2013年8月22日木曜日

グローバルホークがふたつの難関に直面中

Global Hawk Variants Face Airspace Showstoppers

By Bill Sweetman
Source: Aerospace Daily & Defense Report
aviationweek.com August 21, 2013

ノースロップ・グラマンがグローバルホーク/トライトン無人機で技術課題二点に直面している。

ひとつが米海軍がITT Exelisの作業中止を命じたことで、同社はMQ-4Cトライトン洋上監視型UAV向けの感知・回避型レーダー開発に従事していた。ノースロップ・グラマンによればこのレーダーは同機に必須の装備だという。同機が洋上運用を前提とし他の手段によるレーダー監視をあてにできないためだという。

また同社は今回のレーダー問題は機体への統合問題がかぎだという。ITT Exelisの空中感知回避レーダーairborne sense-and-avoid (ABSAA) radar はKuバンドを使い、自立型のアクティブ電子スキャンアレイでサブアレイを使い220度の探知が可能。

同社は海軍および業界提携先と共同で「広範なオプション」によりMQ-4Cの安全かつ自律運航を実現しようとしてる。

もうひとつがユーロホークだ。ノースロップ・グラマンはユーロホーク計画の延命にも懸命で、ドイツ政府が5月にキャンセルしたのは600百万ユーロ(800百万ドル)という巨額をかけても自国内の空域で民間機と並んでの運航は難しいと見たためであり、型式証明が交付される見込みが薄いと見たためでもある。「課題は滞空性能であり、システムではない。需要はまだあるので、解決方法としてのユーロホークは有効。ここで断念すべきではないでしょう」と同社副社長は語る。

 ユーロホークはグローバルホーク派生型としてEADS Cassidian製の情報収集パッケージを搭載している。■

2013年8月21日水曜日

韓国F-X3はF-15SE採用が濃厚に

   

South Korea Looks Ready To Order 60 Boeing F-15SEs

By Bradley Perrett perrett@aviationweek.com
aviationweek.com August 19, 2013
Credit: Boeing
韓国のF-Xフェイズ3選定でボーイングF-15SEサイレントイーグル60機を発注する見込みが濃厚で、実現すれば同機生産ラインが延命するとともにこれ以降の競合に弾みをつけそうだ。
  1. 韓国国防調達計画庁Defense Acquisition Program Agency によればEADS提案を却下したもよう。同社は提示価格を下げるべく、以前の合意内容を一方的に変更してきたのが理由だという。現地報道によれば同社はユーロファイター・タイフーン単座型を当初の45機を54機に複座型15機を6機にして提示したという。
  2. また現地報道によれば三番手のロッキード・マーティンF-35ライトニングも除外されたとし、提示価格が8.3兆ウォン(75億ドル)という予算を上回ったためだという。ただしロッキードはこの報道に反論している。「韓国政府から結果通知は未着であり、F-X選定は複数の段階をへて決定されるものであり、当社は米国政府と連携してF-35の採用を期待する」
  3. F-15SEはF-15の発展型でレーダー断面積の縮小が特徴だが、生産を実現するためには韓国の発注が必要だ。F-Xフェーズ3で受注できないと84 機受注したサウジアラビア向けF-15SAの最終号機が2019年で引渡しとなり生産ラインは閉鎖になる。これに対しF-Xフェーズ3で受注に成功すればラインは2021年まで延長となり、初飛行から実に49年間のライン稼動になる。
  4. ボーイング案には有利な点がある。同機は韓国で採用済みで、競合他社よりも安価であることが長所となり、これは国会による制約を受ける調達庁が予算額を超過する選択肢を検討する余地がない現状を鑑みると大きな強みだ。先回の選定では提案すべてを却下したのは各案が予算想定を超過していたため。そこで再提案を集めたわけだが、ロッキード・マーティンはF-35のそもそもの高価格があり、米国政府による海外軍事装備品販売制度を使わざるを得なかった。
  5. F-15でもうひとつ有利なのは同機の主要部材がすでに韓国航空宇宙工業 Korea Aerospace Industriesにより生産中であることがあげられる。したがって調達庁がめざす現地生産比率を引き上げても、競合案よりも価格引き上げ率が高くならないことになる。
  6. 現在供用中のF-15Kはシンガポール向けF-15SGと同じく2012年までに完了している。サウジアラビア向けF-15SAの引渡し開始は2015年以降の予定で、ボーイングはF-15S70 機をF-15SA仕様に改装する。韓国が導入したF-15K61機はF-Xフェイズ1および2の一環で、うち1機を墜落喪失している。
  7. F-15SEは傾斜つき尾翼が特徴で機体内部に爆弾あるいは空対空ミサイル4発を搭載する。これは一体型燃料タンクをオプションで機体側部に取り付けることにより実現した。BAE製の新型電子戦闘システムを採用したことで燃料搭載スペースが増え、機体表面にはレーダー波吸収材料が施される。F-15Kが以前のF-Xで採用された時点で機械式スキャンレーダーが搭載されていたが、その後レイセオンAPG-63(v3)アクティブ電子スキャン方式アンテナを採用したレーダーを搭載している。その搭載一号となったシンガポール向けに続き、韓国も同レーダーが利用可能になることになる
  8. ボーイング受注の可能性濃厚な理由として同社と韓国国内航空産業メーカー各社との産業協力の実態が大きく作用しているとの見方がある。受注成功すれば同社にとっては大きな成功となり、F-15の生き残り可能性も広がるとし、同機の航続距離、ペイロード搭載量はF-35を大きく上回るもの、とアナリストHoward Rubel は見ている。■



2013年8月13日火曜日

英国によるF-35飛行中隊は2018年に誕生か

U.K. Prepares For Major JSF Procurement Decisions

By Tony Osborne
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com August 05, 2013

英国防省がF-35による最初の戦闘機中隊編成の最終決定段階に入った。.
    1. 74百万ポンド(114百万ドル)のどんでん返しでF-35C艦載型へ変更を2010年にしたあとで2012年には短距離離陸垂直着陸型F-35Bへ再度変更した同国は「メインゲート4」と呼ばれる調達契約上の大きな通過点に向かいつつあり、英国初の飛行中隊の機材購入のみならず実際の運用への移行を始めようとしている。調達契約ではF-35Bを14機の発注となろう。
    2. 英国防装備支援部門でライトニングIIプロジェクトチームを率いるリック・トンプソン准将Royal Navy Commo. Rick Thompsonによると第一号中隊の編成は2018年になるという。その時点でクイーンエリザベス級空母の一号艦の公試が開始されているはずだが陸上運用能力の獲得が同年末になるという。
    3. 当初英国が同機開発に参加した時点では138機を購入するとしていたが、現在は48機の確約をしているにすぎない。メインゲート5の決定は2017年ごろの予定で残りの機体導入を承認する。トンプソン准将によると2015年の戦略国防安全保障見直しまでいかなる決定もされないという。この見直しで英国が購入するJSFの機数が決まるという。ただし同准将は英国が48機を超える調達の予定があるかについては言及していない。
    4. JSFを空母運用想定しているとはいえ、中心的な役割は英国空軍(RAF)がとることが増えている。ノーフォーク州のマーハム空軍基地が同機の運用拠点と位置づけられている。第17飛行中隊がライトニング運用評価部隊として再編成され、2015年にエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)に誕生する。そして有名な第617飛行中隊ダムバスターズが最初の運用部隊となる。両隊には英海軍とRAFから人員を派遣する。第二番目の運用部隊が英海軍の中隊番号をつけられる予定。
    5. 英国が受領済みのF-35Bは三機で、すべて英米合同海兵隊訓練部隊としてエグリン空軍基地(フロリダ州)で運用中だ。英海軍、RAFから一人づつのパイロットが教官としての訓練を受けている。整備要員20名もエグリンで訓練中だ。機体は英国所有であるが、米海兵隊とRAFのパイロットが交互に操縦することが米国防総省と英国防省の取り決めで実現している。
    6. 英軍機材は2014年にエドワーズ空軍基地に移動し作戦運用テストおよび評価を受ける。同基地にはすでに英軍関係者がおり、受入れ準備中。2014年第三4半期にパイロット訓練を海兵隊のボーフォート基地(サウスカロライナ州)で開始する。
    7. 最初に搭載する兵装としてレイセオン製ペイブウェィIVおよびMBDA製 AIM-132Asraam 空対空ミサイルを機外に装備する。英国による選択型精密射程兵器Selected Precision Effects at Range (Spear) に近い関係者によるとライトニングIIは最高24発のSpear IIIミサイルを搭載可能であるという。同ミサイルはパナヴィア製トーネードGR4が搭載する現有のブリムストンの後継モデルである。レイセオンはペイブウェィIVをJSF対応にする改修を作業中だ。
    8. 関係者が指摘するのはJSFにより「国際間連携が高まる」といい連合軍として各国の装備を有事の際には融通して使用できるのだという。
    9. 英国にとって要注意なのは同機の運用支援面だ。これについてトンプソン准将は英国の目標は空軍向け海軍向けに同等の支援体制を確立することで、ロッキード・マーティンのインターネットによる自動ロジスティックグローバルサポートソリューションAutonomic Logistics Global Support Solutionを利用するのだという。
    10. この海空両用での支援体制の前例にはハリアーGR9を共用運航ハリアーJoint Force Harrier (JFH) として英海軍とRAFが共同運用したことがあり、ライトニングIIの空母運用で参考にするもようだ。なお建造中の新空母はライトニングII運用を最初から前提にしている。■


2013年8月12日月曜日

予算強制削減によりF-35取り止めになる可能性---有力シンクタンクの見方

Think Tanks: Cancelling F-35 Among SCMR Options

By Bill Sweetman
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com August 05, 2013
Credit: Lockheed Martin

もしペンタゴンが現有部隊構造を維持しつつ、即応体制の切り下げなしかつ民間人職員規模を維持して強制予算削減の目標額を達成しようとすれば、F-35共用打撃戦闘機計画は破棄を迫られるだろうとワシントンの大手シンクタンク各社の代表が見ている。同時にB-1B爆撃機部隊はいずれの場合でも退役を迫られる。

  1. この分析をしたのは戦略予算評価センター、戦略国際研究センターCenter for Strategic and Budgetary Assessments、戦略国際研究センターCenter for Strategic and International Studies,、新アメリカ安全保障センターCenter for a New American Security 、アメリカンエンタープライズ研究所 American Enterprise Instituteで、今年に入って画期的な合同予算検討に携わっている。
  2. この分析によると実際にペンタゴンがF-35開発取りやめの選択をする可能性は少ないとし、作戦上の優位性を自ら失い、かつ産業基盤への影響を与えるリスクがその理由。なお、F-35はこのたび発表された戦略選択肢・管理検討過程Strategic Choices and Management Review (SCMR)で公表された二つの話題のひとつ。米空軍が求める長距離打撃構想の新型爆撃機も取りやめになるという。さらにこのアプローチでは「アジア重視」戦略構想を支えきれない、という。というのは大規模陸上兵力を維持することになるからだという。
  3. 反面、CSBAのパネルではペンタゴン高官による背景説明を全員が受けた結果、SCMRの選択肢ではB-1B爆撃機の退役に全員が賛成した。同機はB-52より航続距離、兵装搭載量のいずれも下回り、生存性が大きく優れているわけでもない。
  4. 各シンクタンクの専門家はSCMRを三つの点で批判している。まず議会は代償案を今後10年間で500億ドル規模で承認すべきとし、ペンタゴンの管理経費を400億ドル削減する決議をすべしという。「ただし法案通過の可能性は少ない」と見る。次にSCMRはペンタゴンの文民雇用の削減提案を出し切れていない。各軍司令官からは即応体制の縮小には強い反対意見が出ており、政治家層も1970年代末80年代初頭の「空っぽの部隊」の再現を恐れている。この点はアナリスト陣も同意見だが、強制削減が求める水準の削減を実現しようとするとここも避けて通れない領域だ。共同検討に参加した一人は「戦車師団25個がフルダ渓谷を通過するのを警戒するべき時代はもはや存在しない」といっている。■

2013年8月11日日曜日

F-35機体価格は着実に下がるのか ロッキードは信頼出来るのか

New F-35 Cost Target Slips Toward Goal

By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology


aviationweek.com August 05, 2013


ペンタゴンとロッキード・マーティンがF-35の生産ロット最新分で交渉妥結し、同機では初めて機体価格が100百万ドルを割る可能性が出てきた。ただし、ここにはエンジンおよび後日改装は含まれていない。


  1. 繰り返すが、機体のみの価格であり、F135エンジンや後日装備分を加算するとはるかにこれより高くなる。一方、ペンタゴンは同機の本格生産対応ができるかを検討しようとしており、その場合は生産ピーク時点で機体単価を80から90百万ドルにする目標だという。
  2. 今回合意されたのは低率初期生産LRIP-6で36機、LRIP-7での35機分。
  3. ただし契約総額および単価の数字は契約締結までは公表しないとロッキード・マーティンが発表している。
  4. ただし同社によると各型式の機体単価は以前のロットから約4%下がっているという。LRIP-5の価格目標値が新規のLRIP-6および7での根拠となる。
  5. 米空軍向け通常離着陸型F-35AはLRIP-6で単価100.8百万ドルと算定されており、LRIP-7では96.8百万ドルになるとみられる。
  6. ただし上記価格にはエンジンは含まれていない。政府調達契約はプラット・アンド・ホイットニーと別個契約でF135エンジンを購入するもの。プラットからは価格の発表がないが、国防関係者によればF-35A向けエンジンの価格は大体14百万ドルで、F-35Bは38百万ドルだという。プラットとペンタゴンはLRIP-6のエンジンで引き続き交渉中だ。
  7. ただしテスト結果で必要となる改修費用の後日発生分はコストに含まれていない。5月時点でペンタゴンが出した試算ではLRIP-6および7の機体では7.4百万ドル相当の改修が必要になる。政府とロッキード・マーティンはすでに判明している改修費用の分割で合意ずみ。今後発生する問題改修は政府が全額負担する。
  8. エンジン価格も含み、この改修費用も加算するとLRIP-6におけるF-35Aは118.5百万ドル、LRIP-7で114.5百万ドルになる。
  9. だがロッキード・マーティンがこの目標を生産現場で達成できるかは不明だ。3月時点で関係者からLRIP-4で約7%の目標超過があったと明らかになっている。ただし、合意内容にあるリスク負担項目により今回の新規2ロットでは政府は免責となっている。ロッキード・マーティンがペンタゴンとで大規模な契約を成立させたのはマリリン・ヒューソン Marillyn Hewson CEO体制で初めてのこと。
  10. 前CEOのクリストファー・クバシックChristopher Kubasik はLRIP-5交渉に一年を要したが、ヒューソンは対照的に交渉では協調的なようだ。
  11. 今回のLRIP-6および7は価格が目標値を上回った際はロッキード・マーティンが全責任を取る形の際のはつの契約形態だ。なお、LRIP-6には米空軍向けA型18機、米海兵隊向けB型6機、海軍向けC型7機が含まれており、イタリア向けA型3機とオーストラリア向け2機もある。LRIP 7ではA型(19機)B(6機)C型(4機)の米国向けに加えイタリア向けA型3機、ノルウェー向けA型2機、英国向けB型1機となる。■

A400M引渡しがついに実現

                           

French Air Force Takes Delivery Of First A400M

By Anthony Osborne
aviationweek.com August 02, 2013
Credit: Airbus Military

フランス空軍がエアバスミリタリーA400M初号機を正式受領した。
  1. 大幅に遅れた引渡しがついに実現し、A400Mの歴史のひとつの転換点となった。フランス国防調達庁DGAが7月31日に同機の軍用運航許可がOccar(共同軍用装備整備協力機構)から出たことで翌8月1日の引渡しを認めたもの。DGAからは軍用型式証明が7月24日に交付されていた。
  2. フランス空軍向け一号機MSN7は8月2日にオルレアン・ビシー基地Orleans-Bricy air baseに回航された。同基地がA400M部隊の基地となる。エアバスミリタリーによると一号機は乗員訓練用に使用される。
  3. 同社は一号機を7月12日に納入し、革命記念日の記念飛行に間に合わせようとしたが、結局記念飛行にはテスト機材MSN3を代わりに投入した。引渡しの公式式典は今夏おわってから同社のセビリア工場(スペイン)で開催する。なお、同社はA400Mの重要機能である空中給油、戦術飛行能力など運用能力を徐々に引き上げていくべく作業中だ。このため5機のテスト用機材を投入している。
  4. 月内に二号機MSN8を受領予定で、MSN9はトルコ空軍に今年内に引き渡される。MSN10はフランス向けの機体になる。■


2013年8月1日木曜日

F-35JSF 海外販売に期待せざるを得ないロッキードの事情

Lockheed Martin Counts On Global F-35 Buys To Ease Sequestration Pain

By Michael Fabey, Bill Sweetman
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com July 25, 2013
Credit: Lockheed Martin

米国防予算が強制支出削減の影響を受ける中、ロッキード・マーティンは海外販売でF-35事業の安定化を図ろうとしている。
  1. 同社CEO兼社長マリリン・ヒューソン Marillyn Hewson は「F-35への影響を考えると海外での営業機会で補完されると見ており、営業体制を強化しています。今後5年で受注の5割は海外からとなるでしょう。そこで海外顧客が動き出すまで、あるいは国防総省の考え方がわかるまでは静観しますが、その後は柔軟に対応します」
  2. 2014年度予算案は強制支出削減前のもので、ペンタゴンは今後5年間でF-35各型合計300機以上を発注する予定だ。海外向けは複数年度発注となる見込みで、ヒューソンの見立てが実現するのはオーストラリア、英国、日本その他が現状案をそのまま変えない場合および韓国向け商談が成立した場合だ。
  3. ペンタゴンは「強制支出削減をどう考慮すべきか明確な立場を示していない」とヒューソンは7月23日のウォールストリートの投資アナリスト陣向け四半期営業電話報告の中で発言している。「観測は多数ありましたが、今後どうなるか見込みを立てるつもりはありません」
  4. 「ペンタゴンとは密接に連絡しています。それぞれちがうシナリオを見ていますが、ひとつだけ言えるのはF-35を各自が支持してくれていますので今後が楽しみです」
  5. 一方でF-35の低率初期生産第6および第7ロット交渉は今夏末に終了見込みだ。同ロットには海外向け発注分の生産が入っている。同社CFO兼執行副社長ブルース・タナーは「交渉中の生産量は強制支出削減の影響は皆無で交渉は早期に終了すると見ています。ケンドール(副長官)は生産量の維持を声高に主張しています」
  6. これに対しクレディスイスから質問が出ている。「お二人の発言どおりなら問題は生産量ではないでしょう。総収益こそ重要であるはずで、収益は一機ずつの単価からでなく別の分野から確保するのでは」
  7. タナーは「まさしく言って貰えた」と答えている。



オリジナル版読者コメント

SlowMan


F-35は韓国向けにはサイレントイーグルに負けたとの現地報道内容があり、すでにペンタゴンの描く5年間300機輸出案のうち60機で穴があくことになる。韓国での失敗がカナダやデンマークにも飛び火するだろう。JSF管理室にとって救いなのはシンガポールがB型12機導入を決定したことだが、シンガポールもB型が運用可能となるまでF-15SGをつなぎに導入する可能性がある。なぜならシンガポールは韓国ほどの外的脅威にされされていないから。そうなるとF-35が致命的な死のスパイラルに向かう可能性は高いといわざるを得ない。

alexandre


JSFは交代する対象の各機を上回る性能をひとつも上回っていない。
F-14の制空性能には達していない。
F-18のかわりにはならない。F-35は単発機だ。
ハリアーの戦場実績は有していない。
A-10のかわりに砲弾を発射するのは高価すぎる
海軍向けにはF-22を海軍版に改装し、JSFは海兵隊専用にすればよかったと思う。

2013年7月31日水曜日

フィリピンを支援して米海軍が南シナ海上空に偵察機を派遣中

Report: U.S. Flying Reconnaissance Missions for Philippines in South China Sea

By: USNI News Editor
                         USNI Website,Tuesday, July 30, 2013
                                                 
A P-3C Orion. US Navy Photo
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米海軍がP-3Cオライオンを南シナ海上空で飛行させており、フィリピンを支援していることが報道で明らかになった。
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共同通信が秘密文書から監視偵察機がスプラトリー島嶼の第二トーマス砂洲上空を飛行していることを突き止めた。同島嶼は中国とフィリピンの間で緊張が高まっている舞台である。

「フィリピン軍は装備、海軍艦船、航空機、施設ならびに作戦継続の資金のいずれもが不足していることを認識している」と同文書は説明。フィリピン軍には「情報収集活動が必要であり、それはより高い次元の指揮命令系統や専門機関により実施されるべき」としている。

在ハワイの米太平洋艦隊司令部から USNI Newsに対し共同通信の通信内容は承知しているが報道内容の詳細を確認はできないとの回答があった。「わが国は通常的に国際空域で活動し、前進配備を維持することで安全と安定を維持している」との声明文が USNI Newsに配信された。

報道によるP-3Cの飛行地域は次のリンクを参照されたい。Alleged P-3C Flights

フィリピンの大統領ベニグノ・アキノ三世は該当地区から東側の監視活動の実施を昨年の時点から要請しており、同国の軍事装備の不足をその理由としていた。今年二月以降は中国が海軍艦艇・監視船舶を第二トーマス砂洲周辺に派遣しているとの現地報道がある。
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中国の活動強化に呼応する形で、日本とフィリピンは7月27日に協定書を交換し、日本からフィリピンへ沿岸警備艦船10隻を貸与することとした。アキノ政権は米国と米軍の国内施設使用拡大で交渉中との報道もある。


2013年7月30日火曜日

次期大統領専用ヘリ選定は結局単独入札になる見込み

                           

VXX Becomes One-Horse Race

By Anthony Osborne tony.osborne@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com July 29, 2013
Credit: Sikorsky

米海軍による「マリーンワン」大統領専用ヘリコプターの次期機種選定がアグスタウェストランド・ノースロップグラマン組の辞退で単独入札になりそうだ。

  1. 両社は共同でAW101をVXX候補として提示し、現行のシコルスキーVH-60ホワイトホーク・VH-3シーキングの後継機として売り込む予定だった。しかし、仕様書内容から入札を見送ることとした。
  2. アグスタウェストランドから書面でAviation Weekに届けられた声明では「総合的に仕様書最終版を検討しましたが、当社はその内容では当社が有効に競争力を発揮できないと判断に至りました。提案評価では根本的な問題があり当社の提案を妨げる要素がある一方、想定される競合他社には有利な条件になると見ています。辞退の結論は困難なものでしたが、当社は現在も大統領輸送用の機体として最適かつ最高の製品を有していると信じています」
  3. 一方、ボーイングもV-22オスプレイまたはCH-47による入札を断念している。同社スポークスマンは「ボーイングカンパニーは米海軍の求めるVXX大統領専用ヘリコプター計画に提案書を出さないこととしました。H-47チヌークおよびベル・ボーイングV-22はとも人員輸送に使用中ですが、両機種ともに現状の条件では競合機種に対して競争力を発揮できないと考えた次第です」 ただし同スポークスマンはV-22オスプレイを海兵隊ヘリコプター第一飛行隊(HMX-1)に「大統領飛行隊用支援機」として納入することは断念していない。
  4. そこで各社が辞退したことでシコルスキーおよびシステム統合事業者としてのロッキード・マーティンの共同提案が唯一の入札になり、シコルスキーH-92が同社の民生用S-92を原形に提示されることになった。また同じ両社が米空軍の戦闘救難ヘリコプター(CRH)計画にも入札し、112機68.5億ドルの契約獲得を目指す。HH-60GペイブホークCSAR部隊の後継機種選定では他にもアグスタウェストランドとノースロップグラマン共同事業体、ボーイング、EADSノースアメリカがあったが全社が2012年12月に入札参加を断念している。その理由として各社が選定基準の不備を訴え、「要求性能を超える内容があっても加算がないかわずかしかない」ことをあげていた。
  5. シコルスキーのスポークスマンは「当方は公平かつ各社による競争を予期して準備を進めてきました。当方としては理想的なチームとして最善の機体を予定通り、予算内で納入できると堅く信じるものです」
  6. AW101は2005年の前回VXXで選定されたものの、計画そのものが取り消しとなった経緯がある。その際は費用が大幅に上昇したためだった。その結果、VH-71と一旦呼称された機体のすべて9機がカナダに搬送され、同国の運用するCH-149コモラント捜索救難ヘリの予備部品供給用に使われた。■

英国の核抑止力維持に黄色信号  スコットランド独立運動の影響が心配

U.K.’s Future Nuclear Policy Comes Under Scrutiny

By Tony Osborne
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com July 22, 2013
Credit: U.S. Navy

今日も大西洋のどこかの海中で英国のヴァンガード級弾道ミサイル原潜が核抑止パトロール任務についているはずで、英国の国家主権はトライデントミサイルが守っている構図だ。しかし、英国政府が次期抑止力装備の調達に乗り出そうとしたところ核抑止力の存続そのものが議論対象になっている。

      • 英政府が求めているのは現行の原子力弾道ミサイル潜水艦4隻を新型潜水艦に交代させ、トライデントミサイルを改修し瀬新設計の弾頭を搭載することだ。だが費用は150億から200ポンド(230億から300億ドル)といわれ、政府支出を減らそうとしている中、とくに国防支出を減らそうという中ではそのまま受け入れられない規模だ。
      • 現政権は保守党・自民党連立で新型SSBN(名称サクセッサー級)を推進してきたが、同潜水艦の最終開発決定はこれからだが、すでに30億ポンドを支出している。
      • トライデント代替建造案が公表されるや、議論が活発になった。検討内容の公表は自民党からの要求で、かねてから建造費が高すぎるとし、資金は通常装備に回したほうがよいとの主張だ。
      • 4隻あれば英国は24時間連続で抑止力を維持しつつ、一隻はドックで待機し、もう一隻は修理点検にまわせる。だが自民党の意見では「連続海上配備抑止力」なくても目的は果たせるというのだ。
      • 自民党出身の大蔵政務次官でトライデント代替案検討担当大臣ダニー・アレクサンダーが7月16日に検討過程で長期的に節減効果が出る「真の機会」が浮上し、「現在の状況に応じた核兵器政策見直しおよび核軍縮につながる」機会になるという。
      • サクセッサー原潜調達を一隻減らせば耐用期間通じ40億ポンドの節約効果がある、というのがアレクサンダーの主張だ。
      • 確かに英国の核兵力は冷戦最盛期に比べ大幅に縮小され、空中落下型弾頭WE177は1998年に退役している。英国が保有する弾頭は225発で核保有国中で最小規模といってよい、とアレクサンダーは指摘。「政治的な意思があれば核のはしごを降りてもよい」
      • 「そして次の段階はわが国の国防政策から核の存在を減らしていくことです。つまり冷戦時の連続抑止力体制は不要だと受け入れることです」
      • その他国務大臣や軍の元司令官からは抑止力パトロールを中止すれば「わが国の安全保障の弱体化」になり、国防予算の削減規模は「ごくわずかな規模」しかないという。
      • 検討内容ではサクセッサー級原潜をすべて導入し連続抑止力パトロールの継続を支持している。新型潜水艦発射用弾頭を巡航ミサイル用に開発し、現行のアスチュート級攻撃原潜から発射するには20年以上必要で、その時点でヴァンガード級は退役しているはずという。
      • 大型機あるいはF-35共用打撃戦闘機から投下あるいは発射する空の抑止力にも言及しており、建造中の新型空母からの攻撃および陸上基地の利用が考えられるが、空中発射のオプションはステルス性の有無に関係なく先制攻撃に脆弱だとしている。
      • 代替策はいずれも「すべての場合で迅速な対応を保障しない」と検討内容は明らかにしており、「現実的な代替システム」への移行はいずれもサクセッサー級三隻あるいは四隻よりも高価につくという。
      • 今回の議論はスコットランドが英国から分離独立した場合、弾道ミサイル原潜の母港であるファスレーン海軍基地はどうなるのかを考えるのと平行している。同基地は先代のポラリス原潜時代から使用しているが、スコットランド国民党派は非核政策を一貫して主張しており、抑止力部隊の撤退を求めている。そうなるとイングランド、ウェールズいずれにも同原潜の母港の候補はなく、結局英国は自ら核戦力を放棄することになるというシナリオだ。.
      • 英政府が同基地を英国領土と定め、キプロスにある英軍基地と同じ扱いにするという案を検討中との報道があったが、この動きは結局スコットランド閣僚の反発で立ち消えになった。
      • スコットランド国民党政権は2014年秋に国民投票実施を期待しており、仮に賛成票が多くなれば、行政府としてはスコットランド独自の憲法を制定し、2016年3月までに独立するという時間表をすでに作成済みだ。



2013年7月26日金曜日

韓国からひとまわり小さいKF-Xコンセプト登場

KAI Publishes Small KF-X Concept

By Bradley Perrett, Bill Sweetman
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com July 22, 2013
Credit: KAI

韓国航空宇宙工業 Korea Aerospace Industries (KAI) が中程度ステルス性能を有する戦闘機の構想図を公表した。同機は同社のT-50超音速練習・軽攻撃機が原形。構想は双発で完全新設計のKF-Xよりずっと小型かつ控えめな想定となっている。KF-Xを主導しているのは同国の国防開発庁the Agency for Defense Development だ。

  1. ただし韓国国内の業界関係者には同庁の国産化構想に懐疑的な向きが少なくない。国内にKF-X生産の基盤が不足おり、民間向け開発も同時進行すれば不足は明らかだとする。現在90席のターボプロップ旅客機開発の提案がある。だが現行機種を基にしたKF-Xなら技術開発規模も少なくてすみ、価格競争力も高くなりロッキード・マーティンF-35との価格競争も回避できる。ただしサーブがすでにこの市場で高性能かつ比較的小型のグリペンE/Fを投入している。
  2. T-50練習機、FA-50軽戦闘機自体がF-16を原形とし、ロッキード・マーティンの援助で開発した機体だ。しかしKF-X-Eの呼称のステルス機構想はF-16から程遠い機体になる。主翼と胴体の一部は共有するが、主翼・水平尾翼の後縁は前進翼となっている。機体側面には畝がついている。同機の機首は小さいのでレーダーアンテナ収納サイズが制約を受けるが、機体全体はT-50より大型化されており、機内搭載燃料量が増えて外部タンク搭載の必要が減り、レーダー断面積を小さくできる。
  3. KF-X-Eの尾翼が一枚構造になっていることが同機設計が高望みしていないことを如実にあらわしているが、ステルス性ではユーロファイター・タイフーンやボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットを上回る水準を実現するが、ロッキード・マーティンF-22およびF-35には及ばない。後者ふくみステルス機では角度つき尾翼二枚構成が多い。
  4. 同様に同機の空気取り入れ口は境界層分流器がついているが、近年のステルス機はこの課題を空気力学構造で解決しており、分流器は装着しないのが普通だ。また同機の機体寸法は小さいので機内兵装庫のスペースが不足する。エンジン詳細は不明だが、T-50が搭載するジェネラルエレクトリックF404の発展性がないため交換したいと韓国は考えるかもしれない。高出力のGE F414やユーロジェットEJ200を想定するだろう。
  5. F-Xフェーズ3の契約取得社はロッキード・マーティン、ボーイング、ユーロファイターのいずれかになる予定だが、KF-X開発のサポート役も期待されている。各社が設計案を提示しているが、ロッキード・マーティン案はF-16にステルス性能を盛り込む設計でKF-X-Eと類似しつつ若干大型になっている。どちらにせよF-35からは差別化された戦闘機になる。
  6. そこでKF-X-E開発の鍵はロッキード・マーティンの許諾を得ることで、同社はT-50設計で知的所有権を確立していると見られ、契約上もF-16の競合機種とならないよう求める権利を有している。もうひとつ障害になりそうなのが韓国空軍が双発中型戦闘機を希望していることだ。なお、KAIからはKF-X-Eについて当方の情報提供要請に対する回答は届いていない。■


読者からのコメント

SlowManさん


KF-X-EとはKAIが2012年に実施した社内検討の「最悪のケース」のシナリオのひとつだ。そこではKAIが政治経済情勢により「単独で」実行を迫られた場合を想定し、一番簡易な方法として既存機種の改造を選択するというもの。F-35が選定に残ればそのケースになろう。というのはロッキード・マーティンがKFXに一番反対しており、F-35の価格が高いことでKFX予算がなくなるからだ。

ただしこのオプションはまだ検討対象ではなく、韓国空軍および議会は今も双発機案を支持している。ボーイングがKFXの技術パートナーになる可能性は高い。というのは同社のサイレントイーグルがF-X III入札で選定の可能性があるから。

ボーイング提示額は直近の入札で230百万ドルしか予定額を上回っていただけといわれ、次回で落札のため金額を下げてくるという。米空軍のF-35FMS価格は15億ドル超過で、規定上は資格外となる。ユーロファイターの金額は不明だが、関係筋は相当高い金額だったとしており、ボーイングが単独で落札の可能性が高い。