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2025年7月24日木曜日

ファクトシート 前例のない日米戦略的貿易投資協定をドナルド・J・トランプ大統領が締結

貿易投資協定としてホワイトハウスが以下発表したのに対し、日本側はここまでの内容を公表していましたでしょうか。こうした情報公開への姿勢の差も政府政権党への国民の不満を呼びます。トランプ政権が世界の秩序を書き換えようと積極的に動いているのに対し、日本は既存の枠組みを守り、利益を最大化することに汲々としていました。



ファクトシート 前例のない日米戦略的貿易投資協定をドナルド・J・トランプ大統領が締結

ホワイトハウス

2025年7月23日発表


文中の緑字部分は本ブログが独自につけたものです



日本との歴史的な貿易・投資協定:昨日、ドナルド・J・トランプ大統領は、米国の最も緊密な同盟国であり、最も重要な貿易相手国日本との画期的な経済協定を発表した。

  • この歴史的な協定は、日米関係の強さと、日本が米国を世界で最も魅力的で安全な戦略的投資先として認識していることを反映している。

  • 協定は、経済的繁栄、産業におけるリーダーシップ、長期的な安全保障に対する日米両国の共通のコミットメントを再確認するものである。 この合意は、日米同盟がインド太平洋地域の平和の礎であるだけでなく、世界の成長と技術革新の原動力でもあることを示す強力なシグナルとなる。

  • 5,500億ドルを超える新たな日米投資ビークルと、米国からの輸出へのアクセス強化により、この合意は二国間協力の新たな章を示すものであり、米国経済の潜在力を最大限に引き出し、重要なサプライチェーンを強化し、今後数十年にわたり米国の労働者、地域社会、企業を支援するものである。

米国の産業力の回復: 日本は、米国の基幹産業の再建と拡大のために、米国が指示する5,500億ドルを投資する。

  • これは過去最大規模の対外投資コミットメントであり、何十万人もの米国人雇用を創出し、国内の製造業を拡大し、何世代にもわたって米国の繁栄を確保する。

  • トランプ大統領の指示により、これらの資金は以下のようなアメリカの戦略的産業基盤の活性化に向けられる:

    • LNG、先進燃料、送電網近代化含むエネルギー・インフラと生産;

    • 半導体製造と研究。設計から製造まで米国の生産能力を再構築する

    • 重要鉱物の採掘、加工、精製で不可欠な投入物へのアクセスを確保する;

    • 医薬品・医療品の製造で米国が外国製の医薬品や消耗品に依存しないようにする;

    • 新規と既存造船施設の近代化を含む、商業および防衛造船。

  • 米国はこの投資から得られる利益の90%を保持し、米国の労働者、納税者、地域社会が圧倒的な利益を享受できるようにする。

  • この資本の急増は、トランプ大統領のリーダーシップの下で確保ずみの数兆ドルと相まり、100年に一度の産業復興の重要な要素となるだろう。

予測可能な関税の枠組みを通じてバランスの取れた貿易を確保する: 協定の一環として、日本からの輸入品には基本的に15%の関税率が適用される。

  •  数十億ドルの歳入となるるだけでなく、新しい関税の枠組みは、米国の輸出拡大と投資主導型の生産と相まって、対日貿易赤字を縮小し、米国の貿易ポジション全体のバランスを回復するのに役立つ。

  • このアプローチは、米国の労働者や生産者が時代遅れで一方的な貿易ルールによって不利な立場に立たされることのないような、一貫性があり、透明性が高く、強制力のある貿易環境を確立するという米国の広範な取り組みを反映したものである。

  • この枠組みを支持することで、日本は日米経済関係の強さと相互尊重を確認し、公正さに基づいた持続可能な貿易の重要性を認識する。

米国の生産者のための市場アクセスの拡大: 何十年にわたり、米国企業は日本市場へのアクセスを求める際に障壁に直面してきた。 本協定は、主要セクターにおいて画期的な門戸開放を実現する:

  • 農業と食品:

  • 農業と食品: 日本は輸入枠を大幅に拡大し、米国産米の輸入を直ちに75%増加させる;

  • 日本は、トウモロコシ、大豆、肥料、バイオエタノール、持続可能な航空燃料を含む80億ドルの米国製品を購入する。

  • エネルギー:

  • 米国の対日エネルギー輸出の大幅拡大;

  • 日米両国は、アラスカ産液化天然ガス(LNG)の新たな引取協定を検討中。

  • 製造業と航空宇宙:

  • 日本は、ボーイング社製航空機100機の購入を含む、米国製民間航空機の購入を約束した;

  • インド太平洋地域における相互運用性と同盟の安全保障を強化するため、年間数十億ドルの追加的な米国製防衛装備品の購入を約束。

  • 自動車と工業製品:

  • 米国の自動車およびトラックに対する長年の規制が撤廃され、米国の自動車メーカーが日本の消費者市場に参入できるようになる。

  • さまざまな工業製品および消費財に幅広い門戸が開かれ、米国の生産者の競争条件が平準化される。

  • 日米経済関係の世代交代: この協定は単なる貿易協定ではなく、米国民のために提供される日米経済関係の戦略的再編成である。

  • この協定では初めて、米国の産業、技術革新、そして労働力を中心に据えている。

  • 歴史的な投資を確保し、長く閉ざされていた市場を開放することで、トランプ大統領は、他の誰も実現できなかった取引を再び実現した。この取引は、米国経済の再建に役立ち、産業基盤を強化し、今後数十年にわたって国力を守るものである。

  • トランプ大統領は、米国が力強くリードすれば、世界がそれに続き、米国が勝利することを証明している。

長期的な経済連携の確保:この合意は、日米間の強固で永続的な関係を反映するものであり、両国の相互利益を促進するものである。

  • 経済と国家の安全保障、エネルギーの信頼性、相互貿易を一致させることで、この協定は共通の繁栄、産業の強靭性、技術的リーダーシップの基盤を確立する。

  • トランプ大統領は再び、米国民のために変革的な成果をもたらした。それは、我々の労働者、生産者、革新者がグローバル経済において報われ、尊重され、力を与えられることを保証するものである。


https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/07/fact-sheet-president-donald-j-trump-secures-unprecedented-u-s-japan-strategic-trade-and-investment-agreement/




2025年3月26日水曜日

大規模なミサイル導入を目指す日本が国内・米国で直面する予想がある障害とは(Breaking Defense)

 Joint-Japan and US Missile Defense Flight Test

海上自衛隊の駆逐艦「きりしま」(DD 174)からSM-3(ブロック1A)ミサイルが発射され、ハワイ州カウアイ島バーキング・サンドの太平洋ミサイル射場から発射された弾道ミサイル標的の撃墜に成功した。(米海軍提供、DVIDS)



今年に入ってからの大型購入決定で日本のミサイル能力拡大における米国の役割が強調されているが、今後は政治が障害となる可能性がある


本は、特に中国からの脅威の高まりに対応する軍事能力向上の取り組みの一環で長距離ミサイル取得を加速させている。

 米国製兵器の購入と米軍との緊密な訓練を継続する一方で、日本の防衛投資計画は国内の政治的・経済的な課題に直面しており、また、トランプ政権の外交政策と同盟関係へのアプローチは、計画の基盤となる関係の安定性について東京に懸念を抱かせている。

 日本の軍事能力の拡大は「かなり以前から議論されてきた」が、「今後数年間に配備されるミサイルのように、ここまで大規模に積極的に追求するのは初めてのことだ」と、慶應義塾大学の神保謙教授は3月13日、本誌に語った。


2022年末に発表された日本の国家安全保障戦略では、ミサイル攻撃は「明白な脅威」とされ、ミサイル発射装置や侵攻部隊に対して「可能な限り早期に、可能な限り遠方から」反撃能力を発揮することは「自衛のために最低限必要な措置」だと述べている。長距離、つまり「スタンドオフ」ミサイルが、その能力の中心であり、2023年には、日本はその取得計画を前倒しし、米国製トマホーク巡航ミサイルの発注内容を変更し、より早く配備可能な旧型バージョンを含める一方、自国の12式地対艦誘導弾の改良バージョンの配備を加速させた。

 日本軍は昨年春にトマホークの訓練を開始し、防衛省は2月に研究開発における「前向きな成果」により、改良型12式の量産が予定より早く開始できる可能性があると発表した。

 東京のミサイル開発計画における米国の役割は、今年に入っての大型購入決定でさらに強調されている。1月には、米国務省がAIM-120空対空ミサイル、SM-6対空・対艦ミサイル、統合空対地スタンドオフミサイル(JASSM)の射程延長型巡航ミサイルの45億ドル以上の販売を承認したと発表した。同省は3月10日、東京が昨年から試験を加速させている高速滑空弾プロジェクトを支援する装備品およびサービス2億ドルの売却を承認したと発表した。

 国際戦略研究所の2025年ミリタリーバランス報告書によると、日本では、射程距離560マイル以上の12式地対艦誘導弾(射程距離は九州や日本の南西諸島の新しい基地から北朝鮮や中国東海岸の大部分を射程距離に収めることができる)と、射程距離がほぼ1,000マイルの艦載型トマホークの受領が今年開始される予定である。2025年と2026年にはトマホークが配備され、2027年と2029年には艦載および空対艦ミサイルである12式がそれぞれ配備される予定だ。また、2027年にはJASSM-ERの配備が予定されており、2020年代後半から2030年代初頭にかけて、高速滑空弾および極超音速誘導ミサイルが配備される予定であると報告書は伝えている。

 過去20年間で、中国による日本近海での軍事活動は増加し、同地域における最近の活動により、量的および質的な進歩が明らかになっている。神保氏は、ミサイル兵器の増強に加え、中国は現在「日本に対する航空および海上における全般的な優位性」を確保していると述べた。そして、それらの能力を相殺するには、包括的な概念が必要だと付け加え、さらに、対艦ミサイルや地対艦ミサイルは、「敵対勢力に対する早期交戦という観点では、本当に効果的であり、それによって、エスカレーションを制御する手段を維持する時間を稼ぐことができる」と述べた。


「米国に頼らざるを得ないだろう」

日本のミサイル能力の向上に注目が集まり、多くのリソースが投入されているとはいえ、東京とワシントンがこれらの計画をどのように進めるかは、依然として政治的・経済的要因に左右される可能性がある。

 日本の防衛予算は過去10年間で一貫して増加しており、2022年には岸田文雄首相が2023年から2027年の防衛力強化計画の一環として、国家安全保障関連支出の総額をGDPの2%に引き上げることを公約したが、その増額を確保するための税率引き上げ計画は未完成だ。岸田の後任である石破茂は少数政権を率いており、自身や所属政党が最近の一連のスキャンダルで汚名を着る前から、法案を成立させることができるか疑問視されていた。

 「ここまでの支出の動員を行うためには、立法プロセスを行う必要があります。これは、その後の政権によって回避されてきたことです」と神保は述べた。「つまり、岸田政権によって決定された5年間の予算を確保しようとする試みすら、まだできないということです」。

 国民感情もまた、別のハードルとなっている。神保は、日本国民は概ね防衛費増額を支持しているものの、その財源として実際に税負担が増えることには「かなり懐疑的」であるという。また、「ノット・イン・マイ・バックヤード(NIMBY)」問題もある。日本最南端の主要な島である九州に数千発の対艦ミサイルを配備することは「抑止力として非常に重要」であるが、「中国がそれらを標的にすることを望む可能性もあるため、多くのリスクを伴う」のである。神保は、こうした懸念に対処するには「政治家がこれまで試みてこなかったような、多くの政治的取引が必要になる」可能性があると指摘した。

 また、最近の円安ドル高により、兵器や装備の維持や調達にかかる費用も増加している。それが防衛装備品の調達にどのような影響を与えるかは不明だが、日本の当局者は優先順位に基づいて装備品を調達するとしており、防衛力強化計画における7つの優先分野の最初の項目は、離隔能力であった。

 また、自衛隊が新ミサイルを効果的に運用できるかも疑問視されている。スタンドオフ能力の整備計画には、指揮統制と標的データ収集の強化が含まれるが、自衛隊の「キルチェーン」、つまり標的の探知と追跡能力は「不十分」であると、IISSは昨年の報告書で述べていた。

 日米同盟の指揮統制構造を改善する計画は、こうしたギャップを埋めるのに役立つ可能性があるが、自衛隊は依然として米国に依存することになる。ランド研究所の日本安全保障専門家ジェフリー・ホーニングは3月8日、電子メールで「(日本軍が)独自に標的プロセスを行うためのノウハウやインフラを持っているとは思えない」と述べた。「少なくとも当面は、キル・チェーンのすべてで米国に頼らざるを得ないでしょう」。

 指揮統制機能の改善が何を意味するのかについては疑問の声が上がっており、また、国防総省の現在のコスト削減策を乗り切れるかどうかも疑問視されているが、キル・チェーン関連の協力は「運用上の問題」であり、政治の影響を受けないだろうとホーニングは見ている。「米国と自衛隊は、政権与党が誰であろうと、さまざまな種類の協力関係を発展させることにかなり長けています。その状況が変わるとは思っていません」。


「取引」としての同盟

しかし、第二期トランプ大統領の最初の数週間を経て、特に東京で同盟そのものに対する懸念が強まっている可能性がある。2月初旬に石破がホワイトハウスを訪問した際には、外国指導者としては2人目となるが、概ね成功を収めた。両国は同盟へのコミットメントを再確認し、米国は「あらゆる能力を駆使し」日本を防衛すと再誓約した。しかし、それから1か月も経たないうちに、トランプ大統領や他の政府高官は、日本に対してより大きな期待を寄せていることを示唆した。

 政策担当国防次官に指名されたエルブリッジ・コルビーは、3月4日の承認公聴会で、日本の「防衛努力」は「あまりにも遅々として」進んでいないと述べ、中国や北朝鮮からの脅威を考慮すると、日本の防衛費がGDPの2パーセントにとどまっているのは「日本にとってほとんど意味がない」と指摘した。コルビーは上院議員連に対し、「日本はできるだけ早くGDPの最低3パーセントを防衛費に充てるべきだ」と述べた。

 その数日後、トランプは記者団に対し、「日本との関係は不均衡だ。我々は日本を守らなければならないが、日本は我々を守る必要はない」と述べ、自身の見解を批判した。その1週間後にトランプが駐日大使に指名したジョージ・グラスは承認公聴会でトランプ発言について追及された。グラスは、日本は防衛費を増額しており、さらなる増額にも前向きであると述べ、米国の兵器納入の遅れを認めたが、上院議員らに対して「中国に対抗する上で、日本には先頭に立って戦うよう、我々も圧力をかけている」と述べた。

 トランプとコルビーは以前にも同様の発言をしており、日本の当局者は、今後の会合では同盟の利益を強調するつもりであると、慎重な対応を示している。石破は、トランプ発言に「驚きも困惑もしていない」と述べ、日本には同盟の一環として米国に対する基地提供などの義務があるとした。石破は、日本が防衛費を「他国の指示に従って」設定することはないと述べた。

 防衛を含む重要分野での協力が継続されると見られる一方で、新たな緊張が生じる可能性もある。日米間の駐留経費負担協定は2027年に期限切れとなるが、前回更新時にトランプ氏は東京に大幅な負担増を要求したと伝えられている。ヘグセス米国防長官の来日により、日米関係の不確実性への対応が進む可能性はあるが、トランプ大統領がすでに実行した動き、特にロシアに対するウクライナ支援の撤回や、NATO同盟国に対する敵対的な姿勢から、同大統領が同盟関係や米国の地域安全保障の役割をどのように扱うのかについて、東京で懸念が高まっている。

 日本の外交および防衛当局者は、「同盟関係に対する従来の考え方に対して、ホワイトハウス(および)トランプ大統領が持つ選択肢の規模について、ますます懸念を強めている」と神保は述べた。岸田が2022年に「今日のウクライナは、明日の東アジア」と発言したことは、一部の人々にとっては新たな意味を持つ。神保は、「取引的な政治が中国に対しても起こり得るという考え」を強調した。■


Japan’s big missile plans face hurdles at home and in the US

The US role in Tokyo’s missile ambitions has been underscored by major purchase decisions this year - and politics threatens to interfere.

By   Christopher Woody

on March 24, 2025 at 5:05 PM


https://breakingdefense.com/2025/03/japans-big-missile-plans-face-hurdles-at-home-and-in-the-us/

クリストファー・ウッディはバンコクを拠点とする防衛ジャーナリストです。彼のSNSはこちらから、また、彼の他の記事はこちらからご覧いただけます。


2024年7月28日日曜日

速報)2+2会議(東京)で変わる在日米軍司令部の役割。日米の役割分担にも変化の兆し。情報統制の強化、日本国憲法の改正が待ったなしか。韓国防衛相も来日。今後も日米韓の協議が定期化されるか注目。

 

 Defense  News記事からのご紹介です。訪日前の米政府高官への取材を元にした記事ですが、協議終了後に日本メディアが伝える内容とどこまで共通しているかが注目されますね。メディアはともかく普段関心のない層からすれば想像もできないほど、日米を中心とした安全保障体制は変化しつつあります。文字通り以前の常識が通用しなくなってきました。その中で変化を嫌う日本がどう対応していくのか、日本国憲法の改正は待ったなしですし、セキュリティクリアランスはやっと成立しましたが、情報統制そのものを西側他国並に強化しなければならないでしょう。政局に気を取られ選挙の当選しか目にない「政治屋」にはこうした直球勝負の争点はまた無視されてしまうのでしょうか。各政党の見解を比較したいところです。韓国についてはやっと普通に意見が交換できるようになってきましたが、左寄りの最大野党の動きを考えると不安も残りますね。


米国、防衛関係のルネッサンスの中で在日司令部を刷新へ



2013年、数年にわたる政治的混乱と危機の後、当時の安倍晋三首相は日本が世界の舞台に戻ってきたと宣言した。

 その後10年間、日本は公約を守り続けてきた。2027年までに防衛費を倍増させ、敵地に撃ち込むことができるミサイルを購入し、長く抑制されていた自衛隊に自由を与えようとしている。

 このような努力はまた新たな節目を迎え、アメリカは在日司令部の司令官を中将に改編する計画を発表し、部隊を監督するリーダーから、日本軍と一緒に大規模な作戦を計画できるリーダーに移行させる。

 国務長官と国防長官は、日本の担当者と会談するために日曜日に東京を訪れ、抜本的な新しいコミットメントを発表した。

 それと同じくらい重要だったのは、その日の別の会議だった。15年ぶりに韓国の国防大臣が東京を訪れ、日米の防衛当局者と会談することになったのだ。この3カ国首脳会談は、最近まで日本の植民地支配の遺産をめぐって何年も口論を続けていた日韓両国で開催される初めての機会でもあった。

 「多くの専門家が10年前、いや5年前ですら予想しなかったような方法で、我々は協力し合っている」と、米国防高官は今回の訪日に先立ち記者団に語った。

 しかし、急速な方向転換にもかかわらず、日本はまだ障壁に直面している。ひとつは、日本の平和主義憲法のせいで、自衛隊はいまだに他の軍隊よりも多くの制限に直面している。また、韓国との関係は改善されたとはいえ、その進展が永続的なものか断定できない。

 アトランティック・カウンシルで日本の防衛問題に詳しい山口亮は、「すべては持続可能性にかかっている」と語った。



再編の形とは

 米軍の新司令部は、岸田文雄首相が4月にワシントンを訪問し、安全保障関係の深化に合意したことに端を発する。

 そこで岸田文雄首相は、長らく共同作戦、つまり各兵科が協力して作戦を遂行することに苦慮してきた自衛隊に、新たな指揮系統を創設することを約束した。

 この決定は、長距離ミサイルの購入など日本の最近の変化とともに、日米両軍が協力するという古いモデルを時代遅れにし始めた。 日米両軍の長年のイメージは、「盾」と「槍」であり、日本の軍隊が祖国を守り、アメリカの軍隊が前進するというものだった。


 在日米軍再編は、管理業務が多く、危機が発生すれば3500マイル離れたハワイにあるインド太平洋軍から命令を待たなければならなかった従来モデルに取って代わることになる。その意図は、在日米軍の3つ星将官に権限をより多く与え、両軍の装備、計画、訓練、作戦を緊密に協力させることにある。

「在日米軍は現在の役割を維持するつもりであり、そのことが(在日米軍の)規模が現在の約5万人から時間の経過とともに拡大する理由のひとつだ」(同上高官)。

 とはいえ、新体制にかかる費用や必要な人員数など、多くの詳細はまだはっきりしていない。国防総省はこの計画について連邦議員に説明を始めているが、話し合いはまだ始まったばかりだ。

 「この実現には、議会からの支援が不可欠だ」(同上高官)。

 

最後まで進める

 同高官は新しい取り決めは、アメリカが両国の軍を統括し、4つ星の大将が率いる韓国の体制と異なるとも強調した。日本で想定されているアメリカの3つ星は、より高い階級を望んでいた日本側を失望させるかもしれない。

 ランド研究所で日本の安全保障に詳しいジェフ・ホーナングは、「日本は4つ星を望んでおり、在韓米軍のような姿を望んでいるが、それが実現するとは思えない」と述べている。

 それでも複数のアナリストは、日本が安心感を得られる他の分野についても言及した。

 サミットの目標は他にもある。機密情報の共有(情報基準が緩い日本では長い間問題になっていた)、そしてより多くの兵器を共同製造することだ。リストのトップはペイトリオット防空システム用のミサイルがあり、ウクライナ防衛に供与しているため必要だったため、不足している。

 もうひとつは韓国との会談だ。この会談が日本国内で行われることは、日韓関係がどこまで、どれほど早く改善されたかを示す強力なサインだ。日米韓は今後、このような会談をより定期的なテンポで行うことで合意するだろう、とアメリカの防衛当局者は外遊前に語った。

 最後に、拡大抑止、つまり攻撃された場合に核兵器を含めて日本を守るアメリカのコミットメントについての会議がある。中国と北朝鮮の核兵器増強に懸念を抱く各国の外交・防衛トップにとって、このテーマは初めての議題となる。

 「今回それが実現すること自体が、このサミットから生まれる最大のものだ」と元日本外交官の石井正文は言う。

 石井はまた、サミットそのものが激動の季節における安定の一形態だと付け加えた。長年の確執から日韓を和解させたジョー・バイデン米大統領は、もはや再選を目指していない。岸田外相も国内では不人気で、党首として今年を乗り切れないかもしれない。

 「これは、私たちが始めたことを最後までやり遂げる覚悟があることを視聴者に示すためです」と石井は語った。■



US to revamp its command in Japan amid renaissance in defense ties

By Noah Robertson

 Jul 28, 2024, 07:00 AM



https://www.defensenews.com/pentagon/2024/07/27/us-to-revamp-its-command-in-japan-amid-renaissance-in-defense-ties/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=dfn-breaking


2021年4月17日土曜日

主張 日米同盟は満開の状態に入った。菅バイデン会談で両国は安全保障面の統合をさらに進め、経済安全保障、技術革新分野でも連携をさらに強化することで、今後驚くべき成果が生まれる。

 US-Japan alliance in full bloom

© Getty Images

 

シントンの桜は満開を過ぎたが、米日同盟は金曜日に満開を迎える。菅義偉首相がホワイトハウスを訪れ、バイデン大統領が初めて対面する海外指導者となる。名指しさえしないものの、中国が同盟関係の各政策に立ちふさがる存在であることは疑う余地がない。中国との競合が経済、技術のみならず安全保障や人権問題で中心になっている。

 

経済面では日本が米経済再興に協力し、重要サプライチェーンの強化に向かう。半導体が電子産業に不可欠だが、菅バイデン両名は半導体供給を確実にする決意だ。同様に米日両国にはデジタル貿易合意を強化し、多国間協議を妥結させ、金融貿易の国際標準をサイバー時代に適合させる好機を迎えている。

 

半導体製造で大きな役目を果たし、APEC並びに世界貿易機関の加盟国である台湾がサプライチェーンの安全確保並びにデジタル貿易の標準策定に重要だ。実際に台湾の地位を世界経済で確実にすれば、台湾海峡への空母投入など北京が進める台湾向け恫喝戦略を減じる結果が生まれる。

 

21世紀経済の中心は技術だ。そこで、米日両国は中国との経済協力に強い利害関係を維持しつつ、5G、人工知能、量子コンピューターなど先端技術面で厳しい対応を取らざるを得ない。バイデン、菅両名は中国への対抗策ではなく、技術革新をすすめつつ安全な接続性につながる取り組みを表明すべきだ。

 

この動きの好例となりそうなのがオープン無線アクセスネットワーク(ORAN)の5G技術だ。中国に第五世代通信インフラを支配させることに懸念があるため、米日両国はクラウドベースのソフトウェアとなる同技術の強化を求められている。ORAN分野では日本の楽天が進んでおり、米議会内には超党派で米国もモジュラー方式5Gへ投資を増やすべきとの声がある。

 

サイバーセキュリティでは両国のさらなる協力が必要だ。直近の2+2米日防衛外務大臣会合で取り上げた5点のうち、サイバースペースが従来の安全保障課題に最も近い。日本はファイブアイズの第六番目加盟国に事実上近づいており、情報共有の仕組みに加わる。バイデン政権はこの流れを支援すべきだ。デジタル同盟関係の強化でインド太平洋地区のサイバー回復力も強化される。

 

政治面では人権を重視する声を上げようとする菅政権の動きに留意すべきだ。中国は内政問題だとして中国批判を黙らせようとしており、声を上げる向きには懲罰を課す姿勢を見せている。新疆のウイグル族への不当な取り扱いが国連憲章でいうジェノサイドに当たることは明らかでも、習近平が「戦狼」外交を止める兆候はなく、逆に中国の品位を守るべく「刀を抜け」と号令をかけている。バイデン菅両名は個人の自由を尊重する民主体制が独裁体制より優れることを証明すべきだ。両名はそれぞれの社会で人種偏見、人種差別主義、外国人排除の動きを伴わず民主体制の連帯をめざすべきだ。

 

軍事面で同盟関係の課題は中国のグレイゾーンでの動きをどう止めるかであり、中国が軍事力行使に進まないよう抑止力をどう使うかだ。尖閣諸島、台湾での軍事力行使は現実の可能性だ。首脳会談でバイデンは安全保障条約第5条による日本防衛の責務を再確認し、日本統治下の領土が対象と述べるだろう。逆に菅は在日米軍への攻撃は日本への攻撃と同じと返答するはずだ。尖閣諸島防衛への備えでは台湾シナリオにも対応する。事態を想定する宣言で米日両国の指揮統制面での統合がさらに進み、戦力の補完効果が生まれる。

 

満開の桜は長く続かなくても、両国の同盟関係から驚くほど良好な成果が生まれている。■

 

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US-Japan alliance in full bloom

BY PATRICK M. CRONIN, OPINION CONTRIBUTOR — 04/15/21 12:00 PM EDT  28THE VIEWS EXPRESSED BY CONTRIBUTORS ARE THEIR OWN AND NOT THE VIEW OF THE HILL

 

Patrick M. Cronin is the Asia-Pacific Security Chair at the Hudson Institute. 


2021年4月16日金曜日

中国をにらみ、日米同盟の強化に自衛隊の戦力増強は必須。自衛隊の戦力増強には現行憲法が障害となる。であれば、憲法改正が必要だ。中国はこれを知って日本の左翼勢力を支援する。

 

 

米両国が同盟関係を強化しているのは中国を意識してのことだ。

 

中国が日本領土へ侵攻すれば、米海軍は日本防衛に空母打撃群、グアムから展開する航空機材、さらに揚陸部隊まで展開することになろう。

 

米軍と自衛隊は相互に同盟関係を強化しつつ、訓練の機会をつくり、合同演習を展開して中国の挑発行動に備える姿勢を守っている。

 

ロイド・オースティン国防長官と岸信夫防衛相との会談では中国関連の懸念を共有し、南シナ海での挑発行為や東シナ海での尖閣諸島問題が話題に上がった。

 

「米軍と自衛隊で任務を実行するべく、さらに高度な二国間並びに多国間演習の実施が必要と双方が合意できた」と岸防衛相が発言したとペンタゴンが伝えている。

 

ロイド-岸会談で取り上げた重要問題の一つとして中国海警が尖閣諸島周辺のパトロール権限を与えられたことがある。2012年から中国は尖閣周辺に海軍艦艇を送り込んでいる。

 

日本側の懸念に対し米側は尖閣諸島は日米安全保障条約の第五条の適用範囲であり、米国による防衛義務の対象だと再度表明したとペンタゴンが伝えている。このことの意味は大きく、北大西洋条約にも第五条があり、敵対行為を受けた場合には集団で対応することをうたっているのと類似している。

 

中国が侵攻してくれば、太平洋にプレゼンスを常時維持する米海軍は、日本防衛に空母打撃群、グアムの航空機材さらに揚陸部隊まで送り込み、尖閣諸島の防衛にあたるだろう。

 

尖閣諸島は東シナ海で台湾の北、日本本土の南という戦略的に重要な場所である。

 

日米安全保障条約は堅固で、オースティン長官は両国の部隊間協力により大きな可能性を見ている。

 

「日本との同盟関係は極めて強固だ。さらに強化をめざしていく」(オースティン)

 

日本は多額予算で米製F-35ステルス戦闘機の調達を進めており、同機は長期にわたる両国協力の象徴となっている。その他の強力な装備品にSM-3迎撃ミサイル、グローバルホーク無人機、イージスレーダーシステムがある。こうした防衛力整備の目指す方向は明らかで、日本では憲法改正で国土防衛のため軍事作戦行動の拡大を目指す動きがある。

 

こうした軍事増強の動きの裏に急速な脅威環境の変化があり、日本が1947年憲法の改正に向かうかが注目される。同憲法は軍事力の行使権を放棄しており、その後1954年に自衛隊が創設されている。

 

ウェブサイトBaines Reportは自民党が現憲法に文言を追加し、「日本に自衛権があることを特記する」ことを目指している可能性があると指摘していた。

 

これが実現すれば、何らかの攻撃力整備に向かうのだろうか。純粋に抑止効果のための整備だろうか。戦争の予防のため、強力な軍事力を維持し潜在敵国に侵攻を断念させるのか。この場合、日米同盟の強固さならびに両国の技術協力の範囲が広がっていることを考えれば、米国も支持可能な内容だ。もっと大きな意味を生むとしたら、自衛隊の実力がさらに強力になれば、中国に対抗し封じ込める米国側の各国の中で重要な役割を果たせることになる。■

 

 

Japan is Revamping Their Military. With China in Mind?

April 14, 2021  Topic: China Japan  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanJSDFSenkaku IslandsChinaMilitaryU.S. Military

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

Image: Reuters.