2017年7月27日木曜日

7月23日米中軍用機異常接近への中国の反応は予想通り



やはりというか、判で押したような主張がこれでもかと北京から出てきますが、自国の主張を全面に出してくるところは大きなこどものようです。

Beijing Accuses U.S. Navy Surveillance Aircraft of Operating Unsafely; Repeats Call for U.S. to Stop Surveillance Flights Near China 米海軍偵察機の危険行動を中国政府が非難し中国近辺での監視偵察飛行の中止を要求


 By: Sam LaGrone
July 25, 2017 12:46 PM • Updated: July 25, 2017 3:28 PM

写真: 米海軍のEP-3EエアリーズII海洋哨戒機。 US Navy Photo

  1. 日曜日に発生した人民解放軍空軍による迎撃事案で米海軍偵察機の危険飛行を中国が非難した。
  2. 中国外務省、解放軍はともに米海軍EP-3エアリーズII情報収集機による東シナ海上空の中国沿岸沖合での活動を非難している。
  3. 「米艦船航空機はこれまでもたびたび中国沿岸水域に接近し偵察行動をしており、中国の海洋航空上の安全に深刻な脅威になっている」と外務省報道官陸慷が25日述べている。
  4. 「中国は米国に対して直ちにすべての接近監視偵察行動の中止ならびに同様の事件の再発防止を求める」
成都J-10戦闘機  PLAAF Photo

  1. 国営通信新華社で国防省報道官も同様に非難する声明を発表した。
  2. 「米軍機の接近で中国の安全保障が脅かされており、両国パイロットが危険にさらされ二国間の軍の安全も被害を受けている。中米間の軍事上の安全を妨げる根本原因だ」
  3. 声明はともにPLAAF所属成都J-10戦闘機二機がEP-3に対して危険な迎撃をしてきたとのペンタゴン発表を受けてのもの。
  4. Military Timesによれば青島南方およそ80カイリ地点でJ-10はエアリーズの背後に接近してきた。その他記事ではJ-10はエアリーズの90ヤードまで接近し、無線交信の呼びかけに応じなかった。
  5. 「米海軍EP-3は通常任務中で国際法を順守していた」と米太平洋艦隊が声明文をUNSNI Newsに伝えている。「米軍機乗員の第一報によれば危険な迎撃を受けた。本件は外交軍事チャンネルで中国に懸念を伝えている」
  6. エアリーズIIは国際空域での活動を前提に交信記録を監視記録する機能があり、通信情報収集にあたる。
  7. 米中双方が通信情報収集に航空機や艦船を国際水域、空域に展開しているが、中国は米側の作戦を迅速に非難することで知られる。
  8. 今週の事件は2014年の瀋陽J-11BH戦闘機がP-8Aポセイドンにバレルロールをかけ搭載兵装を見せつけた事案に次ぐものだ。中国は米機が挑発したため発生した事案で米機は中国沿岸に接近していたと非難、ただし同機は国際空域内にとどまっていた。
  9. 「わが方のパイロットはプロ意識が高く安全を常に留意している。中国は開発途上国である」と当時の中国国防省報道官が述べていた。
  10. 「機体以上にパイロットは貴重な存在だ。他国の軒先まで飛行させて平気な国があるが、我が国は自国人員機材の安全を優先させる」
  11. この際のP-8AとJ-11事例は中国では相当有名で空中での接近を描いた絵画が中国のマイクロブログサイト微博で広く共有されていた。
2014年のJ-11による米海軍P-8Aポセイドン迎撃を描いた絵画. Image via Weibo

  1. 2001年にはエアリーズIIが無鉄砲な中国機の迎撃のため海南島に緊急着陸を迫られた。
  2. 事態を複雑にしているのが中国が防空識別圏を東シナ海上空に設定したことで圏内を飛行する機は中国航空管制当局と軍に飛行目的の申告義務があると主張している。
  3. 米国は該当空域は国際空域であり一切の制約を受けないとし、中国政府の通知には従わないとしている。
  4. 今年初めには米P-3Cオライオン対潜哨戒機が海南島から150マイルで行動中にPLAAFのJ-10二機の迎撃を受けた。
  5. 今回の事案同様にペンタゴンは当時も「危険」な行為と非難していた。■

冷戦時ソ連に撃墜され投獄されたRB-47パイロットの運命


冷戦時のソ連は結構荒っぽく、領空侵犯した機、していない機も撃墜しています。今回の記事のパイロットは運悪く撃墜されソ連当局に逮捕されたのですね。投獄7か月が長いのかわかりませんが、おそらく交換の形で帰国できたのでしょう。翻って航空自衛隊パイロットが中国に撃墜され地上で捕獲されたらどうなるのか。まず自衛隊員は軍人ではなく公務員ですので軍人の処遇は受けず民間人スパイと同じ扱いになるのでは。つまり闇に葬られるか、取引の材料とされるのでしょう。考えたくない仮定ですが。今回はオファット基地のあるオマハ地元紙の記事です。

Boeing RB-47H USAF

By U.S. Air Force photo [Public domain], via Wikimedia Commons

55th Wing pilot imprisoned by Soviets in Cold War will be laid to rest

冷戦時にソ連で捕虜となった第55航空団パイロットが安息の時を迎える
Jul 24, 2017 Updated 18 hrs ago
Capt. Bruce Olmstead
ブルース・オルムステッド大尉と妻ゲイル(左)、ジョン・マコーン大尉と当時の妻コニーが1961ン円1月に7か月にわたるソ連監獄生活から解放され再開した。
  • JOHN F. KENNEDY PRESIDENTIAL LIBRARY AND MUSEUM
写真左から、ゲイル・オルムステッド、ブルース・オルムステッド大尉、ジョン・マコーン大尉、リンドン・ジョン副大統領、大統領夫人ジャクリン・ケネディ、ジョン・F・ケネディ大統領。空軍の二名は戦略空軍軍団のRB-47の生存者で、機体はソ連により北極海上空の国際空域で1960年7月1日に撃墜された。White House Photographs. John F. Kennedy Presidential Library and Museum, Boston

  1. ブルース・オルムステッド大尉の銀星章はオファット空軍基地内第55航空団の陳列ケースに収まっている。冷戦時パイロットの勇気の証であり、次代空軍要員への好例となっている。
  2. オルムステッドが受勲したのはソ連で刑務所収容中の苦労に対してだ。乗機のRB-47B偵察機は1960年7月1日にロシア戦闘機により北極海上空で撃墜され同僚5名中4名が死亡した。
  3. 後輩の空軍偵察機部隊乗員はオルムステッドを尊敬の念で見たが同人を友として飲み友達として恐れを知らない冷戦時の飛行士として知る空軍仲間に本人に最後の別れを言うときが訪れた。木曜日に遺体はヴァージニアのアーリントン国立墓地に埋葬される。昨年10月にメリーランド州アナポリスの自宅で81歳で死去していた。
  4. オルムステッドの乗機を撃墜するとKGBは本人をモスクワの悪名高いルビヤンカ刑務所に送り、諜報活動の廉で告発した。暖房のない独房でわずかな食事と睡眠しか与えられず、24時間の尋問を受けた。
  5. 若き副操縦士として本人は相当の極秘情報を知っていたが、本人もジョン・マコーン大尉もKGBに何も与えないまま7か月の独房生活を送った。
  6. 「両名は空軍兵士の座右の銘、屈するなかれ、を常時忘れるませんでした」とオルムステッドと同じ飛行隊にいたレグ・アーシュラー准将(第55戦略偵察航空団司令を後日つとめた)は回想する。「ふたりがどんな苦しみを受けたのか想像もできません」
  7. アーシュラーは第55飛行団からオルムステッドのバイ葬式に参列予定の退役軍人40名の一人だ。その他ネブラスカから第55飛行団同窓会会長ジョセフ・スパイヴィやドン・ベイコン下院議員(共、ネブラスカ)(元同航空団司令、2011年-12年)も加わる。
  8. 第55飛行団のRC-135偵察機一機が会場上空を飛行し哀悼を伝える。オルムステッドの未亡人ゲイルが埋葬後に棺を覆った米国旗を折りたたんで受け取る。
  9. 釈放されたオルムステッドとマコーンにゲイルが合流しホワイトハウスでジョン・F・ケネディ大統領、ジャクリン・ケネディ夫人と紅茶の席に招待された。数年たってオルムステッドは大統領夫妻を「とてもチャーミングだった」と評するのだった。.
  10. オルムステッドは55飛行団で再び操縦することはなかったが、テストパイロットとなりデンマークの大使館月空軍武官になった。1983年に大佐で退役しその後住宅改修業者となった。ロシアを訪問し、ロシア軍の退役関係者を自宅に招いたこともある。
  11. ただし獄中の数か月がその後の人生から消えることはなかった。
  12. 「独房に211日もいて何も影響が残らないことはありえません」と1978年にワシントン・ポストに語っていた。「忘れられず許せないのなら、許した方がいい。そうすれば負けずに生きていけます」
  13. その後オルムステッドは55航空団同窓会に入会し、オマハも数回訪れている。
  14. オルムステッドとマコーン(2013年死去)は2004年に銀星章を受けている。冷戦終結で当時の関係者は戦闘勲章の対象となった。二年後にオルムステッドは自分の勲章を55飛行団に寄贈している。■

2017年7月26日水曜日

日独防衛技術移転協定に期待する

これは将来が楽しみですね。日本技術でドイツ側が関心を酔えるのはなんでしょうか。海軍関係ですかね。中国がまた神経を尖らせる材料になりました。機密保護関連の付則はやはり中国を意識しつつ、両国家系者にも注意喚起しているのでしょうね。

Japan, Germany sign deal to partner amid tensions with China 中国との緊張高まる中で日独が提携協定に調印


写真) フィリピンに寄港した海上自衛隊の駆逐艦戦隊と潜水艦。2016年4月3日。南シナ海で強まる中国の自分勝手な主張に世界が憂慮を深めている。(TED ALJIBE/AFP/Getty Images)
COLOGNE, Germany — 日独両政府が防衛協力協定に調印し、両国間の防衛技術移転が新段階に入る。
  1. 交渉は2015年初めから始まり、7月17日調印にこぎつけたとドイツ国防省報道官が認めた。八木毅駐ドイツ大使とカトリン・ズーダー国防次官が調印した。本件は日本メディアが先に報道しドイツ側は公表を避けようとしていた。
  2. ドイツ国防省報道官は協定は特定装備を念頭にしていないというが、朝日新聞は日本側防衛関係者の言として日本はドイツ製装甲兵員輸送車や洗車技術に関心を寄せている。
  3. 日中間で東シナ海・南シナ海をめぐり緊張が高まっている。日本は攻撃力の強化を求め世界規模で協力関係を広げようとしており、米国以外に特にヨーロッパ諸国との関係を模索している。
  4. ドイツ技術の日本導入は比較的容易といえる。なぜなら輸出規制手続き上で日本はNATOパートナー国扱いだからだとドイツ国防省報道官は述べた。
  5. 協定本文は英語で防衛省が公表しているが、共同委員会を設置し、将来の協力事業を選定するとしている。委員会は両国の経済、外交、防衛関連省庁関係者で構成し、それぞれの大使館が調整役に回る。
  6. 秘匿扱いの付随合意書で二国間の技術情報の漏えい防止策を定めていることがわかった。西側から防衛関連情報を中国が巧みに盗み取っているのが知られている。これに対し中国政府は諜報活動の報道を繰り返し否定している。■

★もし戦わば(17)F-2対J-10


 


中国への抑止効果を発揮するため、防衛技術の革新進歩を続けていく必要があるのはもちろんですが、同時に漏えいも防がねばなりません。しかしなんといっても挑発に乗らず冷静に対応するため日常の訓練が欠かせません。中国は神経戦を意図しているはずです。こうした国防の最前線をほとんどの国民は知らないで暮らしています。学校開設問題の方が優先度が高いと判断する反対党の皆さんは事実は受け入れたくないのでしょうね

Could China's J-10 Fighter Kill the Best from Japan's Air Force? J-10は日本の最優秀機種を撃墜できるか


July 25, 2017

  1. 東シナ海を巡る対立から空の上でも日中両国に緊張が生まれている。中国戦闘機が尖閣諸島をパトロールする日本機を追い回し、日本から戦闘機がスクランブル出動することもある。
  2. 西太平洋上空での対立は人民解放軍空軍と航空自衛隊が主役だ。中国のSu-27とJ-11戦闘機は日本のF-15Jイーグルに相当する。
  3. これに対して大型機を支援する役割の中国の単発多用途戦闘機機材がJ-10「猛龍」で、中国初の近代的戦闘機として2005年から投入されている。改良型J-10Bも就役している。日本のF-2多用途戦闘機の就役開始は2000年だ。
  4. 三菱F-2戦闘機はFSX事業から生まれた日米共同開発の多用途戦闘機だ。原型はF-16で米議会は高度技術の日本移転に警戒的だった。
  5. J-10は成都航空機設計集団の作品とされるが、実はやはり米航空宇宙産業にルーツを有する。J-10は米イスラエル共同開発ラヴィ戦闘機に驚くほど外観が似ている。ラヴィもF-16を原型にしたが価格と政治的な理由から事業取りやめとなった。米海軍情報部は1987年に中国がラヴィを受領し、結果として米国製技術も入手したと指摘しており、Jane'sも同意している。
  6. F-2は三菱重工とロッキードの共同作業でF-16を拡大した。主翼面積は25%拡大し、GE製F110エンジン、日本製J/APG-1(世界初のアクティブ電子スキャンアレイレーダー)、三菱AAM-3・AAM-5赤外線誘導空対空ミサイル(AIM-9サイドワインダーと類似)を搭載する。F-2には侵攻部隊攻撃ミッションも想定しASM-2対艦ミサイル4発を搭載可能。M61 20mmガトリング銃も搭載する。
  7. にもかかわらずF-2は失敗作とされることが多い。機体単価は171百万ドルとF-16Cブロック50/52の4倍以上に膨らんだ。F-2がF-16より4倍以上有能というわけではない。F-2の唯一の意義は日本の航空宇宙産業に戦闘機の製造機会を提供したことだ。
  8. J-10はデルタ翼を採用し、ロシア製サツルン-リュルカ製AL-31アフターバーナー付きターボファンエンジンを搭載する。パルスドップラーレーダーの1473H型をつけ、兵装用ハードポイント11か所と燃料増槽をつける。空対空戦ではPL-9赤外線誘導式空対空ミサイルとPL-12レーダー誘導式ミサイルおよびロシア製GSh-23 23mm機関砲を搭載する。レーザーや衛星誘導式爆弾多数も運用する。
  9. ではどちらが勝つか。F-2の戦闘半径は520マイルでJ-10の340マイルに勝る。両機がそれぞれ基地から進出すると仮定すれば、F-2の燃料余裕がわずかだか上回り有利だ。J-10のレーダーが旧式のパルスドップラー方式なのに対しF-2はAESAレーダーなのでF-2が先にJ-10を探知するはずだ。両機の機体重量はほぼ同じだがF-2の推力重量比がわずかだが優る。
  10. 結局F-2が優位となる。
  11. 比較はまだ続く。両国はJ-10、F-2の性能改修を続けている。中国はJ-10B生産を開始した。B型ではエンジンがAL-31FNとなり推力と航続距離が改善された。さらにフェイズドアレイレーダーと赤外線捜索追尾(IRST)が近接空対空戦用に使える。
  12. F-2生産は終了しているので今後は既存機の性能改修が中心だ。F-2ではデータリンクと新型レーダーJ/APG-2にAAM-4B空対空ミサイルを組み合わせて運用する。AAM-4Bは今のところAESAレーダー搭載の世界唯一のみミサイルだ。発射後にロックできるためパイロットは発射後に回避行動をすぐにとれる。
  13. F-2は長距離飛行性能を活かし、AAM-4Bを視界外から発射して空域を離れることができる。データリンクによりF-2部隊は長距離発射を調整統合し最大の効果を上げることが可能。中国の新型フェイズドアレイレーダーも優秀だろうが、長年のレーダー技術蓄積から日本の優位性は確実だろう。J-10は交戦前に多数が撃墜されてしまう。
  14. 反面、接近戦では赤外線探知追尾でJ-10のに有利に働く。F-2にはIRSTは装備されていない。
  15. J-10、F-2それぞれに長所短所がある。長距離ではF-2がJ-10を餌食にする。短距離では形成逆転する。だが戦いはまず長距離で始まり、F-2の優位性が発揮され、視界外で決着がつくはずだ。そうなるとF-2が一歩抜きんでているようだ。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter:@KyleMizokami.
This appeared several years ago and is being reposted due to reader interest.
Image Credit: Reuters.


2017年7月25日火曜日

中国が東シナ海で米海軍機に異常接近、中国が焦っている



中国が明らかに対応を変えています。挑発して危機状況を作り出したいのか、プロパガンダ攻勢をかけるのか。明らかに焦っているのはそれだけ情勢が不利だと感じているためでしょう。

Pentagon: Chinese fighters intercepted US Navy spy plane

中国戦闘機が米海軍スパイ機を迎撃

写真)EP-3偵察機の飛行前チェック。名称非公開の南西アジア拠点にて。2010年撮影。U.S. AIR FORCE

 By COREY DICKSTEIN | STARS AND STRIPESPublished: July 24, 2017

WASHINGTON – 7月23日中国戦闘機2機が東シナ海上空で米スパイ機に異常接近し海軍のEP-3偵察機は回避行動を迫られたとペンタゴン報道官が24日に発表。米機パイロットは中国J-10機の接近を「危険かつプロの自覚に欠ける」と判断した。中国機は米機の下を高速で通過後に上昇しEP-3の飛行経路に入ってきたとペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス海軍大佐が述べた。海軍機内で衝突警報が作動し、パイロットは「回避行動」で中国機と衝突を避けた。
  1. 発生時刻は日曜日午前遅くで、場所は青島南方90マイルの国際空域とデイヴィス大佐は説明。
  2. 危険な行動に出たJ-10はEP-3から300フィートを飛行し、同機の進路を「遮断」せんとしたと国防関係者が匿名条件で述べている。
  3. デイヴィス大佐は中国との上空遭遇がここまで危険になるのはまれな事例だと述べた。「国際空域では定期的に迎撃を受けている」とペンタゴンで報道陣に語った。「圧倒的多数は安全に行っている。今回は例外でいつもと違う」
  4. 今回の事件の前に5月に米軍機を中国戦闘機が迎撃する事例が2件発生している。
  5. 5月24日にはJ-10の二機編隊が海軍P-3オライオンに「危険かつプロらしからぬ」迎撃を南シナ海、香港沖で受けた。うち一機は米機から100フィート未満まで接近した。
  6. 5月18日にはSu-30戦闘機二機編隊が空軍のWC-135コンスタントフェニックス核探知機を東シナ海上空で迎撃し、一機が米機から150フィートまで接近しWC-135の上空を反転通過した。■

2017年7月24日月曜日

★オスプレイ導入で対タリバン作戦はこんなに変わった




How the V-22 Osprey helped take down a Taliban warlord

V-22オスプレイでタリバン首領捕獲作戦はこう変わった
By Harold C. HutchisonJul. 10, 6:10 AM

  1. 2009年のこと、不朽の自由作戦で最大の激戦がイラク西部で繰り広げられた。タリバンが看視哨を設置し米海兵隊の接近を事前に警戒するようになると戦況はさらに激化した。
  2. タリバンはヘリコプターの運用パターンから海兵隊が次に到着する時間が大体わかる体制になっていた。
Afghan and coalition force members provide security during an operation in search of a Taliban leader in Kandahar city, Kandahar province, Afghanistan, April 21, 2013. (U.S. Army photo by Spc. Matthew Hulett)
  1. タリバンの首領はケシ売却益から武器を購入していたので海兵隊はこの首領を捕獲したかったのだが実施すれば激戦になるとわかっていた。この首領が支配する村落は海兵隊のキャンプバスティオンから100マイル離れた地点にあった。
(DOD photo)
  1. CH-53スーパースタリオンが最高速度で飛行しても首領の本拠地まで一時間半かかる。またこの場合は直線飛行が前提だった。この飛び方ではタリバン首領に奇襲をかけるのは無理だ。
marines dust sand ch-53 helicopter
U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Clare J. Shaffer
  1. だが2009年になるとMV-22オスプレイが第一線に投入された。同機は高速(最高316マイル時)に加え航続距離が大幅に長く(1,000マイル超)でタリバンの監視哨に見つからず、敵に反撃の暇を与えることなく奇襲できると期待された。
marine corps mv-22 osprey
Photo by Lance Cpl. Clarence Leake/USMC
  1. 奇襲にはMV-22が四機投入され海兵隊員が乗り込んだ。離陸し、タリバンの目に見つからず海兵隊は村の中心に到着し、タリバン奇襲に成功した。
  1. 5分もしないうちに首領は手錠をかけられオスプレイに乗せられた。海兵隊は撤収を始め作戦は成功を収めた。
Soldiers from the 101st Infantry Battalion and Marines from the 11th Marine Expeditionary Unit conducted a sustainment training utilizing MV-22 Ospreys and F-16 Fighting Falcons. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Kenneth W. Norman)
  1. .当日の作戦を再現したスミソニアンチャンネル製作の映像は次のリンクから見みられる。(日本からは見られません。すみません。

ISIS狩りはAIでどう変わるか





Artificial Intelligence Will Help Hunt Daesh By December

デーイシュ狩りに人工知能が支援開始する

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 13, 2017 at 6:14 PM
  1. 民生部門の支援を受け戦場に人工知能がやってくる。半年以内に米軍は民生用AIのアルゴリズムを使いイスラム国関連の膨大な情報の分類抽出を実施する。
  2. 「今年末までに戦闘地帯にアルゴリズムを持ち込みたい。その実現には民間連携先を使うのが唯一の方法だ」(ドリュー・キューカー大佐)
  3. この話はどこまでの規模になるのか。キューカー大佐を軽く見てはいけない。大佐はアルゴリズム戦闘機能横断チームを率いており、同チームは退任近づくボブ・ワーク国防副長官の肝いりで創設されAIで情報データの洪水をさばくのが目的だ。
  4. 何年もかけ完璧な解決策をつくろうというのではない。「現在の技術水準で政府には十分」と大佐はDefenseOne主催技術カンファレンスで今朝発表している。民生の既存技術を政府の既存システムに統合するのだ。
  5. 「三百万行コードの話ではありません。コードは75行ほどで大型ソフトウェア内部に挿入します」と大佐は既存の情報収集用ソフトウェアを念頭に置いている。
  6. これまで長年にわたり米軍は高性能センサーで情報収集量の増加を狙い、高性能ネットワークでデータを伝え、人員を大量に投入して情報を監視させ何か発見させようとしてきた。「率直に言って情報量に圧倒されています」とキューカー大佐は指摘。問題点は「長時間の情報監視は人間の機能上無理」だという。分析官が収集データ全部に目を通すのは無理で疲れた目で肝心な点を見逃す可能性がある。
  7. このまま人員投入は続けられない。例えば国家地理空間情報局では情報収集衛星を次々と投入していくと画像分析だけで二百万人追加が必要になるとスコット・キューリー部長が危惧している。
  8. ヒューストンの人口相当の人員を雇うのではなく、「業務処理をアルゴリズムと機械学習により進めるべきだ。民間業界の力を借りて実現したい。独力では無理だからだ」とキューリー部長は述べた。
  9. キューカー大佐のチームが今のところ国防総省で最先端を進んでいる。国防長官官房の主任研究部長デイル・オーモンドは「同チームには協力を惜しまない。国防総省全体の研究部門の専門力を結集して結果を出したい」と述べている。
  10. 「まもなくワークショップを開催し民間業界と省内の研究部門で基本線を確認したい」とオーモンドは会合で発言。「その後は機密作業で省として必要な投資規模、民間が実施中の投資を把握したい」
  11. ペンタゴンが民間部門に協力を求めるように、有望だが苦労中の新興企業は政府資金を切望している。テスラ、グーグル、GM他の企業が自動運転車に潤沢な資金を投入しており、衝突回避の自動回避機能の実現を目指している一方でその他の技術課題への投資資金ははるかに少ない。物体認識機能もそのひとつだ。グーグルカーの場合は衝突回避のため他の車両や物体があるかわかればよい。軍用AIでは相手が民間人のトラックなのかISISのテクニカルなのかを荷台に機関銃の有無で判断する必要があるのだ。
http://cs.stanford.edu/people/karpathy/deepimagesent/
「幼児が野球バットを握っている」画像認識機能が人工知能の欠点の例だ。(Andrej Karpathy, Li Fei-Fei, Stanford University)

  1. キューカー大佐は問題が山積しているわけではないと強調する。アルゴリズム戦闘プロジェクトの主眼はデーィシュの打倒にあるのであり、あらゆる武器、車両の認識は想定していない。大佐の見解ではソフトウェアで識別する対象は「38例」にすぎないという。
  2. 人工知能に離れた場所の物体をそれぞれ認識できるプログラム作りは容易ではない。テロリストのライブ画像から正体をAIで判別するのではなく、AIはたくさんの現実世界のデータから試行錯誤で共通特徴を学習する。これは幼児が自動車と汽車を区別する認識を学ぶのと似ている。人間がデータにラベル分類を事前にしておけば作業は容易になる。
  3. 「アルゴリズムには大規模なデータセット群が必要で、ラベルづけを開始したばかりです」とキューカーは紹介している。「ラベル付けデータセットがどれだけの大きさになるかで決まります」このラベル付けの一部を政府職員が行うがキューカー大佐は理由を説明しなかった。おそらく最高高度の機密情報があるためだろう。だが作業の大部分は「データのラベル付け企業大手」に委託できるはずと大佐は述べた。ただし社名は明らかにしなかった。■

2017年7月23日日曜日

USSジェラルド・R・フォード就任式にて、改めて言葉の力に感じるところあり



日本人のスピーチはどうしてつまらないのでしょうか。答えは簡単で波風を立てず建前を重視した表現に振り回されたままで中身は二の次になっているからです。筆者も部下の作ったスピーチ案は全部却下して作り直していましたが、次回も同じように退屈な原稿を渡され閉口しておりました。今回はトランプ大統領よりリチャードソン作戦部長の方がスピーチとして一枚上を行っているのがわかりますね。これからゆっくり戦力化に向けて整備し、2020年すぎると艦隊に加わるとのことでその日が楽しみですね。

Trump: Carrier USS Gerald R. Ford ‘100,000-ton Message to the World’

トランプ「空母USSジェラルド・R・フォードは世界に向けたアメリカの10万トンのメッセージだ」
July 22, 2017 2:03 PM • Updated: July 22, 2017 9:11 PM
写真:米大統領専用ヘリコプター飛行隊所属のMV-22 オスプレイがUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の飛行甲板に着艦した。ヴァージニア州ノーフォーク海軍基地での同艦の就役式典。July 22, 2017. US Navy Photo


  1. ドナルド・トランプ大統領が世界最大の海軍艦船の就任式で米軍事優位性の維持を宣言し国防予算案への議会支持を求めた。
  2. 次世代空母USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の就役式典でトランプ大統領は同艦は戦力と抑止力の象徴と述べ、乗組員と建造所のニューポートニューズ造船を称える演説をフォードの格納庫内で行った。
  3. 「米国製の鋼鉄と技術で10万トンの世界向けメッセージが完成した。アメリカの力に並ぶものなく、さらに増強拡大を当政権は毎日続けていくとお伝えしておきます」
  4. トランプ大統領は艦名の由来となったジェラルド・R・フォード大統領の軍事即応体制に関する発言中の第二次大戦前の米軍準備態勢が不足していたため当時の敵勢力が好戦的になったとのくだりを引用した。
  5. 「フォード大統領は言いました。将来において米国は強力な軍事力を維持してくべきです。再び軍の体制を劣る位置にしてはなりません。
  6. 「議会にはしっかり仕事をしてもらい予算案を通過していただき、軍のニーズに応じた予算手当を十分かつ安定的にまた予測可能な形で実現してもらいたい。これはここにいる男女の皆さんが必要とするものでそれを実現させます。皆さんの選挙区の上下両院の選出議員に連絡してもらいこの通り実現するようはたらきかけてください」
  7. 議会側は政権の即応体制を重視する予算案を無視しており、両院の軍事委員会が追加装備調達を加えようとしている。トランプ大統領は2011年の予算管理法を廃案に追いこみ軍事支出上限を撤廃するよう議会に求めている。
  8. 「ここ数年にわたり政府は軍に対し予算動向を予測不可能にしながら破滅的な予算強制削減策を求めてきました。覚えてますか。強制削減ですよ。よくありません。
  9. 「この結果、保守整備が後回しになり、新型装備調達に予算が不足し、即応体制に穴が開きました。言い換えれば軍に厳しい時代だったと言えます」
  10. トランプ大統領は国防長官ジェイムズ・マティス、海軍長官代行ショーン・スタックレイ、海軍作戦部長ジョン・リチャードソンとともに演台に立った。
  11. スタックレイはフォードの業績にふれ、リチャード・M・ニクソン大統領の辞任後に就任したフォードが「我が国を安全に導き政府への信認を復活させた」と述べた。
  12. フォード大統領は原子力空母USSニミッツ(CVN-68)の就任式に出席しており、スタックレイは当時の演説を引用した。「この偉大なる艦を見るにつけ、一つの考えが浮かびます。こんなマシーンを作れるのは米国だけということです。同艦が旗をたなびかせれば米国の国力の象徴と理解されます。米国の決意であり、米国製で米国人が運用します」
  13. マティスとリチャードソン作戦部長はともに長いスピーチをせず、即興で所感を述べていた。
建造所による公試を終えノーフォーク海軍基地に戻ってきたUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78) April 14, 2017. US Navy Photo

  1. マティス長官は5分未満でフォード大統領の功績に触れ、トランプ大統領を紹介した。
  2. リチャードソン作戦部長はフォードは「単なる建造プロジェクトではなくなり戦闘艦になった」と述べ、米国の敵に以下警告した。
  3. 「本日が祝賀記念日にならない者がいる。米本土海外を問わず米国にテロ活動を企てる向き、我が国に攻撃を企てる向き、我が国の繁栄と交易に挑戦を企てる向き、我が国の価値観に挑戦を企てる向きがあり、そうした勢力には本日は祝うどころか悪夢の日だ。USSジェラルド・R・フォードの標的リストに載っていることがわかれば夜もおちおち寝ていられなくなる」
  4. 演台にはディック・チェイニー元副大統領、ドナルド・ラムズフェルド元国防長官の姿もあった。共にジョージ・W・ブッシュ政権に閣僚として参加していた。フォード級空母建造は遅延と予算超過で批判をたびたび受けてきたが、構想はラムズフェルドの調達変革方針の産物で軍事技術の大幅刷新をめざしていた。
  5. 総額130億ドルのフォードには新技術5点が投入されている。新型レーダー、電磁式航空機発艦システム、新型原子炉などで、原子炉は同艦向けに新設計された。フォードは予定より一年半遅れ海軍に6月に引き渡された。
  6. 正式に就役したフォードは公試と追加作業を続け2020年代初めに初の任務に就く。■

★米海軍構想の次世代戦闘航空機はこうなる



戦闘機の正当な進化を海軍は目指しているようです。ただし無人機が基本となるのは空軍より発想が柔軟なようですね。無人機といことは高G制約もなくなるのでしょうが、自律運用が前提で2030年代の世界では実用化されているとみているのでしょう。

Speed and range could be key for Navy's next fighter jet 

スピードと航続距離が米海軍が目指す次世代戦闘機の中核性能だ

 By: Valerie Insinna, July 21, 2017 (Photo Credit: Boeing)

WASHINGTON — 米海軍はスーパーホーネット・グラウラー両機の後継機に向けた分析に没頭中といったところだ。作業から生まれる機体は現行機と相当異なる外観になり、海軍の優先順位は航続距離と速度になるのは間違いない。
  1. 海軍が「次世代航空優勢機」(NGAD)で代替策検討(AoA)を開始したのは2016年2月でF/A-18E/FスーパーホーネットおよびE/A-18Gグラウラーの後継機の検討だった。(空軍もNGAD名称をF-22後継機に使うが、両軍の作業は別個に進み、統一機材にする予定もない)
  2. 一年半が経過したわけだが海軍チームは将来の空母打撃群で必要な性能内容と同時に大事なことは将来の脅威内容を詳しく理解出来たようだ。AoAを担当したリチャード・ブロフィ―大佐が海軍研究本部(ONR)主催の科学技術エキスポで語っている。
  3. 「後継機は広い範囲で検討している」とし、「システムファミリー」でスーパーホーネット、グラウラー両機の後継機となるのは戦闘機のみならず、派生型も多数生まれると見ていると述べた。
  4. 検討作業は少なくとも来年4月までかかるとブロフィ―大佐は述べ、NGADで想定する中心性能の詳細を説明してくれた。
  5. まず機体は無人が基本で場合により有人操縦となると前海軍長官レイ・メイバスと同じ発言をした。
  6. NGADで実現したいのが長距離飛行性能でブロフィ―大佐は現行の空母航空隊の航続距離が大きく制限されていることを指摘した。
  7. 「単に長距離飛べるだけでなくどれだけ内陸部に到達可能かを考えるようにしています。つまり兵装をどこまで到達させるかです」とし、「推進系の問題にもなり、どこまで効率を追求できるかです。燃料補給で戻らずに長く飛べればそれだけ良いことになります」
  8. もう一つ重要な性能はF-14トムキャットの時代の航空運用に戻るもおだ。つまり高速度飛行の追求である。
  9. ブロフィ―大佐からは海軍は空軍よりステルスを懐疑的に見る傾向があるが低視認性を将来のNGADに盛り込む可能性はあると指摘があった。だがF-35共用打撃戦闘事例の際ほどの高優先度は想定されていない。
  10. 「確かに残存性は必要ですが、ステルスは残存性確保の手段のひとつにすぎません。ステルスというとチャフ・フレアーをまず考えます。それで敵を毎回出し抜くことはできませんが、助けにはなります。ステルスは将来の姿の一部にすぎず、各国も同じ扱いです。あくまでも一部という考えです」
  11. ONR航空宇宙部のビル・ニッカ―ソンからはステルス以外に超軽量装甲や指向性エネルギー対策も含め機体残存性技術の開発が進んでいると追加コメントがあった。
  12. AoAが進むと海軍はスーパーホーネット・グラウラー後継機で選択肢が手に入る。最初の選択肢はなにもしないことだが即座に排除されるはずだ、海軍には現行機の退役が2030年代に始まるためだ。
  13. 2040年代の脅威環境を想定するとスーパーホーネット、グラウラー、F-35Cを追加導入する手もあり、各機の改修型で対応できるかの検討もありうる。
  14. 最後が新規開発事業で「画期的性能」を実現することだ。ただしブロフィ―は機体大量導入のためコストを低く抑える必要があると認める。「機数が肝心です。十分な機体数を導入する必要がありますね」と述べた。■