2016年5月27日金曜日

★KC-46Aで再度遅延が発生、契約不履行になる公算大へ 事業体制見直しは必至か



なぜここまで開発が手間取るのでしょうか。そもそも767があるから簡単に給油機ができると楽観的だったボーイングも自社負担が増える一方のため、青ざめているのかも。その分は日本が負担することになるのでしょうか。今のところKC-46に手を挙げているのは日本だけではないでしょうか。

Aerospace Daily & Defense Report

KC-46A Tanker Program Braces For Another Delay

May 26, 2016 Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

KC-46: Boeing
ボーイングのKC-46A空中給油機開発でまたもや遅延が発生、今回は最短でも六か月にわたる規模で、サプライチェーンと技術上の問題に直面している。
  1. 今回の遅延で事業推進体制の見直しや資金投入の削減を議会あるいはペンタゴンから申し渡されるかもしれないと上院のある補佐官は述べた。「誰かが責任をとらないとね」
  2. ボーイングは2017年8月までにKC-46Aを18機引き渡す予定で三機をテストに投入していた。だがC-17相手に空中給油テスしたところブームで安定性の問題が見つかり、その解決方法としてソフトウェア改訂でフライバイワイヤのブーム制御を改善しようとした。だがハードウェアの改良策はまだ決まっていない。またサプライチェーンの問題のため15機分の部品が全部そろうのは2018年になると判明した。
  3. 上院歳出委員会は5月26日に2017年度国防支出法案原案を可決し、ブラク・オバマ大統領が求めていた15機購入分29億ドルでを承認した。しかし法案に合わせまとめられた報告内容から議員の間にKC-46の将来に懸念が広がっているという。
  4. まず2017年は量産開始の年で、15機を生産する予定だったと報告書は指摘。だが量産開始を決定するマイルストーンC判定は先送りされたままで、このままでは生産数は同じでも低率生産になると報告書は伝えている。
  5. また開発段階の飛行テストが2割しか完了していないのは、ブーム問題が原因だと報告書は指摘する。
  6. 委員会は数回にわたる遅延の発生を指摘している。マイルストーンCで10ないし11か月遅れ、初期作戦能力テスト評価も11か月遅れており、一号機納入は9か月遅れる。この結果、重要な段階すべてで契約履行は不可能で、結果として2018年8月の目標達成はほぼ絶望的だという。
  7. ペンタゴンで調達全体を取り仕切るフランク・ケンドール副長官は同事業が既存機種を改装するため固定価格制契約になったと指摘する。だが開発費用の高騰から政府は無関係でいられる内容のため、付けはボーイングが支払っている。同社はすでに税抜きで12億ドルを負担している。この数字は今後増えるだろう。■


2016年5月26日木曜日

★RC-135が日本海上空でKLM,スイス航空機と空中衝突寸前だった(ロシア発表)



この記事は発生日を明示していません。ロシア側発表ということもあり信憑性が欠けると言いつつ、KLM、スイス両社は事実を把握しているはずです。日本海上空で東京発の便ということもあり、発生していたら大変なことになっていたでしょうが、だからといってISR活動をやめるわけにもいきません。今後もリスクは発生するでしょう。今や冷戦は再び始まっているのです。

“U.S. spyplane almost hit two passenger jets over the Sea of Japan” Russia MoD says

May 25 2016



ロシアによればRC-135一機がロシア太平洋沿岸近くを飛行中に民間機二機と空中衝突寸前だったという。
  1. ロシア国防省声明では米スパイ機は日本海の国際空域を飛行中に二機の旅客機と空中衝突を辛うじて回避したとする。
  2. 国家統制のメディア、スプートニクニューズおよびインターファックス通信によれば、国防省報道官イゴール・コナシェンコフ中将は米スパイ機がロシア東部を毎日飛行していると認めたが、「今回は国際航路を通過した米スパイ機は民間旅客機への衝突の危険を冒し、衝突していたら壊滅的な結果になっていただろう」と述べた。
  3. ロシア報道官は米機乗員が「プロらしからぬ行為」だと非難し、米大使館付け武官を呼び説明を求めたという。
  4. ニアミスに遭遇したのはスイス航空KLM航空の機体だった。
  5. 第一回目はRC-135リヴェットジョイントが嘉手納基地を離陸し日本海上空を高度33千フィートで飛行中にトランスポンダーを切り、民間レーダーにほぼ姿を消したまま国際空路を飛行しKLMとスイス航空(東京発チューリッヒ行き)を横切った。
  6. 現地時間午前5時41分、ロシアのウラジオストックのレーダー局が「スイス航空旅客機に直ちに高度を下げ衝突を回避せよ」と指示し、スイス航空機から四発機が向かうのを目視確認したと交信が入ったという。
  7. 二回目のニアミスはボーイング777で東京アムステルダム線の旅客機に進路変更の指示が入ったのは「正体不明の航空機」が同機に向かっているのが探知されたためで、のちに同一のRC-135だと判明した。
  8. ロシア航空管制局はスパイ機を高度36千フィートで探知し引き返すよう指示したが返答はなく、識別信号も発しなかったとインターファックスは伝えている。このためKLM機は1,600フィート高度を下げ「辛うじて衝突を回避した」という。
  9. 米ロ間で偵察機と迎撃機の遭遇は日常だが、ELINT電子情報収集機と民間ジェット機の空中衝突寸前の事態は極めてまれである。
  10. 2014年3月3日にSASのボーイング737が退避行動をとり、ロシアのIl-20クート情報収集機との空中衝突をスウェーデン沖合で未然に防いだ事例がある。
  11. スパイ機がトランスポンダーを切り、ATCと無線交信せずに、パイロットの目視飛行で空中衝突を回避しつつ飛行するのは普通だ。民間航空の妨害を避けるのが普通だが、危険な接近飛行が懸念を呼んでいる。
  12. ペンタゴンはロシア側がRC-135に危険な接近飛行をバルト海で行った「無謀さ」を非難しているが、今回はロシア国防省が「プロらしからぬ行為」を非難しているのは状況に変化がなく、実は第二次冷戦が進行中であることを思い起させてくれるものだ。■


★大統領の広島訪問で同時にやってくる核のフットボールは現実政治の最大の象徴である



オバマ大統領の広島訪問を巡っては謝罪だ、謝罪ではないとの議論の方が大きいようですがもっと大きな世界平和での視点が日本から出てこないのは核抑止体制の現実が理解されていないためと思われます。周辺で不穏な動きがあることから核武装論が簡単に口に上る様相がありますが、実は軍の方が核兵器を使いたくないと考えているのは皮肉な話です。

The Nuclear Football Goes to Japan


President Barack Obama steps off Air Force One as he arrives in Hanoi, Vietnam, Sunday, May 22, 2016.


バラク・オバマ大統領が5月27日に広島を初訪問するが、同時に核のフットボールも初訪問となる。

「フットボール」は大統領専用緊急鞄と呼ばれるブリーフケースで軍補佐官が持参し大統領が行くところ常についてまわる。中には数分のうちに1.000発近くの核弾頭を発射する命令コードが入っている。

今週オバマ大統領は広島で指一本で広島22,000個を30分で破壊できる。

米国は核弾頭975個を「高度緊急状態」に置いていると全米科学者連盟のハンス・クリステンセンは推定し、うち435発は大陸間弾道弾ICBMで弾頭多数を搭載し、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM120発が合計540個の核弾頭を搭載する。各弾頭は広島型原爆の6倍から30倍の威力がある。

ICBM発射に要する時間は5分、SLBMだと12分だ。ミサイルはで三十分未満で目標到達し全部発射すれば330メガトン、広島型原爆の22,000個に相当する。実施すれば人類の文明は終焉を迎える。

ただし米国が保有する核兵器はこれだけではない。さらに6,000発の弾頭がミサイルや爆撃機で運用可能でさらに予備分や解体を待っている分含めてある。

今回の大統領訪問は米国の核兵器取り扱いで健全さを示す機会になるものの、好機を逸するかもしれない。

広島訪問は政治的な意味が強いが大統領周辺は実質的な意味は薄いとし政策スピーチはないとする。

また今回が大統領の核政策で変更を公言する最後の機会でもない。他に機会はあり、とくに9月の国連総会演説がある。

それでも広島は大統領がプラハ演説で7年前に始めた核政策の感情的な終着点となる。この機会を大統領は活用できるだろうか。

オバマ大統領は同地では簡単な所感として戦争について一般論を語ると発言していた。エイブラハム・リンカン大統領のゲティスバーグ演説も短いもので10センテンスしかなかった。リンカンも戦争の一般論を語っている。オバマなら同じ時間でもっと多くの内容を語れるはずだ。

最低でもオバマ大統領は平和と核のない安全な世界で持論を再度明示すべきだ。三年前のベルリン同様に「核兵器がある限り真の平和はあり得ない」との考えを示すべきだ。

これができれば効果は大きい。だができることはもっとある。大統領は核の惨劇リスクで低減策を打ち出すことができるはずだ。
  • 一言で米国の核兵器を数分以内に発射できる体制を終わらせることができる。今の体制は冷戦時代の考え方で時代遅れとなっており21世紀にふさわしくない。
  • 最低でも50発のICBMを即応体制から外すことができるはずだ。このミサイルは新START条約下で解体が予定ずみのもの。直ちに速報体制を解除しロシアにも同様の対応を求め、核戦争一歩手前から安全を確保すると言えばよい
  • 新世代核兵器体系総額1兆ドル発注ずみの実施取り消しとして手始めに300億ドルの新型核巡航ミサイル事業を中止する。これは必要性が最も薄く事態を不安定化させる装備だ
  • 国連安全保障理事会に核実験全面禁止と我が国による核実験探知能力向上を訴えるべきだ。
  • さらに上下両院の全議員に広島訪問を求めるべきだ。1兆ドルもかけて新兵器を開発する前にもっと小型の爆弾一発でもこんなことになると実感できるはずだ。

これらをすべて実施しても核のブリーフケースが統制する核兵器は地球上の人類の大部分を消滅するのに十分な規模だ。

後任にフットボールを引き渡す前に一度使えば取り消せないリスクを少しでも低減する好機をオバマ大統領は無駄にすべきではない。


AUTHOR

Joe Cirincione is president of Ploughshares Fund and the author of Nuclear Nightmares: Securing the World Before It Is Too Late. Full Bio


2016年5月25日水曜日

★F/A-18E/Fスーパーホーネットの機体寿命延長は避けられない課題



シリア空爆など長く続く作戦でスーパーホーネットの酷使が続くとそれだけ機材の消耗となるので、思い切った寿命延長が必要というのがボーイングの主張ですが、本音は新規受注も含め生産ラインの維持を図ることなのでしょう。

Aerospace Daily & Defense Report

Boeing Looks To SLAP Super Hornets Into Shape

May 23, 2016 Michael Fabey | Aerospace Daily & Defense Report

F-18: USN
ST. LOUIS—米海軍がF/A-18 E/Fスーパーホーネットを想定以上に作戦投入する中、ボーイングは機体を全面修理した場合の必要項目、戦闘時間の延長につながる供用期間延長をする場合に必要となる作業の初期検討を開始した。
  1. 同時に国内国外での拡販も念頭に必要な部品の調達も検討し、最終的に生産ラインを2020年代でも稼働させることを期待しているとボーイングでF/A-18とEA-18Gグラウラー事業を担当するダン・ジリアン副社長は述べている。
  2. スーパーホーネットを再活性化し、今後も作戦に投入するためボーイングは寿命評価プログラム(SLAP)と寿命延長プログラム(SLEP)を併用し、現在の機体寿命6,000時間を9,000時間まで延ばしたいとする。
  3. またスーパーホーネットで最も初期に導入され酷使されてきた2機をボーイングが検分し、機構上の問題を抽出するが旧型ホーネットの寿命延長作業の経験を応用できるとジリアンは述べた。
  4. スーパーホーネットでの方針は旧型ホーネットの重整備から生まれたとジリアンは説明してくれた。経年機が第一線を離れることが頻発し、米海軍はスーパーホーネットを想定より多く投入せざるを得なくなっている。
  5. 「この瞬間にもスーパーホーネットの寿命がどんどん減っています」とし、F-35就役の遅れも一層の圧力となっている。
  6. 「スーパーホーネットが空母航空隊の機材構成で当初予想以上に大きな存在になります。長期間で見ればスーパーホーネットは2040年まで空母航空隊の半分を構成することになります。現在は四分の三がスーパーホーネットですが、すでに不足気味です」とジリアンは言う。
  7. 作戦上の負担が機体に加わっており、ボーイングは2009年から解析と技術モデル作りに取り掛かっているとジリアンは述べた。
  8. 上限6千時間に到達する機体が来年にも現れる見込みで、同社技術陣はその際には機体状況を直接見ることができよう。「機体分解で状況を直接観察します」
  9. 初期調査の結果からスーパーホーネット改修は旧型ホーネットより早い段階で開始する可能性があるという。「スーパーホーネットの方が作業開始点では旧型より良好な状態にあるんですが、スーパーホーネットは依然として海軍で最新の機材です。ブロックIIの初期作戦能力獲得は2007年でした。その後製造技術も新しくなりスーパーホーネットにもチタンなど新素材が導入されました。旧型ホーネットの改修では機体を切断していましたが、スーパーホーネットではその必要はないでしょう」
  10. だが「解決が必要な重要箇所は数点あり、とくに操縦翼面は交換あるいは改修が必要でしょうね」とジリアンは認める。
  11. 作業規模も課題となる。ボーイングがSLEP対象とした旧型ホーネットは150機だったが、スーパーホーネットでは568機を想定している。
  12. 懸念されるのが腐食問題で、SLAP検討で使う機材で技術陣はこの問題の深刻度を把握することになる。「対象機材は戦闘に投入され続け、空母運用も長く腐食が進んでいておかしくない状況です」とジリアンはし、海軍機修理で腐食箇所が見つかるのはよくあることだが、機体ごとに状況は異なるという。
  13. 「腐食現象の基準をどこで設定するかが課題です。80%の解決で十分なのか。これが一番大きな課題です」■


2016年5月24日火曜日

★B-2は2050年代まで供用、近代化改修の内容と方向性


B-2は高性能ですが、いかんせん機数が不足します。この記事では核兵器運用能力の項が要注目です。なお文中でLRSBの名称が出ている背景にはB-21と呼称が決まったと発表がありましたがここにきて微妙になっているようです。

Pilot Interview: Flying and Attacking With the Stealthy B-2 Bomber

KRIS OSBORN
1:48 AM


ステルス爆撃機B-2は開発が始まった長距離打撃爆撃機と並行し2050年代まで供用される。
  1. 1980年代製造のB-2スピリット爆撃機パイロットは今後も機体改良と訓練を重ね敵防空網を突破する攻撃ミッションを実施することになる。
  2. 「操縦するのが夢でした。本当にスムーズな飛行です」と語るのはケント・ミケルソン少佐(第三九四戦闘訓練飛行隊)で、Scout Warriorの取材に答えてくれた。
  3. B-2の技術的要素を取材できるのはまれなことで、少佐は80年代の機体だが依然として問題なく高い効果を示していると述べた。
  4. ミケルソン少佐はB-2パイロットとして攻撃ミッションを体験し、2011年のリビア空爆を実施している。
  5. 「2016年の今日でもB-2は製造時同様に任務を遂行できるのは技術陣が良い仕事をした証拠です。近代化改修も控え、B-2がこれから出現する脅威に対応できなくなるとはだれも想定していません。実にすごい機体であり驚異の技術です」
  6. B-2が搭載するエイビオニクス、レーダー、通信技術は敵目標を高高度で遠隔地から捕捉し攻撃するのが目的だ。「デジタル機です。一般にグラスコックピットと呼ぶ装備がついています」 デジタル表示のひとつに合成開口レーダー(SAR)があり「SARは目標地点の地上をリアルに表示できます」
  7. B-2の乗員は二名だが射出シートはひとつしかない。また乗員は一回で40時間の飛行に耐える訓練を受ける。B-2乗員が使う「長時間セット」には寝台など長距離飛行に必要なものが入っているとミケルソン少佐は説明してくれた。


  1. 米空軍が運用するB-2の20機の大部分はホワイトマン空軍基地(ミズーリ)に配備されている。高度50千フィートを飛行し、ペイロード40千ポンドを搭載し、核・非核両用の運用が可能だ。
  2. 1980年代の運用開始以降、イラク、リビア、アフガニスタンへ投入されてきた。空中給油なしで6,000カイリ飛行でき、ミズーリからインド洋のディエゴガルシア島まで一気に飛び、そこからアフガニスタンで爆弾投下する。
  3. 冷戦真っ只中に開発されたステルス爆撃機B-2はソ連防空網をかいくぐり敵目標を攻撃する設定だった。技術専門家によればステルス機は敵が用いる高周波「交戦」レーダー(敵機に照準を合わせる)と低周波「監視」レーダー(敵機侵入を探知)の両方から逃れることができるという。
  4. B-2は敵地内部でも探知されずに飛行し、「ドアをぶちこわす」つまり敵レーダーや防空体制を破壊し、友軍機が探知されずに侵入する通路を作るのが目的だ。
  5. ただし敵防空体制も技術進歩で高性能化しており、新装備では一部ステルス機の探知が可能で、ネットワーク化と高速コンピューター処理能力により従来より長距離から敵機を探知する装備も現れつつある。ロシア製のS-300やS-400は最先端の防空装備といわれる。


機体近代化改修の内容
  1. そこで今後も有効性を維持するため各種近代化を図っているとミケルソン少佐は説明してくれた。
  2. 中でも重要な性能向上策がB-2乗員に敵防空装備の所在を伝える防御管理システムで、ステルス機探知が可能な技術が現れても将来のB-2は有効範囲外にとどまり探知を逃れることが可能となる。この装備が利用可能になるのは2020年代中ごろだとミケルソンは述べる。
  3. また極高周波通信衛星を使い指揮統制の効率が上がる。例として核攻撃時でも大統領から乗員は直接爆撃指示を受けることが可能となる。
  4. 「核攻撃、非核攻撃の双方で通信能力が改良され利用帯域が大幅に広がるので、データフローのスピードが上がります。この改良には期待しています」
  5. 広く使われているLINK-16、VHF、UHFの各リンクもついているので、地上の前線局や司令部との通信も可能で有人機・無人機からもデータを受け取ることが可能だ。
  6. 無人機からの情報はいったん地上局に送ってからB-2に届く前提だが、新技術でB-2は無人機から動画をリアルタイムで受け取ることも可能になる。
  7. B-2には新型飛行制御プロセッサーも搭載され機内のコンピュータ各種を新型にし、ソフトウェアも追加更新する。その一環で飛行管理制御プロセッサーが機の頭脳として高性能に更新される。また光ケーブル導入で80年代製のコンピュータの能力不足を解消すると空軍が説明した。
  8. 新型プロセッサーでエイビオニクスや機内コンピュータシステムズの能力は1,000倍も増えるという。飛行管理制御プロセッサーは2015年から2016年にかけ搭載され、総額542百万ドルになる見込みだ。

搭載兵装の更新
  1. 同時に次世代デジタル核兵器としてB-61 Mod12に尾部キットをつけたもの、長距離スタンドオフ兵器(LRSO)、空中発射誘導核巡航ミサイルの搭載も進める改修を行う。

U.S. Air Force
  1. このうちB-61 Mod 12の改修作業が進行中でB-61Mod 3,4,7,10の内容をひとつにまとめ誘導式尾部を付ける。B-61 Mod 12は慣性測定方式で航法を行う。
  2. これ以外にB-2はB-61 Mod 11貫徹型核兵器も搭載すると空軍が説明している。
  3. LRSOは従来の空中発射式巡航ミサイルALCMに代わるもので、現時点ではB-52だけに搭載されている。
  4. 通常兵器ではB-2は多彩な兵装が可能で、精密誘導方式2,000ポンドの共用直接攻撃弾(JDAMs)、5,000ポンドJDAMs、共用スタンドオフ兵器、共用空対地スタンドオフミサイル、GBU 28(5,000ポンドバンカーバスター)等がある。
  5. 同時に長距離通常弾頭空対地スタンドオフ兵器JASSM-ER(共用空対地スタンドオフミサイル長距離型)の搭載準備が始まっている。
  6. ミケルソン少佐はB-2は一発の重量30,000ポンドの通常型爆弾、超大型貫徹弾も搭載できるという。「これはバンカーバスターを肥大化させたもので地下深くへ達し目標を破壊します」■


2016年5月23日月曜日

英空軍がリビアのISIS戦闘員の通信網に大規模電子攻撃を実施



The brand new RAF Rivet Joint aircraft “fried” Daesh communications with massive jamming attack in Libya

May 19 2016




RAF英空軍の「新品」のRC-135リベットジョイントでISISの通信がリビアで使用不能になった。

  1. 英特殊部隊が実施した「ブラック作戦」で地中海沿岸のダーイッシュ拠点スルトへ電子攻撃を加え、リビア国内のISIS通信網を停止させた。
  2. このジャミング攻撃を行ったのはRAFのRC-135W「エアシーカー」で2011年に元米空軍のKC-135給油機を950百万ドルでL-3ISが改装した三機の一機だ。
  3. 機内の操作員は戦闘員が好んで使う周波数で高出力妨害電波を送り、ISISの交信を無効にした。同機がリビア沿岸沖合を飛行する間にHMSエンタープライズ艦内のGCHQ(政府通信本部、英国のSIGINT情報機関)所属サイバー戦チームが前週に行ったジャミングで判明したISIS指揮官間の通信内容を監視した。リビアには6千名のIS戦闘員がいるとみられる。
  4. 国防省筋はデイリーメイル紙にIS戦闘員が「状況が理解できず大変混乱し、こちらは周波数を四十分にわたり妨害し、性能の有効性を証明したが、結局IS側は状況を理解できないままだった」と語っている。
  5. RC-135Wは情報収集機材として通常は通信傍受に当たり、各種アンテナやセンサーで敵の通信、送信を盗聴し、周波数を突き止め、軍事的価値のある拠点、移動拠点、対空ミサイル陣地を正確に把握することができる。同時にEW能力もあり、乗員は「ジャミング攻撃で敵に混乱を起こさせることはよくある」のだという。
ZZ664_RC-135W_RAF_Mildenhall_2016_1
リヴェットジョイントを運用するのは米国外では英国だけだ

  1. 改装対象の一号機ボーイングKC-135Rストラトタンカー (64-14833) は2010年12月にL-3コミュニケーションズのテキサス州グリーンヴィルの施設に到着している。
  2. 英軍パイロット、航法士、電子戦要員、情報収集要員、機内整備員は第五十一飛行隊からオファット空軍基地(ネブラスカ)へ派遣され、2011年1月から訓練を開始し、およそ2千回のソーティーで35千飛行時間を飛んだ。
  3. 2011年3月にはそれまで電子情報収集の任務についていたニムロッドR.1が第五十一飛行隊から引退し、三年間も英国のISR機能に穴があいたが、2013年に最初のRC-135W ZZ664が到着し、2015年4月に中東へ派遣されている。
  4. 二号機ZZ665(元米空軍 64-14838)は2015年9月にRAFミルデンホール基地に到着した。三号機ZZ666はKC-135RからRC-135W仕様に改装中で2018年までにRAFへ引き渡される。

写真はアシュレー・ウォレスが撮影した。ZZ664(第五十一飛行隊所属)がRAFミルデンホール基地をタキシーしている。2016年2月19日撮影。尾翼には第五十一飛行隊創設100執念の特別塗装が施されている。
ZZ664_RC-135W_RAF_Mildenhall_2016


★ペンタゴンによる中国ステルス戦闘機開発の現状評価



北京ではAVICの横も通りましたが、AVIC直営のホテルがあることを確認。もちろん社用など画中だと思いますが一度どんな所かを見てみたいものです。


Aerospace Daily & Defense Report

China Makes Visible Strides In Stealth Air Ops

May 16, 2016 Michael Fabey | Aerospace Daily & Defense Report

J-20: Chinese Internet

中国はステルスを航空作戦の中心ととらえているとペンタゴンが評価している。
  1. 「PLAAF(人民解放軍空軍)は他国におけるステルス機の登用を見て、高度な作戦実施にステルスが欠かせない中核性能と位置づけている」とペンタゴンの年次報告書は述べている。「PLAAF首脳部はステルス機で攻撃が有利になり敵が対応する前に優勢が確立できると信じている。2015年に中国はJ-20ステルス戦闘機試作型の5号機、6号機の飛行テストを開始している」
  2. J-20の初飛行は2011年1月だったが、二年しないうちにペンタゴンは次世代戦闘機試作型の二番目の機種を把握している。「FC-31はF-35と機体寸法が近く、J-20と同様の設計上の特徴が見られる」
  3. PLAAFはステルス技術を無人機にも応用しようとしており、特に対地攻撃任務での応用を重視して重度に防御された地点への侵入を想定、とペンタゴンは報告書で言っている。
  4. 「中国航空工業AVICはFC-31を輸出用第五世代戦闘機として売込み中だ」とペンタゴン報告書は指摘する。「またAVICはFC-31の国内採用をPLAAFに働きかけているとの報道がある」
  5. 「米国を除けばステルス戦闘機二機種を同時開発しているのは中国だけだ。中国は高性能機種三型式を開発して域内での兵力投射能力を引き上げ、域内の基地攻撃能力を引き上げようとしている」とペンタゴンは見ている。■


★ステルス駆逐艦ズムワルトが米海軍へ引き渡されました



US Navy Takes Ownership of Stealth Destroyer Zumwalt

Christopher P. Cavas, Defense News 2:27 p.m. EDT May 20, 2016
Zumwalt destroyer sea trials(Photo: US Navy)
WASHINGTON — ジェネラルダイナミックス社バスアイアンワークスが正式に新型ステルス駆逐艦ズムワルト(DDG-1000)を米海軍に5月20日に引き渡し、政府所有の軍艦となった。
  1. 海軍海上システムズ本部は「本日はDDG-1000建造事業に携わる当方のみならず米海軍全体にとって大きな前進となった。同艦は最新の設計とともに高度な内容の技術を盛り込み、米海軍に次世代の威力の幕を開くものだ」との声明をジム・ダウニー大佐(ズムワルト級紙事業主幹)名で発表している。
  2. 同艦は1990年代後半に海軍艦艇へステルス性能導入の先駆けとして構想され開発が始まった。当初海軍は32隻建造の構想だったが、28隻にされ、さらに7隻に削減され、2隻にまでなったが、予備艦含め3隻となった経緯がある。
  3. 構想当初は対地攻撃駆逐艦として水上戦闘艦21(SC21)の一種類の扱いだった。2002年にはDD(X)となり、ノースロップ・グラマンとレイセオンが主契約企業に選定され、その後2006年にDDG-1000に名称が変わった。
  4. その後、主契約企業の役割を海軍が担うことになり、ジェネラルダイナミクスのバスアイアンワークスが船体・機械系・技術面(HM&E)を担当し、レイセオンは戦闘装備を担当することになった。
  5. 建造契約の交付は2008年2月でズムワルトの引き渡しは2014年7月予定だった。2011年11月に船体が起工され、2013年10月に進水した。
  6. ズムワルトは初回海上公試に2015年12月に引き出さされ、その後造船所がHM&E関連の公試をし、二回目の海軍による公試が3月に行われ、海軍検査部が二日にわたる受領前の公試を4月21日に完了した。
  7. 引き渡しが終わり、海軍乗組員が同艦に移動してきた。今秋にバスを出港し、まずノーフォーク(ヴァージニア州)に移動し、その後ボルティモア(メリーランド州)にて10月15日に就役式典を行う。その後、正式な母港となるサンディエゴへ移動する。
  8. ズムワルトでは未完成作業が残っている。2017年にレイセオンは海軍とともに戦闘装備を完成させる。レーダー、センサー、兵装が完成する。2017年末あるいは2018年初頭に戦闘装備運用テスト(CSQT)の準備が整い、兵装とセンサーの完全テストが始まる。CSQTが完了次第、ズムワルトは作戦投入が可能となる。
  9. 続く二隻マイケル・マンスール(DDG-1001)とリンドン・B・ジョンソン(DDG-1002)がともにバスで建造中。■


2016年5月14日土曜日

次の戦争はどんな姿になるのだろうか 今わかっていること


Aviationweekの創刊100周年エッセイの一環ですが、二人の著者は中国による米ハイテク奇襲攻撃スリラーGhost Fleetの著者ですので、内容もその方向になっています。戦争を計画する側は前回の戦争のイメージにとらわれ結局事態に追いつけなくなるそうですが、果たして次に全面戦争が勃発すればどうなりますか。心してご一読ください。


Aviation Week & Space Technology

The Next 100 Years: P.W. Singer and August Cole

What We Know Now About the Wars of the Future
May 5, 2016Aviation Week & Space Technology

将来の戦争は偶発的に始まるかもしれない。例えばパイロットが無茶な操縦をして別の機体に衝突し、単なる事故だったものが怒りに変わり戦火につながるかもしれない。あるいは危機状態が限界に達し、新政策もしくは新しく造成した島が問題となり同盟国も巻き込んだ大国同士の戦争になるかもしれない。あるいは新世界秩序の構築のため強くなった経済力、軍事力を活かそうとするかもしれない。
未来の戦闘の原因や進展は予測が難しいが、確実なこともある。空がカギを握りそうだ。ただし米国がこれまで経験したことのない形になりそうだ。米国が制空権確保に苦労した最後の経験で空軍は陸軍航空隊の名称だった。米地上部隊が空爆を受けた直近の事例はラオスに展開した部隊が北ヴィエトナムがソ連のアントノフ貨物機を爆撃に転用した機体から爆弾を受けたものだった。ドッグファイトがあった最後の年に生まれた子供がそろそろ軍務についてもおかしくない年齢になっている。
将来の戦争では空の戦いが重要になるとしても、航空機多数で航空優勢の確保を狙う国家が相手となるか、非国家勢力がこれまで誰も経験したことのない方法で空に進出を狙ってくるかは不明だ。後者は現実のものになっている。イラクシリア戦では紛争当事者双方が無人航空機システム(UAS)を投入している。現地での米軍作戦の成否はUASによる目標補足と攻撃能力にかかっている。イラク軍も中国製UASを使い、自称イスラム国でさえ民生用ドローンを情報収集監視偵察用に使っているほどで、一昔前の正規国家では考えられない能力が現実のものになっている。
未来の戦争は多方面での戦いとなるが、開戦は想定外の場ではじまりそうだ。1914年にはドイツ歩兵がベルギーになだれ込み、1941年には九九艦爆が真珠湾に急降下爆撃をしかけ、「衝撃と畏怖」作戦ではバグダッドに巡航ミサイルがさく裂したが、次の戦争の開始は音もなく始まりそうだ。その理由として第一回目の対戦は低地球周回軌道の真空あるいはサイバー空間が舞台になりそうだからだ。それぞれの場所での結果は決定的な効果を生みそうで、現代アメリカの戦闘行為がその両方の場所に依存し、妨害破壊活動に脆弱な場所になっているためだ。
将来の戦争では長い間優勢だった技術優位性も消えるだろう。多くの国家が第五世代戦闘ジェット機やプレデターのような無人機の導入を急ぐのは戦闘の在り方そのものが変わってきたためだ。将来の航空戦で勝敗を決めるのはその前に発生するサイバー空間での対決の結果であり、主要米航空宇宙産業で発生しているデータ強奪が特に大きな意味を持つ。自国の研究開発成果が相手国にも筒抜けでは軍備競争に勝つのは極めて困難だろう。
だが指導層が現状維持を守り通そうとする際に敵側が単にこちらの技術を盗みコピーしていると考えるのは都合がよすぎる。ワシントンDC在住の既存防衛産業からは満足できず、国防総省はシリコンヴァレーに色目を使い、民生部門の技術革新と同様の変化を期待している。反対に中国の政府と民生分野の研究陣は連携して各種の画期的な国産技術を開発しており、例として重慶の長安自動車 Changan Automobile Co.は自動運転車を開発中で2,000キロの運転を達成しており、世界最速スーパーコンピュータ天河-2 Tianhe-2 もある。
こういった技術が戦闘の様相だけでなく戦闘員や技能も変えるだろう。サイバー空間での戦いでは以前は存在さえしなかった軍の組織、にわか集めのサイバー戦闘員、ハッカー集団も参画するはずだ。かわりにF-22パイロットでさえも戦場のデータ管理者の役目を担い、もはやかつての戦闘機エースの片りんは見つけられない。さらに人工知能がSF小説の世界から抜け出し、すべてを制御する存在として台頭してくるはずで、すでにIBMのワトソンではペンタゴンも契約をしている。
どんな変化が生まれるにせよ、将来の戦争ではAviation Weekが100年にわたり丁寧に報じてきた過去の経験もやはり有効だとわかるはずだ。技術がいかに進歩しようと、戦争の本質は人間で、戦争の原因も進展も人間が作るものだ。戦争につきものの状況が見えない事態はやはり残るし、初回交戦の結果で以前の想定条件は変わらざるを得なくなる。敵側も学び実力を上げてくるし、お互いのOODA(観察予想決定行動)のサイクルを意識するはずだ。また革新、組織化、実施面で優れた方が勝利を収めるはずだ。■

オーガスト・コールとP.W.シンガーはともに国家安全保障の専門家で小説Ghost Fleetを共著している。同作品では第三次世界大戦の開戦模様と戦闘に用いられるはずの各技術を描写している。

ペンタゴン報告書:中国は戦争前提に軍再編を実施、島しょ造成の実態も明らかに



Pentagon: China Restructures for War: Details of island building in S. China Sea disclosed

May 13, 2016 4:30 pm


中国が大幅な軍組織改編に昨年踏み切ったのは軍事対決の準備態勢を整えるためだったとペンタゴンが人民解放軍(PLA)の評価分析最新版で明らかにしている。
  1. 人民解放軍は軍区別に再編され、指揮命令系統とともに戦略方針も地域内紛争、ハイテク戦を視野に入れて改訂されたとペンタゴンが議会に提出した報告書で述べている。
  2. 「各改革の目的は中国共産党の軍統制強化、PLAの各軍共同作戦態勢整備、また短期高度地域内紛争を本土から遠く離れた場所で実施する能力の向上にあった」
  3. 国防次官補エイブラハム・デンマーク(東アジア担当)は報道陣に中国の軍改革は「旧来の軍担当区域を廃止し地理を考慮した共同作戦態勢を強化するのが狙いだった」と解説した。
  4. 軍事戦略の一環として中国の南シナ海で島しょ建設を続け、軍事力で戦略的に重要な通商航路を支配しようといている。
  5. 延べ3,200エーカー(約13平方キロ)の造成地で「中国は恒久的軍事民間基地として長期にわたるプレゼンスを南シナ海で実現できる」と報告書は述べている。
  6. 中国は海米国との対決を慎重に回避しており、自国の主張を押し付ける際も「軍事紛争一歩手前」の戦術を使っていると報告書は述べている。
  7. 報告書では中国軍の課題として蔓延する内部汚職をとりあげ、軍高官40名が摘発済みとしている。
  8. 一方で習近平主席はPLAへ「戦いに勝利を収める」準備を整えるよう命じている。ペンタゴンによればこのスローガンはこの三十年間参戦の経験がない軍部が近代戦で有効に戦えないと中国指導部が懸念していることの反映と見ている。
  9. 報告書では中国が本土から遠く離れた地点で戦闘を実施する能力を拡充していると指摘している。ただしPLAの最優先順位は台湾であることに変わりはない。
  10. 「中国は外国港湾を利用し必要物資を事前集積することで『遠隔地』への配備を常態化しようとしており、インド洋、地中海、大西洋でこれを狙っている」と報告書は伝えている。
  11. 報告書には問題の南シナ海で建設中の軍事施設の詳細写真も入っている。昨年の中国はスプラトリー諸島で島しょ土木工事を加速した。
  12. そして昨年10月に土木工事は完了し、次にインフラ工事が始まり、9,800フィート(約3,000メートル)長の滑走路複数、通信設備、監視哨が完成した。この整備は中国が「事実上の南シナ海支配を軍事民生インフラ整備で強化する意図」の表れだという。
  13. 航空施設、港湾、補給処は中国の領有権に異議を申し立てる国の島しょ部分への接近を「発見、対抗」するためのもので中国軍の活動を増加させる効果が見込まれる。
  14. 報告書では紛糾中のスプラトリー内の7つの島で工事前と工事後の比較写真も掲載している。ここにはフィアリークロス礁も入っており、ここで633エーカー(約256千平方メートル)の土地造成が行われた。
fierycrossreef
  1. 中国軍のミサイル装備の拡充も目立ち、新型ミサイルの登場に加え旧式ミサイルも含め多弾頭化が進んでいる。
  2. 報告書では中国が長距離ステルス爆撃機の構想を持っており、実現すれば地上配備ミサイル、水上配備戦略ミサイルと並び核の三本柱が完成するとしている。「新型および派生型の攻撃用ミサイル複数を開発試験中で、極超音速滑空体もここに含まれ、弾道ミサイル防衛対策も開発中」という。
  3. 新型攻撃型潜水艦、弾道ミサイル潜水艦が建造されており、配備が進んでいる。宇宙空間での戦闘能力も整備しており、昨年には2014年にテストした対衛星ミサイルの改良作業で進展があった。
  4. 中国のエネルギー戦略に言及して同報告書では中国が輸入原油に今後も過剰依存する姿を示し、2015年は輸入比率が60パーセントだったが2035年には8パーセントに上昇すると予想している。
  5. また中国の輸入原油の83パーセントが南シナ海、マラッカ海峡を通過しており、エネルギー供給の脆弱性を指摘している。ロシア、カザフスタンから陸上パイプライン建設が進んでおり、供給遮断の危険性を低減しようとしている。
  6. 報告書では中国の長距離精密攻撃能力の拡充を「異常に早い」と表現している。10年前の中国軍には100マイルの幅がある台湾海峡をはさんで攻撃する能力は限定的だった。しかし現在の中国は通常弾頭短距離弾道ミサイル(SRBM)、空中発射・地上発射方式の陸地攻撃用巡航ミサイル(LACM)、特殊作戦部隊(SOF)、サイバー戦実施能力で「域内の各目標を標的に抑えている」とする。
  7. 「日本国内の米軍基地は中国中距離弾道ミサイルの射程内にあり、巡航ミサイルも狙っている」と報告書は指摘し、グアム島もH-6K爆撃機が発射する長距離巡航ミサイルの目標になる可能性を述べている。H-6Kは昨年初飛行している。
  8. DF-26ミサイルでグアムに精密攻撃すれば米軍のアジアでの主要基地が危機に陥る。対地巡航ミサイルも精密に敵航空基地、兵站基地、通信設備、他地上の目標を攻撃できる。PLAは補給基地や兵力投射能力を標的にする作戦計画を立てている。
  9. 報告書では中国の国防支出は1,800億ドルとの推定されだがこれを上回る規模の可能性があり、2020年までに2,600億ドルになると推定。
  10. 報告書では一節を設け、PLAが国軍ではなく「党の軍隊」であると説明している。中国国営メディアが政治的に中立な国軍の概念を一蹴するのはソ連共産党が軍統制能力を欠いたことでソ連崩壊につながったとの認識を中国指導部が持っているためだ。
  11. PLAに政治工作部門を創設したのも党による統制機能を維持するためだろう。「PLAの政治工作機能は共産党による『武力統制』を毛沢東の『銃の詰まった樽から政治権力が生まれる』との言葉に従い実行するものだ」とまとめている。統制の仕組みには政治将校、党の委員会制度、党による調査部門が含まれる。
  12. ペンタゴンは「実質的な協力の深化」を求めながら、両国の相違点を乗り越えようとしており、このため米国へ敵対心を燃やす中国の現状を理解できなくなっているのだと指摘する専門家もある。
  13. 提言では中国軍事力の拡大に対して「監視し適応」をし、中国政府には戦略方針や装備整備で秘密主義の撤廃を求めるべきとする。
  14. 報告書では中国で反米姿勢が国営メディアと公式軍著作物で広がっていることは言及していない。
  15. 2013年には共産党につながる日刊紙環境時報が詳細な記事を掲載し、米西海岸への核攻撃で12百万人の米国民が爆風と放射線の中で死亡する様子を伝えていた。オバマ政権、ペンタゴンともにこの記事に抗議していない。■