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2017年2月7日火曜日

イエメン強襲作戦の内幕を推理する


What has emerged so far about the deadly U.S. Special Operations on Al Qaeda in Yemen

Feb 02 2017 - By Tom Demerly


米特殊軍団によるイエメンのバイダ地方ヤクラのアルカイダ施設郷愁作戦の情報がその後浮かび上がってきた。

  1. 作戦情報は依然極秘扱いだがABC13 News Now の記者エリーズ・ブラウンが消息筋から「アルカイダはSEALの来襲を事前に知っていたようで準備していた」との発言がABCニュースにあったと伝えている。
  2. 米海軍上等兵曹ウィリアム・「ライアン」・オーウェンス(36歳、イリノイ州出身)が作戦中に死亡したと報道されている。その他に米隊員三名が負傷し、別に海兵隊MV-22オスプレイの着陸失敗で3名が負傷した。同機は米軍により地上で破壊され敵による機体回収を防いだ。
  3. 今回の急襲作戦は米特殊部隊の混成チームで実施されたようだが、オーウェンス兵曹は東海岸配備の米海軍海空陸(SEAL)チームの所属でヴァージニア州リトルクリーク基地に配属されていた。報道によればオーウェンスは特別に訓練を受けたタスクフォース・ブルーの所属で「SEALチームシックス」とメディアが報じる部隊のことだ。
  4. 米海軍のタスクフォース・ブルーには対テロ特殊作戦部隊と同様に内部に「戦隊」を置いており、赤、金、青、銀の各戦隊が「急襲」部隊で黒戦隊が支援し、その他情報収集分析部隊が後方に回る。オーウェンス兵曹の所属戦隊は不明だ。
  5. 公式発表では急襲の目的は物理的な情報の確保で、電子媒体やコンピューターのハードディスクや文書でアルカイダの今後の作戦を知ることだったとロイター通信は米国防総省から報道陣に説明があったと伝えている。
  6. ロイターのカイロ駐在モハメド・エル・シェリフの記事によれば「現地のアルカイダは2015年のシャルリエブド編集部襲撃事件をお膳立てした以外に米エアライン機の撃墜もねらっていたという。
  7. 急襲作戦は現地報道によれば「一時間の消火活動」で終わったという。死傷者報道はバラバラで現地人17名から30名が死亡したとしており、アルカイダ戦闘員含め急襲作戦で地上で死亡しているという。
  8. 週末に実施された米特殊部隊による急襲は「相当前に」立案されており、情報収集内容を反映していた。急襲のタイミングは匿名条件の米軍内部関係者によれば「ちゃんとした理由がある」のだという。おそらく月齢が関係しているのだろう。新月で急襲は実施されており、反射の関係から暗さが最大限期待できた。
Approximate location of the raid (Google Earth screenshot)

  1. 衛星画像からは対象地は山地に囲まれた小都市で海抜は1500フィート以下とわかる。つまりMV-22オスプレイの着地失敗には高地特有の渦輪気流は関係なかったことになる。
  2. オサマ・ビン・ラディンへの急襲となったネプチューン・スピア作戦で特殊部隊仕様のヘリコプターが着陸に失敗した原因が渦輪気流であった。回転翼機が自機の回転翼流に包まれて急降下すると揚力が消滅する。
  3. 当日の天候条件は華氏70度と比較的低く、視界は新月で「8マイル」で中程度の湿度と風速10マイル以下であった。これに暗い月明かりの条件を加えても作戦実施には差し支えない範囲だった。
  4. 一部報道では急襲はアデン湾の米海軍艦船から行ったとしている。
  5. 追加航空支援は同艦が搭載する海兵隊のAH-1Zヴァイパーガンシップから投入可能だったのだろう。また現地報道ではガンシップを「アパッチ」だったとしている。これは考えにくい。急襲作戦は艦船から始まったとの報道があるためだ。
  6. では同地区にいた艦船名は何か。保安上の理由があるが、強襲揚陸艦からの発進だったとすれば、可能性はUSSキアサージ、バターン、ボンノム・リチャード、イオウジマ、またはマキン・アイランドであろう。オンライン資料によればUSSワスプ、エセックス、ボクサーの当日の位置もわかる。
  7. 米第五艦隊管轄地区で興味深い艦船関連の報道があるのは通常とは違う仕様に改装sれたUSSポンセ(AFSB(1)-15)の存在だ。USSポンセの可能性があるのは最近同艦が特殊作戦支援用の改装を受けているためで、ヘリコプター甲板があり、その他特殊部隊用仕様もある。USSポンセは艦載レーザー兵器システム(LaWS)の運用試験にも使われている。
複合艇に爆発物処理移動ユニット’EODMU)12隊員が乗り、移動海上基地(暫定)のUSSポンス(AFSB(I) 15)の収納部分に入ろうとしている。 (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Scott Raegen/Released)
  1. また最近だが同地区には誘導ミサイル駆逐艦USSニッツェ (DDG-94)とUSSメイソン(DDG-87)がUSSポンセとともに展開しているとの報道がある。各艦はイエメン沖合のバブ・エル・マンデブ海峡近くで活動中とされ、紅海とアデン湾を結ぶ場所にいたとの報道が9月にあった。そのまま残っていれば、今回の作戦に各艦も参画していた可能性がある。
  2. イエメンでの米特殊作戦に注目が集まったのは2016年5月6日のNBCニュースでペンタゴン報道官ジェフ・ディビス海軍大佐の発言として「小規模の米軍人がイエメンで限定的な支援をアラビア半島のアルカイダ勢力と戦っているイエメン政府及びアラブ連合軍に提供している」と報道したためだ。これは以前の発言である「米軍部隊はイエメンでは2014年12月以降いかなる特殊作戦も実施していない」との声明と矛盾していた。
  3. そして水曜日遅くに飛び込んできたのがドナルド・トランプ大統領が予定外にドーヴァー空軍基地(デラウェア州)に移動し、オーウェンス兵曹の遺体帰国に立ち会うとの発表だった。トランプ大統領はマリーンワン専用ヘリコプターでイヴァンカ令嬢、デラウェア選出クリス・クーンズ上院議員とともにドーヴァー基地に向かった。■

U.S. President Donald Trump and his daughter Ivanka Trump walk toward Marine One while departing from the White House, on Feb. 1, 2017, en route to Dover Air Force Base. (Credit: Mark Wilson/Getty Images)

2016年5月5日木曜日

不動の決意作戦>米海軍SEALに戦死者発生、12月以来の激戦があった模様


連休続きでのんびりしている日本ですが、イラクでは相当の激戦が今週あった模様です。そこで米海軍SEALに戦死者が発生したことが話題になっています。自由と繁栄の代償とはいえISISにより犠牲者が出るのは何とも悲しいことです。


UPDATED: U.S. Officials Describe Fight That Killed Navy SEAL Charles Keating IV

May 4, 2016 2:20 PM • Updated: May 4, 2016 4:52 PM

Special Warfare Operator 1st Class Charles Keating IV, 31, of San Diego. US Navy Photo
第一級特殊戦通信士チャールズ・キーティングIV(31) US Navy Photo
THE PENTAGON – 海軍SEAL隊員一名が北部イラクでのISISとの交戦で死亡したと不動の決意作戦司令部から5月4日に発表があった。戦闘は米軍の顧問支援チームとクルド人ペシュメルガ部隊がISISの奇襲攻撃を受けた中で発生した。

  1. 第一級特殊戦通信士チャールズ・キーティング(31)は迅速対応部隊(QRF)の一員としてテルアスクフ近郊の米軍小部隊の要請にこたえ出動した。同地はクルド人部隊とISISの前線から約二マイルの地点と米陸軍報道官スティーブ・ウォーレン大佐が四日午前に発表している。
  2. 12名ほどの顧問支援チームはテルアスクフでSIS戦闘員120名強が移動してくるのを発見。ISIS部隊は20両の「テクニカル」(民生車両を兵員輸送や武器搭載車両へ改装したもの)に分乗しブルドーザーも最低でも一台伴っていたとウォーレン大佐は述べた。
  3. ISISがペシュメルガ防衛線を突破したのは三日現地時間午前7時30分ごろで20分後に顧問支援チームからISIS部隊と交戦中との報告が入った。
  4. 「敵部隊が前方防衛線を攻撃し、テルアスクフに移動してくるとわが方の部隊は長期戦に自然にさらされた。直ちに迅速対抗部隊の出動要請を入れつつ、戦闘を続けたが隊員一名が銃弾を受け、救難隊が搬送している」(ウォーレン大佐)
  5. 顧問支援チームの緊急時にはQRFを送る体制ができていた。
  6. 戦闘は二時間以上続き、キーティングは午前9時32時に被弾したが、その時点でQRFがどの位戦闘に参加していたかは明らかにしていない。
  7. 「キーティングは直撃弾を受け、後方へ搬送されたものの傷が致命傷となった」「残りの米軍、連合軍側に負傷者は発生していないが救難ヘリは小火器から損傷を受けている」
  8. 米軍がISISと何時間交戦したかは不明だが、QRFおよび顧問支援チームが撤収して連合軍の機材が飛来した時点でもペシュメルガはISIS戦闘員と銃撃戦を続けていた。
  9. 「現地に航空機を派遣した。F-15、F-16、無人機、さらにB-52とA-10が戦闘に加わった」
  10. 「連合軍の空爆は有人機11機と無人機2機で31回を数えた。航空部隊が敵車両20台、爆弾トラック二台、迫撃砲三門、ブルドーザー一両を破壊しISIS戦闘員58名が戦死した。ペシュメルガはテルアスクフを再度確保した」
  11. 戦闘は14時間にわたり現地時間午後9時30分に終了した。
Photos released by ISIS that show some of the technicals alleged to have been used in assault on Tel Askuf
ISISが公表した写真ではテルアスクフ強襲作戦にテクニカルを投入したことがわかる。

  1. ウォーレン大佐はペシュメルガ側の正確な戦死者人数は把握していないと述べ、今回の戦闘は昨年12月以来最大規模だったと明らかにした。
  2. 三日のロイターではキーティングが狙撃されたとのペシュメルガ側の情報を伝えたが、ウォーレン大佐は状況ははっきりしていないと述べた。
  3. 「直撃を受けたのは事実。だが銃撃戦は非常に活発でその中で銃弾を浴びている。狙撃銃なのかAKの銃弾かは不明だ」
  4. ウォーレン大佐の報道発表を受けて海軍からキーティングの経歴発表が出た。
  5. インディアナ大では長距離ランナーで、海軍入隊は2007年だった。2008年に基本水中破壊教程(SEAL訓練)を修了し、イラクに自由作戦で二回、アフガニスタンへ普及の自由作戦で一回派遣されている。
  6. 「その後西海岸狙撃偵察訓練部隊で主任下士官となり、教官を務めた後で西海岸のSEALチームに分隊主任下士官として2015年2月に復帰している」と海軍特殊戦第一集団発表の資料が述べている。
  7. 「イラク派遣は三回目で、不動の決意作戦の支援中に戦死したことになる」
  8. キーティングの戦死は3月のルイス・F・カーディン二等軍曹(第二十六海兵遠征部隊第六海兵連隊第二大隊)に続くものとなった。カーディン二等軍曹はモスル近郊の火力支援陣地でISISのロケット弾攻撃を受け死亡している。■