2015年12月21日月曜日

★US-2のインドネシア輸出は実現しそうだ



これはまた期待したい案件になりそうですね。インドネシアと日本の関係も良好ですから条件があえば案件として十分成立するのではないでしょうか。原油価格が最近下降しているためインドネシアには交易条件は逆風ですが、日本政府による融資制度など使えば完成機輸出には十分道がひらけるのではないでしょうか。今後注目ですね

Japan and Indonesia agree to start defence trade talks

Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly
17 December 2015
日本はインドネシアと防衛装備の輸出入および技術移転について交渉開始を合意したとの12月17日に発表した。
東京での両国の防衛、外交大臣会合で合意形成ができ、日本からインドネシアへの装備品輸出が成約しそうだ。輸出想定で浮上してきた装備は新明和工業US-2i水陸両用捜索救難機だ。
日本の防衛省発表では今回の会談で防衛安全保障分野での二国間協力の枠組みができて、日本からの装備品供給や関連技術分野での協力に道が開けたとしている。
中谷厳防衛相は「防衛技術の移転に関する交渉の開始が合意できた。これは大きな一歩」と発言したと伝えられる。中谷に対応するインドネシア国防相リャミザルド・リャクドゥはUS-2i取得への関心を改めて表明し、海洋監視安全保障体制の改善に取り組む同国の取り組みの一助としたいと発言している。■


韓国KAIがT-X向けにT-50改造型をお披露目



LRS-Bは今年の米空軍の調達業務で大きな仕事でしたが、T-Xが次に控えています。こちらは競合メーカーも多く、さらにややこしいことになりそうですがどうなりますか。国防予算の動向にも注意が必要ですね。この発表のあとでインドネシアで同型機が墜落したのがどう響きますかね。

South Korea Unveils Trainer Jet for USAF's T-X Contest

By Jung Sung-Ki 11:50 p.m. EST December 18, 2015

635860788399649459-KAI-T-X-Demonstrator.jpg
(Photo: Korea Aerospace Industries)

SEOUL — 韓国から米空軍の次期練習機として参入を目指す超音速練習機が発表された。
  1. 韓国航空宇宙工業(KAI)がT-50練習機を米国輸出仕様としてT-X実証機との名称をつけお披露目したもので同社本社があるサチョン市で行われた。式典には朴大統領が出席し、案件の成約で米韓関係がさらに強固になることを祈念した。
  2. 「T-50の対米輸出は韓米同盟関係強化の橋渡しになり、両国の軍部隊の相互運用性が向上する」と大統領はあいさつした。
  3. T-50はKAIとロッキード・マーティンの共同開発で、ロッキードは開発費用の13%を負担し、米国内での営業活動で主導的な役割を担う。
  4. T-X仕様では米空軍の要求に応じる三大技術が搭載されているとKAIは説明。
  5. まず、コックピットに大型ディスプレー一面を搭載し、空中給油能力を付与し地上訓練システムを組み込んでいる。
  6. 「T-X仕様は米空軍の要求水準を全て満たし、F-35のミッションに備えた飛行訓練を実施できる」とKAIは述べる。「当社はさらにロッキード・マーティン社と協力し二年間かけ地上テスト飛行テスト双方を実施する」
  7. T-X事業は第一期で84億ドルで350機を調達し、ノースロップT-38Cタロン練習機を更改する。T-38Cは5年後に退役する。
  8. 米空軍がT-50採用すれば、米国ライバル企業側の不服申立ては必至とKAIも危惧する。
  9. KAIーロッキードチームはボーイング・SAAB連合(新型機を提示予定)のほか、BAEシステムズ(ホーク練習機)とアレニア・アエルマッキ(M-346)と競合するみこみ。(ノースロップ・グラマンも参入を狙う)
  10. 「KAI-ロッキードチームが性能面、技術面の双方で優位に立っているのはまちがいない」とKAI社長Ha Sung-yongはT-50の輸出成約を念頭に自信を示した。
  11. KAIはT-50各型をインドネシアへ16機、イラクへ24機、12機をフィリピンへ、さらに直近でタイへ4機の輸出を成約している。■


2015年12月20日日曜日

★米空軍の核戦争演習で何が検証されたのか B-52は耐用年数100年に

核戦争はだれもが想像したくない究極の武力行使ですが世界の現状を考えると核兵器のオプションは有効と考えるのが現実世界です。戦略空軍の後継組織であるグローバル打撃軍は今回図上演習を行った模様です。思考の筋トレというのは意訳かもしれませんが、思考を鍛えるという課題を真剣に考えているようですね。100年たってもB-52が本当に飛行できるのかわかりませんが、実現すればすごいことですね。LRS-BあらためB-3の核兵器運用は相当先のことになりそうなので当面は既存各機種にがんばってもらうのでしょうか。

「Defense News」の画像検索結果

Air Force Nuclear War Game Tests Future Bomber Fleet

Lara Seligman 4:15 p.m. EST December 18, 2015

B-52H
(Photo: Airman 1st Class J.T. Armstrong/US Air Force)

MAXWELL AIR FORCE BASE, Ala. —2030年、米空軍は核戦争に直面している。

  1. 就役後80年のB-52が最新型スタンドオフ兵器を搭載しパトロール飛行中だ。新型大陸間弾道ミサイルは発射準備ができた。さらにステルスの長距離打撃爆撃機が敵防空網をすり抜ける。
  2. 今月はじめに空軍グローバル打撃軍(AFGSC)が大規模核戦争演習をマックスウェル空軍基地で実施し、現在開発中あるいは配備中の各装備が適正能力を発揮できるか検証した。
  3. 「実戦能力全般を試す演習です」とフェルディナンド・ストス准将Brig. Gen. Ferdinand Stoss(AFGSC戦力整備作戦立案本部長)がDefense News取材に答えた。「整備してきた装備が正しく機能するか確認したいのです」
  4. 空軍が進める核戦力近代化事業では次世代爆撃機LRS-Bを既存のB-1、B-52に加え、ステルスB-2に加え、ミニットマンII大陸間弾道ミサイル(ICBM)を地上配備戦略抑止力(GBSD)で交代させる。
  5. 演習は12月7日から10日にかけて実施され、将来の戦場で戦力が効果的に使えるかを検討するのが役目とストス准将は説明。演習結果はAFGSC司令官ロビン・ランド大将が評価し最上層指導部へ提出するという。
  6. 「ここ演習支援センターの役割はお客様となる世界各地の戦闘部隊指揮官が解決策を求め、当方へやってきますので、迅速に求められる課題へ解決策を提供することです。また正しい事実や会席結果やデータを背景情報として準備し、戦闘指揮官が選ぶはずの手段に付け加えます」とスティーブン・クウァスト中将(空軍大学校校長)が12月10日取材で語ってくれた。「これこそランド大将やグローバル打撃軍団がここ空軍大学校でめざすもので思考の筋肉を使うことです」
A B-2 Spirit takes off Nov. 8 during an exercise at
A B-2 Spirit takes off Nov. 8 during an exercise at Whiteman Air Force Base, Mo. (Photo: Tech. Sgt. Miguel Lara III/US Air Force)

  1. ストス准将は演習の詳細について言及を避けたが、混合部隊つまり既存装備と将来導入される新型装備の並行使用の効力が判明したという。
  2. 2030年の状況を想像するとB-52にはLink 16通信ネットワーク機能が付与され、レーダーも高性能化し、スタンドオフ兵器も威力を増しており、エンジン換装で航続距離は25%増えているだろう。B-1全機に統合バトルステーション(IBS)改修が加えられ、データリンク通信他の改良とともにエンジンも改修されているだろう。
  3. またB-2では全機で新型防御システム搭載が完了しており、画像処理能力の強化と新型アンテナが特徴だ。
  4. 演習で改良すればB-52は2050年以降も「難なく」飛行できるとわかったとストスは述べ、一部機材は100年使用できるという。だが将来のストラスフォートレス各機はスタンドオフ兵器を敵防空体制の外から発射する役目にまわり、運用可能な空域は制限を受けるはずとストスは言う。
  5. 一方で次世代機LRS-Bにより空軍は「未来へ踏み出す」ことが可能とし、優勢な敵空域に侵入できるとストス准将は強調する。ある程度の機数LRS-Bがそろえば「A2AD環境でも高い実力を発揮できる」という。
  6. 今回の核戦争演習は二回目で、初回は2013年12月に行ったが「初期段階」にとどまっていたとストスは回想する。早期に第二回目を実施したかったが予算強制削減措置により延期されたという。
  7. 米戦略軍司令官セシル・ヘイニー海軍大将や空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将は核戦争演習により戦略的思考が高まるとその効用を強調している。
  8. 劇的に変動し続ける世界情勢への対応を迫られる国家指導層に適切な助言を迅速に提供すべく、空軍大学校は新技術を最大限活用して演習工程をスピードアップしているとクウァストはDefense Newsに語ってくれた。
  9. 「この演習は頭の筋肉トレーニングであり、もっと迅速に展開しようとしています。予算をつぎこんで準備を長々と行っても提言を出すのが遅れるのではなくて、もっとすばやく実施したい」とクゥワストは言う。「ただし分析と正確度は変えずにおこないます。コンピュータ技術やシミュレーションという技術のサポートがありますし、モデリング技術やコンピュータコーディング技術も利用できますからね」■


2015年12月19日土曜日

★軍事航空の今年を振り返る(新型機、開発案件)

2015年の軍事航空でのハイライトをAviation Week は以下のように選びましたが、新型機の開発、初飛行と言う視点での選択のようですね。

Defense Highlights of 2015

Dec 17, 2015

Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology

2月 エンブラエルのKC-390給油・輸送機が初飛行に成功。開発資金はブラジル空軍が負担し、7月にはブラジルの経済問題のため就航は2年遅れ2018年からとなると判明。その間フライトテストは凍結されていたが、10月に再開。、
Photo:
Embraer

2月 初飛行からおよそ30年経過し、ダッソー・ラファールが初の海外案件としてエジプトから24機を受注。さらにオプション12機がある。5月には第二弾としてカタールから24機を受注。3月にインドは当初36機をフランスから輸入する案を放棄。かわりに国産で126機調達することとしたが、契約はまだ成立していない。
Photo:
Dassault Aviation


5月、アントノフAn-178中型輸送機がウクライナで初飛行に成功。その後、パリ航空ショーで国際デビューした。プログレスD-436ターボファンを搭載した同機はAn-158リージョナルジェットを原型とする。同時に民間向け輸送機仕様An-178もあり、現在広く使用されているAn-12の後継需要を狙う。
Photo:
Paul Brou/ShowNews



5月9日、エアバスA400Mアトラスがテスト飛行中にスペイン・セビリア近郊で墜落し、乗員4名が死亡、2名が機外脱出した。離陸直後に4基あるユーロプロップTP400エンジンのうち3基の出力が止まり、一基だけが制御可能となった。原因はエンジン制御ソフトウェアのインストール中に一部データが消えていたためと判明した。
Photo:
Airbus
6月、ドイツはペイトリオット地対空ミサイルシステムの後継としてロッキード・マーティン/MBDAによる中距離拡大防空システム(Meads)の採用を決定した。ペイトリオットシステムのPAC-3ミサイルを流用するMeadsはドイツ、イタリア、米陸軍が共同開発。米陸軍は採用を見送っている。ドイツは開発完了まで資金投入を続ける。
Photo:
Lockheed Martin concept

7月31日、米海兵隊のVMFA-121飛行隊のF-35B短距離離陸垂直着陸型が初期作戦能力(IOC)を獲得した。受注からほぼ14年間が経過している。米空軍仕様のF-35Aの初期作戦能力宣言は2016年8月の予定。米海軍のF-35Cは2019年2月予定。
Photo:
Ken Kalemkarian

9月、クウェートがタイフーン戦闘機28機をイタリアとの政府間売買契約でユーロファイターから導入することで合意。これでタイフーンの輸出仕向け先は4カ国、使用国は8か国になった。クウェート向け機体にはSelex ES Cator-Eアクティブ電子スキャンアレイレーダーが初めて搭載される。
Photo:
Eurofighter Jagdflugzeug GmbH
9月、完全仕様のボーイングKC-46Aペガサス初号機が予定より遅れて初飛行した。機内配線の設計しなおしと燃料系統の除染を事前に実施している。遅延したが、ボーイングは米空軍向け第一期納入18機を2017年8月までに完了する予定。10月には日本が初の海外導入国となり、3機を調達すると表明。
Photo:
Joe Walker

10月、Saabとブラジル政府がJAS 39E/FグリペンNG戦闘機計36機の導入で契約調印。Saabは総額45億ドルと算定。グリペンは2013年にF-X2として選定されており、納入は2019年から2024年まで続く。エンブラエルが国内で機体組立に当たり、複座型JAS39Fを共同開発する。


10月、ロッキード・マーティンのベストセラー戦闘機で最新型F-16Vが初飛行した。ノースロップ・グラマンのAPG-83アクティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載する。当初は台湾向けに開発された機体で、ロッキードは米空軍保有のF-16A/B型144機をアップグレード改修する。
Photo:
U.S. Air Force

10月、カナダ総選挙があり保守党に代わり自由党がジャスティン・トルドー党首のもと政権についた。トルドーはロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機開発への参加取りやめを公約しており、現有のボーイングF/A-18A/Bホーネット戦闘機の後継機は競争入札により決定するとしている。
Photo:
Royal Canadian Air Force

10月27日、ノースロップ・グラマンが米空軍の求める長距離打撃爆撃機(LRS-B)の契約企業に選定された。敗れたボーイング=ロッキード・マーティン側は不服を申し立てている。LRS-Bは2025年戦力化をめざし、B-52,B-1、B-2の後継機をめざす。2010年価格での開発費用は214億ドルで平均機体単価は5.11百万ドルを想定し、100機を調達する。
Photo:
AW&ST Illustration Joseph Gatial

.
11月、ピアッジオがP.180アヴァンティを原型とした海洋哨戒機(MPA)をイタリア・ジェノバでロールアウトした。開発にはアブダビから資金投入を受けている。MPA仕様は主翼巾を50%拡大し、燃料搭載量も50%増加したほか、エンジン性能を引き上げているほか、Saab Albatros製のミッションシステムとしてレーダー、電子光学・赤外線センサーを搭載している。
Photo:
Piaggio Aerospace

11月、トルコは物議をかもしだしていた中国からの総額34億ドル長距離防空ミサイル防衛システムの導入を取り消し、国内調達することにした。方針転換はトルコ政府の国防産業委員会の評価結果を受けてのもの。2013年に中国製HQ-9をヨーロッパや米国製を抑え導入すると発表しNATO加盟国が驚かされた。
Photo:
Wikipedia Creative Commons/Jian Kang

12月、ヨーロッパ各国共同開発の無人戦闘航空機の実証機材ダッソー・ニューロンが完成した。探知特性8か所の測定と兵器投下フライトテストをスウェーデン・ヴィドセルで完了した。それまでに123回の飛行実験をフランス、イタリア、スウェーデンで実施している。
Photo:
Dassault Aviation/Philippe Stroppa


オーストラリアも南シナ海航行の自由作戦を実施


「defense news」の画像検索結果

Australian Military Plane Flies Over Disputed South China Sea

Agence France-Presse 9:53 p.m. EST December 16, 2015

A Royal Australian Air Force P3 Orion

SYDNEY —.オーストラリア軍の監視機が南シナ海で論議の的となっている地区付近を飛行し、乗員が中国海軍に対して航行の自由作戦の一環と説明していたことが判明した。

  1. 緊張が高まったのは中国が南シナ海でサンゴ礁を島しょに改良する工事を完了して軍事施設の設置を可能としたためで、米国はこの動きは域内の自由航行を妨げるものだと指摘している。同地区には世界の石油輸送の三分の一が通過している。
  2. 10月に米国は誘導ミサイル駆逐艦USSラッセンを中国が領土主張する島しょのひとつから12カイリ以内を航行させ中国政府を怒らせた。
  3. 今回はオーストラリア空軍の監視偵察機が同地区の空域に侵入した。
  4. 「オーストラリア空軍所属AP-3Cオライオンが通常の海洋監視飛行を同地区でゲイトウェイ作戦の一環として11月25日から12月4日にかけて飛行した」と国防省報道官がAFPに伝えてきた。
  5. 「ゲイトウェイ作戦ではオーストラリア国防軍が北インド洋から南シナ海にかけて海洋監視活動を展開した」
  6. この声明はBBCがスプラトリー諸島での取材で該当機の交信をとらえ放送したため出された。
  7. 無線交信はとぎれがちだが、オーストラリア空軍パイロットが中国海軍に向かって交信しているのがわかる。「中国海軍、中国海軍、こちらはオーストラリア軍機で国際的な航行の自由の権利を行使し、国際空域を国際民間航空条約および国際連合海洋法に従い飛行中、どうぞ」とパイロットが言っている。
  8. BBCによればこの交信記録はRAAFのAP-3Cオライオンが11月25日に飛行中に録音したという。交信は繰り返されたが中国側からの返答はなかったという。
  9. いないという。
  10. BBCはチャーター小型機でフィリピンから離陸し中国が領有権を主張する地点へ向かい途中で妨害行為が発生するかを試した。
  11. BBCによれば数回にわたり警告を受け、中国海軍からの無線交信で「我が国の安全を脅かしている」と伝えてきたという。.
  12. 中国は資源豊かな南シナ海の実質的にすべてが自国領土だと主張しており、米国はその主張は認められないと繰り返し伝えている。
  13. 11月発表の共同声明で米国の同盟国日本、オーストラリア両国は「大規模埋め立て工事、施設建設、ならびに軍事利用の即時停止」を南シナ海で求めている。■

文中に出てくるBBC記者のレポートの方が迫真性があります。セスナ206をチャーターし実際にスプラトリー諸島を飛行しています。その途中でオーストラリア機の交信を傍受したようです。くわしくはちらをご覧ください。http://www.bbc.com/news/magazine-35031313


2015年12月18日金曜日

台湾への武器販売内容は極めて妥当。中国の抗議に耳を傾けず米国はこのまま実施すべきだ。


米国には台湾防衛を目的とした法律があり、必要な武器の提供はまったく合法です。今回の目録を見てもオバマ政権が相当に神経を使っていることがわかりますが、あまりにも北京の主張が激しいため台湾への武器販売そのものがおかしいと感じてしまう向きが多いのではないかと危惧します。オリバー・ハザード・ペリー級フリゲートは全艦が退役していますが、今後各国向けに使い勝手の良い装備としてもてはやされるのではないかと思います。

U.S. Plans Modest $1.83B Taiwan Arms Deal; Little Offensive Power in Proposed Package

December 16, 2015 11:35 AM • Updated: December 16, 2015 1:58 PM

国務省は議会に総額18.3億ドルと比較的小規模な台湾向け有償軍事販売案を本日中に提示する。前回の軍事装備提供から4年たっている。USNI Newsが内容を把握した。

  1. 消息筋によれば案には旧米海軍所属のオリバー・ハザード・ペリー級フリゲート艦2隻の現役復帰、対空ミサイル、対装甲車両ミサイル、36両のAAV-7水陸両用強襲車両(AAV)が含まれている。
  2. 4年ぶりとはいえ、18.3億ドルの内容は前回の59億ドルより小規模だ。前回はロッキード・マーティンF-16ファルコン戦闘機隊の改修があり、さらにその前の2010年は60億ドルだった。
  3. 今回漏れているのは新型ディーゼル電気推進潜水艦建造計画(SSK)で、オランダ製で1980年代の旧式海龍Hai-lang級(2,600トン)の後継艦を整備する構想だ。また次世代戦闘機についても全く動きが見られない。
  4. 「今回の装備はほぼ防衛用と言える」とエリック・ワーザイム(海軍アナリスト兼米海軍協会Combat Fleets of the World編者)がUSNI Newsに感想を述べている。「現政権が中国の神経を逆なでしたくないと考えているのは明白で、攻撃的性格の強い装備は対象外にし力の均衡を崩さないよう配慮している」
  5. この数年間で台湾向け武器輸出がなかったのは議会内に原因がある。
  6. 台湾国防部が今年初めに国産潜水艦開発に乗り出すと発表したが、米国はジョージ・W・ブッシュ大統領時代に合意形成した潜水艦計画の実現に失敗していた。
  7. 先月末にジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)とベン・カーディン上院議員(民、メリーランド)がホワイトハウスに書簡を送り、中国の軍事拡張に対して米国が台湾援助をしていないことに懸念を示している。

USS Taylor (FFG-50) returns to its homeport of Naval Station Mayport, Fla. on Aug. 9, 2014. The ship is one of two the US may sell to Taiwan. US Navy Photo
メイポート海軍基地に帰還するUSSテイラー(FFG-50)、2014年8月9日撮影。同艦は台湾への売却対象の一艦である。US Navy Photo

  1. 「台湾と中国の関係が望ましい方向を示す一方、中国の軍事力近代化が着々と進む中で台湾海峡の平和と安全が脅かされることが多くなっている事態を正しく認識されていないのは由々しきことである」と書簡は述べていた。
  2. 「防衛支出の動向にも二人とも懸念を持っている。台湾の軍事力はひきつづき予算不足で必要な支出ができない状態にあり、有効な抑止力の整備がままならない。とくに軍の人件費の増大のため投入可能な資源に制約が生まれている」
  3. 今回の販売目録が正式に発表された後、マケイン議員事務所は声明を出し、台湾向けの武器販売を定期的に行うよう求めるとともに、台湾政府にはGDP比3%の防衛支出をするよう求めた。
  4. 「現政権による台湾向けの新規武器販売内容を強く支持する。台湾関係法および民主国家を支え、台湾海峡の安定を維持する米国の国益の双方から今回の決定は首尾一貫したものである」と声明文はまとめている。
  5. 「さらに前向きに米国は台湾向け武器販売を定期的に行うべきで、米中関係を理由にした引き伸ばしは許されるべきではない。台湾も国内総生産の少なくとも3%を防衛に支出すべきだ」
  6. これに対して中国政府の見方は異なる。中国にとって台湾は離脱した自国領土であり、何十年にわたり経済と政治の両面から台湾に圧力をかけ、他国から武器購入を食い止めようとしてきた。
  7. 中国の見解は昨年に出た声明文で要約されている。米、イタリア双方の防衛産業が台湾で掃海艇を製造しようとしていた。
  8. 「中国は台湾への武器輸出に一貫して反対して、海外と台湾間でいかなる形での技術交流や技術協力にも反対する。この姿勢は明確であり一環している」とし、「関係各国が中国の中核的権益を尊重するよう求める。一つの中国原則に立ち、台湾には武器販売はおろか台湾の軍事装備開発の支援も行うべきではない。海峡両岸の平和的発展を支援し、中国への再統一を平和的に実現することに手を貸すべきである」■


参考 今回提示された台湾への装備売却リストは以下の通り。

  • ファランクス個艦防御システム(416百万ドル)
  • AAV-7水陸両用強襲車両36両(375百万ドル)
  • BGM-71TOW28対戦車ミサイル769基(268百万ドル)
  • FIM-92スティンガー防空ミサイル250基(217百万ドル)
  • 旧オリバー・ハザード・ペリー級2隻再就役(190百万ドル)
  • 海軍艦艇用Link 11/Link 16データリンク10式(120百万ドル)
  • 多機能情報分散システム低容量ターミナル(MIDS/LVT-1)および共用戦術情報分散システム(JTIDS)向けサポート(120百万ドル)
  • 掃海艇(仕様不明)数隻、ただし直接販売型式(108百万ドル)
  • FGM-148ジャヴェリン対戦車ミサイル201基(77百万ドル)
なお、これ以外に台湾と米太平洋軍司令部間の双方向通信を無料で提供する

2015年12月17日木曜日

★★★ノースロップの考える第六世代戦闘機はここが違う



お伝えしたようにF-35は日本国内生産も始まり、これから各国向けに普及が始まる段階ですが、一方で技術陣はその次の「第六世代」機の検討を始めています。ビーム兵器やおそらく電子戦装備でこれまでとはちがう性能を発揮することが期待されているのでしょう。また中露の数で勝る装備に対してこれらハイテクで技術的に優位に立つ第三相殺戦略の重要な一部となるはずです。今回はそのうちノースロップ・グラマンの最新動向をお伝えしましょう。

Northrop Grumman Studies Technologies for F-22, F/A-18 Replacement

Dec 12, 2015 Guy Norris and Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

http://aviationweek.com/defense/northrop-grumman-studies-technologies-f-22-fa-18-replacement


Northrop Grumman

PALMDALE -- 米空軍、米海軍が第六世代戦闘航空機材へ関心を高める中、ノースロップ・グラマンは指向性エネルギー兵器と熱管理を将来の中核技術として研究を加速中。

  1. 同社はかつてYF-23で制空戦闘機参入しようとしたが、ロッキード・マーティンのF-22の前に敗れた。今回、同社は高性能戦術戦闘機案として任意有人操縦可能な無尾翼機の構想図を発表し、ラプターやボーイングF/A-18E/Fの後継機を目指す。次世代制空戦闘機next generation air dominance (NGAD)では不明な点が多々あると同社も認めつつ、熱負荷対策技術がカギになるという。
  2. 熱負荷は搭載兵装の高性能化とくに機内搭載レーザーや強力な電子装置、センサー類、推進系から発生する。この問題はF-35の初期テスト段階でも認識されており、今後登場するNGAD案ではもっと深刻な課題になると見られている。ノースロップはNGADとして空軍向けF-X(今やF-22に加え、F-15Cの後継機との位置づけ)、海軍向けF/A-XXの双方を開発する意向。
  3. これまでの制空戦闘機と根本的にちがうのは指向性エネルギー兵器の搭載だ。「NGADでは機体と兵装を一体化し、これまでにない形になる」とトム・ヴァイス(ノースロップ・グラマン航空宇宙システムズ社長)は言う。レーザー技術で小型化が進み、大掛かりな化学反応装置が半導体電子レーザーに代わりつつあるが、ヴァイスは熱管理が依然としてカギであるという。
  4. 「現在最高性能のレーザーでも効率は33%にすぎない。もし100kW級のレーザーで200kW級に匹敵する性能を発揮させたらとてつもない熱が発生する。これが2メガワットならどうなるか。機体が発光するのを防げるだろうか」とし、この課題を解決できるものがNGADで勝ち残れるという。「熱力学が勝敗を決定するでしょう」
  5. 熱管理の課題への答えの一つが米空軍の統合機体エネルギー技術Integrated Vehicle Energy Technology (Invent) でボーイングが開発中の適応型スマート機内発電システムだ。ノースロップの研究技術高度設計部門の上級副社長クリス・ヘルナンデスは「ある会社の研究内容は業界で共有できる。その機会を待っている」と語る。
  6. だがノースロップも自社で独自の熱制御技術を開発中だ。「待っている余裕がありません」とヘルナンデスは言う。「当社にはレーザー関係の研究に必要な設備がすべて使える実験室があります」
  7. ヴァイスもこう述べる。「他社に依存していられないので、自社で新しい発明をめざし、厖大な発熱への対応策を考えている」 ヴァイスは詳細を語らないが、Inventで構想する蓄電装置とは違うという。
  8. 「蓄熱してもある段階で放出する必要があります。だが『発射』も必要となります」とし、レーザーの発射回数について述べている。「当社の考え方はレーザーを搭載する場合、無制限の発射回数を確保するため、連射間隔、有効射程で制約があってはならないでしょう。そこで熱力学の問題に戻ると『こっちの蓄熱装置はいっぱいだから熱を放出しなくちゃ』と次の発射が可能となるまで敵にこちらに来ないでとは言えないでしょう。蓄熱装置だと思考が制約されてしまう。、わが社は自由に創造思考したい」
  9. 兵装類や電子装置が放出する熱は熱交換器を適応型エンジンの「第三の風流」内に設置して排出できる。このエンジンも空軍研究所が取り組んでいる。「エンジン技術はVaate(多用途低価格高性能タービンエンジン)事業により性能が向上するが、まだエンジンの姿は見えてこない」とヘルナンデスも言う。「Vaateで進歩するエンジン技術はこれから必要となる技術の核として応用可能だろう」
  10. ヘルナンデスによればNGAD設計では相当の空間を確保している。「今の段階で判明している技術とこれから出てくる技術があり、航続距離、速度、兵装類、残存性、操縦性の要求水準はまだ不明ですからね」
  11. その答えの代わりにノースロップの高度技術設計部門はScaled Composites社の元トップ、ケヴィン・ミッキーが率いており、「モデリングとシミュレーションを強化し、同じ問題に異なる解決方法を試している」という。
  12. ただし、一機で需要すべてをこなそうとしたF-35の経験は各軍や業界でまだ鮮明で、今の中心は価格にも置かれている。「なんでもうまくやろうとすると高くなる。そこで重点を技術、設計、性能で解を求めるが、すべからく費用と相談することとしている」とヘルナンデスは言う。
  13. 航続距離も設計で重要な要素だが、今回はいささか理由が違っている。「将来は海外基地が減るだろう」とヘルナンデスは見る。「飛行距離が重要なら搭載兵装量は少なくなる。また敵側は防空体制を強化していることが分かっている。そのため残存性が極めて重要になる。そのため機体の形状はB-2を小型化したように見えるでしょう。ノースロップの強みなんですよ」という。■