自社開発機レイダーにも応用されているが、同機は今夏に不時着している。
  • 米陸軍はFVLを初期定率生産を開始し2030年までに供用開始したいとするが、ベルヘリコプターは前倒しは可能と主張している。
  • JMRには陸軍の今後の大型調達事業への取り組みが見える。試作品を製造させ高能力で信頼性高い装備を早く納入させる。■

2016年10月30日日曜日

DARPAの進めるコックピット自動化の現状 ALIASシステムで操縦士一人体制が生まれるか


いつも一歩先を狙う技術開発を進めるDARPAからの新しい成果報告です。すべてが人間が行うよりも信頼でき学習できるAIがあれば積極的にこれを使えばよいという発送のようですね。頑固一徹にチェックリストを読み上げるのは良いのですが、本当にチェックになっていない形骸化があるとすれば問題なのでこの技術は有望と見て良いのではないでしょうか。(ターミナル1共通記事)

The National Interest


DARPA Flies Plane with Robot Co-Pilot

October 27, 2016


各種チェックリスト項目や安全手順はコンピュータがずっと早く、安全かつもれなく実施できるはずだ。
  1. ペンタゴンの研究開発部門が実証をめざすのは航空機自動化の全く新しい段階で人間の持つ問題解決能力にコンピュータ化したロボット機能を組み合わせることだ。
  2. これを国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)は航空機乗員コックピット作業自動化システムALIASと呼ぶ。
  3. ALIASの中核は認識能力で人間の頭脳は状況が急速に変化しても問題解決できる能力を有するが、一定の手順はコンピュータが実施したほうが実効性が高いと研究者は見る。
  4. ALIASのソフトウェアはオープンインターフェースでパイロットが操作するタッチパッドや音声認識に対応し機体操作が自律的に行えるようになる。
  5. 例としてチェックリスト手順や安全手順のチェックがあり、エンジン状況、高度計、照明、スイッチレバー類は今までより迅速かつ、安全で効率よく確認をコンピュータが自動的に行なってくれる。
  6. 「乗員が通常行う仕事ですが当たり前すぎて退屈になることがあります。ALIASがチェックリストや点検を代わりに行い結果だけをパイロットに教えます。パイロットはもっと大事な飛行任務に専念できるわけです」とオーロラ・フライト・サイエンシズ社長兼CEOのマーク・チェリーが語っている。
  7. 航空機運用には多様な作業があり、緊急時の手順、ピッチ、ロール、エンジン状況の点検ライト、自動操縦等は乗員の手を煩わせず実施できる。
  8. LIASはDARPAの実証を業界大手のロッキード・マーティンおよびオーロラ・フライト・サイエンシズが行っており、今後B-52や大型民間機など各種機材に導入する。
  9. ALIASの初期仕様には小型機も対象で、セスナ208キャラバン、ダイアモンドDA42、ベルUH-1でも実証しているとチェリーは説明。ALIASは学習機能があり単発、双発両方に対応できる。
  10. ロッキード、オーロラ・フライト・サイエンシズ両社による実証を受けて、DARPAは第三段階の選定作業に入ろうとしており開発をさらに続ける。
  11. アルゴリズムがさらに改良され「人工知能」の域に入ると、各種機能、コンピュータがネットワークで高度に結ばれ情報を自動的に統合、分類、表示する機能が実現する。これができればヒューマン-マシンインターフェースが向上し、パイロットの「認知負担」が軽減される。
  12. 既存のセンサー、航法装置に加え「フライバイヤー」技術により機体の自動操縦がすでに実施可能だがALIASでは自律航行とヒューマン-マシンインターフェースの水準が大幅に引き上げられコンピュータの独自運用レベルが進む。
  13. ヒューマン-マシンインターフェースは米陸軍がすすめる次世代垂直離着陸機FVL構想の中核でもあり、2030年代に実用化しようとする高性能飛行機能を実現する
  14. ALIASのような技術が新型機開発で効力を発揮する可能性は十分ある。供用多用途技術実証機として米陸軍が未来のヘリコプターの開発段階を一歩進めようとしている。FVLの要求仕様としてALIASが組み込まれれば生身のパイロットの認知負担を減らし、その分もっと重要なミッションに専念できるようになる。
  15. パイロットの頭脳は指揮統制に重きを置いて、自動システムへの指示に専念できるればあとは機能を自動的に果たすようになる、とチェリーは述べている。
  16. 「パイロットの負担を減らした分、将来の機材の安全性は高まります」
  17. スロットルや作動系の装置、ヨークはすべてALIASで自動化が可能だ。
  18. 「見通し線外の通信を高度に自律化しており、プレデターやリーパーがこの技術で現時点でも運用されています」(オーロラ・フライト・サイエンシズのCEOジョン・ラングフォード)
  19. ALIASは技術的な可能性と実証成果を理由にGCN Dig IT賞を最近受賞している。■
Kris Osborn became the Managing Editor of Scout Warrior in August of 2015. His role with Scout.com includes managing content on the Scout Warrior site and generating independently sourced original material. Scout Warrior is aimed at providing engaging, substantial military-specific content covering a range of key areas such as weapons, emerging or next-generation technologies and issues of relevance to the military. Just prior to coming to Scout Warrior, Osborn served as an Associate Editor at the Military.com. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at CNN and CNN Headline News. This story originally appeared in Scout Warrior.


2016年6月15日水曜日

★★米海兵隊が進めるオスプレイ改良、武装化、空中給油能力、さらにC型の開発



海兵隊はオスプレイの最大のユーザーですが、独自に発展を考えているようです。C型というのは海軍仕様のCODにつく名称だと思っていましたが、先に海兵隊が取ってしまったのでしょうか。今後変更もあるかもしれませんね。

The U.S. Marines Want to Turn the MV-22 Osprey into a Lethal Flying Tank

June 13, 2016

米海兵隊はMV-22オスプレイにレーザー誘導方式2.75インチロケット弾、ミサイル、重機関銃を搭載する武装案を検討中だ。実現すれば同機のミッションは従来の補給・輸送に戦闘任務も追加される。

MV-22の武装化

  1. 「NSWC(海軍水上戦センター)のダルグレン施設で前方発射式ロケット弾、ミサイル、固定機関銃、機首装着銃に加え30mm砲、投下式ロケット弾、誘導爆弾をV-22で運用する可能性を探っています。この結果から海兵隊はMV-22Bオスプレイの武装化の決断を下します」とサラ・バーンズ大尉がScout Warrior へ書面で連絡してくれた。
  2. オスプレイ武装化で小火器、ミサイル、ロケット弾から防御性が高まり、輸送任務中のリスクが減る。さらに精密誘導兵器は海兵隊の兵力展開時に敵制圧能力となる。
  3. 武装オスプレイの登場でティルトローター機中心の戦術案の効果が上がる。同機のスピードとホバリング能力を活用し移動式迫撃砲や軽車両を運搬し、前線の海兵隊員を支援する構想で、奇襲攻撃も想定する。
  4. V-22武装化の第一歩は目標捕捉FLIR装備の選択、デジタル相互運用性、機体生存装備の選択だ。新型兵装の搭載は早ければ2019年からとバーンズ大尉は述べた。
  5. またバーンズ大尉は「強襲支援」はMV-22の主要任務として変更はないと述べている。「地上及び空中ミッションの指揮官の選択肢を広げ、即座に効果が出る防御手段となります。兵装の選択次第ですが、将来のティルトローター機は防御からガンシップ、警戒監視まで各種の能力を発揮するでしょう」
  6. レーザー誘導式ハイラ2.75インチロケット弾はフィン折り畳み式でアパッチ攻撃ヘリコプターに導入済みだがオスプレイで精密攻撃能力が実現する。レーザーを利用した2.75インチロケット弾発射方式は高性能精密破壊兵器システムAPKWSと呼ばれる。
  7. ベル=ボーイングは機体横にパイロンを付け各種兵器共通運用を図る。 「当社はベル社と共同でロケット弾をAPKWS構想の一部として機体に装着してみました。2.75インチロケット弾、レーザー誘導兵器やグリフィンミサイルです。レーザー照準の実験で効果を確認しています」とベル=ボーイングの業務開発部長リック・レマスターがScout Warriorに語ってくれた。また海兵隊はMV-22に50口径あるいは7.62mm 銃の搭載も考えているという。

新型オスプレイが2030年に登場

  1. 海兵隊ではさらに新型オスプレイMV-22Cを2030年代中頃の稼働開始想定で現在企画段階にある。海兵隊は新型オスプレイの構想としてティルトローター技術を元に性能をさらに引き上げると説明している。詳細はまだ不明だが、おそらく改良型センサーやデジタル航法で他機との接続を実現し、飛行速度やホバリング性能はさらに引き上げ、ペイロードが増え、次世代エイビオニクスを搭載し、機体防御装備としてミサイルや小火器対応をするだろう。
  2. 詳細はまだ不明だが、海兵隊関係者からScout WarriorにC型はこれから登場する次世代航空技術を搭載するとわかった。
  3. 「性能向上策で海兵隊に高性能中型強襲支援機が手に入ります」と海兵隊広報官ポール・グリーンバーグ少佐がScout Warriorに伝えている。
  4. オスプレイは水平飛行で280ノットが出せ、通常の回転翼機より戦闘半径が大きいことがまず特徴としてあげられる。
  5. ティルトローターの特徴でヘリコプターモードのホバリングで接近偵察をし、垂直着陸で兵員、装備、物資の輸送した後で航空機モードで固定翼機並みのスピードで飛行できる。一回の燃料補給で飛行できる半径は450カイリと海兵隊は説明している。
  6. 「2007年の供用開始以降MV-22は過酷環境で運用中です。イラクやリビアの砂漠からアフガニスタンやネパールの山地、揚陸強襲艦にも搭載されています。2007年1月から2015年8月まで海兵隊MV-22の総飛行時間は178千時間に上り各種戦闘作戦を支援してきました」(グリーンバーグ少佐)
  7. MV-22はこれまで290機がメーカーのベル=ボーイングから引き渡されており、最終的に360機になる。

FVL新技術をオスプレイに流用

  1. グリーンバーグ少佐はさらにMV-22Cで陸軍が推進中の次世代垂直離着陸機FVLで開発する技術も導入すると述べた。
  2. 「MV-22Cは進行中の各軍共用多任務次世代垂直離着陸機で導入する新技術も利用するほか、開発中の技術開発成果も使うでしょう」
  3. 米陸軍は2030年までの供用開始をめざし高性能高速かつ高効率の中型ヘリコプターの実証機で二社に開発製造契約を交付している。狙いは航空機同様の高速飛行とヘリコプターのホバリング性能を同時に実現することだ。
  4. このため各種技術の応用が想定され、軽量機体構造で抗力を下げ、各種推進方式、燃料効率が高いエンジン、複合材料や新型センサー技術の採用、航法、目標捕捉能力の改良、デジタルコックピットまで幅広い。
  5. 要求内容には「高度高温」環境での運用能力もあり、華氏95度高度6,000ft.という通常型ヘリコプターでは運用が難しい環境での運用を求めている。大気密度が薄く、気圧が低くなるためヘリコプターの操縦と運用は困難になる。
  6. 陸軍の共用多用途技術実証事業はJMR TDと呼ばれ、ベルヘリコプター=テキストロン、シコルスキー=ボーイングの各チームが契約を交付され、2017年までに実証機を生産し、次の中型ヘリコプター開発につなげる。
  7. テキストロン傘下のベルヘリコプターはティルトローターのベルV-280ヴァラー、シコスルキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアント同軸ローターブレイド機をそれぞれ製造中だ。同軸ローターブレイドは反対回転するブレイド二組と機体後部に取り付けた推進器を組み合わせ安定した高速飛行、ホバリング性能、操縦安定性を同時に実現する。ベルのV-280はティルトローター式でオスプレイとの共通点が見られる。
  8. 次世代垂直離着陸機で想定する任務には輸送、武装偵察、攻撃、人道援助、MEDEVAC(救急搬送)、対潜戦、対水上艦戦、陸上海上での捜索救難、特殊作戦支援、機雷掃海があると陸軍は説明している。
  9. 今後登場する技術分野には次世代センサー、航法技術、自律飛行、雲中透視、埃や異物が散乱する「低視認度環境」での飛行がある。

空中給油能力など既存型の改良進む

  1. 陸軍主導で開発する技術要素を海兵隊は新型オスプレイにも搭載する一方で既存MV-22でも技術改良を続ける。
  2. V-22空中給油システムVARSがその一つで、2018年供用開始とグリーンバーグ少佐は説明。
  3. 「VARSでF-35BライトニングII戦闘機におよそ4,000ポンドの給油が初期作戦能力として可能になります。2019年までに1万ポンドに拡大します。F-35Bの行動半径が延びるとともに目標上空で滞空時間を延長できます」
  4. またオスプレイからヘリコプターへ速度110ノットで、固定翼機には220ノットで空中給油できるようになるとレマスターは述べている。
  5. VARSの対象はCH-53E/K、F-18,AV-8Bハリヤーに加えV-22も含むとグリーンバーグ少佐は解説してくれた。
  6. 海兵隊ではオスプレイに高度ネットワーク技術の搭載も狙い、「デジタル相互運用性」“Digital Interoperability”略してDIと呼ぶ。このネットワークでオスプレイ乗員は後部に乗る海兵隊員含め戦術戦略情報を機内で入手できる。DIは第十五海兵遠征部隊が試用中で2017年中に供用開始する。■


本記事の著者クリス・オズボーンはScout Warriorの編集主幹。Scout.comで独自取材源で記事を執筆好ている。Scout Warrior は軍事関連記事を幅広く提供しており、兵装から次世代技術まで扱い、その他軍関連情報を公開している。オズボーンは現職の前にMilitary.comで服編集人をつとめていた。本記事はScout Warriorからの転載である。


2016年3月2日水曜日

米陸軍の次期中型垂直離陸機材調達事業

事業名が垂直航空機なのはヘリコプターになるかティルトローターになるか未定のためですね。ともあれ大型調達案件がスタートしそうです。今後も動向に要注目ですね。
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Aerospace Daily & Defense Report

U.S. Army Seeks Ideas On Medium-Lift, Scout/Attack FVL

Feb 24, 2016 Graham Warwick | Aerospace Daily & Defense Report

Boeing/Sikorsky

意表を突く形で米陸軍が高速軽量偵察・多用途および中型攻撃輸送用の回転翼機を検討中。国防総省の進める次世代垂直飛行機(FVL)の「ファミリー整備」構想によるもの。
  1. 米陸軍は2月22日に情報提供要請(RFI)をFVL性能セット1(CS1)とともにFVL中型と呼ぶセット3(CS3)で発出した。まずシコースキーUH-60ブラックホーク後継機を2030年代中ごろに作り、その後ボーイングAH-64アパッチ後継機種づくりをめざす。
  2. 中型FVLの前に位置づけられる共用多用途機(JMR)技術の実証事業でベルヘリコプターとボーイング/シコースキーがそれぞれ輸送用途の高速回転翼機を製作中で2017年末に初飛行の予定だ。
  3. RFIによればCS1は「一番機体が小さいが機動力が最高の機体」というのがFVLファミリーでの位置づけで、使用用途は「偵察、軽攻撃、軽襲撃撤収作戦用」としている。陸軍は「民生用、民生機の転用、軍事用あるいは概念上の機体技術」を広く求める。
  4. 性能要求原案には「地形追随あるいは地形回避で飛行速度200ノット超」で無給油で229カイリの飛行半径としている。この速度要求では通常型のヘリコプターは対応不能だがシコースキーの同軸リジッドローター方式S-97レイダー複合機はここに入る。
  5. S-97の設計速度は220ノットで陸軍の求める武装航空偵察機材の要求に合致し、現行のベルOH-58Dカイオワウォーリアーの後継機になるが、調達は先送りされており、退役が進むOH-58Dの代わりはAH-64Eアパッチ攻撃ヘリを用途追加して対応する。
  6. レイダー試作機は自社費用で二機が作られおり、一機目は2015年5月初飛行のあと性能限界の確認用に投入されている。二号機は顧客向け実証に使う。シコースキーはロッキードの傘下に入りミッションシステム技術の開発に入っている。
  7. もう一方のCS1は6名乗りで機動性に優れ、高度 6,000 ft. 温度95F  ( これを6k/95条件と呼ぶ)で地上ホバリング効果を発揮でき、偵察攻撃ミッションで滞空時間2時間で170カイリを移動し、強襲ミッションでは30分で229カイリとする。空中給油能力と艦載運用も求める。
  8. ただしRFIでは「情報の取得はCS1が調達段階に進むことを保証するものではない」と断っている。「現時点ではCS1をどう進めるかの決定はない」
  9. CS3ではUH-60、HH-60、MH-60、AH-64の各機種が実施中のミッションを想定する。RFIによればCS3では「多方面で活躍できる中型垂直離陸機」をめざし、強襲、攻撃、戦闘捜索救難などを想定任務に挙げる。
  10. CS3のRFIでは2030年供用開始の想定で技術内容を求め、巡航速度は230から310ノットとし既存ヘリコプターで対応不可能だ。ベルのV-280ヴァラーJMR実証機が280ノットのティルトローター機で、ボーイング/シコースキーのSB-1ディファイアントは230ノット同軸リジッドローター複合機の設定だ。
  11. その他の性能想定には無給油飛行半径が229から450カイリ、機動性、6k/95でのホバリング性能、機内に3,500-4,000-lb.または機外に6,000-8,000-lbのペイロード、空中給油能力と艦載運用がある。
  12. CS3のRFIは市場調査の意味もあり、機材開発決定 (MDD) に先立つ位置づけだ。陸軍の2017年度予算要求にはFVL中型機調達予算が計上されている。
  13. 予算案では10.4百万ドルで代替案検討(AOA)を始める。AoAは2018年度まで継続し、マイルストーンA決定で技術開発を開始すべきかを決め、2019年度に提案提出を求める。機体製造の契約交付は2021年度に想定している。■

2014年10月9日木曜日

米軍向け次世代ヘリ試作機にベル、シコルスキー/ボーイング二案が選定されました



選定は予想通りというところでしょうか。複合ヘリ、ティルトローターともに今後が期待される技術ですが、陸軍の次期主力ヘリ選定に漏れた方が民生用に活路を見出す、というかつてのボーイング747の事例を思い出していますが、その可能性はどうでしょうかね。ボーイングはベルと仲がいいのかと思っていたら今度はシコルスキーとタッグを組んでいますね。技術の優位性を冷静に判断したのでしょうか。

U.S. Army Selects Bell and Sikorsky/Boeing to Build Prototypes for Next Generation Helicopter Program

By: Dave Majumdar
Published: October 3, 2014 5:27 PM
Updated: October 3, 2014 5:33 PM
SB-1 Defiant. Boeing Photo
SB-1 Defiant. Boeing Photo
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米陸軍はベルヘリコプターおよびシコルスキー/ボーイングチームの二社を共用多用途(JMR)高速ヘリコプター開発業者に選定した。

  1. 各チームは技術実証(TD)機を完成させ2017年にフライトテストを開始する、と陸軍はUSNI News向けに文書で開示した。

  1. 試作機二機種は共用多用途技術実証飛行機体の位置づけで、陸軍が進める次世代垂直輸送機.(FVL)につながり、シコルスキーUH-60ブラックホークおよびボーイングAH-64Eアパッチの後継機種となる。FVLは米海軍のMH-XXにもなり、MH-60シーホークに代わる機体となる。


  1. 陸軍のJMR/FVL事業主査ダン・ベイリー Dan Bailey, the Army’s JMR/FVL program directorは「JMR TDで差知識獲得を最大化し、リスクを減らしてFVL調達に進むのが目的」と語る。「予算環境を考えて基本設計4案をまず2案に絞り込んだ」

Bell-V2280. Bell Image
Bell-V2280. Bell Image

  1. 今回選定に外れたのはカマンエアクラフトAVXエアクラフトだが、陸軍は両社の技術内容にも関心を示している。

  1. シコルスキー・ボーイングチームのSB-1デファイアントDefiant案は、同軸ローター複数と推進用プロペラを組み合わせた複合ヘリだ。原型はシコルスキーの革命的なX2で、200ノットが限度だった従来型ヘリコプターの性能を非対称揚力dissymmetry of lift で実現した。

  1. ベルヘリコプター案はV-280ヴァラーValorで発達型ティルトローター機としてベル・ボーイングV-22オスプレイを原型とする。V-280は小型だが300ノット超と高速かつ操縦性でオスプレイを上回る。

  1. 不採択となったAVX案はデファイアントに似た複合ヘリだった。カマンからの提案は可変ティルトローターでベル案と似通っていた。■


2014年6月28日土曜日

主張 米陸軍は次世代ヘリ事業を真剣に考えぬいているのか


Opinion: Has The U.S. Army Thought Through Future Vertical Lift?

The coming rotorcraft non-revolution
aviationweek.com Jun 19, 2014Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology
銀行や国防案件、さらには国家財政再建など「巨大だからこそ倒産させられない」と言う文言がまた出てくると、肩をすくめ、無力感にさいなまれることが多い。多くは巨大すぎるからではなく、行動をとるのが遅すぎたことが問題なのだ。
  1. 米陸軍の次期垂直輸送機 Future Vertical Lift (FVL) がこの例で誇大宣伝と裏腹にそもそもの目標がしっかりしていない。

  • まず、回転翼機の概念を再構築し、新型の推進手段を付与するコンセプトだ。
  • つぎに、陸軍航空部隊の再構築として、2千から4千機の生産規模でAH-64, UH-60, CH-47等のヘリコプターをすべて更新する。同時に海軍、海兵隊、空軍にも導入できる。
  • そして、FVLは垂直輸送機の産業基盤そのものを変革し、採択される一社あるいは二社が市場を取り、不採択企業はもう参入できなくなるだろう

  1. それでもFVLが次期戦闘航空システムズ Future Combat Systems につながる可能性は高い。同システムも過剰なほど野心的で巨大すぎてつぶせない陸軍の構想だ。まず、陸軍が飛行速度を上げるために多額の予算を支出する気があるのかが疑問だ。この半世紀でヘリコプターの最高巡航速度は 150 kt だが、FVLはその前身の共用多用途技術実証機 Joint Multi-Role Technology Demonstrator (JMR-TD) の競作を通じ、 230 kt で飛行可能な新しい回転翼機を生むことをめざしている。
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  1. 残念なことに新技術により調達コスト運航コストは現在よりも 40から70%も高くなりそうだ。V-22ティルトローター機では現行機の2倍だ。海兵隊と特殊作戦本部がこれを無視できるのは特殊作戦に同機の飛行距離と速度が大きな効果を上げているからだ。

  1. だが陸軍はペイロード重視のはずだ。調達経費が固定と仮定し、陸軍が5割高くても高速な機材を調達すると、機数は現行の三分の二程度になる。

  1. 陸軍が高価格を許容しても、海外の顧客は同じだろうか。ハイエンド機に特化すれば回転翼機市場を失うことにならないか。

  1. 二番目に垂直輸送機そのものの改革に充てる時間が非現実的に短い。JMR-TDでは各種の技術応用を検討し、ティルトローター以外にも同軸ローターも試している。陸軍はJMR技術開発をベルヘリコプターシコルスキー航空機AVX航空機およびカレム航空機に委託している。これから数か月でこのうち2社2機種が選考に残り、試作機製作に移行する。フライトテストは2017年より開始となる。調達は2019年より開始見込みだ。

  1. だが過去40年で高速ヘリ開発で誤ったスタートが多く見られた。V-22は成功例としてももっと多くの失敗例がある。新型回転翼機を目指す正しい道筋が見えてくるのにまだあと5年はかかりそうだ。

  1. 三番目に現行各機種とFVLの間のギャップにより陸軍航空部隊へ、さらに産業基盤に大きな影響が出そうだ。現行各機種の生産はすでにピークを過ぎており、 AH-64E, CH-47F/G, UH-60M, MH-60R/S、V-22各機種の調達は2018年には2011年の半分程度になる見込みだ。2020年代には現行機種の大部分は生産終了となる。では陸軍はFVLが就役可能となるまでのつなぎをどの機種で行うのか。

  1. FVLはRAH-66偵察攻撃ヘリを思い起こさせる。陸軍は同機に数十億ドル単位で予算を投入したが、結局ものにならなかった。だが開発中止の余波で、既存機種の改良に力が入れられ、性能も向上してきた。この関係で1960年代70年代に軍が精力的に機材調達を行ってきた野はこれが理由だ。2020年代までに今よりも優れたターボシャフトエンジン、コックピット計器、センサー類、自己防衛システムが利用可能となっているはずだ。各要素を既存機種に盛り込めば最小の投資ではるかに優れた性能が手に入るので、FVLよりも効果が高い。

  1. JMR-TDで回転翼機の技術を進歩させるのは数億ドル単位の予算に見合っているとはいえ、FVLではさらに数十億ドルが必要となる。他の大きすぎて廃止できない構想と同様に、FVLでも代替策は想定していないので、FVLに投じる巨額の予算は無駄になってしまう。
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本記事の著者リチャード・アバウラフィアはTeal Groupで分析担当の副社長。


2013年10月4日金曜日

米陸軍向け次期汎用ヘリ競作にカレムが可変速度式ティルトローター機で参入

Karem Unveils Variable-Speed Tiltrotor For U.S. Army JMR Demo

By Graham Warwick graham.warwick@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviatonweek.com October 02, 2013
Credit: Karem Aircraft
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カレムエアクラフト Karem Aircraft が米陸軍の求める多用途回転翼機 Joint Multi Role 構想にティルトローター機で参画する。共用多用途機技術実証の第一段階契約を交付された。
  1. JMRとは陸軍が企画中の将来型垂直離陸輸送機Future Vertical Lift (FVL)の一部でまず中型機を開発し、現行のシコルスキーUH-60ブラックホーク多用途ヘリの後継機とし、その後ボーイングAH-64 アパッチ攻撃ヘリの後継機種とさせる構想で、実現を2030年代中ごろとしている。
  2. 陸軍の航空ミサイル研究開発技術司令部が技術投資契約 technology investment agreements (TIAs) をAVXエアクラフトベル・ヘリコプター、カレム、シコルシキー・ボーイング合同事業体とそれぞれ締結している。
  3. JMR構想に参入するカレムはTR36TD実証機を最適速度制御型optimum-speed tiltrotor (OSTR) のティルトローター機として設計中で、同機は直径36フィートの可変速度ローター二基を既存のターボシャフトエンジンで駆動させる。
  4. これに対してベルは「第三世代型テイルトローター機V-280ヴァラーの設計をしており、AVXは同軸ローターを抱くテッドファンと組み合わせたヘリコプターを開発中、さらにシコルスキーは同軸固定ローターと推進用プロペラを組み合わせた機構の機体を開発する。
  5. JMRの技術実証は巡航速度最低 230 kt.wを求めており、これは通常型ヘリコプターより50%早い。カレムによるとTR36D生産型は水平飛行で 360 kt.が可能だという。ベルV-289の巡航速度は280-kt.でAVXとシコルスキー・ボーイングは各230 kt.をめざしている。
  6. 四社に交付済みのTIAでは9ヶ月以内に一次設計完了を求め、その後陸軍が各設計を審査し、二社に機体製造させ2017年に実証機の初飛行を実現させるもの
  7. カレムによれば可変速度式OSTR機で実現する長所に機体重量、駆動機構、空力特性、推進効率に加え高速度があるという。TS36TDには「十分な」ホバリング性能、上昇率、操縦性、飛行距離で他の垂直離着陸機よりも優れた性能が実現すると同社は説明。
  8. またOSTRは機構の複雑度を減らし、安全性で優れ、保守点検を簡略化し、総費用を下げることが可能という。
  9. 数々の発明で知られるエイブ・カレム Abe Karem はプレデター無人機の原形を設計したほか、(現在はボーイングの)A180ハミングバード長時間飛行可能無人ヘリコプターで速度最適化ローターを採用している。2004年に起業したのが現在のカレムエアクラフト社。
  10. 2005年から2010年にかけてカレムは200,000 lb. 超の各種OSTR仕様を陸軍の共用大型ヘリ開発資金により検討している。そのうちTR75は直径75フィートの可変速度式ローター複数を使い、ロッキード・マーティンが共同参画して陸軍向け大型ヘリ開発を進めていたが、同計画が資金不足で棚上げになっている。
  11. 同社は自社資金で民間向けOSTR種を90席のエアロコミューター AeroCommuter と180席ノエアロトレインAeroTrain の二機開発中だ。■