2013年1月5日土曜日

2013年の予測 アジア太平洋で米国製装備の導入が大幅に進む

Analysis: U.S. Arms Sales To Asia Set To Boom On Pacific 'Pivot'

aviationweek.com January 04, 2013

米国製航空機、ミサイル防衛システムなど高額な兵器類の販売が中国北朝鮮と隣合う各国向けに大幅に伸びそうだ。条約加盟国や同盟国の強化がホワイトハウスが目指す太平洋地区への足場強化の中心課題であり、中国の領土問題で、北朝鮮はミサイル・核開発問題で地域内の緊張を高めている。
  1. 航空宇宙産業協会の副理事長フレッド・ダウニーはこの動きを「国内各社には成長機会となり友好国の装備拡充を助ける」として歓迎している。高額な米国製装備の需要は今後数年間は続く見込みと、同協会は予測している。
  2. 中国の国防支出の拡大に対する恐れによりアジア地域における米国の国防装備販売が増えてヨーロッパにおける売上減少を補うというのが同協会の見方だ。
  3. .同協会会員にはロッキード・マーティンボーイングノースロップ・グラマンが 名を連ねている。ただし、2013年予想では数値の表現はしていない。これはペンタゴンの国防安全保障協力庁Defense Security Cooperation Agencyも同じだ。同庁は世界規模の武器取引を監視監督している。取材に対して同庁は米太平洋軍の管轄地域内の各国との販売契約は2012年度に 137億ドル規模になり、年率5.4%増だったと明らかにした。
  4. 2012年中には合計65回の政府が仲介した海外向け軍事販売案件の通告が議会に提出されており、合計額は630億ドルになる。
  5. また2011年の米国による武器委譲契約は663億ドル相当で、このうちサウジアラビアが334億ドルで一位、インドが69億ドルで二位だった。
  6. 中国が個別案件で一層強硬な態度に出ていることから東南アジア各国の防衛予算は確実に増えていくと見られる。また、12月には日本韓国でそれぞれ米国寄りの保守派が当選していることで販売増にはずみがつき、改めて米国と同盟国、共同国とのつながりが強まる予想だ。
  7. . オバマ政権は防衛装備の売却は一層重要性を強めており、米国の世界規模での権益保護の観点では費用対効果が高いと見ている。販売により外交関係強化に加え 長期間の利害関係の共有が実現する。また米国の観点ではアフガニスタンのような戦場で共同作戦が実施できることになるのは好ましいことでもあるし、同盟国 の自衛能力強化も歓迎される。
  8. ペ ンタゴンは情報収集・監視・偵察能力の強化を無人機システムの導入でアジア太平洋で推進したいと考えている。この能力が充実すれば偶発事故を回避し誤解を 未然に防ぐことができる一方、協力関係も強化できる、とサミュエル・ロックリア海軍大将 Admiral Samuel Locklear(ハワイに司令部をおく米太平洋軍司令官)は発言している。
  9. ロッキード、ボーイング、ノースロップ、レイセオンといった大手メーカーは自社製品・サービスへの需要がアジア太平洋で増加すればペンタゴンの予算支出減少に対応できると期待を強めている。この四社は衛星、レーダー、航跡追跡施設、ミサイル迎撃手段といった製品を手がけているので一番利益を享受できる立場にある。
  10. そ の一環としてオバマ政権は12月に正式に12億ドル規模でノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク本体と付属装備の韓国への売却案件を正式に提案 している。グローバルホークには雲を通過できるレイセオン製センサー類を搭載しており昼夜問わず敵軍の配置を広範囲で探査できる。韓国は同機の導入で北朝 鮮の動きを事前に知る能力が強化される。
  11. 韓国はかれこれ4年間もグローバルホークへの関心を表明していたが、米政権はこれまで販売提案を先送りにしてきた。その理由は東アジア内の軍拡競走を刺激することを恐れていたためであった。
  12. .韓国がグローバルホークを購入するとアジア太平洋では初の導入となる。ノースロップはオーストラリア、日本、シンガポールも同機に対する関心を示しているという。
  13. .今回の販売案件通告は北朝鮮が12月12日に長距離ロケットを発射し、人工衛星を宇宙に送った事件から二週間もたたないうちに実現した。国連決議により北朝鮮はミサイル実験、核実験を禁じられている。
  14. 各 種弾道ミサイルに対してすべての飛行段階で防衛策を講じる点で日本が米国にとって最重要共同国として浮上してきた。米政権は議会に対し北朝鮮ロケット発射 の二日前に日本が総額421百万ドルでイージスシステムの性能向上策をミサイル護衛艦二隻に対して実施し、弾道ミサイル攻撃に対する防衛能力の向上を求め ていると通告している。
  15. 日本はあわせて二番目の陸上配備Xバンドレーダー基地の受け入れでも同意している。これはロッキードの終末段階高高度地域防衛システムの購入を意味する。
  16. .しかしなんといっても米国装備の中でもロッキード・マーティンのF-35共用打撃戦闘機が最大の存在だ。日本は同機導入を決定済みでF-4の後継機種とすべく50億ドル超の出費をする。シンガポール、韓国も同機を検討しており、韓国はユーロファイターのタイフーンとボーイングF-15サイレントイーグルも同時に比較検討している。韓国の購入規模は60機程度で70億ドル規模になる。
  17. インド向 け防衛装備販売額は現在80億ドル規模だが、2008年時点ではゼロだったわけで、今後も拡大していくとみられる。インドの計画は今後10年間で 1,000億ドルを支出して装備強化をすることで中国に対抗するもの。インドと中国は短期間ながら高地国境線を巡り1962年に軍事対決したことがある。
  18. 一方、台湾は導入済みF-16A型B型145機の性能向上策を実施中で、最新鋭レーダー、高性能電子戦装備他を搭載する。ロッキード・マーティンは18.5億ドルでこの作業に着手した。
  19. ホワイトハウスは台湾の戦闘機能力の穴埋めとしてより高性能のF-16C/Dの売却も検討している。これは台湾が長年求めてきたものだ。
  20. 中国は台湾の復帰を場合によっては武力に訴えても実現する構えで、米国は1979年立法により「十分な自衛能力」を維持する必要な場合は台湾を支援する立場にある。
  21. .ロックリア大将は太平洋への「再バランス」の中心は米国の条約同盟国であるオーストラリア、日本、韓国、フィリピンタイの各国の防衛装備近代化・強化であると説明しており、その努力はすでにはじまっているという。■


2013年1月1日火曜日

2013年の航空宇宙産業を占う Aviation Weekの年間予測特集より

2013 Forecast: Commercial Up, Defense Down


December 31, 2012

Graham Warwick

民間機生産は増加、国防予算は低迷。経済の不確実性と地域不安定度がこの双方に影響を与える。これが世界と航空宇宙、防衛産業が迎える2013年の様相だ。詳細を見て行こう。
  1. Aviation Weekの恒例の年間予想特集で繰り返して出てくるテーマは中国であり、同国の拡大する金融、産業、政治、軍事各面の影響が世界の航空宇宙産業・国防に与える影響だ。
  2. ステルス戦闘機のニ機種同時開発、航空母艦で航空機運用、各種無人機の公表がこの二年間で中国が世界に示してきた進展であり、米国の技術優位性は狭まっている。
  3. 商用機分野では中国は相変わらず西側製品の最大の購入国であり、ビジネスジェット機でも拡大する市場でもある。同国は世界の航空運輸業界に対する資金投入でも世界をリードしており、12月には米国企業国際リース金融International Lease Finance Corp.を48億ドルで購入してその立場をさらに強固にしている。
  4. 最大の関心を呼ぶのは中国が製造面で大きく進展しようとしていることだ。90席のARJ21の型式証明は難航しているが、Comacは160席C919の開発を進めてエアバスボーイングに挑戦する構えだ。倒産したホーカー・ビーチクラフトHawker Beechcraft の企業買収は2012年に挫折したが、今後も企業買収や共同生産を進める中国がこのままではビジネス航空分野で主要な生産国になると見る向きが主流だ。中国が次に目指す強化分野はエイビオニクスとエンジンだ。
  5. 今年はAviation Weekの年間予測としてははじめて軍事分野の分析と民間機の保守点検市場動向を盛り込んている。
  6. また、今後五年間の傾向予測も取り入れて、戦闘用航空機、軍事輸送機、回転翼機、民間商用機の引渡し動向を2013年から27年まで予測している。
  7. それでは各論ではどうか。大型民間機分野では2013年は受注は小規模にとどまるものの、生産量は記録的な高さに上るだろう。2013年中に初飛行を迎える主要な機体にはエアバスA350、ボンバルディアのCシリーズ、三菱MRJがある。ビジネス航空分野は停滞するが、回転翼機は反撥するだろう。
  8. 国防分野では2013年は世界的に支出が低水準になり、既存機種の有効利用に焦点が移るだろう。ロッキード・マーティンF- 35共用打撃戦闘機の開発が深刻な局面に直面するのは共同開発パートナー各国が費用増大に懸念を示しているためだ。宇宙分野では2013年の期待は打ち上 げ業務を政府から民間へ移行する流れがいよいよ本格化することだ。年末までに初の商用亜軌道旅客輸送が開始になる見込みだ。■


コメント 2013年が始まりました。国防関連では今年はぱっとしないになりそうですが、次の潮流は明らかに水面下ではじまっています。無人機、ISR、電子戦、サイバーとこれまでの航空業界の主流とは異なる動きが主流になっていくとすれば、当ブログの役割もそれなりに果たすことになりますね。今年もよろしくお願いします。

2012年12月31日月曜日

革新的な次世代ミサイル駆逐艦ズムワルトの建造が順調に進んでいます

First DDG-1000 Has Deckhouse And Hull Integrated



aviationweek.com December 20, 2012
建造中の米海軍の次世代駆逐艦DDG-1000USSズムワルトUSS Zumwaltが大きな進展を示した。艦橋部が船体に結合されたのだ。
  1. 海軍は同艦を未来の技術を実現するものとして広く宣伝している。従来型の艦船と大きく異なるのは艦橋にとどまらず全体設計と推進機関にも及んでいる。
  2. 沿海部での作戦や内陸部への攻撃を想定した他任務用途のズムワルト級駆逐艦により前進配備や抑止力の効果が期待されるとともに特殊部隊支援や多国籍派遣部隊で不可欠な存在となることが期待されると海軍は発言している。
  3. 1,000トンの重量がある艦橋の建造場所はミシシッピ州ガルフポートのハンティントン・インガルス産業で、メイン州バスのジェネラルダイナミクスに移送され、船体と一体となった。
  4. .艦橋は鋼鉄と複合材で作られており、長さ155 ft、高さ60 ft.以上あり、ブリッジ、レーダー類、アンテナ類および吸排気システムを統合している。
  5. DDG-1000の建造は2009年2月の開始以来、80%の完成度となっており、2013年にはいよいよ進水式を迎える。海軍への引渡しは2014年で初期作戦能力は2016年に実現する。
  6. ズムワルトの排水量は15,000トンで乗組員は130名に加え航空部隊要員が加わる。
  7. 海 軍によるとDDG-1000ズムワルト(元海軍作戦部長)級誘導ミサイル駆逐艦の整備計画は順調に進展しており、現在三隻が建造中だ。二番艦DDG- 1001マイケル・モンスールMichael Monsoor(イラクで戦死したSEAL隊員)は2010年に建造を開始し2016年引渡し予定。三番艦となるDDG-1002はリンドン・B・ジョン ソン(元大統領)と命名の予定で2018年に艦隊に加わる。


2012年12月30日日曜日

フェイスブックが国防上の重要な情報源として活用されています

Social Media Mining Software Gains Interest in Defense World

By Sharon Weinberger
aviationweek.com December 24, 2012

9月のリビア・ベンガジの米領事館襲撃でクリストファー・スティーブンス大使ほかアメリカ人三名の人命が奪われたが、オバマ政権関係者は攻撃を予見できなかった、あるいは人員保護が適正に行えなかったのではという非難、糾弾を多数受けてきた。
  1. そ れに対する反論として、そもそも襲撃の発生を告げる兆候はなかったとするもので、米政府の情報機関トップが再度この点を最近力説している。「発信がない、 あるいは行動を前もって相談しないときには探知そのものが困難です」と国家情報長官ジム・クラッパーDirector of National Intelligence Jim Clapper が米地理空間情報財団U.S. Geospatial Intelligence Foundation主催の年次フォーラムで10月に発言している。
  2. た だし同じ会場で国防・情報機関向けソフトウェアの販売業者がまさしく同じことをしようとしていた。ベンガジ襲撃事件のような攻撃を事前に予測するのを助け ることだ。「前日の午後4時に領事館前で抗議集会があり兆候は存在していました」と主張するのはアンドリュー・ダウミットAndrew Doumitt、テラゴーテクノロジーズTerraGo Technologiesの営業開発担当副社長で、同社はソフトウェアを作成しており、多数の情報源(ソーシャルメディア含む)から特定の場所で情報を仕 分けできるようにする。
  3. テ ラゴー製のソフトウェアは米軍基地や大使館の襲撃可能性といった対象を拾い上げることができる。その理由は同ソフトが数百万件のソーシャルメディア上の書 き込み数百万件をくまなく探し、特定の地点に関連する情報にフラグを立てることができるためだ。「イエメンのサナアの米大使館の周辺に緩衝地帯がほしいと します。そこでアラートを設定するとその付近に関連した書き込みをまっさきに見られるようになります」(ダウミット)
  4. 同ソフトウェアではどんな出来事が発生するのか正確には示してくれないが、赤色のフラグは立つ。「ある場所の監視についてソーシャルメディア、ニュースやブログを対象にできるわけです。引き金を引く条件にもっと多くの情報源を監視し反応することができるようになります」
  5. こ のようなソフトウェアは官民両方で需要が高まっており、データ採掘data-miningにオープンソース情報と従来型のデータ収集を利用することを可能 としている。国防・情報関係機関での利用が急激に増えており、CIAのヴェンチャーキャピタル部門であるIn-Q-Telがツール開発に当たる数社に出資 している。テラゴーもこのひとつである。
  6. こ の種のソフトウェア自体はこれまでは主流とは見られて来なかったが、アフガニスタン及びイラクでの戦闘で米軍が必死になりテロ集団のネットワーク遮断およ び道路に設置された爆発物の探知をめざす中で需要が高まっている。ペンタゴン自らが分散共通地上システム陸軍仕様Distributed Common Ground System-Army (DCGS-A)と呼ばれる戦場で収集した情報の結合・分類用に使うシステムへ投資していることの是非を巡り物議を醸している。
  7. この論争の中心がパランターPalantir(本社カリフォーニア州パロアルト)でデータに隠れる結合関係の検索ソフトウェァを作成した会社だ。同社もIn-Q-Telの資金援助を受けており、昔ながらの企業が中心の国防関連市場にいきなり登場した企業である。
  8. 米 陸軍はパランターに現場分析官数名を派遣しており、即席爆発装置improvised explosive device (IED)の所在網の追跡を補助しているが、やはりDCGS-Aの使用にこだわっている。パランターはシリコンバレー企業として自社製品がDCGS-Aの 性能の一段上だと自信を有している。
  9. オー ヴァーウォッチOverwatchはテクストロンシステムズTextron Systemsの一部門であり、国土保全とサイバー部門の副社長であるジョナサン・パーシーJonathan Percy, vice president for homeland security and cyberはパランティア製品が主張する性能は「ナンセンス」だと論じ、パランティア製品では「DCGS-Aが実行するミッションの5%」しか実施できな いとする。オーヴァーウォッチはDCGS-A用のデータ分析ツールを制作しており、国土安全保障や警察市場へ進出してきたパランティアへの対抗心を強めて いる。「あの会社はかなりの誇張をしており、陸軍に自社製品を購入させ、その他の投資支出を中止させようとしてるのです」
  10. パ ランティアも議会に支持者があり、ダンカン・ハンター下院議員(共和党カリフォーニア州選出)Rep. Duncan Hunter (R-Calif.)は陸軍を非難し、試験結果でパランティアのソフトウェァ性能がDCGS-Aより有利な結果が出たのを改ざんしたと主張。議会は陸軍が パランティア製品をどう扱っているかの調査活動を今夏に実施した。
  11. デー タ採掘はアフガニスタンでの実績からアフリカでの応用が期待されており、米軍によるテロリスト、ゲリラ網の追跡に役立つだろう。やはりソーシャルメディア が焦点の中心で、とくに従来からの情報収集方法である航空機搭載センサーが不足気味あるいは使用不可能である場合に有効となる。
  12. 「セ ンサーは不足しがちな資源です」と語るのはトニー・フレイジアーTony Frazier、民間用衛星企業ジオアイGeoEyeの上席副社長である。同社にも分析部門がある。「アフガニスタンやイランなどホットな地点から目を外 すのであれば、より広い情報源からの情報収集が必要となります」
  13. レイジアーによるとジオアイはすでにアフリカに焦点を当てたプロジェクトを作業中で、ソーシャルメディアのデータにより従来は通話通信記録の盗聴でしか収集できなかった情報をあつめるのだという。
  14. も ちろんソーシャルメディアだけが情報源ではない。各機関にはそれぞれ独自のデータベース、報道記事、また機密情報を利用している。ジオアイの分析作業は特 殊作戦部隊や情報機関向けのものだがその内容は機密扱いであるとはいえ、同社は実施中のシミュレーションの内容を大ぴらに話しているのも事実で、IED製 造国の特定のため、各国また米国内でメタンフェタミン製造の実態を検索しているのだ。
  15. 同 社からはアルシャバブAl Shabaab(ソマリア国内のアルカイダAl Qaed勢力)に対して行った地理空間分析内容が最近になり公表されている。ジオアイによるとこれまで認識されていなかった強度脅威地域が特定でき、アル シャバブの活動が強まる前に把握することができたという。
  16. 解 析による発生前予知はIEDの製造場所でも将来のテロ攻撃地点であれ、非常に魅力的に聞こえるし、確かにベンガジのような破壊的な結果が起きてしまった事 実に鑑みると食指をそそられる。しかし、この種の予測作業は万能の水晶玉には程遠いのが現実だ。ジオアイによると某政府向けの予測作業では的中率66% だったという。
  17. た だし、その効用はどこに注意をしたらよいかがわかることであり、実際の出来事の発生を予見することではないと、ジオアイ分析部のジェイムズ・アンダーソン は「66%というとコイン投げで半丁きめるのと大差ないように聞こえるのですが、98%の領土を監視対象外にできるのであり、これは相当の効果がありま す」
  18. ロッ キード・マーティンも自社製品でソーシャルメディア解析が可能なLMウィズダムLM Wisdomを販売しており、「インターネット上のチャット内容を有効な情報源に変化させる」ものだという。ロッキードはこの製品を5年前から開発してお り、当初は報道内容から情報を集めるものだったという。同社はソーシャルメディアからの情報収集に切り替えているとオープンソース情報活統合活動の主任で あるオリー・ルーバ Ollie Lubaが明らかにした。
  19. 一 方で民間企業ではソーシャルメディアである、ツィッター、フェイスブック、ライクトイン上の書き込みへの懸念を強めている。「社内の情報管理を我社が代行 している例があります。その企業への抗議発生を当社が監視するわけです。発生した段階で内容をすぐに解析し、これが重要なトレンドとなるかを判断するので す」(ルーバ)
  20. ま たロッキード・マーティンは国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects Agencyによる統合危機早期警戒システムIntegrated Crisis Early Warning System構築の主契約社でもある。このシステムでは報道メディアにより出来事の発生を予測する。たとえば革命とか政治不安である。「次の段階の目標は ソーシャルメディアの解析です」とルーバはいう。
  21. で は各種の解析方法でどれだけ正確な結果が国防・情報機関に提供できるだろうか。ひとつの問題はソフトウェアはどれだけ良質なデータを取り入れるかに左右さ れることであり、10月の上院報告書で国土安全保障省の情報融合センターを非難している。国内情報を収集、解析することでテロリストの計画を事前に知るの が同センターの目的だ。だが報告書では同センターからは「有益な情報が提供されず連邦政府の対テロ活動への貢献はなかった」とし、「大量のクズ」しか出て きていないという関係者の発言を引用している。
  22. デー タ融合では米国内だろうと国外だろうと究極の疑問は毎日数百万のツィッターあるいはフェイスブックの書き込みが本当に有効な情報に変化するのだろうかとい う点だ。「フェイスブックに何か書き込みをすること自体は何ら証拠になりません」とヒラリー・クリントン国務長官はベンガジ襲撃事件の直後に軍事過激派が 主犯だと主張した際に発言している。「直後の報道内容がいかに流動的かを示しており、当面は報道内容は一定にならないでしょう」
  23. I 結局のところテラゴーのような企業は真実とはどこか中間地点にあるのだと証明しているようなものである。フェイスブックやその他ソーシャルメディアではベ ンガジ事件を予測できなかったし、よしんばできていたとしてもリアルタイムでの監視・解析作業をするためには相当の資源を該当地区に投入していて初めて可 能だっただろう。
  24. ダウミットは自社製品の性能で大言壮語を避けている。ベンガジ襲撃前にフェイスブック上の書き込みが米領事館とリンクしていたのは大規模示威行動の予定を示していたに過ぎず、「魔法ではない」というのだ。■


2012年12月24日月曜日

今年もサンタを出迎える準備ができたアラスカのNORAD

Alaskan NORAD Region keeps Santa safe, on schedule

by Master Sgt. Mikal Canfield
Alaskan NORAD Region Public Affairs
.
米空軍公式ホームページより

12/20/2012 -エルメンドーフ-リチャードソン共用基地(アラスカ)  世界中の子ども達がサンタクロースによるクリスマスイブ当日に世界を駆け巡るフライトの追跡という重要な役割を北米航空宇宙防衛軍団 North American Aerospace Defense Command, (NORAD)が果たしていることを認識してる。ただアラスカで同軍団が展開する役割によりすべてのこどもたちに贈り物を届けるサンタ の仕事が可能となっていること意外に知られていない。
  1. 米国およびカナダはアラスカ地域NORAD軍区(ANR)でレーダー基地15箇所によりサンタが北米の高緯度地域に到達する様子を監視している。この任務は50年に渡りANRで成功裏に実施されている。
  2. 「サ ンタの安全を確かなものとするためにサンタをたえず追跡し、サンタに必要であれば現在位置を教えられるようにその位置をたえず把握しています。サンタのフ ライトを通じて当方はたえずサンタの位置情報をNORAD司令部に伝えています」(ジョン・オバースト中佐、アラスカ州軍第176航空管制中隊 Col. John Oberst, 176th Air Control Squadron operations officer, Alaska Air National Guard)
  3. NORAD 管轄下の他の地域と同じくエルメンドーフーリチャードソン共用基地でも航空機を待機させており、サンタを迎え随行飛行する準備ができている。なお、サンタ にはトナカイが一緒に飛行する。ANRに配備された機体のうちこのミッションに割り当てているのは第44派遣戦闘機中隊で日本の嘉手納空軍基地からやって きたもの。
  4. こ のNORAD伝統のサンタ追跡は1955年より続いている。ウェブサイトnoradsanta.org によると「この伝統は1955年にコロラドスプリ ングスに本拠地があったシアーズ・ローバック会社の広告に印刷ミスがあり、サンタの電話番号として、北米防空司令部司令官の直通番号が子どもたちにしらさ れてしまったことによるもの。当時の業務部長ハリー・シャウプ大佐からレーダー基地にサンタが北極から接近しているかをチェックさせて。電話してきた子ど もたちにサンタの飛行位置を答えた。これが伝統になった」とある。
  5. ANR隊員はサンタの安全を確保する毎年の行事を楽しみにしている。「ANRではチーム一丸で対応しています。毎年この時期が来るのを心待ちにしています」(オバースト大佐)
  6. サンタ追跡に関心ある全ての年齢のこどもたちは http://www.noradsanta.org/,で詳しい情報がわかる他、NORADサンタ追跡フェイスブックページ http://www.facebook.com/noradsantaを開くことをおすすめする。また、ツウィッターではサンタの飛行位置を実況中継しており、 @NoradSantaでわかる。またスマートフォンではNORAD Track Santa appをダウンロードすることでもサンタの位置がわかる。

コメント 日本時間では24日午後4時からNORADによる情報提供が開始の予定です。なお、サンタを出迎える機材としてCF-18やF-15、F-16が待機しているようですが、嘉手納からということは今年はF-22も投入でしょうか。

F-35 米空軍がパイロット養成を正式に開始しました

USAF Finally Begins F-35 Pilot Training

By Amy Butler


aviationweek.com December 17, 2012

.一年以上の遅れとなったが米空軍がF-35教官パイロットの訓練をエグリン空軍基地(フロリダ州)で開始した。
  1. 空軍教育訓練軍団司令官エドワード・ライス大将Gen. Edward Riceがパイロット訓練開始を12月17日に同基地訪問し宣言した。
  2. . 訓練開始は昨年秋の予定だったがペンタゴンから同機の通常運用の即応度で懸念意見が表明されたため延期されていたもの。空軍はその代わりに訓練課程を精査 する作業を正式な運用実用性評価operational utility evaluation (OUE)operational utility evaluation (OUE)期間中に実施し、これが今年初秋に完了したのだ。ライス大将はOUEについて「淡々と実施され、予想外の展開はなかった」とAviation Week取材に語った。
  3. 海兵隊は同じエグリン基地でF-35Bによりパイロット要請を実施中だ。「本日は大きな一歩となった。同機はこれまでも飛行しているが十分なデータがそろい、信頼性を確認でき、正式にパイロット訓練を開始するに至ったのである」とライス大将は訓示した。
  4. 今 回のOUEではF-35Aのブロック1Aのシラバスをつかったが、訓練課程第一回目のパイロット訓練ではブロック1Bのソフトウェアを使うことになると同 大将は説明。パイロット養成は36名規模を今後も維持できるといい、機体数の増強が必要だという。「最初は非常にゆっくりとはじめるよう企画した」とのこ と。
  5. 1A ソフトウェアでは基本的な飛行とエグリンへの接近しかできない。1Bソフトウェアにはコックピットのエイビオニクスと保安機能でデータ融合を含む。ただし 武器制御能力はブロック2Bの登場を待たないと使えない。来年中の訓練パイロットは全員教官となる予定。整備要因の訓練は今年初めから既に始まっている。
  6. エグリンに配備済みの機体数は米空軍向けF-35Aが9機、米海兵隊向けF-35Bが11機、英国所属のF-35Bが2機。■


2012年12月23日日曜日

フランスもリーパー無人機導入を検討中

France In Talks with U.S. Air Force On Reaper Buy



aviationweek.com December 19, 2012

フランスの国防調達機関DGAが米空軍とジェネラルアトミックス製MQ-9リーパー General Atomics-built MQ-9 Reaper の取得を目指して協議中であり、フランスが求める中高度長時間滞空UAVの候補機として有望とみている。 
  1. DGA長官ローラン・コレビヨンLaurent Collet-Billonは同機の購入を米海外軍事製品販売 Foreign Military Sales (FMS) 制度により検討していると報道陣に明らかにした。
  2. フランスはリーパーをとりあえず調達するものの次世代MALE無人機を英国等と共同開発する。
  3. リーパー(別名プレデターB)はDGAが検討した選択肢の一つで、イスラエル航空宇宙産業製ヘロンTP Heron TP も候補だった。
  4. フランス議会筋からはリーパー導入が購入価格と「ヨーロッパ化」改修に適しているのため望ましい選択だとの意見が出ている。
  5. 「ジェネラルアトミックスとは同機にヨーロッパ製のセンサー類、武装を取り付けて生産する検討が継続中」と議会から報告が出ているが、コレビヨン長官はジェネラルアトミックス(本社サンディエゴ)とはリーパーの検討はしていないと発言している。
  6. リーパーがすでに英国およびイタリアで運用中であること、ドイツ、ポーランドも購入を検討していることを勘案すると、「望ましいシナリオはヨーロッパ製装備をまず装着して、無人機も域内で調達する道に次第に歩むこと」と同長官は発言した。
  7. 駐仏英国大使ピーター・リケッツU.K. Ambassador to France Peter Ricketts はヨーロッパ共同開発のMALE無人機の開発をリーパーを原型として進める可能性をほのめかしている。英国はリーパーをアフガニスタンで運用中だ。■

コメント アメリカ製装備の調達を認めざるをえないのがフランスの事情でしょう。いよいよ日本もUAVの運用を深刻に考えるべき立場にあるのですが、まだ国産開発にこだわるのでしょうか。尖閣諸島などパトロールに無人機を導入するのは政治的にも好ましいオプションでは。

2012年12月22日土曜日

米海軍空母の建造整備は順調、エンタープライズ退役

U.S. Navy Aircraft Carrier Programs Steaming Ahead



aviationweek.com December 13, 2012

たった一年前には航空母艦の将来に暗雲が横たわっていた。大型揚陸艦が空母と同様の任務をこなせること、空母建造の費用が巨額であることから国防関連アナリストの間では空母部隊の削減も発生すると予測していたものだ。
  1. それが今では空母運用はペンタゴンの予算戦略の中にしっかりと定着しており、予算の強制執行停止の恐れの中でもびくともせず、艦船数削減の話はどこにも出ていない状況だ。
  2. 海軍は次世代空母フォード級に建造予算割り当てや関連契約の継続に力を入れるのみならず、ほかにも大規模改修や原子力動力艦船の退役処置など順調に業務が進んでいる。
  3. 新 造空母 ジョージ H.W. ブッシュCVN-77 USS George H.W. Bush は今月に公試をはじめており、2013年の就役にそなえ、今後四ヶ月間かけて運用能力整備planned incremental availability (PIA) をノーフォーク海軍工廠Norfolk Naval Shipyard (NNSY)で行う。
  4. 海上公試の内容には高速方向転換、水生皮膜形成泡aqueous film forming foam (AFFF)消火テスト、海錨テストなどである。
  5. .カタパルト、着艦拘束装置、燃料ホース・ポンプほかすべての機器も検査対象として正常作動を確認のうえ次の段階の飛行甲板認証flight deck certificationを1月に行う。
  6. 公試は航空関連部門が飛行業務を支援する準備に進む大きな一歩として、艦を極限の性能まで追い込み、システムにプレッシャーをかけて各部門が戦闘状況に耐えられ、ミッションの要求水準を満たせるかを確かめものと海軍は説明する。
  7. ほぼ並行してエンタープライズCVN-65 USS Enterprise、世界初の原子力推進航空母艦、が第25回目にして最終の任務配備を終え、母港であるノーフォーク海軍基地に戻ってきた。同基地で核不活性化および退役する。
  8. エンタープライズはほぼすべての主要有事状況に投入されており、1962年のキューバミサイル危機、ベトナム戦争では六回の任務配備、冷戦を通じ湾岸戦争にまで及ぶ。
  9. .ニューポート・ニューズ造船(ハンティントン・インガルス産業傘下)が同艦の核燃料取り出しの準備を始めている。
  10. 海軍はフォード級空母三番艦をエンタープライズと命名する予定と発表している。■

2012年12月20日木曜日

2013年のミサイル防衛庁テスト予定が明らかになりました

MDA Lays Out 2013 Testing Plans

By Amy Butler

aviationweek.com December 11, 2012

米ミサイル防衛庁Missile Defense Agency (MDA) は複数目標に迎撃ミサイル複数で対応する実験を準備中。これは複数のミサイルが同時に発射される事態を想定してミサイル防衛の実効性を高める狙いがある。
  1. 10 月25日の実験では5発の標的のうち4基の迎撃に成功している。イージス艦が発射したSM-3ブロックIAの一発が目標の短距離弾道ミサイル目標迎撃にな ぜ失敗したのかMDAからは説明はない。しかし同じく艦上発射のSM-2ブロックIIIAは対艦ミサイルを迎撃している。
  2. . ロッキード・マーティンの最終段階高高度地域防衛Terminal High-Altitude Area Defense (Thaad) システムは中距離弾道ミサイル一基の破壊に成功しペイトリオット性能向上型Patriot Advanced Capability (PAC)-3は二基を破壊している。短距離弾道ミサイルと巡航ミサイルだ。
  3. ペンタゴンは次回テストを6月までに実施する予定だ。実験のあらましはまだ不明だが、Thaadは再度使用されると関係者は言う。
  4. .この実験がMDAの多忙な2013年テスト予定の要となるだろう。
  5. .地上配備型中間段階防衛Ground-Based Midcourse Defense (GMD) も来年に試射予定がある。その結果により迎撃テストが夏に実施される。
  6. 地 上配備型迎撃ミサイルGround-Based Interceptor (GBI)(オービタルOrbital製)とレイセオン製の大気圏外迎撃能力向上策2 Exoatmopsheric Kill Vehicle Capability Enhancement 2  (衝突破壊メカニズムの改良)を組み合わせる策は迎撃事例の成功がでるまで保留だ。GMDの整備はボーイングが統括している。
  7. 一方でMDAはレイセオンのSM-3ブロック1Bの迎撃テスト二回を計画中。1月、3月に実施し、短距離弾道ミサイル目標が飛行中に分離する想定。
  8. MDAにはThaadの実用テストを来年に行う予定はない。ただしThaadが大規模作戦演習に組み入れられて参加する可能性はある。
  9. . 陸軍主導の中距離拡大防空システムMedium Extended Air Defense System (Meads)は来年末に二回目の試射を予定。一回目は11月29日にMQM-107ターボジェット標的機に命中、墜落に成功している。二回目では戦域弾 道ミサイル防衛を想定した標的を目標にする。
  10. なお同システムは国際共同開発で米国が58%負担してきたが、米政府は開発が終了する来年末で参加を終える予定。25%負担しているドイツ、17%のイタリアはそれぞれ生産の継続をどうするかを検討する。
  11. 米陸軍からは同システムのうち360度監視レーダーへの関心が示されたが、予算確保のめどがない。■


2012年12月16日日曜日

イスラエル、日本向け防衛システム販売承認

U.S. Approves Sales Of Precision Bomb Kits To Israel

aviationweek.com December 10, 2012

ペンタゴンから議会に対し月曜日に通告があり、イスラエル向けにボーイング製約7,000発の精密爆弾キットをその他弾薬含めおよそ647百万ドルで売却する承認を同省が与えたことがわかった。
国 防安全保障協力庁Defense Security Cooperation Agencyは海外向け武器販売を監督しており、同庁によるとイスラエルから合計6,900発の統合直接攻撃弾薬Joint Direct Attack Munitionはじめ数千のその他弾薬購入の申請があった。
  1. 米議会には30日の間にこの販売を差し止める権限があるが、実際に行使されることはまれ。販売に先立ち精査されたうえで通告があるからだ。
  2. JDAMキットを生産しているのはボーイングだが、その他の契約企業にはアライアントテックシステムズロッキード・マーティンジェネラルダイナミクスレイセオンがある。
  3. ペンタゴンより今回の売買でイスラエルは現在運用中のシステムの作戦能力を向上できると発表があった。「米国はイスラエルの安全に責任を有し、イスラエルを支援し強力かつ即応力のある自衛体制整備をはかることは米国の利益にもなり最重要課題だ」

U.S. Approves Upgrades Of Japan's Aegis Missile Systems

December 10, 2012
.同じく月曜日に国防総省から議会に通告があり、同省が総額421百万ドルで日本にイージスミサイル防衛システム(ロッキード・マーティン製)の性能改修にともなう販売申請を許可したと判明した。
  1. 国防安全保障協力庁によると日本より運用中のあたご級護衛艦のうち2隻の近代化改修の要請があった。米議会には本件を差し止めることが30日の間で可能だが、実際には差し止めはまれ。
  2. 議会が承認すればロッキードが主契約企業となる。販売にはイージス戦闘システムズ、レーダーシステムズ向け新型プロセッサー、画像表示卓、壁面ビデオ表示ならびに性能向上型主砲およびセンサー類が含まれる。
  3. ペンタゴンの説明は日本に防空戦闘の大幅な能力向上手段を提供することは米国の安全保障上の目的に合致するというもの。