2014年12月19日金曜日

★ レーダー飛行船でワシントンDCの空を守る実証が開始される




Radar ‘Blimps’ to Monitor Washington-area Skies

by BRYANT JORDAN on DECEMBER 16, 2014
Aerostat Balloon
レーダー探知用の飛行船一号機が今週金曜日にメリーランド州アバディーン試験場Aberdeen Proving Grounds から離陸し陸軍の対空監視機能を北米防空司令部North American Aerospace Defense Command (NORAD)に統合出来るかを試す三年間にわたる実証が開始される。
長さ80フィートレーダー搭載した飛行船は高度1万フィートで滞空し水平線より向こうの標的を探知可能で、敵のミサイル航空機や無人機を想定する。
二号機は地上固定式で自律的に飛行できないので気球の扱いだが、1月末に離陸する予定。
一機はVHFレーダーを搭載し、500キロメートル範囲を走査できるとレイセオンと陸軍が共同で設置した合同陸上攻撃巡航ミサイル防衛用上空センサーシステムJoint Land Attack Cruise Missile Defense Elevated Netted Sensor System, JLENSがDefense Techに今年6月に説明している。.
同レーダーは360度走査ができ、二号機に標的等の情報を伝えて、二号機がXバンドレーダーで正確に捕捉する構想だ。
NORADは今回の試行で得られるデータからJLENSがNORADの既存システムと親和性があるかを確認する。
今回の試みからペンタゴンの防空体制では無人機の脅威を重視していると見るのがDefenseOneの技術分野編集者ピーター・タッカーだ。
最近カメラ搭載した無人機がニアミスを起こした事案があり、連邦政府からは無人機をワシントンDC上空で飛行させないよう警告が出ている。
大型飛行船というとヒンデンブルグ号のニュージャージーでの炎上墜落を想起する向きがあるがJLENSに充填したヘリウムと空気は不活性ガスで燃えない、とNORADは説明。.
個人情報保護を気にする向きにはNORAD発表では監視装置を搭載していない言うのを聞けば安心できるだろう。「JLENS飛行船には住民識別用のカメラは搭載していない」■


2014年12月18日木曜日

★F-35整備拠点に日本、オーストラリアが正式に選定されました



なんとなく利益誘導のばらまきとも見えるのですが、業務量はそんなに多くないようですね。むしろお隣の韓国がこの選定に不満があるようです。シンガポールはオーストラリアに頼ることになるのでしょうか。FACO設置で(小牧になるのでしょう)ボグデン中将の微妙な言い回しからすると日本側がなかなか思い通りに動いていないと見ているのでしょうね。

Japan, Australia Selected for Pacific F-35 Sustainment

Dec. 17, 2014 - 03:23PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments

WASHINGTON — 日本とオーストラリアを太平洋地区でのF-35機体・エンジンの重整備拠点に選定したとペンタゴンのF-35共同開発室が17日に発表した。
これにより日本とオーストラリアが太平洋の南北でそれぞれ重整備を受け持つことになる。エンジン重整備をオーストラリアは2018年に開始予定で、日本もその3年ないし5年後に追随する。重整備とは機体の修理・更新を意味し、機体隔壁や主翼の整備も含む。
オーストラリアは太平洋では唯一のF-35共同開発国であり、100機導入予定。日本と韓国は有償軍事援助で同機導入をめざし、それぞれ42機40機調達予定。
日本はこれとは別に最終組み立て点検施設 (FACO) の設置でも合意いているが、詳細は決まっていないと開発室長クリスボグデン中将は述べている。
立地上の制約から日本施設は上下に延ばすことで土地を有効利用することになるだろうとし、広い敷地に立地するイタリアやテキサスの既存施設と異なると同中将は述べる。
今回の太平洋地区での選定結果は先週のヨーロッパ地区の立地選定結果発表に次ぐもの。
イタリアのFACOはヨーロッパ地区の重整備を実施するが、イタリアが需要に応えられない場合は英国が業務を受託する可能性がある。トルコにはヨーロッパ初のエンジン重整備施設が設置され、その後ノルウェーやオランダが続く。
ヨーロッパではイタリアが需要を一手に引き受けるが、ペンタゴンが太平洋で施設をふたつにしたのは、あくまでも地理的な距離感が理由とする。またボグデン中将は第一期分として国際開発協力国や導入国への施設設置を決めたと強調。
各施設での業務量は未定だが開発室によればイタリアでは2018年から2022年の間に40機から50機分程度と見ており、工数は15万時間相当、金額換算で30から35百万ドル相当だという。
エンジンメーカーのプラット&ホイットニーから日本・オーストラリア両国へ祝辞が送られており、両国と「アジア太平洋地区でF135エンジンのトップクラスの補給処を立ち上げる」ことを期待するとしている。■


2014年12月17日水曜日

台湾: 潜水艦国産化へ動く

今年は潜水艦を巡る話題が目立ちましたね。台湾でも真剣に潜水艦の増強を検討しているところ、米国に頼らず国産化を進めざるを得ない状況にるようです。なお、台湾を国と書くと反対の向きもありましょうが、現に主権を維持し領土保全をしているので国問って何が悪いのでしょうかね。

Taiwan Pressing On With Local Sub Build

Dec. 16, 2014 - 02:56PM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments
Boat Options: Taiwan is considering basing its next submarine on the Dutch design used for the Hai Lung sub.
台湾は次期潜水艦でオランダ原設計の海龍型を原型に国産化を検討中。(Wendell Minnick)
TAIPEI —台湾は米国政府が2001年に約束したディーゼル潜水艦8隻の売却を当てにせず独自に潜水艦建造を進めると同国海軍関係者が明らかにしている。
2001年の取り決めが実現いていない背景には米国では通常型攻撃潜水艦の建造もはやおこなわれていないこともある。米国から供給が不可能なら、「国内建造に切り替える用意ある」と台湾海軍関係者は述べている。
台湾海軍では米国による有償以外軍事援助を想定しているが、米国務省はコメントを回避している
代替策として台湾は国産潜水艦建造事業 Indigenous Defense Submarine (IDS)を立ち上げており、仮に米国が売却できない場合でもIDSへ米国企業の参画可能だと上記海軍関係者は述べる。
上記海軍関係者の発言は台湾国防部副部長Kao Tien-chung が12月0日に立法部で行った証言で台湾国産潜水艦は2024年までに完成との見通しを示したことへの対応だ。
2013年から台湾はIDS関連のセミナーを連続して開催しており、オーストラリア米国、イタリア、フランス以外に国名不詳のヨーロッパより参加があり、台湾南部高雄の造船所CSBCの見学会では、IDS実施の場合にどこまで技術支援が必要かを判断する機会になった。
考えられる障害は中国政府による反対だが、各国企業は台湾向け契約の履行に前向きだ。
AMIインターナショナルで海軍関係のコンサルタントを務めるガイスティットGuy Stitt は台湾潜水艦国産化では米国の視点と中国の影響から自由な日本、韓国、インドの視点で区別する必要があるという。
米国には台湾への技術供与に抵抗があるという。台湾国内に中国工作員が多数暗躍しており、台湾に与えた技術が中国の軍備増強につながるとの懸念が残るというのだ。
韓国と日本はそれぞれ領土を巡り中国の強硬な態度を経験済みで、対中貿易依存度を徐々に引き下げている。「そのため一部構成部品の提供が実現するだろう。インドも国産化事業に理解を示すだろうが、提供可能な技術要素が少ない。、
これに対して海軍専門家のボブ・ニュージェントBob Nugent はIDSの実現には二種類の提携先国が必要だという。ひとつは設計建造にかかわる国、もうひとつは戦闘システム等の搭載で協力できる国だ。
ニュージェントによれば台湾には「暗黙知だが絶対必要な価値観が必要。関係者全員が不良ゼロを厳格に守り、目上のものに反抗することが必要となっても大日程、予算、業務目標を守ることだ」
現状では潜水艦建造に必要な経験を有する人材は台湾に足りず、それだけ提携各国の関与が必要だという。
IDSでは二つの選択肢がある。一つは現有のオランダ製海龍Hai Lung級(2,500トン)を原型に開発すること。もうひとつは1,500トン小型艦とすることだ。海龍級で台湾は知的所有を確立しているが海外の援助が一用だと上記海軍関係者は述べる。1,500トン級は新設計となり、この大きさが通常型潜水艦としては世界的に一番普通なためという。、
ソナー、潜望鏡、プロペラ、魚雷発射管の内外扉、魚雷発射の管制システムなど不可欠な重要システムの確保が最大の課題とニュージェントあ指摘する。
それに比べれば船体の設計建造ははるかに容易だが、それでも最大の難関は船体後部で、ここが最大のノイズ発生源となりステルス性を妨げるのだという。.
台湾海軍の説明では、潜水艦は台湾防衛の目的以外に水上艦の訓練用にも活用できる。海龍型は2隻しかなく、IDSと平行してその艦齢延長策が遠投されている。IDSの予算規模は明らかになっていないが、一号艦は試作おし、二号艦を海上公試に投入し、二隻ないし4隻の建造を想定しているという。
台湾は初期設計を2016年に開始する予定だ。UGM-84ハープーンミサイル搭載の可能性を問われた台湾海軍関係者は当初は無理としてもその後に可能性があると認めた。台湾はハープーンを米国から供与されている。■

2014年12月16日火曜日

★米海軍:X-47Bで無人空中給油実証を行う予定



UCLASSの仕様きまらないのはつまるところ中国のA2ADをどう突破するか、もっと言えば中国をどう扱う下でコンセンサスが出来ていないからでしょう。その間に空中給油の無人化技術を確立したいうのが今回の記事のメッセージでしょう。

Navy Could Test Aerial Refueling on X-47B in 2015

By: Sam LaGrone
December 9, 2014 12:13 PM

X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo
X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo

予算確保の条件つきで、米海軍は試験中の空母運用無人航空機X-47Bの空中給油能力を来年早々にテストすると、海軍航空システムズ本部がUSNI Newsに明らかにした。


実施が決まればノースロップ・グラマンが自律型空中給油 autonomous aerial refueling (AAR)を無人戦闘航空機実証事業Unmanned Combat Air System demonstration (UCAS-D)の一部として行なう。

NAVAIRは代理機材でAARを実施済みでX-47Bのソフトウェアを検証しており、給油機との一連のやりとりを模擬していたが、実際の給油は行っていない。

X-47Bは二機あり Salty Dog 501およびSalty Dog 502と呼称され、そのうち一機に空中給油能力が装着されている。

今も結論がでていない次期生産型UAVとなるUCLASS(無人艦載監視攻撃機)の仕様でAARは争点のひとつだ。

UCLASSが安価で監視偵察を重視した仕様になるとAARを省略することになるが、武装を強化したステルス機としてUCLASSを想定する向きはAARは必須とし、敵地奥深くへの侵攻に必要だとする。

「海軍の想定は14時間超無給油連続飛行だが、ペイロードや探知性で犠牲が出る」とロバート・マーティネージ(前海軍次官補、現在は戦略予算評価センター)だ。「空中給油が可能になれば14時間もの長距離飛行能力の根拠が減る」(搭載能力を強化できる)■



2014年12月14日日曜日

★2015年の注目① 米空軍次期ジェット練習機T-Xの行方 ボーイングはSAABと組む



そもそも初等練習機からジェット中級練習機へというパイロット養成過程の常識が根底から検討直されるかもしれませんね。競争は熾烈なものになりそうですが、米空軍向けだけの需要ではなく世界各国への売り込みも図るのでしょうね。

Boeing Official: T-X Design Won't Be Unveiled Soon

Dec. 2, 2014 - 04:43PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments

Pilots practice touch-and-go maneuvers in a T-38 Talon during training at Sheppard Air Force Base, Texas. The winner of the T-X competition will replace the service's T-38 trainers with 350 new aircraft.
タッチアンドゴー練習がシェパード空軍基地(テキサス)でT-38タロンを使って行われている。T-X選定の勝者はT-38後継機を350機納入する予定。 (Danny Webb / US Air Force)


ORLANDO, FLORIDA —ボーイングは独自設計で米空軍向け次期練習機T-Xの開発を続けており、2017年の契約交付を期待しているが、同社関係者によれば社内審査はまだ先のことになるという。
ボーイングディフェンスで練習機事業を総括する副社長ボブ・ガウワーBob Gower は記者の質問に答え、「同機ファミリーのロールアウト日程は未定で新型機となるかも未定」と発言している。
ボーイングはT-X事業で固く秘密を守っており設計案の片鱗でさえ外部に漏れ伝わっていない。
わかっているのはボーイングがスウェーデンのSaabと提携して米空軍の要求内容に合致する機体を開発しようとしている点だけだ。ボーイングディフェンスのトップ、クリス・チャドウィック Chris Chadwick含む同社幹部はグリペン戦闘機を改修した機体にはならないと一貫して発言している。
T-X選定の最終勝者はT-38後継機として350機の新規受注を獲得することになり、その規模から業界に相当の関心を呼んでいる。
ボーイングの競争相手はホーク高等ジェット練習機システムBAEシステムズノースロップ・グラマン共同事業)、ロッキード・マーティンが推す韓国航空宇宙工業のT-50、ジェネラルダイナミックスとイタリアのアレニアアエルマッキがM-346を発展させたT-100の各機だ。テクストロン・エアランドも新型機スコーピオンの練習機型で参入する。
ガウワーによればボーイングは空軍が予定通りの工程表を守ると考えている。またT-X予算はいまのところ確保されているが、次期議会が予算をどう扱うか次第で状況は簡単に変わることをガウワーも意識している。
「今のところ当社の顧客は日程表通りに進めているようで、決定は2017年になり、初期作戦能力獲得は2023年想定です。予算のやり取りが発生するでしょうが、当社としては粛々と進め、当社のシステムファミリーは予定通り開発を進めます」■


2014年12月13日土曜日

オスプレイを攻撃任務に想定する米海兵隊の動き


なるほど海兵隊はオスプレイのミッション拡大を狙っており、F-35Bの岩国配備ともリンクした計画を有していることがよくわかります。攻撃、輸送、給油、さらに通信中継と多様な期待があるのですね。

Osprey Fires Guided Rockets And Missiles In New Trials

Dec 8, 2014Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology


ロッキード・マーティンKC-130ハーキュリーズを武装偵察機材に変えた米海兵隊はV-22オスプレイでも同じことをしようとしている。.
  1. 全ての機材にセンサーや武装を施すというのが海兵隊の持論であり、V-22メーカーのベル・ボーイングは自社予算でオスプレイに前方発射兵器を搭載し実証した。
  2. 実証はユマ試射場(アリゾナ州)で、戦闘機への空中給油能力、電子戦機材、通信中継機材の機能実証後に行った。
  3. もともとCH-46シーナイト輸送ヘリの代替機として高速兵員輸送任務お想定していたオスプレイが大きく異なる想定になってきた。
  4. 今回海兵隊が試用した前方発射兵器能力は攻撃が主眼で、地上部隊の支援や戦闘機の一部任務を肩代わりすればAV-8ハリアーやF-35を別任務に振り向けることができる。
ベルとボーイングはテスト機材を使ってオスプレイで前方発射兵器の運用を実証する Credit: Bell Helicopter
  1. ベルはテスト機を投入し、海軍航空システムズ本部の承認を必要とせずに改修を迅速に行った。
  2. 実証テストでは2.75インチ非誘導ロケット弾26発を5回のフライトで発射し、誘導ロケット弾2発はBAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システムとして発射している。後者はすでに海兵隊が採用済みだ。さらにレイセオンのグリフィンB軽量精密誘導ミサイル二発も発射した。オスプレイはホバリングモード、速度110ノットでエンジンナセルを60度にした状態の双方で発射している。
  3. 「非誘導型ロケット弾の発射で機体にかかる荷重のチェックができました」とベルヘリコプターは語る。「非誘導型ロケット弾を発射すれば悪いやつらは頭を下げる。オスプレイには誘導型兵器も搭載できます」
  4. 機体前部に小型パイロンアームが機長コックピット下にとりつけられあ。機体構造が7発のロケットポッドもしくは同様の重量の兵装の装着に耐えられることが分かった。機首下に標準装備のレイセオン製AN/AAQ-27A電子光学式(EO)カメラの代わりに、L-3ウェスカム製MX-15センサーにレーザー照準器を搭載し、コックピットから作動切替し、乗員が任意に目標を捕捉できるようになった。
ベル・ボーイングはテスト機左側にパイロンを追加装着したほか、新型センサータレットを機首下に付け加えた。Credit: Bell Helicopter
  1. ロケット弾発射時の熱と破片から降着装置を収納したスポンソンを保護するため、技術陣は表面に保護塗膜を施した。
  2. 攻撃能力の付与の検討は2月に開始され、空軍特殊作戦司令部が特に関心を示していた。ベルは今秋の実証に間に合う形で仕様固めをした。テスト機はそれに先立ちニューメキシコで高温高回転エンジンテストに入っていた。
  3. オスプレイに武装を与える構想は前からあり、もともと防御用に側面ドアに機関銃を装着していたが、BAEシステムズは 7.62-mm ガトリング銃を貨物スペースに搭載する装備を開発していた。ただし、この装備は重量が大きく、アフガニスタンでは使用されることは少なかった。
  4. 強化パイロンの追加で大重量兵装の装着が可能となり、ガンポッドもつけられるが、反動発生のため機体との一体化は複雑になるという。理想だけでいえば、海兵隊・空軍ともに機首に武装をつけ、ヘルメットの視野と直結して、着陸地点で急に表れる敵を排除したいのだ。
実証では高性能戦術ティルトローター機が非誘導型、BAEシステムズの誘導型ロケット弾を発射したほか、レイセオンの精密誘導ミサイルも発射した。Credit: Bell Helicopter

  1. 海兵隊の2015年度航空運用計画ではオスプレイの威力増大では武装の追加に加え新型目標捕捉ポッド、ビデオデータリンク、ソフトウェア変更可能な無線装置、飛行中の通信ゲイトウェイ機能も想定し、オスプレイを空中通信中継基地とすることを想定する。
  2. またオスプレイはKC-10エクステンダーからの空中給油が許可され、長距離の展開が可能となった。今後はKC-46や民間空中給油企業Omega Aerial Refueling のボーイング707の利用に拡大する。海兵隊はMV-22による空中給油能力の実証テストを2013年秋に実施しており、予定されるF-35Bの日本配備2017年夏までに対応可能にしようとしている。■


2014年12月12日金曜日

中国の空軍兵力は米国にどこまで近づくのか


艦船篇に続き、空軍力での中国の脅威を取り上げるレポートです。中国が米国の兵力構成と同じ方向を目指すとは思えず、かつ開発も多方面で一斉に行われており(それだけ資金が潤沢)今後が案じられます。国家の軍ではなく、党の軍なのですが、党そのものがマネーマシンとなっており、軍も追随し、将来的に軍需産業とつながる産軍複合体に発展しないとはだれも断言できないでしょう。

Report: Chinese Air Force Closes Gap With U.S.

by KRIS OSBORN on DECEMBER 4, 2014
FC-31-2

米空軍の中国航空兵力に対する優越性は急速に縮小に向かっており、中国は戦闘機、輸送機、ステルス機で装備近代化を進めているとの議会報告が公表された。
  1. 2014年度版米中経済安全保障検討委員会The 2014 U.S.-China Economic and Security Review Commission は議会が外部専門家を任命した審議会で米中の軍事バランスを評価し、今後の米軍の作戦立案、予算他で提言することが目的だ。
  2. 委員会はこのたび報告書をまとめ、中国人民解放軍は作戦機材約2,200機を保有し、そのうち600機が新鋭機だとする。
  3. 「中国空軍の近代化は1990年代初頭にはじまり、次第に多任務の実施が可能な空軍兵力投射能力を国境の外で可能とし、防空・ミサイル防衛能力、早期警戒能力を整備してきた。」とまとめている。
  4. 委員の一人がMilitary.comに対して議会が十分な予算を準備し、中国の迅速な進歩に対応した技術優越性の確保につながることを期待と発言。予算手当には太平洋重視の兵力再配備も含むべきと述べている。
  5. 「毎年40から50項目の提言を議会に投げて、委員各位が最重要と考える事項を10点別に提言している。今年のトップ10には太平洋リバランスを実施する予算手当が入っている」とラリー・ウォーツェル Larry Wortzel 委員(報告書編集、刊行を総括)は言う。.
  6. 中国ステルス機について報告書ではJ-20試作型の飛行から同機は現時点でアジア太平洋地区に配備中のいかなる機種よりも先進的と表現。また小型ステルス機ではFC-31のテストも進んでいると報告。
  7. このうち瀋陽FC-31は珠海航空ショーで展示されたが、専門家の中には同機がF-35と同等の技術水準の機体なのか不明と指摘する声もある。
  8. 米国の技術優位性は、兵装、航空機材、艦艇のいずれでも急速に縮まりつつあると報告書は指摘する。ある専門家が米中の戦闘機で20年前と現在を比較したところ、1995年当時の米側高性能機のF-15、F-16、F/A-18は大中国のJ-6より幅に優れていたが今日の中国J-10やJ-11はF-15と同程度の性能を有する機体だという。.
  9. J-10、J-11以外にロシア製Su-27、Su-30を保有する中国は新鋭Su-35をロシアから購入せんとしていると指摘する。
  10. 「Su-35ははるかに高性能で航続距離が大幅に伸びるので台湾海峡、東シナ海、南シナ海での航空優越性の確保に役立つほか、同機の各部品をリバースエンジニアリングする材料にもなる。具体的には高性能レーダーやエンジンがあり、中国の国産機に利用することになる」
  11. ステルス、高性能戦闘機以外に中国は空対空ミサイルでもこの15年で相当の進展を示していると指摘する。
  12. 「2000年時点で中国空軍の戦闘機が搭載していたミサイルは視界範囲に有効射程が限定されていた。15年間に中国は短距離・中距離の空対空ミサイル、精密誘導爆弾、全天候型衛星誘導爆弾、対レーダー見しある、空中発射対地巡航ミサイル、対艦巡航ミサイルを導入した」
  13. 報告書ではY-20輸送機にも言及している。新型戦略輸送機として現在テスト中の同機は米空軍C-130の三倍の貨物搭載量を誇る。同機を空中給油機に改装すれば、中国空軍機の飛行距離を大幅に延ばし、はるか遠距離に空軍力を投射することができる。
  14. 現時点で中国には近代的な空中給油機部隊はなく、作戦機材も空中給油対応でないので有効到達範囲が限定されている。
  15. 「人民解放軍海軍の初の空母搭載飛行隊が作戦可能となるまでは空中給油機が遠隔地での航空作戦のカギだが、現有給油機が1950年代のH-6U爆撃機改装の12機では大規模な作戦の支援は不可能だ。」
  16. そこでY-20を給油機に転用すれば南シナ海、東シナ海での作戦を有利に進められる、とウォーツェルが見る。
  17. 報告書ではロシア報道を引用し新型次世代地対空ミサイルS-400の対中販売をロシアが認めたとしている。
  18. 「この交渉は2012年から続いており、従来の中国の防空有効範囲をS-400で2倍の250マイル地点まで広げ、台湾全土、尖閣諸島、南シナ海の一部を有効範囲に収めることとなる」
  19. 核兵力、長距離大陸間弾道弾としてDF-31、DF-31A、さらに開発中のDF-41を列挙している。
  20. 「中国は道路移動式ICBMに核兵器を搭載しているが、DF-41は再突入核兵器10基を搭載する」(ウォーツェル)
  21. 国防関係に強い議員からは下院軍事委員会海軍力部隊投射小委員会HASC Seapower and Projection Forces subcommittee の委員長ランディ―・フォーブス議員(共、ヴァージニア)のように報告書の指摘事項に懸念を表明するものがある。フォーブス議員はかねてから米国は中国の軍拡脅威に適正に対応すべきと主張してきた。
  22. 「10年前のペンタゴンは中国の動きに注意を払っていなかった。」「グローバルな視点で我が国をこれから数十年に渡り防衛できるしっかりした戦略を構築する必要がある」
  23. フォーブス議員は中国との関係改善、平和と安定の追求は重要としながら、米国も軍事力の近代化、準備態勢を図りつつ、中国の意図よりも実際の能力を見て判断すべきだとする。
  24. 「準備は相手の能力を見てすべきで、意図は事件があれば一夜にして一転するものだ」■

★米海軍のレーザー兵器がペルシア湾で稼働中



これはすごい。海軍の砲術士官はこれからレーザー士官になるのでしょうか。そのためには相当の発電容量が必要で、ズムワルト級ががぜん注目されるでしょう。目標捕捉すれば即破壊、となればスターウォーズの世界が海上で実現しますね。もちろんそんなに簡単ではありませんが。

Star Wars At Sea: Navy’s Laser Gets Real

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on December 10, 2014 at 3:43 PM

PENTAGON: レーザー兵器の時代が正式に幕開けした。今年9月より米海軍は40百万ドル相当100キロワット級のレーザーウェポンズシステムLaser Weapons System (LaWS)をUSSポンセ に搭載し、ペルシア湾で運用中。海軍研究部長マシュー・クランダー少将 Rear Adm. Matthew Klunderによれば「毎日利用している」とのこと。乗組員が訓練用標的に命中破壊させており、それとは別に超高性能望遠鏡としてレーザーの光学性能を活用し、疑わしい艦船や航空機を監視している。
まだ戦闘時の発射は行っていないが、ペンタゴンはレーザー兵器の交戦規則を作り、ポンセ艦長には必要と判断すれば艦の防衛に発射する許可が下りているという。
通常の弾丸と比較した場合のレーザーの利点は「拡張性」 scalabilityだと海軍の技術トップ、ブライアント・フラー少将 Rear Adm. Bryant Fuller (海軍海洋システムズ本部)は語る。もし疑わしい船舶あるいは航空機がポンセに接近しすぎた際はレーザー兵器操作員は低出力の「目くらませ」 dazzling モードで標的対象の乗員の目に入るが、損害は発生させない。さらに接近してきたらレーザーの出力を上げ相手のセンサーを破壊、モーターを焼きつかせ、さらに相手が搭載する爆発性物質を起爆させる。演習では標的無人機の急所を狙い「二秒以内」で撃墜したとクランダーは言う。
ただし有人標的の場合はジュネーブ協定が盲目化させる兵器の利用を禁じているので事情が複雑だ。レーザーは出力によって盲目になることがある。そのためペンタゴンは交戦規則のまとめに一年ほどかかっている。国際法や米国内法規を適用するとレーザーは「対人目標には使えない」とクランダーはいい、「それを順守している」
「もし相手の舟艇に人が乗っており、こちらを狙っていたら、照準は人には合わせず、舟艇に合わせる」とクランダーは言う。
US Navy photo
USSポンセが搭載するレーザーウェポンズシステム(LaWS)
「艦船の機能を奪う方が効果的」とフラーも言う。センサー、兵装、エンジンのいずれかを破壊すれば効果的に対象を無力化できる。(提督は二人ともレーザーを最高出力にしたらどうなるかは述べていないが、おそらくおぞましいことになろう) 海軍公開のビデオ画像ではレーザー照準は恐ろしく正確で小型ボートに搭載したロケット推進式手りゅう弾(RPG)の一発に照準を合わせている。ビデオではRPGがレーザーで起爆する光景がうつっており、ボートの兵員を直接殺害する必要はない。
海軍はイランお得意の小型強襲艇による同時多数接近にレーザーを使うテストもしているとクランダーは言う。ボートは爆発しなかったが、レーザーを一艘に照射し、目標捕捉したままの状態を「一秒か二秒」保持した。この時間があれば重要な装備を焼け焦がせることができる。その後、次の小艇、さらに次の次の、と連続して短時間で照射した。
ではどこまでの大きさの目標を破壊できるか。「大型ヘリコプターの機能停止は可能」とクランダーは述べる。その場合、当然機体は墜落する。小型艇は海上で機能停止する。
今後の課題は高速移動目標で、それには今以上の出力のレーザーが必要だ。2016年か2017年までに海軍は100キロワットから150キロワット級レーザーの艦艇搭載を目指すとクランダーは言う。「これがあればUAVや高速舟艇以外の目標を対象にできる」 現行の30キロワット級LaWSであれば多くの艦艇にそのまま搭載できるが、「100キロワットや150キロワットとなるとより広範囲な利用が想定できる」
高出力が利用できればレーガン大統領時代から実現を目指してきたミサイル撃墜が達成できる。クランダーとフラーによれば海軍はこれは100ないし150キロワット級レーザーで実現可能とみているが、確証はできないとする。現行のレーザー兵器の発射コストは一回0.59ドル分の電気消費量であるが、現在使用中のミサイル迎撃手段であるスタンダードミサイルが数十万ドルから数百万ドルであるのと比較してはるかに安価だ。ミサイル迎撃レーザーだともっと安価になり、無限に発射可能だ。
逆に低出力レーザーではポンセ搭載の例のように効果が限定的だが、驚くような副次効果がある。高い光学水準で安定化した目標捕捉のアルゴリズムがレーザー発射で必要だが、これを超高性能望遠鏡として活用できる。防御用の第一義的利用に加え、「この効果を毎日活用し、識別・目標捕捉に使っている」とクランダーは言う。
「水平線上に航空機を発見した場合、裸眼では小さな点にすぎない。双眼鏡で航空機とわかるがレーザーだと何を搭載して、どこの所属なのか、何をしようとしているのかが分かる」「尾翼の登録番号も見える」
この素晴らしい装置が高温、湿度、粉塵の舞うペルシア湾の過酷な環境でどこまで機能するかを試している。
「風速30ノットの砂嵐までならシステムは機能する。翌日にチェックしてみたらアラインメントは正確で再調整の必要がなかった」(クランダー)■



2014年12月11日木曜日

★イタリアのFACO生産一号機は2015年ラインオフ、日本のFACOは?



First F-35 Assembled In Italy To Roll Out Early Next Year

Dec 10, 2014Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report

イタリア関係者によるとカメリ空軍基地 Cameri Air Base(イタリア北部)内の最終組立点検施設 (FACO) からF-35A一号機がするのロールアウトは来年初めとなる。同機がラインオフするのは2015年3月までとなる見込み。
  1. イタリアは10億ドルを投じ同施設を建設したが、F-35導入を巡り政治的対立のさなかのできごとだった。施設は昨年から運用開始しており、カメリはユーロファイター・タイフーンやトーネードの生産で以前より中心地となっている。
  2. イタリア軍はFACOで最低250機の組立を期待し、イタリア向け131機とオランダの85機を想定していたが、ともに現在は最終数字が未定だが、イタリアのFACOは今後の拡張を想定している。今後ペンタゴンが求めるヨーロッパ内の大規模機体修理施設の誘致でイタリアは一番有望で、来年早々に最終発表がある見込みだ。
  3. イタリアはロッキード・マーティンのフォートワース施設で想定した移動式生産ラインの採用は見送った。ただし、最終組立工程に特化した作業場を11か所設け、そのうち4か所は電子装備関係専門の組立electronic mating and assembly system (EMAS) 専用だ。フォートワースのEMASと同様だが、5か所は点検修理オーバーホール(MRO)業務用でその他も必要に応じてMRO用に転じることができる。
  4. イタリアはきわめて積極的だ。MRO関係で地元経済に186億ドルの効果が発生すると同国空軍高官がAviation Weekに昨年述べている。
  5. 一方、日本でもFACO建設が名古屋で進行中だ。5月起工ずみで、2015年12月にはフォートワースと同様の電子装備組み立て設備が建屋内に設置される。
  6. 日本が発注したF-35の42機中最初の4機はフォートワース工場で生産するが、日本製のF-35Aのラインオフは2017年秋、納入は2018年となる見込み。■


2014年12月9日火曜日

2020年に米中の海軍力バランスが逆転する可能性はあるのか


かつてソ連海軍の脅威が叫ばれましたが、今や中国がかつてのソ連の立場ですね。米海軍も空母中心主義のまま、周辺技術の整備を怠っており、(例 巡航ミサイル)、かつ海軍艦艇数も減少の一歩という中で、現実的な対応が求められるわけです。サイバースパイ活動は頭が痛いですが、逆もまた真なりで実は米国も中国の技術にアクセスしているかもしれませんね。海上自衛隊に求められる方向もこの報告書の延長線にありそうですね。

Report: Chinese Navy’s Fleet Will Outnumber U.S. by 2020

by KRIS OSBORN on DECEMBER 3, 2014
中国は2020年までに海軍艦艇を合計351隻とし、世界各地を攻撃目標に収めるとの報道がある。
  1. 米中経済安全保障検討委員会 U.S.-China Economic and Security Review Commissionの議会向け提言では米海軍も艦艇建造のペースを早め太平洋でプレゼンスを強化すべきとの内容だが、米軍はこの戦略をすでに開始ずみだ。
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  1. 同委員会は太平洋艦隊を67隻に増強し、兵力再配置の一環で母港の6割を太平洋に2020年までに移転すべきだとする。

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  1. 米海軍の再配備計画では艦艇の6割を太平洋に配属し、太平洋地区の軍港に艦艇を順番で派遣する他、海兵隊部隊をオーストラリアのダーウィンに駐留させる。また沿海戦闘艦を4隻シンガポールに交代で派遣する。

  1. ただし国防専門家の間には中国の脅威急拡大に対抗できる太平洋でのプレゼンス増強の予算がどこにあるのかと疑問視する向きがある。また厳しい予算削減策の他にも米海軍には今後の課題がある。

  1. 報告は中国が開発中の各種武器、機材について言及しており、太平洋で米海軍の空母他水上艦艇が今後作戦を展開する前提条件が変わると指摘している。特にDF-21D精密誘導陸上発射型の対艦弾道ミサイルに言及しており、900カイリ以上の有効射程で水上艦艇が標的になるとしている。今回の年次報告をまとめたラリー・ウォーツェル Larry Wortzel は「真の海洋型海軍になりつつある」と評す。

  1. 「中国が目指すのはミサイル中心の装備整備で米海軍の航空母艦を中国近海に近づけさせないことだ。中国海軍の整備状況と米海軍が艦艇数で減少傾向にあることを考えると、力とプレゼンスのバランスは中国に有利に働いていく」と同委員会は述べる。

  1. 中国の軍事支出規模を正確に把握できないが、2014年度は1,310億ドル相当で前年から12.2%増と委員会は見る。この規模は米国の軍事支出の六分の一に相当する。ただし中国は1989年以来毎年二桁で軍事予算を増やしており、その結果2008年実績から倍増したと報告書は指摘している。

  1. ランディ・フォーブス下院軍事委員会海上権力部隊投射小委員会委員長(共、ヴァージニア)は潜水艦および水上警備艦艇が2007年比で三倍増になったことを懸念している。

  1. 「警備能力増強は氷山の一角にすぎない。今後5年ないし8年で中国潜水艦は82隻となるのに対し我が方はアジア太平洋地区で32隻ないし34隻しか運用できない」「現状でも中国は60隻対32隻と潜水艦で優位な立場にある。水上艦艇では中国の対艦ミサイルは我が方より有効射程が長い」

  1. また報告書はサイバースパイ活動で中国は兵器開発を早めていると指摘。2012年度の国防科学委員会報告では沿海戦闘艦、F-35、F/A-18、ブラックホークヘリコプター、イージス弾道ミサイル防衛、ペイトリオット、グローバルホークとことごとく情報が盗まれたとする。

  1. 中国の海軍技術はまだ現行の米艦艇の水準まで到達していないが、今後数十年で大幅に関係が変わる可能性がある。中国もハイテクの次世代艦、兵装の開発を進めているとの報道がある。

  1. 中でも旅洋III型 LUYANG IIIは新型駆逐艦で今年中に艦隊に編入の予定だ。同艦には垂直発射型長距離対艦巡航ミサイルを搭載し、射程を伸ばしたHHQ-9対空ミサイルも搭載するという。

  1. さらに国産航空母艦数隻の建造を開始しているという。現在はウクライナが建造した遼寧一隻だけで、搭載する航空部隊が戦力化するのは2016年以降だと報告書は指摘する。空母運用を想定したJ-15の開発が進行中だ。

  1. 揚陸強襲艦では玉昭(Yuzhao)級LPDの追加建造の計画がある。同艦は兵員800名、ヘリコプター4機、装甲車両20台を搭載すると報告書は伝える。

  1. 新型055型巡洋艦は陸上攻撃用ミサイルに加え、レーザー兵器、レイルガンも搭載するとしている。

  1. 水上艦部隊を補完するのが少なくとも60隻と言う小型高速ミサイル艇と、青島級軽フリゲート艦だ。

  1. また潜水艦では攻撃型、核ミサイル搭載型、SSBN型が急増すると委員会は見る。現時点で中国の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦SSBNはJL-2ミサイルを搭載し、4,500カイリ以内で攻撃が可能だ。JL-3搭載で射程距離を拡大するという。またロシアと共同で新型攻撃潜水艦の開発を進めている。

  1. 「中国はロシア製高性能通常型潜水艦4隻ないし6隻の建造をめざし、ロシアの最新ソナー、推進手段、静粛化技術を手に入れようとしている。交渉がまとまれば人民解放軍海軍の次期潜水艦の能力向上、静粛化につながり、中国潜水艦の追跡探知が米国にとって困難となる」と報告書はまとめている。

  1. さらに新型誘導ミサイル搭載原子力潜水艦095級SSGNを開発中と言われ、中国初の潜水艦発射型対地巡航ミサイルを搭載する。■

2014年12月8日月曜日

財政難でNATOのAWACS隊が規模縮小へ


ヨーロッパ各国も財政負担の捻出で大変ですが、ウクライナはじめ不穏なロシアの動きがある中で大丈夫なのでしょうか。また、一部抜け駆けをするのはいかにもヨーロッパらしい。通貨ユーロというのもインチキではないかと見ているのですが、偏見でしょうか。

NATO Faces AWACS Fleet Shrinkage

Funding shortfall is reducing key NATO surveillance fleet
Dec 1, 2014Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology

NATOが加盟各国に防衛支出増額を求めている中、空中早期警戒機では各国に要望が虚しく伝わるだけだ。
  1. NATOの空中早期警戒指揮統制機隊(AEW&C)のE-3Aコンポネントが1980年代創設以来はじめて縮小を迫られている。しかもロシアがウクライナで強硬策に出ている最中に。

  1. 部隊はドイツのガイレンキルヒェンGeilenkirchen基地で、ボーイングE-3A17機で構成され、空中監視の他NATOの空軍演習を支援する。9.11以降は米国の要請で米領空内をパトロールしたほか、アフガニスタンでの運用を最近終了したばかりで、2015年には合計4,300飛行時間をウクライナ近隣のNATO加盟国向けに実施する予定。

  1. 運用に年間250百万ユーロ(312百万ドル)が必要で16カ国が分担しているが財政負担になっており、三年前にカナダ政府が分担を中止する決定をし、経済不況で予算節約を図った。.

  1. ガイレンキルヒェン基地ではカナダは三番目の規模で分担をして、乗員4組を派遣していた。カナダは今年8月に同基地から撤退している。

  1. カナダはAWACS以外に共同地上監視 Alliance Ground Surveillance (AGS) 運用からも手を引いて90百万カナダドル(79百万ドル)を毎年節約しようとする。カナダの資金提供がないと部隊は17機の全機運用ができなくなる。地上待機となる一機は部品取りに使うことになろう。

  1. カナダ撤退でNATO AEW&C部隊は不安定な状態になると司令官はみており、NATOはAGS導入(グローバルホークを投入)による戦力構造の再編を検討中だ。

  1. 再編でE-3AとAGS運用に2,000名が従事する。E-3Aコンポネントは現在2,300名規模で、AGSでは600名を投入する予定だったので、1,400名を削減することになる。

  1. コックピット近代化と新規航空管制対応の機体改装は米空軍のドラゴン事業として実施中だ。だがNATOはカナダ撤退後の16機のうち14機のみに改装を実施する。非対象の2機の退役は発表されていないが同一機種で仕様が異なる機材の運用の可能性は低い。改装作業が完了した初号機は12月17日に飛行可能となり、NATOへ2016年1月に復帰する。また残る全機も2018年中に改装を終える。

  1. 問題を複雑にするのは加盟国の中に独自にAEW&C整備をする動きがあることだ。トルコにはボーイング737を原型にしたEW-7Tピースイーグルがあり、イタリアはが降るストリームG550をAEWに改造した機材をイスラエルから購入した。

  1. またE-3Aの削減で英空軍のE-3Dセントリーに大きな役割が期待される。英国はNATOのE-3運用予算を分担していないが、自国の6機をNATOミッションに編入している。

  1. 国防予算削減の動きで英空軍機材でも影響は避けられないが、NATO、フランス、米空軍が運用する改造型の性能は既存機を上回るものがある。そこで英軍も運用機材の改修を急がないといけないとの危機意識がある。

  1. NATOのE-3A各機の退役は2025年予定だが、2030年代にかけて運用延長は可能だ。今のところ代替候補がなく、現行機材を使い続けるために「必須の性能とあったらよい性能」の仕分けで近代化を行っていくのだという。 その必須性能のリストには新型暗号化機能や多機能情報分散型の共用戦術無線システム Joint Tactical Radio System がある。■