2016年11月26日土曜日

ヘッドライン11月26日



11月26日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

ロシアが鉄道移動式新型ICBMを開発中
ロシア報道では専用鉄道車両からの新型バルグジンICBMが発射前起立待機テストに成功した。専用車両で6発のRS-24ヤルスミサイルを運用する。次は発射テストで、2018年までに実用化を狙う。

F-35C運用開始を2018年に設定した米海軍
海軍初のステルス機材としてF/A-18E/Fスーパーホーネット、E-2Dホークアイで構成の空母航空戦力に加わる。デルタフライト・パスで空母着艦のパイロット負担を軽減する。空母運用を考慮して主翼を拡大したC型はすでに海軍運用の実証試験を第三段階までこなしている。

米海軍13万名の個人情報流出
契約企業ヒューレット・パッカードのノートパソコンから13万4千名の名前、社会保障番号が流出したと海軍が発表。NCISが同社と捜査を続けている。現時点で個人情報が悪用された兆候はないという。
イランは民間機でテロリスト向け武器を輸送していた
レバノンのヒズボラ向けに武器等を密輸していたと米情報機関が把握しており、議会に報告しえいる模様。イラン向けに大量の旅客機販売を認可したオバマ政権だがこのままでいいのか。http://freebeacon.com/national-security/iran-using-planes-smuggle-weapons-terrorists/
インドが33年かけて開発した軽戦闘機はまだ完成の域に達していない
ヒンドゥスタン航空工業製Tejas軽戦闘機を低価格で整備が簡単と途上国向けに輸出を狙うインドだが、同機開発は1980年代にはじまっており、真剣に関心を示す海外国があるのだろうか。http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/india-took-shocking-33-years-develop-jet-fighter-its-still-18505



2016年11月25日金曜日

★米海軍の「極秘」潜水艦にロシアが神経を尖らせる理由がある



結局三隻しか建造されなかったシーウルフ級は特別な存在のようです。その任務内容が明らかになることは多分ないでしょうが、相当重要な任務についているようです。北極海での活動用に特別に改装されているようです。

The National Interest


The 'Secret' Submarines the U.S. Navy Doesn't Want to Talk About (And Russia Fears)

海上公試中のUSS Seawolf Wikimedia Commons/Public domain.

November 19, 2016


2013年8月、米海軍の攻撃型原子力潜水艦USSシーウルフがワシントン州ブレマートンを出港し、1997年就役以来五回目あるいは六回目の任務についた。
  1. 一ヶ月後、第六艦隊がノルウェー駐在米大使がハアコンスベルン軍港に寄港中のシーウルフを視察する写真をFlickr上に公開した。ワシントン州から数千マイルの距離だ。
  2. 同艦は北極海を潜行してノルウェーに着いたのだ。

沈黙の部隊

  1. 米海軍は潜水艦部隊について口を閉ざしている。潜水艦の最大の利点はステルスだ。70隻ほどの潜水艦部隊でシーウルフは姉妹艦コネチカット、ジミー・カーターとともに特に秘匿性が高い。
  2. シーウルフ級各艦をグーグル検索しても何もわからない。
  3. シーウルフの公式ホームページは閉鎖されている。シーウルフの外観写真は2009年時以来見られない。
  4. シーウルフ及び姉妹艦は特別な存在だ。新型で大型高速で重武装の同級は他の攻撃型潜水艦と一線を画し、一隻およそ30億ドルの費用がかかっているが数億ドル相当の特別装備が搭載されワシントン州で特別戦隊に編入されている。
  5. 一回航海に出ると数ヶ月帰港せず、しかも出動の公表は一切ない。シーウルフ乗組員の配偶者は同艦の動きは「全く予想できない」と表現している。
  6. 一方で同級の秘密ミッションは成功を収めている。2007年にシーウルフ乗員140名に殊勲賞が授与された。これは戦闘時なら青銅章に匹敵するもので、2009年には海軍部隊受勲(銀星章に匹敵)が授与された。
  7. 潜水艦が情報収集、巡航ミサイル発射、テロ戦闘員やならず者国家相手へ特殊部隊員を送り込み偵察や強襲作戦へ投入しているとしても、シーウルフもこれらの任務を実施しているのか不明だ。
  8. シーウルフの所属もわからない。太平洋艦隊編入が通常だが、簡単に変更されているようだ。

パズルのピースを集めると

  1. 判明していることもある。2011年3月に姉妹艦コネチカットが北極海で試験に投入されている。
  2. コネチカットと新造ヴァージニア級のニューハンプシャーはアラスカのプルドーベイを航行し、「ICEX」演習を開始したが、1958年のUSSノーチラスが初めて北極点の下を航行して以来実施されていなかった種類の演習だ。
  3. コネチカットは「米海軍極地潜水活動研究所およびワシントン大学応用物理教室と共同で新型装備品の運用試験をおこない氷原下で作戦訓練を実施した」と海軍は発表している。
  4. ここで言う新型装備品には「高周波ソナーによる北極海中での安全航行とレイセオン製ディープサイレン通信装置がある」と海軍は発表していた。
  5. シーウルフが2009年からほぼ三年間に渡り乾ドックに入っていたと判明している。契約企業各社は280百万ドルで作業を実施している。またシーウルフが冷たい太平洋の海中に戻ったのは2012年4月のことで同艦は「以前よりも性能が上がった」と当時の艦長ダン・パッカー中佐が述べていた。
  6. コネチカット同様の氷山下装備をシーウルフが搭載している可能性がある。米海軍は改めて北極海に注目しており、氷山が減少する中で新航路が開けつつあり活動を強化する外国海軍勢力がある。
  7. 「北極海に安全保障面で重要な関心がある」と2009年に当時の海軍作戦部長ゲーリー・ラフヘッド大将が語っていた。

ロシアの反応

  1. いずれにせよシーウルフが世界の頂上を横断したのは明白だ。ノルウェーへ数週間で到達するには他の航路はない。
  2. ではシーウルフは氷の下で何をしていたのか。訓練が頭に浮かぶ。北極海行きは「戦闘装備、航法装備、通信機器のテスト以外に新しい環境での運用性を試すチャンス」とラフヘッド提督も述べていた。
  3. 潜水艦伝統の秘密運用以外の理由もある。2009年のICEX実施の際のロシアの反応を思い起こしてみよう。「外国潜水艦がロシア領海付近を通行することが我が方の関心を喚起するのは当然である」とクレムリン報道官は述べていた。
  4. ロシアはアメリカ潜水艦が何をしているのか知りたがるはずだ。■


ヘッドライン11月25日 カナダがホーネットつなぎ導入へ他



11月25日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。


カナダが新造ホーネット18機導入を検討中
運用中のCF-18につなぎとしてスーパーホーネットを導入すると、ロッキード・マーティンには痛手となる。トリュドー首相はF-35導入はしないと断言している。CF-18は高機齡となり機数も減衰しており、戦闘機勢力のテコ入れは必至の状態。ロッキードはカナダがF-35導入しない場合、同国産業界向け発注を他に振る向けると牽制する姿勢を示している。


イオン嵐とGPS
アフリカから南アフリカ上空の低軌道周回衛星ガイオン層の乱れを受けてGPS信号が受信できなくなる現象をヨーロッパ宇宙機関が発見した。イオン層は太陽光により自由電子が分散し、イオン物質が入らないバブルが混じることで「嵐」の状態になる。


イリジウムが新世代軍事通信手段を提供
イリジウムは国防総省から新規契約を交付され、軍事通信分野の近代化を支援することと鳴った。同社はこれまでもペンタゴンとの契約実績があり、保安回線通信手段を提供している。

海自徳島基地でフィリピン海軍向け飛行訓練実施へ
海上自衛隊徳島基地でフィリピン海軍パイロット2名が機種転換訓練を受ける。海自練習機TC-90の供与に伴う訓練で来年3月に終了する。合計6名のパイロットを養成する


北朝鮮は韓国に勝てない
国内で混乱が続く韓国だが、本当に北朝鮮に対して劣勢なのか。韓米両国に韓国の脆弱性を強調する傾向があるが、北朝鮮が勝利を収めるには相当苦労しそうだし、中ロ両国は現状維持を希望している。だが半島を平和にするためにはまず北の核装備を解体する必要がある。

中国の海上民兵は要注意
人民解放軍海軍、中国海警に次ぐ三番目の勢力として海上民兵に米太平洋艦隊司令官が懸念を深めているが、米側にとってその成り立ち、構造、目的は依然謎のままだ。中国政府はつながりを否定するものの、その存在が国家の目指す方向を補強する存在であるのは明らかだ。



2016年11月24日木曜日

ヘッドライン 11月24日



11月24日のヘッドライン

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日米合同演習Keen SwordにB-1B部隊が初めて参加
1986年以来、二年毎に実施中のKeen Sword 17演習にグアムからB-1Bが参加し、航空自衛隊と近接航空支援の演習をおこなった他、ミサイル防衛でも相互運用性を確認。

新型駆逐艦ズムワルトで機関故障、自力航行不能となる  パナマ運河通行中のUSSズムワルト(DDG-1000)艦内の事故は熱交換器で発生し、すべての系統を電動に頼る同艦は苦境に陥った。ズムワルトは10月15日に就役したばかりの最新鋭艦。搭載する発電容量は78メガワットと前例のない規模になっている。東海岸からサンディエゴに向かっていた。http://www.defensenews.com/articles/zumwalt-breaks-down-gets-tow-in-panama-canal
アレッポを空爆しているのは誰か
アレッポ市街地を空爆しているというのはロシアではない。アサド政権だ。

ホーネット改修で運用継続をスイスはめざす
新型機に飛びつくのは愚策と現国防相は考え、一方で新型機候補を絞り込みつつ、導入を2025年から2030年と想定すると、現有F/A-18(34機保有)が期待寿命の5,000時間にそれまでに到達する。そこで機体を補修しながら飛行時間をさらに1,000時間延長したいとする。また現有F-5(53機保有するが飛行可能は25機のみ)も稼働を延長する動き。

内閣情報室が尖閣諸島めぐる中国の動きを評価、ペンタゴン向けに説明
米国防総省は日本に情報評価機能の充実を求めてきたが、今回の内閣情報室による評価説明には概ね満足している模様。日本側は中国海警の実力はまだ海上保安庁に及ばないが、装備充実を狙い、海上石油掘削施設の軍事転用の可能性を指摘しており、また温州に新たな海警基地建設の動きがある。警察出身者が多数を占める内情の機能拡大には防衛省外務省が反対している。




2016年11月23日水曜日

忍び寄る債務急増と裏腹に海外基地確保を求める中国は破滅に向かっているのか、それとも?


中国経済がいつまでフィクションを維持できるのか、世界にも看過できない問題です。悪いことは隠す姿勢ではいつまでも進歩がありません。ただその過程で世界各国も道連れになるのは困りものです。経済が不調になっても軍事拡張が可能なのか、2020年代の中国は大変な事態に陥りそうです。


 China ‘Likely’ To Seek More Foreign Bases; Troubling Debt Cited By US-China Commission

By COLIN CLARKon November 17, 2016 at 4:00 AM

J-20-third-prototype-side
WASHINGTON:  米中委員会がまとめた議会あて年次報告書を読めば世界の行く末が心配になることうけあいだ。
経済成長の裏で中国は戦略を大規模に変化させている。中国への最大の脅威は国内企業の莫大な債務であり、これは世界経済も看過できない。
報告書では「債務急増で中国国内の金融市場が不安定になれば世界市場へ影響が広がる....企業内債務はGDPの169パーセント相当に急増しており、経済成長が今後も維持できるか疑問になってきた。国際金融基金は企業債務急増は『深刻かつ拡大する問題で解決が直ちに必要』と指摘しており、企業向け貸付の不良債権化による損失はGDP比7パーセントにのぼる。
もうひとつ気になる問題がある。同委員会報告では「中国は今後も海外軍事施設を確保する動きを止めておらず、ジブチで建設が始まっているが、同様の施設を確保して作戦実施の幅を広げようとするだろう」としている。モルディブ諸島にも軍事施設を設置する動きがある。
Map of Djibouti and surrounding area
軍事基地が先なのかグローバル規模での国益の追求が先なのかの議論があるが、報告書は簡潔にこの疑問に答えている。
「中国が海外軍事プレゼンスをふやそうとしているのは軍事力を行使してまで海外権益の拡大を守るためである。中国の海外軍事安全保障活動は今後も拡大し、中国国民の海外居住の増加に呼応させる、また、経済活動の海外展開で国益を追求する一環となる」
報告書が注目するのは人民解放軍が「海外で活動を増加させる動きを示している。2016年に中国は第二十四次海賊対策部隊をアデン湾に派遣し、国連平和維持活動への貢献を拡大すると発表。さらに人道救援活動、災害救助活動も拡大し、ネパール地震、マレーシア航空MH370便事故の案件が一例だ」ことで、「さらに海外諸国と共同訓練も充実させている。2015年以降だけでも二国間あるいは多国間演習を11回実施している。軍用装備品の海外販売も急増しており2011年から2015年にかけて中国の武器輸出は世界三番目の規模と米国、ロシアに次ぐ存在になっている」とある。
米中間の軍事関係について同報告書では両国が「意味のある協力関係を2016年模索し、一部問題での緊張が先行きへの不安要因となっている」と南シナ海はじめ緊張要因を暗示している。
Y-20 aircraftChina’s Y-20 aircraft
中国のグローバルなプレゼンスを裏付けるのが軍事力だ。整備中の「兵力投射手段として陸海空のミッションに投入」されそうなものとして以下を列挙している。
  • J-20多用途ステルスジェット戦闘機の初飛行隊は2016年末に編成
  • 空母二号艦は「2016年8月時点でほぼ完成
  • フリゲート、駆逐艦、揚陸艦の就役が続行中
  • 重要なのがY-20大型輸送機で初号機が作戦投入可能になった.
その他中国による諜報活動他の問題について同報告書を参照されたい。http://www.uscc.gov/Annual_Reports/2016-annual-report-congress


11月23日ヘッドラインニュース



11月23日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

ロシア空母での着艦事故の原因は着艦ケーブルの不良とエンジン燃料切れ
MiG-29Kが先週地中海で空母クズネツォフへの着艦に失敗し、海中に落下した原因が判明したとロシアメディアが伝えている。先行して着艦した機がケーブルを切断し、燃料切れになっていた。状況を監視していたNATO艦船が援助を申し出たが拒絶されている。


原潜シーウルフの謎に満ちた運用状況
機密保持が特に厳重なシーウルフ級原潜の行動はほとんどうかがい知ることができないが、北極海下で運用されている模様。温暖化の進展で北極海が改めて注目されており、米海軍原潜の活動再開にロシアも警戒中。

ロッキードが韓国空軍F-16改修を12億ドルで受注
韓国空軍のF-16計134機がロッキードによる改修でF-16V仕様に変わると相当の戦力増強が期待される。AESAレーダー搭載も含む。世界各地に引き渡し済みのF-16が4570機あり、性能改修事業はロッキードに有望な事業になっている。

ジェット推進式アヴェンジャーUAVが初飛行に成功
11月14日、ジェネラルアトミックス・エアロノーティカルシステムズのアヴェンジャーExtended Rangeが初飛行に成功。原型のプレデターCアベンジャーはすでに13千時間のフライトを実施している。20時間飛行が可能で、各種センサーを搭載する。

冷戦時のミサイルを再就役させてまで沿海防衛を強化するスウェーデン
冷戦時に計画されたものの途中で装備調達が中断したミサイルRBS-15を再就役させ、博物館入りしていた発射トラックとあわせ、東部ゴットランドの防衛体制を強化する。バルト円が地方の安全保障環境の変化に対応したロシアをにらんだ動きだろう。



2016年11月22日火曜日

11月22日のヘッドラインニュース


11月22日のヘッドラインニュース

F-35Aトルコ向けの引き渡しは2018年開始

トルコ国防相から発注中のF-35A24機のうち、最初の2機を2018年に受領するとの発表があった。

カナダはCF-18後継機にスーパーホーネット導入を選択

自由党政権はF-35導入の当初案の代わりにボーイングからスーパーホーネットを導入する方針に変更はないことがわかった。


民間向け超音速旅客機の実証機「ベイビーブーム」登場
新興企業ビームテクノロジーズが小型実証機をデンヴァーで11月15日公開した。2017年から飛行試験を開始し、その後に45席マッハ2.2で1,000nm飛行可能な超音速旅客機への本格開発を狙う。


トランプ政権の国防関連人事構想が浮上
国防長官にはタレント前上院議員の名前があがり、中国関連の知識の深さが注目。ウィン前空軍長官はゲイツ長官により罷免されているが、副長官として強力な存在になるだろう。その他陸軍長官にはヒップ(有力ロビー団体会長)、空軍長官はマッコイ(宇宙輸送協会会長)、海軍長官はフォーブス下院議員(退任予定)が有望。トランプは業績により断固たる処分を行う方針のようだ。


ISISがマッドマックスになった
ISIS戦闘員が装甲を施した自動車で自爆攻撃をイラク軍、クルド人部隊に繰り返している。モスル攻防戦で捕獲された車両が公開された。vehicle-borne improvised explosive devices, or VBIEDs 車両搭載即席爆発装置の名称がついている。


B-21はロシア防空網を突破できるのか
新型爆撃機はステルス性能を向上させ世界最優秀の防空体制に十分対抗できる設計。構想図には機体に排気管がまったくついておらず熱探知を免れる新技術が実用化される模様。無人運用も可能となり、ステルス対抗技術の効果を上回る性能を発揮する。



間もなく登場 開発テストを切り上げて不完全なままで作戦投入するF-35の問題点


2016年11月21日月曜日

歴史に残る機体12 ダグラス A-3ホエール





This ‘Whale’ saved 700 planes during the Vietnam War

Nov 17, 2016 6:55:54 am
歴史愛好家がヴィエトナム戦当時の米海軍機を話題にするとF-4ファントムが中心になる。各軍が共用した同機は海軍でエース2名を生み出した。ランドール・「デューク」・カニンガムとウィリー・ドリスコルだ。そしてもちろんA-6イントルーダーがある。同機は小説で映画化された「Flight of the Intruder」(邦題イントルーダー 怒りの翼)でも有名だ。
だがもっと注目されて然るべき一機がある。
The RA-3 Skywarrior decked out in camouflage and displaying its various reconnaissance package options. (Photo from Wikimedia Commons)
RA-3Bスカイウォリアー、カモフラージュ塗装で搭載可能な各種偵察装備を展示している。(Photo from Wikimedia Commons)
それはダグラスA-3スカイウォリアーで機体の大きさから別名「ホエール」と呼ばれる。たしかに大きな機体で全長76フィート、翼幅72フィートで最大離陸重量は82千ポンドにのぼった。最大航続距離は2,100マイルでペイロード12,800ポンドを搭載した。
当初こそ爆撃任務をこなしたが、スカイウォリアーがその名を輝かせたのは電子戦と空中給油で、海軍は85機をKA-3B給油機に改装し、うち34機にはジャミングポッドを搭載しEKA-3Bとした。
The KA-3 could carry a lot of av gas. (Photo from Wikimedia)
空中給油中のKA-3B. (Photo from Wikimedia)
給油機として空母航空隊各機に燃料を補給しただけでなく、敵レーダーを妨害し、攻撃部隊の探知を遅らせる活躍もしている。
別にRA-3B偵察機も生まれ、ERA-3B電子アグレッサー機、EA-3B電子偵察機も加わった。
KA-3BとEKA-3Bは北ベトナム領土奥深くまで空爆部隊を送り込んだだけではない。各機は空母帰還用の燃料も補給し、対空兵器の損害を受けた機体も助けた。航空史家ジョー・ボーガーの算出では海軍・海兵隊所属機700機以上がホエールの空中給油で救われている。
この数字は大きな意味がある。EB-66E爆撃機が1972年のイースター攻勢作戦で撃墜された事例では、大規模救出作戦で、唯一の生存者アイシール・「ジーン」・ハンブルトン中佐の回収をめざした。途中で5機を喪失し、米軍11名の生命が失われ、2名が捕虜になった。
A-3最後の派生型EA-3Bは1991年の砂漠の嵐作戦にも投入され、VQ-2飛行隊が運用し、その後退役した。E-3として民間がエイビオニクスのR&D用途に2011年まで飛行させていた。
初飛行1952年の機体としてはなかなかのものではないか!
WATM contributor Harold Hutchison was consulting senior editor at Soldier of Fortune magazine and is the author of the novel Strike Group Reagan. He has also written for the Daily Caller, National Review, Patriot Post, Strategypage.com, and other national web sites.
EB-66(A-3が原型の空軍仕様)事案はバット★66の邦題で映画化されていますね。艦上爆撃機としてこれだけ大きな機体が生まれたのは核爆弾が小型化できなかったからです。



11月21日のヘッドラインニュース



11月21日のヘッドラインニュース

スペイン向けA400M初号機引き渡し

スペイン空軍はA400M(MSN44号機)をセビリアの同機最終組み立てラインで11月17日に受領した。



中国が海外基地確保に意欲、しかし莫大な企業部門負債が世界経済に脅威

米中委員会が議会向けにまとめた最新年次報告書があきらかになった。負債の拡大で国家財政がピンチになりそう。特に企業部門の負債合計はGDP比169パーセントに達しており、世界経済にも脅威となる。一方でジブチに加え東アフリカ沿岸国やモルディブで基地の確保を目指している。


英空軍:10億ドルでプレデターBを導入

英国は空軍向けにプレデターBを最大26機調達する。現行のMQ-9リーパーより高性能な成果を発揮することを期待。英軍名称はプロテクターとなる。そのほかAH-64アパッチ、P-8ポセイドンも英国に販売される。


ハリヤーとライトニングIIで近接航空支援に効果をあげるのはどちらか

AV-8B+ はMk 82 500-ポンド爆弾14発、あるいはMk 84 2,000爆弾, CBU-87や CBU-100クラスター爆弾, AGM-65マーヴェリック対地攻撃ミサイル, GPS誘導方式JDAM、レーザー誘導爆弾を搭載できる。また25ミリGAU-12機関砲を内蔵し300発を発射可能。F-35BはJDAMは運用できるが、 2,000ポンド爆弾は使えない。


謎の無人シャトルX-37Bは軌道上で何をしているのか

米空軍が運用中の同機はこの瞬間も軌道上にあり、連続500日以上飛行中。中国の宇宙ステーションを偵察すべく軌道を変更したとの報告もある。



2016年11月20日日曜日

トランプ大統領は次期大統領専用機にどんな注文を出すのか


まあエアフォースワンはともかく、F-35と核攻撃兵力の整備でトランプ大統領がどんな判断をビジネス感覚で出してくるか注目されます。産軍複合体の後ろ盾なく当選できたので業界としても不安な面持ちであることは確かなようです。1月の大統領就任式までは観測がさかんになるでしょうね。自分のお金があると色々自由になっていいですね。747から派生したもう一つの重要機材E-4については後継機構想はまだ浮上していないようです。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to

Will Trump Be Satisfied With Plans for a New Air Force One?

President-elect likes luxury and has criticized plane maker Boeing

by JOSEPH TREVITHICK
大統領選で一年以上にわたりドナルド・トランプは米軍拡充を曖昧に語ってきた。トランプ政権が発足後に構想を現実にしていくと期待したい。
  1. トランプは既存の国防事業で責任も引き継ぎ、その中に新型技術向上型エアフォースワンも含まれる。2016年1月に米空軍からボーイングに「大統領ミッション用の」747を3機製造する契約を交付したと発表があった。
  2. 空軍は新型機投入は2024年以降と見る。その時点でトランプが再選されていてもホワイトハウスの主でいられるのはわずかだろう。
  3. そうなるとアメリカの新指導者が同機を利用することは少なくなる。トランプはエアライン経営に失敗したものの航空分野に熱意を持ち、なんでも「一番」がいいと公言するナルシストである。贅沢を好み、選挙期間中はボーイングに批判的だった。
  4. ペンタゴンが大統領一行の移動用に専用機材を確保するのは1944年以来の伝統であり、大統領が搭乗した機材は「エアフォースワン」のコールサインとなる。
  5. 2016年現在、空軍にはボーイングVC-25Aが二機あり、747-200B旅客機を改造した各機は大統領移動用に待機している。ボーイングがホワイトハウス同様に同機の各種装備については口を閉ざしているのは理解されよう。
  6. 最新の通信機材、防御装備、他が搭載されているはずだ。ホワイトハウスによれば各機に医療室があり緊急時対応の医師が待機しているという。乗員30名で70名超の乗客に対応する。キッチンは100名以上の食事を提供できる。
U.S. Air Force VC-25s. Air Force photo
  1. ただし機体は老朽化が進んでいる。ボーイングが両機を納入したのは1990年12月のことだ。
  2. そこでペンタゴンは最新式の747-8を選定し、新型エアフォースワンを取得することとした。新型機の最大の改良点はエンジンだ。
  3. 2016年度現在でVC-25の運航費用は一時間あたり180千ドルを超えており、B-2ステルス爆撃機の二倍の水準だ。新型エンジンの燃料消費率改善がこの経費を押し下げそうだ。ジェネラル・エレクトリックの次世代エンジン四発を搭載した747-8VIP仕様は無給油で8千マイルを飛行できるとボーイングは説明。VC-25同様に空中給油能力も備えるだろう。
  4. また無線通信能力もその他装備同様に引き上げるのだろう。2016年7月時点で空軍はまだ詳細を詰めている段階だった。
  5. 2016年9月29日に空軍はボーイングに25百万ドルを交付し、機体の「非公開要求内容」用とした。その時点で同社は168百万ドルを事業費として受領している。
  6. ペンタゴンは機体単価を発表していないが、ボーイングは民生用の747-8のVIP仕様改装費用は360百万ドルを超えると発表している。空軍は新型機は最低30年間の供用に耐えることを期待している。
  7. トランプがホワイトハウスを去るまでに新型機が登場する可能性はないが、トランプが新型エアフォースワンに注文を加えボーイングの納入に影響を与えることはありえる。VC-25はロナルド・レーガン大統領がホワイトハウスを去る1990年1月に発注している。
  8. レーガンは生前に新型機に乗る機会はなかった。2004年6月の死去で一機が遺体をワシントンDCへ搬送した。
米国境警備隊ヘリコプターの後ろにトランプフォースワンが駐機している。2016年共和党全国大会にて。Customs and Border Protection photo
  1. トランプから新型エアフォースワンについて言及は今までないが、明らかに本人には独自の趣向がある。2016年大統領選中に自家用ジェット機で各地を飛び回っていた。
  2. 報道陣はトランプの専用機ボーイング757を「トランプフォースワン」と呼んでいた。747より小型だが100百万ドルする同機は45名までしか搭乗しなかった。
  3. 同機にはエアフォースワン並みの暗号化無線装置、対空ミサイル用おとり装置、緊急医療設備こそ搭載されていないが、純金装飾が各所につき、木材パネルが多用されている。
  4. 「シートベルトはじめあちこちが24k金メッキ」とトランプ選対広報のアマンダ・ミラーが解説している。「客室部分は全部が木の内装です」
  5. 驚くようなことではないが、トランプの家紋がヘッドセット、枕、他機内あちこちについている。エアフォースワンの大統領専用寝室にはそこまでの装飾調度はないと想像できる。
  6. トランプの贅沢好きがエアフォースワンに影響をあたえるだろうか。報道によれば次期大統領はホワイトハウスでの暮らしを極力回避しようとしているという。
  7. 「トランプ氏は深夜遅く飛んでも自分のベッドがあるトランプタワーに戻りたいとする外泊嫌いで、側近とホワイトハウスで眠るのは一週間で何回にしようかと相談している」とニューヨーク・タイムズが報じている。「本人からは今まで通りのやり方のほうが良い、とニューヨークにこだわっていると話が出ている」
  8. 前例もある。ボーイングがVC-25製造を開始した1980年代に当時のファーストレイディのナンシー・レーガンが口を出した。長年カリフォーニアに暮らした同夫人は南西部風の内装意匠を求めた。
  9. トランプも大きく内容を変えさせる可能性がある。なぜならボーイングのビジネス慣行には批判的だからだ。同社の中国、イランとの取引、米輸出入銀行との交渉をきびしく口撃した選挙演説もあった。
  10. 「ボーイングは中国に巨大工場を建設中だ」とトランプは今年2月のサウスカロライナ州集会で述べている。同州にはボーイング工場がある。「気をつけて欲しい。工場が完成して二年もすれば皆さんの仕事はなくなる。でもトランプ当選となればそうならない。でも気をつけていて欲しい」
  11. 名指しで批判されたボーイングはトランプ当選直後に事態を和らげようと声明文を発表している。「大統領に当選したトランプならびに新たに選出された議員各位に祝意を送り、今後一緒に働くことを期待」とポール・バーグマンはボーイング商用機部門の広報として11月9日に声明を出した。「米企業はおしなべて国家安全保障におけるアメリカの指導力を維持する手助けをします」
  12. もちろん大統領専用機事業を取り仕切るのはペンタゴンであり、トランプが自身の「腹心」に事業を任せる可能性はある。ボーイング株価が大統領選挙後に連続で上げているが、他の防衛企業同様である。
  13. 2017年1月20日をすぎれば本当の変化が見えてくるし、トランプの気性が次期エアフォースワン含む各種事業にどんな影響をあたえるかもわかるはずだ。■