2020年12月26日土曜日

F-3は大型双発の「ゴジラ」になると見るオーストラリアの論評。英主導テンペストとの合流はあり得るのでしょうか。

 オーストラリアは違った見方をしていると感じました。テンペストは確かに気になる存在ですが未知数が多い機体です。F-3は各国のトレンドと異なる路線のようで輸出は期待薄でしょう。それともモジュラー化でダウンサイズ版があれば話は別ですが、まさかその想定はないでしょう。当方は戦闘機の大型化をかねてから提唱しておりましたので、この方針には我が意を得たりの気持ちが強いです。


 

 

型戦闘機開発で120億ドル(150億オーストラリアドル)は大金とみなされないが、製造規模わずか90機となると話は違ってくる。

 

日本にとって新型機開発に予算を投じ2030年代に備える以外に選択肢はなく、日本政府はF-X開発に乗り出した。

 

12月18日の防衛省発表ではロッキード・マーティン三菱重工業による開発業務を支援するとあるが、米英の別企業も推進系やエイビオニクスで協力する。F-Xが英国で進むテンペスト戦闘機事業とつながるのは確実なようだ。両事業の開発大日程はほぼ並行している。

 

これまでロッキード・マーティンとならびボーイングBAEシステムズの名が取り沙汰されてきた。

 

ただし、日本はロッキード・マーティンを選定し、同社はノースロップ・グラマンと三菱重工のF-X統合作業を手助けする。海外国の戦闘機開発ではロッキード・マーティンの関与した案件が一番多い。三菱重工とF-2開発で、韓国航空宇宙工業のKF-Xにも関与している。

 

開発費用の規模は公表されていないが、共同通信や東京新聞ではリーク情報として少なくとも1.2兆円(120億ドル)としており、韓国KF-Xの規模を上回るもののF-35開発費用が最終的に720億ドル(2012年度ドル価格)になる試算に比べれば相当低い。

 

問題はF-Xの生産規模がわずか90機の想定になっていることで、開発費用が各機に重くのしかかる。また大型機となり生産ラインでの学習効果が効果を上げるまで時間がかかりそうなので機体単価の上昇はさけられないだろう。また生産施設を長期間稼働させるためもあり生産ペースは遅いままにされる。

 

防衛省はF-2の後継機開発準備に10年超を使い、直輸入、海外事業への参画も含め検討し2018年に日本主導の開発方針を決めた。

 

この決定にはそれなりの理由があるとはいえ、最終的には機体単価の規模で評価されよう。日本としてはF-X開発の主導権は譲れず、米製戦闘機が輸出できない以上、日本は他国の都合ではなく自国ニーズを最上段におく仕様にせざるをえない。

 

F-35購入を増やすだけでは解決しない。日本がF-X実戦化に想定する2035年でF-35は供用開始から20年、フル開発から34年が経過しており、もはや新鋭機ではなくなる。

 

完成機材輸入では製造元が装備設定を仕切るのが困る。日本のように自国で兵装やセンサーを開発できる国は各種装備の統合で選択権を握っていたいと考えるものだ。

 

これまで日本は米機材を選択してきた。1960年代末にF-4ファントム、その後にF-15イーグルを導入したが、F-22は米側に拒否され、その後継機も輸出は想定されない可能性がある。

 

防衛省の内部検討の結論は一見実現が困難に見えた。大型双発機で相当の航続距離があり、長時間滞空できる機体が浮上した。

 

そのため防衛省の打ち出したF-XはF-22を上回る威容となる。まさく巨漢といったところで「ゴジラ」のニックネームを提案したい。

 

機体サイズの選択が重要なのは、大型機は開発費用も大きくなるからだ。日本としては提携国では同様の機体は製造してくれないと考えた。F-Xが統合可能な開発事業として英国のテンペストとフランス-ドイツ-スペイン共同開発の将来型戦闘航空システムがあり、後者はあきらかに真剣な検討対象ではない。ともに大型機で初期構想段階のままだが、サイズの縮小が容易に想像でき、日本としては今が動くべき時だ。

 

ただし、テンペストとシステム共通化すれば費用を節約できる。英国では多国間共同開発機材の不満足な成果の経験から、で長期交渉して共通仕様の決定したあげく不満足な機材とするより、モデルを提示し、これで十分とする他国だけに参加を持ちかけており、機体をそのまま必要としない国にもドアを開いている。これならゴジラにいい話ではないか。

 

例として日本は大型機体を製造し、エンジンはIHI製の他ロールスロイスを採用すれば、テンペストと共通化できる。実際にロールスロイスが同じ内容の提案をしており、日本が有する素材技術を活用できるとしている。

 

英日両国は高性能レーダー開発を共同で進めている。またMBDAのミーティアミサイルにアクティブ電子スキャンアレイを搭載する開発も共同で進めている。

 

構想設計の最終決定にはパートナーからインプットを待つ状態とはいえ、日本の国会は令和3年度予算に731億円の計上を認め、開発が本格始動しそうだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Japan going ahead with 'Godzilla' fighter jet | The Strategist


24 Dec 2020|Bradley Perrett


2020年12月25日金曜日

エイブラムズ主力戦車はSEP v3に進化。主役の座を降りるのはまだまだ先のようです。米陸軍は大国間戦闘に備え、戦車等装甲車両の性能アップに。

 

 

 

装甲かつ性能を実証済みのエイブラムズ戦車は今後も主役の座にとどまる。陸軍の新規発注がこれを裏付けている

 

米陸軍はエイブラムズ主力戦車多数の改良を進め、最新のM1A2 SEPv3仕様は大国間戦闘に対応する性能になる。

 

ジェネラル・ダイナミクスは46億ドルで前方監視用の高解像度赤外線センサーカメラ、アクティブ防御、兵装の改良と車内発電容量を引き上げた新型車両多数を陸軍に納入する。

 

ジェネラル・ダイナミクスは「M1A2 SEPv3仕様は技術進歩を採用し、通信、火器管制、攻撃力、信頼性、整備性、燃料消費効率を改良しさらに装甲を強化しています」と声明文を発表している。

 

新型M1A2 SEP v3の砲手は高解像度ディスプレイを利用可能となり、操縦手のコントロールパネル、砲塔の制御も変わる。M1A2 SEP v3では弾薬データリンクと電子戦装備を一体化し、これを遠隔制御爆発物対抗電戦装備Counter Remote Controlled Improvised Explosive Device—Electronic WarfareつまりCREWと呼ぶ。オルタネータの容量アップと車内イーサネットによるネットワーク機能で搭載センサーを統合する。

 

新型エイブラムズの配備は2020年代中頃となり、センサー性能、カラーカメラ、レーザー測距技術、弾薬データリンクの他、天候センサーで天候にあわせた火器管制が可能となる。

 

陸軍が引き続きエイブラムズ多数を整備するのは大国同士の戦闘では重装甲車両が必要となるとの認識が多数のためだ。エイブラムズには心理的抑止力としての効果も期待される。その姿だけで敵勢力が攻撃意欲をそがれるためだ。

 

軽量装甲複合材料で一定の防御効果が期待でき、しかもこの分野で進展が急速に見られるが、重装甲に取って代わるには力不足だ。新型複合材料が主流となれば、多層構造で搭載するか、エイブラムズの場合は表層に追加すれば効果をあげそうだ。米陸軍の新型機動防御火力構想による軽戦車で新素材が採用されている。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

The U.S. Army Won't Let the Mighty M1 Abrams Tank Die


December 24, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarTanks

by Kris Osborn

 

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

Image: Reuters


2020年12月24日木曜日

クリスマスイブ記事 今年もNORAD北米防空司令部がサンタさんを追跡。でもこの伝統はいつ、どう始まったのでしょうか。

 


During last year's Christmas Eve, Canadian Brig. Gen. Guy Hamel of NORAD joins other volunteers taking phone calls from children around the world. (AP Photo/Brennan Linsley)

昨年のクリスマスイブの風景。カナダ軍のガイ・ハメル准将もボランティアとして世界各地の子どもたちからの電話対応にあたった。(AP Photo/Brennan Linsley)



米が恒例の北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)によるサンタさん追跡が気になる時期が来た。NORADは実際にサンタの飛行経路をオンラインで公開しており、アプリでも昔ながらの電話でもその時点でサンタがどこを移動中か教えてくれる。


だがこれはNORADの超天才がはじめたわけではない。新聞記事の誤植が原因だった。

ボランティアの空軍曹長ロデリック・シュワルドがコロラド州ピーターソン基地内のNORADサンタ追跡オペレーションセンターで各地からの電話問い合わせに対応している。Dec. 24, 2013. (Photo: Master Sgt. Charles Marsh)

 

だがNORADはなぜサンタを追跡するのか。


1955年12月24日、当時の米大陸防空例支部作戦センターのあるコロラドは通常通勤務体制だったが、当直のハリー・シャウプ大佐におかしな電話が入ってきた。


「電話をかけてきたのはコロラドスプリングの幼児で地元デパートの広告に番号があったのです。幼児はサンタクロースの居場所を聞いてきたんです」(NORAD広報官プレストン・シュラクター)

新聞広告ではこの番号でサンタさんにお話できるよとあったが、番号が間違っており、防空司令部にかかってしまうのだった。


シャウプは最初の通話に対応した。意地悪な対応もできたのだが、実際は違っていた。


「大佐はご両親にかわってもらい幼児には大陸防空司令部はサンタの安全を守っていると伝えたのです」(NORAD広報官プレストン・シュラクター)


その晩シャウプは部下と一緒にサンタの居場所を幼児一人ひとりに答えた。こうして伝統がはじまったのであり、1958年NORADに改組されても維持された。その後のテクノロジーの進歩でさらに人気を博すようになっている。今日の幼児は電子メール、スカイプ、ツイッター、フェイスブックやアプリ更にオンスターでサンタの行方を把握している。


サンタ追跡は大掛かりな事業で毎年11月にNORADSanta.orgが各家庭からの問い合わせに対応を開始してスタートする。政府、非政府あわせ70もの団体が寄付しサイト、アプリ、電話回線を準備する。制服組、国防総省文民、家族ボランティアが1,500人もクリスマスイブに子どもたちのサンタはどことの問いに答える。


シュラクターによれば200もの国と地域からウェブサイトへの訪問があり、ページビューは18百万、フェイスブックの特設ページには175万人のフォロワーがあるという。NORADサンタ追跡プログラムには126千もの通話が入り、電子メール2,030通に対応し、オンスターでも7,477もリクエストがあったという。


シュラクターはたまたま誤植だったとはいえ、いまや重要な伝統の一部となっており、各家庭の楽しい場面づくりに役立てて嬉しいと語る。


コールセンターは12月24日東部標準時の午前6時にオープンする。小児は 1-877-Hi-NORAD(446-6723) へ電話、あるいはnoradtrackssanta@outlook.comに電子メールを送ればその時点でサンタがどこにいるか教えてもらえる。ただし、関係者はサンタは子どもたちが寝ている時間にならないとあらわれないので当日は早くベッドに入らいないとお家にやってこないよと注意喚起している。


サンタクロースの居場所追跡を楽しんでください。トナカイには人参を、さんさんにはミルクとクッキーを忘れないで。■


この記事は以下を再構成したものです。


Does NORAD Really Track Santa?

Department Of Defense | By Katie Lange


F-22にリンク-16がやっと搭載される理由とは。しかし、これでラプターはやっと本来の機能を果たせそうだ。

 

 

 

空軍での供用開始から13年のロッキード・マーティンF-22ラプターに艦艇、地上部隊、その他機材との通信能力が与えられる。

 

空軍はロッキードとF-22約180機にリンク-16データリンクを搭載し、米軍・同盟国軍と位置情報や標的データの交換が可能になる。

 

リンク-16は米軍・同盟国軍の艦艇、防空システムで共通装備だが、F-22は非対象だった。リンク-16で位置情報をわざわざ教えるのはF-22のステルス性能を損なうと考えてきたためだ。

 

 

今でもラプターのパイロットはF-22専用の保安措置を高度に施したデータリンクで通信可能だ。だがF-16パイロットとは無線交信する必要がある。口頭で。

 

これではF-22運用に悪影響が出る。ラプターのステルス性能と強力なセンサーで僚機を戦闘に向かわせるには無音声交信が前提だ。空軍はF-22のステルス性を犠牲にしてまでも連携作戦効果を最大にする方針だ。

 

「リンク-16の発信機能でステルスF-22は航空作戦のクォーターバックとなり、『神の目』で状況を共有する」とAir Force Magazineのショーン・ウォーターマンはロッキードのF-22事業統括副社長オーランド・サンチェスの発言を引用している。

 

空軍はラプターのデータリンク問題を放置してきたわけではないが、契約手続きが障害となっていた。だが2017年にアップデートの突破口が見つかったとAir Force Magazineは伝えていた。

 

「F-22近代化改修の進捗が遅れ、制空能力に疑問が生まれかけたため、空軍もアップデートを一気にすすめる時期が来たと決意した。

「通常の方法では要求性能の細部を文書化し、詳細がすべて完成するまで納入できないが、USAFは新性能をローリング方式で進める『アジャイル』を採用した」(ウォーターマン)

 

空軍はF-22近代化改修を見直し、「アジャイル性能実現パイプライン」に変え、一部のアップデートではなく大項目を中心に近代化を一度に実施することとし、10年近くかかっていた実施がわずか数年で完了できるようになった。

 

Link-16のF-22への搭載が最優先事項となったとウォーターマンはいう。「2018年、F-22事業室は2016年国防予算認可法の804項に準拠し、ラプターアジャイル性能改修実現(RACR)契約の交付が可能になった。2019年度にRACRに近代化改修と機体維持の27億ドルから1.4億ドルを割り当てた」

 

2019年度予算でついにロッキードはリンク-16のラプター搭載を2020年から開始できるようになった。

 

すべて順調にロッキードがリンク-16をF-22に搭載できれば、2020年はラプターが世界最強戦闘機の触れ込みを初めて実現する年となり、僚機への支援機能も従来の水準を書き換えるだろう。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

We Haven’t Yet Seen the F-22 at Peak Performance

December 23, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-22MilitaryTechnologyWorldF-22 Raptor

by David Axe 

 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This article first appeared last year.

Image: Flickr.


2020年12月23日水曜日

イスラエルの多層防空体制は世界の最先端を誇る。進化し続けるのは周辺国の脅威に対抗するため。

 

スラエルはハヌカ祝日を前に海軍部隊を出動させ前例のない防空演習を実施した。高性能標的装備を巡航ミサイル、無人機、弾道ミサイルに見立てイスラエルが整備してきた多層防空システムの機能を試した。

 

イスラエルミサイル防空機関(IMDO)が米ミサイル防衛庁と共同発表し「デイビッズスリング兵装システムが巡航ミサイル弾道ミサイルの実弾迎撃テストに成功した」と発表した。演習ではアイアンドーム、アローの各システムも含めた多層防空システム同士の連携も実証した。イスラエル国防省は「有事には各種装備で脅威に同時対応可能と実証できた」と発表した。

 

今回のテストはイスラエルが1990年代以来進めてきたミサイル等の脅威に対応する各種システムの集大成といえる。米国はイスラエルと共同でアロー、デイヴィッズスリング両装備の開発を進めてきた。さらにアイアンドームは稼働以来10年が経過し、ガザでのロケット砲撃に効果を発揮するなど、今やイスラエルで最も頼りになる装備になっている。米陸軍もアイアンドームを採用し、短距離射程でロケット弾、ミサイル迫撃砲、無人機に効果を発揮する。イスラエル国防企業ラファエル高性能防衛システムズはテストで「アイアンドームによるUAV、巡航ミサイル含む各種脅威への対応性能を実証した」と発表。

 

巡航ミサイルや無人機を強調するのはイランがこうした装備でサウジアラビアのアブカイブ石油施設を2019年9月襲撃したためだ。「テストでは積極防空装備のアイアンドームおよびデイヴィッズスリングも使用し巡航ミサイルや攻撃型無人機といった新規脅威への対応力を試している」(ミサイル防空分野の専門家タル・インバー)

 

「イエメンのフーシ勢力がサウジアラビアの石油ガスインフラを攻撃した事例でもイラン装備品が使われ、同様の攻撃がイスラエルに発生してもおかしくない」とインバーは述べた。「イスラエルの多層アクティブミサイル防衛体制は脅威の変化に呼応し常に改善している」

 

 

 

襲撃事件では無人機多数、巡航ミサイルが遠距離から発進された。イランはシリアにも無人機、ミサイルを搬入しイスラエルの脅威になっている。ただしイスラエルは先を見ており、多層防空体制で各種脅威に対応する必要があるとする。その理由としてレバノンのヒズボラがイランの支援を受けミサイル15万発を備蓄しており、精密誘導弾も開発中であり、イスラエルに膨大な規模の脅威となっていることがある。アイアンドームは供用10年で効果を実証しているが、デイヴィッズスリング、アローともに運用実績はここ三年間しかない。

 

イスラエルは複数年計画モメンタムで国防軍の威力、精度を引き上げる。F-35や多層防空体制以外に特殊部隊の投入や情報活動の強化も含む。近隣遠方の敵をイスラエルが精密攻撃するためにも防空体制で国民を守りつつ陸軍、空軍が決定的な打撃を与える。モメンタム計画では特殊コマンド司令部も創設しイランに「第三包囲網」を形成する。2018年、2019年と続けて発表された報告でイランが弾道ミサイルをイラクに搬入しているとあった。12月にイスラエルが統合防空体制を演習したのは実際の効果を誇示する意図があったのだろう。

 

問題になるのは1月に米国に新政権が誕生し、イランが新たな脅威をイスラエルに準備中の可能性があることだ。イランはトップ核科学者の暗殺で、ヒズボラは重要人物殺害でそれぞれイスラエルを非難している。

 

最新テストを海上で実施したのは安全上の理由のためだ。イスラエル海軍は防空装備C−ドームを艦艇に搭載しており、デイヴィッズスリングも同様だ。米ペイトリオットに近いデイヴィッズスリングは中距離で脅威に対応する迎撃体を運用する。アローは長距離弾道ミサイル対応専用だ。

 

イスラエルは「デイヴィッズスリングの新型高性能版の効果を試し、将来脅威への対応を実証した」と発表。テストにはイスラエルの主要防衛産業各社が参画しており、「ラファエルがデイヴィッズスリングの主契約企業となり、米レイセオンが協力した。IAIエルタ事業部がMMRレーダーを、エルビットがゴールデンアーモンド戦闘管理センターをそれぞれ開発した」とイスラエルは発表。

 

ベニー・ガンツ国防相はテスト成功を褒め称えた。「世界最先端の防空装備であり、我が国を近隣遠隔からの脅威から防衛する」とし、米側の協力にも感謝した。

 

テストでは各種システムを同時運用し複数手段を同一脅威に対抗させた。これには近年の脅威数が増えていることがある。イスラエルは海上でも同様の脅威に直面し、最新のサアル6型海防艦に最新装備を搭載した。

 

世界では最新技術をセンサー、シーカー双方に投入しており、常に一歩先を目指す動きが顕著だ。巡航ミサイルや無人機の阻止が困難なのは低空飛行と低速のためだ。レーダーや迎撃機で捕捉が困難なのだ。シリア、リビア、アゼルバイジャンでの紛争では防空体制と武装無人機の競合が表舞台に出ている。

 

高性能防空体制でも無人機や滞空弾と呼ぶカミカゼ攻撃無人機の阻止ができない。イスラエルもこの種の装備品を製造しており、優れた電子光学監視機能を有する無人機を長時間監視偵察に投入し、人工知能で脅威を特定している。

 

イスラエルは今回の延長で最先端多層防空システムを実用化しそうだ。イスラエルが直面する脅威が多種多様で周辺国がイスラエルに投入する意思を有しているためこの実現は必要だ。イスラエルのシステム整備が域内のみならず世界的なレベルで防空体制へ影響を与えそうだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。周囲を敵意にみちた勢力に包囲された状態が70年つづき、しかも敵対勢力の装備が進歩している中で、イスラエルがこうした体制を真剣に整備するのは十分理解できるところです。日本にも参考となるところですが、イスラエルの真剣さ現実感が希薄なのはイージス・アショアが地元反対で頓挫すると、艦艇しかも2隻で代替すれば解決という姿勢にもあらわれていますね。

 


Does Israel Now Have the Best Air Defense Systems in the World?

https://nationalinterest.org/blog/buzz/does-israel-now-have-best-air-defense-systems-world-174783

December 19, 2020  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: IsraelMilitaryWeaponsWarMissiles

by Seth J. Frantzman


Seth J. Frantzman is a Jerusalem-based journalist who holds a Ph.D. from the Hebrew University of Jerusalem. He is the executive director of the Middle East Center for Reporting and Analysis and a writing fellow at Middle East Forum. He is the author of After ISIS: America, Iran and the Struggle for the Middle East (forthcoming Gefen Publishing). Follow him on Twitter at @sfrantzman.

Image: Reuters


日英共同開発新型空対空ミサイルJNAAMの実現に一歩近づく。令和3年度予算

本政府は12月21日、日英共同開発の共用新型空対空ミサイルJoint New Air-to-Air Missile (JNAAM) 開発の予算計上を認めた。

防衛省が12月21日の報道会見で確認し、10億円をJNAAM試作型の生産試行に投入する。

共同開発は2018年度から試作段階に移行しており、2022年度に試作型の生産試行を完了する予定と防衛省公表資料にある。このあと、両国はミサイルの性能評価に入り、量産に移すか決定する。日英共同研究は2014年に始まり、2023年度まで続く予定だ。

The cabinet of Japanese Prime Minister Yoshihide Suga on 21 December approved funding for the co-development of a Joint New Air-to-Air Missile (JNAAM) with the UK. (Japanese Ministry of Defense)

 

関連する英国のミサイル技術にMBDAのミーティア視界外射程空対空ミサイル (BVRAAM)がある。

日本は高性能無線周波数シーカー技術を三菱電機がAAM-4Bで開発した実績があり、BVRAAMの精度と性能を増強し、JNAAM開発に投入する。

三菱電機はコメントを拒み、防衛関連事業に言及しないとだけJanesへ回答してきた。■

 

この記事は以下を再構成したものです

Japan moves ahead with JNAAM co-development

22 DECEMBER 2020

by Kosuke Takahashi

 


12月22日ロシア中国の日本海東シナ海上空爆撃機演習の第一報です。

 


Russia China bomber exercise

2020年12月22日のロシア中国の共同演習時の飛行経路図。Japanese Ministry of 


  • 12月22日ロシア、中国両国の軍用機が東シナ海、日本海上空で演習を展開し、日本・韓国の反応を引き出そうとした。

  • 前回の両国共同演習は2019年7月のことで、韓国機が警告射撃をした。


シア、中国の爆撃機が前回の演習から1年半後に再び日本海、東シナ海上空で演習を展開した。


韓国はロシア、中国機合計19機の領空侵犯に対応し戦闘機部隊をスクランブル発進させた。


韓国防空識別圏 (KADIZ) に中国機4機が侵入し、その後ロシア機が15機続いたと韓国統合参謀本部が発表。


Russia Tu-95 bomber

2020年12月22日の共同演習で撮影されたTu-95爆撃機。Japanese Ministry of Defense


韓国軍によれば中国から通常の演習との連絡があった後にKADIZ侵入が発生したという。韓国軍は現地時間8a.m.にKADIZ侵入が始まり、3:20p.m.に退去したと発表。ただし、韓国領空侵犯はなかったという。


ロシア国防省はTu-95MS戦略爆撃機2機、中国のH-6K戦略爆撃機4機で「日本海、東シナ海上空の監視飛行を実施した」と発表。「両国軍用機は国際法を厳格に守った。外国龍空有の侵犯は許されない」とし、演習は「他国を意識したものではない」とも発表した。


爆撃機隊にはSu-35戦闘機が援護し、A-50U空中早期警戒統制機が随行したと国防省は発表し、日本のF-15戦闘機隊が「飛行経路の一部で」接近してきたと発表。


日本の防衛省はロシア、中国の爆撃機の写真ならびに飛行経路地図を公表し、琉球諸島から朝鮮海峡にかけ飛行したと示している。


Russian A-50 military plane

2019年7月23日にロシアA-50が竹島付近に侵入した。Japanese Defense Ministry via Reuters

Defense


韓国国防部はロシア、日本に対し「憂慮の念」を伝えたと聯合通信が伝えており、韓国外務部が「再発防止策」を求めたという。


今回の共同演習は二回目で初回は2019年7月で日韓両国で領有権の主張がある竹島周辺にロシア機が接近し日本、韓国が強い反応を示した。


韓国軍機はロシア機に数百発警告発射し、日韓両国がロシア中国を領空侵犯したと非難したが、この両国は事実を否定。


今回の監視飛行はロシア、中国の関係強化を反映しつつ、両国が米国はじめ域内各国と緊張を高めている状況の裏返しとも言える。


China H-6 bomber

2020年12月22日の共同演習に撮影された中国H-6爆撃機。Japanese Ministry of Defense


ロシア国防省は声明文で、演習は両国関係を広く深め、共同で戦略安定性を強めるため、としている。


「ロシア中国は準軍事同盟の段階に入った」とロシア軍に詳しいアレクセイ・ムラヴィエフ教授(オーストラリア・カーティン大)が今年夏のInsider取材で答えていた。同教授によれば2019年7月の演習はロシア軍から学ぶ中国軍の姿勢の一例だったという。


「単純に両国の戦略爆撃機だけではなく、両国のAWACSも投入し監視偵察機能を共有した」と分析していた。


韓国と日本が領有権をめぐり対立している以外にも両国には意見不一致があり、両国関係に影を落としていると海外関係協議会で日本が専門の研究員シーラ・スミスがコメントしている。この対立を横目にロシア、中国が接近しているというのがスミスの見解だ。



2019年演習についてスミスは「ロシアと中国に弱点を露呈されたのは痛い」とし、「以前は政治上の課題だったが、今やロシア、中国に利用され、米国の同盟国間の不一致をつかれた感がある」とスミスはコメントしている。■


この記事は以下を再構成したものです。


Russian and Chinese bombers conducted another joint patrol between South Korea and Japan

 

Christopher Woody 1 hour ago



Reuters contributed to this report.