2021年5月28日金曜日

主張 日本の南西島しょ部分防衛方針は中国の侵攻に対応できない。南西部を城壁にし、中国の水上進出を阻むべきだ

 

Japan Military Strategy

陸上自衛隊の88式対艦ミサイル Japan GSDF

 

 

本の南西諸島防衛が問題に直面しそうだ。

 

サウスチャイナモーニングポストに菅義偉首相率いる日本政府が防衛支出増額に向かうとの記事が出た。第二次大戦終結後の日本は非公式ながら防衛支出をGDP1パーセント上限に押さえ、軍国主義の再登場を懸念するアジア周辺国をなだめてきた。

 

ところが中国の軍事力増強と東シナ海での横暴な行動から日本もついに平和主義を脱し防衛費増額に向かいだしたわけだ。尖閣諸島含む南西部の防衛が日本の大きな懸念事項だ。岸信夫防衛相は「自衛隊に対応できない地点があってはならない。島しょ部分への部隊派遣は極めて重要」と述べている。

 

これを受けて陸上自衛隊は水陸機動団ARDBを発足させた。番匠幸一郎陸将はRANDでこの誕生を以下説明している。山本朋広防衛副大臣はARDBの主目的を「揚陸作戦を全面的に展開し、遠隔部が不法に占拠された場合に短時間で上陸、奪還、確保すること」と述べた。

 

番匠元陸将発言から「南西部城壁戦略」が見えてくる。島しょ線を日本の主権下に保ち、中国の海洋移動を阻もうというものだ。これ自体は良好に聞こえる。ただし、奪還となると話は別で問題となる用語だ。日本政府の考える戦略方針をそのまま反映している。自衛隊には相手の動きを待って反応させるが、先行した動きは認めない。また作戦はあくまでも第一列島線を舞台とする。日本は攻撃が加えられるまで待つのか。中国の人民解放軍PLAが地上を制圧するのを待ってから自衛隊が動き、奪還するというのだ。

 

これでは受け身の姿勢だ。逆に日本はPLAの攻撃前に島しょ部に部隊を急派し守りを固めるべきではないのか。守備隊が撤退しては敵の攻撃の前に城壁もそのまま守れない。南西島しょ部の壁も同じだ。プロシア陸軍のヘルムート・フォン・モルトケ元帥なら敵攻撃により陥落した島しょ部奪回作戦を聞いて興奮するはずだ。クラウゼビッツ流にモルトケは軍事史上で最高の作戦家にしてドイツ統一の立役者のモルトケは戦時には「戦術的防衛が有利」であり、戦略的攻勢が「より効率が高い方法であり、目標達成の唯一の方法」と述べている。言い換えれば、敵地を占拠あるいは占領してから戦術的に有効な防衛体制をとれば、戦略的な勝利につながるということだ。敵は莫大な犠牲と危険を覚悟で占領地の奪回を迫られる。戦場も実生活と同じだが、いったん手に入れれば我が物、ということだ。

 

海洋戦略も同様だ。前世紀の海洋歴史家ジュリアン・S・コーベットがモルトケの知見を沿海部に応用した。コーベットは戦略的攻勢に戦術的防衛を組み合わせれば限定戦で大効果が出ると主張した。戦闘艦艇は戦わずして敵に現実を受け入れさせることができる。あらゆる点で太平洋での戦闘は限定戦になる。核の時代に戦争を最終段階に持っていこうとするものは皆無だからだ。

 

戦術的防衛を戦略的攻勢と組み合わせることについてコーベットは「即応体制、機動力があること、あるいは有利な状況が該当地区にあり、敵が阻止してくる前にこれを実現することが前提」と述べている。敵が「撃退せんと動いてくれば、こちらの望ましい形で対応し、敵の反抗を遠隔地に限定させ、もって敵を消耗させるべし」としている。

 

コーベットもモルトケも地形や地理上の距離さらに防衛側の主体的な動きで反攻は困難になると主張している。このまま海洋面に応用できるかは疑問もある。コーベットは「目標地周囲が海の場合、敵は海洋全周の支配ができない」とし、守備側が占拠を維持できる可能性をほのめかしている。島しょ部は周囲が海だ。海洋戦略でこの海を壁にし、敵の動きを戦術的防衛で困難にさせればよい。日本はもっと攻撃的な姿勢になるべきだし、こうした過去の戦略大家の言葉を咀嚼すべきだ。ただし、何でもそうだが、すべてが想定通りに進まない。PLA部隊が自衛隊部隊より先に上陸する可能性もある。そうなると自衛隊の水陸両用機動団は敵の銃火の下で奪回を迫られる。南西部島しょ部で日本の主権を守る作戦としてこれは最も難易度が高い。日本ではなく中国が戦術的防衛の優位性を享受する。こうした想定が日本の外交政策や防衛当局に共有されれば、水陸機動団に出撃命令は出せなくなる。したがって積極策を考えるべきだ。

 

城壁に人員を配置するべきだ。しかも早期に。

 

そこで日本はモルトケやコーベットもほめるような攻撃的な思考ができるようになる。そうなればよい。また、番匠元陸将が説明したように、陸上自衛隊は「水陸機動団発足」のプレスリリースの中で「日本の遠隔島しょ部へのいかなる攻撃も撃退する」「統合能力」は十分にあると公言している。これは中国の揚陸作戦を阻止すると聞こえる。だが同時に水陸機動団の主目的は襲撃を受けた遠隔島しょ部で「上陸し、迅速に再奪回し占拠する」こととしている。

 

そこで再奪回ということばだ。

 

ここに中国と日本の考える戦略の違いが見え隠れする。日本の2017年版防衛白書では「中国は東シナ海南シナ海の現状変更を狙い、国際法による現状の秩序では受け入れられない形の主張をしており、日本含む域内諸国のみならず国際社会で懸念を生んでいる」と論じていた。言い換えれば、中国は現状を変えるべく攻勢をかけようとしている。

 

たしかに中国は常に積極的防衛手段をためらわないと公言しており、戦略的目的のためには攻撃作戦や戦術を取るとしている。中国の侵攻による犠牲者が中国の侵攻を生むと非難している。だがこれまで続いてきた域内秩序をひっくり返せば戦略的防衛につながるのは必至だ。実際に中国共産党は戦略的攻勢を主張し、実際に攻撃手段を実行している。党に従属するPLAが非武装あるいは紛糾する地点の占拠を選択する、あるいは他国の奪還を許さないと決定する事態が考えられる。このパターンはすでに南シナ海からヒマラヤまで展開しているではないか。モルトケ=コーベットならこの事態を見て即座に軍事対応につながるものと認識するだろう。

 

では日本はどうか。戦略的防衛に徹するが、国のトップは戦術の選択で悩んでいるように見える。日本に一番正しい道はモルトケだ。水陸機動団は中国部隊が防備を固める前に島しょ部へ移動する必要がある。戦術防衛策の優位性を証明することになろう。

 

そうなると菅首相以下の日本政府はモルトケ、コーベットに学び、南西部城壁を有効にする方法を採択すべきだろう。中国の攻勢に対し、日本にはスパルタ王レオニダスが劣勢な軍を巧みに活用したテルモピュレ峠の事例(紀元前480年)というモデルもある。ペルシア王クセルクセスの使者が剣を下ろせと要求すると、レオニダスはできるもんならやってみろ、と回答した。二千年以上前のこの姿勢が今日にも通じる。■

 

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Japan’s Backwards Island Defense Strategy Against China Is a Mistake

DR. JAMES HOLMES: THE NAVAL DIPLOMAT

ByJames Holmes

 

 

James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface-warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.”


2021年5月27日木曜日

H-20の推測記事が流出し大上段で否定記事を出した環球時報を見ると、案外的外れではない記事だったのか。とはいえ共産党外郭の同紙でさえ、H-20の実態は知らないのでしょう。透明性とは無縁のPLAの姿

  

   

An unknown aircraft covered in a blanket is seen in a recruitment video released by the Chinese People's Liberation Army (PLA) Air Force this month. Photo: Screenshot from the PLA Air Force 2021 recruitment video

人民解放軍空軍の隊員勧誘映像で正体不明の機体が布に覆われて登場した。 Photo: Screenshot from the PLA Air Force 2021 recruitment video

 

 

る中国雑誌が掲載した新型爆撃機のコンピュータ画像を巡り海外メディアが同機を人民解放軍空軍の次世代ステルス爆撃機H-20だと騒いでいる。だが、画像は想像図にすぎずH-20とは無関係と主張する筋がある。

 

香港及び台湾島のメディア一部が中国本国内の軍事記事にH-20のコンピュータ画像が掲載されたと報道しており、画像がH-20と関連があるとの公式な背景情報を伝えている。

 

記事ではH-20の性能仕様や詳細まで推測し、PLAの今後の軍事戦略まで占っている。

 

こうした報道に対し、内部事情に詳しい筋が今回の画像は想像図にすぎない、掲載雑誌も同機がH-20とは一言も言っていないと環球時報に指摘している。

 

記事は中国ではなく米国やロシアの新型爆撃機開発に触れており、海外メディアが勝手にH-20に関連づけたと同上筋は解説した。

 

該当の雑誌は国営軍事産業企業とつながりがあり、軍事問題を平易に解説する科学雑誌で、そもそも新型重要装備品の中核情報をそのような雑誌に公開することは中国の通常のやり方に反すると同筋は述べた。

 

海外メディアではH-20をもって「中国の脅威」理論に火を注ぐ状況が長く続いていると解説する中国軍事専門家もいる。

 

中国が次世代戦略爆撃機を開発すること自体は自然なことと同上専門家は述べた。

 

 

PLA空軍は2021年1月に公開した隊員採用ビデオで次世代戦略ステルス爆撃機の外観を暗示するシーンを入れた。■


Overseas reports on PLA's H-20 stealth bomber incorrect: source

 

By GT Staff reporters

Published: May 26, 2021 10:12 PM

 

 

ではどんな記事が中国本土で出たのか、探してみました。これがその雑誌と記事の写真のようです。

 

 

 

 

いかにも、という外観ですが、そのうちにH-20実機が登場すれば真偽もあきらかになるでしょう。しかし、環球時報がこれだけ必死に打ち消すのを見ると逆に信憑性を感じてしまうのですが。



夢に終わった装備(1) X-20ダイナソアは米空軍の宇宙爆撃機になるはずだった.....

 



ペースシャトルが飛ぶずっと前から再利用可能宇宙機を運用する構想が米国にあった。ニューヨーク爆撃後、太平洋に移動する爆撃機を創ろうとし第二次大戦中のドイツ技術を応用したボーイングのX-20ダイナソアはロケット打上げで単座宇宙機になるはずだった。


同機は大気圏と宇宙空間の境界を滑空し、ペイロードをソ連国内の目標地点に投下したあと、大気圏外へ跳びはねて移動する構想だった。X-20は核の時代にサイエンスフィクションの世界から生まれた夢の構想で、実際に機能したはずと見る向きもある。


ペーパークリップ作戦と冷戦の高まり

ジョン・F・ケネディ大統領、リンドン・B・ジョンソン副大統領の間に座るカート・H・デビュNASA局長はV-2ロケットの開発陣の一人だった。WikiMedia Commons)



第二次大戦が終結に向かうと、米国とソ連の関係は気まずくなってきた。米ソは冷戦の到来を予期し、次の大戦で勝利をどう実現するかを考え始めていた。


ナチ科学技術陣がドイツの優位性を実現しており、こうした成果を生んだ科学者が敗戦後に訴追を逃れようとしているのを米ソともに承知していた。両国はナチ科学者技術者の確保が戦略的優位性につながると着目した。ドイツ科学者の確保を米国ではペーパークリップ作戦と呼んだ。


ペーパークリップ作戦を主導したのは共同情報目的庁(JIOA) で米陸軍の対諜報部隊が中心となりドイツ人科学者技術者等を1,600名確保し米国へ移送した。各員には米国の軍事技術開発で役割が与えられた。NASAで名を成したウェルナー・フォン・ブラウンは月ロケット、サターンVロケット開発の中心となったが、ペーパークリップで米国へ連れてこられたドイツ科学陣で最高位の人物だったが、その他にウォルター・ドーンバーガーおよびクラフト・エンリケがいた。


両名はベルエアクラフトで垂直発進式爆撃機とミサイルを合体させたコンセプトを最初に提案した。ドイツではシルバーフォーゲル(銀色の魚)と呼んでいた構想だ。現在の目から見ても理にかなっている構想だ。ロケットブースターに機体を乗せて地球周回軌道下ながら大気圏外高度へ移動させ、瞬間宇宙に入ってから大気圏に向け滑空し、主翼を使い「跳ね返り」ながら移動する。


X-20ダイナソアの想定図  (WikiMedia Commons)



今日では再利用可能宇宙機を準軌道高度へ送る構想は当たり前に聞こえる。だが、ドンバーガー=エンリケ提案は1952年のもので、ソ連が世界初の人工衛星を打ち上げる5年も前だった。ペーパークリップ作戦はドイツ科学を使い米軍事装備開発を一気に進める狙いがあったが、倫理上の問題は別として、狙いは実現したといってよい。


スプートニクの影

1957年10月1日、ソ連が世界初の人工衛星スプートニク1を打ち上げた。小型金属球形状で直径はわずか23インチ、無線アンテナ4本を後部につけ、ソ連のみならず世界各地に信号を送った。西側世界で「スプートニク危機」が発生した。


大戦後の米国は事実上の世界超大国として軍事・経済力で君臨していた。だがスプートニクの打ち上げ成功で米国の優越性に疑問が生まれた。ソ連は米国と核兵器で追いつき、水爆も1953年に実験成功した。今度は米国に追い付くのではなく、ソ連が最初からリードを取った格好となった。米国はドーンバーガー=エンリケ構想を採択し、三段階の事業としていた。ロケット爆撃機(RoBo)、長距離偵察機(ブラスベル)、極超音速兵器研究だ。スプートニク1直後に米国は各事業を整理し、三つを単一のウェポンシステム464Lに統合しダイナソアと呼んだ。



X-20ダイナソア打ち上げの想像図(NASA)


新規事業ダイナソアは三段階で実用化するねらいだった。ダイナソア1は研究用、ダイナソア2は偵察機能、ダイナソア3で爆撃機能を実現するとした。米国は迅速な作業をめざし、1963年までに滑空実験、翌年に動力滑空を行う予定だった。その時点でダイナソア2がマッハ18を実現する。ダイナソアから開発するミサイルが1968年までに実用化され、宇宙機は1974年に実用化となる目論見だった。



(U.S. Air Force image)


三段階の実現目標を達成すべく、ベルエアクラフトとボーイングが提案書を作成した。ベルが先行したがボーイングが契約を獲得し、X-20ダイナソアの開発作業を開始した。



ダイナソアの製造

(Boeing photo)


宇宙機の全体設計が1960年にまとまり、デルタ翼に小型ウィングレットがつき、尾翼は省略された。再突入時の強烈な温度に対応すべく、X-20には超合金の耐熱レネ41を採用し、その他モリブデン黒鉛やジルコンを機体下部の熱遮断に使った。


空軍の主任歴史専門員だったリチャード・ハリオン博士は「超高温に耐えるようニッケル超合金を採用した。主翼前縁にはさらに高性能合金を使い、アクティブ冷却効果を狙った」


その同じ年に宇宙爆撃機の宇宙飛行士が選抜された。その一人が当時30歳の海軍テストパイロット、ニール・アームストロングだった。


同年末までにX-20の制式名称がつき、ラスヴェガスで一般公開された。X-20の大気圏内投下実験にはB-52ストラトフォートレスが母機に選ばれ、ロケットブースターの初の稼働実験も成功した。事業は順調に予定より先行しているように映り、当時の技術でも実現可能性は十分あるように思われた。1960年代初頭の当時にはアメリカが宇宙爆撃機を飛ばす日が来るのは確実だった。


(U.S. Air Force photo)


X-20ダイナソアのモックアップは全長35.5フィート、翼幅20.4フィートで、着陸時には格納式三脚をつかった。大気圏外まではA-4あるいはA-9ロケットが必要だったが、ミッションでは大部分を滑空移動し、大気圏に接近して揚力を確保してから跳ね返り、水面を跳びはねながら移動する小石のように移動する構想だった。最終的に速力が落ちると同機は地球に帰還するのはスペースシャトルと同じだ。



X-20ダイナソアの終焉 

(U.S. Air Force)


X-20構想は奇想天外なものだったが、技術的に実現可能であり、初期テストからダイナソアは目論見通り機能思想だと判明した。しかし、事業はおどろくべきほどの高予算となり、新しく発足した国家航空宇宙局はジェミニ計画を進めると、政府指導層はソ連への対抗として宇宙機の実用化により関心を示し、国際的な地位の誇示には役立たない兵装への関心は低くなった。


「ブラック事業としてU-2のように進めていれば、確実に実現していたはずだ。障害となる技術要因はなかった」(ハリオン)



1963年12月10日にX-20事業は中止となった。米国は410百万ドル(2021年換算で35億ドル超)をつぎ込んだが、X-20が宇宙爆撃機になるのはまだ相当先のことだった。ハリオンの回想どおりでもX-20の完成は2.5年先で370百万ドルが必要なはずだった。宇宙爆撃機は文字通り世界規模の航続距離を実現するが、1957年に米空軍はB-52で世界一周飛行を実現しており、高価格のロケットは不要になった。


X-20事業が中止となり、米政府は残る予算を有人軌道上実験室事業に転用し、ジェミニ宇宙機を使い、有人軍事プレゼンスを地球軌道上に実現しようとした。


だが、X-20は歴史の波に完全に飲み込まれたわけではない。同事業の遺産はNASAのスペースシャトルに見られ、宇宙軍の極秘X-37BにはX-20に通じるものがある。X-37Bが宇宙爆撃機ではないことはほぼ確実だが、米国で最高性能の偵察機材になっている可能性はある。■

 

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X-20 Dyna-Soar: America's hypersonic space bomber

Alex Hollings | February 11, 2021


2021年5月26日水曜日

韓国によるミサイル開発の制約条件を撤廃した米国の狙いは中国か。でも韓国の想定は....?

 今回の米韓首脳会談でミサイル開発の制約条件が撤廃されたと聞いて心穏やかでない日本人も多いのではないでしょうか。一方で、いきなり条件が緩和されたわけではないことが記事からわかります。問題は韓国に自制心と良識があるかですね。

 

南朝鮮の玄武地対地ミサイルが国軍記念日式典の予行でソウル郊外に姿を現した。射程は180キロ。 Sept. 29, 2003. It has a range of 180 kilometers. (Kim Jae-hwan/AFP via Getty Images)

 

朝鮮で朝鮮半島外の標的へ到達可能な弾道ミサイルの開発が可能となった。米国が42年間守ってきたミサイル開発の制約条件を解除したためだ。

 

両国首脳は1979年から守ってきた制約条件解除を発表した。当時の南朝鮮は米技術でミサイル開発する代りに射程は180キロ、弾頭ペイロードは500キロに制限する条件を受け入れた。

 

北朝鮮の脅威が増大する中で、制約を見直す機会がこれまで4回あった。1997年改訂で500キロ弾頭で最大射程300キロのミサイル開発が可能となった。2012年改訂では500キロ弾頭のまま射程は800キロに伸びた。

 

北朝鮮が2017年に六回目の核実験を強行すると、米国と南朝鮮は弾頭重量の制約を撤廃することで合意し、2020年の改訂で固体燃料方式の宇宙ロケット開発が可能となった。

 

「ミサイル開発ガイドラインの終了を発表でき嬉しい」と文在寅大統領は5月21日ホワイトハウスで米大統領ジョー・バイデンとの首脳会談後の

共同記者会見で発表した。「これはROK-US同盟の堅固さを示す象徴的かつ実質的な意味のある対応で、二国間防衛費用合意もバイデン政権が発足して早々に締結できた」

 

ROKとは南朝鮮の正式国名大韓民国の略称である。

 

ミサイル射程の制約がなくなったことで、南朝鮮が中距離弾道ミサイル開発を優先し、最大射程5千キロとし、朝鮮半島外の標的を狙える装備の実現を目指すとみる外部観測筋が多い。また、同国が長距離潜水艦発射式弾道ミサイルや極超音速兵器開発に向かう可能性もある。

 

「長距離ミサイル開発の技術やノウハウは蓄積してきたが、ミサイルガイドラインのため実際に開発できなかった」と南朝鮮政府国防開発庁のNam Se-gyuが述べた。「大型ミサイル開発にも道が開けた」

 

同庁は玄武Hynmoo弾道・巡航ミサイル開発で北朝鮮への抑止効果を狙ってきた。最新型は玄武-4で南朝鮮のいかなる場所からも北朝鮮のほぼ全土を攻撃できる。ペイロードは2000キロで射程は800キロを超える。

 

玄武-4の試射は2020年に南朝鮮西海岸で行われている。玄武-4はHanwha とLIG Nex1の共同開発で強化地下施設の北朝鮮指揮統制施設を撃破する想定だ。

 

米国がミサイル開発の制約条件を解除したのは中国対抗戦略の一環だと見る向きもある。

 

「ミサイルガイドラインの終了はバイデン政権がROK-US同盟関係を重要視している証拠で、米国が南朝鮮の国力、地位を信頼し非拡散方針を守るモデル国家と見ている証拠でもある」と南朝鮮国防部は5月25日に声明文を発表した。■

 

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US lifts missile restrictions on South Korea, ending range and warhead limits

By: Brian Kim


2021年5月25日火曜日

イスラエル対ハマスの戦いから今後の展望は?戦闘はこれからも続くと平然と見るイスラエルの超現実観は日本人に理解できる? 日本もイスラエル-パレスチナ問題さらに中東の政治地図に関心を示そう。


 

 

 

芝生刈り戦略:イスラエルはパレスチナとの戦いは終わりがないと見ている。

スラエルは政治的な解決に幻想を持たず、「芝生刈り」は永遠に続くと見ている。これは正しいだろう。しかし、芝刈りは単純に永続させるものではなく、それ自体が永続するのだ。

2021年5月21日、イスラエル対ハマスの戦いは11日目にして停戦となった。ハマスはガザ地区を事実上統治し、4,300発ものロケットがイスラエルに発射されたが、ガザには精密誘導爆弾が投下され、高層ビルや地下トンネルが破壊された。

停戦前にイスラエル政府筋からイスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフが攻勢を長引かせようとしているとの話があった。空爆を毎日続ければハマスの行政組織や軍事施設を破壊できるからで、ハマスは2014年の前回の対決後に仕組みを整備してきた。

 

ジェルサレムポスト紙にEfraim Inbar・Eitan Shami両名が2014年書いた記事にあるように、イスラエルの戦略専門家は戦争を「伸びた芝を刈る」と表現しており、長期消耗戦を覚悟し、政治解決は不可能と見る傾向がある。ハマスのロケット攻撃はエルサレムで発生した事件に対応したもので、イスラエル国防軍(IDF)にとって同集団の指導層含む構成要員を排除する好機となり、同時に同集団の資産や施設を排除できると、2014年、2008年の事例を思い起こしていただろう。

 

このことを下敷きにするとイスラエルにとってパレスチナ勢力との唯一の解決策は戦闘の永続だ。

 

 

30年で3回の戦争

 

ハマスが発射したロケットの大部分は目的地に到達できず、あるいはイスラエルのアイアンドーム防衛システムで迎撃されたものの、イスラエル市民に12名の死者が発生し、イスラエル国内のインフラにも被害があちこちに生まれた。ガザ郊外でIDF隊員一名が対戦車ミサイルがジープに命中し死亡した。

 

一方でF-16やF-35が投下した精密爆弾でハマスの地下トンネル網が広範に破壊された。海上突撃隊が舟艇と合わせ撃滅された。ハマス内務省も破壊された。だが、ハマスが保有するといわれる14千発ものロケット弾備蓄がどれだけIDFにより減ったかは不明だ。

 

誘導ミサイルがハマス首脳部の邸宅を粉砕し、家族ともども殺害した。ガザ唯一の新型コロナ検査ワクチンセンターも破壊されたほか、重要な塩水淡水化プラントも破壊され、下水道系統や病院数か所も破壊された。合計243名がガザで死亡し、うち100名が女性、こどもだった。

 

今回の対決はイスラエルにとっては対ハマス戦として12年で三回目となり、あるいはパレスチナ勢力とは2000年9月に発生した第二インティファーダ以来5回目の戦役となった。

 

2006年から2007年にかけ、米国がテロ集団と認定したハマスはガザ地区の支配を強め、選挙に勝利し、中道派ファテ党を権力闘争で排除した。

 

人口密度が世界で三番目に高い同地には200万人を超えるパレスチナ住民が暮らし、うち7割はイスラエルからの難民だ。イスラエルはガザの封鎖を実施し、ロボット技術を応用した警備銃まで投入した。これでユダヤ人居住区を狙う襲撃事件や誘拐案件は減ったが、ガザ住民は就業機会を失い、ヘルスケアも悪化し、貧困と生活水準悪化が発生した。

 

2008年から2009年にかけての冬にIDFは空爆作戦を開始し、限定地上侵攻をガザにかけ、ハマスのロケット発射とトンネル構築に対抗した。戦闘は三週間続き、ガザ住民1,100ないし1,400名(ほぼ半数が一般住民)、イスラエル側に13名(うち3名が一般市民)が死亡した。

 

2014年7月にIDFはガザ空爆と地上侵攻を開始した。これはロケット発射とあわせイスラエル青年3名の誘拐殺害に呼応したもので、ハマスはトンネルを使う移動戦術を巧みに使いイスラエル軍に多大な損害を与えた.(戦死67名)しかし、ガザ住民は2,100名から2,300名が死亡し、そのうち三分の一ないし三分の二が一般住民だった。イスラエルのアイアンドームはハマスが発射したロケット1,700発の威力を減じたが、イスラエル市民6名が死亡した。

 

IDFの芝刈り作戦による人的被害は(ハマスのロケット攻撃、自殺爆発事件、誘拐事案に対する)自衛権を根拠としており、概して受容されている。ハマスの原理主義的反抗傾向、長年にわたるテロ暴力、反ユダヤ主義もこうした自衛権の根拠となる。

 

だからといって紛争につきものの倫理問題を回避できるだろうか。ハマスによるイスラエル住民への無差別攻撃は非難されるべきだ。だが、IDFの精密誘導爆弾がハマス首脳部の居住住宅を攻撃し家族を巻き込み殺害しているが、ハマスのロケット攻撃とどちらが一般市民を多く殺しているのだろうか。

 

都市部に本拠地をおく戦闘員組織は民間人に紛れて敵軍の攻撃を回避するが、無事に生き延びようとしているわけではない。IDFは報復攻撃の際に一般市民を巻き込まずに攻撃を実施しようとする。

 

IDFは「芝刈り作戦」をハマス等相手に無限に続けられる、政治解決に頼るの不要と自信を有しているとすれば正確さを欠く。芝刈りは単純に永続させるものではなく、それ自体が永続するのだ。

 

58千人ともいわれるガザ住民が2021年5月の戦役で住処を失った。この記憶はイスラエルによる迫害として残り、ハマスの暴力戦術を正当化する心情をつよめそうだ。報復を誓う新たな世代のハマス戦闘員が生まれるのには十分な土壌となる。

 

戦闘技術は常に進化しており、優勢な武力にいつまでも安住するのは誤りといえる。IDFの敵対勢力は1973年以来、1982-85年、2006年、2014年とIDFに敗れたものの新戦術を採用する能力があることを実証している。

 

さらに、戦闘が再発することで不安定な状況が副次的に生まれた。今回の衝突の背景にイスラエル国内のアラブ住民があり、イスラエル社会に統合されているものの、抗議の声をあげ、暴動し、街頭で騒動を起こしたのは右派イスラエル国民に対していてであり、ロディでは二名が死亡し、シナゴーグ三か所が放火された。国益を優先し、武力行使を前提としたことで今まで平穏だったイスラエル社会が崩壊してしまった。

 

イスラエルの対外関係にもひびが入った。イスラエル外交はバーレーン、モロッコ、アラブ首長国連邦との平和条約により高まっている。経済ビジネス上の機会が生まれ、パレスチナ住民の重要性は減じた。しかし、この変換点が可能となったのはあくまでも上記三国がイランへの憎悪で共通しているからであり、トランプ政権が鼻の先につるした高性能軍事装備品や外交上の贈り物の効果でもある。

 

現実を見ると、平和条約が成立したといってもアラブ世界の大部分が反対しており、極めて脆弱な存在だ。つまり、イスラエルの行動いかんにでは正常化した関係もアラブ指導層の逆鱗に触れ消えてもおかしくない。

 

二国家共存構想の先にあるもの

 

イスラエル、パレスチナ間にはこの十年で「平和プロセス」が存在しなかった。イスラエル政治家はパレスチナ地区での入植拡大を支援し、ナショナリスト基盤を意識することが多い。パレスチナ側は分断されたままで、パレスチナの指導者マームド・アバスのような中道派は政治的に無力にされている反面、ハマスのような過激主義勢力が対イスラエル戦をうたい、支持を集めている。その結果がいかに不毛であっても関係ないのだ。

 

双方で反対勢力対策に労力を費やすより戦闘に次ぐ戦闘が手っ取り早い解決方法になっている。

 

多分、イスラエル-パレスチナ平和共存構想以外の選択肢を検討すべきときなのだろう。イスラエル入植地の拡大とわせパレスチナ側の統治機能の弱体化により同構想はすでに破綻したとみる専門家も一部に出てきた。ではどんな構想があるのか。イスラエルを多民族国家として再出発させ、パレスチナ住民に市民権、投票権を与える、あるいは自治政府を認め連邦制度にする案がある。

 

イスラエル=パレスチナ間の憎悪の深さをみれば、こんな措置は非現実的といわれそうだが、妥協と共存が不可能にみえてきたのが原因だ。であれば基本戦略は芝刈りに戻り、戦争は永遠に続きそうだ。■


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Mow the Lawn: Israel’s Strategy For Perpetual War With the Palestinians

 

May 22, 2021  Topic: Israel  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: IsraelPalestineHamasGazaWarMilitary

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Reuters.


芝生はいつも刈らないと無茶苦茶になります。あまりにも我々はイスラエル、パレスチナの絡み合った現状、その背景を知らないまま、暴力反対と言っているだけではないでしょうか。しかしながら我々ももう少し勉強したり、関心を持つことでこの地区の未来をデザインする一助ができるのではないでしょうか。一方が善、他方が悪という単純な構造ではないはずです。やたらとイスラエルを乱暴な国と非難しがちな傾向が日本では見られますが、その論理や行動を知れば知るほど感銘を受けるところが大きいです。イスラエルが強いことで秩序が保たれるのではないでしょうか。

 

2021年5月24日月曜日

C-130が水上機に改装されアジア太平洋で活躍する日が来る....? ハーキュリーズの水陸両用型構想を特殊部隊司令部が検討中

  

MAC C-130

SOCOM

 

 

軍内でC-130ハーキュリーズを水陸両用型へ改装し、沿海部で特殊作戦部隊を運用する構想が再浮上している。MC-130JコマンドーIIの機体下部に大型浮体をつけた図が出ている。MC-130Jは特殊作戦用のハーキュリーズの最新型で敵地に部隊を送り込み、回収し、補給物資を送り、ヘリコプターやティルトローター機に給油も行う。

 

改修案はMC-130J水陸両用機能MACと呼ばれ、米特殊作戦司令部の固定翼機事業統括のケン・キューブラー空軍大佐が本日、特殊作戦部隊業界会議で要旨を発表した。その後に行われたメディア向け説明会でキューブラー大佐は事業の実施可能性検討や作戦検討が進行中であり、司令部は名称非公開の「革新的な事業者」とデジタルデザインを応用し、検討内容をまとめると述べた。これにより研究開発を加速化し、費用を低く抑えるのだという。

 

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN JOHN LINZMEIER

A U.S. Air Force MC-130J Commando II conducts an inflight refueling mission off the coast of Okinawa, Japan.

 

SOCOM

A slide from Colonel Kuebler's briefing that mentions the MAC concept as one of a number of "focus areas" for SOCOM PEO-FW.

 

大佐の発表資料中のコンセプト図を最上段に掲載したが、大型浮体がMC-130Jについているのがわかる。大佐はMACコンセプトでは陸上から、さらに水上から運用可能な機体の実現を目指すと説明。基本形の水上機は陸上運用できないが、浮体部分に車輪を追加して水陸両用とする。その他の可能性として完全な水陸両用機に再設計する案もある。

 

C-130の水上運用案は前からあり、ペンタゴンも検討していた。同機の製造メーカーのロッキードも完全水陸両用型ハーキュリーズを舟艇形態の機体とする案を1960年代にすでに提案したが、採用されていない。ただし、米海軍は無線操縦の縮小モデルで構想をテストしている。同社はその後ロッキード・マーティンになり、C-130Jファミリーを製造しており、MC-130Jもそのひとつだ。

 

LOCKHEED

A model of a C-130 with a boat hull as well as wheeled landing gear.

 

 

 

C-130JにフロートをつけるPEO-FW案は以前からあり、ロッキード・マーティンは1990年代末に提案しており、やはり米海軍がSEALチームの現地展開、撤収用さらに特殊舟艇の輸送用に関心を示した。

 

LOCKHEED MARTIN

Older Lockheed Martin artwork depicting a C-130J floatplane.

 

もちろんハーキュリーズがフロートをつければ抗力と重量が増し性能低下は避けられない。航続距離、搭載量に影響が出るし、大型機でフロートを装着しての運行の事例はない。それでも、水陸両用機の需要を意識して、コンセプト図は従来の水上機の絵を参考にしたもので、実はSOCOMの要求する洋上運用可能なハーキュリーズの姿とは別かもしれない。舟艇同様にした機体構造なら性能低下の度合いも少ないかもしれないが、相当の再設計が必要なはずで、ロッキード・マーティンが実際に作業開始しているとの話はない。

LOCKHEED MARTIN

Another artist's conception of a Hercules floatplane.

 

実際の仕様と別に、水陸両用型MC-130Jが米特殊作戦部門に今までにない特別な能力を実現し、今後の遠征作戦や分散型作戦に効果を上げるかもしれない。米軍は全体として各種作戦構想を検討しており、遠隔かつ未整備地での運用を重視しているのは大型の既存基地が攻撃を受け利用不能となる事態を想定してのことだ。

 

空軍のMC-130J乗員はこうした環境での運用訓練を実際に行っており、コマンドーII以外に旧型MC-130HコンバットタロンIIでもインフラ設備が未整備の地点での運用を試している。同時に米特殊作戦部門は概してハイエンド戦における貢献を再検討しているところで、中国やロシアのような超大国相手の作戦も視野に入れており、とくにアジア太平洋の広大な地域での作戦を重視している。その例としてアジア太平洋の小規模島しょ部分では十分な広さが確保できず飛行施設が整備できないことがある。水陸両用機はこの状況に最適な機材となり、開戦で既存基地施設が敵の脅威下に置かれることを想定している。あるいは第一撃で破壊されてしまうかもしれない。

 

メディア向け説明会でキューブラー大佐は「互角あるいはほぼ互角」の相手との戦闘が発生した場合を想定してMAC事業が急がれていると説明。また太平洋で同機が重宝されるが、同時に水面があればどこでも稼働可能と付け加えた。

 

水陸両用のC-130なら標準型MC-130Jを上回る任務をこなし、MAC機がコマンドーIIと全く同じミッションをこなすのかと聞かれたキューブラー大佐は、「その想定はしていない」と答えた。水上運用可能なハーキュリーズが実現した場合、特殊部隊に限らず米軍の広範な部隊も調達に意欲を示すはずだ。

 

2016年時点の米海兵隊が机上演習の開発にあたり、水上機も利用可能な想定とし、文書には下の図が掲載されていた。フロート装着したセスナ208キャラバン、ボンバルディア(現バイキングエア)のCL-415MP水陸両用機、日本のUS-2水陸両用機を例示し、それぞれの運用行動半径をフィリピンのマニラを起点に示している。

 

U.S. MARINE CORPS

 

海上自衛隊が捜索救難活動用に使うUS-2がここに加わっているのは、太平洋での水上機の枠割が大きいことを強調するものであり、災害救助、捜索救難にも利用可能だからだ。中国も大型水陸用両機AG600の開発を急いでおり、同機は軍用あるいは準軍用用途に投入され、南シナ海各地に建設した拠点設備の支援で大きな役割を果たす。

 

こうしたことを念頭に海軍、海兵隊以外に米沿岸警備隊が水陸両用型ハーキュリーズに関心を示している。沿岸警備隊もC-130を利用しており、水上型機材は長距離捜索救難に投入できれば、洋上条件が許す範囲で生存者を収容し、数千マイル離れていても本土基地に到達できる。沿岸警備隊が1980年代までHU-16アルバトロス水陸両用機を運用していたことに注目すべきだ。

 

ハーキュリーズの水上運用型から森林火災消火用の機材が生まれる可能性があり、州軍航空隊のC-130にもモジュラー式空中消火装備が搭載されているものがある。

 


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Amphibious MC-130J Transport Is On Special Operations Command's Wishlist

There have been proposals for a waterborne C-130 Hercules in the past, but the U.S. special operations community might just make it a reality.

BY THOMAS NEWDICK AND JOSEPH TREVITHICK MAY 19, 2021