2020年11月17日火曜日

強力な米製装備品をさらに改装して供用するイスラエルにかなう敵はいるのか 四つの事例をご紹介

 


 

 

スラエル国防軍(IDF)が米製装備品を各種供用しているのは、米国からの大量な軍事援助があるためだが、米製装備品が過酷な砂漠環境や市街地戦での作戦展開が必要なIDFの要求条件に最適設定になっている保証はない。このためIDFでは米製品を大幅改修しており、なかにはIDF独自の仕様に進化したものがもある。今回はIDFで供用中で大幅改修された米製装備品を見てみよう。

 

1. MAPATS対戦車ミサイル

 

IDFでは長年にわたり対戦車誘導ミサイル(ATGMs)を使用している。イスラエルを取り巻く砂漠地帯では対戦車ミサイルは極めて有効な装備品だ。イスラエルが初めて使ったATGMはフランス製SS.10、SS.11でその後1970年代末に米製TOWに切り替わった。(IDFはオレフと呼ぶ)ただし、TOWは有線誘導式のため射程に制約があり、使用条件も限られる。樹木や送電線があるとTOWの誘導が妨害され、運用部隊も危険になる。そのためイスラエルはレーザー誘導方式TOWを開発した。推進力を増し、弾頭部分も改良したため貫通力と飛翔速度が向上した。このMAPTSは輸出も好調だが、現在イスラエルは完全国産設計の新型ATGMを導入中だ。

 

 

 

 

2. イスラエル製のM16 、CAR-15改良型

 

IDFではテイヴァー銃に大部分切り替えているがM16もまだ使っている。しかし、1980年代後半から1990年代にはFN FALやイスラエル製ガリル小銃にとってかわったM16が第一線で使用されてきた。なお、ガリルカービン銃は全長の短さのため現在でも装甲部隊で供用中だ。イスラエルは小銃の近代化にもとりくんだ。IDF歩兵部隊の戦闘場面は市街地が多いため、M16やコルト653の銃身(それぞれ20インチ、14.5インチ)は扱いにくい。そこで銃身は12.5インチに短縮化された小銃には新たに「メクズラー」の名称がついた。

 

3.対空機関砲マクベトMachbet

 

20mm機関砲を複数備えるM163VADSは米軍では短距離防空装備として「一時しのぎ」の手段とされてきたが、イスラエルはVADSを1982年のレバノン戦争で多用した。シリアのMiG-21撃墜以外にが発射速度の高さを利用し地上支援、市街地や山岳地での敵地上部隊制圧にも投入した。米軍では1990年代からM6ブラッドレイ・ラインバッカーの登場で第一線を退いたが、イスラエルは逆にVADSを改良し、「マクベト」にした。電子光学式追尾装備、新型レーダー、スティンガーポッドとADAネットワークのデータリンクを搭載し、従来より広範な標的に迅速対応できるように進化した。

 

4. F-15 バズメショパーBaz Meshopar

 

イスラエルはF-15を真っ先に導入した。1970年代から今日までイスラエル空軍の主力戦闘機として長年供用している。空対空任務の卓越した性能が1982年のレバノン戦で発揮されたが、オペラ作戦、木の脚作戦の長距離攻撃ミッションでも性能をいかんなく発揮した。この背景に国産の航法センサーポッドの存在がある。イスラエルはその後対地攻撃に特化したF-15EストライクイーグルもF15Iラアムとして導入したが、第一世代第二世代のイーグルも新しい仕様に改修され国産電子装備等を搭載した。これがF-15バズメショパー、あるいはバズ2000だ。改修内容には新型レーダー、AIM-120、イスラエル製パイソンミサイル、コックピットをグラスコックピットにし、電子戦能力も向上させた。改修は1995年から2001年にかけ行われ、改修型F-15は今後も供用される。■

 

この記事は以下を編集したものです。

 

Wanna Know How Israel Wins War After War? Custom U.S. Weapons.

November 15, 2020  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: Tags: IsraelIDFAmericaMilitaryArmyTechnologyFmsFmfIsrael Defense ForcesF-35

by Charlie Gao

 

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues. This article first appeared in 2018.

Image: Reuters.


2 件のコメント:

  1. >IDFではテイヴァー銃に大部分切り替えているが
    聞いたことない。テイヴァー銃ってなんのことだ?主力アサルトライフルはタボールだろう。
    と思って調べてみたら、綴りがTavorでした。機械翻訳の限界ですね。

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    1. ちょっと面白そうだったので、調べてみました。なにが正なのか?
      ヘブライ語での表記( תבור ←表示されるかな?)が元祖となるでしょうが、同じ綴りの名を
      持つ山が存在します(もちろん、銃より前から存在している)。ネット上の日本語文を探すと、
      タボル山、タボール山と出ますね。
      ただし。この銃の英語圏での表記は「Tavor」ですが、発音方法については諸説あるようです。
      "Tay-ver"、"Ta-voor"、"Ti-vor"、"Ta-vorce"、"Tah-vor"、etc...「テイヴァー」が優勢か?
      中には「動画のイスラエル兵は"Ta-vor"と呼んでた、俺もそうする」なんて意見もありまして、
      それならそれでいいんじゃね?とも思いますが、問題は、"Ta-vor"をカタカナでどう表記する
      かですよね。タ・ヴァ―?タ・ヴォ―??
      日本語なら「タボール」でいいよ、もうw 英語圏なら「テイヴァー」でも通じる。以上。

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