2019年8月11日日曜日

8日発生のミサイル事故は原子力巡航ミサイル開発関連。ロシアは危険な原子力ミサイル開発を中止すべきだ。

どうやらロシアで原子力事故が発生したようです。まずUSNI Newsの第一報です例によってロシアが情報を規制しているため全容がわかりません。



Russian Missile Test Site Explosion Kills 2, Injures 8.

ロシアミサイル試射場で爆発事故、死亡2名、負傷8名
August 8, 2019 12:49 PM
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8月8日にロシア国内のミサイル試射場で爆発事故が発生し2名が死亡し、少なくとも6名が負傷したとロシア政府が伝えている。
事故現場は北西部アルハンゲルスク地方でロシア通信社インターファックスが同日正午ごろ一報を伝えた。事故は液体ジェットエンジンのテスト中に発生したとし、BBCはロケットの推進手段でよく使われる装置と解説した。
TASS通信は放射線レベルが一時的に上昇したと伝えた。ロシア国防省は声明文を発表し、同地の放射線レベルは正常とし、「アルハンゲルスク試射場爆発事故後に有害物質の大気放出は発生していない」と述べた。
アルハンゲルスクはロシア海軍が大陸間弾道ミサイルの試験に使っているとBBCは伝えている。
同地方はロシア軍に重要な意義がある。アルハンゲルスク港は統合戦略司令部北部地区の重要拠点であり、ロシア各軍が駐屯している。またロシア北方艦隊が同地区で勢力を誇り、ロシア核攻撃艦艇の3分の2が同地に集結している。
アルハンゲルスク事故の前週にシベリアで弾薬庫が大火災事故が発生しており死亡一名、負傷8名のほか数千名が避難をしたとBBC始め報道機関が伝えている。
一ヶ月前にも水兵14名がロシアの極秘潜水艦内の火災事故で死亡している。発生地点は北方艦隊の母港セヴェロモルスク近郊だった。事故を起こした艦は原子力推進潜水艦ロシャリーク(AS-12)と判明し、ロシア深海研究部門で重要な役割を果たしていると信じられている艦で、研究以外にGRU直属で秘密工作にも投入されている。



とここまではよくわからない情報のまとめでしたが、例によってロシアが情報を開示せず、ここに来て恐ろしい事実が明るみに出ました。
THE WARZONEからです。

Russia Admits Mysterious Missile Engine Explosion Involved A Nuclear 'Isotope Power Source'  

謎のミサイルエンジン爆発事故は原子力『アイソトープ動力源』関係とロシアが認める

BY JOSEPH TREVITHICKAUGUST 9, 2019


シア国営原子力企業ロサトムによれば8日に同社従業員が「アイソトープ動力装置」の実験中に発生した爆発事故に巻き込まれ、5名が死亡、3名が負傷したとあり、謎に満ちた事件が昨日発生したようだ。同社からプロジェクトの詳細発表はないが、情報によれば同動力装置は原子力推進巡航ミサイルブレヴェストニークとしてクレムリンが昨年初めて公表した兵器と関連があるようだ。

事故は2019年8月8日アルハンゲルスク地方ニョノクサ村近郊で発生した。同地は巡航ミサイル、弾道ミサイルの試射場として知られている。ブレヴェストニーク巡航ミサイルの情報はきわめてすくな、ロシア大統領ウラジミール・プーチンが2018年3月に同ミサイル(NATO名称SSC-X-9スカイフォール)の存在を初公開したのも同地からであった。匿名米国筋等によればロシアは極秘のうちに同ミサイルを2017年から試験していたようだ。

「悲劇はアイソトープ動力源の技術作業中に発生した」とロサトムは声明文を発表。「液体推進装置で作業中の5名が死亡し、他に3名が負傷し火傷を負った」

声明文ではブレヴェストニークの名称に触れていないが、同社発表内容はこのミサイルの推進装置に合致する点が多い。この巡航ミサイルは原子力ラムジェットエンジンを用いる。事故当時には核燃料運搬船セレブリャンカが近辺にあり、ブレヴェストニークだったことを示している。同ミサイルは昨年に北極海に墜落しており、同艦含む小部隊が捜索発見に駆り出されていた。今回の事故を受けてロシア政府は北海の該当地区を封鎖している。

今回爆発したとされる液体燃料ロケットモーター(あるいはジェットエンジン)がブレヴェストニークの機体に収まるのか不明だが、考えれるのは液体燃料ロケットのブースターで必要な速度を確保し手からラムジェットを始動するのだろう。今回の事故では小型原子炉が関係してた可能性もあるが、通常型ジェットエンジンでまずその他の機能を評価する狙いがあったと見ることもできる。あるいは液体原子燃料による原子炉だったかもしれない。

原子力推進であればミサイルは数週間にわたり飛翔可能となり事実上無限の射程を得ることになる。これは防衛側にとって悪夢となる。不幸ながら同ミサイルの事故では実弾を搭載していなくても放射性物質が関係することになる。実戦投入されれば飛翔に失敗しても、目標に命中してもいずれも原子炉を地表や海上に激突させる結果になる。

もちろん、今回の事故がブレヴェストニークと無関係だった可能性も残っているが、ロシア発表では原子力推進を応用した兵器として唯一公表された存在だ。いずれにせよ、ロシアが原子力推進方式ミサイルの試験を人口稠密地に比較的近い地点で継続していることには懸念がついてまわる。

ではどれだけの放射線が今回の事故でまきちらされたのか。セヴェロドヴィンスク市当局は20ミリシーベル程度まで放射能レベルが急上昇下と発表していた。同地の自然放射線レベルは毎時0.11ミリシーベルである。事故後にヨー素の販売が急増したとの報道がある。人体への放射能取り込み予防に効果が有ると言われる物質だ。ただ現地住民に対する避難措置は取られていない。またセヴェロドヴィンスク市当局は放射線レベルは事故発生後、数時間で正常に戻ったと発表している。ロシア国防省は放射能漏れはなかったと発表。セヴェロドヴィンスク市当局も同日遅くに放射線警報を解除した。■





コメント ロシアはあれだけ原子力事故を発生去せておきながら、まだこうした不愉快な兵器開発に奔走しているのですね。その途中で深刻な事故が発生しても今度は西側も援助の手をさしのべないでしょう。本当に心配になる兵器で早く開発を終了してもらいたいものです。

2019年8月10日土曜日

ドイツ軍事力の退潮、今度はパイロット訓練時間数が不足の原因は結局国防予算の不足



Germany’s Pilots Don’t Have Enough Warplanes to Fly 

ドイツ空軍パイロットの訓練機材が足りない

August 10, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarStealth

イツ空軍パイロットの飛行時間が不足しNATOの求める訓練水準を満たせない状態になっている。
訓練教程の不備ではない。原因はルフトバッフェに飛行可能な機材数の不足だ。
「ルフトバッフェパイロットのほぼ半数がNATO目標の年間180飛行時間を満たしていない。機材が整備問題で飛行できないためだ」と英国のテレグラフ紙が伝えている。空軍パイロット875名中で要求される飛行時間に達したのは512名のみとドイツ関係者が官報で明らかにしている。Advertisement
「ルフトバッフェは低調な状態」とインゴ・ゲルハルツ中将(ドイツ空軍参謀長)が先月発言。「交換部品の不足あるいは機材整備が終わらず機材が地上待機状態のままだ」
ドイツ軍といえば第二次大戦中は大いに恐れられ、冷戦中も一目置かれる存在だったが、ここ数年は予算カットでかろうじて機能している状態だ。2018年夏にはユーロファイター128機中で稼働可能機材はわずか10機、交換部品不足が原因とされていた。2019年2月には「ユーロファイター全128機中で39機のみ、旧型トーネード93機では26機が戦闘任務あるいは訓練に投入できる状態だった」とテレグラフ紙は伝えている。
「今度はパイロットが空軍に愛想をつかして除隊が止まらない。昨年上半期は6名が辞職したが、5年前は年間で11名退職だった」
冷戦終結後のドイツ軍事力で退潮が止まらない。問題は予算だ。ドイツの国防費はGDPの1.3%とNATO目標の2パーセントに届いていない。(加盟国で目標を達成している国は少ない)
2018年にはドイツ潜水艦部隊が航行できない状態になり、新型ヘリコプターや輸送機が飛行不能となり、装甲車両が第一線から除去された。状況はとても悪くロシアがバルト海諸国侵攻に踏み切れば、ドイツは部隊動員と輸送に一ヶ月費やしても現地救援に送れるのは装甲旅団一個のみと米国は分析している。
とはいえ訓練不足のドイツパイロットを放置できない。米国やイスラエルの空軍部隊が75年にわたり数々の成功を収めてきた背景には訓練を十分に受けた航空要員の存在があった。アナリストの中には今日のロシア軍パイロットは西側諸国より訓練時間が少ないと見る向きがある。ドイツ空軍パイロットの訓練時間がこのままだとNATOの対ロシア優位性が消失しかねない。
皮肉にもナチ時代の旧ルフトバッフェの崩壊を招いたのが訓練不足だった。1939年当時のドイツパイロットは200時間の訓練を経て戦闘任務に赴いた。これは対戦国の水準を大きく上回っていた。だが1944年になると燃料不足で訓練に支障をきたし機体喪失も増え、パイロットは50ないし100時間の飛行訓練で戦闘に駆り出された。その時点で英米パイロットは300時間超の訓練を受けていた。ソ連では100時間程度だった。
その結果、悪循環が生まれ、パイロット不足のためルフトバッフェは訓練不足のパイロットを投入せざるを得なくなり、すぐに戦死あるいは損傷し、一層多くの新人が戦場に駆り出された。■


Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

2019年8月8日木曜日

イスラエルがこの装備品を導入すればイランは手も足も出せなくなる

コメントは下にあります

How to Make Israel Unbeattable In a War with Iran: Give Them F-22s and B-52s イスラエルがF-22やB-52を入手すれば対イラン戦で無敵になる

August 8, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22IranIsraelAmericaB-52IDF 


くわずかな例外が有るものの、イスラエルは欲しい物はなんでも米国から買え、しかも米援助制度により非常に有利な条件で入手できる。とはいえ支出には熟考が必要だ。そのためイスラエルといえどもすべて希望通りの購入には至っていないが、米国政府や米防衛産業と良好な関係を保っている。以下イスラエルが活用できる米製軍事装備品のリストを掲げる。
沿海域戦闘艦 :
イスラエル国防軍(IDF)の海軍部隊は海防艦を上回る大きさの艦艇の導入を検討してきた。イスラエルは海洋安全保障へ関心度を高めてきており、(ガザの海上封鎖の必要や、沖合のエナジー鉱床の保全も必要だ、大型艦の必要を痛感している。
そこでIDFは米沿海域戦闘艦を大幅に改装する可能性を検討してきた。紙の上では高速、ネットワーク戦闘艦は大きな意味があり、IDFの作戦構想に合致する。ただし改装費用により艦艇単価が上がり、イスラエルの想定予算を超過してしまう。市場動向やイスラエルの構想に変化が生まれれば可能性は上がるだろう。

F-22ラプター: 
.F-22ラプターはオベイ改正法で輸出が禁じられているが、もともとF-22開発ではイスラエルも念頭に設計が進められた経緯がある。イスラエルから高性能装備品がロシアや中国の手に渡る懸念から米国はイスラエルがラプターを調達しても機微技術の防護が必要と覚悟していた。
同機運用はUSAFのみとなっているがイスラエルは戦闘爆撃機で航空優勢を確保しtつつ攻撃ミッションをこなす構想を好む傾向がある。ただしIDFはF-15では航空優勢確保を念頭に導入した経緯があり、その後改修により強力な爆撃機能を実現した。F-22はイスラエルの求める航空優勢確保には理想的で、同様に発展する可能性はある。

長距離打撃爆撃機:
イスラエルがB-52を調達したらどうなるとの戯言が繰り返し出ているがイランに対しては長距離スタンドオフ攻撃が有効でイスラエルも長距離攻撃の可能性を検討しているはうだ。イスラエルのF-15、F-16は空中給油を受ければイラン国内の目標へ到達可能だが、なんといっても長距離となり防空体制の突破では不利となる。この点で米空軍が開発中のB-21長距離打撃爆撃機は有望な存在に写っているはずだ。
イスラエルが戦略爆撃機運用で未経験なわけではない。1950年代までB-17フライングフォートレス数機を運用していた。とはいえイラン防空網を突破し大規模ペイロードを投下するのに戦闘爆撃機頼みでいいのかIDFは検討しているはずだ。米国がB-21輸出を許可するとしても核兵器運用に関連した各種法規制をクリアの必要があり、全く別の話になる。

大型貫通爆弾:
機体があっても投下する爆弾がなければ意味がない。イスラエル国内の噂では35千ポンド精密誘導爆弾の投入が近づいており、米議会でも同型兵器の供与構想があり、大型爆弾搭載用の機体も同時に提供するという。
米国は大型爆弾供与には及び腰だが可能性が皆無なわけではない。だがIDFに運搬手段がないことが問題だ。オバマ政権がイスラエルにイラン攻撃の手段を与えていいのか懸念したのは域内バランスを崩す可能性を憂慮したからだ。だが地政学で変化が生まれれば、あるいは米国内で政治地図が変われば、こうした懸念も根拠を失いそうだ。

弾道ミサイル潜水艦: 
イスラエルの潜水艦部隊は頼りになる抑止戦力だ。IDF所属の各艦は優れた効果を示してきた。ただし、ディーゼル電気推進式の各艦に長距離巡航ミサイルを搭載しても原子力潜水艦の性能、長時間航行性能、安心感にはどうしても勝てない。
だからといってイスラエルにオハイオ級弾道ミサイル潜水艦が必要なわけではない。ミサイル搭載量は少なめでミサイルの有効射程を抑えてもイスラエルの二次攻撃能力は相当に向上する。同型艦4隻そろえばほぼ無敵の報復能力が実現する。

イスラエルは希望する装備をほぼ全部米国から入手してきており、一部装備品の性能は米軍装備を上回る。だが一方でイスラエルは米国製装備品が有する技術を活用する余地もあり、戦略面での必要度と財政上の現実の双方を見比べれれば意味のある結果が生まれる。イスラエル経済の活力を見れば、IDFが上記リストの一部を入手する可能性は十分あるといえる。■


r College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government.




コメント:近年になり日本にも北朝鮮や中国の脅威が身近に感じられるようになりましたが、イスラエルは建国以来70年にわたり敵国に包囲され、しかも最大の仇敵イランがイスラエルの抹殺を公言しているため、対応が現実のものとなっているなど生存のための戦いを繰り広げている国です。そのイスラエルにとって有益な装備品であれば日本にとっても同様に検討対象としてもいい装備品ばかりですね。沿海域戦闘艦は除きますが。

2019年8月7日水曜日

北朝鮮が試射しているイスカンデルミサイルとはどんな性能を有しているのか



Iskander: The One Missile America and NATO Fears (And North Korea Loves)

イスカンデル:米国NATOが恐れ北朝鮮が夢中になるミサイル
August 6, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaMilitaryIskanderNorth Korea



9K720イスカンデルM(NAOT名称SS-26ストーン)は高性能な短距離弾道ミサイルだ。輸出仕様は射程280キロ、ペイロード480Kgで、ロシア国内仕様は500キロ射程とGlobal Securityがまとめている。

(本稿は2016年初出だが北朝鮮がほぼ同型のミサイル発射試験を行ったため読者の要望に答え再録した)

Missile Threat Project含むその他筋では国内仕様は400キロ射程でペイロード400Kgとしている。いずれにせよ、核弾頭搭載可能なイスカンデル-Mは中距離核戦力(INF)条約制限内だ。とはいえ、同ミサイルはINF条約で第一線から消える旧型OTR-23オーカ(SS-23スパイダー)核弾頭ミサイルと交代する。

イスカンデルは単弾頭で終末誘導装置がつくがミサイル命中精度は異なる。Missile Threatのまとめでは慣性誘導型の命中誤差は200メートルだがGPSあるいはGLONASSを搭載すれば一気に50メートル未満になる。更にレーダーや電子光学センサーの補助で10メートルまで誤差を縮められる。

イスカンデルは各種弾頭が搭載でき、高性能火薬(HE)の他、小爆弾ディスペンサー、気化爆発型、HE貫徹型が選択できる。ロシア国内仕様は核弾頭も運用でき、この意味でイスカンデルは多様に運用できる。

イスカンデルはミサイル防衛網突破をめざし設計されている。Missile Threatによれば終末段階で30G以上の飛翔制御が可能という。またおとりを搭載し迎撃ミサイルを騙すことが可能だ。このためイスカンデルの迎撃は現状のミサイル防衛技術では極めて困難だ。

イスカンデルは戦略兵器でなく、戦術弾道ミサイルである。有事の際には固定目標・移動目標双方の攻撃に投入されるはずだ。地対空ミサイル陣地、敵の短距離ミサイル施設、飛行場、港湾、指揮通信施設、その他強化標的への投入が想定される。

このミサイル防衛体制を突破可能なイスカンデル-Mをロシアはカリニングラードに持ち込んでいる。これによりロシアは米国がポーランドに構築したミサイル防衛体制を突破するだけでなく近隣の軍事施設にもにらみをきかしている。また同装備をシリアにロシアが展開している可能性が高い。

他方でロシアはイスカンデルの性能向上策を続けており、新型ミサイルを開発中だ。「イスカンデル-Mには更に性能向上が可能」とロシアミサイル軍副司令アレクサンドル・ドラゴファロフスキが2015年11月に国営スプートニク通信に語っていた。

新型イスカンデルで迎撃がさらに困難になるのは疑いない。■


Dave Majumdar is the former defense editor for The National Interest.

2019年8月6日火曜日

宇宙でも日米の防衛協力は進む 日本の準天頂衛星に米監視センサーを搭載する案が実現へ

US, Japan To Ink Hosted Payload Pact to Monitor Sats 日米両国が監視衛星2ペイロード搭載で協力関係を調印に向かう

日本は自国の準天頂衛星QZSSに米国の宇宙状況認識(SSA)センサーペイロードの搭載を認める意向。日米両国関係者は今年末にも覚書(MOU)を締結する
on August 05, 2019 at 11:15 AM

米両国が米国の宇宙監視ペイロードを日本が打ち上げる衛星に搭載する内容の画期的な新合意に調印する。米国防関係筋が明らかにした。米国の宇宙状況把握(SSA)センサーが日本が整備する域内GPS衛星にただ乗りする格好だ。
日米両国は中国やロシアによる制御可能衛星の軌道上実験への懸念を深めている。平和利用と称しているが有事に同盟各国の衛星群の攻撃に転用される可能性があるためだ。  
ペンタゴンが進める広義の宇宙政策に呼応し米空軍は「宇宙状況把握(SSA)センサーペイロードを日本のQZSS衛星に搭載する案を模索している」と空軍広報官ウィル・ラッセル少佐が事実を認めた。
日本のQZSS衛星による航法ならび計時用の衛星群の機能提供区域

準天頂衛星は衛星4機で位置把握、航法、計時(PNT)信号をアジア内の利用者に送信する。うち1機が静止衛星軌道(GEO)、残る3機は楕円軌道で周回する。 
両国の協力事業のねらいは米宇宙監視ネットワーク(SSN)により軌道上の衛星や宇宙デブリの監視体制の強化にある。
日本もSSA体制の独自整備をこの15年続けており、上斎原スペースガードセンター(KSGC)の他、深宇宙探査用望遠鏡の再整備を美星スペースガードセンター(ともに岡山県)で進めてきた。
検討中のMOUでは米国ペイロードの軌道投入を2023年と想定し、日本の衛星群更新にあわせる。さらにMOUは日本のSSAのデータ共有も対象とする。
国防総省は次のように説明している。「米日両国ではすでに宇宙状況把握をめぐり公開情報を共有する合意を米側はSTRATCOM(米戦略軍)を通じ2013年に署名発効しており、今回はPNTに関する実施面でのMOUとともに情報非公開のSSAデータ共有合意を目指している」
米国はオーストラリアともSSA観測・データ共有の合同体制を目指しており、現在はホワイトサンズにある宇宙監視望遠鏡をハロルド・E・ホルト海軍通信基地のあるオーストラリア西部へ2021年に移転する。また地上配備の電子光学深宇宙観測(GEODSS)網としてオーストラリア国内に望遠鏡を設置する。強力な焦点距離1メートル望遠鏡なら40千キロ上空のバスケットボール大の物体も見分けられる。
先週ワシントンで自衛隊の統合幕僚長山崎幸二陸将は日米宇宙協力の重要性を強調した。「日米両国にとって情報共有のみならず衛星機能まで共有し、衛星による情報収集、通信、位置情報、早期警戒機能の共有まで実現する意味は大きい」さらに幕僚長は中国の台頭、北朝鮮の脅威により太平洋地区が従来にまして不安定かつ予測不能な状況に追い込まれているとも述べた
今回のニュースはマーク・エスパー国防長官が日本訪問するに当たり浮上したもので長官は岩屋毅防衛相と会談の他、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを歴訪する。
在米日本大使公邸で先週のイベントが開催され、両国の軍関係者、外交関係者が出席した。中でもジョン・レイモンド大将(空軍宇宙軍司令官兼発足したばかりの宇宙軍トップは宇宙空間における日米両国の緊密関係づくりを歓迎している。
同大将はQZSSでの協力事業は「両国に大きな有益性を生む」とし、「両国の協力関係が宇宙でも進む一歩となる。次回はレーダーでの協力を進めたい。日本が開発中の新型深宇宙レーダーに期待している」
レイモンド大将は宇宙軍隊員を世界各地に展開させ各地の米軍指揮官に装備の活用方法を伝えたいとも付け加え、「インド太平洋軍、欧州軍の他にも各地の戦闘部隊司令機能に組み入れれば、作戦立案の同調が可能となる」「各方面との作戦立案は絶対必要な機能だ」
同日にマーク・ワイズ少将(海兵隊戦闘開発本部副司令)が今後の太平洋地区での作戦について「こちら側の通信機能が低下させられる状況の到来を真剣に憂慮している」と中国が通信リンクや交信内容を妨害する能力を有していることを念頭にペンタゴンで報道陣に述べている。
MOUと別に日本は独自に宇宙司令部の創設をペンタゴンの宇宙軍と並行して検討中と日本側軍事筋が述べている。「目標は宇宙ドメインミッションユニットで宇宙状況認識業務を実施させることだ」
日本はここ数年で宇宙空間の防衛用途利用を野心的に進めてきた。2018年12月の防衛大綱では「マルチドメイン防衛部隊に宇宙、サイバー空間、電磁スペクトラムの各方面を融合させる」とある。
また「中期防(2019-2023年)」では新規部隊の創設で「宇宙空間の常時監視体制を実施し、宇宙空間利用で平時有事問わず絶えず優位な立場を確保する」とある。 . 
5月の日本報道では新規部隊は2022年までに東京西方の府中航空自衛隊基地内に設置されるとある。またヴァンデンバーグAFB内に連絡事務所を設置する。

デイビッド・トンプソン中将(AFSPC空軍宇宙司令部副司令官)は上院軍事委員会で3月にAFSPCが日本側をヴァンデンバーグ基地に招くため両国で覚書の作成に取り組んでいると述べていた。■

2019年8月5日月曜日

陸自V-22オスプレイはノースカロライナ州で海兵隊から一年間にわたる訓練中

Here’s why you might see Japanese Ospreys over North Carolina in the next year

By: Shawn Snow    16 hours ago

米海兵隊MV-22Bと軸上自衛隊V-22オスプレイが空中機動訓練を海兵隊ニューリバー航空基地(ノースカロライナ州)上空で実施している。7月9日撮影。 (Lance Cpl. Elias E. Pimentel III/Marine Corps

ースカロライナ上空で日本所属のティルトローターV-22オスプレイが飛ぶ姿を見たとしても驚いてはならない。
今年5月に海兵隊が陸上自衛隊向けにV-22オスプレイの教程を期間1年間で開始した。
.ノースカロライナ州にあるニューリバー航空基地での訓練で20名から50名の日本人学生が来訪し2020年5月に終了すると海兵第2航空団広報係のマイケル・カーティス大尉が明らかにした。
日本側は新造のV-22ブロックCを訓練用に持ち込んでいる。「C」型は気象レーダー改良型やコックピットディスプレイを更新している他改修を受けている。
カーティス大尉によれば日本向けブロックC機材は「日本専用の通信装備はじめ独自仕様になっている」という。
2015年5月に国務省から発表があり、ブロックC仕様V-22合計17機を30億ドルでの売却が承認されていた。
日米同盟は太平洋で中国の台頭に対抗する上で鍵となる。海兵隊と陸上自衛隊の協力関係は数年前に遡る。2018年4月に海兵隊第31遠征部隊は日本で第二次大戦後初めて編成された揚陸展開旅団の誕生に手を貸した。
V-22オスプレイを日本と米海兵隊が運用することで長距離をものともせず部隊展開が可能となり人道救難任務でも能力が向上することになる。
カーティス大尉は日本側のV-22機付長やパイロットが初期訓練を204海兵中型ティルトローター教育飛行隊(VMMT-204)で2016年から受けていると述べた。同隊はニューリバー航空基地に本拠を置く。

一年に渡る教育でカーティス大尉は「日本側パイロット、機付長は基本再訓練過程を受講後に中等個人訓練を受ける」と述べた。「教育は実施中でVMMT-204は海兵隊オスプレイ訓練部隊として世界唯一の存在と付け加えた。■

2019年8月4日日曜日

無人ヘリを海自艦艇に導入する狙いはどこにあるのか

MSDF to acquire 20 unmanned helicopters 海上自衛隊が無人ヘリコプター20機の導入を検討中


The Yomiuri Shimbun
3:06 pm, July 28, 2019
The Yomiuri Shimbun
上自衛隊は大型無人へリコプター約20機を導入し、駆逐艦等への搭載をめざす。
中国の海上進出への対応として日本政府は沖縄県尖閣諸島付近で早期警戒監視活動の強化をめざしている。
対象となるヘリコプターは2022年度に選定し、調達は2023年度から開始すると政府筋が取材に明らかにした。
東シナ海において早期警戒監視活動を海上自衛隊艦艇が実施しているが、ヘリコプターの他、P-3C哨戒機等も投入している。
中国政府の艦艇が尖閣諸島付近を航行し、中国軍の動きが東シナ海や太平洋で活発になる中、装備や人員が限られる日本で作戦をどう展開するかが課題だ。
艦艇搭載の無人機は艦載レーダーの有効範囲外で外国船舶他を監視し、.海自艦船の監視範囲を拡大する効果がある。また無人機は夜間・悪天候下でも運行可能なため有人機より広範囲を対象に活動できる。
福島第一原子力発電所事故の教訓で政府は無人機への放射線センサー搭載も検討中で、防衛省は有人機には危険な任務を無人機で実施させたいとする。.無人ヘリコプターの配備先はいずも級やひゅうが級駆逐艦となりそうだが、今後登場する機雷敷設能力を付与した新型駆逐艦も対象となりうる。
機種選定ではノースロップ・グラマンMQ-8Cファイヤースカウトが最有力とみられる。全長12.6メートルの同機は艦船その他の動きを高度5千メートルから探知できる。
米海軍ではMQ-8Bを稼働中で8時間の連続飛行が可能で、搭載艦から200キロ離れた地点で5時間の作戦が可能と言われる。
日本政府は昨年12月に無人ヘリコプター3機の導入を中期防の一環で決定しており、今後10年程度で20機の無人ヘリコプター部隊を編成したいとする。

現行法の枠組みでは無人機運行は有人機あるいは別の地点から有視界内で制御する必要がある。このため政府は無人ヘリコプターの運用に必要な法改正の検討が必要となる。■

2019年7月28日日曜日

米軍機の事故現場で日本当局の早期現場検証が可能に----時間がかかるが着実なガイドライン改正を今後も続けるべき

Japan's early investigation of U.S. warplane crash sites to be allowed

July 27 06:25 am JST

米両国はこの度ガイドラインを改正し、基地外で米軍機が墜落した場合、日本当局が事故現場を「早期」調査できるようになった。
河野太郎外相は米軍機の基地外における国内事故ガイドラインの改正により日本側の警察・消防・救命当局が墜落現場に「早期立ち入り」できるようになったと報道陣に述べた。
「我が国による事故処理の効率が高まる大きな意義がある」と河野外相は述べ、「沖縄はじめ(米軍基地付近の)地元の負担軽減へ努力していく」とした。
ただし事故現場への立ち入りで米軍から事前同意を得る必要があるのは現状通りと外務省が説明。
新ガイドラインでは事故発生で危険物質が漏れた場合日本側へ「事故後に可及的速やかに」情報を伝える規定になったと外務省は述べた。
改正は7月25日から発効していると外相は発表。
米軍は事故現場の初期調査段階での日本側の現場立ち入りを認めてこなかった。
両国は2005年4月にガイドラインを設定していた。これは海兵隊ヘリコプターが沖縄県宜野湾市の大学キャンパス内に墜落した2004年8月の事件を受けて生まれたものだった。その時点で米国は日本当局の民有地における現場調査を認めていなかった。■


コメント 当たり前のことを一つ一つ当たり前にしていくため米側とは今後も粘り強い交渉と説明が必要です。一部の勢力が主張するような一夜にしてすべてを変えるという無茶苦茶な改正は到底無理としても、着実な交渉が必要とされ、今後も日本側当局者には努力をお願いしたいところであり、国民もその努力を評価しつつ支援していくべきでしょう。しかし相手が米国でよかったですね。ロシアや中国ではこんな交渉そのものはありえないでしょうから。