2020年2月23日日曜日

主張:WHOは中国の存在を忘れさせる疾病名称を選んだ

ベルリッツ
日本では国連をとても大事に考えているため、国連機関に過大な期待をしがちです。そういう当方も短期ながら国連機関に奉職していた体験から内情はかならずしもそこまで優秀ではないと言えますが、今回の騒動をみるとWHOが期待通りに機能していないことは明白です。中国があまりにも身勝手な主張でWHOに圧力をかけているとしか思えません。そうなると今後はWHOへの信頼が下がりかねません。もともと米国には国連を軽視する傾向があるのですが、いよいよトランプ大統領の主張がまかりとおりかねません。今回明らかになったのは中国、中国共産党の存在自体が悪だということではないでしょうか。
DMM FX
病の名称は重要だ。名前により専門職並びに一般が対応を誤ることになりかねない。エボラといえばすぐわかるが、H1N1といわれると対症方法も異なる。
一般名称が重要だ。誤解を防ぐためだ。だが時として不満につながる。これはおかしい。エボラの語源はコンゴを流れる川のひとつだが、コンゴに敵意をいだく、あるいはマルブルグウィルスの語源があるからといってドイツを憎むだろうか。あるいはジカ熱の語源がウガンダの森林だから同国に立腹してどうするのか。
2009年4月、イスラエル保健省はブタインフルエンザの名称を希望したが、イスラム教徒、ユダヤ教徒の神経を逆なでするので、発生地から「メキシコインフルエンザ」と呼ぼうとした。これに対し駐イスラエル・メキシコ大使が抗議し、結局H1N1になった経緯がある。ブタインフルのため各国で豚数百万頭が処分され、豚肉消費が非合理にも減少したものの、名前は忘れがたいものになった。
今回のコロナウィルスについた名称がCOVID-19でコロナウィルス疾病-2019の略称だ。WHOの発表に先立ち国際ウィル毒学委員会は重症急性呼吸器症候群コロナウィルス2型(SARS-CoV-2)とするよう提言していた。SARSウィルスとの関連が伺える学術名である。WHOはこの提言を受け入れなかった。「SARS」というと不必要なパニックを呼ぶ、というのが理由だった。
名称からパニックが生まれたり、誤解を呼ぶかもしれないが、地名が疾病と関連付けられることは悪いことだろうか。ハンティントン(神経変性疾患)やホジキン(リンパ悪種)が疾病名だからといって両都市に悪感情を抱く人がいるだろうか。
新型疾病で薬物耐性のある菌が繁殖するのを許している原因と事実の隠蔽に真の懸念と怒りを向けるべきである。中国の食品市場と透明性の欠除、さらに政治体制の意思決定過程が世界最大の問題である。
中国起源の疾病をCOVID-19と呼ぶことで、中国から発生した事実に気づかなくなる可能性があるが、中国自身が政治体制ならびに慣行を変革させない限り、同国から深刻なパンデミックが再び発生する可能性があることを忘れてはならない。■
This article by Roger Bate first appeared at AEIdeas.
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この記事は以下から構成しました。

Does the UN Want Us to Forget That the New Coronavirus Is From China?

Names matter.
February 22, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCoronavirusWorld Health OrganizationPandemicPolitical Correctness


米空軍は太平洋地区で中国にこう対抗する---分散と独立がキーワード

数の力に頼る中国に対し、広大な太平洋地域で、かつ限りのある機材数でどう対応するのか考えて出てきた米空軍の作戦構想です。中央集権に凝り固まった中国ではこうした発想は生まれないでしょう。広大な防空圏を有する日本にも参考になりそうです。なんといっても空港の数は100箇所近くあるのですから。その中でも那覇、石垣、宮古、下地島などが重要ですね。

平洋空軍司令官チャールズ・ブラウン大将は小規模の編隊を域内基地に迅速に移動させ敵陣営を混乱させると述べ、敵陣営つまり中国が米軍通信の妨害に出るのを前提としているとも明らかにした。
「機材の迅速移動方法が問題だ」とブラウン大将は述べ、「有事の際に通常の通信は維持できなくなり条件は厳しい」とした。
ブラウン構想はなんら新しいものではない。空軍、陸軍、海兵隊の情報部門で温められてきた考え方だ。
部隊分散とあわせ独立した指揮命令系統を両立させる構想から見えるのは、大規模基地施設に依存せず柔軟性と復元力を米空軍力にもたせる考えだ。上位司令部が細部に至るまで管理する考えも排したいとの思いも見える。すべては中国軍事力への対抗手段だ。
新発想がF-22の機数不足から生まれたのはなんとも皮肉だ。
アラスカの第3航空団が2013年にF-22の効率的な運用方法を編み出した。ラプターで最新ソフトウェア・兵装を搭載した「戦闘対応可能」機材は全180機中で120機程度しかない。
20機編成の各飛行隊を常時展開する骨の折れる苦労の代わりに、F-22の4機編隊と支援用C-17輸送機一機を太平洋各地に24時間以内に派遣できるよう準備することとした。
第3航空団では構想を「ラピッド・ラプター」と名付け、空軍上層部に売り込んだ。有事には第3航空団はF-22を各地の基地に分散させ、中国の弾道ミサイル攻撃に対応させる。
すぐに最前線にあるF-22部隊の六個飛行隊がラピッド・ラプター構想を採用した。2016年にフロリダの第95戦闘飛行隊がF-22の2機を東欧の事態沈静化に派遣した。当時、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切っていた。
2017年3月にC-17一機がF-22の二機を支援しオーストラリアに移動した。地上でF-22はC-17の主翼タンクから給油を受けた。
2017年7月には空軍コマンド部隊が過酷条件基地でF-15の燃料補給、兵装再装備が迅速に実施できるかを英国で試した。空軍特殊部隊がMC-130輸送機で前方基地での再装備、燃料補給をするFARPを試したのはこれが初めてだった。
この際の「ラピッド・イーグル」演習に航空団三個が参加した。英空軍レイケンヒース基地駐留の第48戦闘航空団とRAFミルデンホール基地駐留の第352特殊作戦航空団と第100空中給油飛行団だ。
このうち352SOWのMC-130Jがレイケンヒースに飛び、整備要員、弾薬類を搭載しミルデンホールに戻り、人員貨物を降ろしてから非公表地点に移動しFARPをレイケンヒース基地所属のF-15C4機に行った。
米空軍ではラピッド構想を他機種にも応用するとし、HH-60救難ヘリコプター、F-16戦闘機、KC-46給油機が対象と言われる。2017年にラピッド構想は「敏捷戦闘展開」方針に盛り込まれた。
一方で、空軍は太平洋各地で基地拠点候補を探している。
このうちテニアンでは老朽化した滑走路が再整備され、B-52がオーストラリア・ダーウィンから定期移動を開始した。「想定外の地点や時期に米空軍力を誇示できれば、同盟国協力国に大きな効果が生まれ、潜在敵国勢力への抑止効果につながる」(カーライル大将)
ただし既存の指揮命令系統構想で戦闘機部隊を分散させると衛星通信への依存度が高まる。
中国が衛星を妨害あるいは破壊すれば、ラピッド展開後に通信が孤立する。そのリスク低減のため、空軍は分遣隊司令に独立自運用をさせる。「指示を待たず適正判断できるかが課題」とブラウン大将も認める。
これに対し陸軍、海兵隊が一つの答を提示している。イラクで占領部隊を分散させた海兵隊で「分散作戦」構想が生まれ、100名程度の海兵中隊に独自運用を認めた。指揮命令系統から下される抽象的な指令を下級指揮官が独創力で解釈する力が鍵となった。
米陸軍にも「ミッションコマンド」と独自に呼ぶ構想があり、「命令を実施するに際し、指揮官の意図を守りつつ現場指揮官に権限を与え、陸上作戦を統合実施する」とある。言い換えると大佐から尉官へさらに軍曹へ達成すべき内容を伝え、あとは各自の実施を信頼することだ。
必要に迫られ生まれた構想だが、「中国の脅威増強のペースを見ると、こちらも考え方を変えないと」とブラウン大将は述べた。■

この記事は以下を参考にまとめたものです。

This Is The Air Force's Plan To Take The Fight To China

A plan to make the military less vulnerable.
by David Axe 
February 22, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22Air ForceChinaMilitaryTechnology

2020年2月22日土曜日

ベルの電動テールローターは電動ヘリへの大きな一歩、特殊作戦部隊が注目するはず

ブランドコレクト

まだ道は遠いのですが、ここに来て電動航空機の可能性が高まってきました。軍の観点で見れば、騒音水準が下がる機体なら特殊作戦用にぴったりですね。地道な技術ですが今後の動向に注目です。(ターミナル1同時配信記事)

EDAT testbedフライ・バイ・ワイヤでトルク打ち消しを可能とした試験機Credit: Bell Helicopter

が電動トルク打ち消し装置の技術をこっそりと実証中で、電動垂直離着陸機(eVTOL)の実現に向かう可能性がでてきた。
同社の電動分散トルク打ち消し (EDAT) 技術試験機はモデル429双発軽ヘリコプターを改造し、固定ピッチ電動ファン4つを垂直安定装置にとりつけ、従来型テールローターを廃止している。
回転翼機で電動トルク打ち消し機能の開発が進んでいるが、ベルのEDATが最初に飛行にこぎつけた。テストは昨年5月に関心を集めることなく始まっていた。ベル試験施設があるケベックで試験機がホバリングする映像が公開されてEDATの存在がはじめて明らかになった。
自社資金で始めた研究開発にオタワ州政府が2018年に助成金を交付しており、安全と騒音軽減での利用者の期待の高まりに対応していくとEDAT主管のエリック・シヌサスが語っている。「安全と運行経費の改良を求める声が利用者の皆さんからでています。騒音への関心がこれまでになく高まっており、技術陣にプレッシャーがかかっています」
ヘリコプター騒音の大半はメインローターとテールローターの干渉が原因で、テールローターをダクト化すれば騒音が下がる。
ダクトは以前からある。エアバスは古くは1960年代に遡り採用している。だが電動の採用でトルク打ち消し効果が最大限必要ない段階ではファン回転数を下げて、騒音を減らせる。同社はEDATの騒音レベルを公表していないが、テスト記録では「通常の429型より相当下がっている」とシヌサスは述べている。
安全面で通常のテールローターは危険発生源となり、地上でもエンジンが回転する間は危険だ。これに対しEDATはメインローターが回転中でも停止できる。運行経費でも良い効果が生まれる。テールローター用の複雑なギアボックス、シャフトがなくなり点検整備が楽になる。
だがEDATの採用で大幅な設計変更が必要となる。機械式のトルク打ち消し制御のかわりに、フライ・バイ・ワイヤでファン4つをペダル操作する。空冷式ファンモーターに液冷発電機が付き、搭載するプラット&ホイットニーPW207タービンが動力となる。これまでのシャフトの代わりに配線が機体後部に走っている。モーター、発電機はサフランが供給する。
DMM FX
ファンが4つあることで冗長性も生まれる。地上テスト結果からわかったのはファン4つ全部が使えなくなってもトルク打ち消し効果がある程度確保されることだ。通常のヘリコプターでテールローターが故障すると墜落こそしないものの危険になる。
別の観点は応答性だとシヌサスは述べる。「大型ファン一基あるいは中型ファン2基の場合は回転慣性が働き、応答性が下がる」とし、4本式の採用が必要だという。
ヘリコプター業界では電動トルク打ち消し装置の研究が進んでいる。レオナルド・ヘリコプターズはAW139のテールローターを改装しており、ベルのFC-X試験機は2017年に発表されており、電動ファンを採用している。
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次の段階はEDATの飛行性能の拡大とともに技術の適正化にあり、特に重量が問題となる。「これを踏石にし、完全電気機体につなげたい。型式証明取得も問題ではないだろう」(シヌサス)■
airCloset
airCloset

この記事は以下をもとに再構成しています。

Bell Achieves Electric Anti-Torque Flight First

Tony Osborne February 20, 2020


GOLOBAL WiFi

2020年2月16日日曜日

歴史に残る機体22 ボーイングB-50をご存知ですか

GOLOBAL WiFi
B-29は日本人にとっては好ましからぬ機体なのでしょうか。その派生型がB-50で、さらに知名度が低いのでしょうが、重要な役割を航空史上で果たしているのでご紹介します。
 
B-29は歴史上最大規模の空襲3事例、東京、広島・長崎原爆投下を実行したが、後継機B-50は実戦で一回も爆弾を投下していない。
 第二次大戦中に20億ドルを投じたマンハッタン・プロジェクトの成果物原子爆弾を投下したのが30億ドルで完成したB-29スーパーフォートレスだった。
アトミックゴルフ
 B-29は機体空虚重量37トンでR-3350デュプレックスサイクロン星型エンジンにターボチャージをつけ、時速350マイルで高度30千フィート超を飛び、日本の迎撃戦闘機には捕捉が困難だった。.
 だが第二次大戦が幕を下ろす前に同機の優位性がターボジェット戦闘機の前に消えると空軍も理解していた。冷戦が勢いを増した1940年代末にはロシアを原爆攻撃可能な爆撃機が死活的だった。
 ここから新型B-29Dが生まれ、3,500馬力のR-4360ワスプメイジャーエンジンに換装され、機体表皮も軽量だが強靭な75-Sアルミ合金になった。重量は600ポンド軽量化され、飛行速度は400マイルになった。その他改良点に垂直尾翼の大型化、油圧制御、主翼や窓に除氷装置がついた。
 第二次大戦終了でB-29発注が取り消されたが、事業継続を計る軍はB-29DをB-50と政治的な理由で呼称変更し、制式名の混乱を生んだ。
ベルリッツ

 B-50Aは60機のみ生産され、新設の戦略航空軍団の核抑止力の一角をにない、大型B-36ピースメイカー、B-47ストラトジェット爆撃機の登場までをつないだ。
 本格生産はB-50Dで222機が製造された。最終形では乗員が11名から8名に減らされ、外部燃料タンクを採用し、機首形状が簡素化されたほか、空中給油用のブームがついた。
 B-50では与圧制御の不良やエンジン問題さらにアルミ表皮の亀裂が発生し、数年かけ解決した。さらに新型核爆弾運用のため、爆弾倉は数回に渡り改装された。
 朝鮮戦争が勃発した1950年代には旧型B-29のみが空爆作戦に投入され、予想外の損失をソ連MiG-15ジェット戦闘機により被った。ミグは時速680マイルに達し、高い上昇性能があり、B-29に優位性がないのは明らかになった。
 ただし、B-29およびB-50は当時最新鋭の空中給油の先駆けとなり、SACが望む長距離空爆戦力を実現した。まずB-29がKB-29に改装され、B-50に給油した。
 1949年にB-50AラッキーレイディIIが初の無着陸世界一周飛行を94時間で実行し記録更新した。途中でKB-29Mタンカー4組がアゾレス諸島、サウジアラビア、フィリピン、ハワイ上空で給油し、23,452マイルの行程をこなした。この記録は1956年にB-52ジェット爆撃機が破るまで保持した。
 B-47ジェット爆撃機が供用開始するとB-29は退役し、B-50が支援任務に回された。B-50が爆撃任務より支援で多用されたのは皮肉だ。
 合計136機のB-50がKB-50給油機に改装され、さらに112機がKB-50JとしてJ-47ターボジェットエンジンを搭載し、ジェット爆撃機への給油に対応した。ジェット追加でKB-50Jの最高速度は444マイルと、大戦中のマスタング戦闘機をわずかだがうわまわった。
 RB-50B、RB-50Eは写真偵察機としてソ連や北朝鮮上空に派遣された。この任務は「フェレット」と呼ばれソ連迎撃戦闘機を挑発して無線交信やレーダー探査を傍受し、防空体制を評価する役目もあった。
 RB-50Gは電子偵察機で各種特殊装備を積み、16名で運用した。同機も危険なミッションに送られ、1953年にはリトル・レッドアス機がウラジオストック付近でMiG-17二機編隊に撃墜された。乗員18名は脱出したものの日本海の凍りつく海面で生存できたのは副操縦士のみだった。
 さらにWB-50Dは「ハリケーンハンター」気象観測機が国家気象局の運行で悪天候に挑戦し、ソ連の核実験後の放射能測定もこなした。過酷な天候のためWB-50は6機を喪失し、乗員も全員帰らなかった。WB-50からの天候情報はU-2スパイ機の運行の前提条件となり、キューバでソ連の核兵器を探知したことからミサイル危機が始まった。
 B-50各種の用途廃止は1950年代から始まり、アルミ機体が酷使に絶えず老朽化が進んだせいもあった。その半世紀後、C-135ファミリーがB-50が先鞭をつけた各種任務をいまも続けており、とくに空中給油技術は21世紀の米航空戦力の基礎となっている。
 B-29が大戦中に空爆を多数行ったのに対し、B-50が怒りの一発を投下する事態は生まれなかった。とはいえ、ウラジオストックで撃墜されたRB-50Gは敵機に打ち返している。効果はなかったが。また1953年3月15日、WB-50がカムチャッカ半島付近を飛行中にMiG-15二機編隊に追尾され、発砲を受けるとWB-50の後部銃手が反撃した。幸いにもこの際は全員が無事帰還できた。■
DMM FX
この記事は以下から構成しました。

Why America's B-50 Bomber Was Much More Than An Evolved B-29 Superfortress

The first aircraft to fly around the world.
December 18, 2019  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: B-29U.S. Air ForceWorld War IICold WarBombers

2020年2月15日土曜日

危機管理を強化しよう。北朝鮮が核攻撃を東京にしかけたらどうなるか

核攻撃はおこらないとの信念があるのか、日本で真剣に核攻撃が起こった場合の想定は検討されていないのではないでしょうか。北朝鮮の核兵器もまさか日本に到達することはないと考える方が多いのか、政党でこの問題をまともに取り上げているのは幸福実現党のみのようです。(同党はいまだ国政選挙で議席を一度も獲得していません)福島原発事故で経験したようにどうもこの国の人の考え方には危機管理、つまり嫌なことを言って嫌われる勇気が欠けている気がしますがいかがでしょうか。今回の武漢ウィルス事件でも後手にまわった対応が批判の対象になるでしょうが、危機管理が足りなかったのでは


京の人口は13.5百万人で日本最大の都市で全国人口の1割が集中する。首都圏には35百万人と世界最大の都市人口が居住する。東京は北朝鮮の核攻撃の標的であり、実施されれば第二次大戦後誰も体験したことのない破壊に見舞われる。
 東京が首都になったのは19世紀後半当時の日本は西欧に追いつこうと近代化に必死だった。帝国主義まで導入したため朝鮮半島を1910年から1945年まで統治した。朝鮮人抵抗組織がゲリラ戦を展開し、現在まで続く強い日本への対抗意識が生まれた。北朝鮮は当時の抵抗運動を継承して正当性を主張している。
 こうした歴史はあるものの、北朝鮮問題で日本は脇役の立場だ。北朝鮮は主敵を米国と定めている。金日成は長距離ミサイルを整備し、朝鮮戦争再開となれば在日米軍基地を標的と定めていた。
 在日米軍基地は大部分が都市部にあり、北朝鮮が核攻撃対象にしそうなのが横田航空基地だ。
 横田基地に米軍関係者14千名が勤務しており、在日米軍司令部、航空輸送団の本拠地であり、東アジアにおける米軍の輸送、医療拠点として重要地点だ。同時に航空自衛隊も防空司令部を置き、朝鮮戦争時には米空軍B-29が北朝鮮拠点を爆撃に出撃した。
 有事になれば北朝鮮が広範囲の核攻撃を加えると見る専門家がおり、敵を萎縮させ核兵器使用の意思があることを事前に敵に知らせる意図があるはずという。横田基地には北朝鮮人民を攻撃した拠点として、日米の司令部機能があり、標的になるのは確実だろう。
 横田基地に北朝鮮核兵器が命中すればどうなるか。核兵器専門家アレックス・ウェラースタインが開発したオンラインツールNUKEMAPを使い、その場合の状況がわかる。ここでは便宜上、北朝鮮が20キロトン弾頭を搭載した中距離弾道ミサイル北極星2ミサイルを発射し、横田航空基地の駐機場に命中させたとしよう。
 NUKEMAPでは熱傷や加圧、放射性降下物の各効果を推察している。広島型原爆より25パーセント強力な核爆弾でも比較的小型と分類され、横田基地の場合は即死12,800名、負傷45,460名と出ている。同基地は相当の規模があるが、フライトライン勤務の人員数は極めて少ない。放射性降下物は北東に流れ埼玉県、茨城県に届くが東京中心部は避ける。
 その他の標的の場合はどうか。霞が関の日本政府中枢部が狙われた場合、即死24,290名、負傷90,780名になる。放射性の雲はここでも北東に流れ、浅草駅まで危険地帯になる。住民は茨城県まで海岸沿いに退避を迫られるだろう。
 だがもっとも深刻な被害になるのが新宿区が標的となった場合で、防衛省がそこにある。即死56,400名、負傷128,310名となり放射性降下物は東京の人口集中部ほぼ全域に影響を与える。
 NUKUMAPの計算は純粋の科学ではなく、サイトでも推定値は「あくまでも参考」と断り書きがある。使用するモデルに「シールド効果」として建屋やそこに隠れるヒトへの効果が盛り込まれているか不明だ。
 東京特有の事情として負傷率がある。東京の交通システムには長大な地下鉄網があり、放射性降下物の一時的避難場所として、市民多数を収容できる。事前警告があれば負傷率は相当下がるはずだ。一方で東京の地形に起伏が乏しいため爆発は相当先から見えるはずで市民多数が失明するほか、不運にも爆発を目にする地域の市民が火傷など被害を受ける。
 東京に複数の核弾頭が命中する可能性はどうか。北朝鮮にはその他の標的もあり、同時命中の可能性は低い。北朝鮮は日本が整備した弾道ミサイル防衛網を突破する必要もある。SM-3搭載のイージス駆逐艦があり、ペイトリオットPAC-3が最終段階で守りにつく。ただし、北朝鮮で投入可能な装備数が増える傾向にあるため、同国が敵とみなす国の首都東京に核弾頭複数が発射される可能性が今後増える。最後に大型核兵器が投入された場合の想定では死傷者が増え、60キロトン攻撃が霞が関に向けられれば死亡者は56,710名と20キロトンの2.5倍に増え、負傷者は25万名に上ると予想される。
 東京への核攻撃で数万名の生命を奪い、深刻な負傷を多数に与え、長期間に及ぶ健康障害が数百万名に生じる。不気味な予想だが、改めて核兵器の恐ろしさを教えてくれるだけでなく、二度と使用してはいけない兵器だと教えてくれる。■

この記事は以下を参考にしました

Hypothetical: North Korea Lobs A Nuke At Japan

What comes next?


2020年2月12日水曜日

戦略爆撃機の復興、注目を集める大型機材の動向は

戦略爆撃機というかサイズに余裕がある機材はステルス性能でも有利です。さらに近い将来には戦闘機と爆撃機の境が消え、多数の無人機を統制氏運用しながら敵戦闘機を遠距離から排除する戦闘航空機に進化するというのが当方の予見なのですが、どうなりますかね。


戦略爆撃機の復興
米中露三カ国が爆撃機の効用を再認識

ェリー・スカッツの著書Bombersの最後にこんな表記があった。「爆撃機の将来は明るくない...」
 それは同書が出た1991年には正しい表現だった。冷戦終結が視野に入り戦略爆撃機は削減の一途だった。米議会はB-2ステルス爆撃機の生産を当初の132機から20機に削減し、その10年近く前に英国は最後のヴァルカン戦略爆撃機を退役させていた。
 防空体制の向上の前に低速のB-52と超音速機のB-1ランサーやTu-160はともに生存のチャンスは減る一方で、調達・維持費用は高止まりだった。将来は第4世代多任務機のF-15Eのように機敏さと柔軟さを兼ね備えた機体で精密兵器多数を搭載するのが主流になると見られていた。
 だが2020年に入り、戦略爆撃機が一大カムバックを遂げている。米空軍はB-21レイダーステルス爆撃機を100機超調達すべく生産開始する。66機残るB-52は改修し2040年代まで供用する。
 ロシアも冷戦時の機体を改修し、これまでになく頻繁に長距離パトロール飛行を行っている。中国は古参兵のH-6の新型を今も生産中で、新型H-20ステルス爆撃機を2020年に公開すると見られる。
 背景には超大国間競合の再開がある。特に米中がアジア太平洋地区でしのぎを削っている。広大な同地区は戦術機では限界があり、戦略爆撃機に長距離ミッションを行わせるのが得策だ。さらに陸上配備ミサイルが前方基地、空母双方に脅威となっている。中国、ロシア、イランはそれぞれ大型巡航ミサイルや短距離弾道ミサイルの整備を進めている。有事には米軍航空基地や海上の艦艇に大量のミサイルが発射されよう。
弾道ミサイル攻撃で短距離戦術機が何機生き残れるか見えてこない。駐機中のステルス戦闘機の撃破は実に容易だ。
 そうなると、米本土やディェゴガルシア、グアム、ハワイの各地に配備する戦略爆撃機は比較的安全ながら世界各地を攻撃する能力を有する装備だ。中国、ロシアともに中距離、長距離弾道ミサイルで各地を攻撃できるが、ICBMは核弾頭しかないし、前者は数が少ない。
 核心は爆撃機の航続距離より搭載兵装にある。米、中、露各国はもともと爆弾投下用に開発された1950年代開発の機材をいまも運用するが、爆弾投下は今の情勢では自殺行為とされる。
 ただし、今は長距離巡航ミサイルを搭載し、数百マイル先からの発射が任務で、AGM-158 JASSMステルス巡航ミサイル(射程230から575マイル)、ロシアのKh-101(1,800から2,700マイル)、中国のCJ-20(推定900から1,200マイル)がある。それぞれ射程はS-400地対空ミサイルの有効射程240マイルを優に超えた地点で発射できる。
「ミサイルトラック」というと大量の燃料と兵装を搭載した大型機を思い浮かべるが、737旅客機を改装した機材で十分なのだ。実際に米海軍がP-8ポセイドン哨戒機に爆撃機並の兵装運用能力を実現しようとしている。
 スタンドオフ爆撃機でも、敵迎撃機が超長距離対空ミサイルを搭載すればやはり脆弱となる。ロシアのR-37や中国のPL-15がある。ただし、米空軍は自衛用レーザー砲の導入で長距離攻撃に対応するとしている。
 またスタンドオフ攻撃にも短所がある。長距離巡航ミサイルは非常に高価で、JASSMは一発百万ドルといわれ、有事になれば米軍は在庫を使い切ってしまう恐れがある。
 さらに巡航ミサイルが標的に到達するのに一時間ないし2時間かかり、防御側に準備の時間が生まれる。人員は退避壕に隠れ、防空体制は待機するだろう。
 そこで、奇襲攻撃で強力な火力を加えるには、これと別のはるかに高額な対応方法がある。長距離ステルス爆撃機だ。
 ステルス爆撃機なら警戒されずに敵の国家首脳部、指揮統制司令所、核や化学兵器施設、通信中継地点を攻撃できる。航空基地や海軍基地の機能を低下させ、弾薬庫や防空レーダー基地も排除できる。
 B-2スピリットは三十年にわたり世界唯一の実用長距離爆撃機であり続けている。2020年代中に米空軍は最低でも100機のB-21レイダーのテスト、調達を行う予定で、更に大型の機材を求める声もある。
 他方で中国はH-20ステルス爆撃機をまもなく公開すると見られる。同機はB-2に似た外見となるはずだ。
 米中両国がステルス爆撃機の調達を急ぐのは前線後方に機材を配備できるからで、太平洋の広大さを考えると防空体制をかいくぐり、経済性の高い短距離射程兵装を大量投下できる性能に魅力がある。
 ロシアにもPAK-DAステルス爆撃機開発構想があり、2020年代中に初飛行の予定だが、同機の実現に相当の予算を負担できるのかが今後試されよう。
 現実には第二次大戦終結後、戦略爆撃機が軍事大国相手の実戦に投入された事例は皆無だ。冷戦時に開発の米戦略爆撃機では一発も実戦投下していない機種が大半だ。ロシアのベア爆撃機は1956年に配備開始となり2016年まで実戦投入は一回もなかった。それでも大型機には視覚的な威圧効果がある。
 米国はB-52、B-2で朝鮮半島上空の飛行を行い、北朝鮮に圧力をかけている。ロシアはブラックジャック爆撃機をヴェネズエラに、ベアを英国やアラスカの沖合に飛ばしNATOを挑発している。中国はH-6を台湾周回飛行させている。
 米国も大型爆撃機を低じん度戦役のアフガニスタン、イラク、シリアに投入している。ISISの様な敵にには高高度対空ミサイル装備がないのでB-1、B-52は上空はるか上を飛行し、地上部隊が捕捉した標的に安価なJDAM誘導爆弾を投下した。燃料兵装を満載した爆撃機一機で戦闘機な数回ソーティ分をこなし、戦場上空を数時間滞空できる。
 こうした事情から中国、ロシア、米国が冷戦時の爆撃機を未だに温存している理由がわかるし、新型ステルス爆撃機開発に多大な予算を投入している理由も明白だ。超大国間の死闘に新型機材が投入される日が来ないことを祈るばかりだ。■

この記事は以下を参考にしました。

The Strategic Bomber is Making a Come Back

From America to Russia and China—the bomber is making a comeback. 
February 8, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: B-1BombersCold WarU.S. Air ForceH-6