2014年6月19日木曜日

自衛隊の対艦ミサイル前方配備で中国が反応を示す



China Reacts to Japanese Anti-Ship Missile Positioning

USNI News By: Sam LaGrone
Published: June 18, 2014 11:43 AM
Updated: June 18, 2014 11:43 AM

自衛隊が尖閣諸島を視野に入れて地対艦ミサイルを配備視する計画を進めていることに対し、6月16日中国外務省は「断固として効果的な行動」を取る用意があると発表している。

  1. 自衛隊は12式地対艦誘導弾を九州と宮古群島に配備し、尖閣諸島を防衛する計画と地元紙が報道していた。
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  1. 「日本の動きは地域内の安全保障環境に影響を与えかねないもので、日本は真の意図を責任ある形で公表すべきである」と中国外務省報道官華春蛍Hua Chunyingは記者会見で発言。これは今回のミサイル配備が中期防衛計画として昨年12月に発表されたものの一部で特定の国家を意識したものではないとの報道が出たことへの反応。
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  1. 日本側からはその翌日に12式誘導弾配備の動きがあることを Jane’s Defence Weeklyに認めている。

  1. 12式誘導弾の射程は62マイルであり、以前の88式対艦誘導弾(同じく三菱重工製)より性能が向上している。

  1. 12式の特長は中間段階のGPS誘導で地形照合による精度向上と目標識別能力があるいわれる。また再装填時間が短縮され、ライフサイクルコストが下がっているとJane’sは伝えている。■

イラク急変への対応(2)航空戦力でISIS打倒は無理---現役米海軍士官の見解


Opinion: U.S. Air Power Won’t Defeat ISIS

USNI News By: Cmdr. Daniel Dolan
Published: June 17, 2014 7:28 AM
Updated: June 17, 2014 7:29 AM
An F/A-18E Super Hornet prepares to launch from the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77) on June 15, 2014. US Navy Photo
An F/A-18E Super Hornet prepares to launch from the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77) on June 15, 2014. US Navy Photo

イラク・シリア・イスラム国家 Iraq and Syria Islamic State (ISIS)の非正規軍がバグダッド目指し進軍する中、アメリカの政治指導層とくにジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ) Sen. John McCain (R-AZ) とリンゼイ・グラハム上院議員(共、サウスカロライナ) Sen. Lindsey Graham (R-SC)中心に空爆でイラク国内の治安回復を求める声が高まっている。
  1. 航空兵力が効果的かつ政治上甘受できる選択肢としても、空軍力でISISの打倒は不可能だ。
  2. 歴史上も空軍力だけで決定的な結果を得た例がない。あえていえば1999年のNATOによる対セルビア懲罰的攻撃だけが政治目的を達成した唯一の事例と言える。
  3. その事例から今回のイラク・シリア事例への教訓が二つある。まず、ISISに交渉相手となる政治指導部が存在していない。つまり全滅させないとイラク現政権の復権はままならない。二番目に、仮にISISが敗退しても結局は地上兵力がないと平和維持は不可能だ。イラク国連大使ルクマン・フェイリ Lukman Failyは6月16日に「イラクは米国陸上兵力を必要とせず、来てほしくない....イラク国内で兵力を確保する」と語っている。さらにイラクにビン・ラディンのような人物が千人も出現させないためには米国による航空優勢、空軍訓練、援助が必要だと語っている。
  4. ISISは米国が空母打撃群 carrier strike group (CSG) をペルシア湾に移動させても気にもかけていない。もし米国がISISが実効支配する人口稠密地区で攻撃目標を決定すれば、ISISIは住民を人質にするだけだ。誰が悪者なのかを区別することは1万フィートからは難しい。
  5. コソボ事例では村落部に展開したセルビア軍の移動を食い止めるのはF-15には困難な任務だとNATOは思い知らされた。その後セルビア政府は交渉に応じた。そこでISISに話を戻すと、紀元10世紀と同じ世界の到来を期待するテロリスト中心のグループにとって重要な経済インフラ上の目標はどれになるのか。
  6. 事実を無視した主張が識者から出ている。イラク国内に米軍対テロ部隊を駐留させていれば今回の危機は発生しなかったというのである。(反乱分子は米軍を恐れるため、だという) あるいは反乱分子を容易に鎮圧できただろうというのだ。これが本当なら、アフガニスタンで国外から戦闘員が引き続き流入しており反乱分子の士気が高いのはなぜか。また、7年余の米国のイラク作戦で治安維持がたえず問題だったのはなぜか。アフガニスタンでもイラクでも米国は完璧な航空優勢を確保しても決定的な勝利を得ていないのに、なぜ今回は勝利できるのか。
  7. 米軍投入は一定の範囲で理解できるし、攻撃対象の人物や目標を探すべのも妥当な反応といえる。ただし米国やその同盟国はISIS打倒で高価な支出を求められる。最良の選択は反応的に空軍力を使いイラク政府および治安維持部隊に余裕を与え、反攻の時間を作ることではないか。■

2014年6月18日水曜日

イラク情勢急変に対応した米海軍の動き(1)



イラクの国内治安が不安定になってきました。米海軍はそれに対応し艦艇配置を変更しています。今後も情勢変化に対応した動きが出てきそうです。合わせてイランの動きにも注意が必要です。原油価格の上昇の引き金にならないことを祈るばかりです。


U.S. Moves Amphibious Warship Closer to Iraq, Four U.S. Ships in the Gulf

USNI News By: Sam LaGrone
Published: June 16, 2014 9:38 AM
Updated: June 16, 2014 9:38 AM
USS Mesa Verde (LPD-19) is underway in the U.S. 5th Fleet Area of Responsibility. US Navy Photo
USS Mesa Verde (LPD-19) is underway in the U.S. 5th Fleet Area of Responsibility. US Navy Photo

スンニ派のISIS(イラク・シリア・イスラム国家)武装組織の進撃がイラク国で進んでいることへの対応し、米海軍は揚陸艦艇の配置をイラクに近づけているとUSNI Newsへ国防関係者が16日明らかにした。

USSメサヴェルデ(LPD-19)が現在第五艦隊作戦海域にあり、本日中にペルシア湾に入る。同艦は海兵隊員550名とLCAC揚陸用ホーバークラフト2機およびMV-22を5機搭載している。
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同艦は空母USSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)、誘導ミサイル巡洋艦USSフィリピンシー(CG-58)よび誘導ミサイル駆逐艦USSトラクストン(DDG-103)に加わりペルシア湾内4隻目の合衆国艦艇になる。ブッシュおよび他の2艦は先週土曜日に湾内入りしていた。


メサヴェルデはバターン揚陸即応集団Amphibious Ready Group (ARG) の一部を構成しており、他にUSSガンストンホール(LPD-44)およびUSSバターン(LHD-5)で編成された第22海兵隊遠征部隊Marine Expeditionary Unit (MEU)に属する。なおバターンは東地中海に展開中。



2014年6月16日月曜日

☆ ステルス機に有効なE-2Dの新型レーダー


空軍からちっとも華々しいニュースが来ないのと対照的に海軍からは色々と話題がでています。

ステルスの弱点もここまでわかってくるとF-35が第一線化する時点ですでに威力が低減しているかもしれませんね。宣伝してきたロッキードはその時にどうするのでしょうか。わかっているだけに海軍はF-35Cに過大な機体はしていないのでしょう。

ところで、新型UHFレーダーですが、本当にそれだけ高性能なレーダーであれば、AWACSのみならずJ-STAR後継機など用途がいろいろありそうですね。


The U.S. Navy’s Secret Counter-Stealth Weapon Could Be Hiding in Plain Sight

USNI News By: Dave Majumdar
Published: June 9, 2014 9:14 AM
Updated: June 9, 2014 9:15 AM
An E-2D lands on the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN-69). US Navy Photo
An E-2D lands on the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN-69). US Navy Photo

ノースロップ・グラマンE-2D高性能ホークアイは米海軍にとって敵の第五世代戦闘機や巡航ミサイルの脅威に対する秘密兵器になるかもしれない。

  1. そのカギを握るのが同機が搭載する強力なUHFバンドの機械式・電子スキャン式のハイブリッドAN/APY-9レーダー(ロッキード・マーティン製)だ。UHFレーダーはステルス技術への効果的な対抗手段となる。

  1. その一例が国防大学National Defense Universityの合同軍四季報Joint Forces Quarterly 学術誌の2009年第四四半期号に掲載されたアレンド・ウェストラ Arend Westra の論文だ。

  1. 「波長を延ばして共振させることでVHFおよびUHFレーダーでステルス機を探知できる」とウェストラは「レーダー対ステルス」の題で投稿している。

  1. UHFバンドのレーダーの周波数は300MHzから1GHzで波長は10センチメートルから1メートルになる。ステルス機戦闘機では物理特性によりKa、Ku、X、Cバンドのいずれかあるいは一部のSバンドの高周波数で探知困難にしている。だが航空機の尾翼端など構造の寸法が波長の八分の一以下と等しくなると共振現象が発生し、レーダー断面積が変化する。

  1. つまり小型ステルス機ではレーダー吸収塗料を厚さ2フィート以上も施す余裕がないのでステルス性を発揮できる周波数帯を選択し、それ以外はあきらめるしかないということだ。

  1. 幾何学的視覚パターン分散が可能なのは大型ステルス機のみ、ただし機体表面に突出したものがないことが条件で、これを満たすのは現在はノースロップ・グラマンB-2だけだが、将来は長距離攻撃爆撃機が加わる。「戦闘機サイズの機体では発見は免れえない」とある筋がUSNI Newsに解説している。

An E-2D Hawkeye outside the hangar at Naval Air Station Patuxent River on March 26, 2014. US NAvy Photo
An E-2D Hawkeye outside the hangar at Naval Air Station Patuxent River on March 26, 2014. US NAvy Photo

  1. ただしウェストラ他多くが指摘するのがUHFやVHF帯のレーダーにも欠陥があるという点だ。「角度と距離によって解像度が低くなり、従来はUHFやVHFは正確な目標探知や火器管制には使えなかった」(ウェストラ)

  1. ノースロップ・グラマンとロッキード・マーティンはこの欠点を克服したようで、APY-9には高性能電子スキャン能力とともに強力なデジタルコンピュータを組み合わせた処理を可能としている。海軍関係者によるとAPY-9の性能はE-2Cの搭載するレーダーより大幅に向上しているというが海軍はこの点を公にしていない。

  1. 「E-2DのAPY-9レーダーにより早期警戒と状況把握能力はすべての航空目標に有効になり、航空機以外に巡航ミサイルにも有効」と海軍航空システムズ本部はUSNI Newsに電子メールで回答している。「APY-9は新技術を採用しており、1970年代の技術を使うE-2CのAPS-145レーダーよりはるかに高性能」

  1. 海軍はE-2Dの役割は海軍統合火器管制防空体制 Naval Integrated Fire Control-Counter Air (NIFC-CA)(ニフッカアと発音してください) の中央で敵の航空機及びミサイルの脅威に対抗することとしており、マイク・マナジル少将(航空戦部長)はこの概念を昨年12月にUSNI Newsに明らかにしている。

  1. NIFC-CA構想の「From the Air」(FTA)仕様によりAPY-9 はセンサーとしてレイセオンAIM-120 AMRAAM 空対空ミサイルに目標指示を与える。これはLink-16データリンクを介しボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットに伝えられる。

  1. それ以外にAPY-9はスタンダードSM-6ミサイルを誘導するセンサーにもなる。同ミサイルはイージス巡洋艦・駆逐艦からSPY-1レーダーの有効限界より先にある目標に対してNIFC-CAの「From the Sea」(FTS)仕様の協調戦闘能力 Cooperative Engagement Capability のデータリンクで伝えられる。これまでのところNIFC-CAのミサイル実弾試射は全数成功している。

  1. E-2D初の飛行隊VAW-125が作戦能力を獲得する今年10月にNIFC-CAの実用化も始まる。

  1. APY-9は独特の設計となっている。NAVAIRとノースロップは同レーダーはAPS-145の「2世代先」だと自慢しているが、外観上は機械式スキャンのAN/APS-145と同じでも、内部は全く別となっている。

  1. APY-9はE-2Dのレドーム内部で回転し、360度を監視できるが、乗員によりアンテナの回転速度は調整可能で、対象方面に焦点を合わせることができる。さらに18チャンネルのパッシブ式フェイズドアレイADS-18アンテナにはレーダービームを電子的に制御可能。また電子スキャン式の敵味方識別能力もある。

  1. 送受信部のハードウェアは胴体内部に装着し、アンテナとは高出力の高周波送信線と高速回転カプラーで接続する。その意味でこれはアクティブ電子スキャンアレイ方式のレーダーではない。

  1. APY-9は高性能空中早期警戒監視Advanced Airborne Early Warning Surveillance、高性能広域スキャンEnhanced Sector Scan、および高性能追跡Enhanced Tracking Sectorの3モードへ切り替え可能である。

  1. このうち高性能空中早期警戒監視モードが通常の用途で、360度にわたり同時に空中と地上を対象に、レーダー断面積が小さい目標を長距離にわたり捕捉することが可能。このモードでレーダーは10秒で1回転する。

  1. 高性能広域スキャンモードはこれまでの機械式スキャンと操作可能な電子スキャン技術を一緒にして、双方のいいところを取り、それぞれの方法の欠点を埋めるものだ。アンテナは機械式に回転するが、操作員は任意の方角を選択し、その部分でアンテナ回転を減速し、詳細情報を得ることができる。

  1. 高性能追跡モードは完全な電子スキャン方式でアンテナは安定化されるか特定の目標追跡にされる。高精度の目標追跡ができ、アンテナを止めて完全に電子式にスキャンすれば特定の地区での追尾が可能だ。ステルス機にはこのモードが効果を発揮する。

  1. APY-9の有効距離は300海里以上だが通常運用高度が25,000フィートというE-2Dの機体性能で制約を受ける。

  1. 海軍はE-2Dを75機導入する予定で2020年代に艦隊に配備が完了する。■




2014年6月15日日曜日

U-2全廃してもグローバルホークに19億ドル改修しないと使いものにならないのか


予算が潤沢であればミッションごとに複数の機種を維持できたのですが、昨今の予算環境では贅沢なことは言えなくなっています。しかし海軍と同様に政治が機種選択にいらぬ口を出してくると空軍も大変ですね。ISRは大変重要な分野なので、超高度を飛行できないグローバルホークを残し、U-2を全廃することで禍根を残さないことを祈るばかりです。

Global Hawk Needs $1.9 BN in Upgrades Before U-2 Can Retire


UAS Vision, 11 June 2014

RQ-4_Global_Hawk_Block_40

ノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク無人偵察機が現行のロッキードU-2の全ミッションを引き継ぐには総額19億ドルの性能改修が必要と判明した。米空軍はU-2全機を退役させて予算節約を期待している。

「高高度ISR用には一機種しか維持できない」とロバート・オットー中将Lieutenant General Robert Otto(ISR担当副参謀総長)は語る。「もしグローバルホーク改修予算がないと各現場司令官に同機の利用を理解してもらえない」と同中将は空軍協会のイベントで話している。

改修内容は地上局以外に通信・画像送信能力、また機体に搭載された気象レーダーも含む、と同中将は話している。米空軍によるとすべての作業を完了するには6年かかり、費用は19億ドルだという。

空軍は今年早々に2012年に決定していたグローバルホークのブロック30機処分方針を撤回し、逆にU-2を全廃しようとしている。

わずか二年前には米空軍はグローバルホークの運用費用が高いとしていたが、その時点で同機をモスボール保存する案には議会の強い拒否反応が示されていた。

オバマ政権の2014年度予算要求では国防総省からRQ-4の運航コストの削減ができたとの報告があり、同機を温存し、U-2を全廃したいとしている。チャック・ヘイゲル国防長官によればこの決定は僅差で決まったという。■



2014年6月14日土曜日

今週は東シナ海上空で緊張が高まっています 今度は中国が日本を非難



Su-27が自衛隊機に嫌がらせをした翌日に中国は航空自衛隊F-15がTu-154に接近し安全を乱したと主張しているようです。日本政府は別事案の画像だと言っていますが。

米海軍協会はロイターや新華社報道を引用し、中国、日本のいずれの主張を淡々と伝えていますが、冷戦時を想起させるような事態にあきれているのかもしれませんね。ビデオを見ましたが、接近飛行は通常のオペレーションで、高速で追い越し飛行をしたとは大違いなのですが。そのそもTu-154が民間機ではなかったのではと思われますが、こうなれば自衛隊も画像を公開してはいかがでしょうか。ともあれ、偶発事故につながらないことを祈るばかりです。

China and Japan Trade Barbs Over ‘Shameless’ Fighter Buzz

USNI News By: Sam LaGrone
Published: June 13, 2014 11:04 AM
Updated: June 13, 2014 1:46 PM
A Japanese F-15J allegedly buzzing a Chinese Tu-154 on Wednesday.
A Japanese F-15J allegedly buzzing a Chinese Tu-154 on Wednesday.

中国が日本に対し「挑発的言動」を止める要求を出している。これは今秋水曜日に東シナ海上空で航空自衛隊F-15Jが中国のツポレフTu-154(NATO呼称ケアレス)に接近飛行したと中国が主張する事件への対応。中国が発表したビデオ映像ではF-15Jがケアレスの翼端近くを飛行しているのが見える。

「日本の戦闘機が中国機の30メートルに接近し、中国機の飛行に危険を与えたとの主張は真実ではないと信じる」と管官房長官は12日に報道陣に発言している。「ビデオに写っている機体は違っている」

日本政府からは中国に画像公開の中止を申し入れたが、中国は日本が「国際社会を欺瞞しようとしている」と反論している。

「事実と照らし合わせると日本側の主張は恥知らずなたわごとであり理屈が通らない。日本に挑発的行為・言動を直ちに中止するよう求める」と中国外務省報道官華 春瑩 Hua Chunying が13日記者会見で発言し新華社が配信している。

中国国防省はウェブサイトで「中国パイロットは冷静に基準通り規律正しく行動し、日本パイロットは危険な飛行をし、明らかに挑発的だった」と伝えている。

これに対し日本からは自衛隊機は前日に中国空軍のスホイSu-27フランカーが自衛隊機に接近したことに対応したものと説明。今回の事案は国境を巡り対立する両国の最新事件である。

自衛隊の緊急発進回数は2013年度は415回で前年度比38%増とロイターが伝える。■
 


先が見えない国防予算編成、EA-18グラウラー、ジョージ・ワシントン、MH-60の行方は?


Reduced Growler Buy Could Force Boeing to Restructure Production Line

USNI News By: Dave Majumdar and Sam LaGrone
Published: June 13, 2014 3:53 PM
Updated: June 13, 2014 3:53 PM

もし議会がEA-18グラウラー電子攻撃機22機追加調達の予算を認めないと、米海軍とボーイングは同機の生産継続で悩むことになりそうだ。

「上院軍事委員会が生産全体をどう考えるか次第ですが、すでにAP(先行調達)がありますので、ボーイングとは良く話し合うことになるでしょう」と海軍次官補ショーン・スタックリーSean Stackley(研究開発調達担当)はペンタゴンで13日報道陣に発言している。「あってはいけないのは追加費用で生産を人為的に引き伸ばすことですが、既存契約に効率的に費用を追加できれば利害上は最上の選択です」

ボーイングは追加22機のグラウラー発注がなければ生産ラインの維持ができないと訴えていた。

下院歳出委員会は2015年度歳出案を承認し、22機中のうち12機分のみ10.1億ドルでの調達を認めている。海軍は追加調達機で既存の電子攻撃飛行隊を各7機編成にしたいと期待していた。

一方でシコルスキーMH-60S/Rの運命はUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)の行方とからみあっている。ペンタゴンは同空母を2016年度予算による燃料交換を実施せず退役させる提案を出しており、これは議会による予算強制削減措置が継続した場合には、という条件だった。これに対し、議会からはジョージ・ワシントンの退役には猛烈な反対が表明されている。

「海軍省は同艦を16年度予算に一旦計上した上で、最終決定を議会に任せたいと考えています」(スタックリー)「不確実な条件を考えると、H-60生産ラインを維持したいのですが、予算成立までは道のりが長いです」

ペンタゴンの2015年度予算要求にはMH-60の29機調達が入っており、同機の5ヵ年調達契約は2016年までとなっている。ジョージ・ワシントン退役が承認され、関連する航空隊兵力も同時に削減すれば海軍はその翌年にヘリコプター追加調達が不要となるというわけだ。■


2014年6月12日木曜日

A-10全廃を認めた下院歳出委員会の決断


House Appropriators Easily Kill Measure to Save A-10 Fleet

Defense News, Jun. 10, 2014 - 11:38AM   |  
By JOHN T. BENNETT


The House Appropriations Committee has voted down a proposal to keep the US Air Force's fleet of A-10 aircraft flying. (Staff Sgt. Aaron Allmon / Air Force)

下院歳出員会が10日、空軍のA-10温存を狙った修正案を葬り、議会ではじめて空軍の予算削減対策を支持した。また上下両院の軍事委員会が共に予算を流用してA-10の維持を求める動きに反することになった。
A-10維持を求めたジャック・キングストン議員 Rep. Jack Kingston (共、ジョージア州)の修正案は23対13で否決。修正案は空軍の運用補修勘定から339.3百万ドルを確保しA-10を運用維持するとしていた。
空軍は老朽化進む同機を退役させて予算を捻出する意向だったが、同議員他は同機にまさる近接航空支援機はないと修正案支持を求めた。.
歳出委員会国防小委員会の議長ロドニー・フレリングイセン Rep. Rodney Frelinghuysen(共、ニュージャージー)からは歳出委員会が同修正案を可決すれば、空軍からはB-2やF-16の機数削減あるいは全廃の提案が出ると警告していた。フレリングイセンはA-10退役で生まれる原資は数十億ドル規模という。
国防小委員会の有力議員ピート・ヴィスクロスキィ Rep. Pete Visclosky (民、インディアナ)によると、もし突然予算が増えてもA-10は維持すべき最優先機種ではないと空軍上層部が発言しているという。結局、修正案は予算管理上は不健全と判断されたようだ。
だがキングストンの一派はA-10の時間あたり費用は近接航空支援を実施できる他機種よりも低いと反論している。「予算を節約しようというのに、一番低費用で運用できる機種をなぜ全廃するのか」というのがキングストンの主張だ。またイラクとアフガニスタンでの出撃実績を引用して、同機が過去の遺物だと切り捨てるのはおかしい、と主張。■

2014年6月11日水曜日

ペンタゴン報告書に見る 米国が注目している中国の軍事装備はこれ


Chinese Weapons That Worry the Pentagon

USNI News By: Sam LaGrone and Dave Majumdar
Published: June 9, 2014 11:24 AM
Updated: June 9, 2014 11:24 AM


ペンタゴンが議会に提出した2014年版の中華人民共和国の軍事力についての報告書が公表された。同報告書は2010年から提出が義務付けられており、中国の軍事技術上の進展や人民解放軍(PLA)の各軍による訓練状況や使用技術を包括している。
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同報告書を見れば国防総省がどこに懸念を感じているかがわかる。そこで同報告書で取り上げている中国の軍事装備について解説する。


1.空母
China's carrier Liaoning, PLAN Photo
China’s carrier Liaoning, PLAN Photo

この10年間で中国初の航空母艦遼寧ほど米国で関心を集めた軍事装備はなかった。排水量55千トンの同艦はウクライナで建造された旧ソ連時代の艦艇であり、空母運用技術の習得が主要任務だ。

「同艦は局所的とはいえ広範囲に運用され、艦上訓練、艦載機運用、空母部隊編成の習得に今後3年ないし4年使われるだろう。昨年11月には東シナ海および南シナ海で作戦運用を行っており、今後は必要に応じ別種ミッションにも投入されるだろう」と報告書はまとめている。

遼寧は空母国産化に先立つ訓練艦とみられる。「中国初の国産空母は2020年代初めには実用化されるだろう。空母戦闘群を編成すれば中国海軍PLANは広範囲の制海任務および武力投射の作戦実施が可能となり、長距離作戦能力も向上する」

ただ軍事的な見地での同艦の有用性にはまだ議論の余地がある。.「遼寧は海軍力上の脅威というよりも政治発言の文脈の存在であり、合衆国や同盟国に与える作戦上の危険はわずかであり、地域内の小国各国にとっても同じだ」との見方が海軍専門家にある。


2.ステルス戦闘機
Changes between prototypes of China's stealth fighter prototypes.
Changes between prototypes of China’s stealth fighter prototypes.

双発の成都J-20第五世代ステルス戦闘機の開発が続いており、ペンタゴン報告書では同機が戦力化するのは2018年以降だという。同機は多任務機として報告書は扱っており、ロッキード・マーティンF-22 ラプターと同様の制空戦闘機ではないという。報告書では中国の課題は多く、特に高性能ジェットエンジンが難題だとする。

並行して小型双発の瀋陽J-31第五世代戦闘機の開発も進めており、この機体はロッキードF-35に酷似している。報告書では人民解放軍のどの空軍あるいは海軍が同機を実際に運用するか不明とし、輸出の可能性も不明としている。


3.新型艦載機Flying Shark

An undated photo of Chinese J-15 fighter in tests aboard Liaoning. PLAN Photo
An undated photo of Chinese J-15 fighter in tests aboard Liaoning. PLAN Photo

中国海軍は空母運用で新型瀋陽J-15フライングシャークを投入している。同機はスホイSu-33フランカーを勝手に改修したもの。報告書によればPLANパイロットは武装を満載して同機を遼寧から飛行させているという。「J-15は陸上運用で戦闘半径が1,200Kmだが、空母運用では武装搭載量、飛行距離が制限を受けるのは、スキージャンプ式発艦では発艦速度が低いため」としている。


4.大型機各種
Xian Y-20 airlifter. CCTV Screengrab
Xian Y-20 airlifter. CCTV Screengrab

西安Y-20大型戦略輸送機の開発が続いている。同機は昨年初頭に初飛行している。「Y-20には空中早期警戒管制システム (AWACS) や空中給油機としての用途も加えられるだろう」と報告書は伝えている。

旧式Tu-16バジャーから派生した西安H-6爆撃機も近代化改装を受けており、米空母部隊と太平洋各地の米軍基地にとっては脅威となっている。改装したH-6Gのハードポイントでは対艦巡航ミサイル4発を搭載できる。さらに新しいH-6Kではエンジンを新型ターボファンに換装しており、対艦ミサイルあるいは陸上攻撃ミサイル6発を搭載できる。「H-6を近代化して巡航ミサイル母機にすることでPLA空軍に長距離スタンドオフ攻撃能力が精密誘導弾とともに備わることになる」(同報告書)


5.原子力潜水艦
An undated photo of a Jin-class Type 94 nuclear ballistic missile submarine (SSBN). PLAN Photo
An undated photo of a Jin-class Type 94 nuclear ballistic missile submarine (SSBN). PLAN Photo

報告書では今年中に中国は弾道ミサイル原潜によるパトロール航海を開始するとしている。中国は実戦力となる原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)を三隻保有している。

新型晋級ミサイル原潜(タイプ94、11千トン)は2000年代から開発が始まり、海洋配備型の抑止力を初めて中国にもたらす。「晋級SSBN三隻が5隻まで増加してから次世代のSSBN(タイプ96)が2020年代に登場するだろう」
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5隻から6隻まで勢力が増えれば中国の核抑止潜水艦部隊はフランス可英国なみになり、これが数年で実現すると専門家は見ている。

旧型タイプ92夏級原潜は搭載するJL-1弾道ミサイルの性能が低いこともあり退役するだろう。

6.JL-2
jl2

晋級潜水艦と一体の関係がJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルでJL-1よりはるかに性能が高い。

推定射程距離は7,400 kmとみられ、晋級にJL-2を搭載することでPLANは初めて実戦的な核抑止力を手に入れる、と報告書は分析している。

この射程距離はアラスカないし米西海岸に到達できる規模だと海軍情報部(ONI)が今年早々に報告している。

さらに未確認筋によるとJL-2は三段ミサイルで各90キロトンの弾頭3ないし6、あるいは250から1,000キロトン弾頭1を搭載できるという。


7.防空体制
Russian S-400 SAM system.
Russian S-400 SAM system.

中国は統合防空システムをさらにステルス機や無人機対策を念頭に高度化しつつあると報告書は伝える。ロシア製SA-20(S-300 PMU1/PMU2)および国産HQ-9がその中でも注目されるが、さらに高性能のSA-X-21b(S-400)の受領は2017年以降になると報告書は記述している。並行して国産HQ-19の開発も進んでおり、S-400と同程度の性能だという。
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早期警戒システムも強化しており、空警 Konging-2000が追加生産されている。同機は長距離をカバーするとともに低空侵入機も発見できるので目標捕捉が容易になると報告書は伝える。また、偵察技術でも赤外線、複合スペクトラム、パルスドップラー、フェイズドアレイ、パッシブ探知で進歩しているという。早期警戒システムは防空体制に統合されている。


8.誘導ミサイル駆逐艦

The first of the People's Army Liberation Navy Type 052D Luyang III destroyer. PLAN Photo
The first of the People’s Army Liberation Navy Type 052D Luyang III destroyer. PLAN Photo
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米海軍や西側艦艇と見間違うばかりの水上艦艇を増強している。タイプー052D旅洋III級誘導ミサイル駆逐艦は中国の水上艦の技術を集めている。「一号艦の就役は2014年でPLANで最初に多目的垂直発射システムを取り入れ、巡航ミサイル、対空ミサイル、対潜水艦ミサイルを発射できるだろう。同型艦は12隻になり、旧式旅大駆逐艦の後継艦となる」

ただし報告書では同艦のレーダーの記述をしていない。タイプ346 AESAレーダーとタイプ518 Lバンドレーダーを搭載し、CPMIEC HQ-9B艦対空ミサイル防衛システムと一体化いており、米軍の第五世代ステルス機の探知捕捉が可能となるかもしれない。


9.中距離弾道ミサイル
DF-21D
DF-21D

この数年は中国のミサイルと言えばDF-21D通称空母キラーミサイルの話題一色だ。「数は少ないが通常弾頭搭載の中距離弾道ミサイルの配備が進んでおり、CSS-5 Mod 5(DF-21D)対艦弾道ミサイル(ASBM)もその一部だ」と報告書は伝えている。

「CSS-5 Mod 5 で人民解放軍に大型艦船を攻撃する能力が備わり、西太平洋では航空母艦も標的にできる。CSS-5 Mod 5の射程距離は1,500 km超で制御可能な弾頭を備える」

米関係者は同ミサイルをすでに作戦段階とみているが、まだ一度も発射が確認されておらず、中国が有効な情報収取・監視・偵察(ISR)手段を開発して同ミサイルを移動し続ける空母に誘導できる能力があるとの証拠はない。

また中距離ミサイル開発も進められており、台湾含む地域内がその標的だ。■



2014年6月10日火曜日

ボーイング防衛部門トップに聞く 差別化を目指すボーイング


Face to Face With Boeing's Defense, Space & Security Head

aviationweek.com May 28, 2014 | Aviation Week & Space Technology

クリス・チャドウィックはボーイング国防宇宙保安 Boeing Defense, Space & Security (BDS)の社長兼CEOだ。彼の眼には国防宇宙市場の予算環境が悪化する中で多くの同業他社が旧態依然に写る。そこで同社の戦略は他社から一歩抜け出し、本人がいうところの「本当の差別化」をすることなのだという。Aviation Week編集者に本人が語った。
Chris Chadwick
President/CEO of Boeing Defense, Space & Security (BDS)
Age: 53
Education: B.S., Iowa State University; M.B.A., Maryville University
Career: On Dec. 31, 2013, the same day his former boss Dennis Muilenburg was promoted to COO of the Boeing Co., Chadwick was named to head BDS. Prior to this, he had been president of Boeing Military Aircraft.

AW&ST: 他社の一歩先に行くために研究開発投資を増やすのか。群れから抜け出るためにはボーイングはもっと多くの資金を投入するのか。
チャドウィック: 当社はかねてより国防関連を重視し、ここ数年は投資規模が他社より大きくなっている。この市場では強制予算削減があるが、世界的なバランス再編のニーズがあり、いまこそ先に進むべき時だと判断している。新規案件が少なくなっており、足元を固めるべきで、今後もこの姿勢を守る。
差別化というが、具体的にどうするのか。たとえば、海軍の無人空母運用監視偵察攻撃機 (Uclass) の受注をめざしているが。.
Uclassについては多くは語れない。これまでは部門別に自分たちだけのことを考える傾向になりがちだったが、ジム・マクナーニーの提唱するOne Boeingでチームでよい結果が得られるようになってきた。つまり社内文化の障壁がなくなって、社内の透明度が上がってきたことで技術開発、製造技術開発、投資活動の効果がUclassやT-X練習機開発に出てきた。よく知られるコスト曲線の影響を受けない考え方に切り替わっている。
コスト曲線を断ち切るにはいろいろ方法があり、ひとつは設計開発の考え方だ。成長の方向性を組み込んで正しいコストで進める正しい能力のことだ。製造現場では新技術の応用だ。供給メーカーの側ではコスト曲線の先を行き一日目から切れ目なしに共同作業することだ。
KC-46A開発も半ば過ぎたが、ボーイングが相当の資金を投入して開発を進めているのは公然の秘密。ボーイングにとって同機開発を続ける意義は何か。また空軍、会計検査院(GAO)、ボーイングそれぞれ異なる見積もりを出しているが、どう折り合いをつけるのか。
当社は2017年に18機を引き渡す約束を履行する。変更はない。コストのくいちがいでは当社は顧客と話しており、顧客としてコストを独自に検討するのは当然だ。工程一日目からコスト、日程を共に守っている。これが当社の姿勢だ。初飛行も第3四半期予定で、ボーイングとしての見積もりには変更がない。
同機では海外販売も視野に入れているのか。ファーンボロ航空ショーなどを利用して?
検査院の最新報告を見ても給油機開発の現状に好意的な評価が出ているし、国際販売の見通しも有望だ。そこで海外営業に焦点を当てている。そのためにも中心となる顧客に対して開発が順調であると示す必要がある。One Boeingが給油機ではうまく働いている。P-8でも効率よく進められた。ファーンボロ―で大々的に売り出すかどうかは言えないが、国際市場には焦点を当てているのは事実。何と言っても市場規模が大きいから。

空軍のT-X訓練機案件ではボーイング案は他社とどうちがっているのか、他社が完全新型機ではなく既存機種を利用する中でどう対応するつもりなのか。
T-X次世代空軍向け練習機では絶対的な差を見せられると固く信じている。提携先のサーブは他社と設計開発の考え方が違っている。そこで当社と考えをぶつけあって、低予算でも多くが求めらえる環境で優れた解決策をみつけることができた。
当社の設計案は米空軍の要求内容を忠実に実現し、ニーズにこたえるものだが、他社はちがう。他社製品は他国空軍向けの内容だ。多少改修し、フライトテストからはじめるつもりだ。ただ性能はそれではたりないので拡張したり、一部性能は割愛すればコストに影響が出る。コストの点では当社案が優位だ。
競争相手が存在しない時代は終わった米国に契約から配備まで20年もかかる案件を手掛ける余裕があるだろうか。.
我々業界にあるものは素早く動く方法を見つけねばならない。スムーズかつ効率よく安価に次世代技術を設計に取り入れる方法をどうやって見つけるか。しかも今現在ではなく、5年後10年後の技術を今どうやって確保するか。iPhoneやアンドロイド携帯を見れば、アップグレードを素早く行うことがカギだとわかる。これは言うのは簡単だが、当社の関心事は技術陣にある。長い目で見て当社の差別化はここにある。
社長職で引き継いだ国防関連事業にはミサイル防衛も入っている。ボーイングは地上配備中間コース防衛システムGround-based Midcourse Defense system (GMD)の費用を下げたが、要求性能水準は引き上げられている。同システムでは2008年以降は目標捕捉成功の実績がないまま、どうやって同ミサイル開発を立て直すのか。
GMDに関しては顧客と一緒になって順調に作業を続けており、今後のテストを準備中だ。GMDについて話ができる範囲が狭いが、一度後戻りしてシステムを見直し、リスクとチャンスを把握して次回テストを成功させる。
ボーイングにとって戦闘機開発を続ける意義を見出すためには何が必要になるか。ペンタゴンには独占企業の出現を食い止める意識はあまりないようだ。米政府は戦闘機メーカー二社体制維持を意識的に進める必要があると思うか。
国防総省高官とは具体的に国際市場でF-15およびF-18を公正に販売する課題を相談したことがある。同省も公正な競争の必要性を認めてくれた。F-15は2018年までの販売が確実で、まだ潜在的な需要があるとみている。F-18は現時点では2016年までだが、軍、国防長官、議会で今後のF-18調達予算の話が進んでおり、当社は楽観視している。
それ以外に戦闘機畑で培った技術をUclassや長距離攻撃機、さらにある程度までT-Xに応用できるので感情が高ぶっているところ。各機はまもなく現れる。当社の目標はF-15とF-18の威力を可能な限り維持することと、これから出る次世代機各種案件で出来るだけ多く受注に成功することだ。各案件はうまく統合されていくと思う。
イノベーション効果について口にしていたが、反対に機体販売は最近下降気味ではないか。T-X受注が不調に終われば、国防総省向け機体メーカーとしての将来に疑問がつくのではないか。その場合、企業活動をシステム統合に振り向けるのか。
同じ質問は5年前にも出ている。企業収入の観点からは減少傾向は終わっている。34年前からは二けたのパーセントの増加になっている。そこで長距離攻撃機とT-Xの受注に重点を移している。両案件で当社が有利になっていると強気にみている。
ボーイングは無人機分野では高性能機種で大きな売り上げを実現していないが、これがUclassにどんな影響を与えるか。
ノースロップ・グラマンが一歩先にあり、ロッキード・マーティンが堅調といいたいのだろう。ボーイングにも機会があった。無人機市場はこの数年で大きく様変わりしている。無人機は大きい市場だが、万能ではないし、実績も多くない。さらに今後20年から40年先を見通すと、無人機が国内外の軍用機で主流にならないと見るのは困難だ。そこで当社はひとつずつ先に進めていく方針だ。■


2014年6月9日月曜日

海軍向けF-35Cも開発は順調とはいうものの 


初期作戦能力獲得を急ぐ海兵隊、それに次ぐ空軍と一歩離れて米海軍はゆっくりとF-35Cの実戦化をめざしているようです。ただし、海軍の作戦構想ではF-35をセンサー機材として運用するとみられ、実はJSFに対する期待が低いのかもしれませんね。

Navy Joint Strike Fighter Set for October Tests at Sea

USNI NEWS IBy: Dave Majumdar
Published: June 3, 2014 10:56 AM
Updated: June 3, 2014 10:56 AM
An F-35C Lightning II aircraft makes an arrested landing during a test flight at Naval Air Station Patuxent River, Md. on May 7, 2014. US Navy Photo
An F-35C Lightning II aircraft makes an arrested landing during a test flight at Naval Air Station Patuxent River, Md. on May 7, 2014. US Navy Photo

ロッキード・マーテインF-35C空母運用型のJSF開発は着実に進展しており、今年10月のUSSニミッツ(CVN-68)艦上での公試は予定通り実施の見込みだと同社は説明している。

ロッキードによれば公試はDT-1と呼ばれ、10月12日から11月3日までの予定だという。ただしその前にまだ解決すべき課題が多く残っている。

最大の課題は着陸装置および機体の構造強度で、各種の条件で空母着艦を想定したフライトテストが行われている。

テストはパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)に設置したカタパルトと着艦装置を使って行われているが、海上の空母とまったく同じ条件ではない。

直近では5月29日にC型が毎秒21.4フィートと言う最大降下率で安全に着艦できる能力を実証している。

そこでDT-1でのポイントは発艦、着艦の実用上の手順を確立することにある。DT-1が成功すれば、艦上でもっと難易度の高い課題を試すことになる。その際にはF-35Bが行った海上公試(USSワスプ LHD-1)が参考になるだろう。

着艦、発艦以外にC型の性能限界を徐々に引き上げる努力が続いている。C型にブロック2Bソフトウェアが導入されると、マッハ1.2,7.5G、高度40千フィート、迎角50度の飛行が可能となる他、基本兵装としてAIM-120AMRAAM、共用直接攻撃弾やレーザー誘導爆弾の搭載が許される。

海軍の予定では初期作戦能力獲得を2018年8月としており、ブロック3F搭載を前提としている。その際には兵装を完全搭載し、データリンクとセンサーを統合したうえで、設計性能を完全に実現させる。つまり、上昇限度50千フィート、700ノット、マッハ1.6、迎角50度、7.5Gである。■