2017年10月29日日曜日

★B-21の姿、性能、運用を想像する



 


Why Russia, China and North Korea Should Fear America's B-21 Bomber

ロシア、中国、北朝鮮が米B-21爆撃機を恐れる理由

October 27, 2017

  1. 2015年10月27日、ノースロップ・グラマンは初のステルス爆撃機開発契約の獲得から34年目に米空軍は同社にB-21レイダー開発契約を交付した。機体の詳細は謎のベールに包まれているが、わずかは判明しており、残りは推測するしかない。
  2. B-21レイダーの名称は21世紀とともに1942年の伝説的なジミー・ドゥーリットルの日本初空襲にちなむ。ドゥーリットルレイダーズとして当時不利な戦況の中で士気を大いに高める効果があった。
  3. 空軍公表のB-21レイダー構想図はB-2スピリットと極めて類似している。ただし決定的な違いがある。B-21ではエンジン位置が主翼胴体の境に近い場所に移っているが、B-2のジェネラルエレクトリックF118-GE-100エンジンは主翼上で胴体から離れた位置につく。レイダーの空気取り入れ口は角度がつくがB-2のような鋸歯状でない。レイダーの主翼上に排気口がつきエンジン排熱のシグネチャーを減らすのがB-2とはちがう。
  4. 機体寸法はB-2に近いが、プラットアンドホイットニーが2016年にエンジンメーカーとして選定され、エンジンはF-100およびF-135の二つに絞られる。F-100は成熟度が高くF-15イーグルに搭載されており賢明な選択だが、空軍はF-135を希望するはずで、F-35共用打撃戦闘機に採用され今後の性能向上が期待でき一方でF-35のエンジン関連経費も下げる効果も期待できる。
  5. B-21は重戦略爆撃機で核・非核両用の運用化可能だ。コスト削減のためB-2で採用した回転式発射装置AARLを流用するだろう。AARLは爆弾あるいはミサイル8発を搭載する。
  6. 核運用では長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイルを搭載する。LRSOは次世代ステルス核巡航ミサイルで、別にB61自由落下式核爆弾の新型B61-12型「爆発力調整式」搭載する。まず巡航ミサイルで敵防空網を突破してからB61爆弾を投下するシナリオだろう。
  7. 通常兵器ミッションではJASSM-EM通常弾頭巡航ミサイルと2千ポンドのGBU-31共用誘導攻撃弾(衛星誘導式)爆弾を搭載するだろう。B-21を核兵器と同様に使用し防空網を突破してからJDAMを投下するはずだ。これとは別にB-21はミサイルトラックにもなり、JASSM-ER16発までを遠隔地から敵に発射する。B-21は30千ポンドの大型貫通爆弾も搭載する。現時点でこの米軍最大の通常爆弾を運用できるのはB-2に限られる。
  8. 他の新型装備同様にB-21は「オープンアーキテクチャー」をハードウェア、ソフトウェア両面で採用し、B-21は将来のアップグレードは容易で爆撃以外のミッションも実現できる。爆弾倉はミッション用ペイロード搭載に転用され、偵察、通信、電子戦と多様に使える。レイダーは米空軍初の多用途爆撃機になる。
  9. B-21レイダーは2020年代中頃に運用開始の予定で空軍はまず100機を調達しB-52Hストラトフォートレス、B-1Bランサーの後継機とする。調達規模が200機程度になる可能性もあるが財政事情次第だ。レイダーが最終的にどんな機体になるかわからないし、機密を守る米空軍がいつ情報を開示するかもわからない。B-21は軍用技術の「ブラック」世界に入っており、そこから出てくるのは機体完成時のみだろう。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: A U.S. Air Force B-2 Spirit "Stealth" bomber, 393rd Expeditionary Bomb Squadron, 509th Bomb Wing, Whiteman Air Force Base, Mo., flies over the Pacific Ocean after a recent aerial refueling mission, May 2, 2005. / Wikimedia Commons / U.S. Air Force photo by Tech Sgt. Cecilio Ricardo


2017年10月28日土曜日

★米海軍空母代替策検討より やはり小型空母ではよい結果は期待できない



 

フォード級が最後の超大型空母になるのか、革新的な小型艦建造が始まるのか、中間の新型艦になるのか、このRAND報告についてはすでにお知らせしましたがやや詳しい解説が入っていますのでNational Interestからお伝えします。小型艦では国防の役に立たないという結論ですが皆さんはどうお思いになりますか。

 


Why Building 'Baby' Aircraft Carriers Would Be a Bad Idea for the U.S. Navy

「小型」空母建造が米海軍に悪い結果となるのはなぜか
October 21, 2017


  1. 今回発表された米空母の将来像に関する研究は以下のように要約される。意味ある内容は負担なしでは手に入らない。
  2. 海軍は小型で安価な空母を130億ドルするフォード級のかわりに導入できる、とRAND研究所が新しい研究で発表した。だが小型かつ安価な空母は性能が限定され、海軍は有事の際に有効な航空戦力を地上作戦の支援に提供できないだろう。
  3. RAND研究成果は2016年の海軍委託研究の一部を公開したもので、議会がフォード級より安価な選択肢はないか調べさせたものだ。
  4. RANDは四つの選択肢を提示している。
- CVN-8X: フォード級(排水量10万トン)をやや小型化している。核燃料は交換不要で40年間稼働する。フォード級では20年ごとの交換が必要だ。カタパルトも現行の4基が3基に減らされる。
- CVN LX: 7万トンで1950年代のフォレスタル級(初の「スーパー空母」)に近い。核・通常動力のハイブリッド方式で推進し、原子炉はひとつだけでニミッツ級フォード級の二個と異なる。相当の航空戦力を搭載し、ニミッツ級を上回るほどだが、速力が下がり残存性はフォード級より劣る。航空戦力も出撃回数が減る。
- The CV LX: 43千トン通常動力で揚陸強襲艦アメリカ級を原型とする。カタパルトがなく、F-35B25機を搭載するが一日あたり50ソーティーしか実施できない。早期警戒機や電子戦機材を搭載せず、「従来型大型空母あるいは地上基地の支援が必要で、敵の航空戦力が強力な地点では運用できない」CV LXは有事に即座に第一線に投入できる装備ではない。航空戦力が不完全なためでAEWやEA機材がないのがその原因だ。
- CV EX: もっと小型の2万トン赤ちゃん空母で通常動力で短距離離着陸機6機から10機搭載するのはイタリア空母かヴォールに近い。CV EXは25億ドルと一番安いがフォード級の戦力を実現するには四隻が必要とRANDは試算している。「CV EXはCV  LX同様の制約があり、飛行甲板は小さく、燃料・弾薬搭載量も限られ低レベル紛争にしか対応できず、またはCVN補助にしか使えない」(RAND報告書)
  1. RANDは特定の選択肢を推奨することは避けているが、報告書からは建造費が安ければ性能も下がることになるのは明らかだ。現在の固定翼機としてF-35Cがあるが運用するには空母にそれなりの大きさが必用なのは格納庫や拘束ギアを見れば明らかだ。小型空母では短距離離着陸のF-35Bやヘリコプタ―を運用することになるがE-2早期警戒機やEA-18電子戦機の運用はできない。
  2. 性能が限定されると米国の戦争の仕方にも影響が出る。陸上運用機が到達できない遠隔地では空母航空戦力がどうしても必要だ。「フォード級の性能はフォード級の規模の投資が必要だ。代替策は低価格だが、一部機能が実現できなくなってもそれ自体で決定的に劣るわけでないものと(一日当たりソーティー生成量)とそうはいかないものがある」とRAND報告書の共同作成者ブラッド・マーティン(退役海軍大佐)が本誌に語っている。
  3. RANDが説明するような大型原子力空母のどちらかを選択しても海軍には大きな変化にはならないはずだ。だが残る通常型二型式の場合は異なる。ニミッツ級後継艦に選択した場合は米海軍の作戦能力が大きく下がる、とマーティンは見ている。「統合航空戦力を運用できるかがカギだ。攻撃、防御両面で戦力を形成できるからだが、艦船以外の手段による代替策も利用でき、陸上からの空中早期警戒やC2能力がこの例だ。
  4. では最良の選択肢はどれだろうか。ひとつではない。フォード級と大差ない大型艦を建造するのか、小型だが大幅に能力が下がる艦を建造るのかのいずれかだろう。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Wikimedia Commons.


噂は本当か、イスラエルF-35にシリアSAMが命中(大いに疑わしい)


噂が噂を呼びそうですが、中東の空は込み合っており、事実誤認の可能性は十分あります。また情報戦の様相もあり、今後もこの話には尾ひれがついて当分話題に上りそうです。



Did a Russian Missile Really Hit an Israeli F-35?

ロシアミサイルがイスラエルF-35に命中していた?

October 26, 2017

ロシア製対空ミサイルがイスラエルの新鋭F-35ステルス戦闘機に命中していたのか。
  1. ロシア寄りメディアによれば今月S-200地対空ミサイルがシリア上空でイスラエルF-35Iに命中したという。イスラエルはF-35一機が損傷を受けたことを認めている。ただし、バードストライクとしている。
  2. 発生したのは10月16日でイスラエルはシリアSAM陣地をダマスカス郊外で攻撃したと発表。レバノン上空を飛行中のイスラエル偵察機にシリアがSAMを発射した2時間後の攻撃だった。陣地は破損し、イスラエル空軍に被害なしとイスラエルは発表。偶然の一致なのか同日にロシア国防相セルゲイ・ショイグSergei Shoiguがイスラエルに到着しベンジャミン・ネタニヤフBenjamin Netanyahu首相、アヴィグドル・リーバーマンAvigdor Lieberman国防相と会談している。
  3. ただしロシア軍事動向特にシリア内戦への介入を追うウェブサイトSouthfront.orgによれば話は全然違う。「入手した情報によればシリア国防軍はS-200をイスラエル軍用機に発射した」とある。
  4. SouthfronはF-35が原型が1960年代のミサイルの命中を受けたと報じている。「ソ連製ミサイルはシリア軍が運用する中で最高性能の長距離劇劇手段だ。今回は近代戦で旧式装備が活躍したことになる」
  5. ただし同サイトの裏付けは弱い。イスラエルがシリアミサイル陣地攻撃を発表して数時間後にイスラエルメディアがF-35一機が二週間前にバードストライク被害にあっていたと報道。同機は無事着陸したが、イスラエル空軍は同機の飛行復帰は困難と認めた。イスラエルが受領したF-35Iはまだ7機で発注総数は50機だ。
  6. 「確かに事件は『2週間前』だが公表は10月16日になってからだ。イスラエル筋は『鳥と衝突』したF-35の写真は公表していない」とSouthfrontは伝える。
  7. Southfrontは損傷機の写真をイスラエル空軍が公表する必要がどうしてあるのか伝えていない。米国防関連ウェブサイトThe Driveはイスラエルで供用開始したばかりのF-35をシリアにいきなり投入されるとは緊急時以外は考えにくいと指摘。(イスラエルにはF-15やF-16が相当数配備されており、すぐ投入できる) さらにF-35はレバノン上空の偵察ミッションには向いていない。
  8. The Driveの結論はこうだ。「可能性はすべて捨てきれないが、フロイドがいうようにバードストライクはバードストライクにすぎないのだろう」
  9. いずれにせよ、今回の事案で興味を惹かれるのはF-35がロシアミサイルの命中を受けたのかどうかだ。UFOと同様で、事実かもしれないし事実ではないかもしれないが状況証拠以上の何かがないと信ぴょう性は低いままだ。
  10. F-35は米技術力の象徴であり同時に、F-35が戦闘中に損傷あるいは撃墜されたとあれば当然関心の的となる。ロシアやその取り巻き勢力はF-35命中に一斉にとびつきF-35支持派が反論してくるのは必至だ。
  11. イスラエルF-35部隊が実戦投入されているとの報道がすでに出ているがあくまでも報道だ。米空軍と並びイスラエル空軍が世界で最も活発に作戦行動しているので、遅かれ早かれF-35が実戦の試練を受けるのは確実だ。ただし今のところ噂の域を出ない。
  12. 事態は今始まったばかりなのだ。

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: An F-35A Lightning II Joint Strike Fighter takes off on a training sortie at Eglin Air Force Base, Florida in this March 6, 2012 file photo. Canada is poised to buy 65 Lockheed Martin Corp F-35 Joint Strike Fighter jets, sources familiar with the process told Reuters, marking a major renewal of Canada's fighter fleet and helping contain costs of the expensive defense program. REUTERS/U.S. Air Force photo/Randy Gon​

2017年10月27日金曜日

中国の戦略爆撃機H-6の過去と現在


日本周辺にも姿を現しているのがH-6の最新K型ですが以外に機数が少ないようですね。これでは継続した作戦はできないはずですが、旧式機も投入してくるつもりなのでしょうか。いずれにせよ日本としては同機よりも搭載するミサイルに軽快すべきなのはいうまでもありません。勿論発車前に母機を撃墜すればそれが一番いいのですがスタンドオフ攻撃だとそうはいかないでしょう。

Fact You May Not Know: China Has Its Very Own 'B-52' Bomber
中国にも「B-52 」があることをご存知でしょうか

October 22, 2017

  1. 長距離戦略爆撃機をある程度の機数で運用中なのは中国、ロシア、米国のみだ。米B-52 やロシアTu-95と並び中国は原型は1950年代のH-6を人民解放軍空軍PLAAFおよび海軍航空隊が運用する。巡航ミサイルを搭載し同機は実戦にも投入された。
  2. H-6は中国がツポレフTu-16バジャーをコピーした機体で1958年から59年に当時のソ連から中国が数機受領し、ライセンス生産を始めた。直後発生したソ連との関係悪化前にTu-16生産キットを中国が受領でき幸運だった。Tu-16は中国初の原子爆弾を1965年に投下している。
  3. H-6初号機の完成は1968年で西安航空工業が行った。WP8ターボファンエンジンもロシアAM-30 のコピーで音速にわずかに足りない656マイル時で飛行し、爆弾搭載量は60千から80千ポンドだった。戦闘行動半径は1,100マイルで乗員4名から6名で最高高度42千フィートを飛行した。
  4. 基本形は通常型爆撃機だったが、核爆弾運用型のH-6Aが1970年代の核実験で多用された。最近では通常爆弾で黄河の氷塊を破壊する用途にも使われている。.
  5. Tu-16原設計は1950年代で戦略爆撃機は攻撃対象地の上空飛行で核兵器通常兵器を重力投下するものだった。このコンセプトは第二次大戦の延長で、H-6にも23㍉自動機関砲が6門搭載され敵機撃退を狙った。ただし1960年代に地対空ミサイルや超音速ジェット戦闘機が登場してこの発想は時代遅れになった。
  6. 1970年代にPLAAFも戦略爆撃機で敵地侵入し上空から爆弾投下はできないと悟り、H-6の航続距離延長策を模索し始めた。H-6Dは新型レーターにより敵艦船を主翼下搭載のC-601シルクウォーム対艦ミサイル二発で狙った。C-601は全長6.5メートルでYJ-6あるいはCAS-1クラーケンのNATO名があり、有効射程150キロで1,130ポンド弾頭を運ぶ。.
  7. H-6Dは4機が1987年にイラクへ輸出され、C-60150発と引き渡され、1988年にイラン・イラク戦の死闘に投入された。
  8. C-601初の戦果はイランばら積み貨物船Entekhabで1988年2月5日のことで、さらに少なくとも14隻の石油タンカー、貨物船がイラクのC-601 によると思われる攻撃を受けたが、はっきりしない。大型石油タンカーは対艦ミサイルの攻撃を受けても簡単には沈んでいない。
  9. イランはF-14トムキャットでH-6D一機を撃墜したと主張している。1991年の湾岸戦争では残存するH-6三機は米軍がアルタカドゥム航空基地で破壊した。エジプト空軍がその後H-6を唯一運用していたが、2000年に用途廃止している。
  10. 他方でPLAAFはH-6を近代戦に合わせる努力を続け80年代にH-6EおよびF型でエイビオニクスや対抗装備を改良している。
  11. PLAAFはH-6を非戦闘任務用に改装しHY-6がPLAAF初の空中給油機になった。同機は85千ポンドまでの燃料補給能力があると見るアナリストがあり、米KC-135Eの半分程度で長距離任務につく戦闘機2機の支援が可能だ。その他特殊任務用のH-6にはH-6B偵察機、HD-6電子戦機がある。
  12. その後もH-6のか医療は続き巡航ミサイル運用に中心をおいたH-6Hが1990年代に登場し、対地攻撃ミサイル2発を運用した。H-6Gは地上発射巡航ミサイル用に標的情報を提供するのが任務で、H-6Mミサイル母機はYJ-31(KD-88)巡航ミサイル4発を搭載する。
  13. 最後に中国はH-6Kを2007年発表し、エンジンをロシア製D-30KPに換装し出力が25%増え、射出脱出シートやグラスコックピットがついた。陳腐化したガラス張りの機首や後部機銃手は廃止され、改良型レーダーと防御装備が導入された。その他にも赤外線方式と電子光学指揮センサーやネットワーク用のデータリンクがつく。
  14. さらにH-6Kは主翼下に大量装備搭載が可能となり、CJ-10またはCJ-20巡航ミサイル6発を搭載し900マイルから1,500マイルを射程とする。またはYJ-12対艦ミサイルを搭載する。飛行距離は2千マイルから空中給油で3,500マイルまで伸びる。H-6Kはこれまで16機が製造されており、国産エンジンWS18ターボファンに換装した型も開発中と言われる。.
  15. H-6Kの搭載能力や航続距離は米B-52には匹敵しないが中国にそこまでの性能は必要ない。中国にとって同機の性能で十分で大型巡航ミサイルを標的に発射できる。飛行速度は低くステルス性もないH-6は敵防空網の近くに接近せず長距離ミサイルを数千マイル先から発射すればよいのだ。基地からの最大攻撃範囲は空中給油を前提で4,500マイルになる。
  16. 興味深いことにH-6は理論上は核兵器運用できるが、PLAAFには核弾頭付き空中発射巡航ミサイルは配備されていないと見られる。この理由として中国は核兵器を防御用に使う思想があり、敵の第一撃攻撃を想定し装備の残存を最優先しているためといわれる。
  17. かわりにH-6は通常兵器攻撃能力の有効距離を伸ばし、対艦攻撃に投入するのだろう。近代化H-6Kはあらゆる面で海上攻撃機の機能を有しているが中国には有効な長距離監視偵察手段が欠落しているとの指摘があり、H-6で攻撃したくても敵艦位置を把握できない。
  18. それでもH-6の実戦投入事例(1988年)から巡航ミサイル搭載により大規模な損害を与えることは高性能情報収集能力がなくても十分可能とも言える。
  19. 昨年9月3日、PLAAFのMa Xiaotian大将から中国が新型戦略爆撃機を開発中と発表したがこれはH-6改良型なのか全くの新型機なのか不明だ。
  20. 中国が太平洋でのプレゼンスを強める中で長距離兵力投射能力が問われており、長年供用されているH-6がこの実現に有益な存在であるのは確かだ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Creative Commons.

★主張 日本が長距離攻撃能力を整備するのは当然のことだ



選挙が終わり「反対党」勢力の考えが国民に受け入れられないことが証明されました。一方、北朝鮮は不気味な沈黙を保っており、制裁が効果を上げているのか、「敵失」を待っているのか不明ですが、安全保障が争点になった今回の選挙を経て新政権は現実的な対応をしていくでしょう。今回ご紹介するのはランド研究所研究員の主張ですがこういう考え方を米国人から聞かねばならないのは妙な話であり、本来は国内から出て当然と思います。自衛隊の英訳はSelf-Defenceですが、英語感覚では犯人に向かい銃を使い犯罪を未然に防ぐ市民の言い分がself defenseですね。つまり海外からすればなぜ自衛隊が「専守防衛」の域を出ないのか不思議なのでは。日本の安全を真剣に考える風潮の中でSelf Defenseとして敵を先に攻撃する能力の整備(使う、使わないは別の問題)で抑止力を高めるのは至極健全な動きだと思いますが、みなさんはいかがでしょうか。

Why Japan Needs Long-Range Strike Capabilities
なぜ日本は長距離攻撃能力を整備すべきなのか



October 23, 2017



  1. 平和憲法があれば安全保障上の脅威は乗り切れると考える日本国民の頭の中を表現することばとして「平和ボケ」heiwa-bokeがある。北朝鮮がミサイル性能を引き上げ日本を核爆弾で沈没させると脅かす中での平和ボケは他国にはできない贅沢である。日本が存続すため何が必要なのか国内議論でも結論が出ていない。
  2. 日本がミサイル脅威に対応するには二段の弾道ミサイル防衛BMD体制が必要だ。海上配備は駆逐艦で中間軌道ミサイルを大気圏で狙う。陸上装備はペイトリオットで最終段階を迎撃する。総じて日本のBMDは高性能であるが対応には限界があるPAC-3として日本が配備中のペイトリオットの射程は12.5マイル程度しかなく、標的地に配備しない限り意味がない。駆逐艦のイージス戦闘システムは日本全土を有効範囲におさめるが正しい位置で正しい時間に艦がいなければ無意味だ。北朝鮮ミサイルが高速ロフテッド軌道をとるのが日米の想定する最悪の可能性でBMDで対応不能だ。
  3. 日本はイージスアショア導入をすすめ、陸上海上で高性能迎撃ミサイルを配備し、有効射程、高度、精度をあげるはずだ。ただし北朝鮮がミサイルを同時多数発射し複数再突入体で攻撃してきたら127百万人の防御は不可能だが今よりは迎撃効果があるだろう。
  4. 日本の選択肢は法律で狭められている。2015年に通過させた法案で集団防衛演習への自衛隊参加に道が開いたが安倍晋三首相は実際の運用に厳く制約を課している。必要最小限の軍事力行使が許され、しかも国家存続が危うくなった場合に限られ、日本自体が攻撃を受けるか、日本と緊密な関係を持つ他国が攻撃を受ける場合のみの想定しかなく、侵略勢力の撃退手段は他にない。
  5. 北朝鮮ミサイルの脅威は集団安全保障の行使の難易度が高いことを日本にあらためて示した。発射数秒で予想軌道を割り出さねばならない。標的が日本ではなく別の場所と判明すれば日本の政治指導層は集団的安全保障要件を満たすか協議する必要がある。だがミサイル迎撃の決断で話が迅速にまとまるだろうか。仮にそうであっても集団的安全保障の名のもと他国に先駆け日本が単独でミサイルを撃破できるだろうか。
  6. 抑止力整備で日本は積極策を検討すべきだ。長距離攻撃力を取得すべきだ。敵が攻撃準備する中、座して待ち死を覚悟するのか。鳩山一郎首相は1956年に敵ミサイル基地への攻撃は日本国憲法の自衛権の範囲内と答弁している。この解釈で日本はミサイル発射前に敵地を攻撃できる。歴代の内閣はこの解釈を継承し、長距離攻撃能力を保有することは憲法上許されるとしながら政策上はその整備に向かったことはないが、現実世界は法理論をこえたところにきているのだ。
  7. 日本が長距離攻撃能力を取得し、あくまでも防衛姿勢を保ち、日本政府も先制攻撃すると明言しないとする。そう、技術面では今と何も変わらない。法的解釈も同じだろう。「先制」だと攻撃に写るがミサイル着弾前に日本が行動したら「防衛」なのか証明が極めて困難だ。絶対の自信をもってミサイル発射が近づいており発射後に日本へ向かうと証明の上、これ以外に選択肢はないと説明する必要がある。言うのは簡単だが、行動は別だ。
  8. 安倍首相が攻撃能力取得に向かうだろうか。政治面で困難だ。平和憲法を踏みにじると批判されかねない。国内反対勢力は長距離ミサイルは憲法が禁じる「戦力」だと批判するだろう。また中国はじめとする近隣諸国は再軍備化だと安倍首相を批判するのは想像に難くない。
  9. だが政府には国民の生命財産を守る責任がり、北朝鮮のような国家は日本の脅威であり、政治指導層は日本の存在そのものを守る必要がある。現行BMDシステムで対応不能の空白があるならば補強策は当然歓迎されるはずだ。北朝鮮からの脅威が高まる中で新対応が検討されるのは当然と言える。
  10. 70年にわたる期間ほとんど通じ日本は平和国家で許される範囲内で防衛政策を向上させてきた。冷戦中はソ連の技術体系が迅速に向上せず対応は容易だった。冷戦後も日本の防衛政策は変化を続けているが速度がいかにも遅い。北朝鮮が迅速に軍事力を増強させる中で以前のような安閑とした対応を続ける余裕は日本にない。日本は攻撃能力の整備を政策上の最優先課題とすべきである。■

Based in Washington, Jeffrey Hornung is a political scientist at the nonprofit, nonpartisan RAND Corporation. He specializes in Japanese security and foreign policies, East Asian security issues, maritime security, and U.S. foreign and defense policies in the Asia-Pacific region, including its security alliance.


2017年10月26日木曜日

大丈夫か米海軍MQ-25無人給油機構想、ノースロップが不参加を表明



先日のT-X競合でもノースロップはいち早く脱退を表明しており、ビジネス決断が迅速な会社ですね。米海軍の要求内容では同社の得意分野が生かせないと判断したのか、要求内容を実現するのは無理と判断したのでしょう。そうなると残る三社の去就が注目され、受注してもKC-46のボーイングの例のように大きな負担になってしまう可能性はないでしょうか。そうなるとノースロップの決断が優秀だったことになってしまうのですが、もともとは海軍の要求内容に問題があるようですが、給油機が喉から手が出るほど欲しい米海軍としては悩ましいところでしょうね。しかし給油機なのにMQ呼称には別用途にも投入したいという海軍の色気があるのでしょうか。二兎を追う者一兎も得ず、とならなければいいのですが。


Northrop Grumman Drops Out of MQ-25A Stingray Competition

ノースロップ・グラマンがMQ-25スティングレイ競争提案から脱落


An X-47B during a March 2015 test flight. US Navy Photo

October 25, 2017 4:47 PM


  1. ノースロップ・グラマンが米海軍MQ-25スティングレイ給油無人機競合に加わらないことがわかった。同社首脳部が今期営業報告で明らかにした。
  2. 「当社の目標は受注を勝ち取ることではありません。無論勝つことは重要で気持ちよくなりますが、実際に執行できず納入できなければ株主にも誤った選択になります」と同社CEOウェス・ブッシュWes Bushが10月25日に語ったとDefense Newsがいち早く報じている。
  3. 「米政府あるいは別の同盟国から頼りにされるのは信頼の証で、当社としては信頼を裏切ることは許されず、提案内容から当社として実施可能か検討して参りました」
ノースロップ・グラマンX-47B無人戦闘航空システム実証機(UCAS-D)は2014年も空母着艦テストを行っている。US Naval Institute Photo

  1. ブッシュによれば今月初め発表の提案要求内容から同社は参加を断念した。ボーイングロッキード・マーティンジェネラルアトミックスの三社は競合に残り2018会計年度末までに受注社が決まる見込みだ。
  2. 2013年7月10日に同社製造のX47Bソルティドッグ502がUSSジョージ・H・W・ブッシュに自律着艦している。
  3. ただし着艦後に海軍の求める初の艦載UAVの姿は高性能低視認性無尾翼機から単純な空中給油機に変貌してしまった。
  4. ブッシュは発言で各論に触れていないが、海軍がUAVで優先順位を変えたことがノースロップの競合他社に有利に働いているのは事実だ。X-47Bは全翼機形状で低視認性と燃料効率を追求していた。
  5. 海軍の要求では既存D-704型バディタンク給油システムの採用を想定している。
  6. 8月にAviation WeekがX-47BにD-704バディタンクを主翼左右下に装着した写真を公表していた。X-47Bはペイロードは機内搭載の設計で外部に装備をつければステルス性が犠牲になる。

ジェネラルアトミックスのMQ-25スティングレイ想像図。GA Image used with permission

  1. 海軍がスティングレイによる空中給油能力を必要としているのは事実で、スーパーホーネットが唯一の給油機として2割から3割におよぶ空母発着艦ミッションを給油に使ってりうことが機体損耗を招く一因になっている。
  2. 「MQ-25はライノ(スーパーホーネット)より効率がよくなり4機ないし6機への給油で行動半径を伸ばせるでしょう」と米海軍航空隊司令マイケル・シューメーカー中将Commander of U.S. Naval Air Forces Vice Adm. Michael Shoemaker が米海軍協会Proceedings9月号で語っている。”
  3. 「スーパーホーネットの機体を給油任務で痛めつけることがなくなればいいのですが。現在この任務に投入できるのはライノしかないのです」
  4. 海軍はスティングレイに空母から500マイル地点で15千ポンドの給油能力を与え、有人機の行動範囲を700カイリ以上延長することを望んでいる。
  5. 海軍は新型機の就役予定を明示していないが、作戦部長ジョン・リチャードソン大将は早ければ2019年の実現を期待している。■

2017年10月25日水曜日

特報 米空軍が核爆撃機24時間警戒態勢を復活か


冷戦時代とは規模が違いますが、核爆撃機を即応待機に戻すという時計を後戻りさせたのは金正恩その人であると断言できますね。その意味ではグローバルな影響力を持った人物であるのは確かです。ただしあとどのくらい生きていられるかは誰にもわかりませんが。米空軍はこの内容を否定しているようですが、真実はまもなくわかるでしょう。

EXCLUSIVE: US Preparing to Put Nuclear Bombers Back on 24-Hour Alert 特報:核爆撃機の常時待機態勢の復活を米国が検討中


A 2014 photo of a B-52H Stratofortress based at Barksdale Air Force Base, La.
  • BY MARCUS WEISGERBER
OCTOBER 22, 2017
BARKSDALE AIR FORCE BASE, La. —  米空軍が核搭載爆撃機を再び24時間待機態勢に戻そうとしている。冷戦終結の1991年以来の措置となる。
  1. 本基地の11千フィート滑走路の末端でふたたび「クリスマスツリー」(斜めに駐機する形状から)にB-52が待機し下命あり次第即座に核爆弾を搭載して離陸する風景が見られるのだろうか。
  2. 「空軍の準備態勢を一歩進める措置になる」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将Gen. David Goldfeinがバークスデール基地含む米空軍核ミッション基地順次訪問の途中で語っている。「特定事態への対応というより地球規模の事態発生に備える体制づくりと見ている」
  3. ゴールドフェインはじめ国防高官は警戒態勢を取る命令は出ていないと強調するが、即応態勢整備が進んでいるのは確かだ。命令を出す権限があるのはジョン・ハイテン大将Gen. John Hyten(米戦略軍STRATCOM司令官)あるいはロリ・ロビンソン大将Gen. Lori Robinson(米北方軍NORTHCOM司令官)のいずれかだ。STRATCOMが核戦力で、NORTHCOMが北米大陸防衛の責任を負っている。
  4. B-52を再び待機させるのは北朝鮮含む急速に変貌しつつある地政学的課題への米軍の対応策のひとつにすぎない。ロシアも軍事力増強を続けている。
  5. ゴールドフェインは米空軍トップであり、統合参謀本部の一員だが隷下部隊に核兵器を使う抑止効果に加え核を実戦投入した場合を考えるよう求めている。
  6. 「世界は危険な場所であり核兵器使用を公言するひとたちもいる。かつてのソ連とこちらの二極態勢はもはや存在しない。核プレイヤーが増えた中でミッションを確実に行える体制がここまで重要になったのは初めてだ」(ゴールドフェイン)
  7. 全米移動した先週ゴールドフェイン大将は空軍隊員に冷戦時を超えたICBMや核巡航ミサイルの使用内容を考えるよう促していた。
  8. 「空軍グローバル打撃軍団に意見交換の中心役を求め『通常戦に核兵器の要素が加わるとどんな様相を呈するか』『もしこれが現実に発生したらグローバル勢力として対応できるか』『オプションは何か』を考えさせたい。そのような環境で抑止力はどうあるべきなのか」
  9. B-52を常時警戒態勢に戻すと抑止効果が高まるのかと問われたゴールドフェイン大将は一言では答えにくいと認めた。
  10. 「それは相手がだれで、どんな行為を問題にするか、さらにこちらの即応態勢が関心を呼べるかにより異なる」
  11. バークスデール基地には第二爆撃飛行団と空軍クローバル打撃軍団が本拠地を置き、かねてからB-52を常時警戒態勢に戻す作業を受けてきた。待機施設近くには相当年数の立ったコンクリート建物がありB-52乗員が冷戦時にここで寝泊まりし機体をすぐ離陸させる体制を維持してきた場所でこれも改装を受けている。
  12. 内部には100名以上を収容するベッドがすえつけられ、外部に設けられた待機機材9機には十分すぎる規模だ。レクリエーション室にはビリヤード台があり、テレビやシャッフルボード卓もある。基地内の各隊隊章の大きな絵が壁に掲げられている。
  13. その一つが冷戦時代のシンボルでB-52のシルエットに「古くながらの平和達成方法」を書き添得るのが目立つ。さらに戦略空軍軍団のロゴもあり、これも冷戦時代のなごりで当時はB-52が常時外に待機態勢にあったのだ。
  14. ずっと空だったB-52用駐機場には核戦争時の空中指揮統制機材E-4BナイトウォッチとE-6Bマーキュリーがやってくる。核戦争となれば両機は国防長官、STRATCOM司令官の空中司令機にそれぞれなる。大統領が攻撃命令を下せば、両機は発射コードを爆撃機、ICBM、潜水艦に伝える役目を負う。核攻撃を予期し強化措置を受けているE-4Bのうち一機は今も24時間待機だ。
  15. バークスデール他核爆撃機の基地では新型核巡航ミサイル導入に備えて保管施設の新設工事を進めている。各地視察の途中でゴールドフェイン大将は400発あるミニットマンIII大陸間弾道ミサイルの後継機種の初期検討内容を受け取っており、新型長距離巡航ミサイルでも同様の報告を受けた。
  16. 「われわれの仕事はオプションを示すことで最良の軍事助言と選択肢を最高司令官および国防長官に提示することだ。STRATCOM司令官あるいはNORTHCOM司令官から本土防衛のためには警戒態勢を高める必要があると言われた場合に備えて対応できるようにしておかねばならない」■
  • Marcus Weisgerber is the global business editor for Defense One, where he writes about the intersection of business and national security. He has been covering defense and national security issues for more than a decade, previously as Pentagon correspondent for Defense News and chief editor of ... FULL BIO

2017年10月24日火曜日

速報 米空軍F-35A飛行隊が沖縄に11月移動し、6か月駐留


以下米空軍による公式発表ですが、11月に現地入りし、その後半年なら来年4月までとなり、北朝鮮危機がこの間に一つの山場を迎える想定になっていることがわかります。


U.S. Air Force's F-35A Lightning II scheduled for first operational deployment to Indo-Asia-Pacific



U.S. Air Force's F-35A Lightning II scheduled for first operational deployment to Indo-Asia-Pacific

米空軍ヒル空軍基地所属のF-35ライトニングIIがパールハーバー―ヒッカム共用基地(ハワイ)で地上移動中。2017年10月13日。(U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Heather Redman)

Pacific Air Forces Public Affairs / Published October 23, 2017

JOINT BASE PEARL HARBOR-HICKAM, Hawaii --ヒル空軍基地(ユタ)の第34戦闘機飛行隊からF-35A12機と300名の隊員が6か月にわたる巡回配備で嘉手納航空基地にやってくる。機体と支援部隊は11月初旬に現地入りする。
米太平洋軍がはじめてF-35Aをインドアジア太平洋地区に配備することになる。
「F-35Aは傑出したグローバル精密攻撃能力を台頭する脅威に向けつつ現行機を保管して航空優勢を維持します」と太平洋空軍司令官テレンス・J・オショネシー大将Gen. Terrence J. O’Shaughnessyが語る。「当方の責務実行上同機は理想的で訓練や実際の作戦に統合したい」
F-35A部隊は米太平洋軍の戦域安全保障パッケージ(TSP)制度で配備され、TSPは2004年から実施されている。米国による地域内安定と安全保障への取り組みの一環を見せるのが目的だ。
F-35Aが戦域内に配備されるのはこれが初めてだが海兵隊F-35Bは岩国海兵隊航空基地に2017年1型以来配備されている。■

空軍機材からのレーザー兵器運用技術はここまで進展している


レーザー兵器の発展は急速なようです。
光ファイバーレーザーは新技術なのでしょうか。今やレーザー単体より光学系センサー技術との同期化など応用面に研究の中心が移っているようですが、電源確保、安定性など航空機での実用化にはまだ課題は多いのでしょう。一方で完全自律兵器は米国ではタブー扱いですがこんなことにかまわない東側勢力はちゅうちょなく「ターミネーター」を作り、いつの日か暴走するのでは。恐ろしいです。


Air Force Tests Bolt-On Aircraft Laser Weapon

米空軍が航空機搭載レーザー兵器試射に向け準備中


Scout Warrior - May 28, 9:48 PM

  1. 米空軍科学技術部門がB-52に防御用レーザー兵器を搭載し飛来する空対空ミサイルを焼きつかせようとしている。
  2. 攻撃防御両面でレーザー兵器を空軍は戦闘機や大型貨物機への搭載を狙い数年にわたり開発中だ。ただし空軍研究所Air Force Research LabがSHIELD事業の名前で別の5か年開発事業に乗り出しており機内発電容量の確保、光学高エネルギーレーザーで大型機のB-52やC-130さらに戦闘機の防御に役立てる。
  3. 「長期的にはレーザーを攻撃兵器に運用して標的を排除できるようになる」と空軍科学主任グレッグ・ザカリアスAir Force Chief Scientist Greg ZachariasがScout Warrior 単独インタビューで答えている。
  4. おそらく外部装備ポッドから十分な電力を確保する構想と思われるが、AFRLはすでに実証装備を機材に取り付ける作業に入っているとザカリアスは述べている。
  5. 外部ポッドは敵レーダーに探知されやすくなりステルス機への搭載は困難とザカリアスは認める。
  6. ただし1960年代製の大型B-52が防御能力の恩恵を一番大きく享受するはずだ。B-52はハイテク技術アップグレードを続けて受けており、空軍は同機をまだ数十年稼働させる。
  7. B-52の防御は重要課題になるはずで、改装B-52をペンタゴンは重武装機別名「空飛ぶ爆弾トラック」として使う構想があるからだ。
  8. レーザーは高熱と光エネルギーで標的を爆発させる代わりに焼却する構想で運用は非常に高速で高速標的を即座に破壊するか敵の攻撃にも対応する。防御用兵器にして敵ミサイル妨害にも使えると開発陣は説明してくれた。「飛来するミサイルを破壊する代わりにコースをずらせるのです」(ザカリアス)
  9. またレーザー兵器に望遠鏡の光学技術を同調させれば高速移動標的の高精度追尾破壊を実現できるとザカリアスは説明してくれた。
  10. 光ファイバーケーブルを束ねることがレーザー出力の増強策になり1キロワット出力を10キロワット兵器にできる。「光ファイバーレーザーの問題は安定性とレーザーそのものの拡大だ」(ザカリアス)
  11. レーザーの標的捕捉でもフェイズドアレイレーダーとレーザーを同一波長で接続して同期化を進めた兵器になる。
  12. 航空機からのレーザー発射は戦闘機でゆくゆく実現し広い用途が考えられ、空対空戦、近接航空支援、対UAS(無人機)攻撃、小舟艇攻撃、地上攻撃さらにミサイル防衛を考えていると関係者は述べる。
  13. 低コストがレーザー兵器のカギであり、高価なミサイルの投入が不要となる。
  14. 空軍研究部門関係者は空中発射レーザー兵器の実用化を2023年までに実現すると述べている。空中発射実験は202年までに実施すると空軍関係者は述べている。
  15. 高エネルギーレーザー(HEL)の地上兵器運用テストがここ数年ホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ)で続いており、空軍指向性エネルギー局が高エネルギーレーザーテストをニューメキシコのカートランドAFBで実施中だ。
  16. 空軍首脳部は大型機のC-17やC-130からの空中発射から始め、小型化が実現すればF-15、F-16やF-35にも投入されるとみている。
  17. 航空戦闘軍団は自機防御用高エネルギーレーザー高度技術実証で中規模出力レーザーを小型化し戦闘機用ポッドに搭載して地対空、空対空ミサイルへ対応させる。
  18. 空軍特殊作戦軍団は空軍研究所とともに海軍支援施設ダールゲンともレーザーをAC-130Uガンシップに搭載し攻撃用途に使おうと模索中だ。
  19. レーザーでは弾薬量の制約がなくなるのが利点だ。ミサイル6発なり7発を機外機内に搭載するのかわりに、指向性エネルギー兵器ならわずか1ガロンのジェット燃料で数千回発射できると空軍専門家は発言。
  20. レーザー兵器は弾道ミサイル防衛にも投入できる。ジェイムズ・シリング海軍中将(ミサイル防衛庁長官)は2017年度予算審議の席上で「レーザー技術の成熟化は死活問題だ」と述べている。
  21. 技術の進展では自律化技術分野がめざましくレーザー搭載無人機で敵を捕捉、追尾、破壊する能力がセンサー、目標捕捉、兵器運搬の組み合わせで実現するとの見方が強い。すべて人的関与なしで実現する。
  22. 急速に技術が発展する中でペンタゴンは自律型兵器運用でも「人員を関与させる」考え方をウェポンシステムに導入しているとザカリアスは認める。
  23. 「人員との接続を必須としており、断続的でもかならずチームに人員をかませる。実現まで数年かかるだろうが、自動化技術も数年にわたる開発が必要だし、飛行制御コンピュータや航空機そのものと多様な内容だ」(ザカリアス)
  24. ミサイル装備にはトマホークやSM-6のようにセンサーとシーカー技術で自律運用や半自動自己誘導を実現しているものもあるが、なんらかの人的介在が必要だ。ミサイルと大型機や高機動地上ロボットが自分で標的を破壊する作業は異なる。■