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2025年2月13日木曜日

米海兵隊が空母艦載F-35Cの購入を増やし、B型調達を減らす方針を示す(Defense One)―B型削減分はC型調達追加に回し、ロッキードを心配させない配慮なのでしょうか。

 


海兵隊の新航空計画ではUAVの購入計画が拡大しないことに疑問の声が出ている


海兵隊の新しい航空戦力計画では、空母搭載型のF-35C調達を倍増し、短距離離陸垂直着陸型のF-35Bの購入を縮小する。

 月曜日に発表された2025年海兵隊航空計画によると、海兵隊のF-35購入総数420機は変わらないが、F-35Bは353機の予定が280機へ、F-35Cは67機の予定から140機を購入する。これは、海兵隊がF-35Bを12個飛行隊、F-35Cを8個飛行隊配備することを意味する。注目すべきは、この計画ではF-35飛行隊の規模も10機から12機に拡大していることだ。

 ロッキード・マーチンは声明で「当社は、世界最先端の航空機で重要任務を遂行するのに最適なF-35の機種構成を調整するという米海兵隊の決定を支持する」と述べた。

 フォーキャスト・インターナショナルの軍事航空宇宙アナリスト、ジョン・ヘムラーは、F-35Cを追加購入する決定は、「空母艦載機による作戦をより優先させる」こと、そしてインド太平洋地域の各国部隊との統合を迅速に進めたいという願望を示唆している、と語った。

 しかし、戦略国際問題研究センターの上級顧問マーク・カンシアンは、この計画には驚クべき点があると語った。F-35のコストと脆弱性から、フォース・デザイン2030にはふさわしくないとデビッド・バーガー前司令官が示唆していたにもかかわらず、計画でF-35の購入全体の削減を要求していない点だと言う。

 この計画には、無人航空機の購入計画の拡大も欠けている、とカンシアンは言う。「一時期、海兵隊は航空機の40%を無人機にすると言っていた。 陸軍が約200機、空軍が約250機のMQ-9を保有しているのに対し、海兵隊は18機しか保有していない」と指摘する。

 この文書は、海兵隊が3年ぶりに航空計画を公に更新したもので、「プロジェクト・イーグル」と呼ばれる取り組み、つまり今後15年間の海兵隊航空に関する「戦略的道筋」を詳述したものだ。

 「プロジェクト・イーグル戦略は、海兵隊が信頼し、頼りにする航空能力の維持と強化に重点を置くことを必要とする、海兵隊航空の将来の道を示すものである。 ブラッドフォード・ゲーリング中将(航空担当)は文書の中で、「複数のプラットフォームが移行する中、戦闘指揮官が必要とする持続的な到達力と殺傷力を提供するため、固定翼機、回転翼機、無人機材の近代化を続けていく」と述べた。■


Marines aim to buy more carrier-based F-35s, fewer VTOLs

Corps’ new aviation plan also expands squadrons—but not UAV-buying plans.

BY AUDREY DECKER

STAFF WRITER

FEBRUARY 4, 2025

https://www.defenseone.com/policy/2025/02/marines-aim-buy-more-carrier-based-f-35s-fewer-vtols/402759/?oref=d1-homepage-river


2020年5月12日火曜日

超音速飛行に制限がついたF-35C....問題の山はいつ解決される?


ひとつひとつ問題を解決しているようですが、それだけF-35では各種の問題が発生しているのでしょう。しかし、同機はこうして実戦で本来の性能を発揮できるようになればいいのですが....
 

攻撃戦闘飛行隊VFA101所属のF-35CライトニングIIの初号機がエグリン空軍基地を離陸している。設計上の問題のため海軍、海兵隊のF-35で超音速飛行に制限がついている。 (Samuel King Jr./U.S. Air Force)


F-35で超音速飛行を続けると機体後部に破損が発生するリスクがあるが、運用面の条件変更で対応可能だとF-35共同事業室(JPO)がDefense Newsに伝えてきた。
この欠陥はDefense Newsが2019年に初めて報じ、米海軍・海兵隊仕様のF-35が高高度で超音速飛行すると機体構造の損傷あるいはステルス性の喪失につながるというものだ。
この問題のため海軍のF-35Cは超音速迎撃が実施できなくなる。
「この問題は2019年12月17日時点で特に対応不要かつ米軍での供用で発生していないと判明」とF-35JPOの回答文書にある。「欠陥報告は『修正作業不要』と分類され、複雑な作業による費用増加を正当化するだけの内容ではないと判断した」「解決しようとすると素材表面の塗装が長時間の飛行に耐えられるのか、同時に制御面の重量増ほか要求水準に合致するかの長期にわたる開発、飛行テストが必要となる」
空母運用仕様のC型、短距離離陸垂直着陸のB型で修正せずミッションは実施可能とJPOは述べた。
高速飛行を継続した場合に発生する可能性がある損傷のためF-35の機体以外に低視認性用の塗装に影響が出るだけでなく、機体背面の各種アンテナも損傷に弱いとDefense Newsが独自入手した文書に記述がある。
JPOではB型、C型の問題をそれぞれカテゴリー1の欠陥と分類し、重要ミッションの実施で障害になりうるとしている。カテゴリー1とは深刻度が最大の欠陥を意味する。
配備済みの機体で超音速飛行を続けて障害が発生すれば深刻だが、実はF-35では超音速飛行の頻度は低い。
F-22で超音速飛行は普通だが、F-35の超音速飛行は「緊急時対策」と、ハドソン研究所のブライアン・クラーク(退役海軍士官)は述べている。「超音速飛行はF-35では重要機能ではない」「実施はできるが、F-35パイロットからは超音速飛行は限られた場合のみで、その性能はなにかから高速で退避する場合に必要となるが、通常の戦術では必須ではないと聞いている」
実際に超音速飛行ではF-35の優位性が犠牲になるとクラークは解説する。「F-35の長所を捨てるようなものだ。ステルス性が下がり、燃料は急速に減り、アフターバーナーまで使えば、機体周囲の温度を上げるだけだ」存在を知らせる特徴を敵に発見させるだけとクラークは言う。
だがある退役海軍航空士官はアフターバーナー使用を制限すれば近接戦闘の場合に不利だとDefense Newsに話してくれた。
F-35運用のコンセプトは相手に探知される前に敵機を撃破することだが、長距離での攻撃には海軍航空部隊は歴史的にも文化的にも不信の目を向けている。ベトナム戦争では航空部隊はミサイルを過信し機関砲を廃止したことで空中戦での損失を急増させた。
海軍航空部隊が得た教訓は最新技術に依存し基本条件を犠牲にしないことで、このためトップガンが50年前に結成され、海軍攻撃戦闘機の戦術開発訓練教程が生まれた。
「解決策は『アフターバーナー使用は一分未満に』すること」と別の退役海軍航空士官は語っている。「機体が高性能でも深刻な制約になる」
機体がミサイル攻撃を回避する場合やドッグファイトで生き残るために高速飛行を迫られると深刻な問題になる。
この問題は海軍にとって複雑で、前方配備で機体を数ヶ月も連続稼働させると塗装や機体構造に重整備対応が必要となる。また損傷を受けた機体が発生しても運用艦が母港に戻るまでは修理できず、航空戦力の低下になりかねない。
「8ヶ月の海上運用で第一週に損傷機材が発生したら、以後損傷機材のまま残るんです。そうなると該当機材は完全修理が終わるまで戦力外ですよ」(上記退役海軍航空士官)
その他の欠陥
カテゴリー1の欠陥はその他3点あるがJPOはすべて公式に「解決済み」としており、改良されたか、現状のまま受容しているという。
緑色の発光問題といわれるものは昨年7月に解決済みとなった。ヘルメット搭載ディスプレイのLEDからの発光を指す。空母甲板の照明の視認を妨げる問題が夜間で発生していた。
この問題については「改良型有機発光ダイオード(OLED)のヘルメット搭載ディプレイ(HMD)で解決した」とJPOはDefense Newsに説明している。
「第三世代のF-35用OLEDヘルメットディスプレイユニット(HDU)では夜間の緑色発光を大幅に減らしている。米海軍、海兵隊向けのOLED式HDU第一次分をJPOは受領ずみで、第二次発注も行っている」(JPO)
F-35A、F-35Bでタイヤ破裂が発生した問題は油圧線の切断につながり、まだ解決に至っていないとJPOは記述しているが、タイヤ品種を変更してからは再発していない。
「DR(不良報告)は『修正予定なし』の分類で解決済みとされており、降着装置の設計はF-35の安全要求をすべて満たすもの」と文書にある。「初期に発生したタイヤ破裂問題は初期開発段階での設計変更で解決し、二重油圧系統の低下がタイヤ破裂で発生した問題は以後見つかっていない」
A U.S. Air Force F-35A sits on the flight line before testing and evaluation on Jan. 23, 2018, at Eielson Air Force Base, Alaska. All three variants of the F-35 were brought to Eielson to test their ability to operate in an extreme cold-weather environment. (Airman 1st Class Isaac Johnson/U.S. Air Force)
米空軍向けF-35Aがイールソン空軍基地(アラスカ州)のフライトラインで待機中。2018年1月23日。F-35の3型式はすべてイールソンで超低温環境での機能を試している。(Airman 1st Class Isaac Johnson/U.S. Air Force)

寒冷気候でバッテリー不調のまま着陸を迫られた事例が発生したがこれも解決済みとJPOは説明。この問題は超低温で機首の降着装置扉を開放した際に警告ベルが鳴って発生したとDefense Newsが独自に入手した「内部資料」に記載がある。
冷気が機内に入り、バッテリーを包むヒーターブランケットを圧倒した。28ボルトバッテリーを最適条件に保つためにヒーターブランケットがついている。バッテリーは停止しなかったが、冷気のため想定どおりの暖房ができず、警告ライトが点灯し、バッテリーが停止寸前と伝えてきた。
この問題ではソフトウェアを改良したとJPOは説明。
「この問題は2019年7月22日に解決した。バッテリー充電器のファームウェアを改良した」とある。「ファームウェア改良はバッテリーチャージャーのメーカーが担当し、ロッキード・マーティンが統合の上、JPOとともに実証した」■
この記事は以下を再構成したものです。

The Hidden Troubles of the F-35


2020年4月27日月曜日

いずもを正規空母に改装しF-35C運用を可能にしたらどうなるか大胆に想像


海上自衛隊艦艇は数隻ずつ建造され、確実に進化させており、いずも級のあとに本格的空母が建造されると見る向きも多いと思います。その中でいずもを正規空母にしたらどうなるか、というのが今回の大胆な記事の趣旨です。が、3万トン弱の艦容では意味のある機材運用は無理では。やはり次世代の大型「空母」を最初から建造するのを待つべきなのでしょうか。

これがリークされたいずも改装案のスライドの一部のようです。



本のいずも級「ヘリコプター駆逐艦」2隻はヘリコプター空母から小型航空母艦に改装され、スキージャンプ方式飛行甲板でF-35を運用するはずだ。

では、いずも級をカタパルト式空母にしたらどうなるか

国防関係のウェブサイトに1枚の写真が掲載された。明らかにリークのパワーポイントスライドでいずもが小型正規空母としてF-35Cをカタパルトで運用する姿となっている。

興味をそそられるのはスライド下部にジェネラルアトミックス・エレクトロマグネティックスの社名がついていることだ。リーパー、プレデター無人機のメーカーとして有名なジェネラルアトミックスは電磁航空機発艦システム(EMALS)や高性能拘束装置(AAG)のメーカーでもあり、EMALS、AAGは従来の蒸気カタパルトや拘束装置に代わり新型フォード級空母に採用されている。

スライドに詳細情報はない。(ジェネラルアトミックスにNational Interestが照会したが現時点で無回答)だが上部には「JMSDF(海上自衛隊)の航空機:E-2C/E-2Dホークアイ、F-35CライトニングII、H-60シーホーク、V-22オスプレイ、その他?」の表記がある。改装後のいずもの上面図・側面図は空母らしくなり、F-35の二機が前方でカタパルト発艦に備え、その他7機のF-35、E-2一機が駐機し、ヘリコプターがブリッジ近くに、さらにV-22らしき機材が後部に見える。

いずも、かがの2艦は異色の艦艇だ。スキージャンプではなく全通型の飛行甲板を備え、短距離離陸機の運用ができない。だがカタパルト、拘束装置も搭載せず、通常型艦載機の発艦着艦にも対応できない。

ただし、F-35Cとカタパルトでいずもが劇的に変わるというのは決して誇張ではない。F-35Bは短距離離陸垂直着陸(STOVL)により短い飛行甲板から発艦し、ヘリコプターのように着艦できる。これでカタパルトや拘束装置は不要となる。その意味で陸上運用型のF-35Aやカタパルト発艦式のF-35Cよりも運用は柔軟となる。だが代償もある。F-35Bでは性能、飛行距離、ペイロードがいずれもF-35Cより劣る。

スキージャンプ式でF-35B十数機とヘリコプター数機を運用するのと、通常型空母でF-35CさらにE-2早期警戒機を運用するのでは空母航空戦力の使い方としてどちらがよい効果をあげるだろうか。

ジェネラルアトミックスが事業獲得をねらい構想を立てたのか、それとも日本政府がもっと戦力の高い解決策を積極的に模索しているのか現時点では不明だ。いずも級の改修工事が来年始まるが、スキージャンプ方式を採用する可能性が高い。日本はF-35Bの42機調達を決定している。日本政府としては存在感を高め戦闘能力も向上してきた中国海軍へ対抗手段がほしいところだ。

とはいえ、カタパルト発艦方式に改装したいずもへの疑問も残る。EMALSカタパルトは問題解決が必要な装備だ。電磁式で軽量化が可能で短い間隔で機体を発艦させられるが、信頼性が障害で、トランプ大統領もフォード級空母を蒸気式にもどすよう要求しているほどだ。

もっと大きな問題はフォード級が満載排水量10万トン、英国のクイーンエリザベス級空母(スキージャンプ方式、F-35Bを36機搭載)が65千トンなのに対し、いずも、かがはわずか27千トンで甲板長も800フィートしかない。フォードは1,100フィートだ。いずも級に電磁カタパルト装置を搭載する艦内余裕はあるのだろうか、拘束装置や十分な機数の航空団を収容できるのだろうか。

フォード級の建造単価は130億ドル、クイーンエリザベスは60億ドルだが、いずも級ヘリコプター空母は10億ドルをわずかに上回る。通常型空母に改装し機材もそろえるといくらかかるのか。その数字に興味を覚える。■

この記事は以下を再構成したものです。


April 26, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35CJapanNavyMilitaryTechnologyWorld

2019年6月10日月曜日

米海軍空母でF-35C運用ができない...とはどういうことなのか

コメントは下にあります。

Nimitz and Ford Carriers Need Upgrades to Deploy With F-35Cs ニミッツ級フォード級空母にはF-35C供用に改修が必要


June 6, 2019 3:37 PM • Updated: June 7, 2019 6:09 AM
An F-35C Lightning II assigned to Strike Fighter Squadron (VFA) 101 is positioned on the bow catapults of the Nimitz-Class aircraft carrier USS Abraham Lincoln (CVN-72) March 17, 2018, in the Atlantic Ocean. US Navy photo
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時点でF-35CライトニングII供用打撃戦闘機の運用が可能な米海軍空母は1隻しかないとUSNI Newsが6月6日に報じている。

今週はじめに議会が海軍へ不満を表明した。フォード級空母をF-35Cの運用体制がないまま受領し2020年度国防予算認可法の成立を期待しているからだ。F-35C運用可能な艦はニミッツ級空母USSエイブラハム・リンカン(CVN-72)のみだ。

「ニミッツ級、フォード級の空母はもともとF-35C運用に対応した設計なのですがF-35の性能をフルに引き出すためには艦内に専用区画を設けたり強力なジェット排気を偏向させるなど改修が必要なのです」と海軍報道官ダニエル・ヘルナンデス大佐がUSNI Newsに伝えてきた。

現状でも各空母でF-35Cの離着艦は可能だが機体を艦内で長期運用する設備が未整備のままといことである。

「F-35C用にCVN-78、CVN-79の改装が引き渡し後の整備時に予定されているが実施時期はF-35Cの第一線就役時より前となる」とヘルナンデス大佐は述べている。「CVN-78、CVN-79では予算サイクルで盛り込み済みだがCVN-80、CVN-81では建造時から盛り込むため後日改装は不要となる」

下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会は海軍の想定改装日程を前倒しし2020年度国防予算支出認可法でフォード級二号艦ジョン・F・ケネディ(CVN-79)ではF-35運用能力を付与しないままの引き渡しを禁止させようとしている。
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各艦が搭載するカタパルトや着艦装備は現状のままでもF-35C運用に問題はない。

F-35Cの拘束着艦はニミッツ級空母で2014年11月3日に実施されている。

海軍は必要な空母改修は今後数年以内に実施したいとする。F-35Cで初の実戦部隊VFA-147はUSSカール・ヴィンソン(CVN-70)に2021年に配備される予定だ。同艦は現在ワシントン州ブレマートンのピュージェットサウンド海軍工廠で34.3百万ドルの整備中で工期は2020年7月までと海軍は公表している。■
  

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一部に電磁カタパルトの不具合などが取り沙汰されていますが、記事が本当なら実態は違うようですね。単に離着艦させるのは可能だが、空母で運用体制がまだ未完ということでしょうか。でも考えてみれば変な話でF-35Cの採用波及に決まったわけではありません。つまり米海軍としてはF-35Cの導入に積極的ではないというこでしょう。F-111でも海軍は採用を見送りましたが、F-35Cも電子支援に使うなど積極的に投入するつもりはないのでしょうか。

2019年3月25日月曜日

★海軍、海兵隊のF-35稼働率が異常に低い状況をどう見るべきか

コメントは下にあります。


The Navy's "Operational" F-35C Is Fully Mission Capable Less Than Five Percent Of The Time 米海軍の「作戦用」F-35Cで任務を完全実施可能な機材は5パーセント以下
A stunning deficiency in readiness rates for Navy and Marine F-35s calls into question whether the stealth jets can fight a prolonged conflict.
海軍、海兵隊のF-35稼働率が驚くほど低く長期戦に耐えられるのか疑問
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 20, 2019
33 MXS embarks with Navy F-35C fleet33RD FIGHTER WING/PUBLIC AFFAIRS—PUBLIC DOMAIN


しく入手したデータで任意の時間に戦闘投入可能な機材は海兵隊F-35Bで15パーセント、海軍F-35Cではわずか2パーセントと判明した。これは平均値であり、少なくとも二年間の実績をもとにしている。各軍で即応体制が問題となっており、2019会計年度末までに80パーセントとする目標の達成が困難になっている。
Project on Government Oversight (POGO)からF-35B、Cのミッション実施率データが2019年3月19日に公表された。元データは海軍航空システムズ本部(NAVAIR)が2016年10月から2018年12月に集計したもの。海軍がF-35Cの初期作戦能力獲得を宣言したばかりで、最初の戦闘部隊は2019年2月に編成されている。海兵隊はF-35BのIOCを2015年7月に宣言済みで、海兵隊戦闘攻撃飛行隊211(VMFA-211)がアフリカの角及び中東地区への投入を終えアフガニスタン、イラク、シリアで米F-35として初めて戦火の洗礼を浴びた。
「POGOから海軍に完全任務実施可能率を尋ねたところ、共用事業推進室からF-35全体で任務対応率は高いとの回答を得た」とPOGOの国防情報センター研究員ダン・グレイジアーが同団体のウェブサイトに記している。「この数字は各機に割り当てた任務で少なくとも一種類が何回実施できたかを見ており、同室からは補修部品不足が最大の要因との回答を得た」
POGO入手の数字はF-35BおよびC型の「コードワン」機体とも呼ばれる完全任務実施可能率だが驚くべき水準だ。海兵隊のF-35Bでは装備システムが全て稼働状態で任務全てを実施できる機体は2年間通じて25パーセントを上回ることがなかったことになる。ことに2017年10月には12.9%に低下し、2018年末には12から13パーセントに終始していた。

NAVAIR VIA POGO
NAVAIR VIA POGO

2018年6月までにロッキード・マーティンはF-35Bを合計75機納入しており、大多数を米海兵隊が受領した。仮に海兵隊が全機受領していれば2018年12月時点で完全に任務実行可能な機体は10機程度しかなかったことになる。これが作戦投入可能と公式に発表後3年の数字である。
F-35Cはもっと悪い数字だ。2年以上にわたり海軍は完全任務実施可能率が20%に達していない。2017年12月時点では連日一機もこの水準に達していない。一年後でも一桁のままだ。C型は28機しかないが、この数字から年間平均で完全状態で任務投入可能な機体は一機あるかどうかだったことになる。
データの信頼性は間違いない。2017年に米会計検査院報告書でF-35Bの完全任務実行可能機の比率は15パーセント未満と指摘していた。


GAO
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NAVAIRはミッション実施可能機比率を参照しがちで、部分的でも可能ならミッション実施可能と判定するが、これでさえ良い数字になっていない。F-35Bで40から50パーセントの間というところだ。F-35Cで2018年8月に一回だけ70パーセントに急上昇しているが説明がつかず、これを除外すればすべて50パーセント未満になっている。
NAVAIRがこうした低い実績を部品不足他の保守整備のせいにするのは理解できる。ペンタゴンのF-35共用事業推進室はメーカーのロッキード・グラマンとともに問題解決に必死になっており、関連経費含め管理状態にしようとここ数年奮闘している。機体単価は3型式すべてで下がってきたが、運用維持経費の上昇が止まらない。


さらにF-35ではクラウド上におくコンピュータ頭脳、自律型補給情報システム(ALIS、アリス)があり、これがうまく作動していない。このシステムで任務立案、整備作業を合理化し、自動診断と故障予測、その他重要な任務機能で大きな合理化を期待していた。ALISも任務実施可能機材比率低迷の一因になっており、実際に故障していないのに部品不良を知らせたり、機体が任務投入可能なのに不可能と示したりする


USAF
米空軍整備員がラップトップでALISと対話しながらF-35Aの整備を行う


「ALISの不具合解決には相当の時間を費やされ、応急措置が恒常的に発生している」とペンタゴンの運用試験評価部局DOT&Eが2018年度のF-35運用実績考察報告で指摘していた。「例としてALISが出してくる報告が誤りでNMC [Not Mission Capable] と飛行隊稼働管理 Squadron Health Management アプリで表示してきたりする。他方で別のアプリとして利用者整備管理システムCustomer Maintenance Management System,がありこれはミッション必要機能リスト(MEFL)をもとに同じ機体が運用可能と言ってくる」
また米軍が同時進行コンセプトで問題を悪化させたことが重要な点だ。これはF-35生産を増やし多数を調達しながら改修を繰り返し実施していくことを継続するもので、当初は経費節減につながる手法とされ、海軍海兵隊が導入した機材も統一した性能を有さず、定期的に整備施設に行き来し作業を受ける。旧式ミッションシステムソフトウェアを実装した機材で整備が困難となりALISにエラーも増える。旧型機材を最新の状態にする作業は費用対効果が高いとは言えなくなるかもしれない。
2019年3月初めにDefense NewsからALISの信頼性が低いあまり米空軍の教官パイロット、練習生パイロットがエグリン空軍基地、ルーク空軍基地でそれぞれALIS利用を2018年はじめに中止したと伝えていた。その数ヶ月前に空軍からシステムの補修用にMad Hatterと呼ぶ作業を開始下との発表があった。
「その目的はALISの補強だけではない」と空軍の調達トップ、ウィル・ローパーがDefense Newsに2018年2月に語っていた。「運用に当たる整備部門の業務効率を上げる目的もあり、作業がより楽しくなるはずだ」


GAO
ミッションシステムソフトウェアのブロックの違いを2018年2月時点で比較した表。改訂が多数あるので仕様上は数十種類もあることになる

こうした問題はF-35B、C型だけの問題ではない。米空軍のF-35Aでも同様の事態に直面し2017年年央時点で完全任務実施可能機材は32パーセントをやっと上回る状態だったとGAOがまとめている。空軍も総合ではなく部分的任務実施可能率を使っており、表面上は55パーセントに増やしている。
三軍ともに別々の任務効果Mission Effectiveness指標を用いており、F-35が担当任務を実施できる時間比率を示している。実際の対応率の情報はなく、完全任務実施、部分実施のいずれにせよ任務の割り振りで困難になっているはずだ。


GAO
A chart showing various readiness data on Air Force F-35As and Marine Corps F-35Bs during 2016 and 2017.

USN
F-35Cs in the hangar bay of a supercarrier.

空軍長官ヘザー・ウィルソンは同システムについて「空軍整備部門でこれから生まれる女児にアリスの名前はつかないのでは」と厳しいコメントを空軍協会主催の航空戦シンポジウムで同月に放っていた。

SECAF Heather Wilson hits ALIS, F-35 maintenance system, with wicked crack: “I can guarantee that no Air Force maintainer will ever name their daughter Alice.” #AWS19


だが保守整備、部品不足、ALISあるいはその同時発生だけが原因なのだろうか。F-35Cだけみれば少数の機材がテスト、訓練にあたるだけで、POGO入手のデータでどうしてここまで低い率になったのか理解に苦しむ。IOC宣言をするべくなんらかの操作があったのか


USNC
F-35B in vertical landing mode.

真の原因がなんにせよ、F-35BとC型の任務実行可能率が特に悲惨な状態であり、海軍、海兵隊の航空戦力全体に影響しかねない広範かつ深刻な傾向を表していないか。2018年初頭に海軍が設定した海軍航空部隊Naval Aviation Enterprise (NAE)の総合任務実施可能率は海兵隊も含め実績は30パーセント近くあった。望ましい水準は73パーセントだった。
だが上記目標と実績は1998年以来低下の一途である。NAVAIRによる支援取組姿勢の変更が海軍海兵隊の固定翼機回転翼機の任務実施可能率を15パーセント変化させた。2010年に海軍と海兵隊は稼働可能基本機材Ready Basic Aircraft の新分類を開始し、一応投入可能な機材をこれであらわすことし任務実施体制をよく見せる効果をねらった。


USN
A chart showing mission capable and full mission capable rates across the entire Naval Aviation Enterprise (NAE) from August 1998 to August 2017.

冷戦終結後の要因が全般的低下傾向に関係している。2011年の予算管理法で自動的な予算カットが2013年に開始され、強制削減として知られ、かえって状況を悪化させ、各軍は予算の制約の中、どの装備を後回しにするか厳しい選択に迫られた。ここで判斷を誤った事で米軍全体で問題はさらに悪化し新装備調達を優先する余り、訓練、整備、補給、稼働状態が犠牲にされた。
近年ではもはや危機的状況にまでなっており、一方で人命事故も発生している。これで当時の国防長官ジェイムズ・マティスも2018年9月に海軍、海兵隊、空軍に対して「必須航空機材」としてF-35各型式含み任務実施可能率を2019年度末に80パーセント以上に引き上げるよう命じるに至った。
F-35で2019年9月30日までにこの水準に引き上げるには奇跡が必要で、完全任務実施可能率の代わりに部分的実施可能率にしても変わらない。ALISによる整備問題が残る中で事態はむしろ悪化の可能性がある。

LOCKHEED MARTIN
From left to right, the F-35C, F-35B, and F-35A.

これが解決してもF-35の飛行、整備に関連する経費問題の解決にはならない。JSFの運用補給面の要求水準が第4世代機より総じて高いため、ステルス機の大量運用は困難との懸念が生まれている。この恐れは特に海兵隊で強く、F-35Bがゆくゆくは唯一の運用機材になるためもある。POGO入手のデータとその他出所のデータを合わせると少なくとも近い将来にこの危惧が現実になりそうだ。
海軍に続き空軍も第5世代機、第4世代機を混合運用する構想を勧めている。このため海軍では高性能のF/A-18E/Fスーパーホーネット改良型を導入しており、F-35Cと一緒に運用する。ペンタゴンのコスト分析専門家の意見により空軍ではF-15X高性能版イーグルを導入してF-35Aの不足を補おうとしている。

USN
F-35Cs over NAS Lemoore in California.

また現状のままだとF-35部隊は長期戦で性能を発揮できないのではないかとの懸念も残る。海兵隊で7機の投入が必要な際に完全に任務遂行可能なのは一機しかない状態でハイエンド、ハイテンポの作戦の場合海兵隊で何機が満足に作戦投入できるのか。さらにF-35には搭載する各システムの機能を「融合」しシナジー効果を期待する。機体の一部システムしか任意の時間に機能しないと効果が大幅に落ちる。
このまま放置すればF-35B、C型で実戦投入した際の効果に疑問が残ったままとなる。これから出るデータは共用打撃戦闘機三型式の実際の性能に関する疑問の解消にはならないだろう。


任意の時間に任務を完全実施できないのなら紙の上で性能を論じても意味がない。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com


F-35が万能の切り札だと信じ込んでいませんか。
との機種でも導入初期にトラブルが多いのはよくあることですが、F-35の場合は問題のタチが悪いこと、一向に戦力化できていないことが大きな問題です。さらに記事に指摘あるように生産はしたもののアップグレードが追いつかない状態はこれからも続く悪夢でしょう。
西側世界の防衛を今後30年も背負う(これは無理でしょう)期待の同機が逆に西側の防衛体制を骨抜きにしてしまう...この危惧を以前から感じていましたがますますその感を強めています。