2016年9月20日火曜日

★B-21の名称はレイダーに決定、有人運用が基本となる

ドゥーリットル爆撃隊の生存者はついに一人になり、命名式に参加できたようです。レイダーとは空軍にとって、米国人にとって特別の意味があるようです。

Air Force Wants to Keep ‘Man in the Loop’ with B-21 Raider

Image via U.S. Air ForceImage via U.S. Air Force
POSTED BY: HOPE HODGE SECK SEPTEMBER 19, 2016


B-21が選択的に有人操縦機になるとの観測は誤りだったようだ。

空軍長官デボラ・リー・ジェイムズが新型機の呼称をレイダー Raider と発表したのと同日に空軍グローバルストライク軍団司令官が同機にはパイロットを無期限に登場させると発言している。

「有人機として運用する」とロビン・ランド大将は空軍協会年次大会の席上で19日発言した。

ランド大将は単価550百万ドルの長距離戦略爆撃機は無人運用の支援機材と運用するとも発言したが、レイダーの無人運行も将来的には可能性があるものの、有人運用の利点を強調した。「ヒトが介在している方がいい。パイロットとして女性もいいね。とくにこの機は核運用もしますから」

一方で空軍迅速戦力整備室のランドール・ウォルデンは将来の変更の可能性は残してあると発言。「無人機運用の基本的な要求内容はすでに出ている。問題は実現するタイミングです」

同機は老朽化進むB-52やB-1の交替が期待され、空軍は初期作戦能力獲得を2020年代中頃と見ている。

名称のレイダーは第二次大戦中のドーリットル東京爆撃隊にちなむもの。ジェイムズ・ドーリットル中佐以下の各機は1942年に東京他で工場、軍事施設攻撃を真珠湾攻撃の後で実施した。■


2016年9月18日日曜日

★★★現状と米空軍の楽観的な見方があまりにも乖離しているF-35テスト状況。実戦投入は当面不可能な状態



機体が揃っても戦場にこのままでは投入できない.....とにかくIOC宣言で早く戦力化を実現したい米空軍、巨大すぎて潰せないことをいいことに管理しきれていないロッキードはペンタゴン内部から正直なコメントが出て関係者は困惑しているのでしょう。でもどちらが正しいのか。これから時間が経つとはっきりしてくるでしょう。今回の指摘事項にはこれまでお伝えした内容と重複する部分と実際の運用部門でないとわからない新事実も含まれています。米空軍、ロッキードもここまで来るとほとんどフィクションの世界を信じるしかないのでしょうか。まだ自殺者が出ていないのが不思議といえば不思議ですが。ギルモアメモが正しいとすれば関係者の精神健康はおかしくなっても不思議はありません。むしろ西側の防衛がこの機体のせいで大きな後退とならないように祈るばかりです。逆にロシア、中国等は同機の評価をする良い機会でしょうね。
We go to war so you don’t have to
The F-35A. U.S. Air Force photo

The F-35 Stealth Fighter May Never Be Ready for Combat

Testing report contradicts the U.S. Air Force’s rosy pronouncements

by DAN GRAZIER & MANDY SMITHBERGER
F-35はペンタゴン史上で最高額の調達事業となったが日程の遅れ、大幅な予算超過やぱっとしない性能評価に苦しまされている。
米空軍が8月に空軍向け機材は「戦闘準備完了」と宣言し、報道の大部分は事業が曲がり角へ到達したと大々的に書き立てたがペンタゴンの試験評価トップが出した文書は空軍によるテスト結果を元にしつつ宣言は時期尚早だったとしている。
作戦テスト評価部長マイケル・ギルモアの出したメモは痛烈だ。F-35は「成功からはずれたコースにあり、ペンタゴンが4,000億ドル支出したブロック3Fの性能をフルに引き出すこともこのままだたと失敗する」
メモは16ページに渡り、まずBloombergが報じた。内容は同事業のトラブルがどこまで深いかを示し、全納税者が期待する基本性能でさえ実現できていないと述べている。
ペンタゴン試験評価部はF-35は戦闘に出せない、「想定ミッションをこなせず、現存する脅威対象に対抗できないため」としている。
現状のままではF-35は戦闘空域から離脱し他の機体の助けを求めるしかない。なぜなら敵脅威の位置をつかみ、回避し、目標を捕捉し敵戦闘機と交戦する能力に欠陥があり、搭載兵装が限定(爆弾二発、空対空ミサイル二発)されるため他機の支援が必要だからだ」
メモでは事例を上げてF-35Aは現行機種より能力が劣るとし共用事業推進室や空軍将官が出してきた好意的評価の数々は虚偽であったと明確に指摘している。
そうなると航空戦闘軍団司令官ホーク・カーライル大将が最近の記者会見で発言した内容や共用事業推進室長クリストファー・ボグデン中将の議会内証言はメモ内容と真っ向からくいちがうことになる。
「F-35Aは全装備中で最も強力な存在になる。なぜなら現行機では不可能な場所にも進出して現代戦に必要な性能を発揮できるからだ」とカーライル大将はIOC発表時に述べていた。
だがギルモアはこれは事実ではないとし、空軍も事実を先に知っていた証拠があるという。
空軍は戦闘能力獲得の宣言の前に評価を実施している。今回の作戦テスト評価部長メモでは空軍の事前評価テスト結果と全く同じ結論が得られたとしF-35の性能不足を残酷なまでに暴露している。
議会、国民が同機の欠陥を知る事に至ったのは議会が第三者試験機関の設置を1983年から義務化しためという事実は重要だ。現部長はどこにも所属せず誠実な人物だ。
F-16 がF-35 のそばでフレアを発射。オランダにて。. Frans Berkelaar photo via Flickr

限定付き戦闘能力

空軍は議会に対し初期作戦能力(戦闘態勢完了)の根拠は現行F-35A(ブロック3i)で基本ミッション三種類が実施可能になったためとしている。近接句空支援、航空阻止並びに限定付き敵防空体制攻撃だ。
各軍は新型F-35を連続「ブロック」の形で受領する。各ブロックで先のブロックを上回る性能を実現する。空軍が今回戦力宣言した機体にはブロック3iという暫定版が搭載されブロック2Bが使っていた時代遅れのコンピュータを新型に取り替えている。一方でブロック3F開発が遅れており、この搭載で契約上の戦闘能力をすべて実現することになっている。
米空軍の現行仕様では長距離空対空ミサイルは二発しか搭載できず(ドッグファイト用の短距離熱追跡ミサイルは搭載しない)地上攻撃用の爆弾は二発のみとなる。兵装搭載がここまで成約されたのはソフトウェアの不備のせいであり、機体にはもっと多くの種類の兵装搭載の余地がある。
.ただしこれ以上の兵装は外部搭載する必要があり、航続距離とステルス性能が下がることになる。
次に控えるソフトェアのブロック3Fは開発で現在大きな問題に直面している。2001年に多様な武装を搭載する想定があったが、F-35をこのために作戦テストするのはまだ先のことであり、現行機材には大きな影響は生まれていない。
そこで当面は現行F-35を戦闘に投入するとしても(作戦テスト評価部長メモは明確に不可能とする)、搭載可能な弾薬類が限定されることでF-35のフライトは短距離限定となるだろう。
もう一つの根本的欠陥は機関銃が使えないことだ。ブロック3i 機には機関銃運用はできない。なぜならブロック3Fで初めて稼働可能となる予定でこのソフトウェア開発は完了していないためだ。この事実はすでに多方面で報道されている。さらに最新型ヘルメットが銃の照準を合わせる唯一の手段だ。
最新の作戦テスト評価部の報告書では機関砲で別の問題があると指摘している。空軍のF-35Aについてで機関砲を内部搭載するのは同型のみ。(海兵隊、海軍仕様は機体下部に外部搭載する)
F-35Aのステルス性を確保するため、内蔵機関砲は扉の下に装着し、この扉を発砲時に開閉する。空軍はF-35Aによる初の機関砲射撃の映像を誇らしく公表した。だがドア開閉で機体がわずかに方向を変えることが判明した。ドアの抗力によるものだ。これで機関砲射撃が命中しなくなる可能性が十分ある。
作戦テスト評価部長のメモではこのドアが原因の照準エラーは「正確な射撃性能を定めた仕様の許容範囲を逸脱する」としている。一方、空軍のF-35が搭載する銃弾は181発とF-16の511発、A-10の1,100発と大きく差がある。戦闘では一発の意味は大きい。

2,000ポンド JDAM爆弾を投下するF-35A in 2012. Photo via Mark Jones, Jr. / Flickr

F-35の近接航空支援能力で自軍地上部隊が苦しむ


将来の近接航空支援をめぐる議論はまだ続いているが、たしかなことがひとつある。F-35は地上部隊支援の実施がまだできず、永久にできない可能性を示す理由も多数ある。
作戦テスト評価部長メモではF-35がCAS任務に適しているとの意見を根本から揺るがしている。F-35は敵防空網の効率が高い場所での近接航空支援の実施が期待されステルス性能は必須だ。
だがCASが求められる戦闘は通常は敵防空体制の場所では展開されない。メモでも近接航空支援は低防空脅威体制で実施されるのが通例と指摘する。これは同機の近接航空支援は不可能と言っているに等しい。
近接航空支援の議論は空と陸の双方から考えるのが大切だ。
航空部隊は地上部隊と相互に支え合う。近接戦闘が始まるまでに敵の防空体制が無効担っている前提だ。また敵軍も地上戦闘に忙殺され、高性能ミサイルは戦闘地域に持ち込んでいない前提だ。なんといってもミサイルは装甲がなく、移動に時間がかかり、再補充が困難だからだ。
F-35のCAS実施能力は極めて限定されたままだ。
作戦テスト評価部長メモでははっきりと「F-35Aはブロック3i仕様では数々の制約が加わり、CAS任務の効果は現状のF-15E、F-16、F-18やA-10の水準に及ばない」としている。
前述したがF-35Aは「初期作戦能力」ありと認定されているが、爆弾は二発しか搭載できず、しかもこの爆弾の威力が大きすぎるため近接戦闘では友軍の被害を恐れ投下できない。CASでこの爆弾を投下した場合、機体は即座に基地に帰還し再装填して再び戻ってくる必要がある。
F-35Aが使用する基地は戦線から離れた地点となる公算が大きい。というのは、8,000フィート長のコンクリート滑走路に加え膨大な支援装備が必要だからで、このためCAS任務での対応が遅くなる。
友軍地上部隊支援に機関砲が使えないことが痛い。F-35に実用水準の機関砲が搭載されるのは2019年の予定だ。
機関砲はCASではロケット弾より効果が大きい。(F-35Aでは今のところロケット弾は搭載していない) とくに「危険度が高い接近」状況における交戦でこのことは確実だ。敵が友軍に極めて近いところまで進出している状況のことだ。
F-35Aで搭載可能な爆弾二種類のうち小型のGBU-12は500ポンド爆弾で高度250メートル地点から投下した場合友軍が被害を被る可能性は10パーセントと軍のリスク試算表は示している。大した数字に見えないかもしれないが、歴史をひもとけば戦闘の大部分は100メートル以内で発生している。
もしF-35AがCAS任務に投入されるのであれば、我が地上部隊に接近してくる敵には150メートル以上も余裕が生まれることになる。つまり空からの攻撃を恐れずに行動できる範囲だ。
機関砲が有効に使えればこの問題は解決する。F-35は25ミリ機関砲一丁を搭載する。同機関砲の安全リスク距離は100メートル。もちろん安全距離は機がどれだけ正確に飛行し、照準を合わせるかで変わる。
作戦テスト評価部長のメモにあるように機関砲の砲口扉を開けるだけで機体は一方向へ引っ張られ、弾丸が友軍ノ一する手前に落ちるあるいは敵陣の背後に着弾する可能性が残る。
だがこれはあくまでもF-35が戦場上空で十分な時間滞空し、必要とされるときに爆弾投下や銃撃を加えることができる前提だ。F-35は燃料消費が大量との悪評が高く空中給油機がなければ地上部隊用の滞空は不可能だ。
メモでは「F-35の燃料消費量は高く、空中給油の燃料搬入量が低いため給油時間が長く、結果として待機時間が短くなる」としている。
.残念ながら地上部隊は空中給油や再装填が終わるまで待ってくれない。燃料消費量が多いことと機体抗力が大きいことでF-35は行動半径が短く、現場滞空時間は短い。
各型F-35が共通した問題を抱えており、短距離でしか有効性を発揮できないため、対策として給油機に戻る機体があれば別の機体を戦場上空に滞空させることがある。だが、整備陣がF-35を飛行可能状態に保つことで問題があるとすでに指摘があり、同時にローテーション運用が可能となるだけの機数を確保できるようになるか疑問だ。
現状のF-35出撃率でこの問題がすでに浮上しており、今のところF-35の飛行は5日に一回程度にとどまっている。
いいかえるとF-35を12機で運用する飛行中隊がアフガニスタンやシリアに進出すると、二機一組のミッションを一日に一回実施して全国を対象にするのがやっとということになる。
F-35As. U.S. Air Force photo

データ融合のはずがパイロット負担増に

広報部門や「専門家」から広くアメリカ国民にお金がF-35で無駄になっていないとし、同機には機内センサーが集めるデータと他機のセンサーや地上配備センサーを統合する能力があると宣伝している。

これをデータ融合と呼び、各F-35の搭載するレーダー、ヴィデオカメラ、赤外線シーカー、パッシヴ電子戦受信機で敵位置を突き止め、空中地上の敵脅威を把握する。
F-35の売りの一つとして搭載コンピュータで機内外のセンサーが集めた情報を統合し、センサー情報を一つにまとめて表示するとしている。(既存機種ではセンサーごとに情報を表示している)
単一表示を即座に編隊僚機と共有することで全員が正確かつ確実な標的情報や脅威環境が周囲にあることを認識でき、無線による音声のやり取りで時間を取られることなく、迅速に行えるとしている。
これはそうありたいという姿であって、実際にはF-35では自機のデータを管理統合するのにも苦労し、ましてや僚機や偵察機とのデータ融合はできていないのが現状だ。
テストパイロットからはF-35でセンサーをすべて作動させると実際と違う結果が表示されるとの報告が上がっている。レーダー及び赤外線センサーを同時に作動させ敵機一機を探知すると、2つのセンサーがヘルメット内画像へ敵機二機として表示する。地上標的を相手にしても同じ現象が発生している。
そこでテストパイロットはセンサーは一つだけ作動させて無駄な探知結果を消去している。作戦テスト評価部長によれば「これでは戦闘に役立たずだ。多数の探知手段から結果をまとめて正確に追尾をし、状況認識度を引き上げ敵を突き止め交戦する原則にも反する」としている。
F-35各機のコンピュータが戦闘空域で何が発生しているかを把握するのに苦労するのでは話にならない。だが間違った標的情報を複数のF-35がデータを複数機材データリンク Multi-Aircraft Data Linkで共有すれば問題を複雑化するだけだ
F-35最大の利点とされてきたものが期待値に達していないだけでなく、パイロットの負担を増やしているのだ。
整備員がデバイスをF-35に接続する。U.S. Air Force photo

ロジスティックスのソフトウェア問題

もう一つの問題hが自動ロジスティックス情報システムAutonomic Logistics Information Systemと呼ばれる大規模コンピュータシステムでミッション運用保守整備診断保全日程部品発注をすべて自動化する構想だだが厄介なALISが頭痛の種になっている
アップデート版ALIS 2.0.2は米空軍の初期作戦能力獲得宣言と同時に供用開始のはずだったが、実際はIOC時点でも新バージョンはまだ完成していない。ロッキードがプラット&ホイットニーの独自エンジンコンピュータデータシステムをALISに統合できていないためだ。
ALISは機内と地上のコンピュータをつなぎ、ソフトウェアで世界規模のネットワークを形成し、F-35の毎回のフライトで飛行経路、標的、脅威データをアップロード、ダウンロードし保守整備問題を診断し、必要な補修整備を整備陣に指示し、部品発注し、部品装着状態を管理し、機体の改修履歴を見ながら整備陣に予防保全を行わせる。コンピューターコードは24百万行に及ぶ。
同時にF-35配備基地には大型ハードウェアの配置場所が必要になる。最新のALISハードウェア構成は当初よりは小型化し使いやすくなっているが、それでも移動時には立ち上げに数日かかる。このためF-35は簡単に配備展開するのが難しく、作戦運用上で間に合うのか疑問の声があがっている。
たとえば各機のデータを新型ALIS地上コンピュータへダウンロードするには24時間が必要だ。このためF-35を新地点に移動させるとデータ転送だけで丸一日が無駄になる。かつ、データアップロードは一度に一機しかできない。ということはヒル空軍基地所属の最初の「実戦」飛行隊12機を戦闘任務に投入する場合は飛行隊全体の整備活動をALISで開始するまで2週間が必要となる。

ALISのアップロード・ダウンロードでは最高機密のミッションデータを取り扱うため、ALISコンピュータは特別警護施設に格納されており、移動用コンテナー施設の一部となっている。
さらに前線配備施設は大掛かりなことに加え、海外の戦場では民間契約企業に設置運営を任せることになっている。ロッキード・マーティンから業務委託を受けた業者が機体からデータをALIS施設へ転送する。プラット&ホイットニー社関係者もエンジンデータを飛行後点検整備のため転送する必要がある。
開発期間中ならいいが、戦闘現場でこのような仕組みを動かすと配備の邪魔であり、基地選定も民間業者の安全を考慮すれば自ずから限定されてしまう。つまり前線から遠く離れた地点となり、緊急時の対応に時間がかかり、ただでさえ数が少ない空中給油機の出番が更に増えてしまう。
兵装扉を開放したF-35A U.S. Air Force photo

今後の戦闘投入への不安

事業では戦闘対応可能なF-35をブロック3Fとしてシステム開発実証段階(2018年末期限)の終了までに準備するのが狙いだ。

ギルモア部長のまとめでは一部では簡単なフライトテストなど進捗が見られるが、ペースは予定から大幅に遅れ、ブロック3Fのテストが予算内期間内に完了するのは絶望的とする。またフライトテストでこの部分が一番重要な点なのだ。
ギルモア試算では開発テストフライトは最低でもあと一年必要で「予定したテスト項目で新規性能を確認し、数百件残る不具合点を改修する」のだという。
となると2018年までの運用テスト完了は無理だ。
事態をややここしくしているのはこの重要な時期でテスト要員が現場を去っていることだ。テストセンターの離職率は20%近くになっていると運用テスト評価部長はまとめており、交代補充がないと指摘。
ギルモア部長からは整備要員含む関係者の一時解雇も始まっていると指摘があり、技術者やデータ解析者も例外ではない。一時解雇を見てまだ仕事があるスタッフもいち早く次の仕事を探している。
そうなると統合テストセンターに多くの作業が残る中で人員不足が大きな影響を出すと指摘。
管理の不手際さが露呈した形だ。JSFの開発完了まで道は遠いが、関係者は適切な予算配分を図るよりも将来の調達予算増額に熱心なようだ。
JSF関係者としてロッキード・マーティンと政府の双方から繰り返し低率初期生産から脱却の希望が表明されている。議会には465機の一括購入を求め、巨額の前金確保を米国並びに海外軍事パートナーから2018年開始を想定し要望している。
にもかかわらず人員増員や飛行時間の追加の要望は表明されていない。開発をこれ以上長引かせないためにもこれらの手当が必要なはずだが。
生産増となれば修正手直しなければ配備できない機数もそれだけ増えることになる。
米会計検査院は初期製造機を対象に開発テスト期間中に見つかった結果を修正するのに17億ドルが必要と試算している。その分の費用が今後調達されるF-35に上乗せされる。
現時点で175機が運用可能となっている。
2017年にペンタゴンは80機を調達し、2018年は100機を導入する。355機の機材がそろっても戦闘に投入できず、開発、運用両テストで見つかる問題の修正作業に回される。(さらに作業内容の効果を確認するテストも必要だ)
作戦テストと評価は2021年までに完了する気配がない。つまり355機が戦闘遂行可能となるのは採炭で2023年で、2024年あるいは2025年になる可能性は十分ある。言い換えれば355機(これに加えて2018年以降に完成する機体すべて)が戦場に投入されるのはあと7-9年後ということだ。
新問題が浮上すると日程と費用は大きく影響を受ける。現時点で完成済み機材で大規模な欠陥が見つ勝った場合の予算は準備されていない。
開発テストよりも生産準備に予算を当て増産を狙えば各軍と納税者の手元に数百機の運用不能機材が残るだけだ。国防総省には製造ずみ各機を戦闘可能に変える予算がない。各機の使い道は部品取りしかないだろう。
不活性GBU-31爆弾を F-35A に搭載する。アイダホで。. U.S. Air Force photo

今後のテスト体制が不確かだ

最も心配されるニュースは空軍関係者と共用事業推進室が増産を急ぐあまり、今後のテストは重要視していないことだ。ギルモア部長は「適度な内容の評価試験へ向けた準備企画が停滞している」と報告する。
その証拠としてギルモアは推進室の計画案では戦闘テスト用に量産機を手配していないと指摘。ギルモア部長によれば同計画では作戦テストの実施用に十分な数の最終仕様機材が手配できないと見ている。
「大幅な計画遅れと開発テスト期間中に見つかった問題により大幅な改修が作戦テスト用機材に必要となった。これらの機材は製造中に試験用の配線を施してあり、量産型と同じ仕様にする必要がある」と報告書は指摘している。
報告書ではさらに対象23機に155点もの改修箇所があると指摘し、これがないと戦闘テストの実施ができず、一部の回収作業は実施先が未定のままだという。つまり作戦テスト評価の実施ができないことになる。
推進室が適度な運用テスト案の作成に失敗したばかりでなく、テスト予算の確保にも失敗し、テストそのものに必要な施設が確保できていない。
なかでもフライトテスト用のデータ収集記録テレメートリーポッドの予算が手当できていない。これは兵器発射の模擬試験で得るデータの記録解析用には不可欠な装備だ。ポッドの作動が確認されて安全が確保されるまではテストも実施できない。

空軍はIOC宣言前に解決すべき課題を7つまとめているがそのうち解決したのは4つだけのままIOCを発表したDOT&E list
報告書では高度に複雑で戦闘状況を再現するテストシナリオに必要なシミュレーション施設がまだ完成しておらず、予定からも遅れているとも指摘している。ただしこれは推進室が過去15年間実現を約束していた内容だ。
この施設は検定用シミュレーターと呼ばれ、現実に限りなく近いコックピットのシミュレーター複数を含み、複数機による戦術シナリオを高度環境を想定して再現するものだ。
F-35の有する多様な性能を試すためには唯一の手段となるのはF-35編隊が直面するはずの脅威内容をすべて再現するには演習地では不可能なためだ。
2001年以来ロッキード・マーティンの技術陣は同施設の生産契約でとりかかっているが、ここまで来ても完成しておらず、作戦テスト評価部は運用テスト開始までに間に合うのか気にもんでいる。
そこで推進室はシミュレーター開発を海軍実験部門に任せることした。
作戦テスト評価部の報告書ではこの検定用シミュレーターが運用開始となるのは予定される作戦評価テスト開始2018年には間に合いそうもなく、完成はその二三年以上後と見ている。
Michael Gilmore, the Pentagon’s Director of Operational Test and Evaluation. C-SPAN capture

F-35を正しく評価する最後の砦は?

今回のメモでは空軍によるIOC宣言は広報材料以外の何物でもないとしている。

不幸にもギルモア部長のメモはF-35の正しい評価を議会、ホワイトハウス、国防総省またはアメリカ国民に示す最後の機会になる。作戦テスト評価部長のギルモア自身は大統領による任命なのだ。
ギルモア自身は中立性をたもち分別のとれた演技者の役割を果たしている。何度も誘惑に駆られたはずで実際に前任者はこれにたえきれなかったのだが、転職後の防衛産業を意識した見解を示すことで運用テストの失敗を水増しして事業になんの悪影響もないと見せかけることや不十分なテスト案にも眼をつぶることができたはずだ。
政権の任期が終わりに近づくこともあり今後数ヶ月で同じことが発生するかもしれない。新政権が発足すればテスト部門長は交代となる。実力があり勇気のある人物、業界から便宜を受けない人物が職につけば同機を駆って戦闘に臨む男女が危険のない機体で戦闘に勝利を収め生命を守ることができるようになる。数々の遅延がこれまで発生しており、懐疑的な見方をするものもギルモアの任期中に関係者がそう考えてくれることに救いを求めるのではないか。■


南シナ海でのプレゼンスを増やす日本、稲田防衛相がワシントンで発表 

稲田大臣のワシントンDC訪問では明確な意思を伝えることができたようで成功したと言えるでしょう。中国はここまで問題を拡大して何を狙っているのでしょうか。どう事態を収束させるつもりなのでしょうか。そもそも国際秩序にあからさまに挑戦するこんな国が国連安保常任理事国というのはおかしな話ですね。

Japan Wants Joint Training Patrols With U.S. in South China Sea

September 16, 2016 11:31 am
日本が南シナ海への関与を米海軍との共同訓練実施で強化し、中国への牽制を狙う。
  1. 稲田朋美防衛相は15日ワシントンDCの戦略国際問題研究センターで日本が「南シナ海への関与強化策として例えば海上自衛隊が米海軍と合同訓練航海を行い、二国間あるいは多国間演習を関係各国と実施する、あるいは域内関係国の対応能力強化への支援が考えられる」と述べた。
  2. 中国が南シナ海で主権を主張していることが深い緊張を招いている。とくに国際仲裁法廷が北京の主張に歴史的裏付けはなく法的な根拠もないと裁定を下したことの波紋は大きい。日本は中国と尖閣諸島の主権をめぐり意見が対立死両国間の関係に影響している。
  3. 自衛隊を米国による航行の自由演習に派遣する構想が今年早々に浮上した際には中国が日本へ「レッドライン」だと警告していたと伝えられる。
  4. 稲田防衛相は日米同盟及びアジア太平洋の安全保障問題を席上で詳しく述べ、中国は東・南シナ海で域内の国際秩序を覆そうと「あからさまな企み」をしていると批判した。
  5. さらに北京が7月の裁定内容を無視していることは「一方的に現状を変更し、既成事実化しこれまでの規範をないがしろにする」と述べた。
  6. また尖閣諸島周辺海域への度重なる侵入は「常態化」し、「前例のない事態」で中国側取締艦船と漁船が日本接続水域の航行を連続して行っているとも語った。6月には中国海軍艦艇一隻が同諸島近くで領海侵犯した。
  7. 「もし東シナ海南シナ海の海上航路の法秩序を力づくで変更する中国の試みを世界が見過ごし、法を捻じ曲げるのを食い止めなければ、結果は西太平洋だけにとどまらず世界規模となる」と警句を発した。
  8. 稲田防衛相は米海軍が航行の自由演習を南シナ海の問題地点周辺で行うことに賛意を示した。日本は南シナ海でのプレゼンスを強化し国際法の遵守を執行しつつ「中国との建設的対話の扉は開けたままにしておく」と述べた。
  9. 日中首脳は連絡用のホットラインを作り、南シナ海での偶発的な軍事衝突を避けることで先週同意したと稲田防衛相は紹介している。
  10. 米海軍は日本が域内協力体制を強化する動きを示したことを歓迎する声明を発表したとロイターが伝えている。
  11. 「米国は日本が会場行動を南シナ海で拡大する意向を示したことを歓迎する。米日両国は今後も協力を強化し、域内の安定秩序を守る努力を続けていく」■
Morgan Chalfant   Email Morgan | Full Bio | RSS
Morgan Chalfant is a staff writer at the Washington Free Beacon. Prior to joining the Free Beacon, Morgan worked as a staff writer at Red Alert Politics. She also served as the year-long Collegiate Network fellow on the editorial page at USA TODAY from 2013-14. Morgan graduated from Boston College in 2013 with a B.A. in English and Mathematics. Her Twitter handle is @mchalfant16.

2016年9月17日土曜日

★★RAFタイフーン戦闘機他が日本へ、初の日英空戦演習ガーディアンノース16は10月に三沢で開催



三沢の空にタイフーンはじめ英空軍機がやってきます。航空自衛隊による発表と同時に英政府も在京英大使館経由で演習予定を公表しました。


Announcement: RAF Typhoon aircraft to visit Japan

First published:16 September 2016
RAF Typhoon aircraft to visit Japan
(c)Jamie Hunter
航空自衛隊幕僚監部は本日声明を発表し、初の日英航空戦闘機演習を三沢基地を舞台に10月中旬から11月初旬まで開催する。
演習は今年1月の外務・防衛閣僚会合(2+ 2)で実施が合意されていた。
英空軍はタイフーン4機、ヴォイジャー空中給油機、C-17輸送機を派遣し航空自衛隊はF-2およびF-15を参加させる。
航空自衛隊にとって米国以外の国との共同訓練は今回が初となる。演習は相互運用性を確認し、日英の協力関係を安全保障、防衛分野で広げるのが狙い。
演習名称は「ガーディアンノース16」で空自、RAFが安全保障の守り手として日本北部の演習空域を活用する。
日英両国は民主主義国家として価値観を共有し、法の支配原則の信奉でも一致する。ガーディアンノース16は両国が安全保障防衛部門での協力関係を深化させる一環となる。■


2016年9月15日木曜日

韓国が北朝鮮首脳部抹殺の作戦構想を立てていると判明


この記事を見て正直な感想は①韓国の装備で平壌を本当に全滅させられるのか ②どこまで作戦構想が現実的なのか ③統帥権を在韓米軍が握る中で韓国の暴走が許されるのか ④平壌を攻撃すればソウルも攻撃を受け、南北で血なまぐさい戦いに火がつくのではないか ⑤ 相次ぐ北の弾道ミサイル実験、核実験に精一杯対抗して情報を開示したのでは という点です。

S. Korea unveils plan to raze Pyongyang in case of signs of nuclear attack

2016/09/11 11:31

SEOUL, Sept. 11 (Yonhap) --韓国が北朝鮮の首都平壌の撃滅作戦を準備していることがわかった核攻撃の兆しを北朝鮮が見せれば集中爆撃を加える構想とソウル軍事筋が明かした
「平壌市内各地特に北朝鮮指導層が身を潜める可能性が高い場所を徹底的に空爆するため弾道ミサイルと高性能弾薬を投入します。北が核兵器使用の兆候を見せれば迅速に実施します。言い換えれば北朝鮮首都は灰塵に帰し地図から抹消されます」(同軍事筋)
South Korea's Hyunmoo II ballistic missile (Yonhap file photo provided by the Ministry of National Defense)
韓国のHyumoo II 弾道ミサイル(Yonhap file photo provided by the Ministry of National Defense)
詳細な空爆構想は韓国国防省が「韓半島大規模懲罰報復」 (KMPR) 構想を先週国会に提出した中で明らかになった。これは北朝鮮の核実験に対応したもの。
「国防省の作戦構想KMPRの狙いは平壌の特定地区を地図上から抹消することにあります」(同筋)
作戦構想では先制攻撃を北に加え、金正恩ほか軍上層部を標的とする。これは北が核兵器を使用する意図があることを探知した場合、あるいは開戦の場合だと同筋は解説。
この作戦構想では国産地対地弾道ミサイルを使用する想定で、Hyunmoo 玄武2A、2Bおよび3を発射する。(有効射程は、それぞれ300、500、1,000キロ)
来年には各型ミサイルの発射実験が終わり、Huymooミサイルの整備は迅速に進むという。
「KMPRは究極の作戦構想で、核兵器を使わず最大効果をあげようというものです」(同筋)
別の筋によれば北朝鮮首脳部を標的とした特殊作戦部隊が韓国軍内に発足している。「この部隊は北朝鮮首脳部を狙い、報復攻撃を加える」という。■


2016年9月14日水曜日

★★★沖縄から発進の米F-15編隊が中国スホイSu-30MKKと9月12日台湾沖合でにらみ合いをしていた



軍事航空専門サイトのAlert 5が中国報道を伝え、独自取材で事実を確認しています。中国編隊は演習で遠距離飛行を試みたようです

USAF F-15s face off PLAAF Su-30MKKs on Sept. 12 off Taiwan


中国国営メディアが9月12日、人民解放軍空軍(PLAAF)が爆撃機、戦闘機、支援機の編隊をバシー海峡から太平洋にかけ飛行させたと報道している。台湾のUp Mediaは米空軍がF-15を日本から派遣したと伝えた。本誌は取材源を確認し、事態が実際に発生していたと確認した。
Up Media報道によれば米海軍駆逐艦USSスプルーアンス(DDG-111)が同近海で航空機集団がバシー海峡方面に向かうのを探知し、ただちに上空援護を要請し、F-15が8機沖縄から発進し、別途RC-135も二機急行した。
同時に台湾もF-16と国産IDF戦闘機を計16機数波に分けて飛ばし、中国機の飛来探知に対応した。
報道では米中の接近は蘭嶼Orchid Island付近としているが、本誌の独自取材では台湾と日本のそれぞれの防空識別圏ADIZが分岐する地点に近かったと判明。両陣営の戦闘機パイロットはそれぞれ高度を稼ぎ有利な立場を確保しようとし、PLAAF機は台湾ADIZに侵入した。台湾空軍機は距離をおいて事態を観察し、中国領空方面には近づかなかった。米中の戦闘機隊はその後北と東にそれぞれ退去した。■


★★ボーイングがT-X案を発表



ボーイングは戦闘機ビジネスに残るためにもぜひ採用を期待するところでしょう。製造技術面での革新性がどこまであるかも好奇心をかきたてるところです。韓国その他の国で供用中の練習機をそのままではありませんが採用するのは想像しにくいですね。商売が上手なボーイングのこと、相当の売り込みをかけてくるでしょうね。

 Boeing Unveils T-X Advanced Trainer Aircraft

By: Valerie Insinna, September 13, 2016
ST. LOUIS — ボーイングは米空軍向け次期練習機採用を狙う新型機を9月13日公表した。単発双尾翼構造の機体はスウェーデンのSaabと共同開発
  1. 劇的効果を狙ったロールアウト式典で同機が公開されると同社幹部からもう一つ驚くべき発表が出た。二機が完成ずみだ。
  2. 「当社T-X案は双尾翼が特徴で、一枚尾翼機より操縦特性が優れます。スタジアム型座席配置で後席教官に良好な視界を提供します。整備にも優しい機体です」とボーイング・ファントム社長ダリル・デイヴィスが席上で述べた。「眼に見えない部分がすごいのです。高度設計内容と製造方法がこの機体の背後にあります」
  3. ボーイング-Saab共同開発機はGE404エンジン単発で特徴はグラスコックピットとオープンソフトウェアでデータは機体から地上訓練設備に吸い上げる。機体には今後の発展の余地があり、イアmは主翼にハードポイントの要求はないが、二箇所で装着可能で空中給油用の追加装備の余地も残してある。
  4. 1号機がロールアウト式典で展示されたが、地上試験はすでに始まっており、今年末に初飛行の予定とデイヴィスは説明。二号機は式典後に記者団に披露されたが構造試験用に投入される。Defense Newsは今回ボーイングから宿舎と旅行手続きでボーイングから便宜を提供されている。
  5. 米空軍は性能内容でインセンティブを提供することとしており、高G性能や迎え角性能が想定されており、ディヴィスはコストて削減のために現在要求水準の解明を行っていると説明。
  6. 両社は新製造技術も採用しているが報道陣には内容ほとんど公開していない。デイヴィスは治工具無しでの製造が可能とだけ述べている。その他には接着剤でキャノピー製造工数を減らし、3-Dプリンターでポリマー樹脂部品を製造している。「この場で企業秘密を明かすことはできませんが、コスト曲線を相当下げています」(デイヴィス)
  7. デイヴィスはSaab-ボーイング間の作業分担の詳細も明らかにしなかったが、ボーイングのF/A-18E/FスーパーホーネットとSaabのグリペンの技術が応用されている。 「流用された技術は設計と製造両面で多くあります。Saabからはこれまでの知見を大量に提供してもらい、グリペンのシステムから一部流用しています」(デイヴィス)
  8. ボーイングは同機の生産拠点を決定しておらず、当面はセントルイスで技術製造設計段階の作業を続ける。
  9. 米空軍は350機を導入しT-38と交代させる。今年末に最終案の提案要求を提示し、絞り込み選考は2017年に完了する。
  10. ボーイングはT-X発表で専用ウェブサイトを8月に公開し、概念図や宣伝ビデオを小出しに公開する手法をとった。正式発表は空軍協会主催の航空宇宙サイバー展示会カンファレンスの一週間前とし、同機への関心をさらに高める意向だ。
  11. T-X競作では4案のうち2社が完全新型設計で、そのうちボーイングがまず機体を公表した。残るノースロップ・グラマン案は秘密のベールに覆われているが、試作機写真がトゥイッターに現れている。
  12. ロッキード・マーティンはT-50Aと組み、韓国、インドネシア、フィリピン、イラクで供用中の機体を元にする。レイセオン、レオナルド、CAE連合はT-100としてレオナルドのM346(イタリア、イスラエル、シンガポールで供用中)を原型にした機体を提案する。■


2016年9月12日月曜日

★★回想の9/11 体当たり攻撃をしてでも旅客機を食い止める覚悟だった米空軍搭乗員



9/11では当時から空軍戦闘機が迎撃に向かったとの話は流布していました。今回は当時のパイロットからの回想が紹介されていますが、セレブの話題など中心のメディアでこんな記事が出るところがアメリカの懐の深さでしょうね。

Inside a Hero Fighter Pilot's Decision to Give His Life in Kamikaze Mission on 9/11: 'We Were Going to Do the Unthinkable'


BY NICOLE WEISENSEE EGAN

UPDATED 09/11/2016 AT 09:00 AM EDT ORIGINALLY PUBLISHED 09/09/2016 AT 04:50 PM EDT


米空軍中佐マーク・サセヴィルが世界貿易センターに飛行機が衝突したとの一報を聞いた2001年9月11日、中佐も他の数百万名同様に単なる事故だと思っていた。


.だが二機目がタワーに衝突したと聞き、中佐は第121戦闘機飛行隊の隊員とアンドリュース空軍基地(メリーランド)で直ちに行動に移った。


三機目がペンタゴンに突っ込むと93便がワシントンDCへ向かっているとの一報が入った。


「93便の行き先は誰も知らなかった」と中佐は本誌に語ってくれた。「そのためわれわれはとりあえず滞空待機を命じられた」


「旅客機が本来の目的地以外の場所へ突っ込んでいることはわかった」「ホワイトハウス、議会議事堂などに激突すれば大惨事になる。ペンタゴンは軍事目標として受け入れられても、その他は想定外だ」


中佐と同僚パイロット、ヘザー・「ラッキー」・ペニーがそれぞれ自機F-16に向かった。


「たったひとつの問題は機体が武装していなかったことだ。通常は武器を搭載して飛ぶことはない」と現在は少将に昇進しペンタゴンに勤務するサセヴィルは語る。


両機の唯一の武器は機体そのもので、サセヴィルとペニーは神風ミッションに出撃したのだった。


「機に向かう途中、ラッキーと短く言葉をかわし、これからする仕事のこと、必要となったら普段は考えもしないことをどう実施するかを話した」


旅客機撃墜の訓練を受けておらず、両名は自分で案を立てる必要があった。


Inside a Hero Fighter Pilot's Decision to Give His Life in Kamikaze Mission on 9/11: 'We Were Going to Do the Unthinkable'| September 11th, Real People Stories

当時のサセヴィル少佐  COURTESY: MARC SASSEVILLE


「旅客機をどうしたら迅速に撃墜できるかを考えだす必要があった」「二機一緒に飛び、こちらが旅客機の一部に激突し、彼女が残りの部分に当たるつもりだった」


「コックピットを狙うからな」と中佐。「では尾部を狙います」と彼女が答えた。「『狙う』といったのは激突する意味だった。なんといっても両機は武装していなかった」


空に上がるとまず93便を探し始めた。ペンタゴン上空を飛ぶと炎上がる建物から人命を救おうとする懸命の様子が目に入った。「信じられないほど混乱した光景だった」という。


「煙はコックピットまで入ってきた。いまだから話すが吐き気を感じた。匂いんの問題ではなく、国土が攻撃されたことで動転したのだ」 「ここまでの攻撃をやってのけたことに驚いた」


中佐はラッキーとDCあたりを旋回飛行しつつ、再度93便をどう撃墜するかに集中した。


「操縦席周りと尾部に体当りしても同機はすぐ墜落しなかっただろう」「そのため狙うなら主翼で飛行能力を奪うことだと考え、機体の主力近くに狙いを定めることとした。激突したら可能なら射出脱出し、すべてそこまでうまく行けばの話だった」


「主翼を狙わないかぎり機体の飛行性能をダメにできない。主翼が狙いだった。問題は同機がどこを飛んでいるのかわからないことだった」


心のなかでは自分が命を失う可能性と何百名もの罪のない乗客が93便におり、自分が任務に成功すればこの人達が死ぬことを秤にかけていた。


「士官学校での哲学講座どおりで一人の命を犠牲にすれば数百名を救える、また壊滅的な国家聞きを回避できると考えていた」


Inside a Hero Fighter Pilot's Decision to Give His Life in Kamikaze Mission on 9/11: 'We Were Going to Do the Unthinkable'| September 11th, Real People Stories

マーク・サセヴィル少将 NATIONAL GUARD BUREAU


同じ「道義上の計算」を93便の乗客を対象にあてはめれば中佐が任務に成功すれば機体は地上に激突し全員が命を奪われるのだった。


「機内が満席でないよう祈っていたが、どちらにせよ墜落すれば地上でも余分な犠牲者が増えるだろう」「ペンタゴン以外の国家の象徴が標的になるのは考えたくないことだった。実現すれば21世紀の行方が全く変わってしまう」


中佐は後に知るのだが93便の乗客も全く同じ結論を出し、自分たちの力で同機をシャンクスヴィル(ペンシルバニア)に墜落させたのだった。


「信じられない話だ。乗客たちこそ真の英雄だ。自分たちで状況を理解し、正しく把握した上で何をすべきか決断したのだ。話を聞いて涙が出て仕方がなかった。今でも同じです」「まさしく同じ計算を心の中で行い、倫理上の重荷を自ら背負ったのだから」


「そのことと関連して当時も今も変わらない事実はこの国が攻撃を受けたことだ。怒りが湧く。しかも攻撃はまだ終わていない」「事実にどう向き合うべきか。まず戦いは長い長いものとなっており今も続いている」


サセヴィルはペンタゴン勤務の今でも9/11の記憶は消せないという。「駐車場で毎日攻撃箇所が目に入りますから、どうしても記憶が鮮明に蘇ります。犠牲になった人たち、悲しみにくれる家族、建物内で無事だった人たちも多数います」「テロ攻撃でPTSDに苦しむ人も多い。ニューヨーク・シティでも同じでしょう」


現在のわれわれは15年前より「遥かに準備が整っており」同じ状況は再発しない。


「警戒に当たる機体は24時間7日間連続で待機し、武装もしていますので、本日同じことが起こっても対応は全く違う」


15周年記念日が今年は日曜日で、ササヴィル少将の予定は単純だという。「祈りを捧げてから犠牲者のために乾杯します」